21エモン アニメ版宇宙船

 3DCGでよく見かけるのが宇宙船やロボットの作品だが、特にロボットはガンダム関係が圧倒的に多く、化夢宇留仁は作ったこともないのに食傷気味になっていた。
そこで化夢宇留仁は知ってる人は知ってるが、知らない人は全然知らないようなマイナーなメカを作ってゆこうと考えた。
その第1弾が今回のアニメ版21エモンの宇宙船である。劇中ではちゃんと名前がついているはずだが、テレビシリーズはほとんど観てなかったので、分からない(汗)。
今回製作の頼りにしたのは劇場版のフィルムコミックである。バイト先の古本屋に入ってきたので、そのうち使ってやろうと買っておいたものだ。

 宇宙船はシンプルなラインで構成されており、簡単にできそうに思ったのだが、例によって考えが甘かった。
シンプルな線ではあるがけっこう曲線は複雑で、かつスリットが各所にあり、パーツをばらばらに作る必要がある。
しかしシンプルな分少しでも変なつなぎ方をすると、継ぎ目が目立ってしまうのだ。
右の画像がおおまかにパーツをバラしてみたものである。
特に今回は船体の塗り分けもパーツが別になっていると解釈しているので、余計にパーツ数が増えてしまった。

 

 なにしろフィルムコミックしか資料が無いので、細かい部分は異なっているところもあるだろうが、だいたいは満足いく形に出来た。
今回は今までの作品ではとことん手を抜いてきた船内ブリッジもそこそこ忠実に再現した。
元のデザインがキャノピーが張り出したもので、中を作らないことには仕方がなかったというのもある。
キーボードのようになっているところなど、簡略化した部分はあるが、本で確認できる出来るディテールはほぼ全て再現したつもりである。
前に並んでいるモニター類など、意外に形状を作るのが難しいものもあったが、かえって練習になった。
特に線形上を一点に集中させて、1つの点にしてから修正して形を作るのを覚えたのが収穫だった。

 

 ひととおり完成して、我ながらなかなかいい出来だとか考えながら(笑)色々な角度から眺めていると、せっかく細かく作ったブリッジにキャラクターがいないのが寂しく思えてきた。
そこでキャラクターも作ることに。
宇宙船がアニメ版なのだから、キャラクターもアニメ版を作るのが筋である。
しかし 化夢宇留仁は原作のマンガの方に強い愛着があり、キャラクターは原作版を採用することにした。
必要なのは21エモン、モンガー、ゴンスケの3人である。 劇中ではこの3人で旅をしていたのだ。

 まず手をつけたのは、主人公である21エモンである。
藤子キャラは立体として辻褄が合わない描かれ方をしている。
もちろんこれは問題ではなく、魅力なのだが、それを立体化しようとなると大きな障害となる。
今回は特に大口を開けたパニック状態の顔を作ると決めてしまったため、余計に苦労することになった。
まず紙に適当に設計図を描こうとしたが・・・上記の通り元々立体として存在し得ない形をしているものなので、どうしてよいのか分からない。
結局適当にイメージ画だけを描いて、あとは実際にモデリングしながら固めてゆくことにした。

 特徴的なのは大きく開けた口の形なので、それから作っていった。
最初に円筒状の形状の下の部分に上唇の形を作り、線を整理してなんとなく顔の形にする。
それから上唇の線形状をコピーして、同位置に複製してから前面部分を修正して下唇を作っていった。
苦労したのは意外にも頭の後ろの方だった。
前の方で豪快に変形しているので、文字通りそのしわ寄せがきて、くしゃくしゃになってしまうのだ。
何度も修正してはしわを消すのに時間を費やしたが、これはあとでモンガーを作ったときにもう少し簡単に処理できる方法があるのに気づいた。
こうして苦労しながらしか前進できないのが化夢宇留仁なのだろう(汗)。

 口の中は最初は唇の線形上をそのまま複製して、それを元に奥行きを作っていたが、どうしてもほっぺたにはみ出してしまうので、後から更に唇の厚みを作り、それを元に中にのばしていった。
特徴的なノドチンコ(笑)と舌は、けっこういい感じに出来たと思う。
ノドチンコは 口の中の一番奥の線形状を変形して作っている。

 顔のパーツで他に苦労したのが、耳と髪の毛。
原作の耳は楕円形に数字の6が描いてあるだけというシンプルなもので、似たような感じで立体にするとどうしても無理が出てしまう。
やりすぎるとリアルすぎて変だし、かと言ってそのままにすると平べったくて耳に見えないのだ。
結局耳は適当にいじくって、偶然それっぽくなったところで完成とした。
耳のアップが必要になったらまた作り直そう(汗)。

 髪の毛はヘルメットのような前髪と、よく分からない分け目、耳と首へのつながりとどこも難しく、それぞれの帳尻を合わせたらつなぎ目が目立ってしまった。
しかし現状ではこれ以上どうしようもない(泣)。

 顔自体はほとんどブーリアン演算の、オブジェクトが接触したところにその表面 素材&テクスチャを表示する方法で表現していて、 まともにモデリングしたのは鼻と眉毛くらいである。
だからモデリングの画面では21エモンは左のような恐ろしい状態になっている(笑)。

 顔とは逆に、身体はシンプルな上に一応立体としての帳尻は合うので、結構楽だった。
最初は妙に鳩胸になったり、体のバランスをとるのが難しかったが、最後にでっかいブーツを履かせたらそれなりに見えるようになった。
ちなみに服のデザインや色は原作の文庫版コミックスのカバーを参考にしている。

 手も初めて継ぎ目のない形状として作ってみたが、藤子キャラの絶妙なデフォルメも相まってやはり難しく、なんとか継ぎ目は目立たなくなったが、形そのものが妙なことになった。
リアルすぎてもいけないというのはほんとに難しい。

 21エモンで苦労したので、次は一番楽そうなゴンスケを作った。
想像通り簡単だったが、メカメカしている割に表情豊かで、特に口の開き方が常識が通 用しないレベルなので、再現するのに苦労した。
具体的には下顎が回転して開くだけではなく、顎を下にスライドするようにした。
原作では更に横回転までかかっている場合があるが、もっと派手な表情が必要になったら付け加えるということで今回はよしとした(汗)。
目は丸い形状だけ作って、縦のペケはテクスチャである。
この方法ならa@c氏の好きないやらしい目つきも、必要になればすぐに再現できる(笑)。

 そんな感じで各部関節に回転や直線移動ジョイントを仕込んで、ゴンスケは完成。
アニメ版との違いは、ボディの色と手のハサミの形である。
もっとツヤツヤピカピカにも出来たのだが、原作でポンコツと言われ続けているのを鑑み、汚しを入れて少し渋めの表面 にした。
レンダリング画像を見てみて今更思ったが、地下足袋型の足に妙にツヤがあって変な感じである。
でも今から修正するのはしんどいので、次回のレンダリングから直すことにする(汗)。

 最後に作ったのがモンガーで、これは21エモンを作った後なら簡単だろうと思っていたのだが、これまた甘かった。
大きく開いた口だが、21エモンと同じ方法で作れば問題ないと思っていたのだが、顔(身体?)のラインがシンプルな曲線なので、予想以上にしわが目立つ。
ここまでシンプルなラインだともはや手作業ではしわ伸ばしは不可能に近く、なるべく元のラインを壊さないようにするのが精一杯である。
それでも最終的には上と下のつなぎ目に線が出てしまい、仕方なく手動で誤魔化した。
ちなみに上の21エモンのところで書いている「もう少し簡単なしわを消す方法」は、派手に変形している部分とその影響が無くなる部分の間に線形状を追加し、そこで変化の具合をコントロールするというものである。
モンガーは口を開いた形にすると、どうしても輪郭が変になってしまうので、色々試している内にたどり着いた。
ただしこの方法は線形状が増えてしまうので、あとで全体的に修正するとき(例えば表情を変えるなど)には手間も余計に増えることになる。

 
  一番苦労したのは顔の白とオレンジ色の塗り分けで、これはテクスチャを使って楽をしようと思ったのだが、これまた甘い見通 しだった(汗)。
上がモンガーに使ったテクスチャである。これを上下のパーツにそれぞれ貼り付ける訳だが、一体全体シェードでテクスチャの位 置を正確に合わすにはどうすればいいのか?
今回は前述の通り口の部分で上下にパーツを分けているので、それぞれにテクスチャをはってずれが出ないようにしなければならないのだが、正確な位 置合わせ機能がないのでひたすら試行錯誤の繰り返しなのだ。
結局なんとかなってほっと一安心したのだが・・・後から考えればパーツ2つにいっぺんにテクスチャをはる方法があったのかもしれない。
無理かな?もし出来るなら化夢宇留仁の苦労はいったい・・・・・・(汗)

 そしてモンガーは最後の最後まで頭の上のクルクルを作り忘れており、レンダリング作業に入ってしばらくしてから気づいてショックだった。
最後に作ろうと思ってそのまま忘れていたのだ。

 と言うわけで一通りキャラクターが完成。

 最後に彼らを宇宙船に乗せて、21エモンとゴンスケはポーズをつける。
ゴンスケはあらかじめジョイントを組み込んであるので、それを適当にいじってやればポーズ付けは完成である。
21エモンの方はとりあえずなにもやってないので、部分的に変形させてポーズをつけた。
なんかおかしなところも多々あるが、どうせほとんど見えないのでよしとする。
なんか「よしとする」ばっかりのような気もするが(汗)。

 また今回光源それぞれに影の濃さを変更できることを覚え、ずいぶんレンダリングが楽になった。
年賀状の羊の画像の時など、見せたいところを照らす為に光源を増やすとその分影が増えてしまい、あとでぼかして誤魔化すなど困っていたのだが、 上のキャラクター3人が並んでいる画像では見ての通りはっきりした影は1つしか表示されていない。
もっと早くこれに気づいておっれば・・・・・ほんとに苦労してからでないと物事を覚えない化夢宇留仁なのであった(泣)。

 そのうちオナベさんや21エモンの両親など、メインキャラクターは全部作って並べてみたいと思う今日この頃である(笑)。