太陽の簒奪者

小説/野尻抱介
2005年3月20日(文庫版)/早川書房/640円

●入手方法/書店で入手可


 2006年,突如水星で人工的な噴火が観測される。そこから噴出された鉱物資源が,太陽を取り巻くリングを形成し始める。リングにより年間日照量の10%を奪われた地球では寒冷化が進み,人類は滅亡の危機に瀕する。この危機に対処すべく,人類は様々な接触を試みるがリングの自動防衛機構を突破できない。

 一体,このリングは誰が何の目的で作ったのか?この謎を解くべく若き女性科学者がリング破壊ミッションに臨む。


おもしろさ 5

 ひとつひとつリングの謎が解明されていく面白さ。その謎がハードSFらしい設定に裏付けられている。特にリング建設者の正体と目的に脱帽。


トラベラー度 3  派手なアクションがなく、普通のキャラクター達の活躍をベースにする点はトラベラーっぽい。
 

レフリー度
 世   界 3  星系間航行ができる程度のテクノロジーレベルの世界として参考になる。あとはナノテクノロジーをどう扱うかである。
 ストーリー 3  太古種族の遺跡探索者として転用可能ではないか。
 フレーバー 4  科学者ラボの様子など参考になる。

お気楽度 2  

投稿者/masakiさん


 


好敵手

小説/ポール・アンダースン
短編集本のタイトル/地球帝国秘密諜報員
早川書房2003年1月31日/660円

入手方法/書店にあります


 敵のスパイに完全に裏をかかれ、しかも殺されずに解放されたフランドリーはショックを受けていた。
そんなはずは無いと考えても仕方がない。
やがてその相手アイキャレイクには、読心能力が備わっている確信する。
仲間の女諜報員アリーンと共に頭を抱えるフランドリー。 こっちの心が筒抜けの相手に、どう対処すればいのか・・・。


おもしろさ 4

 駆け引きが楽しい。トリックは読めてしまうが、最後の仕上げが予想外。


トラベラー度 4  すごくトラベラーっぽい。
 

レフリー度
 世   界 4  地球帝国をソロマニに、または第3帝国にしてみれば、そのまんまかも。
 ストーリー 2  トリックの性質上、そのままシナリオに流用するのは難しい。
 フレーバー 3  この話は、他の話と比べるとあまりフレーバーになるような描写は出てこない。
ドラゴン狩りの様子などは面白いが。

お気楽度 5  どうぞ、お気軽に

化夢宇留仁 20070310


 


<天空洞>の狩人たち

小説/ポール・アンダースン
短編集本のタイトル/地球帝国秘密諜報員
早川書房2003年1月31日/660円

入手方法/書店にあります


 人工衛星クリスタル・ムーンで宿敵アイキャレイクと遭遇したフランドリー。
しかし地球帝国外なので、手を出せない。
急いで本部に戻り、アイキャレイクに逃げられないよう手を打とうとするフランドリーだが、上司フェンロスは彼を木星へ向かわせる。
木星に移住した人間とはまったく異なる生命であるイミル族が、宿敵マーセイア帝国と手を結んでいる可能性があるらしい・・・。
 200ページ近い長編。


おもしろさ 4

 様々な展開がある物語で、読み応えがあった。
ガスジャイアントに住む種族のアイデアが面白い。


トラベラー度 5  トラベラーのキャンペーン1本分の内容。
 

レフリー度
 世   界 4  
 ストーリー 4  物語としてはありきたりとも思えるが、逆に言えば王道。
 フレーバー 4  ガスジャイアントに住む種族の描写を筆頭に、様々な種族や描写が出てきて大いに参考になる。

お気楽度 3  それまでの短編のつもりで読むと面食らう。

化夢宇留仁 20070310




タフ再臨

小説/ジョージ・R・R・マーティン
短編集本のタイトル/タフの方舟2 天の果実
早川書房2005年5月31日初版発行/700円

入手方法/現在、書店にあります。


 5年前には戦艦に追われて逃げ出すことになったス=ウスラムに、方舟が再びやってきた。
約束通り修理代の半金を支払うためである。
変装してス=ウスラムに入り込んだタフだったが、状況は彼の予想と異なっているようだった。
人気ドラマ「タフとミューン」とは?


おもしろさ 5

 今回はいつもよりキャラクター小説の要素が強いが、やっぱり面白い。


トラベラー度 5  
 

レフリー度
 世   界 4  
 ストーリー 1  今回のストーリーは利用しにくい。
 フレーバー 4  相変わらず植民地の食料危機を救うアイデアには事欠かない。

お気楽度 4  「パンと魚」の続編。

化夢宇留仁 20070311




魔獣売ります

小説/ジョージ・R・R・マーティン
短編集本のタイトル/タフの方舟2 天の果実
早川書房2005年5月31日初版発行/700円

入手方法/現在、書店にあります。


 タフの噂を聞きつけて酒場で話しかけてきたのは、惑星ライロニカのノルン家の獣匠長と名乗る男だった。
ライロニカでは獣を戦わす競技で各家の地位が決まるのだという・・・。


おもしろさ 4

 武器商人よろしく魔獣を売りまくるのも面白いが、サービスでつけた餌動物の顛末がまた(笑)。


トラベラー度 4  
 

レフリー度
 世   界 4  
 ストーリー 3  少し手を加えれば盛り上がるシナリオに出来そう。
 フレーバー 4  魔獣の描写がいい。

お気楽度 5  

化夢宇留仁 20070312




わが名はモーセ

小説/ジョージ・R・R・マーティン
短編集本のタイトル/タフの方舟2 天の果実
早川書房2005年5月31日初版発行/700円

入手方法/現在、書店にあります。


 いきなり暴漢に襲われるタフ。
聞けば彼の惑星を生物災害で襲ったことに対する復讐だという。
しかしタフには覚えはなく、さっそくその星に行ってみることに。
そこではモーセと名乗る男が奇跡を成し遂げていた・・・。


おもしろさ 4

 ペテン師の対決は面白い(笑)。
しかしタフって怖いぞ。暴漢に対してそういう行動に出るか(汗)?
あくまで 防御のためだけど。


トラベラー度 4  
 

レフリー度
 世   界 4  
 ストーリー 4  なかなか凝ったシナリオになりそう。
 フレーバー 4  聖書の再現というのは永遠のテーマの一つだが、フレーバーとしても面白いテーマだと思う。

お気楽度 5  

化夢宇留仁 20070317




天の果実

小説/ジョージ・R・R・マーティン
短編集本のタイトル/タフの方舟2 天の果実
早川書房2005年5月31日初版発行/700円

入手方法/現在、書店にあります。


 修理代の最後の支払いのために、ス=ウスラムにやってきた方舟。最初に訪れてからちょうど10年目のことである。
5年前の更なるタフの尽力により、ス=ウスラムの人口問題は解決に向かっているかと思われたが、計画はまともに進められてはいなかった。
タフは最後の決断をくだすのか?


おもしろさ 4

 結局それしかないのね。
猫ライバルがいい感じ。
 これでタフシリーズはとりあえず完結ということだが、思い返せば最初の「禍つ星」が一番面白かったような・・・(汗)


トラベラー度 4  
 

レフリー度
 世   界 4  
 ストーリー 4  ス=ウスラム3部作はキャンペーンに挟まる時間の流れを感じさせるイベントとして使ってみると面白いかも。
 フレーバー 3  

お気楽度 5  

化夢宇留仁 20070314




ミクロ・パーク

小説/ジェイムズ・P・ホーガン/内田昌之訳
創元SF文庫2000年3月24日初版発行/980円

入手方法/化夢宇留仁は古本で見つけました。
まだ新刊でもあるかな?


 近未来。
超小型のロボットを脳とリンクさせ、あたかもロボットと一体となったかに感じさせる技術は、様々な応用法が考えられたが、その中でも最も直接的に大きな効果をあげるのは、遊戯施設の基礎技術だった。
ケヴィンはその技術を開発した父の才能を譲り受け、まだ少年でありながら独自の技術の開発していたが、世間にその技術に対する悪い噂が流れていることを知る。
そして遠隔操縦ロボットの実験をしていたある日、偶然驚くべき事実を知ることになる・・・。


おもしろさ 5

 やはりホーガンは面白い!
センス・オブ・ワンダーあり、ドラマあり、笑いあり、アクションまであり。
最高でした。
表紙がまた素晴らしい。
加藤直之大先生の(おそらく)ペインターを使ったイラストだが、デジタル作品の中ではベスト10に入る出来ではなかろうか。
内容を詳細に読んでから描いているのが伝わってくるのも嬉しいところ。


トラベラー度 1 トラベラーっぽいとは言えないが、トラベラーに応用したくなるアイデアは満載。
 

レフリー度
 世   界 1 地球の近未来の話。
 ストーリー 3 そのまま使うのは難しいが、部分部分を流用するにはいい感じのところが多い。
 フレーバー 5 ミクロ・ロボット、ミクロの視点、その応用。

お気楽度 4 それなりに厚みはあるが、読み出したら止まらない面白さ。

化夢宇留仁 20070408




自由軌道

小説/ロイス・マクマスター・ビジョルド/小木曽絢子訳
創元SF文庫1991年8月30日初版発行/740円

入手方法/化夢宇留仁は古本で見つけました。
まだ新刊でもあるかな?


 ギャラク・テク社のベテラン溶接技師であるレオ・グラフは、特殊な計画を進めているという宇宙ステーション、ハビタットへやってきた。
彼はここで自由落下状態での溶接技術の教師を務めることになっていた。
そしてその生徒とは、本来脚があるべきところからも腕が生えているクァディー達だった。
ハビタットで行われていたのは、人間への遺伝子操作による自由落下状態での労働者の想像だったのだ。
しかしやがて人口重力技術が実用化されたという情報が入り、クァディー達は用無しになってしまう・・・。


おもしろさ 5

  マイルズ・ヴォルコシガンシリーズで有名なビジョルドのプロとしての正式な長編第1作。
これがもう見事な出来で、エンターテイメントSFの手本と言える内容である。
キャラが起っているのは勿論、舞台も魅力的だし、クァディーという新たな種族は興味深く、ユーモアもあればスペクタルもあり。
あまりにも全てがキッチリと収まっていて、逆に少し寂しく感じるくらいである。
巻末の解説でも書かれているが、SF初心者にもうってつけの内容である。

 ところでクァディーの行く末だが、本作から約200年後の世界を舞台にしているヴォルコシガンシリーズにもクァディーが出てくるのは秘密である(笑)。


トラベラー度 4 ちょっと「デス・ステーション」(笑)?
 

レフリー度
 世   界 4 雰囲気は似ている。企業が力を持っているところも。
 ストーリー 4 利用しがいのある内容です。
 フレーバー 3 クァディーと自由落下状態の描写は参考になります。

お気楽度 4 それなりに厚みはあるが、読み出したら止まらない面白さ。

化夢宇留仁 20070417




火星鉄道一九(マーシャン・レイルロード)

小説/谷甲州
短編集のタイトル/火星鉄道一九(航空宇宙軍史)
ハヤカワ文庫昭和63年7月15日初版/420円


 火星基地へ降下する貨物用大型シャトル。それに乗客として乗船しているのは八木澤少尉。パイロットは大男のザナック中尉である。
最近軍の船の動きが慌ただしいのは、開戦が近いのではないかと予測する二人だが、基地にたどり着いたとき、それが現実のものとなる。しかも敵の核爆雷が、基地の誇る超長距離滑走路トンネルに接近していた・・・。


おもしろさ 4

  安定して面白い航空宇宙軍史。
気のいいザナック中尉の見えない活躍が感動的。
SF版戦場マンガシリーズっぽい。


トラベラー度 3 描写がリアルすぎてトラベラーっぽくなくなっているところも。
 

レフリー度
 世   界 2 太陽系内の戦争の話。
 ストーリー 3 ストーリーと言うより状況。
 フレーバー 4 リアルな雰囲気を演出したいなら必読。

お気楽度 4 あっさりした短編だが、固有名詞と科学的ディテールが多め。

化夢宇留仁 20070429


BACK NEXT

データベースTOP