芸術家作成ルール 訂正・補足

半日ほどで慌てて作ったルールでして、アップしていただいた後、見直してみるといくつかの点で訂正・補足が必要かと思われる点が出てきました(汗)化夢氏に修正を御願いするのも申し訳ないので、ここでまとめて書かせていただきます(つまり言い訳/汗)
ルールの根拠がわかりづらいかな、と思える点に関しても解説してあります。



訂正・補足


1.「芸術家と社会身分度」に関して

ちょっとわかりづらい説明になってしまいました。「芸術家」経歴表で社会身分度が増加し貴族となった場合、UPPとしての社会身分度はC以上になり得ますが、貴族位 はナイト爵が限界、ということです(そーいえばコナン・ドイルも勲爵士でした。文学に関する功績では無かったような気がしますが。軍医として従軍したときの功績だったかな?)
「名誉貴族」は侯爵までの貴族位が与えられる可能性はありますが(「帝国百科」p12)文化的な貢献に関してはナイト爵までが適当かと思いこのような制限を設けました。通 常封土は与えられない、とするべきでしょう。
ただしキャラクターが芸術家としての知名度のある世界では、UPPに応じた尊敬と扱いを受けることができます。社会身分度がDのナイト爵の画家は、侯爵として遇され、それなりの権威と発言力を持っています。政治力はありませんが。
なんとなく「海原雄山」をイメージしてこんなルールに(笑)
以上のことを踏まえた上で、「除隊恩典表」に以下の変更を加えてください。

「7 +2社会身分度」→「ナイト爵受勲」
社会身分度がA−のキャラクターは自動的にBとなる。B+のキャラクター、およびこの恩典が重なった場合はUPP上のみ+1社会身分度。貴族位 は変化しない。

なんらかの褒章を公爵、大公、または皇帝から受けたとみなしてください。
「UPP上のみ社会身分度増加」のルールが煩雑で使いづらいと感じられる場合は貴族のキャラクターが「ナイト爵受勲」しても実質的な特典は無し、としてください。腕時計みたいなもんですな(笑)

 


2.「応募制限」に関して

基本的には「前工業+」ですが、〈映像〉技能を持つには「工業+」が必要です。
電子楽器などを扱いたい場合も同様です。
TL0世界出身のソウルフルなボンゴ奏者「ウンバホ」氏(社会身分度B)とかも面 白いかと思います。



3.「経歴表」に関して

親の七光りと財力、教養が重要な経歴としました。
任官は芸術家の制作作品や活動が金銭的価値を持ち、売買の対象となったことを意味します。歌手、俳優などはメディアデビューしたことになります。以後、作品制作・活動に専念できます。
任官前のキャラクターはその技術を生かした仕事はしているものの、社会的には広く認知されてはいません。おそらく高校の美術教師とか、ピアノ教師などをしているのでしょう。結婚式でビデオ回してたりとか(笑)

「特別任務」は個展や演奏会などで、すばらしい業績を残したことを意味しています。あるいは新しいインスピレーションを与えるような人物と出会ったとか。単に十分な製作時間がとれただけかも知れませんが。
「注2」ですが、「特別任務で必要とされている数値より4以上大きければ技能は1つではなく2つ」のルールを採用しているなら、「10+(A+という表記は間違いです、はい)で技能2つに加えて次の期の任官に限り余分にDM+1」ということです。

手順が煩雑になることをいとわない方は以下のルールも追加してください。

注4:任官したキャラクターは「1D6−1」を振って最初の階級番号を決める。出た数値が階級表の階級番号となる。0となった場合でも階級は1である。

注5:昇進判定で3−が出たら「2d6−7」を振り、その数値分階級が下がる。(2D6で7以下が出れば階級は下がらない)階級番号がマイナスとなった場合、任官が取り消される。

注4.5は必ず同時に適用してください。
これは流行の流れの早さや、著名人の不祥事、スキャンダルによる失墜を再現したものです。一気にブレイクしたアイドルがいつの間にかブラウン管から姿を消したり、スキャンダルで干されてしまう人気コメディアンとか現実にも多い話です(マ○ハラとかタ○ロとか)ドラマでも世界的に有名なマエストロが田舎の中学校で音楽教師をやる、なんてのがありましたな。

実は「パトロン」のキャラクター「アリシア・バーンズ」はこのルールで作ったキャラクターです。2期しか勤めていない彼女が「人気パフォーマー」であるのはそのため。投稿する時に削ったルールなのですが、修正を忘れていました(汗)
これらのルールを使用すれば、社会的名声を得た人間の、紆余曲折な人間模様を再現することが出来ます。ドサ廻りをする「元大物歌手」とかを演じるのも面 白いのではないでしょうか。知名度が高いだけにさまざまな事件に巻き込まれます(笑)



4.「階級表」に関して

前項の注4.5を採用するに当たってキャラクターの呼称は以下のように処理します。

・注4で任官後「階級番号」が2以上となったキャラクターは呼称の前に「新人」をつける。例えば、いきなり「階級番号4 人気(例えば歌手)」となったキャラクターの呼称は「新人人気(歌手)」となる。次の期以降は通 常の呼称で呼ばれる。

・注5で階級が下がったキャラクターはまだ階級番号がある限り、階級が一番高かった時の階級の呼称で呼ばれる。任官が取り消された場合は「元」がつく。
知名度(このルールに関しては後述)は一番高かったときのままとなるが4年ごとに「階級番号」による修正が1下がる。これは現在の階級番号になるまで継続される。任官が取り消された場合も修正が「階級番号」0となるまで同様の処理をする。任官の経験があれば「階級番号」のDMは受けなくとも知名度の判定はすること。

「知名度」に関してはかなりいい加減です、我ながら(笑)
以下に解説します。
まず、NPCの趣味、関心が非常に大きく作用します。ブレイク中の人気歌手の顔を知らなくても、人間国宝級の陶芸家の顔を知っているご隠居さん、なんてのもいそうですし。
1つの指針として階級番号を使います。階級番号を+DMとして使用します。
基本難易度は「並」です。

・関連する技能(芸術家が著名となったのと同じ技能)がある場合難易度が技能レベル分下がります。
・NPCがその方面に興味のない場合、難易度が1つ上がります。年齢、経歴、社会身分度などから判断してください。
・芸術家が一般的なメディアにあまり顔をださない場合、難易度が1〜2つ上がります。

新人歌手の顔を見て本人だと認識する:
並、教育度、階級番号(この場合は+1)、1秒

メディアは注意して扱ってください。工芸家や写真家だからといってメディアに顔出さない訳じゃないですし。モリ・ハナエとか荒木とか。基本的にはプレイヤーの選択となるでしょう。
あっ、服飾デザイナーはこのルールでは工芸家です。
芸術家といえるかどうかわかりませんが、もうひとつ例を挙げておきます。

日本の30代のRPGゲーマーがマーク・ミラーの名前を知っている:
至難、教育度、+6(階級番号による)

「トラベラー」ルールブックを所有していれば難易度は「難」になります。これが10代のRPGゲーマーであった場合、難易度は「不可能」となります。RPGゲーマーではない場合、行為判定自体が不可能となります。「安全」な行為です、多分・・・


5.「除隊恩典表」に関して

制作機材とはその〈芸術〉技能に必要とされる持ち運べる範囲の機材、とします。
映像作家であるならビデオカメラと編集用の携帯型コンピューターおよびアプリケーションソフトといったところでしょう。編集スタジオとかはとりあえず無しにしましょう。
「+社会身分度」に関しては「1.『芸術家と社会身分度』に関して」を参照してください。



6.「恩給」に関して

「恩給に関しては作品に関する印税、または造り置いた作品の売却と考える」
とこともなげに書いてますが、考えてみれば制作した作品が印税や売却の対象となるのは、通 常任官したキャラクターのみです。
リアリティを求めるレフリーは以下のルールを採用してください。

・任官前のキャラクターは何期芸術家を続けても恩給を受け取れない。
現在任官しており、引退または負傷除隊した、あるいは自ら芸術家を辞したキャラクターは期数に関わらす、その「(経験した最大の)階級番号×2×2000」crを恩給として受け取れる。
再応募に失敗した、または任官を取り消されたキャラクターは「階級番号(任官を取り消された場合1)×2000」crの恩給を受け取れる。
これは作品に関する印税、または造り置いた作品の売却と考える。

不祥事や、スキャンダルは時を経れば大目にみられるものなのでこのようなルールにしてみました。
印税が少なすぎる、と考えるレフリーは引退、負傷除隊、自ら辞めたキャラクターに関しては「階級番号の2乗×2000cr」としてください(それでも少なすぎる?)


7.現役の「芸術家」

レフリーの好みによっては現役芸術家をゲームでプレイしてもよいかと思います。特に画家などの個人で制作ができる分野なら、素材を探して旅する、なんてのもありでしょう。紀行作家とかならなおさら。他の経歴に比べて、時間的な制約を受けない職業ですので。その場合も「除隊恩典表」は振らせてあげてください。プレイヤーの不公平感をなくすためです。
再応募の判定は一応振ります。強制再応募となれば、手持ちの仕事が溜まってて辞められなかったことになります。余分にもう一期経過します。
再応募に失敗した場合、所属のプロダクションや取引先の画商と喧嘩でもしたのでしょう。任官前なら美術教師を辞めさせられた、ってとこですか。きっと非常勤だったんでしょうな。経済的な基盤は失いましたが、いずれにしても旅に出ることが出来ます。この場合もプレイヤーの選択で「現役」を主張することができます。
強制再応募に引っかからず、再応募に成功した場合、任官後のキャラクターなら「一時休業宣言」を出すことが出来ます。任官前なら、円満に前の仕事を終え、運がよければ「休職願」が受理されます。元の世界に帰れば以前の職に就くことが出来ます。
いずれの場合も、資格があれば「恩給」は受け取れるものとします。


8.「技能修得表」に関して

「部門関係」の「2 交渉」を「2 説得」に書き換えてください。〈対人〉に〈説得〉が選択で入ってると勘違いしてまして。修正前の表を使うと〈説得〉がとれません。

9.〈芸術〉技能に関して

いくつか説明不足な点がありました(またもや/汗)
以下のルールを採用してください。
例としてあげたUTPには技能値が2つ、能力値が1つ並記してあるものもあります。おもに〈芸術〉技能を応用として使用する場合ですが、DMをそのまま足しあわせてください。基本ルールからははずれた使い方ですが・・・レフリーが抵抗のある場合は、基本ルール通 り2つの行為に分けて判定してください。

・作品を制作する場合の例を示しておきます。通常、難易度は「難」です。

短編小説(日本語で60000字、原稿用紙150枚ほど)を執筆する:
難、〈文学〉、知力または教育度、1日、不確定

100号のキャンパスに油絵を描く:
難、〈美術〉、知力または教育度、5日、不確定

設計図を元に、家を建てる:
難、〈建築〉、(多人数で作る場合〈リーダー〉があれば、有用となります)知力または教育度、20日、不確定

各技能に関しての追加ルールです。

〈音楽〉
声楽、も楽器の1つとして扱います。「歌手」は持っておくべきでしょう。
〈建築〉
建物に関してのみ〈戦闘工兵−(マイナス)1〉として使用できます。
〈パフォーマンス〉
ペナルティなしで〈変装〉として使えます。包含技能です。


各技能の応用

・いくつかの技能を組み合わせることにより可能となる芸術分野。
芸術技能を持ち、リーダー技能を持つキャラクターはプロデューサーとしての能力を有します。
複数のキャラクターが必要とされる〈芸術〉技能を持ち寄って1つの作品を制作する場合、参加メンバーの内、必要な技能を持つキャラクターの内1人が〈リーダー〉技能もあわせ持っている場合、通 常の「もっとも低い技能−1」に〈リーダー〉技能の数値を加えることが出来ます。ただし、〈リーダー〉技能がいくら高くても、メンバー中の最大の技能レベルを越える数値以上のDMを得ることは出来ません。
十分な〈リーダー〉技能があればメンバー中の最大の〈芸術〉技能レベルを使用することが可能です。〈リーダー〉技能が使えるのは1人のキャラクターのみです。

・〈説得〉を持っているキャラクターが制作した作品は誰が見てもわかる明確なメッセージを込めることが出来ます。これは通 常1つの単語で言い表せる様な概念でなければなりません(「明るい」「さわやか」「時間」「平和」など)芸術家が作品にメッセージを持たせる場合、〈(該当する)芸術〉〈説得〉のいずれか低い方のDMを使用します。
複雑であったりなじみのない概念(「像法」など)や、いくつかの単語で表せるような概念は難易度が上がります。

以下は〈芸術〉技能の選択ルールです。

・各〈芸術〉技能はさらに専門分野を選ぶことが出来ます。その場合、専門分野の行為に関してはDM+2を得ます。専門以外の同技能分野に関しては−2DMを得ます。
たとえば〈工芸−3〉の技能を持つキャラクターが専門に「陶芸」を選び「陶芸家」を名乗った場合、「陶芸」に関する判定(例:陶芸作品を作る、釉薬を鑑定する)には+2DM、それ以外の〈工芸〉に関する行為(例:パトロンの着ている服のデザイナーブランドを推測する、同じく染色に使われた染料を推測する)はDM−2となります。
このルールはレフリー、プレイヤーがそれぞれ、その芸術分野に関して十分な知識がない場合は採用されるべきではありません。
以下に一般的な専門化の例を挙げておきます。
〈美術〉
(画材ごとの)絵画、(素材ごとの)彫刻
〈工芸〉
陶芸、服飾デザイン、工業デザイン、ガラス工芸、金属工芸、宝飾デザイン
〈映像〉
スチル写真、映画、CM、3DCG
〈音楽〉
(各楽器ごとの)演奏、声楽、作曲
〈建築〉
建築設計、造園、建築施工、空間デザイン、都市設計
〈文学〉
小説、作詞、俳句、エッセイ、ノンフィクション
〈パフォーマンス〉
演技、バレエ、(様々な)ダンス、コメディアン、曲芸



10.「パトロン」に関して

前記ルールの採用、不採用に伴って、パトロン「アリシア・バーンズ」の肩書きは必要に応じて「中堅パフォーマー(女優)」としてください。報酬はPC1人あたりのものです。PCの数によって、アリシアの所持金を変更してください。
このパトロンはシナリオの進め方によっては様々な展開が考えられます。引き続きボディガードを頼まれる、とか違法ドラッグの売人として追跡を受けるとか。ドラッグの運び屋として使われたことを彼女自身無自覚である、というのも面 白いかも知れません。
PCを都合よくいじめてください。アリシアが同行しているなら、それによりNPCの反応が変わってくるでしょう。



11.「芸術大学」に関して

ルールで紹介されている「芸術大学」は「N大学芸術学部」あたりをモデルにしています。
以下に私が就学していた、「三流芸術大学」のデータを主観で載せておきます(笑)

三流芸術大学

入学 6+(知力8+ならDM+2)
継続 7+(知力9+ならDM+2)
教育度 1D−4(知力9+ならDM+1)
優等 9+(知力9+ならDM+1)
優等生は〈芸術〉の内ひとつが+1

卒業生は(1D6−3)レベル分の〈芸術〉技能を修得します。0以下になった場合も、1レベル分は修得します。技能は1つの〈芸術〉に集中してもよいし、また複数に分けて修得してもかまいません。
また〈コンピューター〉および〈ギャンブル〉を1D6を振り5以上で修得します。



あとがき

理系のルールの投稿は知識不足で不可能なので、こんなのを投稿してみました。
複数のキャラクターで1つの作品の制作をする、とかは友人の映画撮影の手伝いをした時の経験が役に立ちました(笑)

今回、このルールを作成したのは知人が「(クラッシック)トラベラー」をオークションで購入したのを機会に久しぶりに「メガトラベラー」を引っ張り出してみたのがきっかけでした。
感想は「やはりメガトラの行為判定はおおざっぱやな」でした。技能の区分とか扱い方も、どーにも偏っている。戦闘関係とかは充実しているのに・・・特にこの〈職工〉って技能は何?って感じで。友人とのキャンペーンではほとんど戦闘など起こらず、(宇宙船戦闘なんてとんでもない!)日常の描写 がメインだったのが原因かもしれません。
おそらくマーク・ミラーも理系の方(SFRPGなので無論そうあるべきなのですが)で、芸術分野とかにはうとい方なんだろな、と1人結論を出しました。いや、本当にそうかどうかは知りませんが(笑)
今回のルールは多少でもそれらを軽減しようという意図で書いたものですが、決して既成の「トラベラー」を否定する物ではありません。むしろ出来るだけ「トラベラー」世界を楽しもう!という意図でこのルールを提案してみました。
〈芸術〉技能は「芸術家」でなくとも趣味の技能としてキャラクターの肉付けをするのに役立つと思います。
サンプルキャラクターの「新人陶芸家」は結構お気に入りです。「ロボットデザイナー」ってところでしょうか。「トラベラー」世界ならではの職業といえるでしょう。38歳にして「新人」ってのもみそ(笑)

この記事自体、あるいはルールの細部に関して賛否あるとは思いますが、暖かい目で見てやってください。 ご意見のある方は以下のアドレスまで。

madhatter@mm.neweb.ne.jp

化夢宇留仁氏にはメールしないように御願いします。

マッドハッター