Step.6 農閑期の生活

 その昔、ギザのピラミッドは、農閑期の農民に働き口を与えるための公共事業として建設されたと言われる。残念ながら、現
代は農閑期と言えども、農民達はそれほどヒマではない(生活水準が上がって、古代と違って様々な趣味や娯楽があるから)。
以下の農閑期の活動の中には、社会身分度が上がるものがあるが、特記事項が無い限り、一つの業績に対しての上昇は一
回だけである。

Step.6.1. 農閑期のお仕事集

・専門技術の提供
 移住した時、「専門技術の提供」を求められていたなら、働くのはこの時である。ここで何か有益なアイデアを出すと、大いに
尊敬を受ける。社会身分度は1上がるが、その代わり、年間30日の約束が60日に伸びてしまう。ただし、何らかの埋め合わせ
はしてくれる。

・出稼ぎ
 例え短期の職であっても、移民が賃金労働に就くことは概して反発が強い。出稼ぎは、2D6で11+で見つかる(労働力不
足の世界では自動的に見つかる)。雇用期間は1D3ヶ月、給料は2D6 x 100Crである。短期の職なので概して安い。はっき
り言って自分の地所で働いていた方が有益だろう。

・新たな農地の取得
 一軒家以外の入植地では毎年5%の確率で離農者が出て、その世界の平均耕地面積分の耕地が売りに出される。Step.3
のルールに従って地価を決定すること。ただし、同じ土地を狙うライバルが必ず1D6-1人いる。この場合、値段を吊り上げて買
うか(仲が悪くなっても知らんぞ)、分割や交換による区画整理などで調整するかは自由である。
 また、どのような入植地でも、累計して平均耕地面積の1000倍に達するまで、毎年2D6 x 10ha分程度の公有地が売り
に出される(というか、「買いたい」と政府に申し出る)。また都合が良いことに、この累計はキャラクターが入植してから開始して
よい!! こうした公有地は、入植地の環境が「平地」である場合を除き、価格は常に「荒涼地」扱いである。「平地」の場合
は、基本的に「田舎」の地価である。Step.3のTable.7に従って、地価を決定すること。また、必要があれば傾斜の判定も
行うこと。
 これら払い下げ公有地は、最初に取得した農地と違って、耕作用としてはすぐに使えない土地である。農地として使用
するには、「開拓」が必要となる(さらに灌漑設備も設置しなければならない)。不毛の地はどうしようもない。また、農地であるた
め、工場やアパートなどを建設することは出来ない。

・開拓
 未開拓地もしくは耕作放棄地を農地として使える状態にする作業。平地の草原なら、それほど手間ではない(「トラクターで耕
す」のと同じ作業として扱う)。湿地の場合は、排水用の溝を掘って水はけを良くしたり、流入する水路を遮断したりして乾燥さ
せねばならず、1haあたり1,000Crの費用と1D3年の歳月がかかる。ただし、水田としてのみの利用ならば、期間と費用は半
額で良い。 
 また、森林の開発が許可されたなら、畑を作るには木を切り倒さなければならないだろう。平地である場合、木を切り倒して
片付け、整地する費用は1sqmあたり林は5Cr、森林は10Cr程度である。しかし悲しいことに、こうして開墾した土地の地
価に、こうした整地費用を地価に転嫁することはまず出来ない(結局、立地が全てなのである)。
 しかし、これが傾斜地に段々畑を作るのには大変な時間と労力が必要となる。森林の傾斜地となれば悲劇的であり、そうい
う場所は自然のまま残しておいたほうが良い。専門の業者に依頼した場合は、整地費用はStep.3.2.4の手順と費用で良い。ま
た、作業に必要な土木機械(レフリーが考えること)とそれを動かす技能があれば、費用は半額ですむ。人力のみで行う場合
は、傾斜地の整地は一日あたり(筋力 + 耐久力)x10 sqm、森林の開拓は一時間あたり3sqmの林か1.5sqmの森を切
り開くことが出来る。この場合、切り倒した木を片付ける手間は含まれていないが、腐るに任せるか燃やすかでよい。。
 また、森林開拓の場合は、「焼畑」にすれば手間は省ける。いかなる面積であれ、一日で必要な面積を丸焦げにすること
が出来て、後片付けの費用や手間は1/10に減る。ただし、実行に当たっては許可(2D6で治安度以上)が必要。また、自然保
護のため、森林開発自体が許可されない可能性もある(レフリーが決めること)。長く苦い経験から得た教訓として、ソロマニ系
の世界では概して森林開発は制限されがちである。
 なお、非水海洋世界には焼畑が可能な酸素はない。かといって爆撃したりすれば土壌細菌が滅菌されるため、耕作地として
は役立たずとなる。

・親戚や友人を呼ぶ
 呼びたい人のキャラメイクを行い、Step.1で同じ移住可否の判定を行うが、キャラクターがまっとうな移民生活を送っていたな
らば、親戚/身元保証人として本来の「目的の星に親戚がいる」のDMに代わって1D6+1点の+DMがある(ただし、自信が無
い人は、マイナスになる可能性もある本来のDMを使うこと)

Step.6.2 人徳を積む

 どのような世界においても、外世界人に対する不信感や警戒感が存在する。残念ながら、これは人類に限らず知的生命体
全てに共通する現象のようである。異文化へのちょっとした無理解やカルチャーギャップのような笑えるものから、完全な排外
主義や人種至上主義まで程度はさまざまだが、幸いなことに、人種至上主義は稀である。ソロマニ人の過激な連中ですら、地
球人が宇宙を支配する種族だと考えてはいても、異星人に存在理由がないとまでは考えていない(多分)。
 さて、移民とはよそ者である。よそ者が地元民から差別や偏見を受けるのは、ひどく当たり前のことである(ウソだと思うなら、
同じ国の中で良いから、都会から田舎へ引っ越してみましょう)。そうした差別や偏見を打破するものは、「人徳」である。人徳
を積むことによって、偏見の解消のみならず、敬意も得られるだろう。かつて、B.W.スミス、W.E.B.デュ・ボイス、キング牧師など
が成し遂げたように。以下に、人徳を積む行為と得られる人徳ポイントの例を説明する。 
 なお、これは移民が地元に民に差別されることを前提にしているが、当然、その逆もある。TL15の世界の住人で、TL3以下
の世界の住人を全く軽蔑していないと自信を持って言える人はいるだろうか? 見知らぬヴァルグル人に気兼ねなく声をかけら
れると言う自信のある人は? ただ、ここに先人のありがたいお言葉がある。
「偏見は 隠すことから 始めましょう」
 これを偽善と呼ぶ人もいるかもしれないが、偏見を隠して、もしくは我慢して付き合っていれば、気がつけば偏見はなくなって
いるはずである。 

・ため池を掘る (一箇所につき人徳ポイント+2 乾燥帯では+10)
 農業に水は必要である。そして乾燥地帯でこれをやり、かつその恩恵を周囲に分け与えれば、大変な尊敬を得られる(具体
的に言えば、雰囲気が「冷淡」から「偏屈」までなら、一気に和解できる)。 池(庭用、養殖用など用途は問わない)を掘るには、
土質や地盤にもよるが、概ね1立方メートルあたり2 - 5Crの費用がかかる。深さは最大でも10m程度(実際の平均深度は1.
5 - 2m程度である。あんまり深いとメンテナンスが大変)として、貯水量に応じた土地も必要。例えば、深さ2m、貯水量10,000ト
ンのため池は、5,000sqmの土地と、20,000 - 50,000Crの建設費が必要である。年間のため池のメンテナンス費用は、面積1,
000sqmあたり500Cr程度。めちゃ安のように思われるが、高コスト体質の20-21世紀日本の大きなダムでも、貯水量1m3あ
たりの事業費は1,000円ほどである。
 ただし、ここにあげられているのはあくまでため池のみの工事費用であり、肝心の水は何処から来るのか? そして、そこか
ら水を取るための水路、灌漑設備などの価格は含まれていない。しかし、ため池の費用を支出するだけで大きな尊敬を得られ
るだろう。なお、コメ以外の穀物1tにつき生育期間中に2,000t、コメおよび灌漑費用がコメ並みの作物では生育期間中
に4,000tの水が必要とする。

・用水路を掘る (人徳ポイント+3)
 遠くの水源から水路を引くのも、農業用水の確保には有効であるが、肝心の水源地で水利権と取水量を巡って争いが起こる
かも知れず、個人の手に負えるものではない。従って建設するなら短距離のみとなるだろう。コンクリート製の立派な水路(幅
15m、深さ3m)であれば、1mあたり800-1000Cr。年間の維持管理費は建設費の0.1%程度。

・新種のタネの研究 (成功すれば人徳ポイント+5)
 Step4. 遺伝子工学参照。

・公共投資を行う (100,000Crごとに人徳ポイント+1)
 学校や病院などの建設資金や運営資金の出資、インフラ整備事業への資金提供(献金で政治家を動かしたり、鉄道会社の
株を買って経営陣に意見するなどの間接的方法も可)、地元の子供達への教育援助など。実行に時間はかからないし、確か
に感謝もされるが、金に飽かせてと言うイメージがあるので、あんまり人徳は積めない。

・教育、医療での貢献 (2年ごとに人徳ポイント+10)
 寺子屋でも良いから自ら学校を開いたり、診療所でも良いから自ら医療行為を行う。金よりも行動で、こちらの方が効果は高
い。ただ、進んだ農業技術を教えると言うのは、保守的な老人の反発を買うため効果は無い。

・雇用機会を与える(雇用10人ごとに+10、残念ながら一人雇ったからと言って1ポイントにはならない)
 特に説明するまでもないだろう。なお、不況の時、利益を度外視してこれをやれば+20。また、雇用を通じて人脈も広がる(「社
長、僕のイトコが農水省に勤めていまして…」)。

・資金援助 (人徳ポイント=助ける一家族あたり、農作物の平均耕地面積による価格修正と同じ)
 無償、もしくは低金利で困っている農家を助ける。

・地上げ屋を殴る(人徳ポイント+2)

・七人の仲間とともに荒野の村で山賊と戦う (人徳ポイント+50)
 もちろん、勝たなければならない。

・頼れる先輩になる
 これは当たり前のことなので、人徳ポイントは無い。入植して5年以上が経過し、かつ客観的に見て経済的に成功している場
合、毎年2d6で9+で政府や移民協会から、「頼りない後輩(笑)」の世話を頼まれる。頼りない後輩の人物像を決定すること。
嫁/婿不足の世界でなお独身を貫いているなら、ここで独身の異性の世話を頼まれるのが普通である(笑)。
 
・ブタに芸を仕込む
 実を言うと、ブタは犬よりも賢いのでわりと簡単に芸を覚える。これで人徳ポイントは得られないが、少なくとも悪人と思われ
ることはない。

・人徳ポイントによる効果
200ポイントにつき社会身分度+1。貴族にもなれる。金銭的なメリットは無い。人徳とはそういうものでもない。

Step.6.3 反発を買う

 今度は逆にやってはいけない事を説明する。残念ながら、敬意より反感を買う方がずっと「安い」。そして、この反感は人
徳ポイントで相殺することはできない。ある人物に信奉者と敵対者が同時に存在するのは、極めて普通の現象であるが、だ
いたい、真に人徳がある人は人から反発を買うこともあまり無い。

・水源の独占 (反感+20 もし凶作の時にやれば+50)
 これは地元民であっても大ブーイングである。たとえ自分で作ったため池であっても、良い印象は持たれない。

・ローカルコモンズに反する (一回ごとに反感+5)
 無農薬栽培を無理に行って病害を広める、逆に農薬の使い過ぎで隣接農地に迷惑をかける、家畜の管理やし尿処理を怠っ
て環境汚染を起こすなど。

・地元に相応の雇用機会を与えず経済的に成功する(一年ごとに反感 20-TL 「産業が貧困」の世界ではx2)
 特に低TLの世界でロボットを導入し、人間の労働者を排除すればすさまじい反感を買う。また、移民ばかりを雇っても同じく
反感を買う(例えばパレスチナでは、新来のユダヤ人地主が、ユダヤ人移民のために旧来のアラブ系小作人をやめさせねば
ならなかったことが、民族対立の発端の一つである)。「相応の雇用機会」とは、売り上げ1MCrにつき(16-TL)人程度。
お、この反発は「労働力不足」の世界にも存在する。理不尽なようだが、ヤッカミとはそういうものである。

・相場の半値以下で作物を売る (一回ごとに反感+20)
 平均耕地規模が小さな世界で大規模農地を持った農家は、必ずこれをやる誘惑に駆られるだろう。これは地元民でも許容さ
れない。

・地元の慣習に反する行為や発言 (一回ごとに反感+1)
 具体的にはレフリーが決定。差別的言動から軽い気持ちで滑ったジョークまで、全ての失言を含む。

・「頼れる先輩」としての要請を拒否 (反感+2)
  直接関係ない地元民からも、自分勝手な奴と思われる。

・反感を持った人々の行動に反撃する(一回ごとに反感+5)
  大人気ないが、対立とはこういうもの。

・地元のマドンナと結婚(笑)
 これは反感も買うが、ある意味、地域社会に受け入れられた証拠でもある。

・反感の効果
10〜19: 白眼視され、大人からは無視、子供は学校でいじめられる。
20〜29: 村八分になる
30〜59: 脅迫、悪質ないたずら、畑に除草剤が撒かれるなどの器物損壊などが起こる
60〜79: 毎月1/6の確率で農場や家屋敷を焼き討ちにしようと暴徒が来襲する。殺されることも有り得る。だいたいこのレベルになると、雇った警備員も本気で守ってくれなくなる。暴徒を殺した場合は、1/2の確率で正当防衛ではなく殺人罪(理不尽)。
80以上:あっさり殺される。犯人は不明。このレベルになると家族内からも反発されている。

Step.6.4 自治体の設立
 多くの世界(特にあめりかーんな法体系を受け継いでいる世界)では、住民投票による賛成多数と、制度的な条件を満たせ
ば、中央政府への申請によって地方自治体として認められる。西部劇でよくある「ここは○○さんの町だぜ」と言うセリフは実
は文字通りの物であり、その○○さんが中心となって設立され、連邦政府への申請が認められた自治体なのである。ここで
は、キャラクターが主導して自治体を設立することを前提にルール化している。

自治体申請の最低条件
・実は人口の多寡は全く関係ない(と言っても、さすがに一家族のみはダメ)

・基本的な協約や憲章があること。
 もちろん、その世界や恒星間国家の基本理念に反するようなものであってはならない。

・行政機構を備えていること。
 首長(市長、村長など呼称は何でも良い)、助役、行政をつかさどる役場、議会など住民の意見を代表するものなど。なお、例え民主主義の世界であっても、首長の選出は必ずしも選挙を経る必要は無い(勿論、そういう制度を住民が賛成している必要があるが)。また、こういう役職は片手間でよいが、名目的であっても報酬が自治体の財源から支払われている必要がある。報酬額は年間2,000Cr(月給ではない)が相場だが、別に年1Crでも良い。

・地域の住民投票により、自治体設立が少なくとも過半数(2/3以上が望ましい)の賛成を得ていること。
  投開票の公正さが確認されている必要がある。
自治体申請への道
・人徳ポイントが少なくとも35ポイントあれば、自治体申請を主導できる。

・住民投票: 2D6で9+で賛成多数、自治体申請は認められる。
  修正
  雰囲気が冷淡以下 -2 和解した後でも同じ(もともとこういう人だから)
  人口構成が移民のみ +2
  人口構成が「混在」 -1
  人口が500人以上 -2 非有権者も含む人口である。
  人口が50人以下 +2
  提唱者の反感10ポイントごとに -5 
  地元マドンナと結婚している +3 マドンナさんの発言力が強い
自治体のメリット/デメリット
メリットの例
・インフラ整備: 中央政府や上級の政庁からの地方交付税交付金(笑)で、インフラ整備の資金が得られる。これによって、交通路は最低でも「廃止寸前」レベルに出来る。

・地域限定の法律/条例の制定: 概して自治体設立の大きな理由はコレである。当然だが、客観的に見て無茶な法律は作れない(裁判所が判断する)。しかし、これによって耕作意志のない土地投機業者を排除したり、開発制限区域の開発が可能になったりする。ただし、こうした法律の執行は自力で行わねばない。例えば、自治体法によって悪質な地上げ屋を占有している土地から追い出す際には、近くの町の警察を呼ぶことは出来ず、その自治体の保安官が執行しなくてはならない。また当然、訴訟リスクもある。

・産物価格の設定: 安売りしても個人として反感は買わなくなる(地域として反感を買うだろうが)

デメリットの例
・リーダー達の負担増: 地域社会のリーダー的人々が首長、保安官などの仕事を引き受けねばならず、負担が増える(ただし、首長を除いて外部から人を雇うことは可能)。ついでに責任も重くなる。なお、なんらかの決定権がある立場(助役や保安官も含む)にロボットを当てることは許されない。

・公共サービス料金: 水道、ごみ収集などの公共サービスがそれまで所属していた自治体の管轄外になってしまうため、上手く交渉しないと料金が上がる可能性がある。

・徴税の問題: 税金が高いと言う不満がダイレクトに来る(笑)。ちなみに、固定資産税は地方税なので、自治体に入る(笑)。つまり、廃止する権限もあるということ。

・対立が生じると却って深刻: わが町という責任感の元、意見対立が激化する可能性がある。
以上でルールは終わりである。農村生活は決して「のんびり、ほのぼの」では無いことが分かったと思います(笑)。

・超上級ルール、と言いつつ大雑把な会社設立
 このルールでは、農場と食品加工工場からなる会社組織を扱う。順調に農場を続けていれば、いずれこの段階に到達する
はずである。なお、言うまでもないことだが、低人口で消費人口のいない世界で会社を設立しても、何の意味もない。以下
に、マングース社版トラベラーを参考にした、大規模な会社経営の簡単なルールを説明する。

1) 資本と業種
 金額が高額になるため、このルールにおけるお金は、20,000Cr = 1点の点数で表す。小数点以下は全て切り捨てること。
 創業時の資本は、創業者達(恐らくPCやその家族/友人)の現金資産、銀行からの融資(現金資産の半分が限度)、外部
からの出資( 最大で社会身分度 x (社会身分度-6)ポイント )からなる。

2) 経営陣
 会社には経営陣が必要である。この経営陣の能力は会社の生死に関わって来る。以下の表に従い、経営陣の能力を決定
すること。なお、何でも一人でやりたがる独裁者タイプは必ずいる(いわゆるワンマン経営者ではなく、些細な事柄まで自分で決
定したがる人のこと)。これが猜疑心なのか、単なる強欲か、傲慢さか、その理由に関わらず、実行するには超人的な事務処
理能力が必要になる(スターリンにはこの能力があったらしい…)。
 経営陣がオーナー一家である限り、報酬は気にする必要は無いが、外部から人を雇う場合は、高額の報酬を必要とする(後
述)。また、ロボットで代替することは不可能。

経営陣の「能力」
管理: <管理>技能+知力/5 

生産: <農耕>技能(メガトラでは牧畜) + 教育度/5

財務: <管理>技能+教育度/5

宣伝: <説得>技能+(知力+社会身分度)/10

販売:<ブローカー>もしくは<貿易>の高いほう + 知力/5 

開発: <生物学><化学>の高いほう + (知力+教育度)/10

 これらは基本的に一人の役員が一つの業務を担当することになる。兼任する場合は、兼任する業務一つごとに、その人が担当する業務全ての能力は-1され、これが負の数になってもそのまま使用する。つまり、欠員が生じて管理担当者が販売も担当することになった場合などは、管理と販売の能力は-2される。バカ社長が6つある全ての業務を兼務した場合は、全ての能力は-6される(恐らく致命的だろうが、現実に起こっていることだから恐ろしい)。

3) 各種事業
 本ルールで扱う業種と最低限必要な資本金(点数)、従業員数を以下に示す。ここでは大規模な農場、工場を念頭に置いて
いるので、資本点を少なくした小規模農場、などの行為は禁止。表で示された資本点は、あくまでその事業を始め、運営す
るための資本点の条件を示していて、出資すべき金額を示しているものではない。例えば、100点の資力を持つ実業家が、
野菜生産(60点)を始めたからと言って、手持ちの資本が-60点で40点になるのではない。合計で100点の範囲内で事
業を始めることが出来るのである。

生産事業
業種 必要能力 資本(点) 従業員数
(TL7-/8-A/A+)
利益修正
穀物生産 生産 60 10/5/2 -1
野菜生産 生産 60 20/10/4 +1
果樹園 生産 90 20/10/4 +1
茶/コーヒー 生産 90 30/15/6 +1
その他作物 生産 60 10/5/2
肉用家畜 生産 180 20/10/4
酪農 生産 180 30/15/6 +1
養鶏 生産 90 10/5/2
牧羊 生産 180 20/10/4 +2
加工/小売
業種 必要能力 資本(点) 従業員数
(TL7-/8-A/A+)
利益修正 資本修正(指定された業種の資本点合計/10)
食品 管理+販売 750 500/250/100
その他作物以外の生産業
飲料 販売+宣伝 1500 1000/500/200 +3 果樹園、コーヒー、酪農
外食 販売+財務 250 100/100/75 +1 その他作物以外の生産業
軽工業 管理+開発 750 500/250/100 +2 牧羊、その他作物
種苗 開発+宣伝 100 20/20/20
なし
小売店 宣伝+販売 1500 1000/500/200 +3 全ての生産部門と、食品、飲料、軽工業
その他農業関連事業
業種 必要能力 資本(点) 従業員数
(TL7-/8-A/A+)
利益修正 備考
移民斡旋 宣伝+管理 15 10/5/5 -1 要するに不法移民斡旋業。やれば直ちに人徳は0になり、二度と増えない。
輸送 管理+財務 1500 1000/500/200
倉庫業も含む。小規模な恒星間輸送やその取次ぎも
農薬化学 開発+宣伝 750 500/250/100
農薬製造
農事建設 管理+財務 1500 1000/500/200
農業関連の建設業務一般
農業銀行 財務+管理 5000 200/200/100 +2 農業関連の銀行、収穫保険の取り扱い
表の説明
・必要能力: 損益の判定に使う大切な能力
・資本点: 最低でもこの点数の資本点がないと開業できない
・従業員数: 所在する世界のTLに応じた必要従業員数で、この人数が確保出来ないと開業できない。言うまでも無いことだ
が、TLの上昇とともに必要人数が減っているのは機械化やロボット化も考慮した結果なので、この人数はロボットでは代替不
可。
・利益修正: 損益の判定の修正に使う。
・資本修正: この点数分だけ、必要な資本点を減らすことが出来る。また、損益判定のボーナスとなる。

業種の説明
・穀物生産: 麦、コメ、トウモロコシなどの主食たる作物(場合によってはジャガイモも加わる)
・野菜生産: ジャガイモ、野菜類、大豆、サトウキビなど
・果樹園: ブドウ、バナナ、果菜、リンゴ、オレンジど、
・茶/コーヒー: 説明不要
・その他作物: タバコ、薬用ケシ、綿花、ビンロウなど食用でない作物
・肉用家畜: 肉を目的とする全ての牧畜業。家畜の種類は限定してもしなくても良いが、大抵は牛かブタ。
・酪農:説明不要
・養鶏: 肉用家畜との違いは、卵が主であること
・牧羊: 羊毛採取がメイン

・食品加工: 食料品全般。砂糖の精製なども含む
・飲料: 酒類も含む飲み物全般。
・外食: レストランチェーン。自動化しにくい産業なので、必要従業数が他の業種と違う。
・軽工業: 繊維工業や、タバコなど。
・種苗: 種子や苗の開発/販売。これは人数よりもアイデアと研究能力なので、TLによって従業員数は変化しない
・小売店: スーパーマーケットやコンビニ
・移民斡旋: 普通は違法か違法すれすれ。

 
4) 人件費
 払った報酬以上の働きを労働者に期待してはいけない。人件費は社員の士気に影響し、ひいては業績を左右する。人件費
にかける資本点により給与水準が決まり、給与水準によって社員の士気が決まる。
 下の表は四半期(3ヶ月)毎の人件費の水準を示している。
 給与水準は、各事業ごとに決定する。例えば、穀物生産と外食業があれば、穀物生産業を「高」水準、外食業を「平均」と
言うような格差をつけることはできるが、穀物生産業に携わる10人のうち8人を「高」水準、2人を「低」とするような格差
はつけてはならない。
給与水準 1資本点あたり
従業員数
士気 会社の評価 修正
奴隷 500 -10 -50 「種苗」:士気-1 (「高」で無いと平均的な働きが期待できないレベルの人材)
TLA+: 士気-1 (ハイテク化に伴い人材の質が上がっている)
「外食」、「銀行」: TLによる修正は無視してよい
5 -5 -1
平均 1 0 0
0.5 (2点で1人) +1 0
最高 0.2 (5点で1人) +2 +1
 例えば、「低」の給与水準の会社が2資本点を人件費に使う場合、2x5で10人分の人件費となる。ただし、必要な点数分だけ
の資本点を持っていなくてはならない。加えて、外部から役員を雇っている場合は、役員報酬として、
役員報酬: 担当する能力と同じ資本点
を支払う必要がある。
 人件費の支払いにより、手持ちの資本点が事業に必要な点数以下になったとしても、この段階では気にする必要はない。事
業から撤退しなくてはならないのは、次の「決算」で必要な点数以下になった時である。給与水準は、決算の数値によっ
て上下させて良い。

5) 決算
 決算は四半期(3ヶ月)ごとに行う。それぞれの事業毎に、
業績 = 「必要能力」に示されている経営陣の能力 + 従業員の士気 + 利益修正 + 会社の評価 + 2D6
の数値を求め、下の表で利益を求める。
生産事業
業績-11が
加工/小売
業績-17が
その他事業
業績-15が
各種事業に示された資本に資本修正(あれば)を足した数字に対し、左の表か
ら得られた比率に応じた損益を求める(端数切り上げ)。
 例えば、軽工業(750点)で、利益10%の結果が出れば、75点の利益。損失25%
の結果が出れば、188点の大損失である。
+6 利益20% 利益75% 利益100%
+5 利益15% 利益50% 利益50%
+4 利益15% 利益25% 利益25%
+3 利益10% 利益10% 利益10%
+2 利益5% 利益5% 利益5%
+1 利益5% 収支とんとん 利益5%
0 利益5% 収支とんとん 利益5%
-1 利益5% 損失5% 収支とんとん
-2 収支とんとん 損失10% 収支とんとん
-3 損失5% 損失25% 損失5%
-4 損失5% 損失50% 損失10%
-5 損失10% 損失75% 損失25%
-6 損失10% 損失100% 損失50%
 決算の結果、資本点の総額が事業に必要な資本に満たなくなれば、事業を縮小しなければならない。
 また、外部からの出資を受けていれば、最低でも出資された額の10%を配当金として支払わねばならない。また、何
点でも良いが、従業員にもボーナスの形で利益を配分した方が良い。

6) 会社の評価
 世間の評価は利益にダイレクトに影響する。あまり悪質であればあっさりつぶされてしまう。テレビドラマでは悪徳政治家が
企業をかばいだてするが、現実のスキャンダルでは、巻き込まれるのを避けるため、政治家は知らんぷりをするのが普通であ
る。この評価は事業ごとではなく、グループ全体に影響を及ぼす。例え一つでも奴隷を使っている事業があれば、グループ全
体が相手にされなくなる。
 会社の評価表
人件費による評価: 人件費表の「会社の評価」による。奴隷的労働は致命的。
穀物生産を行っていない: 全ての事業について-1
利益が上がっているにもかかわらず賃下げ: -10
業績好調: 業績がプラスの時、数値の合計/5 (端数切り捨て)
一度でも奴隷を使ったことがある: -25 例え奴隷使役を廃止しても、永遠にその呪いを受け続けるのである。
従業員に利益の配分を行う: +1
出資者に配当金を出さない: -10
利益50%以上にも関わらず、社員に利益を配分しない: -10

 このように、評価は落ちるのは簡単で、プラスにするのは大変である。
 この評価は四半期ごとに決定し、次の四半期に適用する(従って、創設直後の四半期には、会社の評価はない)。

7) 会社経営のシーケンス
 創設直後の四半期
 1)創設と事業の決定、役員の選定 → 2)最初の人件費を決定 → 3)最初の決算 → 4) 会社の評価を決定
 その後の四半期
 1)人件費の決定 → 2) 前の四半期の会社の評価を含めて決算を行う → 3)次の四半期の評価を決める →4) 1に戻る
 を繰り返す。

 
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