ニューワールド級戦列母艦

タイプ: TA型戦列艦母艦 TL15 MCr147457.43(MCr117965.94)
船体: 360000/900000 排水素=400000  形状:4/流線形 装甲=40G 
基本重量=6535589.3t  全備重量=6697288.93t
パワ−: 15000/20000 核融合=2700000Mw 航続=20(通常状態=32日)
移動: 27000/36000 通常(スラスタ−)=2 27000/36000 ジャンプ=4
地表=40kph 最高=1000kph 巡航=750kph 移動力:0
通信: 中間子式=星系内×6、電波式=星系内×21 レ−ザ−式=星系内×21 メ−ザ−式=星系内×21 
探知機: 質量探知=1km×3 能動ESM=遠軌道×3 中性微子=10kw×3受動ESM=遠恒星間×3 ESM妨害器=遠軌道×3
能動物体探知=並 能動物体追跡=並 受動質量探知=並 
受動エネルギ−追跡=並 受動物体追跡=並 
受動エネルギ−探知=易
攻撃:
パルスレーザー=XA0
パルスレーザー=X03
砲塔群
25
100
射撃可能
14
55
防御: 防御DM+7 核中和装置=9 中間子スクリ−ン=9
反重力砲=X9X
砲塔群
10
射撃可能
6
管制: コンピュ−タ=9/ファイバ−×3   
   パネル=ホログラム型(リンク)×1431   
   追加=大型ホロディスプレイ×72、ヘッドアップホロ×100   
   環境=基本環境 基本生命 高度生命 重力プレ−ト 重力補正器
エアロック×5
居住区: 乗組員=3638(艦橋28、エンジニア289、砲術89 飛行2405、
保安100、指揮568、接客129、医師30、整備500)
小型専用室×570 専用室×3070 緊急用二等寝台×910
積載機器=バナレット級戦列艦×7、ジェリュイ級重戦闘機×100
発進チューブ(50t)×1
その他: 船倉=13699.64kl  燃料タンク(ジャンプ用)=1350000kl
燃料タンク(核融合炉)=648000kl
目標サイズ=大 視認レベル=中
備考: 電子回路防御。

 

1、ニューワールド級戦列母艦
 ニューワールド級戦列母艦は、バナレット級バトルライダーの配備に伴い整備された新型戦列母艦である。一般にはバナレット級バトルライダーの配備に併せて採用されたと信じられているが、事実は微妙に異なる。デネブ海軍艦政本部では、エドモンド男爵が主導する大型バトルライダー計画とは別に大型戦列母艦の研究を進めていた。デネブ海軍は、1万t級バトルライダーを15隻運用できるアドミラル・トハチョフスキー級戦列母艦を10隻保有しており、大型戦列母艦の運用ノウハウを有していた。第四次辺境戦争と第五次偏狭戦争の戦訓によりバトルライダーを1隻の大型母艦に集中させたほうが費用や人員面で効率が良いことが判明していた。第四次辺境戦争以前に就役したトハチョフスキー級の老朽化は否めず、第五次辺境戦争の直前には代艦としてニューワールド級戦列母艦が計画された。トハチョフスキー級を嚆矢とする大型戦列母艦の第二世代にあたる。当初の計画では第一シリーズとして10隻が予定されており、1106年から毎年2隻ずつ建造されることになっていた。運用実績によっては追加生産も検討されていた。第五次辺境戦争の勃発によって建造の進んでいた最初の2隻を除いて建造は見送られた。第五次辺境戦争終結後、三番艦以降の建造が計画されたが、戦後は戦列型巡洋艦や護衛艦の建造が優先され、建造に着手するのは艦隊再建が進んだ1117年以降である。
ニューワールド級戦列母艦は、1万トン級バトルライダー2個戦隊を搭載し指揮する能力を有している。トハチョフスキー級が15隻であったであったことを考慮に入れると搭載バトルライダーは減少しているが、ジェリュイ級戦闘機を100機搭載できるために運用の幅は拡大したと考えられている。第四次辺境戦争の戦訓によってニューワールド級戦列母艦は、駆逐艦程度なら独力で打ち払えるだけの火力を与えられている。バトルライダー戦隊を発進させた後に戦線の後方で指揮に務める戦列母艦では、固有火力は必要とは考えられなかった。
トハチョフスキー級でも小型戦闘艇やミサイルを打ち払うためにパルスレーザー砲塔を多数装備しているだけであったが、第四次辺境戦争に戦線を迂回してきた水雷戦隊によって急襲された為に火力や防御力の拡充が進められた。
 ニューワールド級戦列母艦の船体規模は40万排水素トンに達した。多数のバトルライダーを搭載して火力やジャンプ性能の向上を図るとどうしてもこれだけの大きさになってしまうのだ。ニューワールド級では、トハチョフスキー級で不評であった船体デザインを一新し、流線形としガス惑星での燃料すくい取りを可能としている。現実的な面では40万tの超大型艦が地上港に寄港やガスジャイアントから燃料のすくい取りを行なうなど考えられない事態ではあるが、造船官たちは万が一の可能性と乗員に与える心理的な影響も加味して艦形を決定したのである。

2、採用までの経緯
ニューワールド級戦列母艦は、第五次辺境戦争の勃発直前にモーラの海軍工廠で起工された。当初の計画では、10隻が同時に建造される予定であったが、第五次辺境戦争の勃発によって建造が先行していた一番艦と二番艦を除いて建造は延期され、その資材と予算は保管艦の改装に転用された。1110年に一番艦〈ニューワールド〉、二番艦〈アーケイディア〉が相次いで就役し、定期整備の為に後退したトハチョフスキー級の穴を埋めた。この時期には、激戦の続くイフェイトやリジャイナへの補給が主要な任務となり、戦列母艦よりもジャンプキャリアとして運用された。特にイフェイトを防衛する惑星海軍は、多数の惑星防衛艦を消耗しており、大型戦列母艦に配属されたバトルライダー戦隊も大型戦列母艦から下ろされ、イフェイトに臨時司令部を設置してイフェイト防衛に投入された為に大型戦列母艦の戦闘戦隊復帰は戦後になるまでなかった。大型戦列母艦によって供給される惑星防衛艦の存在がなければ、イフェイト攻防戦は、敗北しただろう。
第五次辺境戦争後、デネブ海軍は消耗の著しいスピンワード宙域艦隊の再建に着手した。デネブ宙域艦隊からの増援や星域海軍から動員した部隊を差し引くとスピンワード宙域艦隊は、戦前の半分まで戦力を消耗していた。最前線であるスピンワードマーチ宙域の防衛に穴を開けておくことはできない。試算によれば宙域単独での艦隊戦力の再建には8年を要することになる。この試算結果を受けてスピンワードマーチ宙域皇室会議は、停戦後すぐに艦隊戦力再建に対する支援を求める特使が帝都に派遣された。デネブ領域に大公が叙任されていれば、異なる対応が可能であったが、現状では宙域レベルを超える対応には遠く離れた帝都の皇帝の判断を仰ぐ以外に方法は無かった。事態を深刻に受け止めた皇帝ストレフォンと彼のスタッフは、当座はガシェメグ宙域とダグアシャグ宙域の宙域艦隊から抽出された艦艇群を回航させることで戦力不足を補うことを決めた。勅命により二つの宙域艦隊司令部は、就役したばかりの新造艦を譲渡してくれたが、人員の手配がつかず、デネブ海軍は、回航要員をガシェメグ宙域とダグアシャグ宙域の兵站基地に派遣しなければならなかった。スピンワード宙域艦隊が求めた護衛艦艇については、現役復帰に必要な費用負担を条件に兵站基地の待機艦隊の艦艇を融通してもらえることになった。回航要員の輸送と護衛艦艇の受け取りの為に派遣されたのが、トハチョフスキー級とニューワールド級である。
この任務を最後にトハチョフスキー級は、大型輸送艦に類別を変更されることが決定した。戦後、建造に多額の費用を要する戦艦の建造を抑制した為に相対的にバトルライダー戦隊の戦術的な価値が増大し、事実上、退役したトハチョフスキー級の代艦の建造が急がれ、ニューワールド級の三番艦以降の建造が本格化した。その後、ニューワールド級はエドモンド男爵の大型バトルライダー計画に組み込まれ、カーライル・マフィアの暗躍によって建造順位は上がったが、主力艦として認識され建造が本格化するのは1120年のバナレット級バトルライダーの正式採用を待つことになる。