スリンガー型軌道要塞

タイプ: 戦闘衛星 TL8 MCr31730.90(MCr25384.72)
船体: 45000/112500 排水素=50000 形状:8/非流線形 装甲=50/アステロイド
基本重量=1365415.48t 全備重量=4160279.69t  
パワ−: 209460/279279 核融合=310310Mw 航続=1671日(通常状態)
移動: 1348/1797  初歩核融合ロケット=0.097G(TT=404250) 移動力:0
通信: 電波式=星系内×50 レ−ザ−式=星系内×50
探知機: レーダー方位計、全天候レーダー/大陸間、レーダー妨害機/大陸間
直視レーダー/大陸間距離、レーザー探知機=第1世代型 EMM
能動物体探知=難 能動物体追跡=難 受動エネルギ−探知=至難
攻撃:
中間子砲=A0X
ミサイル=X70
パルス・レーザー=X70
ビーム・レーザー=X03
砲塔群
S
20
20
45
射撃可能
S
16
16
36
防御: 防御DM+1、装甲DM+3,致命的命中:23
管制: コンピュ−タ=2bis×238
   パネル=電気型(リンク)×126458
環境=基本環境 基本生命 高度生命 エアロック×20
居住区: 乗組員:3052(艦橋22、エンジニア171、砲術1727、艦載96、整備137、
保安500、 指揮419、接客102、医師19)
専用室×1652 積載艇=ブレット級攻撃艇×45
その他: 船倉=50.255kP 燃料タンク(放射性鉱石/液体水素)=111711.6/323.4
弾倉=核ミサイル×40000(20ラウンド分)
目標サイズ=大 視認レベル=中
備考:電子回路防御

 


ブリット型水雷艇

タイプ: 艦載型水雷艇 TL8 MCr74.46(MCr59.57)
船体: 14/34 排水素=15 形状:4/非流線形 装甲=40/チタン
基本重量=325.08t 全備重量=348.33t
パワ−: 14/18 燃料電池=4.441Mw 航続=7日(通常状態)
移動: 5/7  初歩核融合ロケット=4.28G(TT=1500) 移動力:0 航続=10日
出力=5MW(最大加速時)
通信: 電波式=星系内×2 レ−ザ−式=星系内×2
探知機: レーダー方位計、全天候レーダー/大陸間、レーダー妨害機/大陸間
直視レーダー/大陸間距離、レーザー探知機=第1世代型 EMM
能動物体探知=難 能動物体追跡=難 受動エネルギ−探知=至難
攻撃:
ミサイル=X03
砲塔群
1
射撃可能
1
防御: 防御DM+3、装甲DM+0,致命的命中:0
管制: コンピュ−タ=1/ファイバー×2    
   パネル=電気型(リンク)×332   
環境=基本環境 基本生命 高度生命 エアロック×1
居住区: 乗組員:2(艦橋1、エンジニア1)
小型専用室×2
その他: 船倉=14.31322kP 燃料タンク(液体水素/液体酸素)=16.704/2.44522417
弾倉=ミサイル×105(35ラウンド) 目標サイズ=小 視認レベル=弱
備考: 電子回路防御
ミサイルを使用するには最低でも2.6Gに達していなければ使用できない。

設定

1、 背景
パメラ事件によって星系海軍の戦力不足と【反乱】によって発生した海賊化した脱走兵の脅威を認識した。リィノム政府は、非常事態宣言を行い軍備拡張に狂奔することになる。
これまでの想定と異なり、相手は旧式とはいえども艦隊駆逐艦や護衛艦を有する海賊である。前星間文明水準に過ぎないリィノムの技術力では、機能を限定した惑星防衛艦といえども建造は難しかった。反重力技術と冶金学の遅れによって機動性と装甲に問題を抱えたままであった。野党を中心に惑星防衛艦の輸入を主張する勢力もあったが、技術格差と補給面での不安から輸入を断念しなければならなかった。
リィノムの航空宇宙産業界は失地回復のために総力を挙げてハスタ級惑星防衛艦を開発した。星系海軍がデネブ海軍に委託して行なわれた戦力評価の結果、装甲防御力の不足からヴァルグルの標準的な駆逐艦を想定した場合でも劣勢を強いられることが判明した。
 デネブ海軍の分析では、ヴァルグル駆逐艦1隻を撃破するには少なくとも4隻のハスタ級惑星防衛艦を犠牲にする必要があった。戦術交換比4対1では分が悪すぎた。多年の歳月と予算をかけてハスタ級の数を揃えても防衛力の強化に寄与しないと指摘されたのである。ましてやハスタ級は、建造費が高く帝国海軍の艦隊駆逐艦よりも高価な惑星防衛艦である。コヴェントム政権と航空宇宙産業界は、ハスタ級の建造を継続したかったが、左派系新聞社によってデネブ海軍によるハスタ級の戦力評価がスクープされた。この報道は政界スキャンダルと化した。ハスタ級の建造は2隻で打ち切られた。就任当初は90%近い支持率を誇ったコヴェントム政権の支持率は今や50%代にまで悪化していた。政府は、新たな政策を発表し失敗を取り繕う必要に迫られていた。
 コヴェントム政権は新たな国防政策を立案しなければならなかった。新たな国防政策の立案を命じられ、困惑していた国防省はメイス重工が提案したアステロイド要塞の建造案に飛びついた。メイス重工は、リィノムの衛星軌道上にあるアステロイド鉱山に武装を施して要塞化することを提案したのである。時を同じくして科学技術省傘下のも研究機関で粒子加速砲の開発に成功していた。国防省傘下の兵器開発局は、粒子加速主砲搭載型のアステロイド要塞の設計をメイス重工に発注した。
粒子加速主砲の搭載によってアステロイド要塞の建造費は高騰することになった。粒子加速主砲の搭載によって巨大なパワープラントを必要となり、最低限の機動力を確保するために核融合ロケットを搭載した。この結果、アステロイド要塞というよりも機動力の低いアステロイド戦艦となってしまった。

2、スリンガー型軌道要塞
スリンガー型軌道要塞の建設は、粒子加速砲の搭載が決定されたことにより莫大な経費を必要とするものになった。当初の建造案は、廃坑となったアステロイドにパワープラントとユニット化された副砲を複数設置し、坑道の最奥部に設けられたCICと連絡壕で連結することだけを想定していた。当初の案では、武装したアステロイドを多数用意し、防衛線を構築することになっていた。科学技術省が開発に成功した粒子加速主砲によって当初の計画は変更され、粒子加速主砲の装備が決定された。
粒子快速主砲の搭載決定によってスリンガー型軌道要塞の設計は、根本から改められた。
巨大な粒子加速主砲と原子炉、それに最低限の機動力を与える為の核融合ロケットの搭載のために坑道は拡張され全容積の80%が採掘されている。このために船体規模は、50000tに達し、巨大な核分裂炉や最低限の機動力を約束する核融合ロケットの搭載など様々な理由によって建造費はうなぎ登りに高騰することになった。リィノムの民衆は、大げさなものを好む傾向がある。スリンガー型軌道要塞も彼らの好みに一致した為だろう反対のために反対を行なう万年野党を除いて大きな反対はなかった。
 リィノムの朝野では、国内産業の近代化と貿易の拡大が叫ばれるようになっていた。リィノムはデネブ兵站基地に向かう輸送船団の集結地となっており、中継貿易の振興が経済発展の要になることは自明のことであった。そのために国防体制の整備は愁眉の急を要した。前星間文明水準で軌道防衛力を整備することに無理があることは自明である。リィノムでは、どのような無理を推してでも防衛力の拡大を進める必要があった。

3、ブリッド級水雷艇
 スリンガー型軌道要塞の護衛と索敵のために用意された水雷艇。水雷艇と名乗っているが、技術的には対軌道迎撃機の系譜に連なる。ブリット級には高い加速度を出すことが可能であるが、その性能を発揮するには慣性制御技術を持たない為に乗員は、常に高加速度に晒されることになる。星系海軍のパイロットは、極度の対G訓練を施されているが、ブリッド級の性能を完全に引き出した者はいない。通常の索敵では1Gで6日間程度の航路を航行することになる。核融合ロケットは最大加速で10日の航続距離を持つ為にパイロットの気合次第では、より遠くに向かうことができる。
 星系海軍内部には、ブリット級水雷艇をロボット化すべきだったのではないかという意見も根強い。生命維持関係の装備をオミットできれば航続距離も伸ばせるし、最悪の場合には帰還を考えない長距離ミッションも可能になるために効率が良いのではないかというのである。現時点のリィノムの技術では無人化にも限界があることから柔軟性に富む有人型が実用化されたのである。

4、その後
 スリンガー型軌道要塞のネームシップの完成は1138年、二番艦のダヴィデの完成はその10年後の1148年である。三番艦の建造は建造途中で中止された。ネームシップの完成後、二番艦の完成が遅れた理由は、スリンガー型軌道要塞によってある程度の安全が確保されたこと、1130年以降、デネブ海軍の核回転尾方向への進出が盛んになったことが挙げられる。ウィルスの侵入を防ぐ為にデネブ領は国境を閉ざした。デネブ海軍はウィルスの侵入を防ぐ為に核・回転尾方向で【防疫活動】を強化したことが兵站基地に向かう船団の活動が活性化することになった。
 リィノムは船団の集結地となり、多数の商船と護衛艦がリィノムに集うことになった。海軍基地が存在しなくても多数の護衛艦が寄航することで海軍基地が存在するのと同じ効果を挙げた。長期政権と化したコヴェントム政権は、スリンガー型軌道要塞の建造継続を諦めなかった。第一執政官アーサーは、現在の繁栄はスリンガー型軌道要塞がもたらしたと固く信じていたのである。2隻目の完成後、3隻目の建造中にアーサー・コヴェントム氏は暗殺された。新たに発足した政権は、三番艦の建造を取りやめた。

5、疑問点
 なぜ、リィノムでは兵器の国産化に拘ったのだろうか。星系外の人々には疑問に思うだろう。失敗したといってもハスタ級やスリンガー級のような多額の経費を要する艦艇の建造に成功しているのだ。豊かな星系であることは間違いない。先進星系から惑星防衛艦を輸入することは不可能ではなかった。それでもリィノムの政治家たちは、惑星防衛艦を生産することに拘った。リィノムは、かつてスィゲンに多額の債務を負い、債務不履行を宣言した為に一時、スィンゲンに植民地化されていた歴史がある。
 リィノムは、デネブ兵站基地に向かう〈兵站航路〉の玄関口に位置しており、中継貿易の拠点として潜在的な価値を有していた。工業製品の輸出を経済基盤とするスィゲンでは、通商路の確保の為にリィノムに進出したのである。リィノムの政治家や市民も安易な外資の依存は、経済発展よりも外国勢力による支配という最悪の事態をもたらすと信じている。
そのために外資の導入を拒み、自助努力による経済成長に力を注いできた。この結果、経済は長期に渡る低成長を余儀なくされている。