ロズウェル級貨客船

タイプ: R501型商船 TL15 MCr1114.88(同型艦割引MCr891.9) 
船体: 4500/11250  排水素=5000  形状:4/流線形 装甲=40G
重量=18370.26t  総重量=61813.94t
パワ−: 2/3 核融合=5004Mw 航続=12日  
移動: 45/90 核融合ロケット=2.113G 航続=20日
135/270 ジャンプ=2 出力=2613Mw
通信: 電波式=星系内×3 レ−ザ−式=星系内×3
探知機: 能動ESM=遠軌道×3、受動ESM=遠恒星間×3
能動物体探知=並、能動物体追跡=並、受動エネルギ−探知=並 
防御: 防御DM+5、装甲DM:0
管制: コンピュ−タ=6×3  
 パネル=ホログラム型(リンク)×360  
   追加=ヘッドアップホロディスプレイ×10  
   環境=基本環境 基本生命 高度生命 重力プレ−ト 重力補正器 
エアロック×5
居住区: コンピュ−タ=6×3  
 パネル=ホログラム型(リンク)×360  
   追加=ヘッドアップホロディスプレイ×10  
   環境=基本環境 基本生命 高度生命 重力プレ−ト 重力補正器 
エアロック×5
その他: 船倉=42565.37Q 燃料精製装置(168時間) 燃料タンク=12453.58Q 
目標サイズ=大 視認レベル=中

設定
1、 核融合ロケットの是非
 オペルリンズ運輸は、老朽化した3000t級貨客船の代替として国境外航路向5000t級貨客船を5隻建造する計画を持っていた。この建造計画を受注したのがメイス重工であったことが問題を発生させた。メイス重工のモーラ支社が建造したロズウェル級貨客船には、スラスター推進ではなく核融合ロケットが通常ドライブに採用されていたのである。核融合ロケットは、標準恒星間文明以上のTLに達した世界では博物館以外では見られない過去の遺物と化していた。それでもメイス重工は積載スペースを最大にするためにあえて核融合ロケットの搭載に踏み切った。メイス重工は、本社工廠で核融合ロケット搭載型の惑星防衛艦や星系内連絡船の建造経験を蓄積しており、メイス重工の誇る職人たちは、満を持してロズウェル級貨客船に核融合ロケットを採用したのである。
 その事実を知ったオペルリンズ運輸は設計の変更を求めたが、メイス重工側は最早、設計変更は不可能であることと推進機関の選定が一任されていたことを理由に設計変更を拒絶した。メイス重工の設計では、核融合ロケットの搭載によって核融合炉を小型化しており、設計の変更は一から設計をやり直すことを意味した。納期の関係上、絶対に受け入れることはできなかった。
 この問題は訴訟に発展した。核融合ロケットの採用が“常識”の範疇に納まるのかが争われた。オペルリンズ運輸は、核融合ロケットの採用は“常識”に含まれないと主張した。メイス重工側は、これまでの“実績”と“ロズウェル級貨客船の収支予測”を示し、自分たちの正しさを喧伝した。メイス重工の見積もりではロズウェル級は同クラスの商船よりも積載スペースが大きく6000kl多く積むことができたのである。
 この訴訟問題は、マスコミの注目を集めた。一連の報道の中で両社の間で受注に関して不明瞭な点があることが明るみに出た。オペルリンズ運輸は入札ではなく、今まで取引の無かったメイス重工に貨客船を発注していることや双方共に受注に関する経緯を記録した資料を“紛失”していたことなど次々に明るみに出てマスコミを喜ばせた。マスコミが興味本位で報道したこともあり、報道は加熱し、虚実入り乱れた報道が飛び交った。
 両社共に報道を黙殺したが、沈黙の影で事態を瞬く間に収拾してしまった。オペルリンズ運輸のマーク男爵とメイス重工のヴィクトル侯爵の間で話し合いが持たれ、妥協が成立したのである。こオペルリンズ運輸は、メイス重工からロズウェル級をリースし、運用実績を検討して購入するかどうかを決めることになった。訴訟騒ぎでロズウェル級の完成は遅れ、1118年にずれ込むことになった。オペルリンズ運輸は、最終的にメイス重工の意見を認め、ロズウェル級の購入を決定した。残り4隻の建造を認めただけでなく15隻の一括注文を行っている。

 1番船:1118年完成
 2〜5番船:1121年完成
 6〜10番船:1123年完成
 11〜15番船:1124年完成
 16〜20番船:1125年完成

2、職人たちの見解
 メイス重工の開発部門を支える職人たちは、「帝国」で信奉されているテクノロジー信仰に疑問を感じていた。スラスターや反重力推進は重量に関係なく一定の容積を加速させることができる。装甲によって重量のかさむ戦艦や巡洋艦には合理的な選択であるが、比較的軽量な中型以下の商船にスラスターや反重力推進を採用するのは非合理であると考えていた。メイス重工の職人たちは、核融合ロケットを採用することを好む。その方が核融合炉の小型化を可能にし、船体に余裕を与えることができるからである。
 メイス重工は、標準星間文明以下のTLの世界向けの惑星防衛艦や低速商船に核融合ロケットを搭載し、実績を積んでいた。今回、満を持してロズウェル級を設計したのである。

報道:メイス重工側
 メイス重工に好意的な人々は、メイス重工に推進系を一任したということは、彼らの技術的暴走を容認したと見なされてもおかしくはないと主張する。彼らはメイス重工の用意した契約文書にはそう解釈できる文書が含まれており、事前に釘を刺しておかなかったオペルリンズ運輸側の落ち度であると語る。メイス重工がどんな企業かは発注前に簡単に調べがつくのだから調べなかったのは手落ちだというのである。
 あるパイロットは、インタビューで自分が乗っているメイス重工製シャトルの動力源がガスタービンであることを語り、最初は面食らったが、使ってみると性能もよく補給も容易なことにむしろ驚いたくらいだと答えている。彼は、メイス重工の設計には無茶な設計が目立つが、性能はそうじて高いと評価していた

3、ロズウェル級貨客船
 ロズウェル級貨客船は、核融合ロケットの採用による核融合炉のコンパクト化を目指して設計されている。この船の二つのパワープラントは連動しており、常時4951Mwを供給できる設計になっている。メイス重工の設計では、通常航行で20日、ジャンプした場合には10日の通常航行が可能なように設計されている。
 唯一の欠点は、ジャンプアウトした後に核融合ロケットが低温始動を余儀なくされる場合があることくらいである。宇宙港への到着が、数時間遅れることになるが、同級貨客船よりも貨物スペースを大きく取れるために比べれば問題にもならなかった。

4、オペルリンズ運輸の思惑
 オペルリンズ運輸は別の意味でロズウェル級に注目した。二つのパワープラントを持つロズウェル級は、ソフトウェアの改造と兵器の搭載によって容易に武装商船に改装できた為である。オペルリンズ運輸は、国境外交易を維持するために多数の武装商船を必要としており、ロズウェル級は、この目的に合致したのである。
 オペルリンズ運輸は、購入したロズウェル級を自社の息のかかった造船所で次々と改装していった。標準的プランは、連装レーザー砲塔10基、ミサイル砲塔3基を搭載し、格納庫に燃料タンクを追加した形式であるが、戦乱の激化に応じて武装の強化が進められ重武装したタイプの存在するこうした武装商船は、国境外航路に投入されていったが、次第にデネブ領の周辺地域にも投入されるようになった。