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The Best Weapon
3rd stage ( Armor
2 )

最強兵器 決定戦
第3回 (装甲2)

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MEGA TRAVELLER
 



 新型戦艦の装甲は、在来艦よりも必ず強くなっている

 装甲は厚くなっていると書きたかったのですが、実際は技術の進歩のおかげで、そうとも限り
ません。
 薄くて軽い装甲がどんどんと開発されてきますので、防御力が高くても、厚くなるとは限らないのです。

 その格好のサンプルが、旧日本海軍の戦艦「富士」でしょう。
 「富士」は1897年に就役した戦艦で、最大装甲厚は457ミリもありました。

 ところが、その後(3年〜15年後)に作られた戦艦「敷島〜三笠」は、230ミリの装甲厚しかありません。
 もっと後に作られた、巨大戦艦「大和」ですら410ミリなのです。

 これは「大和」よりも「富士」の方が、高い防御力を持つということなのでしょうか。
 いいえ、そうではありません。
 「富士」が建造された時期に、装甲材料の技術が急激に進歩したことを意味しているのです。

装甲DMの上限


 戦艦のコンバートを行なっていて、装甲DMの上限が、メガトラベラーとCT「宇宙海軍」で、大きく異なっていることが判明しました
 今まで私は無意識に、CT「宇宙海軍」ルールを使って宇宙船の設計を行なっていたため、まったく気付かなかったようなのです。
 以下に、メガトラベラー・ルールと、CT「宇宙海軍」ルールのそれぞれにおける、テックレベル装甲DMの関係を示しました。



 

CT
「宇宙海軍」

メガトラ・ルール

ハウス・ルール

TL

装甲DM

装甲値

装甲DM

装甲値

装甲DM

7

7

35

-2

61

7

8

8

40

0

64

8

9

9

45

1

67

9

10

10

50

3

70

10

11

11

55

5

73

11

12

12

60

6

76

12

13

13

65

8

79

13

14

14

70

10

82

14

15

15

75

11

85

15

16

16

80

13

88

16


 CT「宇宙海軍」のルールは、装甲DMの上限テックレベルですので、ものすごくシンプルです。
 一方、メガトラベラーのルールは、装甲値の上限テックレベルの5倍、(装甲値−40)÷3(端数切捨て)装甲DMになりますから、一見、分かりにくいのですが、表にまとめたところ、上のようになりました。

 しかし、このルールではタイグレス型の無敵装甲、装甲DM=15を実現できません。

 そこで、松永氏が提案されたハウス・ルールを紹介します。
 装甲DMの上限テックレベルと合わせるため、CT「宇宙海軍」の数値を採用し、メガトラベラーの装甲値の上限を決めてしまおうというものです。

 テックレベルの上昇と、装甲値の上限が比例しますので、非常に分かりやすくなっています。
 私の考察では装甲DMの上限に関して、上記ハウス・ルールを採用していますので、ご了承ください。




船体形状の選び方


 基本的なことですが、最初は船体形状の選び方を考察します。
 下の表は、船体の重量と価格を決定する際に使用する、修正値をまとめたものです。

 装甲値40の場合

非流線型船体

流線型船体

エアフレーム船体

船体形状

重量

価格

重量

価格

重量

価格

0

外枠型

0.500

0.500

 

 

 

 

1

針状

 

 

1.000

1.200

1.000

1.800

2

円錐形

 

 

1.000

1.100

1.000

2.200

3

円筒形

1.000

1.000

1.000

1.200

1.000

3.000

4

方形

1.000

0.600

1.000

0.900

 

 

5

球形

 

 

0.800

1.500

 

 

6

円盤型

 

 

0.900

2.400

0.900

3.600

7

不規則形

0.900

0.500

輸送母艦に不可欠の船体形状

8

アステロイド

0.216

0.026

容積の80%しか利用できない

9

緩衝装置付き
アステロイド

0.379

0.026

容積の65%しか利用できない

 船体形状は、宇宙船の用途から決まります。

 燃料補給に特別な要求がなければ、非流線型船体
 ガスジャイアントでの燃料補給能力が必要ならば、流線型船体
 大気圏の突入(地上宇宙港の利用、海洋での燃料補給)が必要ならば、エアフレーム船体が必要になるでしょう。

 非流線型船体の中から選ぶ場合は(例外が多いのですが)、方形船体か、不規則形アステロイド船体を選ぶべきでしょう。
 円筒形船体は、価格が上昇するだけで、あまりメリットがありません。

 流線型船体の中で最も安価な船体は方形です。針状円錐形円筒形円盤型の4種は高価なだけで、これまでの評価ではメリットが全くありません。
 球形船体には、軽量化のメリットがあります。

 エアフレーム船体では、針状船体が最も安価です。
 さらに、後の考察で述べるメリットもありますから、さらにお徳です。
 円錐形円筒形のメリットは、全くありません。
 円盤型には、わずかですが、軽量化のメリットがあります。




船体形状が非流線型の場合


 船体形状が非流線型の場合は、特殊用途の船体形状が多いので、考察も複雑になってしまいます。

非流線型船体 

装甲値40

装甲値49

装甲値55

装甲DM=0

装甲DM=3

装甲DM=5

船体形状

重量

価格

重量

価格

重量

価格

0

外枠型

0.500

0.500

不可

不可

不可

不可

3

円筒形

1.000

1.000

2.224

2.224

3.727

3.727

4

方形

1.000

0.600

2.224

1.335

3.727

2.236

7

不規則形

0.900

0.500

不可

不可

不可

不可

8

アステロイド

0.216

0.026

0.216

0.026

1.303

0.988

9

緩衝装置付き

0.379

0.026

0.379

0.026

0.379

0.026


非流線型船体 

装甲値40

装甲値70

装甲値85

装甲DM=0

装甲DM=10

装甲DM=15

船体形状

重量

価格

重量

価格

重量

価格

0

外枠型

0.500

0.500

不可

不可

不可

不可

3

円筒形

1.000

1.000

13.727

13.727

50.303

50.303

4

方形

1.000

0.600

13.727

8.236

50.303

30.182

7

不規則形

0.900

0.500

不可

不可

不可

不可

8

アステロイド

0.216

0.026

11.303

8.544

47.879

36.180

9

緩衝装置付き

0.379

0.026

16.864

7.284

80.871

34.921


 外枠形は、モジュールを連結することが前提の船体形状ですから、今回は評価の対象外とします。

 不規則形は、積載艇を格納する必要が無い(船体外部に装着して輸送できる)こと、発進設備が要らないことの2点が、最大のメリットです。
 バトルライダーを搭載した輸送母艦や、SDB輸送用ジャンプシャトルなどに有用な船体形状でしょう。
 ただし、装甲を追加することも、流線型化することも出来ません。

 アステロイド船体緩衝装置付きアステロイド船体は、装甲値56以下ならば(装甲を追加しなければ)極めて安価で、かつ軽量な船体になりました。
 装甲DM=3の場合のアステロイド船体装甲DM=5の場合の緩衝装置付きアステロイド船体、それぞれの船体重量と価格を見れば、そのメリットは明らかでしょう。
 唯一のデメリットは、船体容積の20%、35%を使えなくなってしまうことですが、その分だけ大きな船体を用いるならば、問題は解消されます。

 装甲DM=10以上アステロイド船体で得ようとする場合は、アステロイド船体のメリットが無くなります(と思ったのですが、よく見てみると、装甲DM=10緩衝装置付きアステロイドは、方形船体と比べて、わずかですが安くなっていました)。
 重量でも、価格でも、方形船体の方が軽量安価か、同じ程度の数値になってしまいます。
 重量と価格が同じ程度ならば、船体容積の20%、35%が使えなくなるだけ、アステロイド船体の方が不利でした。

 方形船体は、装甲DM=10以上で、最も安価な船体になります。
 アステロイド船体と違って、船体容積を100%使えますから、船体容積を活用したい場合(船体サイズを小さく抑えたい場合)は、軽装甲でも有用になるでしょう。
 
 円筒形船体を選択するメリットは、ほとんどありません。



船体形状が流線型の場合


 ガスジャイアントでの燃料補給が可能になれば、スピンワードマーチ宙域に存在する帝国領星系の大半(272星系中195=72%)で、燃料補給の問題が解決します。
 それを可能にする船体が、流線型船体です。


流線型船体 

装甲値40

装甲値49

装甲値55

装甲DM=0

装甲DM=3

装甲DM=5

船体形状

重量

価格

重量

価格

重量

価格

1

針状

1.00

1.20

2.22

2.67

3.73

4.47

2

円錐形

1.00

1.10

2.22

2.45

3.73

4.10

3

円筒形

1.00

1.20

2.22

2.67

3.73

4.47

4

方形

1.00

0.90

2.22

2.00

3.73

3.35

5

球形

0.80

1.50

1.78

3.34

2.98

5.59

6

円盤型

0.90

2.40

2.00

5.34

3.35

8.95


流線型船体 

装甲値40

装甲値70

装甲値85

装甲DM=0

装甲DM=10

装甲DM=15

船体形状

重量

価格

重量

価格

重量

価格

1

針状

1.00

1.20

13.73

16.47

50.30

60.36

2

円錐形

1.00

1.10

13.73

15.10

50.30

55.33

3

円筒形

1.00

1.20

13.73

16.47

50.30

60.36

4

方形

1.00

0.90

13.73

12.35

50.30

45.27

5

球形

0.80

1.50

10.98

20.59

40.24

75.45

6

円盤型

0.90

2.40

12.35

32.95

45.27

120.73


 流線型船体の中で最も安価な船体は方形です。
 特に、装甲値の大きい(装甲DMの大きい)船体になると、その経済性が顕著に粟割れてきますので、帝国海軍艦艇の大半が方形船体を用いていることは、当然だとも言えるでしょう。

 針状円錐形円筒形円盤型の4種は高価なだけで、これまでの評価ではメリットが全くありません。

 球形船体には、軽量化のメリットがあります。
 しかし船体価格は1.67倍の上昇をしますので、装甲値が高い場合、その価格高騰は恐ろしい数字になってしまいます。
 タイグレス型戦艦の船体形状が球形でなく方形であれば、コストダウンだけでなく、維持の乗組員数も削減できたでしょう。




船体形状がエアフレーム型の場合


 大気を持つ惑星への着陸を可能にした船体が、エアフレーム船体です(メガトラベラーでは完全流線型とも呼びますが、区別しやすくするため、私はエアフレームと呼んでいます)。
 海洋での燃料補給、地上軍の展開と収容、地上宇宙港の利用など、エアフレーム船体を持つ宇宙船にしか出来ないことは、たくさん存在します。
 SDB(惑星防衛艦)の場合は、地上(海中)で待機できるかどうか、対地支援攻撃を行なえるか、ということにも影響してくるでしょう。

 エアフレーム船体

装甲値40

装甲値49

装甲値55

装甲DM=0

装甲DM=3

装甲DM=5

船体形状

重量

価格

重量

価格

重量

価格

1

針状

1.00

1.80

2.22

4.00

3.73

6.71

2

円錐形

1.00

2.20

2.22

4.89

3.73

8.20

3

円筒形

1.00

3.00

2.22

6.67

3.73

11.18

6

円盤型

0.90

3.60

2.00

8.01

3.35

13.42



エアフレーム船体 

装甲値40

装甲値70

装甲値85

装甲DM=0

装甲DM=10

装甲DM=15

船体形状

重量

価格

重量

価格

重量

価格

1

針状

1.00

1.80

13.73

24.71

50.30

90.55

2

円錐形

1.00

2.20

13.73

30.20

50.30

110.67

3

円筒形

1.00

3.00

13.73

41.18

50.30

150.91

6

円盤型

0.90

3.60

12.35

49.42

45.27

181.09


 エアフレーム船体では、針状船体が最も安価です。
 さらに、後の考察で述べるメリットもありますから、さらにお徳です。
 帝国海軍のバトルライダーや大型戦闘艇など、エアフレーム船体の艦艇がほとんど針状船体を選択していることも、当然のことです。

 円錐形円筒形のメリットは、全くありません。

 円盤型には、わずかですが、軽量化のメリットがあります。
 しかし、それだけのために船体価格を2倍にする価値は、本当にあるのでしょうか。


ノリキアン型バトルライダーの場合


 ノリキアン型バトルライダーに関して、船体の装甲値を色々と変えて、その船体価格の増減を比較しました。
 本来の設計ですと、ノリキアン型装甲値は11(建造費が約30,000Mcr)なのですが、他のデータと比較しやすいように、装甲値10の場合を基準データにしてありあます(装甲DMを11から10に下げるだけで、建造費が1割も下がる事実はショックでした)。
 余談ながら、ノリキアン型の船体形状は1、針状船体エアフレーム型です。
 船体価格もエアフレーム型の修正を受けて、さらに割高になってしまいました。



ノリキアン型BR

PP出力

船体重量/価格

建造費

移動力=6

重量

価格

指数

価格

指数

装甲値40

装甲DM=0

879,660

27,720

927

7%

12,806

47%

装甲値49

装甲DM=3

918,540

61,656

2,061

16%

14,059

52%

装甲値55

装甲DM=5

967,140

103,320

3,454

27%

15,604

58%

装甲値70

装甲DM=10

1,414,260

380,520

12,720

100%

26,991

100%

装甲値85

装甲DM=15

2,454,300

1,394,400

46,613

366%

63,350

235%


 移動力6を確保するため、パワープラントの出力も非常識な増え方で大きくなっています。
 重量や価格の数字については、指数表示(装甲値70、装甲DM=10100%)を見ると、比べやすいでしょう。
 装甲値55以下(装甲DM=5以下)では、大きな変化がありませんが、装甲値55、70、85の間では、建造費が跳ね上がりました。
 具体的には、ノリキアン型(装甲値70100隻を建造する予算で、装甲値85ならば42隻装甲値55ならば172隻を作れるということです。




プランクウェル型戦艦の場合


 プランクウェル型戦艦に関して、船体の装甲値を色々と変えて、その船体価格の増減を比較しました。
 プランクェル型の船体形状は4、方形船体流線型です。



プランクウェル型BB

PP出力

船体重量/価格

建造費

移動力=5

重量

価格

指数

価格

指数

装甲値40

装甲DM=0

5,248,800

133,980

2,646

7%

104,880

71%

装甲値49

装甲DM=3

5,418,900

298,004

5,886

16%

108,961

74%

装甲値55

装甲DM=5

5,637,600

499,380

9,863

27%

114,060

77%

装甲値70

装甲DM=10

7,047,000

1,839,180

36,326

100%

147,827

100%

装甲値85

装甲DM=15

12,150,000

6,739,600

133,115

366%

270,788

183%



 プランクウェル型移動力5です。
 ジャンプドライブを搭載していることや、船体が大型化しているため、建造費の中で船体の価格が占める割合が小さくなっているため、ノリキアン型ほど極端な変化はありませんが、それでもパワープラント出力は跳ね上がり、建造費に大きな影響を与えているようです

 装甲DMを10まで上げる程度ならば、建造費の上昇も許される範囲だと思います(装甲DM=5の場合と比べて、30%のコスト増)。



結論


 非流線型船体アステロイド形状は、装甲DM=3=5の場合に、極めて安価だというメリットがありました。
 機動砲台モニター艦を建造する場合は、有益な船体形状でしょう。

 非流線型船体、および、流線型船体では、方形船体が最も安価です。

 流線型船体球形には軽量化のメリットがありますが、価格が高騰してしまうため、軽量化に見合うとは思えません。

 エアフレーム船体では、針状船体が最も安価で有用です。

 バトルライダーは、船体サイズが小さいこともあり、装甲値の増減が建造費に大きく反映します。
 ジャンプドライブを備えた戦艦は、装甲値10程度ならば、許される範囲のコスト増だと考えます。

 やはり、戦艦(含むバトルライダー)を名乗るためには、装甲値10以上が最低限、必要なのではないでしょうか。


                                2008.06.21