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The Best Weapon
31th stage ( SDB
1)

最強兵器 決定戦
第31回 (SDB1)

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MEGA TRAVELLER
 


 

1隻惑星防衛艦撃破するため、
    果たして、何発の命中弾必要なのか?


 今回は、SDBの強さを評価してみました。
 というのも、大島様の主導で「緩衝宙域」という設定を製作しているのですが、この宙域は政治的な要因から高テクノロジー製品の入手が制限されており、宙域内最強の戦闘艦が、テックレベル13で建造されたドラゴン型SDBだという設定なのです。
 もっとも、ドラゴン型が最強だといっても、それほど数がある訳でもありません。
 最高テックレベルが12しかない「緩衝宙域」において、ドラゴン型SDBは新規入手も修理も困難です。
 そこで、主力のSDBはさらに低いテックレベル11で建造されたバンダースナッチ型SDBとなりました。

 テックレベル15の帝国海軍艦艇に慣れていると、テックレベル13や11で建造されたSDBは、いかにも頼りなく見えてしまうでしょう。
 復興委員会に投稿済みの原稿、「帝国軍制式−惑星防衛艦」をご覧頂けば分かりますが、ドラゴン型バンダースナッチ型のSDBは束になっても、テックレベル15の戦闘艦艇にかすり傷ひとつ、負わせることが出来ません。
 ですから、ドラゴン型バンダースナッチ型は、星域海軍が「精一杯の抵抗をした」というアリバイ作りのためにだけ、各地に配備されているものだと思っていたのです。

 ところが「緩衝宙域」における艦隊戦のシミュレートを行なった結果、テックレベル13以下の艦隊と戦う限り、上記2種のSDBは非常に強力だと判明しました。




SDBの基本性能


 帝国のSDBは、基本デザインが4つ存在します。
 テックレベル11で建造されるバンダースナッチ型、テックレベル13のドラゴン型、テックレベル14のワイバーン型、テックレベル15のワイアーム型
 これら全てに共通する点は、400トン級の大きさであることしかありません。
 私の勝手な想像で、全てに6G加速の性能を持たせ、出来るだけ高い移動力を与えることにしましたが。

 船体装甲は出来る限り厚くしました。
 その結果、バンダースナッチ型とドラゴン型は装甲DM=5、ワイバーン型は装甲DM=7、ワイアーム型は装甲DM=10となっています。

 この装甲値がどれだけの防御効果を持っているのか、数値で示してみることにしましょう。




SDBの防御性能−1


 SDBの防御性能を、各部の耐久力と装甲値から評価してみました。
 具体的には、36発の命中弾を受けた場合、どのような被害が出るかということを、考えてみます。

 まず、ビーム・レーザー高エネルギー兵器非核弾頭のミサイル攻撃を受けた場合は、外部損傷表のみで被害判定を行なうことになっていました。
 バンダースナッチ型SDBの装甲DMは5ですから、2D6の判定に−5のDMを行ないます。
 参照にする範囲は、外部損傷表の−3〜7の部分になりました。
 「兵器−1」の損傷が出る回数は23回、「燃料−1」の損傷が出る回数は10回、「損傷なし」が出る回数も3回あります。

 これらの損傷期待値を、異なる兵器ごとにまとめ、期待値を下の表1に示しました。

      表1 バンダースナッチ型、および、ドラゴン型に生じる
           各兵器ごとの損傷期待値(装甲DM=5)

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 ご覧の通り、装甲DM=5しかなくても、ビーム・レーザー高エネルギー兵器非核弾頭ミサイルによる損傷結果を大きく減らすことが可能でした。
 実際、兵器損傷と燃料損傷しか受けることがありません。

 400トン級のSDBは、武器設置点を4箇所持っていますから、戦闘不能になるまで「兵器−1」の損傷を4回まで耐えることが出来ます。
 また、バンダースナッチ型の燃料タンクは112トンですから「燃料−1」の損傷を12回まで、ドラゴン型のタンクは143トンですから15回まで耐えることが出来ました。

 上記、表1の数値から逆算してみると、装甲DM=5のSDBが通常兵器による攻撃を受けた場合、
 兵器損傷によって、戦闘不能に追い込むまで、最低7発の命中弾。
 燃料喪失によって、行動不能に追い込むまで、最低44(バンダースナッチ型)〜54発(ドラゴン型)の命中弾。
 が必要だということが分かります。

 パルス・レーザーによる攻撃の場合、外部損傷表でDM+2の修正がありますから、「通常ドライブ−1」の損傷を与えることが可能になりました。
 粒子加速砲による攻撃の場合、放射線損傷表を使えますので、「探知器−1〜2」の損傷を与えられます。
 核ミサイルの場合は、外部損傷表でDM+6の修正があることに加え、放射線損傷表も使えますので、最も多くの損傷を与えられました。


 この、必要命中弾数をまとめたものが、以下の表2と表3です。

          表2  バンダースナッチ型SDBの耐久力

BW31_FIG02.GIF - 3,292BYTES

 兵器損傷を与え、戦闘不能に追い込むだけならば、通常兵器パルス・レーザー7回粒子加速砲核ミサイルならば3回の命中で十分でしょう。

 しかし、SDBのドライブ機器と探知器、通信機は健在です。
 私が艦隊戦をシミュレートした際は、損傷で戦闘不能になったSDBが敵艦隊中央へ肉迫し、目標の照準データを味方へ送信するという作戦を実施しました。

 バンダースナッチ型SDB通常兵器による攻撃を受けている限り、燃料の全喪失で行動不能になるまで、移動不能になることも、通信不能になることも有り得ません。
 目標の照準(追跡)に失敗して攻撃のチャンスを損ねるよりも、損傷艦を肉迫させて視認距離の照準データを得る方が、ずっと効率的だと考えたのです。
 電子妨害下であっても視認距離ならば確実に目標の追跡が可能ですから、実際にその通りでしたが。

 また、核ミサイルであっても、バンダースナッチ型SDB行動不能に陥れるためには、24回の命中が必要だと分かりました。
 これは結構、大変な数字です。

 「探知器−1〜2」の損傷による探知不能状態は、SDBに装備されている5種類の探知機を全て失っえば、探知不能の状態として扱うことにしました。 
 そのためには、粒子加速砲核ミサイル60回以上の命中弾を与えなければなりません。
 また、私の設計では全ての探知器を2つずつ装備していますから、探知器損傷が5回(命中弾数30回)までは、何のペナルティも負わないでしょう。
 6回目の探知器損傷(命中弾数36回前後)で初めて、どれか1種の探知器が機能を停止することになります。
 それ以前にSDBは燃料の全喪失で行動不能になっている筈ですから、SDBの探知器を狙って破壊することには、あまり意味がないようです。

 「通常ドライブ−1」の損傷を6回与えて、SDBを移動不能にできる可能性も存在しました。
 そのためには、パルス・レーザー108回の命中、もしくは核ミサイル24回の命中が必要です。
 やはり、その頃には燃料の全喪失で行動不能になっている筈ですから、これも意味はありません。

 ちなみに粒子加速砲核ミサイルで放射線損傷を用いた場合、36発中3回の確率で「コンピュータ−1」の損傷を与える可能性がありました。
 放射線損傷の被害を抑えるため、戦闘艦艇のコンピュータには「光ファイバー型」のコンピュータを用いることが常識だったような気がします。
 ところが、メガトラの設計ルールにおいて、宇宙船のコンピュータは常に3基以上が装備されることになっていますから、最初の損傷2回分はペナルティがありません。
 3回目の損傷を受けることで、初めてコンピュータモデルが1つランクダウンする訳ですが、その頃、SDBは燃料の全喪失で行動不能に・・・。
 少なくとも、SDBの積載コンピュータは「標準型」で十分なようです。
 高価な「光ファイバー型」を選択する必要はないでしょう。

 バンダースナッチ型といえども、ものすごく丈夫だったのだと思い知らされました。


            表3  ドラゴン型SDBの耐久力

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 ドラゴン型の耐久力も、バンダースナッチ型とほぼ同等でした。
 兵器損傷を与え、戦闘不能に追い込むだけならば、通常兵器7回粒子加速砲核ミサイルならば3回の命中で十分です。

 通常兵器行動不能にするためには、54回の命中弾が必要でした。
 パルス・レーザーの場合、燃料損傷の期待値が若干大きいので、45回の命中でも十分ですが。
 また核ミサイルの場合、行動不能に陥れるためには、30回の命中が必要だと分かりました。
 バンダースナッチ型と比べて燃料タンクの容量が大きいため、若干、必要な命中弾数が増えています。

 探知不能にするために必要な命中数が、粒子加速砲核ミサイル60回以上という点も変わりません。
 それ以前に行動不能になっており、意味がないことも同じです。

 移動不能にするために必要な命中数が、パルス・レーザー108回核ミサイル24回も同じでした。




SDBの防御性能−2


 今度はより装甲の厚いSDB、テックレベル14のワイバーン型と、テックレベル15のワイアーム型に関して、防御性能を評価してみましょう。

   表4 ワイバーン型SDBに生じる各兵器ごとの損傷期待値(装甲DM=7)

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 装甲DM=7となることで、ワイバーン型SDBに与えられる損傷期待値は大きく減少しました。

 違いが分かりやすいように、命中必要弾数を以下にまとめます。

            表5 ワイバーン型SDBの耐久力

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 戦闘不能に追い込むために必要な命中弾数は、通常兵器8回パルス・レーザー7回粒子加速砲4回核ミサイルならば3回と、若干、増加しました。
 あまり大きな違いではありませんが。

 行動不能にするまで必要な命中弾数は、39〜77回です。
 ワイバーン型の燃料搭載量が増えたことも影響していますが、装甲DMが2つ増えたことによることの方が大きいでしょう。
 装甲DM=5の場合、燃料損傷の期待値は10〜18ですが、装甲DM=7の場合は7〜14と、7〜8割に小さくなっていましたので。
 逆に考えれば、燃料損傷の耐久力が3〜4割増えたとも考えられます。

 探知不能にするためには、粒子加速砲核ミサイル180回の命中弾が必要です。
 ほぼ不可能ということですから、意味はありません。

 「通常ドライブ−1」の損傷で移動不能にできる可能性は、核ミサイルしか有りません。
 核ミサイル43回の命中弾を与えれば、かろうじてSDBを移動不能に追い込むことが可能です。
 ほぼ同じ頃に、燃料の全喪失で行動不能になっているでしょうけれど。



 次に、ワイアーム型との評価を行ないます。

  表6 ワイアーム型SDBに生じる各兵器ごとの損傷期待値(装甲DM=10)

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 装甲DM=10ワイアーム型SDBです。
 与えられる損傷期待値は、さらに大きく減少しました。
 命中必要弾数を以下にまとめます。

            表7 ワイアーム型SDBの耐久力

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 戦闘不能に追い込むために必要な命中弾数は、通常兵器18回パルス・レーザー9回粒子加速砲核ミサイル5回になりました。
 通常兵器ビーム・レーザー高エネルギー兵器非核弾頭ミサイル)による攻撃の場合、簡単には戦闘不能に陥ってくれないようです。

 行動不能にするまで必要な命中弾数は、59〜324回です。
 装甲DM=10のワイアーム型SDBに対しては、燃料損傷をほんの僅かしか、与えられません。
 その結果、燃料の全喪失による行動不能に追い込むまで、膨大な数の命中弾が必要になってしまったようです。
 通常兵器パルス・レーザーでは移動不能にすることが出来ません。
 戦闘不能になったワイアーム型SDBを撃破するため、さらに300回以上の命中弾を与える必要があると分かりました。
 回避能力も併せて評価する必要がありますが、ひょっとしてピケットとして用いる場合、大型戦闘艇よりもSDBの方が有効なのではないでしょうか。
 大型戦闘艇は回避能力こそ高いのですが、燃料損傷2回で行動不能になってしまいます。

 装甲DM=10の艦艇に「探知器−1」の損傷を与えることは出来ません。
 探知不能にすることは不可能です。

 移動不能にするためには、核ミサイル216回の命中弾が必要です。
 それ以前にSDBは燃料の全喪失で行動不能になっている筈ですから、これも意味はありません。




T型哨戒艦の防御性能


 装甲の厚いSDBばかりを評価してきましたので、防御性能を比較するため、非装甲(装甲DM=0)のT型哨戒艦について、同様の評価を行ってみます。

     表8 T型哨戒艦に生じる各兵器ごとの損傷期待値(装甲DM=0)

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 装甲DM=0なのですが、意外と兵器損傷の数は増えていません。
 代わりに、燃料損傷通常ドライブ損傷の数が少なくなっています。
 核ミサイルを用いた場合、36発中10回の確率で致命的損傷内部損傷も生じているのですが、評価が複雑になるため、今回は無視しました。
 外部損傷表と放射線損傷表のみからの損傷評価です。

 命中必要弾数を以下にまとめました。

             表9  T型哨戒艦の耐久力

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 T型哨戒艦の場合、兵器損傷を与えて戦闘不能に追い込むため、通常兵器7回パルス・レーザー6回粒子加速砲核ミサイル3回の命中が必要です。

 燃料損傷の累積で行動不能に追い込むためには、通常兵器粒子加速砲46回パルス・レーザー33回核ミサイル29回の命中が必要でした。

 戦闘不能行動不能、この2つだけを見比べるならば、バンダースナッチ型SDBとそう変わるところはありません。
 しかし、バンダースナッチ型SDBでは有り得なかった、通常兵器の攻撃によって、移動不能に陥る可能性が生じています。
 必要な命中弾数は21回
 これだけの命中弾を受けてしまうと、T型哨戒艦は移動能力を失ってしまうのです。
 移動不能となったT型哨戒艦は、動き続ける戦場に取り残されるとか、乗り込み戦を受けて捕獲されるなどの運命が待っているかも知れません。

 移動不能になる命中弾数は、通常兵器粒子加速砲21回パルス・レーザー14回核ミサイル10回が必要でした。
 この命中弾数は、バンダースナッチ型SDB行動不能になるまでの命中弾数と比べるならば、半分以下の数値にしかなりません。
 戦闘不能になるまでの命中弾数は同じでも、その後移動不能行動不能に追い込む(自力帰還が不可能な状態にする)までの命中弾数が、SDBT型哨戒艦では大きく異なるのです。

 探知不能に関しては、「帝国百科」記載のT型哨戒艦が、4種類の探知機を1つずつしか搭載していないため、放射線損傷を受ければ簡単に探知不能の状態に陥ると分かりました。
 粒子加速砲核ミサイルで、わずか7回の命中があれば、T型哨戒艦は全ての探知器を失います。
 艦隊戦が主目的にしていない哨戒艦だからこそ許されることだと思いますが、もしも海賊船が核ミサイル粒子加速砲を装備していたら、どうするつもりなのでしょう。


 ちなみに、T型哨戒艦が放射線損傷を受けた場合、36発中20回の期待値でコンピュータ−損傷を受けます。
 モデル3のコンピュータを3基搭載しているT型哨戒艦は、合わせて9回コンピュータ損傷にしか耐えられません。
 つまり、17回の命中弾で全てのコンピュータが機能を停止するということです。
 T型哨戒艦のような耐久力の低い艦艇にこそ、「光ファイバー型」のコンピュータが必要なのではないでしょうか。




結論


 SDB、特に低テックレベルで建造されるバンダースナッチ型ドラゴン型SDBの、意外な強さを発見しました。

 低テックレベル(といっても11〜13の想定)の宇宙戦闘では、目標の探知と追跡の難易度が高くなっているため、目標の視認距離までピケットを送り込む必要性が大きく増しているのです。
 敵の視認距離まで接近したピケットは、当然、自動的に敵艦からも視認されてしまいますので、袋叩きに遭うことが必然でした。
 その際、多くの命中弾を受けても、変わらず移動能力と通信能力を保ち続けるSDBは、とても有用なピケットなのです。

 次回は、SDBの回避能力(移動力)なども計算に含め、防御力を評価してみたいと思っています。


2009.08.31 初投稿。