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The Best Weapon
43th stage ( Combat
7)

最強兵器 決定戦
第43回(個人戦闘7)

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遠距離/超遠距離における銃撃戦始め方


 このところ、ずっと個人戦闘ルールを考察してきたため、レフリーズ・マニュアルを見ることがありませんでした。
 久しぶりに世界の設定(異星生物)を作って遊ぼうと思い、レフリーズ・マニュアルを開いてびっくり。
 遭遇の距離決定表、というチャートが存在したのです。
 すみません。CT時代にもほとんど使ったことがありませんでした。

 そのチャートによると、異星生物に限らず、NPCや対立するグループとの遭遇距離を決定する際にも使えるようです。
 その距離は、至近距離から超遠距離まで様々ですが、面白いネタですので、ちょっと考察してみましょう。





遭遇の距離


 遭遇距離は、2D6によって決定されます。
 地形によって異なるDMを与えることで、その遭遇距離を変化させる訳ですね。
 「至近距離」から「超遠距離」まで遭遇距離は様々ですが、結果が偏らないように、きちんと工夫がされていました。

 表1に、遭遇場所の地形によって異なる、遭遇距離の範囲と確率分布を示しました。
 CTに慣れているものですから、MTの「長距離/超長距離」という表記を、CTの「遠距離/超遠距離」に変更しています。
 見直してみると、MTのプレイヤーズ・マニュアル中でも表記が統一されていませんね。困ったものです。


      表1 遭遇場所の地形によって異なる、遭遇距離の確率分布

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 最も確率の高い「距離」を赤字で、それ以外でも確率が10%以上の「距離」を黄色字で示しました。

 遭遇した地形が、「市街、建物内、洞窟」「沼、沼地、湿地、極地」の場合は、高い確率で「近距離」の遭遇になります。
 「至近距離」や「中距離」で遭遇する確率もありますので、ハンドガンSMGなどが意外に有効な兵器となるでしょう。
 「遠距離」以上で遭遇する確率は、ほとんど有り得ません。

 遭遇した地形が「海面下」「ジャングル、熱帯雨林」「森、林、川、小川、浅瀬」「岩地、高地、荒地、山すそ、海面上」の場合は、「中距離」で遭遇する確率が最も高いのですが、その確率は半分以下しかありません。
 ですから、「近距離」や「遠距離」「超遠距離」の遭遇にも備えておく必要があるのです。
 「近距離」で遭遇した場合はハンドガンSMGも活躍しますが、パーティーの多くは「中距離」以遠での遭遇に備え、ライフルなどを用意しておくべきでしょう。
 ジャイロ・スタビライザーを装備した戦闘ライフルは、「中距離」戦闘において威力を発揮する筈です。

 遭遇した地形が「空き地、道路、開墾地、草原、平原、ステップ、山、高山」「砂漠、砂丘、流砂」の場合、高い確率で「超遠距離」の遭遇になります。
 「中距離」と「遠距離」で遭遇する確率もありますが、「至近距離」や「近距離」での遭遇はまず有り得ません。

 遭遇距離の傾向については、以上のようなことが明らかになりました。
 ですから、「遠距離」と「超遠距離」でどのような銃器が有効なのか、考察を進めていきます。





遭遇の距離


 遠距離や超遠距離で射撃を行なうと、貫通力の減衰による影響が、ずっと大きくなります。多くの銃器は「減衰率が2」ですから、遠距離/超遠距離での貫通力は半減してしまいました。中には「減衰率が3〜4」の銃器も存在するのですが。


 考察の40回「個人戦闘6」で検討した貫通力表にいくつか新たな銃器を加え、その貫通力を比較してみました。
 遠距離の考察を「1マス1.5メートル」の屋内マップで行なうことは困難です。
 そこでスケールを「1マス15メートル」の屋外マップに変更しました。
 至近距離と近距離は同一マス内、中距離は1〜2マス、遠距離が3〜14マス、超遠距離が15〜29マスということです。
 「巻き添え命中」の致傷範囲も1マス15メートルが基準になりますので、ご注意ください。

          表2 距離帯によって変化する銃器の貫通力

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 リストアップされた銃器の、それぞれの距離帯における貫通力です。緑色の銃器名は前回も考察した銃器、黄色の銃器名が新たに加えた銃器を示しています。
 青字は、宇宙服(装甲値6)を「完全貫通」できる貫通力。
 黄色字は、「部分貫通」できること。
 赤字は、「無貫通」にしかならないことを表しています。
 白字も「無貫通」であることは変わりませんが、「狙い撃ち」によって目標の装甲値を半減させても「無貫通」のまま変わらない、小さな貫通力を意味しています。



 遠距離において、オート・ピストルSMGの貫通力は、1か0しかありません。宇宙服に対して貫通は望めないようです。
 「防具なし(装甲値0)」の目標が相手ならば、ラッキーヒットを狙ったり、牽制の射撃を行なうことはできるでしょうが、果たして命中する可能性はあるのでしょうか。

 ライフルオート・ライフル突撃ライフルは、遠距離/超遠距離において貫通力が1まで減少してしまいました。「狙い撃ち」を試みても「部分貫通」にはできません。宇宙服の装甲値6に対して、明らかに無力です。

 軽機関銃重機関銃のデータを追加しました。
 TL5〜9の歩兵が一般的に用いているライフル(ボルトアクション/セミオート)やオート・ライフル突撃ライフルの威力不足を補うために、不可欠な支援火器になるでしょう。
 減衰率が「3」ですから、遠距離での貫通力は3と6、ライフル類の3倍から6倍の貫通力を発揮できました。
 ライフル射撃が「無貫通/部分貫通」の遠距離目標に対し、「部分貫通/完全貫通」を期待できます。
 残念ながら、超遠距離目標への貫通力はライフルと同じ(軽機関銃)か、ライフルの3倍(重機関銃)まで下がってしまいますが、これについても何か埋め合わせがあるのだと思います。

 戦闘ライフル(高速弾)と磁気ライフルに関して、遠距離と超遠距離の貫通力を見ると、その威力が実感できます。
 TL5〜6の世界で支援火器として愛用されている重機関銃。その重機関銃を、TL10以上の歩兵は1人1人が持ち歩いているに等しいのです。
 火力面で比較したら、とんでもない話ですね。
 戦闘ライフル(高速弾)は、遠距離においても宇宙服を「部分貫通」することが可能です。超遠距離では「無貫通」になりました。
 磁気ライフルは、遠距離/超遠距離のどちらでも宇宙服を「部分貫通」できます。

 12型プラズマガン13型プラズマガンは、TL12〜13の世界で、支援火器として使用されています。
 減衰率が1しかないため、遠距離/超遠距離における貫通力は激減してしまいましたが、同一マスの目標に対して「巻き添え命中」の判定を行なえます。それなりに威力を発揮するでしょう。
 遠距離の13型プラズマガンだけが宇宙服を「部分貫通」できますが、その他の条件では「無貫通」にしかなりません。

 14型フュージョンガンは、TL14以上の世界で支援火器となっています。
 遠距離/長遠距離の目標に対しても「完全貫通」を期待できます。おまけに同一マスの致傷範囲を持っています。
 装甲値18のバトルドレスを着ていればともかく、普通の人間は助かりません。
 こんな物騒な兵器を街中でぶっぱなす偵察局員(CT「アルゴン・ギャンビット」)は、その正気を疑うべきなのでしょうか。

 レーザー銃は、遠距離/長遠距離で宇宙服の「部分貫通」が可能です。
 大気レベルによる減衰率の変化という項目を見つけてしまったのですが、それによると極薄大気や微量/真空大気において、さらに貫通力が増す(正確には減衰率が増す)ようです。
 異種/腐食性/猛毒性大気においては、逆に減衰率が下がってしまい、貫通力が急減してしまいますが。

 無反動砲は個人用火器ではありませんが、命中難易度がライフル扱いなので掲載しておきました。
 取り扱い(輸送や設置)は大変ですが、間接射撃と異なって、射撃と同時に目標への被害を与えられること。
 榴弾(HE)の貫通力が9〜16で、それなりの防具を着用した目標に対しても「部分貫通」や「完全貫通」を期待でき、おまけに致傷範囲が広い(1〜2マス)こと。
 徹甲榴弾(AP)の貫通力は20〜40であり、装甲値18のバトルドレスに対して「部分貫通」か「完全貫通」を期待できることなどが、素晴らしいと思います。
 低TLの軍隊が、高TLの帝国海兵隊に対抗するためには、不可欠な装備なのでないでしょうか。





遠距離/超遠距離の命中難易度


 再び、命中難易度の比較を行ないます。

 「手投げ」「ハンドガン」「ライフル」の3種類と、「付属機器付きのライフル」について、至近距離から超遠距離までの命中難易度を、表3に示しました。



     表3 至近距離から超遠距離までの命中難易度
        (手投げ、ハンドガン、ライフルの比較、付属機器の評価)

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 遠距離において、「手投げ」の命中難易度は〈不可能:19+〉です。
 まず、ほとんど命中は期待できませんが、外れた場合はランダムに決めた隣接マスに落ちるというルールがあります。
 つまり、目標の隣のマスに目掛けて投げれば、4分の1〜8分の1の確率で命中するということになりますが……。
 この問題は、次回「擲弾筒と間接射撃」で考察することにしましょう。



 「ハンドガン」の場合、難易度は少し易しくなりました。
 遠距離で〈至難:15+〉、超遠距離で〈不可能:19+〉です。
 まず、命中は期待できませんし、命中しても貫通力不足ですから、ダメージもあまり与えられません。




 「ライフル」の命中難易度は、遠距離で〈難:11+〉です。
 今回も驚きましたが、「照準器」や「ジャイロ・スタビライザー」を装備していても、遠距離の命中難易度が変わりません。同じ〈難:11+〉のままなのです。
 歩兵が走りながら行なうライフルの射撃命中難易度と、きちんと設置された重機関銃の命中難易度が同じという点は納得いきませんが、そういうルールです。
 減衰率の違いから、目標の装甲値によっては「無貫通/部分貫通/完全貫通」という違いが生じることが有り得ました。
 貫通の程度によってダメージ期待値や無力化率に差を付けているのかも知れません。
 できるだけデザイナーの意図を読み取っていこうと思います。

 超遠距離射撃の場合、命中難易度は〈至難:15+〉です。
 「照準器」「照準器+ジャイロ」の2つだけは、命中難易度が〈難:11+〉に下がりました。
 超遠距離の場合は残念ながら「ジャイロ・スタビライザー」は何の役にも立たず、「照準器」だけしか使えないようです。



 ところが、次の距離帯「遠方」において、「照準器+ジャイロ」を装備したライフルだけ、命中難易度が下がります。
 「ライフル」「照準器」「ジャイロ・スタビラーザー」3つの命中難易度は〈不可能:19+〉なのですが、「照準器+ジャイロ」の命中難易度だけは〈至難:15+〉になっていました。
 つまり、「照準器」と「ジャイロ・スタビライザー」の双方を装備していなければ、特典を得られない訳です。

 さらに次の距離帯「超遠方」の射撃は、「照準器+ジャイロ」を装備したライフルでなければ行なえません。その命中難易度は〈不可能:19+〉ですから、なかなか命中させることは出来ませんが、射撃を行なえるだけでも随分と違ってくる筈です。

 「照準器」は、超遠距離、遠方、超遠方の3つの距離帯で効果を発揮する。
 「ジャイロ・スタビライザー」は中距離、遠方、超遠方、3つの距離帯で効果を発揮する、ということが明らかになりました。





遠距離/超遠距離における射撃の評価


 命中難易度が定まりましたので、射撃の有効性を評価します。

 乗組員の技量としては、標準的なキャラクター(敏捷力DM=1、技能レベル−0)と、優秀なキャラクター(敏捷力DM=2、技能レベル−2)を考えています。
 おまけとして、ビアトリス(敏捷力DM=2、技能レベル−3)も加えておきました。

   表4 無貫通しか期待できない銃器(ライフル)による
       ダメージ期待値と無力化率の変化(基本ダメージを問わない)

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 遠距離のライフル射撃(セミオート射撃)は、ほとんど当たりません。命中難易度が〈難:11+〉なのです。
 おまけに「無貫通」ですから、ダメージもほとんど与えられません。例外的命中でなければダメージを与えられませんから、実質的な命中率はさらに2つ上がってしまう訳です。

 ちなみに、1人の目標を無力化する(累積4ポイントのダメージを与える)までに、標準的なキャラクター144回の射撃が必要になりました。
 1人のキャラクターが延々と撃ち続けるのであれば、144戦闘ラウンド=15分弱が必要なのです(弾倉交換に必要な時間は無視)。
 あるいは、1戦闘ラウンドで無力化したいのであれば、1個中隊150人前後の兵士が一斉に1人の兵士を集中射撃しなければなりません。
 素人の遠距離射撃がいかに当たらないものか、実に良く分かる数字ですね。

 優秀なキャラクターが射撃する場合は、1人の目標を無力化するまで11回の射撃を行なうだけで済みます。
 1人のキャラクターが撃ち続けるのであれば、11戦闘ラウンド=1分強が必要。
 一斉射撃ならば1個分隊12名の兵士が必要でしょう。



 上記の難易度〈難:11+〉は、遠距離の目標が無防備に立っているか、あるいは、移動している状態での命中難易度です。
 もし目標が援護物に隠れているのであれば、難易度は1つ上昇。
 難易度〈至難:15+〉になってしまいました。
 無防備な目標であっても、超遠距離の目標であれば、やはり難易度が上がります。
 超遠距離で射撃する場合、「照準器付きのライフル」でなければ、射撃難易度は〈至難:15+〉になってしまうのです。

 命中難易度が〈至難:15+〉の場合、標準的なキャラクターでは何発撃っても敵兵を倒せません。悲しいことですが、それが現実です。
 優秀なキャラクターであっても同じですから、敵味方の双方が援護物に隠れた場合、いくら撃ってもお互いに損害を与えられないことになりました。
 完全な膠着状態です。
 こうなったら援護物を飛び出して、突撃を敢行したくなりますね。



 超遠距離の射撃で、さらに目標が援護物に隠れている場合、難易度は〈不可能:19+〉になりました。この場合も命中を全く期待できません。
 期待値計算も無意味です。



 今度は「無貫通」でも、フルオート射撃に切り換えてみましょう。

    表5 無貫通しか期待できない銃器のフルオート射撃による
       ダメージ期待値と無力化率の変化(基本ダメージを問わない)

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       表4 手榴弾が「完全貫通」した場合のダメージ期待値

 遠距離の命中難易度〈難:11+〉に変わりはありませんが、1回の射撃で3回の命中判定を行なえるようになりました。ですから、ダメージ期待値は3倍です。

 1人の目標を無力化するまでに、標準的なキャラクター48回の射撃を行なうだけで済むようになりました。
 1人の射撃ならば48戦闘ラウンド=5分弱
 1戦闘ラウンドで片付けるためには、1個小隊40人の一斉射撃が必要です。

 優秀なキャラクターの場合は、1人の目標を無力化するまで3〜4回の射撃を行なうだけで済みます。
 1人のキャラクターで3〜4戦闘ラウンド、1戦闘ラウンドで片付けるためには4人の兵士が居れば十分だということになりました。

 もしも1個小隊40名の兵士が撃ち合いを行ない、片方が標準的な兵士、もう片方が優秀な兵士である場合、優秀な兵士は味方3名の犠牲だけで、標準的な兵士1個小隊を殲滅できることが判明しました。
 互いの装備が拮抗している場合、兵士の質は、実に重要な要素となるでしょう。



 実は、「無貫通」+フルオート射撃を想定した戦場は、テックレベル13以上の歩兵同士が戦闘する場面でした。
 戦闘アーマー(装甲値10〜18)を装備していますから、磁気ライフル(貫通力7)を用いても、お互いに「貫通」を得られません。
 あるいは、テックレベル8〜9の世界の歩兵でも同様です。
 フラック・ジャケット(装甲値3)を着て、突撃ライフル(遠距離の貫通力は1)を撃ち合う情況ですので。
 遠距離/超遠距離射撃はライフル銃の命中率が低過ぎるので、「狙い撃ち」もほとんど無意味になりました。双方が援護物に隠れてしまえば、お互いに何の命中弾も得られませんから、相手にダメージを与えられないのです。
 こうなれば必然的に、支援火器の出番です。



 次は「部分貫通」の銃器です。
 具体例については、くどくなってきたので、省略。

    表6 部分貫通を期待できる銃器(ライフル)による
       ダメージ期待値と無力化率の変化(基本ダメージ3)

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 「部分貫通」の銃器を用いると、遠距離射撃、目標が援護物に隠れていない状態で、それなりのダメージ期待値を得られました。

 1人の目標を無力化するために必要な射撃回数は、標準的なキャラクター29回
 1人が撃ち続けるのであれば、およそ3分の射撃が必要です。
 1戦闘ラウンドで目標を無力化したいのであれば、1個小隊30〜40人の兵士による一斉射撃が必要になりました。

 優秀なキャラクターならば、1人を無力化するために必要な射撃回数は3〜4回
 「無貫通」+フルオート射撃と同レベルですから、1人のキャラクターで3〜4戦闘ラウンド、1戦闘ラウンドで片付けるためには4人の兵士が居れば十分だということになります。



 目標が援護物に隠れている場合、命中難易度は〈至難:15+〉です。
 標準的なキャラクターでは命中弾を期待できませんが、優秀なキャラクターならば、144回の射撃で1人の敵兵を無力化できました。
 敵兵が優秀な兵士である場合、味方が援護物に隠れていても安全ではないのです。
 1個小隊分の戦術ポイントを担った、優秀な狙撃兵の活躍も有り得ますね。

 安全確実な場所は、敵が「照準器なしのライフル」であるならば、超遠距離で援護物に隠れた状態。
 「照準器付きのライフル」に狙われているのであれば、遠方で援護物に隠れた状態、となります。



 続いて、「部分貫通」銃器のフルオート射撃を評価します。

   表7 部分貫通を期待できる銃器(ライフル)のフルオート射撃による
       ダメージ期待値と無力化率の変化(基本ダメージ3)

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 今回も、1回の射撃で3回の命中判定を行なえるようになりましたから、ダメージ期待値も3倍に増えています。

 1人の目標を無力化するため、標準的なキャラクター10回の射撃を行なえば済むようになりました。
 1人が撃ち続けて、10戦闘ラウンド=1分
 1戦闘ラウンドで片付けるためには、10人の一斉射撃が必要です。

 優秀なキャラクターの場合は、1〜2回の射撃で1人の目標を無力化できます。
 よほどサイコロ運が悪くない限り、2人の兵士が同じ目標を攻撃すれば、ほぼ確実に無力化が成功するでしょう。



 今回、「部分貫通」+フルオート射撃を想定できる戦場は、テックレベル10〜12の歩兵同士が戦う戦場です。
 極地戦闘スーツは装甲値6ですから、磁気ライフル(貫通力7)や戦闘ライフル(高速弾:貫通力6)を用いれば、「部分貫通」となるのです。
 援護物に隠れていても、優秀なキャラクターならば命中弾を得て、ダメージを与えることができるでしょう。

 お互いに対峙する距離は、超遠距離(250m)以上の距離にしなければなりません。
 そうしなければ、睨み合いを続けるだけで双方の兵力を消耗してしまいます。
 戦闘ライフルは「照準器」が標準装備ですから、超遠距離でも危険ですね。
 対峙する距離は、遠方(500m)以上にするべきでしょう。



 最後に、「完全貫通」になる銃器を評価します。

     表8 完全貫通を期待できる銃器による
        ダメージ期待値と無力化率の変化(基本ダメージ3)

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 「完全貫通」の銃器を用いると、遠距離の射撃、目標が援護物に隠れていない状態のダメージ期待値は、「部分貫通」に比べて倍増します。

 1人の目標を無力化するため、標準的なキャラクター10回の射撃で済むのです。
 1人が撃ち続けて、10戦闘ラウンド=1分
 1戦闘ラウンドで片付けるためには、10人の一斉射撃が必要です。

 優秀なキャラクターの場合、1〜2回の射撃で1人を無力化できます。
 2人の兵士が1人の目標を同時に狙えば、ほぼ確実に倒すことができるでしょう。
 「完全貫通」は一撃で与えるダメージが多いため、セミオート射撃であってもかなり強力だと言えます。



 目標が援護物に隠れている場合、命中難易度は〈至難:15+〉です。
 標準的なキャラクターでは命中弾を期待できませんが、優秀なキャラクターならば、29回の射撃で1人の敵兵を無力化できるでしょう。
 1人のキャラクターが29戦闘ラウンド=3分、撃ち続けるか、あるいは、1個小隊30〜40人の兵士が1人に向かって集中射撃を行なえば、1戦闘ラウンドで無力化できるのです。



 「完全貫通」銃器のフルオート射撃を評価します。

   表9 部分貫通を期待できる銃器(ライフル)のフルオート射撃による
       ダメージ期待値と無力化率の変化(基本ダメージ3)

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 「完全貫通」のフルオート射撃はダメージ期待値が非常に大きくなりました。
 上手く当てれば、1人が行なう1回の射撃で、2人以上の無力化が可能なのです。

 1人の目標を無力化するために必要な射撃回数は、標準的なキャラクター3〜4回でした。
 1人のキャラクターが撃ち続けるならば、3〜4戦闘ラウンドが必要ですし、1戦闘ラウンドで無力化したいのであれば、4人の集中射撃が必要です。

 優秀なキャラクターの場合、1人を無力化するために必要な射撃回数はほぼ1回
 4人が別々の目標を撃つならば、4人中3人の目標を無力化できます。



 目標が援護物に隠れている場合、命中難易度は〈至難:15+〉です。
 標準的なキャラクターは相変わらず命中弾を期待できませんが、優秀なキャラクターならば、10回の射撃で1人の敵兵を無力化できました。
 1人のキャラクターが撃ち続けるならば1分、1戦闘ラウンドで無力化したいならば10人の兵士が必要なのですが、援護物が頼りにならないという情況が明らかになってきました。

 援護物に隠れていても「完全貫通」の銃器に狙われたら、顔を覗かせた瞬間に撃たれて、即死してしまう可能性があるのです。
 結構、怖いですね。リアルに「西部戦線異状なし」をプレイできます。

 今更ですが、上記の情況はテックレベル5〜7の歩兵同士が戦う場面になります。
 歩兵が身に付ける防具はありませんから、装甲値は0です。
 歩兵の武装がセミオートのライフル突撃ライフルであっても、遠距離/超遠距離の貫通力は1ですから、「完全貫通」になりました。
 塹壕(援護物)に隠れていても危険ですし、突撃を敢行したりしたら、数回の射撃を受けるだけで全滅するでしょう。

 安全に対峙できる距離は、敵が「照準器なしのライフル」しか持っていないとしても超遠距離(250m)以上にしなければなりません。
 敵が「照準器付きのライフル」を装備していたら、遠方(500m)以上が必要です。



 以上、表4〜表9までのダメージ期待値と無力化率を、表10にまとめました。

      表10 各種銃器の有効性比較(ダメージ期待値と無力化率)

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 ダメージ期待値と無力化率を比較してみました。
 表の上半分、青字の部分は優秀なキャラクター(命中DM+4)が射撃した場合の数値で、表の下半分、赤字の部分は標準的なキャラクター(命中DM+1)が射撃した場合の数値です。
 今回は、銃器の有効性を比較するため、1人の目標を無力化する(累積4ポイントのダメージを与える)までに必要な、射撃回数を求めてみました。



 銃器の有効性(優先順位)は、第40回「個人戦闘6」で考察した中距離射撃の場合とほとんど変わりません。
 ごく一部、命中率が低い場合に、「完全貫通」のセミオート射撃が、「部分貫通」のフルオート射撃よりも上になったくらいでしょうか。
 「部分貫通」のフルオート射撃が「完全貫通」のセミオート射撃よりも有効性が高くなる状態は、難易度〈難〉で優秀なキャラクターが射撃をする場合だけです。



1.フルオート射撃が可能な「完全貫通」のライフル。

2.セミオート射撃しか出来ない「完全貫通」のライフル

3.フルオート射撃が可能な「部分貫通」のライフル。

4.セミオート射撃しか出来ない「部分貫通」のライフル。

5.フルオート射撃が可能な「無貫通」のライフル。

6.セミオート射撃しか出来ない「無貫通」のライフル。





矛と盾の関係:支援火器の出番


 支援火器とは、歩兵部隊を火力で「支援する」ための火器です。
 今回の考察では弾丸射出式の銃器(軽/重機関銃)しか扱いませんが、擲弾筒や迫撃砲、戦術ミサイルなども支援火器に含まれます。

 一般の歩兵が携行する銃器と比べて、より大きく、より重く、より強力であることが特徴でしょう。
 歩兵の銃器よりも「破壊力がある(対戦車兵器など)」か「より遠くの敵を撃てる」ようにしたため、大きく、重くならざるを得ないのです。



 テックレベル5〜6で主要な支援火器の地位を占めている、重機関銃について考えてみました。
 プレイヤーズ・マニュアルと帝国百科に記述はありませんが、この支援火器は、重い架台に載せられていることが一般的ですし、照準器も標準装備です。
 という訳で、重機関銃は「照準器+ジャイロ」付きのライフルである、とみなしても良いでしょう(私の独断)。

 歩兵がボルトアクションセミオートのライフルしか持っていない中、重機関銃だけが「照準器+ジャイロ」を装備し、フルオート射撃が可能な点は、とても重要です。
 歩兵のライフルは、超遠距離で援護物に隠れた目標を撃つことができません(いくら撃っても命中を期待できません)。
 しかし重機関銃は、同じ目標を狙い撃つことができるのです。
 フルオート射撃が可能ですから、一撃で無力化することも期待できるでしょう。

 具体的には、優秀なキャラクターに扱わせてダメージ期待値0.4、無力化率1.1%というわずかな数字ですが、撃たれる敵側は、超遠距離まで離れ、援護物に隠れていても安心できなくなった訳です。
 敵が重機関銃を装備している場合、対峙する距離は遠方以上に離れなければならなくなりました。

 色々と文献を調べていると、重機関銃が2〜4km先の目標を狙い、ピンポイントで命中させたという記述が見つかるのですが、MTにおいて、重機関銃の射程は超遠距離(〜500m)に制限されてしまっております。
 納得しかねることなのですが、ルールに明記されているので諦めましょう。
 個人的には、遠方(〜5km)までの射程があっても良いと思いますし、できれば、間接照準射撃も行ないたいくらいですが。



 次は、テックレベル6〜9における支援火器の代表、軽機関銃を考えます。
 「望遠照準器」が標準装備されているかどうかは、ちょっと分かりませんでした。超遠距離の射撃を行なう場合、とても便利な付属機器なのですけれど。
 「照準器」を装備している場合のメリットは、重機関銃と同じですので省略。
 中距離射撃における有用性、固定して使用するので自動的に「ジャイロ」装備扱いとなり、フルオート射撃が可能であることも省略して良いでしょう。

 さて、テックレベル6では、貴重なフルオート火器(場合によっては速射も可能)として活躍した軽機関銃も、テックレベル7になり、歩兵全てが突撃ライフルを持つようになると、その重要性が低下してしまうのでしょうか。
 いいえ、そんなことはありません。なぜなら、軽機関銃の減衰率は3だからです。
 遠距離の射撃において、軽機関銃はまだ、貫通力3を発揮できるのです。

 テックレベル7の歩兵は突撃ライフルと共にフラック・ジャケットを装備するようになりました。
 フラック・ジャケットの装甲値は3ですから、突撃ライフルの銃弾が命中すると、至近距離〜中距離においては「部分貫通」、遠距離以上では「無貫通」になります。
 「無貫通」の遠距離射撃がほとんど効かないことはすでに述べてきた通りですが、軽機関銃の場合、遠距離の射撃でも「部分貫通」を得られるのです。
 遠距離で射撃戦を行なう場合、優秀なキャラクターの扱う軽機関銃1丁は、標準的なキャラクター10名突撃ライフルに匹敵しますし、セミオートのライフルならば30名分の火力になりました。
 軽機関銃を1丁でも持っている分隊は、軽機関銃を持たない分隊と比べ、遠距離で2〜4倍の火力を発揮できるということなのです。
 近距離〜中距離の範囲まで接近できるならば、軽機関銃の利点を打ち消すことは可能ですが、果たして接近することは可能なのでしょうか。



 支援火器にとって都合の良い距離帯、都合の良い状況ばかりで評価してきましたが、これらの銃器が活躍する場所は、このような遠距離/長遠距離での射撃戦にあります。
 戦闘ライフル磁気ライフルのような反則兵器を持っていればともかく、遠距離/超遠距離での銃撃戦を行なう情況になったら、速やかに、火力支援を要求してください。
 また同時に、敵の支援火器の動向にも気をつけましょう。
 目の前の敵兵を制圧/全滅させて喜んでいるところへ、突然、遠距離から銃弾が撃ち込まれ、味方が全滅する可能性があるのです。




結論


 遠距離/超遠距離における銃撃戦を考察しました。



 貫通力の減衰によって、大半の個人用銃器は貫通力が半減します。
 そのため、中距離では「完全貫通」や「部分貫通」を得ていた銃器も、遠距離/超遠距離では「部分貫通」か「無貫通」にしかなりません。
 射撃の有効性は、それだけ低下してしまう訳です。
 減衰率3の戦闘ライフルや、減衰率4の磁気ライフルは例外ですが。



 貫通力の減衰以上に大きな問題は、遠距離での射撃難易度が〈難:11+〉であり、これ以上低くなることは有り得ないということです。
 そのため、命中DM+1の標準的なキャラクターでは、ほとんど命中を期待できなくなりました。
 特に「無貫通」の場合、その影響は顕著です。
 「部分貫通」か「完全貫通」を得られる銃器で、命中DM+4以上の優秀なキャラクターが射撃する場合を例外とすれば、一撃での無力化はとても困難になりました。



 目標が援護物に隠れてしまった場合、遠距離での射撃難易度は〈至難:15+〉まで上がります。
 標準的なキャラクターでは、どうやっても命中させることが出来ません。
 優秀なキャラクターであっても、こつこつとわずかなダメージを累積させて倒すか、多人数で集中射撃を行なうのでなければ、簡単に目標を無力化できません。
 それほど、命中が難しくなっているのです。



 「照準器」と「ジャイロ・スタビライザー(に相当する架台)」を装備している支援火器について考察してみました。
 MTのルールでは、機関銃(軽/重)の立場が貶められていると感じていましたが、遠距離/超遠距離射撃について、上記2つの装備が標準装備されていると考えるなら、これらの支援火器も活躍できるようです。

 個人的には、機関銃の最大射程を「遠方(〜5km)」まで延長した上、重機関銃の命中難易度を遠距離/超遠距離で〈並:7+〉、遠方で〈難:11+〉まで引き下げて欲しい(笑)。
 火器管制型(TL8)相当の命中難易度ですが、これくらいの射撃精度がないと、極東某国旧陸軍のドクトリンを実践できません。



2010.09.06 初投稿。