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The Best Weapon
44th stage ( Combat
8 )
Grenaders and Mortars

最強兵器 決定戦
第44回(個人戦闘8)
擲弾筒と迫撃砲

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MEGA TRAVELLER
 


 

支援火器使い方
  擲弾筒迫撃砲
    ついでに速射磁気砲プラズマガン



 前回の考察で判明した通り、遠距離/超遠距離における銃撃戦で敵兵を殲滅することは、その命中難易度の高さからして、極めて困難なことです。
 敵が援護物を確保して隠れてしまえば、困難の度合いはさらに増加します。
 大量の戦術ポイントを投入し、時間を掛けるならば殲滅も不可能ではありませんが、そのために費やされる時間が現実的ではありません。
 では、どうしたら良いのでしょうか。



 この問題については、昔から対策が色々と考えられていますので、先人の知恵を参考にしてみます。

 ひとつ目は、敵の側面や背後に回ること。
 複数
方向に対して防御効果を発揮する地形(援護物)は、滅多にありません。 側面や背後に迂回することで、敵の援護物無効化することが可能なのです。
 また、敵の戦力配置は通常、その正面に向けられています。 ですから、敵の側面から攻撃することで戦力の分散を強制できるでしょう。 もしも敵が対応しない(戦力配置を変更しない)のであれば、戦力差を活かして側面から潰していけますから、さらに好都合です。

 ふたつ目は、距離を詰めること。
 敵との距離を中距離、場合によっては近距離まで詰めることで、歩兵の持つライフル火力を増加させます。 前述の側面攻撃と組み合わせると、敵の援護物を無効化できるので、その火力は倍増。手榴弾の投擲も効果的です。
 もちろん、普通に近付いていくだけでは移動中を攻撃されて、味方は大損害を受けてしまいます。 あらかじめ、重機関銃などの支援火器で制圧しておくなど、準備は不可欠でしょう。

 みっつ目は、支援火器です。
 援護物に隠れて動かなく(動けなく)なった敵は、支援火器の良い的です。 動かない目標に対しては遠慮なく、支援火器の大火力を撃ち込みましょう。
 擲弾筒やプラズマ・ガンでまとめて吹き飛ばしてしまえば、味方の損害を最小限に抑えられます。

 恐らく、この方法が最善でしょう。
 遠距離/超遠距離から攻撃するのであれば、敵の反撃は同等の支援火器でしか考えられません。 敵に支援火器が無いのであれば、味方の命を危険に曝すこともなく、敵を攻撃できるのです。

 ただ、それらの支援火器がどの程度効果的なのか、良く分かりません。
 具体的に支援火器がどのような威力を持っているのか、また、どんな使い方をすべきなのか。 手榴弾の投擲を含めて、今回の考察では、これら支援火器の有効性を評価してみます。

 遠距離/超遠距離戦闘に関する考察の一環ですので、戦闘距離は遠距離と超遠距離に限定しました。 遠方(500m)以遠の考察は、次回以降です。





支援火器の貫通力


(1)工業〜前星間の支援火器

 テックレベル5〜7の世界において、野戦砲はその機動力が限られていました。ですから、必要な時、必要な場所へ、必要な数の野戦砲を投入することがとても困難なのです。
 そのため今回の考察では、数名の人数(人力)だけで運用が可能な砲兵器。擲弾筒無反動砲小口径の迫撃砲だけを取り上げました。さらに強力な大口径野戦砲は、また今度ということで。

 実は、機械動力で移動できる野戦砲(自走砲)は、第一次世界大戦中(1918)に初登場していた、という情報があります。それらの自走砲は活躍する機会も与えられず、戦間期の軍縮で消滅してしまいましたが(マール社の『武器』より)。
 まぁ一般的ではありませんから、テックレベル5以前の野戦砲は機動力なし、という想定で構わないでしょう。



 上記の支援火器を、弾丸射出型の支援火器(軽/重機関銃)、近距離/中距離戦闘の決め手である手榴弾などと比較してみます。
 距離帯によって異なる貫通力を比べてみました。表の右端には、巻き添え命中の致傷範囲も併記しておきます。

      表1 距離帯によって変化する、支援火器の貫通力と致傷範囲
              (工業〜前星間:TL5〜7)

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 支援火器の、それぞれの距離帯における貫通力です。

 この範囲のテックレベル(5〜7)において、陸戦の主力である歩兵は、防具を身に付けておりません(CT「傭兵部隊」の記述より)。
 ですから、貫通力が1以上あれば、どんな兵器であっても「完全貫通」になります。
 歩兵の死傷率が高そうですね。

 実際に、ライフル銃が普及するようになってから(南北戦争以降、第一次世界大戦が始まるまで)歩兵の負傷原因の筆頭は、敵兵のライフル射撃だったそうです。第一次世界大戦が始まってからは砲撃技術が格段に進歩したので、ライフルの地位が相対的に低下しましたが。
 この時代は1860年から1917年に相当しますので、テックレベル4全体と、テックレベル5の前半になります。

 例によって、青字は、防具無しの歩兵(装甲値0)を「完全貫通」できる貫通力。
 黄色字は、「部分貫通」できること。
 赤字は、「無貫通」にしかならないことを表しています。
 直接射撃兵器も扱っていますが、擲弾筒迫撃砲は間接射撃兵器ですので、ここでは「狙い撃ち」による装甲値の半減は無視しました。



 こうして並べてみると、軽/重機関銃の非力さが強調されてしまいますね。
 ローテク世界の歩兵は防具が無いので(装甲値0なので)どの機関銃も「完全貫通」していますが、支援火器の中で貫通力は最低レベルでした。
 おまけに致傷範囲を持たないので、1回の射撃で1つの目標しか攻撃できません。
 フルオート射撃+速射を利用したとしても、かろうじて9目標までです。
 数少ないメリットは、直接射撃兵器なので「妨害」が可能なことと、銃弾が軽いのでたくさんを持ち運べる(遠慮なく撃てる)ことでしょうか。後述する迫撃砲の榴弾1発は3kgの重量ですが、機関銃ならば同じ重量で100発です。



 手榴弾は、一応、遠距離への投擲も可能です。
 ただし筋力15のキャラクターが投げても5マス(=75m)が最大ですから、いくら身体を鍛えている兵隊といっても、筋力15のキャラクターが数多くいる、とは思えません。筋力8以上のキャラクターならば3マスの投擲が可能ですから、実用的な投擲距離は、この程度だと思います。
 ちょっと計算してみたところ、筋力4以下のキャラクターは、1マスの距離までしか手榴弾を投げられませんでした。
 最大投擲距離は、筋力5以上=2マス、8以上=3マス、11以上=4マス、14以上=5マスです。重力の影響は、面倒なので考慮していません。

 投擲された手榴弾は落下したマスで炸裂し、3メートル以内に居るすべての目標に「巻き添え命中」をもたらします。しかも基本ダメージ8の「完全貫通」で(貫通力9ですから、敵歩兵が装甲値3の『フラック・ジャケット』を着用していても、その結果は変わりません)。
 1.5メートルの屋内スケールを用いた場合は2マス(半径3.0メートル)の致傷範囲しか持たなかった手榴弾が、屋外スケールに変えるだけで15メートル四方(半径7.5メートル?)の致傷範囲を持ってしまう点は大いに疑問ですが、この問題は、後で考察することにします。



 とりあえず、考察の39回「手榴弾」で提案したハウス・ルールを用いて、手榴弾の殺傷力を再考してみました。

 表2 手榴弾の殺傷力、難易度〈易〉〜〈難〉で巻き添え命中判定を行なう場合。
      貫通状態は、「完全貫通」「部分貫通」「無貫通」の3段階。

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 手榴弾の貫通力が「完全貫通」を得られる場合、とても強力な殺傷力を発揮します。
 具体的には、不意討ちの状態〈易:3+〉ならば、15メートル四方のマス内に居る兵士の97.2%が、一撃で無力化。
 通常の戦闘状態〈並:7+〉ならば、58.3%が無力化、塹壕に隠れるなど援護物下〈難:11+〉であっても8.3%が無力化されます。
 塹壕に隠れているのに負傷するのはおかしいかもしれませんが、自分の隠れている塹壕の中へ手榴弾が飛び込んできた、と解釈してみました。目の前や足元で手榴弾が爆発したら、その兵士も只では済まないでしょう。あるいは破片の直撃が無くても、衝撃波でダメージを受ける可能性も考えられます。

 そもそも、手榴弾が狙ったマスに当たる(落ちる)のか? という疑問も見つかりました。「手投げ」の命中難易度は中距離(1〜2マス)で〈至難:15+〉、遠距離(3〜5マス)で〈不可能:19+〉だからです。
 しかし、39回「個人戦闘5:手榴弾」で考察した通り、中距離で投擲した手榴弾の多くは隣接マスに落下します(39回の表16をご覧下さい)。
 故意に「目標の隣接マスを狙って(笑)」8人(分隊規模)の兵士が一斉に手榴弾を投擲すれば、最低でもその内1発は目標と同じマスに落ちることでしょう。



 39回で考察したこともあり、一番分かり易いと考えて手榴弾をサンプルにしてみましたが、本来の目的は擲弾筒迫撃砲の威力を考察することです。
 上の表2を用いて、今度は支援火器の致傷力を求めてみましょう。



 榴弾を用いた擲弾筒は、テックレベル7から登場しました。
 この擲弾筒が普及することで、重機関銃のような弾丸射出型支援火器が廃れたということになっております(CT「傭兵部隊」の記述より)。部分的には正しいことなのでしょうね。極東島国の某旧陸軍は、すでにテックレベル5で実用化していた筈ですが。

 それはともかく、擲弾筒は非常に強力です。致傷範囲は7.5メートルですが、ルールは四捨五入ですから、隣接したマスにも「巻き添え命中」の判定を行なえます。
 貫通力は7で、防具無しの兵士が相手ならば「完全貫通」、基本ダメージは8。命中すれば、ほぼ確実な死が待っています。
 手榴弾と同じ致傷力を、5倍の面積(命中したマス+隣接した4マス)で発揮してしまいました。
 おまけに、命中率は距離に関わらず難易度〈難:11+〉です。
 優秀な射手(命中DM+4)に扱わせれば、命中率は50%以上であり、射撃が外れたとしても、その擲弾の多くは隣接マスに落下します(考察39回「手榴弾」の表15より)。
 高威力で長射程、その命中率も高いとなったら、重機関銃を駆逐していてもおかしくないかと思いますが、いかがでしょうか。



 60mm無反動砲は、2人掛かりで扱う軽量の砲兵器です。
 ハードタイムズ記載のデータによれば、本体重量は21kgで、砲弾1発が1.3kg。
 確かに1人で運用することは困難だと思われます。
 今回の考察では榴弾射撃しか検討していませんが、徹甲榴弾を用いるならば、対戦車/トーチカ攻撃にも使える筈です。
 軽/重機関銃と同じように直接照準兵器に分類されていますから、敵の行動に対する「妨害」が可能だというメリットも見つかりました。

 命中難易度には〈ライフル〉の欄を用いますが、無反動砲は〈ジャイロ+照準器〉を標準装備していると見なして良いでしょう(これも私の独断)。
 その場合、中距離で〈並:7+〉、遠距離〜超遠距離で〈難:11+〉の命中難易度になります。
 命中判定に失敗しても多くの場合、砲弾は狙ったマスの隣接マスで炸裂する訳ですから、目標の居るマスは確実に致傷範囲に収まります。
 通常の間接射撃と違い、炸裂の命中判定が次のラウンドに持ち越される訳でもありません。
 先手を取った場合、非常に効果的な制圧が可能なのではないでしょうか。
 貫通力が9で、ダメージ10ですから、手榴弾よりも強力です。



 60mm迫撃砲も、歩兵部隊に愛用される軽量の砲兵器です。
 57世紀の帝国陸軍のモデルとなった某陸軍では、小隊〜中隊の砲兵班が運用していました。
 まず何より、他の支援火器と比べて、射程が長い(遠方での砲撃が可能)ということは大きなメリットでしょう。
 最大射程は4kmですから、敵が同様の迫撃砲を持っていなければ、一方的な攻撃が可能になります。

 また、発射速度も高く、毎分39〜45発(1戦闘ラウンド=6秒当たり3〜5発)が発射可能でした。
 CT「傭兵部隊」のルールを採用するならば、人力でこの発射速度を保てるのは3分が最大だそうです。その3分間以降は、操作員の疲労や即応弾の消費によって、発射速度が10分の1に低下してしまいますが、目標の制圧には十分な時間でしょう。

 テックレベル5の場合でも致傷範囲が「10」ですから、隣接マスにも(半減した)致傷力が及びます。
 その上、〈照準−2〉技能を持つ兵士が砲撃を誘導したならば、1分間の射撃で撃てる30発の内、8発以上が狙ったマスへの命中を期待できます。現実の迫撃砲に比べてちょっと命中率が良すぎるような気もしますが、気にしてはいけません。
 そのマス内にいる敵兵が援護物無しの状態ならば、その半分、4発が命中した時点で敵兵は全滅しているということです(難易度〈並〉の「完全貫通」を想定)。
 塹壕などの援護物があったとしても、8発の命中があれば、マス内に居る兵士の半数を無力化できます(半数を失った歩兵戦力は、撤退するしかありません)。
 迫撃砲弾の破片を完全に食い止めるトーチカや装甲車輌の中に隠れていない限り、塹壕の中でも安心できないということが分かりました。
 実に恐ろしい話ですね。
 迫撃砲の長射程と威力の前には、擲弾筒無反動砲も霞んでしまいます




(2)前星間〜初期星間の支援火器

 テックレベル8〜9の世界になると、歩兵達は『フラック・ジャケット』という防具を身に付けるようになります。防具の装甲値は3しかありませんが、歩兵の主力火器は貫通力3(減衰率2)の突撃ライフルですから、貫通結果は良くて「部分貫通」、運が良ければ「無貫通」になり、有効性が大きく減じました。
 その結果、歩兵隊の生存率は上がったのでしょうか?

 残念ながら、テックレベル8〜9の世界において、弾丸射出型の支援火器(機関銃)が廃れ、榴弾発射型の支援火器(擲弾筒迫撃砲ロケット弾戦術ミサイルなど)がその主力になりました。歩兵を殺傷する役割は、より強力な支援火器が担うことになったのです。

 戦術ミサイルは、データが無いので省略しました。
 ロケット弾(MRL)については、エラッタにデータが掲載されていたので、次回以降の考察で、それを紹介する予定です。



 以下に、テックレベル8〜9の世界で利用されている支援火器を示しました。

      表3 距離帯によって変化する、支援火器の貫通力と致傷範囲
              (前星間〜初期星間:TL8〜9)

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 テックレベル8〜9の世界における支援火器の、各距離帯における貫通力です。
 前述の通り、歩兵は防具を身に付けるようになりましたから、上記の数字の色分けは装甲値3のフラック・ジャケットに対する貫通状態を示しています。



 軽機関銃は、その有効性を大きく減じました。
 その射撃を無視して突撃できるという程ではありませんが、軽機関銃の掃射で敵兵を片端から薙ぎ倒す、ということが困難になったことも事実です。



 擲弾筒は、ロケット推進式のRAM擲弾筒に切り替わりました。テックレベルの上昇と共に、より大きな(高威力の)擲弾を、より遠くまで送り届けることができるようになった訳です。
 具体的には、致傷力と致傷範囲の増加と、(超遠距離から遠方へ)最大射程の延伸が挙げられるでしょう。

 RAM擲弾筒のユニークな弾種として、フレチェット弾が登場しました。
 貫通力こそ2〜3と小さく、防具有りの目標には「無貫通」の結果しか期待できませんが、それでも全く構わないのです。フレチェット弾の真価は、その広大な致傷範囲にあるのですから。
 擲弾筒から発射されたフレチェット弾は、命中したマスを中心として幅1マス(15メートル)、前後6〜10マス(90〜150メートル)の範囲を一気に掃射してしまうのです。
 この範囲内にいる敵兵は、全員が「無貫通」によるダメージを受けます。
 そのダメージ期待値はわずか0.4しかありませんが、敵兵の数が100人でも1,000人でも、全員が同じようにダメージを受けるのです。
 これだけ多くの敵に、同時にダメージを与えられる個人携帯火器はそうありません。
 散開している敵兵をまとめて片付ける際には有効ではないでしょうか。
 射線の引き方や命中判定のルールなどに疑問点もあるのですが、使い方によっては、非常に強力な兵器となる筈です。

 RAM擲弾筒榴弾は、貫通力が9です。
 この貫通力ならば、フラックジャケット(装甲値3)を「完全貫通」できますから、十分に強力です。元通りの殺傷力、ほぼ確実な死傷を期待できることでしょう。
 残念ながら、貫通力が半減する隣接マスにおいては「部分貫通」まで威力が落ちてしまいました。せっかく致傷範囲が隣接マスまで届くのに、あまり意味がありません。



 手榴弾の貫通力も11に向上しました。
 より強力で手軽な兵器、RAMP擲弾筒が普及していますので、あまり使うこともないでしょうが。



 60mm迫撃砲は、貫通力が11に向上。
 そして、その致傷範囲が20メートルに広がりました。




(3)初期星間〜標準星間の支援火器

 テックレベル10〜12の世界では、歩兵は『極地対応戦闘スーツ』という防具を標準装備として、身に付けるようになります。その装甲値は6であり、フラック・ジャケットと比べ2倍の防御力を発揮しました。

 盾と矛は互いに競い合うものですので、当然のように、攻撃側の火力もエスカレートしてきます。歩兵の多くは、より進歩した戦闘ライフル(ACR)を用いるようになりました。
 『フラック・ジャケット(装甲値3)』を着た目標にも「完全貫通」を得られる銃器ですが、敵兵の多くも『極地対応戦闘スーツ(装甲値6)』を着るようになったため、「部分貫通」にしかなりません。

 この文明レベルでも、歩兵殺傷の主役は支援火器と砲兵器になりました。
 陣地に篭った敵兵に対しては後方から、迫撃砲弾ロケット弾(MRL)を撃ち込むことが一般的となりました。あるいは直接、戦術ミサイルを撃ち込むのです。
 CTのシナリオ「キンニール」やサプリメント「第五次辺境戦争」に掲載されている反重力APCが、30発の小型戦術ミサイルを搭載していたのは、対歩兵用だったという訳ですね。
 これを初めて読んだ当時の私には「ミサイル=対戦車向け」という固定観念しかありませんでした。ですから、この小型戦術ミサイルは成型炸薬弾を用いた対バトルドレス用だと決め込んでいたのですが。



 以下に、テックレベル10〜12の世界で利用されている支援火器を示しました。

      表4 距離帯によって変化する、支援火器の貫通力と致傷範囲
             (初期星間〜標準星間:TL10〜12)

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 テックレベル10〜12の世界における支援火器の、各距離帯における貫通力です。

 歩兵は『極地対応戦闘スーツ(装甲値6)』が標準装備となっていますので、「完全貫通」を得るためには、貫通力12以上。「部分貫通」でも貫通力6以上が必要になります。



 軽/重機関銃の代わりとして、速射磁気砲の利用が可能になりました。
 大きく、重いので必然的に車載/固定火器として運用される筈ですが、その貫通力は超遠距離でも21。極地対応スーツの「完全貫通」が可能なのです。
 フルオート射撃の目標数は「+4」ですから、速射と組み合わせれば、最大15目標への射撃も行なえます。
 命中難易度として、車載/操作班式火器の欄ではなく、ライフルを用いる点が納得できませんが、とにかく「当たれば」強力な兵器です。こんなものに狙われたら、塹壕(遮蔽物)から顔を出すことも出来ません。



 ついに12型プラズマ・ガンが登場しました。
 プラズマ状態にまで加熱した水素を、磁気場によって加速して撃ち出すという兵器であり、CT「傭兵部隊」の記述によれば、従来の支援火器の存在価値をほぼ失わせたそうです。
 ところがメガトラのルールにおいて12型プラズマ・ガンの威力は高く有りません。 貫通力20は確かに強力ですが、その威力を発揮できるのは近距離(5m以内)のみで、中距離では貫通力10、遠距離では貫通力5にまで減少してしまいました(減衰率1のせいです)。
 命中率はともかくとして、目標にダメージを与える能力は手榴弾にも劣るのです。
 こんな怪しい新兵器を使うくらいならば、擲弾筒の方がずっと良いと思います。直接射撃兵器であることはひとつのメリットですが、高価な割に使いにくく、威力が低すぎるでしょう。



 RAM擲弾筒の貫通力と致傷範囲はさらに大きくなりましたが、目標(歩兵)の装甲値も上がったため、貫通状態は「部分貫通」に低下しました。
 貫通力が半減する隣接マスでは「無貫通」にしかなりません。
 歩兵の装甲値が上がるに連れて、擲弾筒の有効性が薄れてきてしまったようです。他に有効な兵器が手元に無ければ、これを使うしかないのですが(苦笑)。



 この文明レベルでは、迫撃砲の代わりに小型MRL(多連装ロケットランチャー)が活用されるようになりました。歩兵小隊や歩兵中隊には、最低でも1台、このMRLを搭載したAPCが随伴している筈です。
 あるいは、より強力な遠隔操作式MRLを戦場に投下して、随時、火力支援を行なう方法もありますが、これは強力な野砲として考え、次回以降の考察に回しました。




(4)標準星間の支援火器

 テックレベル12〜13の世界では、歩兵は『戦闘アーマー』という防具が標準装備になりました。
 その装甲値は10です。テックレベル5〜7の世界規準では、装甲車並みの装甲値。
 手榴弾(貫通力9)が足元で爆発しても、擲弾筒(榴弾の貫通力は7)の直撃を受けても「無貫通」にしかなりません。もちろん例外的命中になれば少なからぬダメージを受ける訳ですが、敵兵(装甲値0)から見れば羨ましい限りでしょう。

 歩兵の多くは磁気ライフルを装備するようになりました。
 重機関銃以上の貫通力とダメージ、移動中も安定を保つジャイロ・スタビライザー、暗闇でも狙撃可能な電子照準器という、贅沢装備を備えた凶悪兵器です。
 敵兵が同等以上の防御力(戦闘アーマーやバトルドレス)を着用していないのであれば、どんな防具(フラック・ジャケットや極地対応戦闘スーツ)も貫通できますから、一方的な虐殺が可能になるでしょう。
 敵兵が同等以上の防御力を備えている場合には、やはり砲兵器の出番です。



 以下に、テックレベル12〜13の世界で利用されている支援火器を示しました。

      表5 距離帯によって変化する、支援火器の貫通力と致傷範囲
               (標準星間:TL12〜13)

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 テックレベル12〜13の世界における支援火器の、各距離帯における貫通力です。
 歩兵は『戦闘アーマー(装甲値10)』が標準装備となっていますから「完全貫通」のためには20以上の貫通力、「部分貫通」でも10以上が必要になりました。

 そんな大火力(高貫通力)を備えた携帯兵器が存在するのだろうかと疑問に思っていた訳ですが、この文明レベルになると車載火器(ガンシップの搭載兵器)による火力支援が当たり前となるようです。そのため、プラズマA砲フュージョンX砲の欄を追加しました。



 相変わらず速射磁気砲は、支援火器の主力です。
 どちらかというと、飛来するミサイルや砲弾を撃ち落すための拠点防御兵器(Point Defence Weapon)として用いられているような気もするのですが、それについてのルールを評価するまで、コメントは控えさせていただきましょう。
 装甲値10の戦闘アーマーに対しても「完全貫通」できる貫通力を備えています。



 12型プラズマ・ガンの発展型として、13型プラズマ・ガンが登場します。
 貫通力とダメージは増加しているのですが、減衰率1の哀しさ故、やはり役に立っておりません。
 メガトラにおいて、歩兵用のプラズマ・ガンは不遇の兵器なのです。



 プラズマ・ガンに活躍場所を奪われた、という設定なのでしょうか、RAM擲弾筒は廃れてしまい、この文明レベルではライフル発射擲弾のみが残っております。
 遠距離以上の射撃においては13型プラズマ・ガンよりもずっと効果的でしたが。



 敵兵の装甲値が上がったため、60mmMRLの殺傷力は擲弾筒並みに落ちてしまいました。開豁地を移動中の敵兵を殲滅するには十分な威力ですが、陣地や遮蔽物に隠れた敵兵を無力化するためには、少し物足りないようです。
 恐らく、より大きな貫通力を備えた、より大口径のMRLが用いられるのでしょう。
 このあたりの問題も、今後の考察課題にしておきます。



 プラズマA砲フュージョンX砲は、圧倒的な貫通力(それぞれ44と67)を発揮します。これらの射撃(砲撃)が命中したマスはもちろんのこと、貫通力が半減する隣接マスでも「完全貫通」になりました。
 狙われた敵兵は、開豁地を移動中ならば1発で確実に死亡。陣地や遮蔽物を利用していても、数発の連射(フルオート射撃)を受ければ多くが死傷してしまいます。
 はっきり言って、勝ち目(生存できる望み)はありません。
 これらのプラズマ砲フュージョン砲を搭載した敵のガンシップに狙われたのであれば、何らかの対戦車兵器で撃たれる前に撃破するか、見つからないことを祈って隠れるか、あるいは降伏するしか選択肢が無いように思えます。




(5)高度星間の支援火器

 テックレベル14〜15の世界において、歩兵は『バトルドレス』や『戦闘アーマー』を身に付けています。その装甲値は遂に18にまで達しました。これまで考察してきた歩兵の携帯火器だけを考えるならば、十分に無敵と言える装甲値でしょう。

 しかし、これまで述べてきたように、歩兵を殺傷する主役兵器は砲兵器に移ってきました。プラズマ砲フュージョン砲の貫通力に比べれば、装甲値18もそれほど有効ではありません。その有効性は、砲撃の至近弾(1〜3マス離れた場所への命中)による「巻き添え命中」を低減するレベルでしかないのです。
 もちろん、その装甲が無ければ、砲撃の「巻き添え命中」はすべてが「完全貫通」となり、歩兵の死傷率は非常識なほど大きなものになってしまうでしょう。その死傷率を少しでも下げるため、歩兵の防具は進化してきたとも言えるのです。
 ある意味、歩兵の防具は「砲撃の巻き添え命中」から身を守るためのものであり、敵歩兵の携帯する銃器への高い防御力は、オマケでしかないということですね。



 以下に、テックレベル14〜15の世界で利用されている支援火器を示しました。

      表6 距離帯によって変化する、支援火器の貫通力と致傷範囲
               (高度星間:TL14〜15)

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 テックレベル14〜15の世界における支援火器の、各距離帯における貫通力です。
 歩兵は『戦闘アーマー』か『バトルドレス』(どちらも装甲値18)を着用していますので、「完全貫通」のためには36以上の貫通力、「部分貫通」でも18以上が必要でした。当然ながら、歩兵用の携帯火器では、それだけの貫通力を得られませんが。



 速射磁気砲の貫通力をもっても、「部分貫通」しかできなくなりました。



 遂に登場した14型フュージョン・ガンは、ようやく実用的な支援火器の地位を確率します。
 中距離の貫通力34は、装甲値18の「部分貫通」が可能なのです。装甲値10以下の防具ならば「完全貫通」になりました。
 遠距離の貫通力は17に減少しますが、装甲値10に対して「部分貫通」、装甲値8以下の目標には「完全貫通」を得られます。
 直接照準射撃が可能、射撃回数が(実質的に)無制限というメリットは大きいと思います。



 ライフル発射擲弾は、進歩が止まりました。
 フュージョン・ガンを持たない(持てない)歩兵にとって、貴重な支援火器となっているようですが、徐々に廃れつつあるようです。



 プラズマC砲フュージョンZ砲は、さらに貫通力を高め、致傷範囲を広げました。
 プラズマC砲の至近弾(隣接マスの巻き添え命中)は、装甲値18に対して「部分貫通」しか与えられませんが、フュージョンZ砲はまだ「完全貫通」です。





手榴弾の致傷範囲


 投擲された手榴弾は落下したマスで炸裂し、 そのマス(15メートル四方の範囲)内に居るすべての目標に「巻き添え命中」をもたらします。 しかも基本ダメージ8の「完全貫通」で (敵歩兵が装甲値3の『フラック・ジャケット』を着用していても、結果は変わりません)。
 1.5メートルの屋内スケールを用いた場合は2マス(半径3.0メートル)の致傷範囲しか持たなかった手榴弾が、 屋外スケールに変えるだけで15メートル四方(半径7.5メートル?)の致傷範囲を持ってしまう点には疑問を感じますが、 ルールを簡易化するためには止むを得ないのでしょうか。



 とは言うものの、致傷範囲わずか1.5メートルのスナッブ・ピストルの榴弾1発が、 15メートル四方のマス内に居る大勢の兵士を死傷させる、という状況には我慢がなりません。 ですので、自分なりにハウス・ルールを考えてみました。
 このような問題は、常識に従ってレフリーの裁量で判断すべきだと思いますが、屋外スケールを用いた戦闘で、 致傷範囲15メートル未満の兵器によって、そのマス内の兵士がどれだけ死傷する確率があるか、計算してみました。



2011.12.08加筆

 レフリーズ・コンパニオン(MT Referees Companion)の中に書かれている、大規模戦闘ルール(Large Scale Combat)を訳しました。
 その記述から、榴弾(HE)の致傷範囲は、正方形として扱うことが判明し、そのルールに合わせて、図7と表8を作り直しています。


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     図7 屋内/屋外戦闘スケールの(1.5m/15mマスの)対照図

 屋内戦闘スケール(1.5mマス)の致傷範囲が、屋外戦闘スケールの15mマスでどの程度の大きさになっているか、示しています。
 屋内戦闘スケールのマスが100マスで、屋外戦闘スケールの1マスに相当していますから、 屋内戦闘スケールの致傷範囲が100マス以上になれば、屋外戦闘スケールでも1マスの致傷範囲を持っていることになります。


 表8 屋外戦闘スケールを用いている場合、致傷範囲15m未満の兵器によって、
     マス内のキャラクターが巻き添え命中を受ける確率(ハウス・ルール)        

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 狙った目標(キャラクターや車輌)以外にも、同じマス内に敵味方のユニットが存在する場合、 それらが「巻き添え命中」を受けるかどうかサイコロを振って決めるというハウス・ルールです。
 ちょっと手順が煩雑になりますので、採用が躊躇われますね。
 目標の中に重要なPCやNPCが含まれていない限り、レフリーの裁量で適当に決めてしまう方が楽でしょう。





結論


 前回の考察「個人戦闘7:遠距離/超遠距離戦闘」によって、 遠距離/超遠距離における銃撃戦が、あまりにも難しく、効果を期待できないものに変わってしまいました。
 メガトラの個人戦闘ルールにおいて歩兵用のライフルは、その有効射程が中距離から遠距離に限定されているのです。
 そこで、歩兵用のライフルに変わる兵器、支援火器による攻撃を考察しました。



 副題の通り、擲弾筒迫撃砲、そしてさらに 速射磁気砲(VRF)とプラズマ・ガン(フュージョン・ガン)まで登場させた訳なのですが、 それらが登場する高レベル文明になると、目標(敵歩兵)の装甲値が上がってしまうため、新登場の兵器もほとんど役に立たないことが判明しました。
 人力で運べる支援火器(擲弾筒や小型の迫撃砲)が役に立つのは、 テックレベル9が限界なのでしょう。

 もちろん、目標(敵歩兵)がその文明レベルに見合った防具を身に付けていないのであれば、携帯式の支援火器も十二分に威力を発揮します。
 つまり、状況によるとしか言えません。



 考察の43回「個人戦闘7」において、十分に有効な兵器だと思われていた機関銃が、 擲弾筒や迫撃砲に比べて、火力に劣ることが判明しました。
 持ち運びが簡単、設置/準備時間が不要、弾薬消費が少ないという利点を活かせば、まだ活躍できると思いますが、 それも低いテックレベルに限定されます。

 テックレベル10で登場する速射磁気砲は、基本的に車載兵器となりますが、機関銃の代わりに成り得ました。 その高い貫通力はとても魅力的です。
 しかし、面制圧を行なえる擲弾筒やプラズマ砲には見劣りします。 一度にダメージを与えられる目標数が、フルオート目標数(+速射)に制限されているためなのですが、 反対に、周囲への余計なダメージを抑制できるというメリットにも成り得るでしょう。
 これも状況による、ということですね。



 残念なことですがメガトラのルールにおいて、プラズマ・ガンが支援火器としては使い難い兵器だと確認できました。 貫通力とダメージだけを見れば申し分ないのですが、減衰率が1しかないため、中距離でも貫通力が半減してしまうのです。
 中距離の装甲目標を吹き飛ばすには十分ですが、遠距離の目標には非力でしたから、私の考える支援火器としては使用できません。
 せめて、減衰率がフュージョン・ガン並みの2であれば、もう少し使いやすかったと思うのですが。

 フュージョン・ガンは、それなりに使える兵器でした。
 できれば、減衰率を3〜4にして欲しかったところですが、遠距離/超遠距離の射撃で 「部分貫通」を得られれば十分でしょう。

 使い勝手の悪い携帯式「エネルギー兵器」の代わりに、高テックレベルにおける主力支援火器となる存在が、 車載式の「高エネルギー兵器」、プラズマ砲フュージョン砲です。
 高テックレベルの管制装置によって得られる、高命中率(低い命中難易度)と大きな貫通力によって、 命中地点の歩兵をまとめて吹き飛ばすことが出来るのです。
 相手がどんな防具を身に付けていようと、ほとんど関係ありません。



 本当ならば、もっと大口径の野砲MRLの評価も行ないたかったのですが、 携帯式の支援火器だけでも結構な量になりましたので、次回以降に回しました。



2011.02.13 初投稿。
2011.12.08 手榴弾の致傷範囲を書き直して、再投稿。