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The Best Weapon
9th stage ( Fighter 2
 )

最強兵器 決定戦
第9回 (戦闘艇2)

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 もしも航空機が、戦艦と同等の攻撃力を、
   より安価に発揮できるならば、

    その時点で、戦艦の存在意義消滅する。


 第二次世界大戦の前後にかけて、水上戦闘艦艇の王者だった戦艦が、「敵戦力吸引のための囮」、あるいは「対地攻撃のための砲台」にまで成り下がってしまった理由が、航空機の発達にあることは、間違いないことだと思います。
 それはつまり、大型化と高性能化によって、航空機大型爆弾魚雷を使えるようになり、戦艦並みの攻撃力を発揮できるようになった結果なのでしょう。


 逆に考えてみると、何らかの理由で航空機大型爆弾魚雷を使えず、その攻撃力が小型爆弾機関銃止まりであったならば、戦艦並みの攻撃力を発揮することは有り得ません。

 例えば火薬の製造技術が遅れており、航空機に搭載できる大型爆弾魚雷が、破壊力の劣ったものしか作れなかったとしたら、どうでしょう?
 火薬の製造技術が遅れていれば、戦艦に搭載された主砲の威力も小さくなりますが、その問題は、装薬の量を増やすことで簡単にカバーできます。

 しかし、火薬の爆発力に威力を依存する大型爆弾魚雷では、同じ問題を解決できません。
 破壊力を高めるために炸薬を増やしたとしたら、ただでさえ大きい大型爆弾魚雷はさらに巨大化してしまいます。
 大型化、高性能化した航空機にも、それらを搭載することは出来ませんし、使うことも出来ません。
 結局、航空機に搭載できる兵器の破壊力が、戦艦の主砲に及ばないような状況では、当然のことながら、戦艦並みの攻撃力航空機が発揮することは出来ないのです。

 航空機の機動力は、戦艦の機動力をはるかに凌駕しており、コスト面の優位も明らかですが、ただそれだけです。
 肝腎の攻撃力戦艦に及ばないのであれば、何時まで経っても、航空機戦艦の地位を奪うことは不可能です。
 そんな状況が有り得るとしたならば、古代テラの海洋は、20世紀の末になっても、戦艦の支配する世界だったかも知れません。


 前回は、大型戦闘艇の生存性(回避能力と耐久力)について考察しました。

 今回の考察は、大型戦闘艇の攻撃力についてです。
 大型戦闘艇の攻撃力は、主力艦の地位を揺るがすほどのものなのでしょうか。
 それとも、単にわずらわしい程度なのでしょうか。


 大したことではないのですが、大型戦闘艇を搭載するための艦隊空母を1つ設計してみました。
 その空母は1万9千トン、ジャンプ4、2G加速の性能で、大型戦闘艇60機を搭載しています。
 そして、艦隊空母3隻(+大型戦闘艇180機)分の建造費は、デンドリーン級軽巡洋艦2隻(+大型戦闘艇20機分)とほぼ等しくなりました。

 巡洋艦2隻+大型戦闘艇20機と、艦隊空母に輸送される大型戦闘艇180機は、どちらがより強力なのでしょうか?




大型戦闘艇による、各種攻撃の命中率

 
 大型戦闘艇が、2万トン〜6万トン(サイズDM+1)の大型艦を攻撃した場合の、各種兵器の命中率を計算してみました。

 2万トン〜6万トンということは、民間商船なら恒星間通商の基幹を担う大型商船、軍用艦ならば、兵員輸送艦から補給艦巡洋艦バトルライダーなどに相当するサイズです。
 大型戦闘艇が優先的な攻撃目標として選ぶには、手頃な目標だと言えるでしょう。

 通商破壊作戦に、大型戦闘艇を用いること(つまり、目標を民間商船にすること)を考慮して、目標の移動力は0(ゼロ)を想定しました。
 テックレベルが15以下の場合は、コンピュータのモデル差も修正してありますが、民間商船ならば、必ずしもモデル9のコンピュータを搭載しているとは限りません。
 命中率は、さらに高くなる可能性があります。


     表1    大型戦闘艇による、各種攻撃の命中率(遠距離)

攻撃側

ミサイル

ミサイル

Bレーザー

フュージョン

プラズマ・

 

3門

1門

1門

・ガン1門

ガン1門

TL

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

15

3

4+

2

5+

2

7+

5

不可

3

不可

14

3

5+

2

6+

2

8+

5

不可

3

不可

13

3

6+

2

7+

2

9+

4

不可

3

不可

12

2

8+

1

8+

1

11+

4

不可

3

不可

11

2

9+

1

9+

1

12+

なし

2

不可

10

2

10+

1

10+

1

13+

なし

1

不可

9

2

11+

1

11+

1

14+

なし

なし

8

2

12+

1

12+

1

15+

なし

なし

7

2

12+

1

12+

1

15+

なし

なし


 移動力=0民間商船、あるいは軍用艦艇であっても、低い移動力しか持たない兵員輸送艦補給艦にとって、敵の大型戦闘艇は大きな脅威と成り得ます。
 大型戦闘艇の一般的な武装である、単架のミサイル(攻撃力2)も、単架のビーム・レーザー(攻撃力2)も、遠距離からの攻撃では、半分以上の確率で目標に命中するのですから。

 テックレベル12以下の戦闘艇からの攻撃も、十分な脅威です。
 数さえ用意できるなら、テックレベル7の艦艇からのミサイル攻撃さえも、命中する可能性があると判明しました。


     表2    大型戦闘艇による、各種攻撃の命中率(近距離)

攻撃側

ミサイル

ミサイル

Bレーザー

フュージョン

プラズマ・

 

3門

1門

1門

・ガン1門

ガン1門

TL

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

15

3

5+

2

6+

2

6+

5

5+

3

6+

14

3

6+

2

7+

2

7+

5

6+

3

7+

13

3

7+

2

8+

2

8+

4

7+

3

8+

12

2

9+

1

9+

1

10+

4

8+

3

9+

11

2

10+

1

10+

1

11+

なし

2

10+

10

2

11+

1

11+

1

12+

なし

1

12+

9

2

12+

1

12+

1

13+

なし

なし

8

2

13+

1

13+

1

14+

なし

なし

7

2

13+

1

13+

1

14+

なし

なし


 近距離において、ミサイルの命中率は低下しますが、代わりにレーザー兵器の命中率が向上します。

 目標となった大型艦の防御兵器(散乱砂砲ビーム兵器スクリーン)にもよりますが、多数の命中弾を受けることは、間違いありません。




大型艦に対する、損傷期待値

 
 次に、大型艦が受ける損傷の期待値を計算しました。

 大型戦闘艇からの核ミサイル攻撃(攻撃力2)は、目標艦が核中和装置を備えている場合、完全に防がれてしまいます(考察の第5回「スクリーン」を参照して下さい)。
 ですから、大型戦闘艇の場合、核ミサイルによる攻撃は期待できません。
 以下の表はミサイル(非核弾頭)レーザー(ただし、パルス・レーザーを除く)エネルギー兵器による攻撃を受けた場合の損傷期待値です。

 攻撃に参加する大型戦闘艇は100機。
 その武装は、単架のミサイル(火力2)、単架のビーム・レーザー(火力2)、単架の散乱砂砲(防御力3)を想定しています。
 1機の大型戦闘艇は、ミサイルレーザーで1回ずつの攻撃が可能ですから、100機の大型戦闘艇は、合わせて200回の攻撃を行うことになります。

 目標艦の防御兵器については、考慮していません。 


   表3  大型戦闘艇100機による、集中攻撃の損傷期待値(装甲DM=0
          ミサイル(非核弾頭)ビーム・レーザーによる攻撃

 

 

移動力=0

移動力=1

移動力=2

移動力=3

移動力=6

命中率 6+

命中率 7+

命中率 8+

命中率 9+

命中率 12+

通常ドライブ−1

7

28.1

22.7

16.2

10.8

1.1

燃料−2

3

12.0

9.7

6.9

4.6

0.5

燃料−1

9

36.1

29.2

20.8

13.9

1.4

燃料損傷合計

 

60.2

48.6

34.7

23.1

2.3

兵器−3

1

4.0

3.2

2.3

1.5

0.2

兵器−2

4

16.0

13.0

9.3

6.2

0.6

兵器−1

12

48.1

38.9

27.8

18.5

1.9

兵器損傷合計

 

92.3

74.5

53.2

35.5

3.5


 民間商船兵員輸送艦など、移動力=0の艦艇の場合、通常ドライブは28回、燃料は60回、兵器は92回の損傷を受けると予想されます。

 民間商船は経済的な1G加速、兵員輸送艦などは帝国基準の2G加速の性能を持っていると考えられますから、目標艦を移動不能にすることが目的ならば、戦闘艇100機の一撃でもって、14〜30隻弱の輸送船を移動不能に陥れることが出来る訳です。
 輸送船団の足止めを狙うならば、これほど効果的な攻撃はないでしょう。
 通常ドライブを破壊された輸送船は、応急修理を終えるまで、慣性航行を続けるしかありませんから、その間に、より多数の通商破壊艦を呼び集めることが出来ます(あるいは、強力な護衛船団が拘束されている間に、他の空域で積極的な通商破壊を行なえる訳です)。

 燃料タンクの損傷は、60回でした。
 かろうじて、商船または兵員輸送艦1隻をジャンプ不能な状態に追い込むことは可能ですが、その程度の損傷でしかありません。

 兵器の損傷は、92回です。
 目標艦艇が、(バトルライダー輸送用の)輸送母艦であったり、(戦闘艇輸送用の)艦隊空母であったりすれば、自己防衛用の兵器を山ほど備えているでしょうから、意味のないことではありません。
 しかし、決定的な打撃になることは期待できないでしょう。


 移動力=1の欄は、目標艦の移動力が1の場合、移動力=0と比べて、どれだけ損傷期待値を減らせるか、検討するための数値です。
 通常ドライブは23回、燃料は49回、兵器は75回。
 損傷の回数は明らかに減っているですから、意味がないことはありませんが、移動力=1を確保するために費やされる努力を考えると、無意味なことと思えてきます。


 移動力=2移動力=3の欄も同様です。
 移動力には攻撃の命中率を下げる効果がありますから、移動力を増やすことは決して無意味ではありません。
 しかし、通常ドライブの損傷はわずか1回の命中だけで、宇宙船の加速力を1G分(そして同時に移動力も1つ)下げてしまいます。
 その結果として、宇宙船は容易に移動不能の状態に陥ってしまいますから、移動力の増加は、問題点の解決になりそうもありません。


   表4   大型戦闘艇100機による、集中攻撃の損傷期待値(移動力=0
        ミサイル(非核弾頭)ビーム・レーザーによる攻撃(近距離)

 

装甲DM=0

装甲DM=1

装甲DM=2

装甲DM=3

装甲DM=6

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

通常ドライブ−1

28.1

20.1

12.0

8.0

0.0

燃料−2

12.0

8.0

4.0

0.0

0.0

燃料−1

36.1

40.1

44.1

48.1

36.1

燃料損傷合計

60.1

56.2

52.2

48.1

36.1

兵器−3

4.0

0.0

0.0

0.0

0.0

兵器−2

16.0

12.0

8.0

4.0

0.0

兵器−1

48.1

64.2

76.2

84.3

84.3

兵器損傷合計

92.1

88.3

92.3

92.3

84.3


 装甲DM=0の場合の損傷期待値と比べて、装甲DM=1装甲DM=2の場合の損傷期待値は、大きく減少しています。

 燃料の喪失や、兵器の損傷は大きな変化を示していませんが、通常ドライブの損傷に関してならば、劇的とも言える減り方でしょう。
 大型戦闘艇100機の攻撃を受けて、移動不能になる艦艇の数は、

 装甲DM=0ならば、14〜30隻弱
     =1ならば、10〜20隻。  
     =2ならば、 6 〜12隻
     =3ならば、 4 〜 8隻
     =6ならば、  0隻
 
 以上のように、大型戦闘艇が大型艦に与えることのできる損傷期待値は、装甲DMの影響を大きく受けることが分かりました。
 大型戦闘艇の攻撃は、装甲による防御に弱いのでしょうか。


 ところで、この章の始めでは「大型戦闘艇の場合、核ミサイルによる攻撃は期待できません」と断言してしまいましたが、核ミサイル攻撃が有効になる状況も、実は幾つか有り得ました。
 目標が核中和装置装備していない場合(軍用の大型艦艇では有り得ませんが、民間商船ならば有り得ます)か、装備していても使用できない場合(パワープラントの損傷か燃料の全喪失でエネルギーを供給できない、核中和装置自体が破壊された場合など)です。
 そのような場合には、大型戦闘艇からの核ミサイル攻撃も、有効になるでしょう。

 核ミサイルビーム・レーザーによる攻撃の損傷期待値を、以下に示します。

   表5  大型戦闘艇100機による、集中攻撃の損傷期待値(装甲DM=0
         核ミサイルビーム・レーザーによる攻撃  (近距離) 

 

 

移動力=0

移動力=1

移動力=2

移動力=3

移動力=6

命中率 6+

命中率 7+

命中率 8+

命中率 9+

命中率 12+

致命的損傷

1

2.0

1.6

1.2

0.8

0.1

内部損傷

9

18.1

14.6

10.4

6.9

0.7

通常ドライブ−2

5

10.0

8.1

5.8

3.9

0.4

通常ドライブ−1

12

24.1

19.4

13.9

9.3

0.9

通常ドライブ計

 

44.1

35.6

25.5

17.0

1.7

探知器−2

9

18.1

14.6

10.4

6.9

0.7

探知器−1

3

6.0

4.9

3.5

2.3

0.2

探知器合計

 

42.1

34.0

24.3

16.2

1.6

燃料−3

6

12.0

9.7

6.9

4.6

0.5

燃料−2

6

12.0

9.7

6.9

4.6

0.5

燃料−1

9

18.1

14.6

10.4

6.9

0.7

燃料損傷合計

 

78.2

63.2

45.1

30.1

3.0

兵器−4

4

8.0

6.5

4.6

3.1

0.3

兵器−3

6

12.0

9.7

6.9

4.6

0.5

兵器−2

13

26.1

21.1

15.0

10.0

1.0

兵器−1

13

26.1

21.1

15.0

10.0

1.0

兵器損傷合計

 

146.5

118.3

84.5

56.3

5.6


 表3より、非核弾頭によるミサイル(+ビーム・レーザー)攻撃の場合、移動力=0の大型艦艇は、
  通常ドライブ−28回、燃料−60回、兵器−92回
 の損傷を受けると予想されました。
 
 一方、核ミサイル(+ビーム・レーザー)攻撃の場合は、
  通常ドライブ−44回、燃料−78回、兵器−147回
 の損傷が予想され、さらに、
  致命的損傷−2回、内部損傷−18回、探知器−42回
 などの損傷が追加されます。

 通常ドライブと兵器損傷の回数は、1.6倍。燃料の損傷回数は、1.2倍。
 内部損傷18回は大したことのない損傷ですが、42回の探知器損傷は、探知器のほぼ全てを失い、盲目になることを意味しています。
 また、2回の致命的損傷は、文字通り致命的になるでしょう。



   表6   大型戦闘艇100機による、集中攻撃の損傷期待値(移動力=0
          核ミサイルビーム・レーザーによる攻撃  (近距離)

 

装甲DM=0

装甲DM=1

装甲DM=2

装甲DM=3

装甲DM=6

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

致命的損傷

2.0

0.0

0.0

0.0

0.0

内部損傷

18.1

12.0

6.0

2.0

0.0

通常ドライブ−2

10.0

8.0

6.0

4.0

0.0

通常ドライブ−1

24.1

24.1

24.1

22.1

14.0

通常ドライブ計

44.1

40.1

36.1

30.1

14.0

探知器−2

18.1

14.0

10.0

6.0

0.0

探知器−1

6.0

8.0

10.0

12.0

6.0

探知器合計

42.1

36.1

30.1

24.1

6.0

燃料−3

12.0

10.0

8.0

6.0

0.0

燃料−2

12.0

12.0

12.0

12.0

6.0

燃料−1

18.1

22.1

26.1

30.1

36.1

燃料損傷合計

78.2

76.2

74.2

72.2

48.1

兵器−4

8.0

6.0

4.0

2.0

0.0

兵器−3

12.0

12.0

10.0

8.0

2.0

兵器−2

26.1

30.1

30.1

30.1

18.1

兵器−1

26.1

38.1

52.2

68.2

106.3

兵器損傷合計

146.5

158.5

158.5

160.5

148.5



 装甲DM=0の場合と、装甲DM=1の場合とでは、致命的損傷が有り得るか、否かの決定的な違いがあります。

 内部損傷の回数も顕著に減少していますが、DM無しの内部損傷(内部損傷表の2〜12の範囲)は、大した被害をもたらしません。
 20回以下の回数ならば、無視して良い程度です。

 通常ドライブの損傷に関して、移動不能になる艦艇の数は、

 装甲DM=0ならば、22〜45隻
     =1ならば、20〜40隻。  
     =2ならば、18〜36隻
     =3ならば、15〜30隻
     =6ならば、 7〜14隻
 
 以上のように減少させることは出来ますが、非核弾頭のミサイルの場合と違い、決定的ではないようです。

 燃料と兵器の損傷回数も、装甲DM=0〜3の範囲では、大差ありません。
 兵器損傷の場合は、逆に増加している場合があるほどです。

 大型戦闘艇が大型艦に与えることのできる損傷期待値は、核ミサイルの場合、装甲DMの影響があまりないと分かりました。 



精密射撃の活用

 
 レフリーズ・マニュアルのp97、「宇宙戦闘ルール」のページに「精密射撃」というルールがあります。

「視認距離で射撃する場合、目標の特定の場所に狙いをつけることができます。
 この場合は通常の射撃と同じように命中判定を行ないますが、通常成功は失敗の扱いになります。
 例外的成功なら、命中箇所を指定することができます(対応する「損傷表」で、好きな結果が出るまでサイコロを何度でもふることができます)。
 ”例外的成功+2”以上の成功ならば命中箇所を指定し、致命的命中を与えます。」

 つまり、視認距離で「精密射撃」を行なうと宣言するならば、 通常攻撃の命中率が6+である場合、「精密射撃」は8+で命中し、命中箇所を指定できます。
 サイコロの目が10+ならば、上記に加えて、さらに致命的損傷を1回与えることが出来ました。

 「精密射撃」で指定できる損傷は、上記の通り、普通にサイコロを振った場合に与えられる損傷の中から、選ばなければなりません。
 例えば、攻撃力2のミサイル(非核弾頭)ビーム・レーザーであり、目標艦の装甲DM=0であれば、外部損傷表の2〜12の範囲内から選ぶことになります。

 外部損傷表の2〜12の範囲内には、通常ドライブ−1、燃料−2、燃料−1、兵器−3、兵器−2、兵器−1の6種類の損傷が存在しています。
 わざわざ小さな損傷を選ぶプレイヤーはいないでしょうから、選ばれる損傷は、通常ドライブ−1、燃料−2、兵器−3の3種類に絞られました



 さて、例のごとくMAG様に原文マニュアルを翻訳していただいたのですが、意外なことに、原文マニュアルには「通常成功は、失敗の扱いになります」の記述が存在しません。
 「通常成功は、通常の命中として扱う」ようなのです。
 「精密射撃」は、メリットばかりで、デメリットが存在しないのでしょうか?
 ある意味、視認距離まで接近することも大変ですが、大型戦闘艇の6G加速ならば、大した苦労も要らないでしょう。

 何となく、納得できないものを感じますので、以下の表に示した「精密射撃」の損傷期待値は、3つに分けて計算しました。
 通常ドライブを例にとって説明すると、

 最上段の「通常ドライブ損傷」は、「例外的成功」になって、命中箇所をすべて通常ドライブに集中した場合の損傷回数(期待値)です。
 「通常成功を、失敗として扱う」ならば、緑色で示された、これだけの損傷しか与えられません。

 中段の「通常命中分」は、「通常成功を、通常の命中として扱う」場合の、「通常成功」による損傷回数(期待値)です。
 この損傷は、命中箇所を指定できません。
 サイコロの振り直しも認められませんので、期待値通りの損傷回数が与えられます。
 損傷回数(期待値)の「最小値」と呼んでも良いでしょう。

 下段の「損傷最大値」は、最上段の数値と、中段の数値を足したものです。
 「例外的成功」の結果を、すべて通常ドライブの損傷に集中したならば、最大値、赤色で示された、これだけの損傷を与えられることになります。

 致命的損傷の損傷回数(期待値)は、どちらの解釈でも変わりません。

 一応、ルールを原文通りに解釈すると、以上のようになりますが、レフリーとプレイヤーの相談によって、解釈を変更することも有り得るでしょう。


 大型戦闘艇100機が、大型艦艇に対して精密射撃を行なった場合の損傷期待値を、以下に示します。

  表7  大型戦闘艇100機による、精密射撃の損傷期待値(装甲DM=0
       ミサイル(非核弾頭)ビーム・レーザーによる攻撃(視認距離)

 

移動力=0

移動力=1

移動力=2

移動力=3

移動力=6

命中率 6+

命中率 7+

命中率 8+

命中率 9+

命中率 12+

通常ドライブ損傷

28.1

22.7

16.2

10.8

1.1

燃料損傷

60.2

48.6

34.7

23.1

2.3

兵器損傷

92.3

74.5

53.2

35.5

3.5

 

精密射撃8+

精密射撃9+

精密射撃10+

精密射撃11+

精密射撃14+

通常ドライブ損傷

83.3

55.6

33.3

16.7

0.0

通常命中分

11.9

11.9

9.7

7.6

1.1

損傷最大値

95.2

67.4

43.1

24.2

1.1

燃料損傷

166.7

111.1

66.7

33.3

0.0

通常命中分

25.5

25.5

20.8

16.2

2.3

損傷最大値

192.1

136.6

87.5

49.5

2.3

兵器損傷

250.0

166.7

100.0

50.0

0.0

通常命中分

39.0

39.0

31.9

24.8

3.5

損傷最大値

289.0

205.7

131.9

74.8

3.5

 

 

致命的10+

致命的11+

致命的12+

致命的13+

致命的16+

致命的損傷

33.3

16.7

5.6

0.0

0.0


 表7の上半分は、通常攻撃を行なった場合の損傷期待値、下半分が、精密射撃の場合の損傷期待値です。
 通常攻撃の場合、上半分に書かれた全ての損傷が与えられるのですが、精密射撃は、指定された1つの損傷(通常ドライブのみ、燃料のみ、あるいは兵器のみ)だけしか、与えられません。

 それにしても、精密射撃による損傷の期待値は、通常攻撃に比べて、はるかに大きくなりました。

 通常ドライブの損傷は95回を期待できますから、移動不能に陥れることができる、民間商船兵員輸送艦の数は、45〜90隻以上になるでしょう。
 通常攻撃と比べて、およそ3倍の隻数です。

 燃料の損傷期待値も192回ですから、3倍以上でした。
 燃料満載の宇宙船でも最低1隻を、ジャンプアウト直後で燃料の乏しい艦艇ならば、3〜4隻程度を行動不能にすることが可能です。

 兵器の損傷も289回で、3倍以上でした。

 致命的損傷の期待値が、33回という数字も脅威的です。
 3回の致命的損傷を受けた時点で、その大型艦はまず確実に大破していました(爆発や艦橋破壊、コンピュータ破壊、通常ドライブ、ジャンプドライブ、パワープラントの使用不能など、重大な損傷のどれか1つを83%の確率で受けていました)。
 つまり100機の大型戦闘艇は、精密射撃の一撃で10隻以上の大型艦を撃破できるのです。
 これを、恐ろしいと言わずにいられるでしょうか。


 精密射撃における通常成功を失敗として扱う場合、概ね、通常攻撃の命中率が9+(装甲DMが大きくなると8+)ならば、精密射撃を選択した方が、より多くの損傷を与えることが可能になるようでした。


  表8 大型戦闘艇100機による、精密射撃の兵器損傷期待値(移動力=0
      ミサイル(非核弾頭)ビーム・レーザーによる攻撃(視認距離)

 

装甲DM=0

装甲DM=1

装甲DM=2

装甲DM=3

装甲DM=6

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

通常ドライブ損傷

28.1

20.1

12.0

8.0

0.0

燃料損傷

60.1

56.2

52.2

48.1

36.1

兵器損傷

92.1

88.3

92.3

92.3

84.3

 

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

通常ドライブ損傷

83.3

83.3

83.3

83.3

0.0

通常命中分

11.9

8.5

5.1

3.4

0.0

損傷最大値

95.2

91.8

88.4

86.7

0.0

燃料損傷

166.7

166.7

166.7

83.3

83.3

通常命中分

25.5

23.8

22.1

20.4

15.3

損傷最大値

192.2

190.4

188.7

103.7

98.6

兵器損傷

250.0

166.7

166.7

166.7

83.3

通常命中分

39.0

37.3

39.0

39.0

35.6

損傷最大値

289.0

204.0

205.7

205.7

119.0

 

 

致命的10+

致命的10+

致命的10+

致命的10+

致命的10+

致命的損傷

33.3

33.3

33.3

33.3

33.3


 装甲DMがあったとしても、精密射撃は与える損傷を指定できますから、損傷期待値は大きく変わりません。

 装甲DM=0の場合と、装甲DM=1装甲DM=2の場合の違いは、兵器−3の損傷を選べるか、兵器−2までしか選べないかの違いです。
 兵器の損傷期待値は289回から204回に減少しますが、それだけの違いしかありません。

 装甲DM=2の場合と、装甲DM=3の場合の違いは、燃料−2の損傷を選べるか、燃料−1の損傷しか選べないかの違いです。
 燃料の損傷期待値が、190回前後から、100回前後に半減しました。

 装甲DM=6になると、通常ドライブの損傷は期待できません。兵器損傷も兵器−1しか選べないので、期待値が119回まで減少します。
 ところが、33回の致命的損傷装甲DMに関係ないので、全く減りません。恐ろしいことです。

 移動力=0装甲DM=6大型艦艇とは何だろう、と疑問に感じるかもしれませんが、これについては、(低いテックレベルでは自然発生する)移動力=0主力艦や、(テックレベルが高くても)中間子主砲の命中を受けて行動不能になった巡洋艦を想定していました。
 移動力=0主力艦を撃破するために、わざわざ中間子主砲搭載の巡洋艦を持ち出すまでも有りません。
 大型戦闘艇を数十機用意して、視認距離から精密射撃を行なえば、短時間で無力化に成功するのです。
 大艦巨砲主義のロマンが失われてしまい、とても悲しいのですが、ルール的にはそういうことのようでした。

 せめて、「損傷した主力艦を襲撃して止めを刺す」というレベルならば、日清戦争や日露戦争の頃に行なわれた漢のロマン、水雷艇襲撃をイメージできるのですが、主砲を搭載した主力艦の出番を奪ってしまうとなると、行き過ぎに思えます。


 テックレベルの低い主力艦や、テックレベルが高くても、行動不能となった巡洋艦であれば、当然、核ミサイル攻撃も有効です。
 核ミサイルによる精密射撃という、さらに極悪な攻撃パターンの損傷期待値も、見てみましょう。

 視認距離において、核ミサイル攻撃をした機体も放射線損傷を受けてしまう、というルールは必須ルールだと思っていましたが、レフリーズ・マニュアルを読み直した所、どうやら選択ルールのようでした。
 適用しないよりも、適用した方が自然に感じるルールですので、私は採用していますが。


 核ミサイルビーム・レーザーによる、精密射撃の損傷期待値を、以下に示します。

   表9  大型戦闘艇100機による、精密射撃の損傷期待値(装甲DM=0
         核ミサイルビーム・レーザーによる攻撃  (視認距離) 

 

移動力=0

移動力=1

移動力=2

移動力=3

移動力=6

命中率 6+

命中率 7+

命中率 8+

命中率 9+

命中率 12+

致命的損傷

2.0

1.6

1.2

0.8

0.1

内部損傷

18.1

14.6

10.4

6.9

0.7

通常ドライブ損傷

44.1

35.6

25.5

17.0

1.7

探知器損傷

42.1

34.0

24.3

16.2

1.6

燃料損傷

78.2

63.2

45.1

30.1

3.0

兵器損傷

146.5

118.3

84.5

56.3

5.6

 

精密射撃8+

精密射撃9+

精密射撃10+

精密射撃11+

精密射撃14+

致命的損傷

75.0

44.4

22.2

8.3

0.0

通常命中分

0.8

0.8

0.7

0.5

0.1

損傷最大値

75.8

45.3

22.9

8.9

0.1

内部損傷

41.7

27.8

16.7

8.3

0.0

通常命中分

7.6

7.6

6.3

4.9

0.7

損傷最大値

49.3

35.4

22.9

13.2

0.7

通常ドライブ損傷

125.0

83.3

50.0

25.0

0.0

通常命中分

18.7

18.7

15.3

11.9

1.7

損傷最大値

143.7

102.0

65.3

36.9

1.7

探知器損傷

83.3

55.6

33.3

16.7

0.0

通常命中分

17.8

17.8

14.6

11.3

1.6

損傷最大値

101.2

73.4

47.9

28.0

1.6

燃料損傷

208.3

138.9

83.3

41.7

0.0

通常命中分

33.1

33.1

27.1

21.1

3.0

損傷最大値

241.4

172.0

110.4

62.7

3.0

兵器損傷

416.7

277.8

166.7

83.3

0.0

通常命中分

62.0

62.0

50.7

39.4

5.6

損傷最大値

478.6

339.7

217.4

122.8

5.6


 表9の上部4分の1は、通常攻撃を行なった場合の損傷期待値、残りの下4分の3が、精密射撃の場合の損傷期待値です。
 通常攻撃の場合、上半分に書かれた全ての損傷が与えられ、精密射撃は、指定された1つの損傷しか与えられません

 それでも、致命的損傷の回数は、ついに75回の大台に達してしまいました。
 民間商船兵員輸送艦を無力化するため、3回ずつの致命的損傷を与えたとしても、25隻を撃破できることになります。
 輸送母艦艦隊空母のような重要な艦艇ならば、無力化するにしても念のため、10回の致命的損傷を与えるかもしれませんが、それでも7隻以上を撃破できました。
 核ミサイルが通用する場合にしか意味のない数値ですが、恐ろしい数値です。


   表10  大型戦闘艇100機による、精密射撃の損傷期待値(移動力=0
          核ミサイルビーム・レーザーによる攻撃 (視認距離)

 

装甲DM=0

装甲DM=1

装甲DM=2

装甲DM=3

装甲DM=6

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

致命的損傷

2.0

0.0

0.0

0.0

0.0

内部損傷

18.1

12.0

6.0

2.0

0.0

通常ドライブ損傷

44.1

40.1

36.1

30.1

14.0

探知器損傷

42.1

36.1

30.1

24.1

6.0

燃料損傷

78.2

76.2

74.2

72.2

48.1

兵器損傷

146.5

158.5

158.5

160.5

148.5

 

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

致命的損傷

75.0

33.3

33.3

33.3

33.3

通常命中分

0.8

0.0

0.0

0.0

0.0

損傷最大値

75.8

33.3

33.3

33.3

33.3

内部損傷

41.7

41.7

41.7

41.7

0.0

通常命中分

7.6

5.1

2.5

0.8

0.0

損傷最大値

49.3

46.8

44.2

42.5

0.0

通常ドライブ損傷

125.0

125.0

125.0

125.0

41.7

通常命中分

18.7

17.0

15.3

12.7

5.9

損傷最大値

143.7

142.0

140.3

137.7

47.6

探知器損傷

83.3

83.3

83.3

83.3

41.7

通常命中分

17.8

15.3

12.7

10.2

2.5

損傷最大値

101.2

98.6

96.1

93.5

44.2

燃料損傷

208.3

208.3

208.3

166.7

125.0

通常命中分

33.1

32.3

31.4

30.6

20.4

損傷最大値

241.4

240.6

239.7

197.2

145.4

兵器損傷

416.7

375.0

375.0

375.0

250.0

通常命中分

62.0

67.1

67.1

67.9

62.8

損傷最大値

478.6

442.1

442.1

442.9

312.8


 核ミサイルによる精密射撃が行なわれた場合、装甲DM=0の場合と、装甲DM=1の場合とは、致命的損傷の期待値が2倍以上違いました。

 不規則形状(形状コード7)が不可欠となる輸送母艦に関しては不可能なことですが、どんな艦艇でも最低限、装甲DMを1以上与えておくべきかも知れません。
 装甲DM=0では、大型戦闘艇の精密射撃に対する耐久力が、2倍以上のレベルで違ってきますから。

 しかし、装甲DM=0の艦艇に対する損傷期待値は、極悪です。


 オマケとして、視認距離で使用された核ミサイルによって、攻撃した大型戦闘艇自身が、放射線損傷を受ける期待値を、表11に示します。
 命中に成功した(そして、目標艦艇の防御を突破した)大型戦闘艇のおよそ4割が、放射線損傷を受けることになります。
 4割大型戦闘艇が攻撃力半減ですから、実質的に、大型戦闘艇2割戦闘不能になるとも言えるでしょう。
 敵の大型艦撃破のためとはいえ、損害が大きすぎるかも知れません。

  表11 視認距離で使用した核ミサイルによる、巻き添え(放射線損傷)の確率
           大型戦闘艇装甲DMは9を想定した

 

 

移動力=0

移動力=1

移動力=2

移動力=3

移動力=6

命中率 6+

命中率 7+

命中率 8+

命中率 9+

命中率 12+

兵器−2

1

2.0

1.6

1.2

0.8

0.1

兵器−1

14

28.1

22.7

16.2

10.8

1.1

兵器損傷合計

 

32.1

25.9

18.5

12.3

1.2

損傷なし

21

42.1

34.0

24.3

16.2

1.6

損傷機数

 

30.1

24.3

17.4

11.6

1.2




結論

 
 今回の考察で、大型戦闘艇の凶悪な攻撃力が明らかになりました。

 防御DM(移動力)の高い戦闘艦艇(具体的には、バトルライダー)に対しては効果がありませんが、防御DMの低い戦闘艦艇や、輸送母艦艦隊空母兵員輸送艦などに対しては、無慈悲なまでの強力な攻撃力を発揮します。

 精密射撃を行なうならば、与える致命的損傷の数は、(装甲DMが1以上であれば)目標艦の装甲に関係ありません。
 軽装甲の艦隊空母であっても、重装甲のモニター艦であっても、精密射撃による致命的損傷を減らすことのできるものは、(移動力に依存する)防御DMしかありません。
 装甲DMは、外部損傷や放射線損傷を減らすことは出来ますが、致命的損傷を減らすためには、何の役にも立たないのです。 
 バトルライダーだけは、重装甲と高い移動力を両立できますが、輸送母艦がアキレス腱になりますので、何とも言えません。

 命中率と防御DM(移動力)の問題から、大型戦闘艇バトルライダーに対して有効な攻撃を出来ないことが、明らかになりました。
 かろうじて、バトルライダーを撃破するための手段として、主砲を搭載した主力艦の存在意義は残されているようです。

 私の設計した艦隊空母を使えば、大型戦闘艇80機と、巡洋艦1隻のコストが等しいことになっています。
 巡洋艦1隻が発揮できる攻撃力計算はまだ行っていませんが、バトルライダー以外の目標に対しては、大型戦闘艇の方が安上がりに済むように思えます。

 次回は、テックレベル14以下で製造された(例えばゾダーンなどの)大型戦闘艇に関して、性能評価を行ないたいと思います。


2008.08.15 初投稿