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The Best Weapon
10th stage
 ( Pulse Laser
 )

最強兵器 決定戦
第10回
 (パルス・レーザー)

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MEGA TRAVELLER
 



 パルス・レーザーは、
  ビーム・レーザーを、駆逐できるのか?



 ビーム・レーザーと良く似たものに、パルス・レーザーという兵器がありました。

 ビーム・レーザー1門の価格が1.0MCrであることに対して、パルス・レーザー1門は0.5MCr、コストは半額です。
 消費電力は等しく、砲塔の重量、占有容積も変わりません。
 さらに、外部損傷表において+2のDMを得るという特典がありました。

 唯一のデメリットは、ビーム・レーザーと比べて、攻撃力が低いことでしょう。
 15〜30門を集めた砲塔群の攻撃力は、5〜7(ビーム・レーザーは7〜9)。
 2〜14門を集めた砲塔群の攻撃力は、2〜5(ビーム・レーザーは3〜6)。
 明らかに、パルス・レーザーの攻撃力は、ビーム・レーザーと比べて、1〜2劣っています。
 これは命中率の低下や、致命的損傷を与える可能性の減少を意味していました。

 しかし、1門だけの砲塔群に関してはどうでしょう。
 単架砲塔1基=1門だけの砲塔群はパルス・レーザーは攻撃力1、ビーム・レーザーも攻撃力1ですから、攻撃力は同じです。
 つまり、一切のデメリットなしで、パルス・レーザーのメリットだけを利用できるのではないでしょうか。
 具体的には、大型戦闘艇に搭載されるビーム・レーザーを、パルス・レーザーに置き換えた場合を検討してみようということです。


 今回の考察は、少し脱線して、ビーム・レーザーパルス・レーザーの優劣比較を行ないました。




ビーム・レーザーとパルス・レーザー、
命中率の比較

 
 ビーム・レーザーとパルス・レーザー、同じビーム兵器なのですから、攻撃力が同じならば、命中率も同じです。
 比較するまでもないのですが、念のため、前回の考察と同じように、2万〜6万トン(サイズDM+1)の大型艦を攻撃した場合における、ビーム・レーザーと、パルス・レーザーの命中率を表1に示しました。

  表1 大型戦闘艇による、ビーム・レーザーパルス・レーザー攻撃の命中率
      ( 近距離〜遠距離  目標のサイズDM=+1 移動力=0 

 

近距離

遠距離

攻撃側

Bレーザー

Pレーザー

Bレーザー

Pレーザー

 

1門

1門

1門

1門

TL

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

攻撃力

命中率

15

2

6+

2

6+

2

7+

2

7+

14

2

7+

2

7+

2

8+

2

8+

13

2

8+

2

8+

2

9+

2

9+

12

1

10+

1

10+

1

11+

1

11+

11

1

11+

1

11+

1

12+

1

12+

10

1

12+

1

12+

1

13+

1

13+

9

1

13+

1

13+

1

14+

1

14+

8

1

14+

1

14+

1

15+

1

15+

7

1

14+

1

14+

1

15+

1

15+


 攻撃力が同じですので、当然のことながら、命中率も同じでした。




ビーム・レーザーとパルス・レーザー、
損傷期待値の比較

 
 次に、損傷の期待値を比較しました。

 以下の表は、ビーム・レーザーパルス・レーザーによる攻撃を受けた場合の損傷期待値です。
 目標は、例のごとく、サイズDM=+1、移動力=0の大型艦を想定しました。
 攻撃に参加する大型戦闘艇は100機です。

 今回も、目標艦の防御兵器については考慮していません。 


   表2  大型戦闘艇100機による、集中攻撃の損傷期待値(装甲DM=0
           ビーム・レーザーパルス・レーザーの比較

 

BL

PL

移動力=0

移動力=1

移動力=2

移動力=3

移動力=6

命中率 6+

命中率 7+

命中率 8+

命中率 9+

命中率 12+

通常ドライブ−2

 

1

0

2

0

2

0

1

0

1

0

0

通常ドライブ−1

7

9

14

18

11

15

8

10

5

7

1

1

ドライブ損傷計

 

 

14

22

11

18

8

13

5

8

1

1

燃料−3

 

2

0

4

0

3

0

2

0

2

0

0

燃料−2

3

5

6

10

5

8

3

6

2

4

0

0

燃料−1

9

5

18

10

15

8

10

6

7

4

1

0

燃料損傷合計

 

 

30

42

24

34

17

24

12

16

1

2

兵器−3

1

3

2

6

2

5

1

3

1

2

0

0

兵器−2

4

6

8

12

6

10

5

7

3

5

0

0

兵器−1

12

5

24

10

19

8

14

6

9

4

1

0

兵器損傷合計

 

 

46

52

37

42

27

30

18

20

2

2


 数字があまりにも多くなってしまったので、小数以下を四捨五入しました。
 2つ並んでいる数字の左側(白文字、または赤文字)がビーム・レーザー(BL)の損傷期待値、右側(黄色の文字)がパルス・レーザー(PL)の損傷期待値です。
 有効数字が少なくなってしまいましたが、仕方ないですね。

 移動力=0装甲DM=0の目標を例に取ると、通常ドライブの損傷は、14回から22回に増えました。
 およそ6割の増加です。

 燃料タンクの損傷は、30回から42回へ、4割増加しました。

 兵器の損傷は、あまり顕著ではありませんが46回から52回へ、1割強の増加を示しています。

 パルス・レーザーの損傷期待値は、ビーム・レーザーの場合と比べ、明らかに大きいと分かりました。


   表3   大型戦闘艇100機による、集中攻撃の損傷期待値(移動力=0
            ビーム・レーザーパルス・レーザーの比較

 

装甲DM=0

装甲DM=1

装甲DM=2

装甲DM=3

装甲DM=6

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

通常ドライブ−2

0

2

0

0

0

0

0

0

0

0

通常ドライブ−1

14

18

10

18

6

14

4

10

0

2

ドライブ損傷計

14

22

10

18

6

14

4

10

0

2

燃料−3

0

4

0

2

0

0

0

0

0

0

燃料−2

6

10

4

8

2

6

0

4

0

0

燃料−1

18

10

20

14

22

18

24

20

18

22

燃料損傷合計

30

42

28

36

26

30

24

28

18

22

兵器−3

2

6

0

4

0

2

0

0

0

0

兵器−2

8

12

6

10

4

8

2

6

0

0

兵器−1

24

10

32

16

38

24

42

32

42

46

兵器損傷合計

46

52

44

48

46

46

46

44

42

46


 表3は、表2と同じように、ビーム・レーザーパルス・レーザーによる損傷の期待値を並べて(数値の左側がビーム・レーザー、右側がパルス・レーザー)比較したものですが、変数は装甲DMとなっています。

 パルス・レーザーは、外部損傷表でDM+2を加えることができるのですから、その効果は、装甲DMと対立しています。
 別の言い方をするならば、装甲DM=2の防御効果を打ち消す力があるのです。
 実際に、装甲DM=0ビーム・レーザーの欄と、装甲DM=2パルス・レーザーの欄を見比べると、明白でした。


 通常ドライブの損傷期待値は、1.57倍〜2.50倍に増えています。
 装甲DM=6の目標であっても、通常ドライブの損傷期待値があることは、驚くべきことでしょう。
 私が第4回の考察「損害」で考察していた「通常ドライブの損傷を防ぐためならば、装甲DMは5で十分」という結論を、否定してしまう発見だからです。
 第4回の考察を行なっている時は、「パルス・レーザーを装備している戦闘艦艇は、そう多くないだろう」と軽く考えていました。
 ですが、大型戦闘艇の武装にパルス・レーザーが適しているという結論が出てしまうとしたら、そして大型戦闘艇がその特性ゆえ、大量に使用されるとしたら、様々な艦艇が頻繁に、パルス・レーザーによる攻撃を受けることになります。

 燃料の損傷期待値は、それほど変わらず、1.15倍〜1.40倍でした。

 兵器の損傷期待値は、0.96倍〜1.13倍の範囲です。
 外部損傷表の分布の加減で、かえって損傷期待値が減っているところもありました。 




精密射撃における、損傷期待値の比較

 
 さらに、「精密射撃」における損傷期待値の比較です


 大型戦闘艇100機が、大型艦艇に対して精密射撃を行なった場合の損傷期待値を、以下に示します。

   表4  大型戦闘艇100機による、精密射撃の損傷期待値(装甲DM=0
           ビーム・レーザーパルス・レーザーの比較

 

移動力=0

移動力=1

移動力=2

移動力=3

移動力=6

命中率 6+

命中率 7+

命中率 8+

命中率 9+

命中率 12+

通常ドライブ損傷

14

22

11

18

8

13

5

8

1

1

燃料損傷

30

42

24

34

17

24

12

16

1

2

兵器損傷

46

52

37

42

27

30

18

20

2

2

 

精密射撃8+

精密射撃9+

精密射撃10+

精密射撃11+

精密射撃14+

通常ドライブ損傷

42

83

28

56

17

33

8

17

0

0

通常命中分

6

9

6

9

5

8

4

6

1

1

損傷最大値

48

93

34

65

22

41

12

23

1

1

燃料損傷

83

125

56

83

33

50

17

25

0

0

通常命中分

13

18

13

18

10

15

8

11

1

2

損傷最大値

96

143

68

101

44

65

25

36

1

2

兵器損傷

125

125

83

83

50

50

25

25

0

0

通常命中分

20

22

20

22

16

18

12

14

2

2

損傷最大値

145

147

103

105

66

68

37

39

2

2

 

 

致命的10+

致命的11+

致命的12+

致命的13+

致命的16+

致命的損傷

17

17

8

8

3

3

0

0

0

0


 またもや、数字が多くなってしまい、見にくいのですが、上4分の1が、通常攻撃を行なった場合の損傷期待値。
 下4分の3が、精密射撃を行なった場合の損傷期待値です。
 数字の左側(緑色、白色、赤色)が、ビーム・レーザーの損傷期待値。
 数字の右側(黄色)が、パルス・レーザーの損傷期待値としました。

 前回の考察「戦闘艇2」で、「精密射撃」の解釈について述べたように、同じ損傷に関する損傷期待値が、上段(緑色)、中段(白色)、下段(赤色)と、3種類に分けて示してあります。
 上段(緑色)の部分は、「完全成功」を達成した場合に、指定できる命中箇所を全て集中した損傷期待値。
 中段(白色)は、「通常成功」と「通常の命中」とみなした場合に得られる、損傷期待値。
 下段(赤色)は、上段と中段の合計値です。
 損傷期待値の最大値とも言えるでしょう。


 パルス・レーザーの損傷期待値は、やはり大きいです。
 「完全成功」した時の命中箇所に「通常ドライブ−2」と「燃料−3」を指定できるようになった影響が、とても大きいと思います。


   表5 大型戦闘艇100機による、精密射撃の兵器損傷期待値(移動力=0
           ビーム・レーザーパルス・レーザーの比較

 

装甲DM=0

装甲DM=1

装甲DM=2

装甲DM=3

装甲DM=6

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

命中率 6+

通常ドライブ損傷

14

22

10

18

6

14

4

10

0

2

燃料損傷

30

42

28

36

26

30

24

28

18

22

兵器損傷

46

52

44

48

46

46

46

44

42

46

 

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

精密射撃8+

通常ドライブ損傷

42

83

42

42

42

42

42

42

0

42

通常命中分

6

9

4

8

3

6

2

4

0

1

損傷最大値

48

93

46

49

44

48

43

46

0

43

燃料損傷

83

125

83

125

83

83

42

83

42

42

通常命中分

13

18

12

15

11

13

10

12

8

9

損傷最大値

96

143

95

140

94

96

52

95

49

51

兵器損傷

125

125

83

125

83

125

83

83

42

42

通常命中分

20

22

19

20

20

20

20

19

18

20

損傷最大値

145

147

102

145

103

145

103

102

59

61

 

 

致命的10+

致命的10+

致命的10+

致命的10+

致命的10+

致命的損傷

17

17

17

17

17

17

17

17

17

17


 装甲DM=0における、通常ドライブの損傷期待値は93回に及びますが、この大半は「完全成功」時に指定した「通常ドライブ−2」の損傷によりました。
 ですから、1つの目標に一撃で通常ドライブ−2の損傷を与えることはできますが、2つの目標に「通常ドライブ−1」の損傷を与えられる訳ではありません。
 目標が1G加速しか出来ない場合は、せっかくのパルス・レーザーの威力が、無駄になってしまうようです。

 前に述べた通り、装甲DM=6においても、通常ドライブの損傷を与えることが可能ですので、精密射撃で「完全成功」を得た場合、多くの艦艇を移動不能に陥れることができるでしょう。
 その期待値は42ですから、パルス・レーザーの攻撃だけでも、21〜42隻の艦艇を移動不能に出来るのです。


 装甲DM=0〜1の燃料損傷、装甲DM=1〜2の兵器損傷の期待値が多い理由は、「燃料−3」と「兵器−3」を指定できるためでした。 




大型戦闘艇を攻撃した場合

 
 最後は、大型戦闘艇を攻撃した場合の、損傷期待値比較です


 大型戦闘艇の攻撃力では、1門だけのパルス・レーザー(攻撃力2)を、大型戦闘艇に命中させることは出来ません。
 大型戦闘艇の防御DM(サイズDM−2 + 移動力6)が大きすぎるためです。
 レーザーの命中率は、近距離でも15+、遠距離で16+でした。
 とても、命中を期待できる数値ではありません。

 しかし、何らかの方法で命中させることが出来たとしたら、その損傷期待値は、どのようになるのでしょうか。
 例えば、第8回の考察「戦闘艇1」で紹介したMAG様提案の選択ルールを採用した場合、攻撃力2のレーザー兵器の命中率は9+になりました。
 このルールの採用は、慎重に行なうべきですが。


 大型戦闘艇大型戦闘艇に対して、レーザー攻撃を命中させた場合の損傷期待値を、表6と表7に示します。

      表6  大型戦闘艇が、大型戦闘艇を攻撃した場合の撃破率
              (ビーム・レーザーによる攻撃)

命中回数

1回

2回

3回

4回

5回

6回

7回

8回

兵器−2以上

 

11.1%

25.9%

40.7%

53.9%

64.9%

73.7%

80.5%

燃料−0

91.7%

84.0%

77.0%

70.6%

64.7%

59.3%

54.4%

49.9%

燃料−1

8.3%

15.3%

21.0%

25.7%

29.4%

32.4%

34.6%

36.3%

燃料−2以上

 

0.7%

2.0%

3.7%

5.9%

8.3%

11.0%

13.9%

撃破率

0.0%

11.7%

27.4%

42.9%

56.6%

67.8%

76.6%

83.2%


      表7  大型戦闘艇が、大型戦闘艇を攻撃した場合の撃破率
              パルス・レーザーによる攻撃)  

命中回数

1回

2回

3回

4回

5回

6回

7回

8回

兵器−2以上

 

27.9%

54.2%

72.8%

84.5%

91.5%

95.4%

97.5%

燃料−0

80.6%

64.9%

52.3%

42.1%

33.9%

27.3%

22.0%

17.7%

燃料−1

19.4%

31.3%

37.9%

40.7%

40.9%

39.6%

37.2%

34.2%

燃料−2以上

 

3.8%

9.9%

17.2%

25.1%

33.1%

40.8%

48.0%

撃破率

0.0%

30.6%

58.7%

77.5%

88.4%

94.3%

97.3%

98.7%


 ビーム・レーザーによる攻撃で、80%以上の確率で撃破するためには、8回以上の命中が必要です。
 しかし、パルス・レーザーによる攻撃では、80%以上の撃破率を得るために、5回の命中で済むようになりました。

 パルス・レーザーによる攻撃の損傷期待値が大きいことは、以上から明らかです。
 もしも100回の命中を得たのであれば、ビーム・レーザーの場合は11.3機しか撃破できませんが、パルス・レーザーの場合は19.6機を撃破できるのですから。

 実は核ミサイルが命中すれば、100回の命中で37.8機を撃破できるのですが、ここでは、ビーム・レーザーパルス・レーザーの優劣だけを比較しました。




結論

 
 今回の考察で、単架砲塔1基(TL=13以上ならば火力2、12以下ならば火力1)のビーム・レーザーと、パルス・レーザーの比較を行ないました。

 予想通りと言うべきか、当然のことと言うべきか、パルス・レーザーの方が、損傷の期待値が大きいと判明しています。

 大型戦闘艇に搭載される武装のひとつ、レーザー兵器としては、パルス・レーザーを選択すべきでしょう。
 しかし、パルス・レーザーの搭載が、今まであまり一般的でなかったということは、ものすごく不思議です。
 CT「宇宙海軍」に掲載されていた大型戦闘艇の武装も、なぜかビーム・レーザーでした。
 単に「忘れられていた」だけなら良いのですが、私の考察が間違っていて、パルス・レーザーに不利なルールがあったりしたら、とても悲しいです。


 さて、ようやく次回は、テックレベル14以下で製造された大型戦闘艇の性能評価を出来るようになりましたので、お楽しみに。


2008.08.17 初投稿