考察の進め方

前回の考察とは逆に、大型艦が、大型戦闘艇を攻撃する場合について考えます。 　攻撃側の艦艇は何でも良いのですが、ミサイル副砲を搭載可能な中〜大型艦として、　攻撃に用いる兵器は、武器設置点100個分としました。 　考察の第16回より、大型戦闘艇を攻撃するための兵器は、核弾頭を装填したミサイル副砲を使用します。 　武器設置点100個ですから、ミサイル副砲の数は10基です。 　命中期待値と撃破率を掛け合わせた結果から、テックレベルの技術格差による戦力比を求めていきます。

帝国（TL＝15）　ＶＳ　ゾダーン（TL＝14） ミサイル副砲の命中期待値

帝国とゾダーン（もしくはヴァルグル）との間には、基本的にテックレベル１の技術格差が存在します。 　核ミサイルを装填したミサイル副砲10基が、１ターン当たり、何機の大型戦闘艇を撃破できるのか、その期待値を求めました。 　赤字で示した期待値が、該当する条件の命中期待値です。 　テックレベル14〜15の範囲では、100トン副砲も、50トン副砲も、命中率に違いはありません。 　命中期待値が同じならば、よりコンパクトで消費弾数も少ない、50トン副砲を採用すべきでしょう。 　　　　　　　　表１　テックレベル14の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　　　　　テックレベル15ミサイル副砲の命中期待値

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL15)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

Ａ

10

10＋

1.7

９＋

2.8

８＋

4.2

７＋

5.8

６＋

7.2

副砲

９

10

10＋

1.7

９＋

2.8

８＋

4.2

７＋

5.8

６＋

7.2

表２　テックレベル15の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　　　　　テックレベル14ミサイル副砲の命中期待値

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL14)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

Ａ

10

11＋

0.8

10＋

1.7

９＋

2.8

８＋

4.2

７＋

5.8

副砲

９

10

11＋

0.8

10＋

1.7

９＋

2.8

８＋

4.2

７＋

5.8

ミサイル副砲の命中期待値は、帝国側が、ゾダーンの大型戦闘艇を攻撃した場合の2.8と、ゾダーン側が、帝国の大型戦闘艇を攻撃した場合の0.8で、3.5倍もの違いがあります。 　しかし、考察の第15回「戦術ポイント」や、演習の第４回〜５回で示したように、ミサイル副砲は優先して戦術ポイントを消費すべき兵器です。 　実際、大型戦闘艇を攻撃する場合は、大型艦艇の数少ない特典である戦術ポイントを使わない訳にはいきません。 　武器設置点100個分のミサイル副砲には、戦術ポイントを40ポイント使えると仮定して、戦術ポイントを使った場合の命中期待値を、以下の表３、４に示しました。 　１つの命中判定に使える戦術ポイントの上限は、４ポイントまでとします。 　　　　表３　テックレベル15の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　テックレベル14ミサイル副砲の命中期待値（戦術ポイント40）

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL15)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

Ａ

10

10＋

7.2

９＋

8.3

８＋

9.2

７＋

9.7

６＋

10.0

副砲

９

10

10＋

7.2

９＋

8.3

８＋

9.2

７＋

9.7

６＋

10.0

表４　テックレベル15の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　テックレベル14ミサイル副砲の命中期待値（戦術ポイント40）

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL14)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

Ａ

10

11＋

5.8

10＋

7.2

９＋

8.3

８＋

9.2

７＋

9.7

副砲

９

10

11＋

5.8

10＋

7.2

９＋

8.3

８＋

9.2

７＋

9.7

ミサイル副砲の命中期待値は、帝国側が、ゾダーンの大型戦闘艇を攻撃した場合の8.3と、ゾダーン側が、帝国の大型戦闘艇を攻撃した場合の5.8で、1.43倍の違いになっています。 　この命中期待値に、考察の第８回、12回で求めてある、核ミサイルが命中した場合の撃破率を掛け合わせると、 帝国側が、ゾダーンの大型戦闘艇を攻撃した場合、 　命中期待値　8.3　　　　×　撃破率　43％　＝　3.6機を撃破 ゾダーン側が、帝国の大型戦闘艇を攻撃した場合、 　命中期待値　5.8　÷２　×　撃破率　67％　＝　1.9機を撃破 　テックレベル15の大型戦闘艇を攻撃した場合、１機に２発の核ミサイルを命中させることで、撃破率が上がります。 　命中期待値　5.8　　　　×　撃破率　18％　＝　1.0機を撃破 　１機に１発の核ミサイルを命中させただけの場合、1.0機しか撃破できません。 　以上で示したように、大型戦闘艇の撃破という視点で比べると、同じミサイル副砲10基を攻撃に使っていながら、帝国側がゾダーンの大型戦闘艇を3.6機撃破している間に、ゾダーン側は帝国の大型戦闘艇を1.9機しか撃破できません。 　テックレベル１の技術格差による戦力比は、1.9倍になります。 　考察の第17回「防御兵器３」で得られた３倍とは異なる数字ですが、これは状況が異なるためだと考えられます。

帝国（TL＝15）　ＶＳ　ソードワールズ（TL＝13） ミサイル副砲の命中期待値

帝国とソードワールズとの間には、テックレベル２の技術格差が存在します。 　赤字で示した期待値が、該当する条件の命中期待値です。 　テックレベル13においては、100トン副砲と50トン副砲の間で、命中率に大きな違いがあります。 　テックレベル13の海軍は、ためらうことなく100トン副砲を採用すべきでしょう。 　　　　　　　　表５　テックレベル13の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　　　　　テックレベル15ミサイル副砲の命中期待値

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL15)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

Ａ

10

10＋

1.7

９＋

2.8

８＋

4.2

７＋

5.8

６＋

7.2

副砲

９

10

10＋

1.7

９＋

2.8

８＋

4.2

７＋

5.8

６＋

7.2

表６　テックレベル15の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　　　　　テックレベル13のミサイル副砲の命中期待値

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL13)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

９

10

12＋

0.3

11＋

0.8

10＋

1.7

９＋

2.8

８＋

4.2

副砲

８

10

13＋

0.0

12＋

0.3

11＋

0.8

10＋

1.7

９＋

2.8

ミサイル副砲の命中期待値は、帝国側が、ソードワールズの大型戦闘艇を攻撃した場合の4.2と、ソードワールズ側が、帝国の大型戦闘艇を攻撃した場合の0.3で、14倍の開きがあります。 　前項と同様に戦術ポイントを40ポイント使えると仮定して、戦術ポイントを使った場合の命中期待値を、以下の表７、８に示しました。 　　　　表７　テックレベル15の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　テックレベル13ミサイル副砲の命中期待値（戦術ポイント40）

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL15)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

Ａ

10

10＋

7.2

９＋

8.3

８＋

9.2

７＋

9.7

６＋

10.0

副砲

９

10

10＋

7.2

９＋

8.3

８＋

9.2

７＋

9.7

６＋

10.0

表８　テックレベル15の大型戦闘艇に対する 　　　　　　　テックレベル13ミサイル副砲の命中期待値（戦術ポイント40）

ミサイル

目標戦闘艇のテックレベル

武器設置点100個の

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

テックレベル

命中期待値(TL13)

１５

１４

１３

１２

１１

門数

攻撃力

群数

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

命中率

期待値

副砲

９

10

12＋

4.2

11＋

5.8

10＋

7.2

９＋

8.3

８＋

9.2

副砲

８

10

13＋

2.8

12＋

4.2

11＋

5.8

10＋

7.2

９＋

8.3

ミサイル副砲の命中期待値は、帝国側が、ゾダーンの大型戦闘艇を攻撃した場合の9.2と、ソードワールズ側が、帝国の大型戦闘艇を攻撃した場合の4.2で、2.19倍の違いになっています。 　この命中期待値に、考察の第８回、13回で求めてある、核ミサイルが命中した場合の撃破率を掛け合わせると、 帝国側が、ソードワールズの大型戦闘艇を攻撃した場合、 　命中期待値　9.2　　　　×　撃破率　98％　＝　9.0機を撃破 ソードワールズ側が、帝国の大型戦闘艇を攻撃した場合、 　命中期待値　4.2　÷２　×　撃破率　67％　＝　1.4機を撃破 　テックレベル15の大型戦闘艇を攻撃した場合、１機に２発の核ミサイルを命中させることで、撃破率が上がります。 　以上で示したように、大型戦闘艇の撃破という視点で比べると、帝国側がソードワールズの大型戦闘艇を9.0機撃破している間に、ソードワールズ側は帝国の大型戦闘艇を1.4機しか撃破できません。 　テックレベル２の技術格差による戦力比は、6.4倍になります。 　考察の第17回「防御兵器３」で得られた９倍とはまた違う数字ですが、これも状況が異なるためでしょう。

結論

今回は、10基のミサイル副砲による、大型戦闘艇の撃破率という形で、テックレベルの技術格差を考察しました。 　その結果、 　テックレベル１の技術格差は、1.9倍の戦力差に相当し、 　テックレベル２の技術格差は、6.4倍の戦力差で挽回できる。 　という結果が得られました。 　第17回の考察「防御兵器３」では、大型戦闘艇が、移動力＝０の大型艦（サイズDM＋１）を攻撃するという特殊な状況下でのシミュレーションに限っての話ですが、 　テックレベル１の技術格差は、３倍の戦力差に相当し、 　テックレベル２の技術格差は、９倍の戦力差を挽回できる。 という結果が出ています。 　２つの計算結果からは、少なくとも 　テックレベル１の技術格差は、２倍以上、 　テックレベル２の技術格差は、６倍以上の戦力比に相当する。 　ということが言えそうですね。 　CT「宇宙海軍」で得られた経験則は、メガトラベラーの宇宙戦闘ルールにおいても適用できるようです。 2008.11.15　初投稿