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Morgan Series
モーガン・シリーズ
 MEGA TRAVELLER
Science -Fiction Adventure
in the Far Future 

CG by DOGA-L3 & METASEQUOIALE 

 

 

 

 

 
 

 

モーガン・シリーズ


 ヘンリー・モーガン級武装輸送船は、四次辺境戦争以前から、LSPルーニオン支社デネブ通商(後述)の発注を受けて建造していた武装輸送船である。デネブ通商は、海軍省管轄の国策会社であったこともあり、第四次辺境戦争が始まる前から、戦時徴用を条件にした多額の補助金を、海軍予算から受け取っていた。

 ヘンリー・モーガン級武装輸送船は、戦時徴用に備えて設計段階から改装を考慮しており、船体各所には様々な工夫がこらされていた。そして実際、第四次辺境戦争においてモーガン級を加えた商船団の生存率が大幅に向上したことから、脚光を浴びている。その事実が知れ渡るや否や、LSPルーニオン支社にはメガコーポレーションや星域政府からの注文が殺到した。

 帝国海軍は、モーガン級を戦時急造船として指定し、更なる設計の標準化と、増産を命じている。その建造に対しては海軍予算から補助が下りることもあり、メガコーポレーションを中心として、一気に普及が進んだ。第四次辺境戦争が終結し、宙域内の治安が回復すると共に、メガコーポレーションや星域政府は、余剰となったモーガン級を、帝国海軍や星域海軍に売却した。モーガン級はそれらの海軍によって改装され、さまざまな派生形を生み出している。デネブ海軍省が発行している艦船カタログ「Fighting Ships」においては、ヘンリー・モーガン級武装輸送船とそこから派生した艦艇を、モーガン・シリーズと総称している。




ヘンリー・モーガン級武装輸送船


1.建造の背景

 偶発的に始まった第四次辺境戦争では帝国、ゾダーンともに十分な戦争準備が終了しておらず、第四時辺境戦争全般を通して双方ともに大規模な通商破壊作戦を展開した。 この結果、船団護衛や拠点防衛に必要なSDB護衛艦艇の需要が急騰し、一部の主力艦の建造を諦めてまで護衛艦艇の建造を優先しなければならなかったほどである。乗組員の面でも護衛艦艇に多数の人員を補充しなければならず、人員の不足から兵站基地にモスボールされていた主力艦艇の動員が後回しにされる事態も発生している。ゾダーンは、通商破壊に巡洋艦を投入しており、帝国も巡洋艦を船団護衛や哨戒任務に投入しなければならなかった。

 結果からいえば、第四次辺境戦争は艦隊決戦や大規模な降下作戦など華々しい戦闘があまり発生せず、広範囲にわたる通商破壊とそれに対抗する船団護衛作戦が重視された戦争であった。ゾダーン連盟は艦隊保全主義に陥っており、通商破壊艦駆逐艦を投入した通商破壊作戦を重視していた。ゾダーンは、戦力増強のために巡洋艦までも投入しており、対抗上、帝国も通商破壊や船団護衛に戦力を割かねばならなくなり、帝国海軍が想定していた主力艦同士の艦隊決戦はあまり発生しなかった。

 第四次辺境戦争に護衛艦艇の不足を補うために各星域政府や各商船会社は、自衛力を有する輸送船の必要を実感していた。船団護衛のために多数の艦艇が動員されていたが、長躯侵攻する通商破壊部隊を対応するには艦艇数が少なすぎた。
 ルーニオン星域に大規模な製造施設を有するLSPルーニオン支社は、民間船舶の建造を主力としていたが、戦前からデネブ通商から発注を受けてヘンリー・モーガン級武装輸送船を建造していた。

 武装輸送船の需要に応えて、ヘンリー・モーガン級武装輸送船の増産を決定した。武装輸送船は、本来、戦時には徴用されて仮装巡洋艦として実戦に投入される艦種である。モーガン級では、さらに最低限の改装で辺境巡洋艦にも使用できるように設計されており、武装輸送船というよりも船倉が大きな護衛艦といっても過言ではない設計であった。ところが、建造中に第四次辺境戦争自体が停戦となり、建造されていたモーガン級の多くは契約をキャンセルされるか、帝国に売却された。
 帝国海軍に買収されたモーガン級は、クリフォード級護衛駆逐艦を初めとする様々な改装型の母体となった。



2.ヘンリー・モーガン級武装輸送船

 ヘンリー・モーガン級は、第四次辺境戦争以前にデネブ通商向けに建造されていた外航型武装輸送船である。建造は、LSPルーニオン支社で行われたが、設計は帝国海軍の技官たちによって行われた。デネブ通商は、海軍省管轄の国策会社でモーガン級導入の際には戦時徴用を条件に海軍予算から補助が出ていた為である。戦時には、仮装巡洋艦として運用するだけでなく、極めて短時間に辺境巡洋艦護衛艦へと改装できるように様々な工夫が凝らされていた。
 特にメイン核融合炉であるLSP製FD4613型は、モーガン級にとってはやや出力過大である。LSPモーラ支社で製造されているFF4615型とサイズが同じであり、将来の核融合炉の換装を考慮して選択された。

 護衛駆逐艦並の武装を持ち、ジャンプ33G加速を可能とするモーガン級は、武装商船というよりも仮装巡洋艦に近い設計である。海軍の意向が反映された結果であるが、ルーニオン支社の技術者たちは貨物輸送もできる護衛艦という感想を抱いたという。仮装巡洋艦に近い設計が幸いし、通商破壊作戦が激化した第四次辺境戦争中期以降には、メガコーポレーションや星域政府からまとまった数の発注を受けるようになった。貨物輸送もできる護衛艦としての、需要が生じたのである。
 モーガン級の貨物積載量は、1992dtにすぎない。その程度の積載量では、利益を期待することはできない。あまりに高額な船体価格のために返済額が高くなりすぎ、利益が生じないのである。もっとも有利な政府指定商船であっても、年間利益15MCr程度に過ぎないのだ。

 メガコーポや星系政府が保有するモーガン級は、第四次辺境戦争が停戦となると次々に契約がキャンセルされ、建造中の船も解体の対象となった。第四次辺境戦争の長期化を予想していたメガコーポや星域海軍は、まとまった.数のモーガン級を発注しており、LSPルーニオン支社では、量産が開始されていた。それらのモーガン級すべてが発注取り消しとなれば、さすがにLSPルーニオン支社の屋台骨を揺るがすことにもなりかねない。
 同社のロビー活動の結果、ルーニオン支社各星域政府並びに帝国海軍の間で協定が締結され、すでに起工されているモーガン級は、すべて帝国海軍が買い取り、残りの発注分については同社と各星域政府の協議の上で別の艦船に差し替えることが定められた。協定の成立によって帝国海軍も自ら発注したモーガン級の建造を取り消すことができなくなる。

 帝国海軍は、一部を偵察局デネブ通商に譲渡したが、それでも大量の余剰艦を抱えることになった。第四次辺境戦争後の帝国海軍は、モーガン級の有効利用を図るために様々なタイプの改装艦を開発していった。
 実は、帝国海軍が素直にモーガン級の買収に応じた理由は、私略船としても最適の装備を持っていた為である。戦後、民間に流れたモーガン級による海賊行為の増加を懸念しての処置だったとされているのだ。

 

Henry Morgan Class Armed Merchantman  from LSP.Ship's

CraftID:

Hull:


Power:

Loco:


Commo:


Sensors:







Off:



Def:





Control:




Accom:



Other:



ヘンリー・モーガン級 武装輸送船 TL=13+ MCr 2,565.66

4,500/11,250 排水素=5,000トン 形状=4/流線型 装甲=40F
 重量=50,306トン 総重量=78,490トン

462/616 核融合=41,580Mw 航続=15/45日

270/360 ジャンプ=3  540/720 通常(スラスター)=3G 移動力=0
 地表速度=40 巡航=750 最大=1,000 真空=2,850

無線式=星系内距離×3 レーザー式=星系内距離×3
 電波妨害機=遠軌道距離×3

電磁マスカー  受動EMS=遠恒星間距離×3
 能動EMS=遠軌道距離×3 EMS妨害器=遠軌道距離×3
 質量探知器=高貫通/1km×3 中性微子探知器=10kw×3
 (質量探知器 および 中性微子探知器は、TL=15を搭載)
 能動物体探知     = 並  能動物体追跡     = 並
 受動物体探知     = 並  受動物体追跡     = 並
 受動エネルギー探知 = 易  受動エネルギー追跡 = 並

パルス・レーザー=X X 3
装備数           14
射撃可能数        13

散乱砂砲=X X 4
装備数       10
射撃可能数    10

防御DM=+9 装甲DM=0 致命的命中=14

コンピュータ=モデル7光ファイバー型×3 パネル=ホロ・リンク型×632
 付加=大型ホロ・ディスプレイ×2
 基本環境 基本生命 高度生命 重力プレート 加速補正器
 エアロック×5

乗組員=27(5×6) 艦橋6 機関9 砲術5 指揮3 接客3 医療1
 特等10 一等40 小型専用室×30 専用室×40
 ジム×1 温泉/ジャグジー×2

船倉=26,599kl(1,970Ht) 燃料スクープ、燃料精製装置=168時間
 燃料(ジャンプ/核融合炉)=13,500/7,484kl
 弾薬庫(散乱砂)=600発(20ラウンド分)
 目標サイズ=中 視認レベル=中
 量産価格=MCr 2,052.52 電子回路防御




MS13_FIG01.GIF - 109,575BYTES

Fig.1 モーガン級武装輸送船




コラム 「デネブ通商」


 デネブ通商は、ファーフロンティア宙域トレイリーン公国や、フォーイーブン宙域ムネモシュネ公国との交易を保持するために設立された、国策会社である。設立は、950年代であり、トレイリーン公国の成立とほぼ時を同じくする。
 本社をファイブシスター星域イダレティに置き、帝国の工業製品の輸出と各種天然資源の輸入を行なっている。管轄は、商務省でなく海軍管轄であることからも、軍需関連商社であることは明白である。

 トレイリーン公国は941年に皇帝ステリィクスから冊封を受け、公爵位と巡洋艦からなる植民地戦隊を与えられた。デネブ通商は、帝国製巡洋艦に対する補給の維持を目的に創設されたといっても過言ではない。当時は、第三次辺境戦争の直前といっても良い時期であり、帝国の国境は、回転方向だけでなく、辺境方向においても緊張状態にあった。そんなゾダーンを牽制する意味でも、トレイリーン公国ムネモシュネ公国との関係強化は、重要な意味を持っていたのである。

 デネブ通商の出資金は帝国側が90%を負担し、トレイリーン公国が10%を負担している。帝国側はオルタレ・エ・シェ社を筆頭に、テュケラ運輸やLSP社など、名だたるメガコーポレーションが出資している。トレイリーン公国側は、オーラート社という公営企業が出資している。オーラート社は帝国資本の企業であるが、トレイリーン公国建国の原動力になったことからも分かるように、隠然たる影響力を有している。
 余談ではあるが、トレイリーン公国の政体は帝国を模しているが、企業政府としての側面も有しているのである。

 デネブ通商は第三次辺境戦争後、急激に企業規模を拡大させている。当時、デネブ海軍は、戦時に膨れ上がった軍隊を平時編成に切り替えるために大規模な軍縮を行っており、余剰となった旧式兵器をデネブ通商に払い下げていた。
 デネブ通商はそれらの兵器を、領土拡張のために軍備拡張を進めていたトレイリーン公国に売却し、多大な利益を上げている。この業務拡張のためにデネブ通商は、海軍や海兵隊の退役将兵を大量に雇用し、人員不足を補ったが、それと同時に社内体制を軍隊式に改革している。

 このときの業務拡大によって交易部門だけでなく、コンサルタントや星間傭兵の斡旋なども業務に加えるようになった。噂では、海軍省に対し私略許可証の発行を求めているようであるが、現在に至るも、許可されていない。
 海軍省は、デネブ通商の保有する武装商船の多くは海軍との契約によって徴用の対象になることから、私略許可証の発行は無意味だと説明しているが、デネブ通商の歴代の司令官(社長の社内呼称)は納得していないようである。



MS13_FIG02.JPG - 50,032BYTES

Fig.2 フォーイーブン宙域図(Traveller Map より転載)

デネブ通商の交易ルートは、アヴァラル執政領を横断していると思われるが、
輸送船の安全を確保するため、ルートの詳細については公開されていない。




クリフォード級護衛駆逐艦(後期型)


 ヘンリー・モーガン級武装輸送船から発展した、護衛駆逐艦である。原型となったヘンリー・モーガン級は、戦時徴用を前提にした設計であるため、容易に辺境巡洋艦や護衛艦への改装ができるように設計されていた。第四次辺境戦争後、モーガン級は、さまざまな改装艦を生み出すが、クリフォード級護衛駆逐艦もその中の一つである。当初から改装準備がなされていたことから帝国海軍の初期の改装型は、クリフォード級が一般的であった。

 クリフォード級は、当初から辺境巡洋艦として運用することを前提に改装が計画されていた。TLの格差からゾダーン領内ではなくフォーイーブン宙域のゾダーンの属国に対する通商破壊作戦に振り向けられた。この決定によって価格抑制のために改装計画は一部、変更され中央コンピュータの換装は見送られた。
 帝国海軍は、フォーイーブン宙域に配備されたゾダーンの艦隊戦力を二線級と判断しており、クリフォード級でも十分に対抗できると判断していた。ところがゾダーンは、この方面で艦隊戦力の近代化を進めており、TL14の艦艇に更新していたのである。クリフォード級によるフォーイーブン宙域での通商破壊作戦は危険な行為となり、むしろ帝国と属国の間の航路を維持するために船団護衛作戦に投じられるようになった。

 この戦訓によって帝国海軍はクリフォード級のさらなる改装と護衛駆逐艦への類別変更を決定した。改装ポイントは、探知機類や中央コンピュータを最新型への改装することと、偵察ドローンの装備である。護衛部隊の指揮用に、偵察および通信能力を強化したのだった。
 偵察ドローンによる広範な情報把握は奇襲を避ける可能性を高めるだけでなく、敵の通商破壊艦に対する効率的な戦闘を可能にするなど護衛艦としては無視できない戦功をあげた。


Clifford Class Escort Destroyer  from LSP.Ship's

CraftID:

Hull:


Power:

Loco:


Commo:


Sensors:







Off:



Def:






Control:




Accom:



Subcraft:

Other:




クリフォード級護衛駆逐艦後期型 タイプ:DE TL=13+ MCr 2,864.4

4,500/11,250 排水素=5,000トン 形状=4/流線型 装甲=40F
 重量=46,385トン 総重量=57,256トン

466/595 核融合=80,280Mw 航続=15日(通常:38日) 

270/360 ジャンプ=3  540/720 通常=3G 移動力=0
 地表速度=40 巡航=750 最大=1,000 真空=2,850

無線式=星系内距離×203 レーザー式=星系内距離×203
 電波妨害機=遠軌道距離×3

電磁マスカー  受動EMS=遠恒星間距離×3
 能動EMS=遠軌道距離×3 EMS妨害器=遠軌道距離×3
 質量探知器=高貫通/1km×3 中性微子探知器=10kw×3
 (質量探知器 および 中性微子探知器は、TL=15を搭載)
 能動物体探知     = 並  能動物体追跡     = 並
 受動物体探知     = 並  受動物体追跡     = 並
 受動エネルギー探知 = 易  受動エネルギー追跡 = 並

ミサイル = X90  パルス・レーザー=X X 3
装備数     2                  20
射撃可能数  2                      20

散乱砂砲=X X 4
装備数       10
射撃可能数    10

防御DM=+12 装甲DM=0 致命的命中=14
 中間子スクリーン=3×1 核中和装置=3×1

コンピュータ=モデル7光ファイバー型×3 パネル=ホロ・リンク型×783
 付加=大型ホロ・ディスプレイ×2 ヘッドアップホロ・ディスプレイ×6
 基本環境 基本生命 高度生命 重力プレート 加速補正器
 エアロック×5

乗組員=49(5×10) 艦橋6 機関5 砲術19 管制35 指揮11
 接客2 医療2
 小型専用室×15 専用室×40

大型ボート×2 偵察ドローン×115

船倉=79l(5.9Ht) 燃料スクープ、燃料精製装置=168時間
 燃料(ジャンプ/核融合炉)=13,500/7,484kl
 弾薬庫(ミサイル/散乱砂)=24,000/3,600発(各20ラウンド分)
 目標サイズ=中 視認レベル=中
 量産価格=MCr 2,291.5 電子回路防御



MS13_FIG03.JPG - 25,833BYTES

Fig.3 クリフォード級護衛駆逐艦(3G加速−実行中)。

通常航行(商船偽装)時は、1G加速しか行ないませんが、戦闘時には、
船尾の貨物ハッチに偽装したスラスターを使用し、3G加速が可能になります。




偵察ドローン

 

Scout Dron  from LSP.Ship's

CraftID:

Hull:


Power:


Loco:


Commo:


Sensors:







Off:

Def:

Control:

Other:


無人偵察機 TL=15 MCr 20.1

5/12 排水素=5トン 形状=0/非流線型 装甲=40G
 重量=56.18トン 総重量=58.62トン

1/2 核融合=81Mw 航続=9日(通常:17日) 
1/2 太陽電池=9.411Mw 航続=無限

1/2 通常(スラスター)=4G 移動力=4
 地表速度=40 巡航=2,550 真空=3,400

無線式=遠軌道距離×2 レーザー式=遠軌道距離×2
 電波妨害機=遠軌道距離×2

電磁マスカー  受動EMS=遠恒星間距離×2
 能動EMS=遠軌道距離×2 EMS妨害器=遠軌道距離×2
 質量探知器=高貫通/1km×2 中性微子探知器=10kw×2
 (質量探知器 および 中性微子探知器は、TL=15を搭載)
 能動物体探知     = 並  能動物体追跡     = 並
 受動物体探知     = 並  受動物体追跡     = 並
 受動エネルギー探知 = 易  受動エネルギー追跡 = 並

なし

防御DM=+8 装甲DM=0 致命的命中=0

コンピュータ=モデル2光ファイバー型×3 パネル=ホロ・リンク型×69

船倉=1.63(0.1Ht) 燃料(水素)=17.5kl
 目標サイズ=小 視認レベル=無
 量産価格=MCr 16.1 電子回路防御



MS13_FIG04.JPG - 22,052BYTES

Fig.4 クリフォード級護衛駆逐艦(ミサイル副砲−斉射用意)。

船首側貨物ハッチの中には、通商破壊艦を一撃で破壊できる、
100トンサイズのミサイル副砲(攻撃力9)が、隠蔽されています。




ハザール級指揮回収艦


 帝国海軍は、第五次辺境戦争初期に兵站基地にモスボールされていたヘンリー・モーガン級大型武装タグボートやその支援艦に改装していった。第五次辺境戦争初期から中盤にかけてデネブ海軍は、大規模な増援が来るまでは現有戦力で戦線を支えなければならなかった。戦力不足に悩まされていた帝国海軍は、主力艦の消耗を最低限に抑えるためにアサルト・タグと通称される大型武装タグボートの増強を進めていた。
 アサルト・タグは、主力艦同士の戦闘で撃破され、漂流する味方艦艇の救出を任務とする支援艦艇である。漂流艦は主力艦の艦隊運動に追随できず、戦場から取り残されてしまう。こうした漂流艦を巡り、敵味方の補助艦艇による戦闘が発生するのだが、アサルト・タグは、護衛艦とともに戦場に突入し、漂流艦の搬出と補給戦隊までの輸送を任務とする。
 アサルト・タグの運用にあたっては、プレッシャー式のアサルト・タグと姿勢制御用のアポジモーターと呼ばれる無人推進システム3基を組み合わせて用いられる。ハザール級は、アサルト・タグの支援を任務としている。ハザール級にはアサルト・タグ3隻分、9基の2000t級アポジモーター作業用ポッドを搭載している。アポジモーターの設置後は、アサルト・タグから制御されることになる。ハザール級1隻アサルト・タグ3隻で小隊を形成し、回収作業に当たることになる。


 ハザール級の本来の役割は、搭載している80機の偵察ドローンを駆使して、戦場の情報を収集することである。アサルト・タグは、修理が容易で短時間で戦場に復帰可能な艦艇を優先して救助することが求められる。人間に対する救助作業と同様に、損傷艦の回収作業にもトリアージ作業は必須となっているのだ。ハザール級が投入されるまでアサルト・タグの運用では、回収が容易な艦艇を優先する傾向が認められた。アサルト・タグは、武装しているといっても正規の駆逐艦に比べると貧弱であり、漂流艦に接続するために敵前で減速を強いられる。漂流艦の状態よりも回収難易度によって回収目標を選択していたのである。これアサルト・タグの情報収集能力による限界もあり、効率的な回収は不可能であった。
 ハザール級が運用する80機の偵察ドローンによって、局所的とはいえこれまで不可能であった戦場の詳細なデータを得ることが可能になった。アサルト・タグが求める漂流艦の位置と敵艦の位置から回収作業に最適な地点をすばやく読み取り、先回りが可能になったのである。
 ハザール級が備えた高度な偵察能力は、艦隊指揮官にとっても魅力であった。アサルト・タグ部隊とともに戦場に投入される護衛艦艇群では、アサルト・タグからの情報は旗艦にも流され、部隊指揮に役立てられた。この戦訓によって巡洋戦隊や戦闘戦隊随伴用にクリフォード級後期型には偵察ドローンが搭載され、情報収集艦としての機能が持たされた。


Khazar Class Rescue Commander  from LSP.Ship's

CraftID:

Hull:


Power:

Loco:


Commo:


Sensors:







Off:



Def:





Control:




Accom:



Subcraft:

Other:




ハザール級指揮回収艦 タイプ:DE TL=13+ MCr 2,702.2

4,500/11,250 排水素=5,000トン 形状=4/流線型 装甲=40F
 重量=50,463トン 総重量=84,592トン

462/616 核融合=41,580Mw 航続=15日(通常:19日) 

270/360 ジャンプ=3  540/720 通常(スラスター)=3G 移動力=0
 地表速度=40 巡航=750 最大=1,000

無線式=星系内距離×169 レーザー式=星系内距離×169
 電波妨害機=遠軌道距離×3

電磁マスカー  受動EMS=遠恒星間距離×3
 能動EMS=遠軌道距離×3 EMS妨害器=遠軌道距離×3
 質量探知器=高貫通/1km×3 中性微子探知器=10kw×3
 (質量探知器 および 中性微子探知器は、TL=15を搭載)
 能動物体探知     = 並  能動物体追跡     = 並
 受動物体探知     = 並  受動物体追跡     = 並
 受動エネルギー探知 = 易  受動エネルギー追跡 = 並

パルス・レーザー=X X 3
装備数           14
射撃可能数        13

散乱砂砲=X X 4
装備数       10
射撃可能数    10

防御DM=+9 装甲DM=0 致命的命中=14

コンピュータ=モデル7光ファイバー型×5 パネル=ホロ・リンク型×646
 付加=大型ホロ・ディスプレイ×2
 基本環境 基本生命 高度生命 重力プレート 加速補正器
 エアロック×5

乗組員=67(5×14) 艦橋6 機関9 砲術5 飛行18 指揮23
 接客5 医療1
 小型専用室×20 専用室×77 ジム×1 温泉/ジャグジー×2

LSP4090型アポジモーター×9 RW80型作業艇×9 偵察ドローン×80

船倉=8.7(0.6Ht) 燃料スクープ、燃料精製装置=168時間
 燃料(ジャンプ/核融合炉)=13,500/7,484kl
 弾薬庫(散乱砂)=600発(20ラウンド分)
 目標サイズ=中 視認レベル=中
 量産価格=MCr 2,161.2 電子回路防御




LSP4090型アポジモーター


LSP4090 Type from LSP.Ship's

CraftID:

Hull:


Power:

Loco:


Commo:

Sensors:




Off:

Def:

Control:

Other:


軌道修正用スラスター TL=13 MCr 123.9

81/203 排水素=90トン 形状=0/非流線型 装甲=40F
 重量=2,638トン 総重量=2,686トン

33/44 核融合=2,934Mw 航続=7日(通常:7日) 

57/76 通常(スラスター)=1G(単独時=15.8G 理論値)
 移動力=0

無線式=星系内距離×3 レーザー式=星系内距離×3

電磁マスカー
 受動EMS=遠恒星間距離×2 能動EMS=遠軌道距離×2
 能動物体探知     = 並  能動物体追跡     = 並
 受動エネルギー探知 = 並

なし

防御DM=+2 装甲DM=0 致命的命中=0

コンピュータ=モデル2新型×3 パネル=ホロ・リンク型×415

船倉=29.6(2.2Ht) 燃料(水素)=246.5kl
 目標サイズ=小 視認レベル=弱
 量産価格=MCr 99.1 電子回路防御


 備考:LSP4090型は、単独でも2,000tの艦船を1Gで牽引できる。理論的には、単独では15G以上の加速を可能となるが、慣性制御装置を組み込まれていないために1G以上の加速ができないように制限されている。最大でも6Gまでの設計強度を保持していないこともあり、無理な加速によって自壊する可能性も高い。

 この制限を故意に外すことは危険なだけでなく違法である。LSP4090型のオペレーターは運用にあたってはこの点に留意すべし。ましてミサイルの代わりに敵艦に突っ込ませるような行為は厳重に戒める。LSP4090型は、使い捨て兵器では断じてないのだから。




RW-80型作業艇


 LSP4090型アポジモーターの設置作業に.用いられる小型作業艇。LSP4090型アポジモーターを所定の位置に輸送し、取り付け作業を行うことができる。軍用パルスレーザーを改造したレーザー・トーチを装備している。アポジモーターの取り付け位置の成型に用いられる。


RW-80 Type from LSP.Ship's

CraftID:

Hull:


Power:

Loco:


Commo:

Sensors:




Off:



Def:

Control:


Accom:

Other:



小型作業ポッド TL=13 MCr 20.0

14/34 排水素=15トン 形状=5/流線型(密閉式) 装甲=40F
 重量=420トン 総重量=428トン

6/7 核融合=459Mw 航続=2日(通常:4日) 

1/1 通常(スラスター)=1G 移動力=0
 地表速度=40 巡航=750 最大=1,000

無線式=遠軌道距離×2 レーザー式=遠軌道距離×2

電磁マスカー
 受動EMS=遠恒星間距離×2 能動EMS=遠軌道距離×2
 能動物体探知     = 並  能動物体追跡     = 並
 受動エネルギー探知 = 並

ビームレーザー=XX2
砲塔群         1
射撃可能数      1

防御DM=+3 装甲DM=0 致命的命中=0

コンピュータ=モデル1光ファイバー型×2 パネル=ホロ・リンク型×145
 基本環境 基本生命 高度生命 エアロック×1

乗組員=2 操縦1 作業1 座席=ゆったり×2

船倉=6.6(0.5Ht) 燃料(水素)=11.0kl 燃料精製装置=6時間
 グラップリングアーム×2 牽引用スラスターユニット
 目標サイズ=小 視認レベル=弱
 量産価格=MCr 16.0 電子回路防御




コメット級大型タグボート(アサルト・タグ)


 第四次辺境戦争終結から10年後、帝国海軍艦政本部は民間企業に対してモーガン級を改装した大型タグボートの競争試作を公募した。公募に応じた多くの造船所は、モーガン級の核融合炉をクリフォード級で採用されたTL15のものに換装し、スラスターを増設した形式の改装型で応じた。試算では、50,000t1.2Gで加速させることしかできなかった。
 軌道修正用のアポジモーターを推進用に用いても1.32Gしか稼ぎだせなかった。
 駆逐艦護衛艦同士が戦う戦場から味方艦艇を救出するために投入する艦である。この脱出加速度は危険であった。仮装巡洋艦を原型とする大型武装タグボートは装甲が施されておらず、敵艦と撃ち合いしながらの脱出劇を全うするには不安があった。唯一、追加推進システムにスラスター駆動ではなく、核融合ロケットを搭載したメイス重工の設計案に海軍管制本部の技術将校が注目した。メイス重工のレポートでは、試作艦に搭載する核融合ロケットは、3,094,650tの推力を発生させることが記載されていた。例えば総重量989,433tプラネット級重巡洋艦3Gで牽引できる推力を発生させることができるのである。軌道修正用のアポジモーターを使用しないでの数字である。
 このレポートに帝国海軍艦政本部の技術将校たちが狂喜したもの無理はなかった。核融合ロケットによって生じたエネルギーを利用することで航続時間の延長も可能であることも好感をもって迎えられた。即座に試作契約が結ばれ、翌年には試作艦が完成した。試験結果は良好で一部の不具合の改正と軌道修正用LSP4090型アポジモーター3基の遠隔制御システムの統合が図られたのみで順調に実用化が進んでいった。コメット級の実用化にはハード面ではなくソフト面で問題が生じた。帝国海軍には、核融合ロケットを扱ったことのある人材は皆無に近かったのである。コメット級の試験の際にはメイス重工がエンジニアを派遣していた為に問題とならなかった。帝国海軍の官僚たちは星域海軍から人材を徴用すればよいと考えていた。TL11以上の星系では、核融合ロケットは過去の遺物に過ぎず、核融合ロケットを扱えるエンジニアはいなかった。メイス重工の関連会社には核融合ロケットの保守や操作を教える専門学校が存在し、帝国海軍はその卒業生を招集することでエンジニアを確保しなければならなかった。



Comett Class Armed Tugboat  from LSP.Ship's

CraftID:

Hull:


Power:

Loco:



Commo:


Sensors:







Off:



Def:





Control:




Accom:



Subcraft:

Other:




コメット級大型武装タグボート TL=13+ MCr 8,175

4,500/11,250 排水素=5,000トン 形状=4/流線型 装甲=40F
 重量=113,122トン 総重量=115,862トン

462/616 核融合=41,580Mw 航続=15日(通常:19日) 

270/360 ジャンプ=3  540/720 通常(スラスター)=3G
1,587/2,116 核融合ロケット=3,094,650TT/単体時26.7G(理論値)
 移動力=0 地表速度=40 巡航=750 最大=1,000

無線式=星系内距離×9 レーザー式=星系内距離×9
 電波妨害機=遠軌道距離×3

電磁マスカー  受動EMS=遠恒星間距離×3
 能動EMS=遠軌道距離×3 EMS妨害器=遠軌道距離×3
 質量探知器=高貫通/1km×3 中性微子探知器=10kw×3
 (質量探知器 および 中性微子探知器は、TL=15を搭載)
 能動物体探知     = 並  能動物体追跡     = 並
 受動物体探知     = 並  受動物体追跡     = 並
 受動エネルギー探知 = 易  受動エネルギー追跡 = 並

パルス・レーザー=X X 3
装備数           14
射撃可能数        13

散乱砂砲=X X 4
装備数       10
射撃可能数    10

防御DM=+9 装甲DM=0 致命的命中=14

コンピュータ=モデル7光ファイバー型×5 パネル=ホロ・リンク型×151
 付加=大型ホロ・ディスプレイ×6 ヘッドアップホロ・ディスプレイ×12
 基本環境 基本生命 高度生命 重力プレート 加速補正器
 エアロック×5

乗組員=60(5×12) 艦橋12 機関28 砲術5 保安4 指揮8
 接客1 医療1
 専用室×30 ジム×1 温泉/ジャグジー×2

低速救命艇(30t)×1

船倉=9.4kl(0.7Ht) 燃料スクープ、燃料精製装置=168時間
 燃料(ジャンプ/核融合炉)=13,500/18,911kl
 弾薬庫(散乱砂)=600発(20ラウンド分)
 目標サイズ=中 視認レベル=中
 量産価格=MCr 6,540 電子回路防御


 備考:核融合ロケットは、単体時に最大で26.7Gをたたき出すことができる。これはあくまで理論値に過ぎない。実際にはソフトウェアによって最大加速は3Gに制限されている。ソフトウェアの改造によって最大6Gまで加速制限を緩和することは不可能ではない。コメット級の事故原因のトップは、ソフトウェアの“不調”や加速度計の破損である。コメット級では、こうした破損は致命的である。何らかの理由で制限が働かない場合、コメット級は流星となって星空に消えてしまうのである。

 エンジニア諸君、流星になりたくなくば、留意せよ。プログラムが弄られていないか、センサーは正常に機能しているかを。




 大島様から設定を頂き、私、山中が原稿として作成しました。
 イラストは、山中オリジナルです。


2009.03.05 投稿前のチェック。
2009.03.09 初投稿。