Prelude for The Twilight Peak 4th
「黄昏の峰へ」の前奏曲 第4章
 MEGA TRAVELLER
Science -Fiction Adventure
in the Far Future

CG softs:  DOGA-L3, Metasequia

 

 

 

 

 

 
 



 
 
 
 
 
 

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図71 バッカニア商会の事務所 受付

 通常のブローカー(貿易品売買)業務に加えて、「事故で破損した」貿易品や「船荷書類を紛失した」貿易品の買い取り、中古品の売買について相談に応じてくれる、非常に融通の利く商社です。
 
もちろん、この会社は故買屋ではありませんから「盗品」や「非合法の品物」は一切扱っておりません(笑)。





1.はじめに


 「黄昏の峰への前奏曲 第3章」の原稿を書き直しているうちに、宇宙港で働いているブローカーの存在意義に、ちょっとした疑問を抱き始めました(字数を減らすため、彼らのことを宙港ブローカーと呼ぶことにします)。
 宙港ブローカーは投機貿易品の売却に「どの程度」携わっているのでしょう?

 投機貿易品を売却する際、実際価格表におけるプラスDMとして、宙港ブローカーや乗組員の持つ〈ブローカー〉技能が用いられました。そのDMの最大値は4ですので、技能レベル5以上の超ベテランが居たとしても、+4の修正にしかならないのです。



 ここでとても重要になるのですが、宙港ブローカーの手を借りて貿易品を売却した際は、彼らに手数料を支払わなければなりません。その金額は、〈ブローカー〉技能レベル毎に5%です。技能レベル1ならば5%、レベル4ならば20%ということです。
 この手数料は、貿易品の最終的な販売価格に掛かってきますので、貿易品の売却利益を大きく損ねることになるでしょう。

 期待値を計算してみたところ、具体的には下記のようになりました。

   表72 乗組員の〈ブローカー〉技能と、宙港ブローカーを利用した場合、
        貿易品の売却(販売)によって得られる収入の期待値

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 問題を単純化するため〈貿易〉技能による価格予想については考慮していませんが、ご覧の通りです。

 貿易品の実際価格について期待値計算をしてみたところ、技能レベル4の宙港ブローカーを利用しても、その期待値は乗組員の〈ブローカー−3〉技能に劣りました。
 乗組員の中に〈ブローカー−3〉の持ち主が居るならば、その商船はAクラス宇宙港に寄港したとしても、宙港ブローカーの手を借りる必要がないのです。

 Bクラス以下の宇宙港で働いている宙港ブローカーは技能レベルが3以下ですから、ますます、その存在意義が弱くなってしまいました。技能レベル3の宙港ブローカーは商船の得る利益という観点で見た場合、乗組員の〈ブローカー−2〉技能に劣ります。
 つまり、乗組員に〈ブローカー−2〉の持ち主が居るならば、商船はBクラス以下の宇宙港に寄港しても、宙港ブローカーの手を借りる必要がありません。

 技能レベル2の宙港ブローカーも同様ですが、レベル1の宙港ブローカーに至っては乗組員の持つ〈ブローカー−1〉にまで劣るようになりました。



 逆に考えるならば、技能レベル4の宙港ブローカーを頼ってくる顧客は、乗組員が〈ブローカー−2〉以下の技能しか持っていない商船に限られます。
 技能レベル2〜3の宙港ブローカーの顧客は〈ブローカー−1〉以下の商船であり、技能レベル1の宙港ブローカーは〈ブローカー〉技能を持たない商船だけにしか頼ってもらえません。
 自由貿易商船の乗組員が〈ブローカー〉技能を持たなかったり、あるいは、1レベルの〈ブローカー〉技能しか持たないことは有り得るでしょう。
 私がCTルールでテストプレイに用いた商船の乗組員もそうです。彼らは投機貿易品を売却する際、常に宙港ブローカーの手を借り、手数料を支払っていました。手数料を取られても、その方が利益が大きくなったからです。

 しかし、投機貿易を専門に行なう商船が、同じことをするとは思えません。
 商船会社に勤めていれば、3レベル以上の〈ブローカー〉技能を簡単に得ることができます。
 3レベル以上の高い〈ブローカー〉技能を得た乗組員が1人でも居れば、その商船は宙港ブローカーを利用する必要がないのですから。このままでは宙港ブローカーが失業してしまうでしょう。



 という訳で、何やら存在意義の薄くなってきた宙港ブローカーのために、存在意義を考察し、彼らが活躍できるハウス・ルールを考案してみました。
 その反面、商船乗組員の〈ブローカー〉技能は、かなり使い難くなります。
 同時に利益も大きく目減りすることになりましたが、PCの「儲け過ぎ」を抑制するためには良い方法かも知れません。

 今回も、考察の背景にはシナリオ「黄昏の峰へ」を利用しました。





2.「買い手を見つける」行為判定


 「ナイトフォール」に掲載されていた選択ルール「投機貿易品の買い手を見つける」行為判定を、実際に使ったことはありますでしょうか?
 私は一度も使ったことがありませんが、以下に示したようなルールです。

投機的な貿易品の買い手を見つける:
 〈難易度は様々〉、〈ブローカー、管理、交渉など〉、時間も様々。

 高人口世界(人口9以上)、難易度〈易〉、時間単位4時間。
 中人口世界(人口4〜8)、   〈並〉、     1日。
 低人口世界(人口3以下)、   〈難〉、     2日。


レフリー:
 工業製品の機械類である場合、テクノロジー・コードが1段階違うごとに、難易度が1段階上昇します。
 珍品の場合、テクノロジー・コードが1段階違うごとに、難易度が1段階やさしくなります。

 人口が0(0〜9人)の世界でない限り、行為の難易度が「至難」より高くなることはありません。

 治安が低い(治安レベル0〜3)世界で取引を行なおうとしている場合、致命的失敗は自動的に3Dの事故になります。
 治安レベルが高(8〜9)の世界では、この行為は「危険」です。
 治安レベルが極高(10+)の世界では、「危険」かつ「致命的」です。

 注:英文エラッタにより、治安レベル10の世界は「極高治安」に訂正されました。



 私は上記のルールを見た瞬間、「高人口世界」以外での貿易品売却が不可能になってしまうのではないか、と思いました。

 最大の理由は、時間単位の大きさです。
 どんなに大きなDMがあったとしても、行為判定には最低でも「時間単位の3倍」が費やされます。高人口世界の場合は最低12時間、最大72時間(=3日間)になりますから、商船の停泊期間を引き伸ばさなくとも、十分、間に合うでしょう。

 しかし中人口世界の場合は最低でも3日間、最大で18日間になりました。
 普通の商船は、その世界に1週間(星系内の移動時間を考慮すれば6日間以下)しか留まりません。貿易品を売却した後には、新しい貿易品を仕入れる仕事もあるのです。
 船倉が満杯のまま(買い手が見つからない状態)で、新しい貿易品を仕入れることは無茶だと思いますし、反対に船倉が空のままで(貿易品や船荷を集めることをせずに)出港するのも不経済でしょう。
 そう考えると「買い手を見つける
」ための時間は、3日程度しかありません。
 よほどプレイヤーのサイコロ運が良くないと、3日以内に「買い手を見つける」ことは出来ないのです。

 低人口世界の場合は時間が倍増ですから、どんなに頑張っても、6日間が費やされてしまいます。最大は36日間(=1ヵ月以上)になりました。
 普通の商船ならば、投機貿易品を売り捌くことは不可能です。



 どうにも「このルールは使えないぞ」と思っていたのですが、メガトラのエラッタを訳していたところ、同様のルールが「追加ルール」として掲載されていました。日本語版の「ナイトフォール」では「選択ルール」だったルールですが、向こう(米国)では基本ルールとして採用されつつあるのです(松永様に指摘された通り、ハウス・ルールの範疇でしょうけれど)。
 この発見が、上記ルールの評価を改めるきっかけとなりました。それだけの高い評価を得ているルールならば、再検討をしてみるべきだと感じたのです。



 という訳で、高人口世界(難易度〈易〉、時間単位4時間)、中人口世界(〈並〉、1日)、低人口世界(〈難〉、2日)のそれぞれについて、成功率と所要時間を求めてみました。
 DMについては、日本語版「ナイトフォール」で〈ブローカー、管理、交渉など〉、英語版エラッタで〈ブローカー〉、〈管理、または、交渉〉と定義されています。
 折角ですから、後者のDMを採用しておきましょう。
 計算を簡略化するため、〈ブローカー〉技能の持ち主は同レベルの〈管理、または、交渉〉技能を持っていると想定しました。つまり、DMは〈ブローカー〉技能の2倍になる訳です。


 まずは、高人口世界です。

   表73  高人口世界で「買い手を見つける」成功率と所要時間(Days)

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 高人口世界において、「買い手を見つける」ことには何の困難もありません。

 その所要時間も、最短で0.5日(=12時間)、最長で3日間(=72時間)ですから3日以内に「買い手が見つかる」可能性は、(行為判定に成功したのであれば)100%です。これも問題になりませんでした。



 次は、中人口世界です。

   表74  中人口世界で「買い手を見つける」成功率と所要時間(Days)

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 中人口世界になると、「買い手を見つける」ことが若干、困難になってきました。
 もっとも。〈ブローカー〉技能などによるプラスDMが4以上あれば、ほぼ自動的に成功すると思います。

 所要時間は、最短で3日、最長で18日間です。その平均時間はプラスDMの大きさにもよりますが、DM=0の10.5日から、DM+8の4.0日になりました。
 3日以内に「買い手を見つけられる」確率は、右端に示してある通りになります。
 DM=0の場合、わずか0.5%ですし、DM+4でも16.2%、DM+8であっても62.5%しかありません。
 行為判定に成功しても、通常の停泊期間内に「買い手を見つける」ことは難しいようです。



 3つめは、低人口世界です。

   表75  低人口世界で「買い手を見つける」成功率と所要時間(Days)

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 低人口世界になると「買い手を見つける」こと自体が困難です。プラスDM=0なら成功率は8.3%。+4でも58.3%しかありません。もっとも、+8のDMを持っているキャラクターならば、ほぼ自動的に成功(=97.2%)するでしょうが。

 ですが成功しても、所要時間は最短で6日、最長で36日間です。平均時間はDM=0の21.0日から、DM+8の7.9日になりました。
 3日以内に「買い手を見つけられる」確率は、ゼロです。
 行為判定に成功しても、商船の乗組員は停泊期間内に「買い手を見つける」ことが、絶対にできません。



 ちなみに、高人口/中人口/低人口世界がどの程度の比率で存在してるかと言いますと、スピンワードマーチ宙域の帝国領内に関しては、以下の表76のようでした。

    表76 星系人口レベルの分布(スピンワードマーチ宙域内の帝国領)

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 予想して然るべきことですが、中人口世界がその過半を占めています。

 2Dの確率分布に従うならば、高人口世界は、2Dの目で11以上が出なければいけませんから、8.3%の23星系の筈です。帝国領内に28星系と多く存在する理由は、単なる偶然か、あるいは何らかの政治的な意図(神=デザイナーの意思)が働いているのかも知れませんが。

 中人口世界は、人口7〜8が55星系20.2%(確率上は19.4%で53星系)、人口4〜6が129星系47.4%(同41.6%で113星系)。

 低人口世界は、54星系が存在しており、その比率は19.9%ですが、確率的には25.0%の68星系が存在する筈でした。高人口/中人口世界の比率が増えている分、その数が減らされているようです。

 人口0の荒涼世界は、帝国領内に6つ2.2%存在します。確率的には2.8%で8星系が存在する筈でしたから、やはり少なくなっていました。

 以上の結果より、自由貿易商人の多くが貿易品の売却を試みる世界は、中人口世界が最も多い、と予想できます。



 以上、3つの計算(表73〜75)で明らかになった通り、多くの商人キャラクターは中人口/低人口世界で貿易品の売却を行なえません。
 しかし、帝国領内の人口調査(表76)より、自由貿易商人が寄港する星系は中人口世界が最も多くなることも明らかです。
 それらの世界において「買い手を見つける」ことに成功したとしても、その頃には商船はすでに出発の準備を始めているか、あるいは出港していることでしょう。つまり、遅すぎるのです。

 そこで、ハウス・ルールを作成してみることにしました。宙港ブローカーを利用することで、中人口/低人口世界でも貿易品の売却を可能にするのです。





3.貿易品による、難易度の変化

 ところで、「買い手を見つける」ための行為判定は、売ろうとしている貿易品の分類によって、その難易度が上下します。

 まず、売ろうとする貿易品が「工業製品の機械類」の場合、テクノロジー・コードが1つ違うごとに、難易度も1つ上昇してしまいます。
 リジャイナ(TL12:標準星間)で仕入れた機械類を、ジェンゲ(TL9:初期星間)で売ろうとする場合は、難易度が1つ上がって〈難〉になりますし、ルー(TL7:前星間)で売ろうとする場合は2つ上がって、こちらも〈難〉になる訳です。
 DMがよほど高くないと、「買い手を見つける」ことはできません。

 機械類を貿易品として仕入れる場合、あらかじめ何処で売るのか、検討しておいた方が良いでしょう。できるだけテックレベルが等しい世界の間でなければ、機械類の貿易は成り立たないのです。
 特に、中人口世界や低人口世界でテクノロジー・コードの異なる機械類を売ることは困難でしょう。コードが1つ違うだけで、難易度〈並〉は〈難〉に、難易度〈難〉は〈至難〉に変わってしまうのです。

 ルールの特例として、

 人口が0(0〜9人)の世界でない限り、行為の難易度が「至難」より高くなることはありません。

 とありました。
 そうすると、ライラナーで仕入れた機械類(TL15:高度星間)を、3パーセク字離れたジャイルドン(人口20人前後、TL6:工業)で売ることも、プラスDMが3以上あれば不可能ではありませんね。
 DMが+8ならば、半分以上の確率(58.3%)で売り捌けます(買い手を見つけるまでの時間がどれだけ掛かるか分かりませんが)。テクノロジー・コードが3つも違うのですが。



 参考にするため、難易度が〈至難〉と〈不可能〉の場合について、その成功率を下の表77に示しました。

     表77  買い手を見つける成功率 難易度〈至難〉と〈不可能〉
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 反対に、売ろうとしている貿易品が「珍品」である場合は、テクノロジー・コードが1つ違うごとに難易度も1つ下がります。
 これは非常に有り難い話で、リジャイナ(TL12:標準星間)で仕入れた珍品を、ジェンゲ(TL9:初期星間)で売ろうとする場合は、難易度が1つ下がって〈易〉になります。
 また、ルー(TL7:前星間)で売ろうとする場合は2つ下がりますが、〈易〉よりも下の難易度がありませんから、〈易〉のままになりました。

 「珍品」は非常に有り難い貿易品です。





4.「買い手を見つける」行為のリスク

 また、「買い手を見つける」行為判定は、しばしば事故を引き起こします。
 具体的には、以下の通りですが。

 治安が低い(治安レベル0〜3)世界で取引を行なおうとしている場合、致命的失敗は自動的に3Dの事故になります。
 治安レベルが高(8〜9)の世界では、この行為は「危険」です。
 治安レベルが極高(10+)の世界では、「危険」かつ「致命的」です。


 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内に存在する、28の高人口世界で治安レベルを調べたところ、無法世界(0)が1つ、低治安(1〜3)も1つ、並治安(4〜7)が12、高治安(8〜9)が8つ、極高治安(10+)が6つでした。
 高人口世界なのに並治安以下が14星系(50%)もある事実は意外でしたが、それはともかく、事故表で3Dを振る無法世界と極高治安は7星系(25.0%)、2Dを振る高治安も8星系(28.6%)もあります。

 高人口世界で「買い手を見つける」場合、サイコロで「2」の目が出る以外に失敗は有り得ません。ですから「致命的失敗」の確率も36分の1(=2.7%)です。
 わずかな確率ですが、36回サイコロを振れば1回は事故を起こすという訳で、余り軽視することもできないでしょう。

 中人口世界低人口世界で貿易品の「買い手を見つける」場合、難易度が〈並〉や〈難〉に上昇しますから、リスクはさらに高まります。
 高治安の世界では行為が「危険」ですから、例外的失敗で2Dの事故判定、致命的失敗で3Dの事故判定をしなければなりません。
 極高治安の世界では行為が「危険」で「致命的」ですから、失敗すると自動的に3Dの事故判定です。



 心配になってきたので、「買い手を見つける」行為判定に失敗し、事故を起こす確率を計算してみました。
 まずは、治安レベルが3以下の、無法/低治安世界の場合です。

      表78  無法/低治安世界における、事故発生率と事故分布
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 「致命的失敗」を起こさない限り、無法/低治安世界(治安レベル3以下)で事故が発生することはありません。
 しかし事故が発生した場合、それが深刻なものになる可能性があるそうです。

 自由貿易商人が1年間にジャンプを25回行い、「買い手を見つける」行為判定を、25回行なっているとするならば、
 微小事故が0.06回、小事故が0.28回、大事故が0.28回、重大事故が0.06回生じているという計算になりました。
 1年半に1回の頻度で、小事故か大事故が発生していますが、微小事故や重大事故が発生する頻度は15年に1回です。
 無法/低治安世界における事故発生は、それほど心配しなくても良さそうでした。



 並治安世界(治安レベル4〜7)では事故が起こりませんので、次は高治安世界(治安レベル8〜9)の場合です。

        表79  高治安世界における、事故発生率と事故分布

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 「致命的失敗」による「3Dの事故」に加え、「例外的失敗」の場合「2Dの事故」を起こすようになりました。
 最悪の重大事故を起こす確率は0.3%で変わりませんが、大事故、小事故、微小事故の発生率は非常に大きくなります。

 成功率が3+の場合、事故発生率は前述した「無法/低治安世界」の場合と同じ確率になります。それほど心配することはないでしょう。

 しかし、成功率が下がって5+になると、1年間の(行為判定25回による)事故率は、年に1回の頻度で小事故が発生し、微小事故や大事故も、合わせて年1回の頻度で発生するでしょう。

 成功率が7+ですと、小事故が4ヶ月に1度微小事故が5ヶ月に1度大事故も年に1回弱の頻度で発生するようになりました。
 行為判定を試みれば、半分近い確率で事故が発生するのですから、大変でしょう。

 成功率が9+まで下がると、小事故と微小事故が2ヶ月に1度の頻度で多発します。大事故も8ヶ月に1度の頻度で起こりますから、商人の安全を保証できません。

 成功率11+は論外です。

 高治安世界において、成功率3+以外の「買い手を見つける」行為は、とても危険であると判明しました。
 高治安世界でこれだけリスクが高いのですから、極高治安世界の場合はどうなるのでしょうか。



 次は極高治安世界(治安レベル10+)の場合です。

        表80  極高治安世界における、事故発生率と事故分布

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 極高治安世界の場合、「買い手を見つける」行為の失敗は自動的に「3Dの事故」を引き起こします。

 成功率が3+ならば、それほど心配することはありませんが、成功率5+の場合でも3ヶ月に1回の頻度で事故が発生し、その多くは小事故か大事故です。運が良ければ、微小事故で済みますが、運が悪ければ重大事故が起こりました(それぞれ2年半に1回の頻度)。

 成功率が7+の場合、1ヵ月に1度(年に10回以上)の頻度で事故が発生します。重大事故は年に1回の頻度で発生するでしょう。
 成功率が9+の場合は、1ヵ月に1.5回(年に18回)の事故です。重大事故は半年に1回の頻度まで増えました。

 私が商人キャラクターだとしたならば、難易度の低下や豊富なDMで成功率「3+」を得ていない限り、サイコロを振る勇気が出ません。事故の発生率と分布が、余りにも怖すぎます。



 非常に不安が増してきましたので、今度は治安レベルの分布を調べてみました。スピンワードマーチ宙域の帝国領内に関しては、以下の表81のようになります。

    表81 星系治安レベルの分布(スピンワードマーチ宙域内の帝国領)

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 「買い手を見つける」行為の失敗が、即座に「3Dの事故」を意味する極高治安世界は、帝国領内に33星系12.1%も存在していました。
 この程度の比率ならば、避けて商売することも可能だろうかと思っていたのですが、「黄昏の峰へ」の舞台となるスピンワード・メインの場合、貿易品の売買で重要な星系レックが極高治安星系でした。
 この星系で貿易品を売却して、利益を稼がないと、その後が辛くなります。
 やはり、極高治安世界を避けて商売をする訳にはいかないようですね。

 Severus様から指摘を受けましたが、貿易品の中でも売却に有利な「珍品」は、入手確率が基本で2.8%しかありません。36分の1です。
 ところが、その世界が人口9+、政治形態9+、治安9+ならばDM+1が適用されて、より多く(DM+1で8.3%、+2で16.7%、+3で27.8%)の「珍品」を入手できるのです。
 より高く売れる商品を入手できるのであれば、「3Dの事故」リスクも許容するべきかも知れませんね。



 その次に危険な世界である高治安世界は、帝国領内に36星系13.2%が存在していました。
 スピンワード・メインにはリジャイナとキーノー星系の2つが存在します。貿易品の売却をしないキーノー星系はともかく、リジャイナ星系のリスクが心配になりました。

 無法/低治安世界は、帝国領内に104星系38.2%が存在します。
 スピンワード・メインには、ダイナムン、エキスト、パイリーマ、テュレデッド、ジャイルドン、フューラキン、メイシーン、キノーブの8星系が見つかりました。低人口世界が多い航路ですので、無法/低治安世界も多くなる訳ですね。

 何とかして、これらのリスクを軽減するか、回避する必要が生じました。





5.宙港ブローカーに「買い手を見つけて」もらう場合

 ここから先は、ハウス・ルールの提案になります。
 貿易品の「買い手を見つける」ための行為を、手数料を払って宙港ブローカーに任せル場合、以下のように変更してみたらどうでしょうか。



投機的な貿易品の買い手を、宙港ブローカーに見つけてもらう:
 〈難易度は様々〉、〈ブローカー〉、〈管理、あるいは、交渉〉、時間単位4時間

 高人口世界(人口9以上)、難易度〈易〉。
 中人口世界(人口4〜8)、   〈並〉。
 低人口世界(人口3以下)、   〈難〉。

レフリー:
 DMに使用する技能レベルは、仕事を頼んだ宙港ブローカーの技能を用います。
 宇宙港クラスによる技能レベルの上限に注意してください。
 簡易化する場合は、〈ブローカー〉技能と同レベルの〈管理、あるいは、交渉〉技能を持っていると想定し、〈ブローカー〉技能レベルの2倍をDMとして使用します。


 工業製品の機械類である場合、テクノロジー・コードが1段階違うごとに、難易度が1段階上昇します。
 珍品の場合、テクノロジー・コードが1段階違うごとに、難易度が1段階やさしくなります。

 人口が0(0〜9人)の世界でない限り、行為の難易度が「至難」より高くなることはありません。

 宙港ブローカーの手を介している限り「買い手を見つける」行為は安全になります。
 しかし、失敗しても「再挑戦」はできません。

 以下に、変更点についての説明をします。




(1)時間単位の短縮

 宙港ブローカーは多くの場合、その星系(宇宙港)に長く滞在しており、独自の人脈や情報源を持っています。
 ですから、宙港ブローカーが貿易品の「買い手を見つける」場合の時間単位を、その星系の人口レベルに関わらず「4時間」に変更してみました。
 
 この変更によって、自由貿易商人は中人口世界や低人口世界に寄港しても、貿易品の「買い手を見つける」ため、停泊期間を延長する必要がなくなりました。
 場合によっては、星系内へジャンプ・アウトするのと同時にブローカーへ商品情報を送り付け、星系内を通常航行している間に貿易品の「買い手を見つけてもらう」ことが可能になるかも知れません。

 それほど不自然だとは思いませんが、いかがでしょうか。




(2)リスクの回避

 宙港ブローカーは、その星系(宇宙港)における貿易品の売買について経験を積んでいます。どんな貿易品が、その星系で禁じられているか、また、嫌われているかということも承知しているでしょう。
 PCの持ち込んできた商品見本を見るだけで、宙港ブローカーはそれが売れないことを、あるいは、法的なトラブルを引き起こすだろうと予測できるのです。ですから、宙港ブローカーの手を借りて貿易品の「買い手を探す」場合、事故は未然に防がれるものとしました。

 と思っていたのですが、下の手数料収入を試算して、気持ちが変わりました。
 事故によるトラブルは、ブローカーが一切の責任を負うというルールにしましょう。
 これだけの荒稼ぎをしているのですから、それなりのリスクを負わせなければ、気が済みません。事故が予想される場合、「買い手が見つかる」までの間、乗組員が宇宙港内に留まっていれば、星系政府の司法の手は及びません。




(3)宙港ブローカーの手数料収入

 上記の通りのルール変更によって、宙港ブローカーにも仕事が回ってくるようになりました。
 では実際に、宙港ブローカーがどれだけの収入を得ているのか、計算してみます。

 まずは星域首都リジャイナ(宇宙港クラスA、技能上限=4)で働く宙港ブローカーの収入から。

     表82  リジャイナの宙港ブローカーが得る利益(技能レベル4)

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 色々と計算してみたのですが、リジャイナで貿易品を売ろうとする場合、ダイナムンとルー星系からの輸入品以外、黒字を期待できないことが分かりました。
 なぜなら、リジャイナのテックレベルは12です。周辺星系のテックレベルはすべて12よりも低いため、テックレベル修正により、貿易品の売値が大きく下がってしまいました。〈ブローカー〉技能によるDM+4を使用しても、多くが赤字になってしまうのです。
 反対に、リジャイナからの輸出品は近隣星系で引っ張りだこですから、リジャイナの貿易は「輸出超過」になっているのでしょう。

 黒字になる貿易品は限られていましたが、技能レベル4の宙港ブローカーは、20%の手数料をピンハネ・・・もとい、受け取ることができます。
 1トンの貿易品を売るだけで1,000cr以上の収入が保証されました。
 毎週100トン程度の貿易品売却を手伝うだけで、毎週10万クレジット、年間で500万クレジットも儲かります。しかも、自己資金は要りません。宇宙船に乗り込むより、ずっと儲かることは確実です。

 これだけ儲かるのであれば「買い手を見つける」際のリスクは、彼ら宙港ブローカーに負って貰うべきかも知れません。



 今度は、辺境世界のレック(宇宙港クラスD、技能上限=1)で働く宙港ブローカーです。

      表83  レックの宙港ブローカーが得る利益(技能レベル1)

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 レックで貿易品を売ろうとする場合、リジャイナ、ダイナムン、テュレデッドからの輸入品以外、採算が取れません。技能レベルの上限が1、つまり、〈ブローカー〉技能1レベルの宙港ブローカーしか事務所を構えていないため、プラスDMが少ないことが最大の要因でしょう。
 プラスDMがもう少しあれば、ジェンゲやエキストからの貿易品も黒字になると思われます。

 手数料収入は5%ですから、トン当たりに直すと400〜500crになるようです。毎週100トンの貿易品売却を手伝って、4〜5万クレジットの収入。年収は200〜250万。
 リジャイナで働く宙港ブローカーの3分の1ですが、技能レベルの低い駆け出しならば、十分に妥当な金額でしょう。

 レックは極高治安世界ですから、「買い手を見つける」ことに失敗した場合、自動的に「3Dの事故」が発生します。
 中人口世界なので、「買い手を見つける」難易度は「並」。
 宙港ブローカーが〈ブローカー−1〉と〈管理、または、交渉−1〉を持っていると想定してDM+2。
 表80「5+」の欄を見ると、成功率は83.3%、失敗率は16.7%でした。

 失敗率=事故率ですが、その内訳を見ると、微小事故1.5%、小事故6.8%、大事故6.8%、重大事故1.5%になります。
 週1回の頻度で貿易品売却を手伝うとするならば、およそ1年間に1回は重大事故を起こし、3〜4回の大事故を引き起こすことになるでしょう。
 私は行為判定による事故の適用ルールが良く分かっていませんが、この高額報酬は、そのリスクに引き合うものなのでしょうか。



 次は、同じく辺境世界のカーカ(宇宙港クラスC、技能上限=2)で働く宙港ブローカーです。

      表84  カーカの宙港ブローカーが得る利益(技能レベル2)

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 カーカで貿易品を売ろうとする場合も、リジャイナ、ダイナムンからの輸入品以外、黒字になりません。テュレデッドからの輸入品はサイコロ運が良ければ黒字になるかも知れませんが、期待値としては赤字になってしまいました。
 〈ブローカー〉技能2レベルの宙港ブローカーになっても、あまりパターンが変わりません。

 手数料収入は10%ですから、トン当たりで700〜900crの収入を得られます。毎週100トンの貿易品売却を手伝って、7〜9万クレジットの収入。年収は350〜450万クレジット。

 幸いなことに、カーカは並治安の星系なので、失敗した場合のリスクはありません。
 ただし、低人口ですから「買い手を見つける」難易度は〈難〉になります。DM+4の宙港ブローカーでも、58.3%の成功率しかないようです。
 当然、「買い手を見つける」ことができなければ手数料収入もありません。上記年収は行為の成否によって、半分以下まで減少するでしょう。





6.貿易品価格へのテックレベル効果

 ここまで考察が捗りましたので、もう一歩、踏み込んだ考察をしてみましょう。
 「ナイトフォール」に掲載されていた「選択ルール」は、貿易品の価格修正にも手が加えられていました。

・貿易品目が天然資源なら、テックレベルによる修正は無視する。
・加工品なら、示されている修正をそのまま使う。
・工業製品の機械類なら、テックレベルによる売値修正は、必ずマイナス修正になる(仕入世界のTLが市場世界のTLより高くても、差×10%を減じる)。
・機械類でない工業製品なら、示されている修正をそのまま使う。
・珍品なら、テックレベルによる修正は、必ずプラス修正になる。


 これと同じ文章が、英文エラッタにも追加されていました。

 このルールを採用することによるメリットですが、まず、テックレベルの低い世界の産物も、それなりの価格で売れるようになるでしょう。
 これまでは、マイナス修正によって売値が大きく減少していたローテク世界の貿易品が、天然資源と珍品に限ってですが、それなりの価格で売れるようになるからです。

 反対に、テックレベルの高い世界が作る機械類は、ローテク世界で売れなくなることでしょう。
 考えてみれば、当然のことですが、これによってハイテク世界がそのまま、貿易品の輸出大国となることを抑制できると思われます。



  表85 リジャイナで仕入れた貿易品(A8-C、5,200cr、富裕)の良い輸出先

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 まずは、リジャイナで仕入れた貿易品を考えてみました。
 「黄昏の峰への前奏曲 第2章」で明らかになったことですが、リジャイナの貿易品は、ジェンゲ、ダイナムン、レックの3星系で高く売ることができます。

 その貿易品を、天然資源、加工品、工業製品の機械類、珍品の4つに分類して個別に計算してみたところ、上記のように「リジャイナからの輸出品は、主に加工品と珍品である」と判明しました。
 天然資源の輸出は、隣接する工業世界ルーへ向けたものだけということです。

 機械類でない工業製品は、テックレベル修正が加工品と同じですので、加工品として分類しています。また、情報も同じく加工品として扱いました。



 肝心の貿易品の比率は、以下のようになっています。

         表86 海洋/富裕世界の貿易品目(Step.9b)

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 人口9+、政治形態9+、治安レベル9+は、それぞれDM+1(最大で+3)。

 リジャイナの貿易分類は「富裕」世界です。貿易フローチャートの「9b」を用いる訳ですが、政治形態9+、治安レベル9+によってDMが+2。
 リジャイナで見つかる貿易品の分類は、天然資源が(鉱物/動植物系で)各4.2%加工品が(鉱物/動植物系で)各9.7%工業製品が(非機械類/機械類で)各6.9%情報41.7%珍品16.7%になりました。
 
 ですから、リジャイナからの輸出品で最も多いものは情報41.7%)であり、次いで加工品(合わせて19.4%)、珍品16.7%)、天然資源(合わせて8.4%)、工業製品の非機械類6.9%)ということになるでしょう。
 工業製品の機械類6.9%)は、仕入れても手頃な売り先が見つかりません。
 何となく、富裕世界リジャイナの産業構造が見えてきました。

 表の下端にまとめた数字は、見つかった貿易品をローテク/ハイテク世界に輸送して売った場合、テックレベル差が有利に働くか、不利に働くかの確率を示したものです。テックレベル差が影響しない天然資源は中立ですが、多くの貿易品は、テックレベルの高い世界から低い世界へ運んだ場合に、その差が有利に働きました。
 テックレベルの低い世界から高い世界へ運ぶ貿易品は、テックレベル差が不利に働きますが、唯一の例外は珍品で、有利になる確率=珍品が見つかる確率です。

 ちなみに、フローチャートの「9b」を用いる「海洋/富裕世界」は、帝国領内に23星系(8.5%)が存在しています。実際の「富裕世界」はもう少し数が多いのですが、「富裕世界」はその条件が「農業世界」と重複するため、「富裕世界」であっても先に「9a」が適用されてしまうのです。
 「海洋世界」の条件は「農業世界」と対立していますから、こちらの場合は問題なく「9b」が適用されていました。

 実は、ループ(C77A9A9-7)のような「海洋/工業世界」も、この「9b」を適用することになっています(DM+3)。
 ちょっと納得しがたいところもあるのですが、このあたりはDMの差で、両者の違いを表現できているのでしょう(多分)。



  表87 ジェンゲで仕入れた貿易品(C6-9、6,900cr、非工業)の良い輸出先。

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 今度は、ジェンゲで仕入れた貿易品の売り先です。
 「黄昏の峰への前奏曲 第2章」では、ルー向けの貿易品を運ぶしかなかった訳ですが、今回の選択ルールによって、リジャイナ向けの貿易品が見つかりました。
 ジェンゲ産の珍品です。これを仕入れることが出来れば、リジャイナで売って利益を得ることができるでしょう。



 貿易品の比率は、以下のようになります。

          表88 非工業世界の貿易品目(Step.9d)

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 政治形態9+、治安レベル9+はDM+1。荒涼世界はDM−5。

 ジェンゲの貿易分類は「非工業」世界です。貿易フローチャートの「9d」を用い、DMは無し。
 見つかる貿易品の分類は、天然資源が(鉱物/動植物系で)各20.8%加工品が(鉱物/動植物系で)各8.3%工業製品が(非機械類/機械類で)各12.5%情報13.9%珍品2.8%になりました。

 残念ながら、リジャイナで高く売れる珍品(2.8%)は滅多に見つかりません。
 多くの自由貿易商人は、ジェンゲで天然資源(合わせて41.6%)や加工品(合わせて16.7%)、情報(13.9%)、工業製品の非機械類(12.5%)を仕入れて、ルーへと向かうことになりそうです。
 工業製品の機械類(12.5%)は、仕入れても売り先がありませんでした。

 ローテクの「非工業」世界で珍品を手に入れるためには、政治形態9+、治安レベル9+の世界を選んで出掛ける必要があるようです。そんな世界は滅多にありませんが。

 しかし「非工業」世界が輸出する工業製品とは、一体、どんなものなのでしょうか。まともに大量生産をしたら、高人口/工業世界の製品に太刀打ちできないことは明らかです。需要の限られた工業製品を受注生産するとか、多品種少量生産に徹することで、競争を避けているのではないでしょうか。
 昔に読んだ、高千穂氏の「ドルロイの嵐」がそんな世界を舞台にしていたような気がします。

 フローチャート「9d」を用いる「非工業世界」は、帝国領内に111星系(40.8%)が存在しています。
 実際のところ「非工業世界」の数はもっと多いのですが、「9a」の「農業世界」、「9b」の「海洋/富裕世界」、「9c」の「小惑星/真空/砂漠/非農業世界」が適用されることが多いため、111星系に減ってしまいました。



 次の寄港地ダイナム(D5-A、9,000cr、非工業/真空)で仕入れた貿易品は、選択ルールを適用しても売り先が見つかりませんでした。

 しかし、ダイナムのような「小惑星/真空/砂漠/非農業世界」が利用する、フローチャート「9c」について、考察しておきましょう。

     表89 小惑星/真空/砂漠/非農業世界の貿易品目(Step.9c)

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 人口9+、政治形態9+、治安レベル9+は、それぞれDM+1(最大で+3)。
 人口0の荒涼世界はDM−5。

 ダイナムの貿易分類は「真空/非工業」世界です。この場合は、「真空」世界が貿易フローチャートの「9c」に含まれているので、先に出てくる「9c」を適用することになりました。DMはありません。

 見つかる貿易品の多くは、鉱物系の天然資源41.7%)です。その次が工業製品(非機械類/機械類)で各12.5%鉱物系の加工品16.7%情報13.9%珍品2.8%でした。
 主要な産物が鉱物資源とその加工品であることは当然だとしても、13.9%もある情報は一体何なのでしょう。ダイナムでの仕入れ値が高過ぎるため、何処へ運んでも黒字で売ることはできないので関係ないことなのですが、ちょっと気になります。



 フローチャート「9c」を用いる「小惑星/真空/砂漠/非農業世界」は、帝国領内に50星系(18.4%)が存在しています。「9a」の「農業世界」、「9b」の「海洋/富裕世界」とは条件が対立しますので、実際の数より少ないということはありません。そのまま、50星系です。
 ダイナムのような「真空/非工業世界」と、グリッスンのような「小惑星/高人口/工業世界」を同じ「9c」で一緒に扱う点はちょっと不思議ですが、これはDMの差によって・・・・以下、同文。



表90 ダイナムンで仕入れた貿易品(B6-9、4,900cr、農業/非工業)の輸出先

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 今度は、農業世界のダイナムンで仕入れた貿易品の売り先です。
 「黄昏の峰への前奏曲 第2章」では、ルーとレック向けの貿易品しか黒字を期待できませんでしたが、今回の選択ルールで、リジャイナ向けの貿易品(珍品)が見つかりました。
 珍品は、仕入世界と市場世界のテックレベル差が、そのまま価格のプラス修正になりますから、本当に助かります。

 また、リジャイナ向けの天然資源と、ルー向けの機械類も、運び方によっては黒字にできます。
 上記の計算式はジャンプ1商船を用いた場合の考察ですから、運賃収入が2,000〜3,000になっていました。当然、売値が運賃収入よりも小さければ、赤字になる訳ですが、ジャンプ2〜3商船を使用すれば、この売値でも黒字に転換できるのです。
 ダイナムンの天然資源(農産物)をジャンプ2商船でリジャイナまで輸送すれば、運賃収入1,000crに大して、貿易品の販売収入は2,212crですから、確実に黒字となるでしょう。
 ダイナムンの機械類という、売りにくい貿易品を仕入れてしまっても、ジャンプ3商船ならば、3パーセク離れたルーで販売して、2,507crの利益を得られるのです。
 実際にMAG様が設計されたA310型自由貿易船で試算したところ、44トンの貿易品売却で110KCrの収益を上げられました。黒字達成のためには、あと44KCrの収入が必要ですが、特等旅客を5人か、一等旅客を6人乗せれば大丈夫です。余分に乗せた10人分の旅客運賃は、そのまま黒字になることが分かりました。



 農業世界の貿易品内訳ですが、以下のようになりました。

           表91 農業世界の貿易品目(Step.9a)

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 政治形態9+、治安レベル9+は、それぞれDM+1(最大で+2)。

 ダイナムンの貿易分類は「農業/非工業」世界です。DMはありません。

 見つかる貿易品の多くは、動植物系の天然資源37.5%)です。その次が動植物系の加工品30.6%)ですので、農業惑星であることが明確に表現されていました。
 その次は情報13.9%)、工業製品(非機械類/機械類)各5.6%鉱物系の天然資源4.2%)、珍品2.8%)です。

 リジャイナで高く売れる珍品は、滅多に見つかりません(確率2.8%)。
 その代わり、天然資源は(鉱物系と動植物系を合わせて)41.7%の確率で見つかります。リジャイナへ向かう場合は、貿易品として天然資源を仕入れてからジャンプすることになるでしょう。もちろん、ジャンプ2以上の性能が必要になりますが。
 また(非機械類の工業製品情報を含む)加工品50.0%の確率で見つかります。これらの貿易品を手に入れた場合は、レックに向かうとジャンプ1商船でも確実な黒字を期待できるでしょう。

 フローチャート「9a」を用いる「農業世界」は、帝国領内に44星系(16.2%)が存在しています。



 ワイポック(E5-8、9,800cr、非水海洋/非工業)で仕入れた貿易品は、選択ルールを適用しても売り先が見つかりませんでした。
 貿易品の比率は、前述したジェンゲ(表88、非工業世界)と同じですので、省略します。



 表92 レックで仕入れた貿易品(B6-9、4,900cr、農業/非工業)の輸出先

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 再び農業世界、レックで仕入れた貿易品の売り先です。
 「黄昏の峰への前奏曲 第2章」において、レックの貿易品はカーカとパイリーマで高く売れた訳ですが、選択ルールを採用した今回はもう少し多くの目的地で黒字を期待できるようになりました。

 最も儲かる商品は、やはり珍品です。
 隣接するカーカで2,733crの黒字。2パーセク離れたエキストやダイナムン、5回のジャンプを経てリジャイナまで戻っても、黒字になることが分かりました。
 問題点は、珍品16.7%の確率でしか手に入らないということですが(レックの政治形態と治安レベルはどちらもAなので、DM+2があります。ダイナムンやジェンゲの2.8%に比べれば、とても高い確率ですが)。

 目的地で使える〈ブローカー〉DMが下がったため、従来と同じ扱いの加工品では、黒字になりません。非機械類の工業製品情報も同じです。

 唯一、テックレベル修正を受けない天然資源だけが、カーカとダイナムンでは黒字になりました。手に入る確率は41.7%ですから、天然資源を仕入れてそれらの目的地へ向かうべきでしょう。

 ジャンプ2〜3の能力を持つ商船を運航している場合、エキストやリジャイナへ運ぶ天然資源も十分、黒字を得られます。
 反対に、リジャイナからレックへ運ぶ加工品非機械類の工業製品情報珍品は、トン当たり5千クレジットの利益が期待できました。
 リジャイナ=レック間の3パーセク航路には、貿易品を満載した定期便が運行しているかも知れません。旅客がなくても、貿易品の輸送と売買だけで十分に黒字運行が期待できます。



 カーカ(C3-8、8,800cr、低人口/非水海洋)で仕入れた貿易品も、売り先が見つかりませんでした。
 貿易品の比率は、前述したジェンゲ(表88、非工業世界)と同じです。



 表93 エキストで仕入れた貿易品(C3-A、8,000cr、低人口/海洋)の輸出先

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 エキストで仕入れた貿易品の売り先です。
 「黄昏の峰への前奏曲 第2章」では、パイリーマとレック向けの貿易品だけが黒字になった訳ですが、選択ルールとハウス・ルールを組み込んだところ、それらの星系を含めて赤字になってしまいました。
 しかし、収益を良く見てみると、ジャンプ1の商船ではなく、ジャンプ2〜3の商船を用いてレックとリジャイナに貿易品を運べば、十分な黒字を出せるようです。

 逆に考えると、ジャンプ1の商船にとってエキストは、貿易品の魅力が全くない世界となってしまいました。エキストで貿易品を売買する商船の多くは、ジャンプ2以上の性能を持つようです(というか、ジャンプ2以上でなければ黒字にならない)。



 貿易品の比率は、前述したリジャイナ(表86、海洋/富裕世界)と同じですが、今回はDMがありません。ですから、比率は以下のように変わります。
 エキストで見つかる貿易品の分類は、天然資源が(鉱物/動植物系で)各13.9%加工品が(鉱物/動植物系で)各15.3%工業製品が(非機械類/機械類で)各6.9%情報25.0%珍品2.8%になりました。

 エキストからの輸出品で最も多いものは加工品(鉱物/動植物系合わせて30.6%)で、次いで天然資源(合わせて27.8%)、情報25.0%)、工業製品(合わせて13.9%)ということになるでしょう。
 しかし、その多くは何処に運んでも黒字になりません。珍品だけはジャンプ2〜3回でリジャイナまで運べば黒字を確保できますが、そこまで無理をしなくても、他の星系で儲かる貿易品が、いくらでも見つかりそうな気はします。



 パイリーマ(D1-5、8,500cr、低人口)で仕入れた貿易品も、黒字になる売り先が見つかりません。珍品ですら、赤字になってしまうのです。
宇宙港クラスDの低人口世界なのですから、当然の結果とも言えますが。



表94 テュレデッド(C5-9、5,900cr、農業/非工業)で仕入れた貿易品の輸出先

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 テュレデッドで仕入れた貿易品の売り先です。
 「黄昏の峰への前奏曲 第2章」では、ジャイルドン、パイリーマ、レック向けの貿易品だけが黒字でしたが、選択ルールを採用すると、ジャイルドンとパイリーマに運ぶ貿易品だけが黒字です。レック向けの貿易品は採算割れして赤字になりました。

 例によって、珍品は多くの世界で高く売れるのですが、入手確率はわずか(2.8%)しかありません。比較的、手に入りやすい(非機械類の工業製品情報を含む)加工品50.0%)を仕入れた場合は、ジャイルドンかパイリーマへ運ぶしかないのです。

 もちろん、ジャンプ2〜3商船を利用している場合、選択肢はずっと広がります。
 レック(ジャンプ2を2回)へ加工品を運んだり、ライラナー(ジャンプ3を1回)へ天然資源を運んでも、黒字になることでしょう。向こうから持ち帰ってくる貿易品も概ね黒字になりますから、レック=エキスト=テュレデッドのジャンプ2定期便とか、テュレデッド=ライラナー間のジャンプ3定期便というものがありえる訳です。
 しかし何だか、スピンワード・メインにおけるジャンプ1商船の存在意義を否定している気分になってきました。とても複雑です。



 ジャイルドン(C1-6、7,600cr、低人口)で仕入れた貿易品も、売り先が見つかりませんでした。唯一、珍品だけが、フューラキンで黒字になりますが、その入手確率は2.8%しかありません。

 フューラキン(A2-D、6,300cr、低人口)の貿易品も、ほとんど売り先がありませんでした。ジャイルドン向けの加工品珍品だけが、唯一の黒字商品です。
 テックレベルが高い星系なのに、その優位を活かせない理由は、低人口世界以外の特徴が無いためかも知れません。ライラナーへ貿易品を運んでも、赤字にしかならないのです。



表95 メイシーン(B4-E、5,400cr、小惑星/非工業)で仕入れた貿易品の輸出先

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 メイシーンで仕入れた貿易品の売り先です。
 加工品は、キノーブ、キーノー、インズ、ジャイルドン星系の何処に運んでも、黒字が確定です。安心して貿易品を仕入れることが出来ました。

 一方、天然資源は1回のジャンプ3〜4で、ポロズロやライラナー、ジヴァイジュへ運ばない限り、確実に赤字です。意外なことですが、メイシーンで採掘されている鉱石は、価格競争力を持たないことが分かりました。CT「黄昏の峰」に記述されていた、「メイシーンの鉱石をライゼック経由で輸出している」という情報は、MT的に間違いだったのです。
 正解は何なのかと言うならば「メイシーンの鉱石は星系内で精錬/加工され、加工品として輸出されている」ということでしょう。テックレベルの高い星系なのですから、この星系内で精錬したり、加工したりして、製品の付加価値を高めてから輸出するのは当然のことです。
 自由貿易商人の皆さんは、メイシーンで天然資源(鉱石)を掴まされないように注意してください。



 貿易品の内訳は、前述したダイナム(表89、小惑星/真空/砂漠/非農業世界)と同じです。
 見つかる貿易品の多くは、鉱物系の天然資源41.7%)です。その次が工業製品(非機械類/機械類)で各12.5%鉱物系の加工品16.7%情報13.9%珍品2.8%でした。
 最も多く見つかる貿易品が、赤字確定の天然資源である点に納得いかないのですが、投機貿易というものは、そうしたものかも知れません。儲かることが確実な加工品は、すでに大手商社(例えばテュケラなど)に押さえられており、フリーの貿易商人には、赤字確定の天然資源しか回ってこないことは考えられます。



 キノーブ(C4-7、6,900cr、非工業)で仕入れた貿易品も、売り先が見つかりませんでした。
 キーノー(c3-7、7,700cr、低人口)の貿易品も同様です。



    表96 インズ(B7-9、3,700cr、農業)で仕入れた貿易品の輸出先

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 帰路のことも考えて、インズで仕入れた貿易品の売り先についても調べてみました。

 どんな品物であっても、インズで仕入れた貿易品は、キーノー、キノーブ星系で高く売れます。船荷や旅客が少なくても、黒字で渡り切ることができるかも知れません。
 ただし、貿易品を売り払った後、代わりに仕入れる貿易品は見つかりません。船荷もなかなか集まりませんから、空荷でメイシーン星系へ向かうことになりそうです。

 メイシーンとフューラキン星系へは、ジャンプ2以上の性能で天然資源珍品を運ぶならば、黒字にすることも可能でしょう。

 実は、インズの貿易品は隣接するトリース星系(非農業/貧困世界)へ運んだ方が、ずっと儲かるという計算結果が出ています。インズへ辿り着いたPCをもう一度スピンワード・メインへ船出させるためには、相当の押し/引きが必要でしょう。



 今回の考察範囲、リジャイナ=インズ間のスピンワード・メイン上には存在しませんでしたが、ルーやループのような「工業世界」が利用する、フローチャート「9e」について、考察しておきます。

          表97  工業世界の貿易品目(Step.9e)

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 政治形態9+、治安レベル9+は、それぞれDM+1(最大で+2)。

 DMなしの場合、見つかる貿易品の多くは工業製品37.5%)です。その次が加工品(鉱物系と動植物系を合わせて30.6%)でした。3番目に情報13.9%)、天然資源(鉱物系と動植物系を合わせて8.3%)、珍品2.8%)です。
 いかにも「工業世界」といった品揃えですので、疑問も不満もありません。

 フローチャート「9e」を用いる「工業世界」は、帝国領内に13星系(4.8%)が存在しています。
 実際の「工業世界」はもっと多いのですが、貿易分類に「小惑星/真空/非農業」が含まれている場合は「9c」に分類されてしまうのです。



          表98 その他の世界の貿易品目(Step.9f)

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 人口9+、政治形態9+、治安レベル9+は、それぞれDM+1(最大で+3)。
 荒涼世界はDM−7。

 ポロズロやライラナーなど、工業世界ではない高人口世界、あるいはエクストーレイのような中人口世界(人口7〜8)が、この「9f」を利用するようです。
 人口0の世界は「9d」の非工業世界に該当する筈なので、「荒涼世界はDM−7」が何を意味しているのか分かりません。単なる誤植でしょうか。

 ポロズロやライラナーはDM+1です。その場合、見つかる貿易品の多くは加工品(鉱物系と動植物系を合わせて41.7%)です。その次が情報19.4%)、工業製品13.9%)、天然資源(鉱物系と動植物系を合わせて8.3%)、珍品8.3%)でした。どうにも、つかみどころの無い品揃えですね。

 フローチャート「9f」を用いる「その他の世界」は、帝国領内に31星系(11.4%)が存在しています。



       表99  貿易上の分類で仕分けた、星系数と年間貿易量

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 貿易フローチャートの「9a」〜「9f」を利用する星系数を、表99にまとめました。
 最も星系数が多いのは「9d」を用いる「非工業世界」で、最も星系数が少ないのは「9e」を用いる「工業世界」です。

 上記272星系の年間貿易量を求め、それぞれの分類で合計してみたところ、予想通りの結果が出てきました。
 星系数で40.8%を占める「非工業世界」は、年間貿易量の2.1%しか占めていないとか、星系数で4.8%しか占めていない「工業世界」は、年間貿易量の48.7%を占めているといったことです。





7.宙港ブローカーの手数料収入
(選択ルールを取り入れた場合)

 天然資源加工品工業製品珍品など、品目によるテックレベル修正ルールを採用した場合の、宙港ブローカーの収入を求めてみました。

 まずは星域首都リジャイナ(宇宙港クラスA、技能上限=4)で働く宙港ブローカーの収入から。

     表100  リジャイナの宙港ブローカーが得る利益(技能レベル4)

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 表82では、ダイナムンとルーの貿易品しか黒字になりませんでした。当然、荷主はそれ以外の貿易品をリジャイナへは持ち込んでくれませんでしたが、選択ルールを採用したことで、ジェンゲの珍品、ダイナムンやレックの天然資源が黒字に変化しました。
 リジャイナへ持ち込まれる貿易品のレパートリーが増加し、テックレベル修正がプラスになる珍品のおかげで、利益も増大しています。

 滅多に持ち込まれることがないと思われる珍品や、ルーの天然資源は黄色で示しました。これらが儲かることは確実なのですが、なかなか見つからない貿易品なのです。



 今度は、辺境世界のレック(宇宙港クラスD、技能上限=1)で働く宙港ブローカーです。

      表101  レックの宙港ブローカーが得る利益(技能レベル1)

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 表83では、リジャイナ、ダイナムン、テュレデッドの貿易品しか黒字になりませんでした。残念ながら、選択ルールを採用しても状況はそれほど変わりません。

 上記の表101を見ると、
・レックは工業製品の機械類を輸入していない(星系内で自給している)。
・贅沢品として、ハイテクの加工品非機械類の工業製品情報を輸入している。
・基本的に天然資源加工品については自給しているが、安価な天然資源加工品ならば、4パーセク離れた工業世界ルーから輸入することもある。
 というようなことが推測できそうです。



 最後は、同じく辺境世界のカーカ(宇宙港クラスC、技能上限=2)で働く宙港ブローカーです。

      表102  カーカの宙港ブローカーが得る利益(技能レベル2))

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 表83では、レックからの輸入品が赤字になっていましたが、選択ルールによって、天然資源珍品が黒字商品になりました。
 ダイナムンからの輸入品はジャンプ3商船(ジャンプ1回)で運んでこなければ採算が取れませんので、除外します。

・カーカは天然資源(食糧など)を主にレックから輸入している。
・ハイテク(TL12)の加工品非機械類の工業製品情報は、リジャイナから輸入。
・ローテク(TL7)の加工品工業製品情報珍品は、5パーセク離れたルーから輸入している(仕入価格が安いので、それでも採算が取れる)。
 ということが推測できそうです。

 輸入品の見返りとして、一体、何を輸出しているのだろうかという点が物凄く、気になります。
 それに、人口が1,000人の低人口世界が、果たしてどれだけの購買力を持っているのかという点も怪しいです。

 松永様はこのあたり、面白いハウス・ルールを使われていまして、
 例え買い手が見つかったとしても、持ち込んだ貨物のうち、(2D6+(人口コード-6))x10%しか売れない。
 それでもそこで売りたければ、10%ごとに1つづ価格決定表で安い方にシフトさせていく。

 のだそうです。



 さらに、事故リスク以外にブローカー収入を減らす手段として、税金のルールを提案してみましょう。この数値は、マングース版に掲載されていた数値です(実は、松永様からの情報)。

      表103 貿易品の売買(による利益)に掛かってくる税率

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 自由貿易商人やブローカーが、貿易品の売買によって得た利益に対して、上記の税率を適用する訳です。
 実は私は「宇宙港の建造ルール」にも少し手を出しているのですが、宇宙港の維持費を考えると、ある程度の税金は不可欠だと思います。わずか100crの停泊料だけでは、とても設備を維持できません。

 政治形態B非カリスマ的独裁制」の税率が、最高に高いようです。非カリスマ的だから税率が高くなったのか、税率が高いから非カリスマ的になったのか、判断に苦しみますが、そういうことのようです。

 政治形態Aカリスマ的独裁制」は、低所得でも高所得でも「税率が一律」という、一風変わった世界になっていました。これはどういうことなのでしょう。

 意外なことに、政治形態1会社/企業政府」、間接民主制」、占領政治」の税率が高いと気付きました。
 この辺の背景を考えてみると、また面白そうだと思います。





8.まとめ

 色々と考察してみました。



 「買い手を見つける」行為判定は、自由貿易商人が貿易品を売り捌く自由を阻害しますが、使いようによっては、PCの行動をコントロールしたり、儲け過ぎを抑えるなど便利に使えそうです。
 それにしても、「買い手を見つける」行為に失敗した時のリスクが高過ぎます。
 デザイナーの方は、きちんとリスク計算をしてからルールを作られたのでしょうか。
 それとも、多発する事故はシナリオの都合とレフリーの裁量によって無視すれば良いということなのでしょうか。
 メガトラのレフリー/プレイ経験が無い私には、判断が付きかねます。



 貿易品目「天然資源、加工品、工業製品、情報、珍品」により、異なるテックレベル修正を行なう選択ルールについて、考察してみました。
 このルールを付け加えることで、スピンワード・メイン上の低人口/非工業世界でも、儲かる貿易品が見つかる筈だ! と思っていたのですが、結果はご覧の通り。
 農業世界工業世界は選択の幅が広がり、より多くの利益を上げられるようになりましたが、低人口/非工業世界は、儲かる貿易品が全く見つかりませんでした。
 どうにもなりません。
 低人口/非工業世界は、永遠に、低人口/非工業世界のままなのでしょう。



 今回の考察にあたっては、Severus様、橘様、松永様から多くの助言、情報を頂きました。有難う御座います。


2010.11.28 初投稿。