毎月、銀河のロボット工業界の情報をお伝えするべく創刊された本誌ですが、創刊第一号は、高い技術力と
ユニークな発想で急成長中のDKロボテック社(プロメテウス/ソロマニリム)社の特集です。

  
 資本金は150MCr。1110年、ダニエル・モス博士によって創設。折からの不況に乗じて大規模な生産、研究施
設を格安で買収するとともに、ユニークな発想のロボットを続々と市場に送り出して、創業10年にしてソロマニ・
リムで第三位のロボットメーカーに成長した。警察用や学術研究用に優秀なロボットを製造している反面、顧客
の特殊な注文に気軽に応えることもあって、「冷蔵庫ロボット」「ウケないコメディアンロボット」「マンチキンロボ
ット」など、最新技術をつまらないことに使っているという批難も多い。しかし、DKロボテック社のロボットはソロ
マニ・リム近辺の市場では大好評である。以下はDKロボテック社の代表的製品である。


借金取りロボット

借金取りロボ
TL15 Cr 1,672,100 1066.76kg 容積550リットル 球形
燃料電池=270kw 燃料48リットル 活動時間=120時間 
反重力推進=4000kg
知力=12 教育度=17 敏捷度=15 筋力=88 高自律型 上級命令
110/275 戦闘アーマー18
重量触手*6
頭部10%
装備:視覚センサー*2 +望遠*1 +光量増幅*1 +受動赤外線*1 +能動赤外線*1
  高感度聴覚センサー*2 高感度嗅覚センサー*1 
  スポットライト 匂い放射器(激悪臭) 音響合成装置 音声合成装置 レーザートーチ 軽レーザートーチ
  機械工具パック 電子工具パック 金属細工パック 工作道具パック 医療パック 動力インターフェース
  プログラムインターフェース 頭脳インターフェース 金銭出納パック ゼロG移動パック 水中移動パック
プログラム:感情表現 商行為-4 管理-2 反重力機器-1 尋問-1 法律-2 戦術-2 偵察-2 狩猟-2 
  エレクトロニクス-2 メカニクス-2 医学-1 近接戦闘-2 罵倒-1 ショットガン-4
武装:自動ショットガン*2 100 1/1 D4 中 2 1.5
  予備弾薬200発

 この冗談のようにしょぼい外見のロボットは、正式名称「集金用ロボットLB33型」であるが、「借金取りロボ」の名であ
まりにも有名になり、当の開発者であるモス博士すらもはやそうは呼ばない。
 借金取りロボの誕生は、DKロボテック社が悪質な計画倒産に巻き込まれたことに起因している。モス博士の怒りに任
せて、わずか二週間という記録的な短期間で借金取りロボの試作一号機は完成した。
 威嚇のために胴体に大きなギョロ目を書き込まれてから出動した借金取りロボは、計画倒産の首謀者の屋敷前にの
りつけて交渉を開始。不誠実な返答を聞くやいなや、体当たりで屋敷の門をぶち破り、レーザートーチで首謀者所有の
高級乗用車を切り刻んで投げつけ、玄関ドアを破壊。悪臭と触手でボデイガードを追い払ってから屋敷に乱入した。結
局、DKロボテック社が支払った2.5MCrは半分しか取り返すことは出来なかったが、借金取りロボは、見事に詐欺の証
拠となる書類を奪取している。この計画倒産事件は社会的関心が大きかったので、現場には多くの報道陣がおり、「金
返せー、ごらぁ!」とわめきながら暴れ回る借金取りロボのこの時の活躍は、ソロマニ近辺の世界では大々的に報道さ
れた。
 この時は、結果的に犯罪行為の証拠を暴いたが、借金取りロボは純粋に債権の取りたてと資産の差し押さえのため
に設計されている。レベル4に達する商行為プログラムには、債務者のごまかしやウソは通用しない。臭い放射器の悪
臭で経理係を追い払って帳簿を奪取、検査の後に債務者からありったけ搾り取るのがこのロボットの常套戦術であ
る。逃げる債務者は狩猟技能で追跡する。偵察技能で夜逃げ先を偵察してから、卓越した戦術技能で不意をつく。立
てこもろうとしても無駄である。カギや電子ロックは装備する工具セットであっさりと解除してしまうし、工具セットも歯が
立たない扉であればレーザートーチで切り裂いてしまう。契約している警備会社や警察に助けを求めても無駄である。
しょぼい外見とはうらはらに、ロボの知力評価は12、教育度評価に至っては17もあって非常に狡猾である。
 だから借金取りロボは、あらかじめ警察や警備会社には押しかけることを通告してから行動する。また、警官であれ
警備員であれ、このロボットにはかなわないだろう。プラズマ火器でも使わないかぎり頑丈な装甲に守られた借金取り
ロボを倒すことは出来ないし、連装ショットガンから放たれるゴム弾は、抵抗しようとする愚か者を追い払うには充分過
ぎる。借金取りロボは、商売だけでなくガンマンとしても非情で優秀なのだ。しかし、巨大な図体でありながら、差し押さ
えの封じ紙を張ることにかけては、とてつもなく器用で繊細である。
 怒りにまかせての急造ながら、借金取りロボは非常に優秀なロボットであり、量産と販売が開始された。高価だった
が売れ行きは好調で、これまでに850機が製造されている。しかし、借金取りや強制執行官として本来の任務を果たし
ているのは一号機と二号機のみである。それもそのはず、債権の取り立てに強引な手段が許されているのはプロメテ
ウスだけなのだから。
 3号機以降はすべてソロマニ連合の警察と軍隊に買い取られ、戦闘ロボットとして改造されている。期せずして、ハイ
ブ連邦の有名な「ブルーザー」にも匹敵する戦闘ロボットを作り出していたのである。なお戦闘仕様も「借金取りロボ」と
呼ばれているらしい。戦闘ロボットタイプの詳しい仕様は公開されていないが、ショットガンの代わりにプラズマライフル
と磁気ライフルを4丁ずつと、フュージョンガンを2丁装備している。このため、プログラムの大部分は戦闘関連のもの
に置き返られていると推測される。 


プロファイルロボット  
 
プロファイルロボット ダグラスくん一号機

Cr1,966,150 重量226.02kg 容積280リットル 球形
燃料電池=120kw 燃料36リットル 活動時間=120時間
反重力推進=300kg ゼロG移動パック 水中移動パック
知力=12 教育度=27(47) 敏捷度=15 筋力=24 高自律型 上級命令
19/46 ジャック=1
超軽量腕*2 軽量腕*2
頭部=40%
装備:視覚センサー*2 +望遠*1 +光量増幅*1 +受動赤外線*1 +能動赤外線*1 +レーザー測距器*1 
    高感度触覚センサー*1 高感度嗅覚センサー*1 動力インターフェース 頭脳インターフェース 
    プログラムインターフェース 分子分析装置 味覚センサー 磁力センサー 質量センサー 
    放射能センサー 中性微子センサー 環境センサーパック ソナー 生命活動センサー 
プログラム:感情表現 法律-2 心理学-4 科学捜査-4 反重力機器-1 医学-3 追加言語-3 言語学-3
       気象学- 3 生物学-3 物理学-3 化学-3 生化学-3 調査-3
 
 ソロマニ人社会では、特殊な殺人事件、「猟奇殺人」や「連続殺人」という現象が、しばし社会を震撼させる。これはソ
ロマニ人社会特有の現象であり、普通の殺人との違いは、被害者と加害者の間に面識がない、金銭的欲求や怨恨で
はない心理的欲求を満たすために殺人を犯す、犠牲者は二人以上、犯行と犯行の間はある程度あく、などの点を満た
していることだ。
 こうした事件は、犯人と被害者の面識がない点で捜査は難しく、また連続殺人に走る人物は概して知能が高く、用意
周到である。犯行が地理的に広範囲に及ぶことも珍しくなく、帝国の人権憲章に抵触するようなプライバシー侵害でも
行わない限り、最新の科学捜査をもってしても犯人の検挙は極めて難しい。実際、こうした猟奇殺人犯が殺人捜査の
みで逮捕された例は少なく、検問にひっかかった、交通違反をやった、殺したつもりの被害者が死んでいなかった、な
どの偶然による逮捕事例が多い。全ての犯行現場や過去の事例から収集される膨大なデータを、予断や偏見無しに
一元的に処理して数百の項目に分類し、過去のデータと対照すること(帰納的プロファイリング)、および証拠から考えら
れる全ての事態を推理、推測する(演繹的プロファイリング )を同時に行って、結果を短時間で検討することなど不可
能、とは言わぬまでも人間には極めて困難であるが、連続猟奇殺人の捜査には、まさしくこうした行動が必要とされる。
 ダグラスくん一号機は、プロメテウス(ソロマニ・リム)で、1112年−1114年にかけて発生し、51人の少年少女が犠牲
になった「ピッグスリバー殺人事件」の捜査の為にDKロボテック社に発注されたロボットで、まさしく警察が要求する能
力を備えていた。
 「ピッグスリバー殺人事件」は、犯人と思しき人物の自殺により、結局は解決に至らなかったが、その捜査過程におけ
る経験から、ダグラスくん一号機にはデータの入力段階における人間特有のミスや予断、偏見を防ぐため、自ら証拠を
収集する能力も付与された。ダグラスくん一号機は極めて優秀な捜査官であり、ピッグスリバー事件以後、ダグラスくん
の殺人検挙率は100%である。最優秀の警察をもつ世界でも殺人事件の検挙率が95%程度であることを考えれば、驚異
的である。
 殺人の捜査だけではなく、テロリストが爆弾を仕掛けた位置を特定したり、冤罪の被害者を助けたりと、プロメテウス
では最も有名なロボットであり、その活躍は「ダグラスくんが行く」や「ロボデカ一番星」などのテレビシリーズとなって、子
供達の人気者になっている。勿論、今でも現役であり、最近では、他の世界に出張することも多い。
 最近、ガッシッダに出張したダグラスくんは気になる発言をしている。ダグラスくんは、2年前にプロメテウスで12人が
絞殺された事件と、ガッシッダで発生中の「キングスブリッジ切り裂き魔」が同一犯の犯行であると断定したのだ。世界
から世界へと渡り歩く殺人鬼が存在するという、帝国中の警察官が失念していた(もしくはあえて頭から締め出していた)
事実を、ダグラスくんは否応なく指摘したのである。現在の宇宙技術では、連続殺人犯の逃亡先を特定したところで、
逃亡先が警告を受けるまでには、理想的な条件でも一週間のタイムラグがある。一週間という時間は新たな犠牲者を
産み、星系外に逃亡するには充分な時間である。
 なお、上記のデータはロールアウト時の初期状態であり、現在の教育度評価は36、「法律」の技能評価が3に、「心理
学」と「科学捜査」の技能評価が6に上昇している。 


怪し系ロボット 

人間女性型ロボット アダリー1型

Cr2,307,488 重量132.9846kg 容積92.568リットル 擬似生物型=人間女性
燃料電池=51kw 燃料8.16リットル 活動時間=48時間
歩行型=脚2 反重力推進=90kg
知力=10 教育度=3 敏捷度=15 筋力=5 高自律型 上級命令
19/46 ジャック=1
超軽量腕*2
頭部=14.28%
装備:視覚センサー*2 聴覚センサー*2 触覚センサー*1 味覚センサー*1 嗅覚センサー*1 
    動力インターフェース 頭脳インターフェース プログラムインターフェース 香り放射器 
    音声合成装置 あやしい装備*2 
プログラム:感情表現 従者-3 演芸-1 反重力機器-1 スチュワード-1 あやしいワザ-1

 上の二種とは正反対の、最新技術をくだらないことに使った典型。
 ロボット恋愛小説の古典「未来のイブ」からとった「アダリー」という名称が既に暗示しているが、この人間の女性を完
璧に模した擬生物型ロボットは、仕様書の「あやしい装備」「あやしいワザ」が示すとおり、ここに書くのははばかられる
ような目的でマニア向けに発売された。
 大変高価だが、製造された1200台は完売している。最新の生物型ロボット技術を、口に出すのもはばかられる目的
に使用した嘆かわしい品物ではあるが、それでも、擬人間型ロボットとしては最初に一般市場に発売され、そして成功
したロボットとして歴史に名を刻むのは間違いない。
 開発に当たっては、最初から徹底的にマニア根性を追求している。DKロボテック社の開発チームは、あえて特定の
体形や顔立ちは設定せず、ユーザーが好きな体形、顔立ちを簡単かつ自由に設定するためのキットが同時に開発し
た(本体に無料で添付)。このキットには、ギャルゲー(注:純ソロマニ人の伝統文化)のメーカーとのタイアップにより多数
のキャラクターの顔と体形のデータが収録されている。出力 90kgの反重力発生装置は、移動のためではない。価格の
高騰を承知で「抱っこ用」に見かけの体重を減少させるために装備されたものである。頭部は、機器の収容容量が足り
ないと知りつつも、八頭身体形を追求するため、14.28%に設定(一部のセンサーを胴体に収容し、顔には端末を伸ばす
という方法がとられた)するという念の入れようだ。さらに、ここに書くのははばかられる目的の為に「香り発生装置」「あ
やしい装備」「あやしいワザプログラム」は、かなりの費用をかけて特別に開発された。
 なお、マニアの間で噂されているような女優、人気歌手などを模したタイプは、肖像権の問題から開発の予定はない
とのことである。また、男性型は最初から考慮されていない。しかし、肖像権が消滅するほど大昔に活躍し、しかし今も
伝説的人気を誇っているような人物を模した派生型は、ごく少数生産されている。

・ミ○モ○ X4セット
 本来は四体一組だが分売も可とされて発売された。25組が製造されたが、結局、全てセットで売れている。胴体が
小さくて技能が全くなく、命令プログラムも低レベルなのは、モデルとなったグループのイメージ(少なくとも世間向けの)
に忠実に沿った結果である。素材の選定の際、設計チーム一同はこのグループにげんなりしたのだが、比較的低コス
トに押さえられるということで採用された。

「アダリー」との相違点 
価格は1124156Cr 
容積が1割減少 
頭脳を低自律型 基本命令プログラムにランクダウン
知力=4 教育度=3 
プログラムは感情表現と従者-1のみ


・なんちゃってモンロー
 「マリリン・モンローの二番煎じ」として有名なアメリカ合衆国時代のカルト女優がモデル。高い知性と優れた教養を持
ちながらも、セクシーボディだけで世渡りを試みて失敗、悲劇的な最期を遂げた人生には何か感じるところがあるの
か、ソロマニ周辺ではファンが多い。IQ168というモデルの高い知性が、現行の技術で再現できるかという命題に挑戦
するためにも開発された。開発者のマニア根性も発揮されたのである。

「アダリー」との相違点
価格が4.6MCrと上昇
容積の増大
知力=12 教育度=3(16)

 「なんちゃってモンロー」は、シナプス記憶装置の採用により、教育度評価の大幅な上昇が期待される。これは意図し
て採用されたものであり、DKロボテック社広報部は「プ○○セス・メーカー的発想によるものだ」とコメントしている。