裏辺境戦争レポート 

毎度掲載していただいている辺境戦争の「ウラ物」です。  化夢宇留仁さんに「重厚」と褒めていただいたので、今度は「軽薄」と言って欲しくて書きました(笑)


惑星ディアンのボロス海軍基地で、基地司令官のトレント中佐は悩み続けていた。  
隣では副司令官のアベ大尉がでっぷりと突き出した腹を叩いている。これは思案にくれている時の彼のクセだった。
新任の女性通信士官エイミー・ライト少尉が紙の上に何か書いては消し、また書いてはまた消してを繰り返していた。  
ナトコ、アラミス、ルール・ジュー、ニューティマ、マージシー、シーリピナ、ライゼック、メイシーン。8つの海軍基地から200隻を超える艦艇が、一斉にこのディアンに集結してきたのだ。  
その艦隊の誘導、編成、補給、修理、といった様々な大仕事は・・・アラミス鎮守府からやってきた有能なスタッフがテキパキとこなした。 ディアン海軍基地に与えられた仕事は、ただ私設を提供するだけだったのだ。  
だが、ささやかだが最大の難事に基地司令トレント中佐以下の基地士官たちは頭を抱えていた。  
会議後に各艦隊の幹部達を集めて慰労パーティーを開くように、アラミス鎮守府から来たスタッフに指示されたのだが、その席順を決めるのに苦労していたのだ。

「やはり、ここは無難に階級順でよろしいのでは?」
「だからね、それは良いんだよ。良いんだけど、この参事官と監察官と審議官と理事官というのは、階級でいうとどのくらい偉いのかが分からないから困ってるんだよ」
「それは・・・監察官は来るといつも威張ってますし、相当偉いのではないかと思いますが」
「でも、さっき監察官が参事官の人に敬語でしゃべってましたよ」
「そう言えば、私も理事官が艦隊司令官の中将に、閣下って敬称を付けて読んでたのを聞いたよ。あ、これ、ちょっとメモしてよ」
「はい。ええと、監察官より参事官が上、で、理事官は中将より下と・・・」
「あ、あとね、前にこの基地にいたアマンダ君、ほら離婚暦ありで子持ちだけど、海軍大学出のすごいエリートっていう40男と結婚した」
「ああ、いましたね、そういう娘が」
「うん、彼女の旦那さんがさ、理事官から幹事官に出世した、っていう話をいつだったか聞いたんだよね」
「と言うことは、幹事官は理事官より上ですね」
「じゃあ、幹事官と中将はどっちが上なんでしょう?」
「う・・・」
「・・・」                         

つづく(笑)

By 龍太郎氏

龍太郎氏による、辺境戦争史番外編(笑)。

映画「社葬」や「お葬式」を思い出しました(笑)。
他のコーナーでも書いたけど、化夢宇留仁はあわてつつ悩みつつ、混沌としている状況が大好きで・・・この軽薄な展開に、もうメロメロです(笑)。

化夢宇留仁

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