2015年3月21日
零戦:海軍航空隊の戦い
「シナリオ2:フィリピンの戦い」をソロプレイしてみた


 少し前に購入してあった本ゲームは、国際通信社が出しているジップロック袋入りの初心者向け戦術級ゲームシリーズ「コマンド・タクティカル・コンバット(CTC)」の1作で、なにより注目すべきは今まで出ていたシリーズは全てエポックの「シミュレーション入門」からの再販だったのに対し、本作は完全オリジナル新作だというところ。
こうしてオリジナル新作がバンバン出てくるようになれば、CTCシリーズは目が離せないようになりそうである。



 初期配置。
このシナリオは1941年のフィリピンでの日本軍とアメリカ軍の空中戦を扱ったものだが、このゲームのシナリオは登場戦力は固定されておらず、一定範囲の中でランダムに決定される。
今回は日本軍が零戦21型8機、アメリカ軍はP39が3機、P40が6機ということになった。
上記数字と画面を見ても分かるように、このゲームは大量の航空機を操って大規模な空中戦を楽しむことができるようにデザインされている。
 またシナリオ開始時の状況もランダムで決定され、今回は「日本軍の奇襲」ということになった。
その結果画面のように日本軍がアメリカ軍の背後をとるような配置になっているのだ。
戦闘状況は「制空戦闘」で、6ターン終了時に左側のマップ2枚に無傷の機体が日本軍の方が多く存在していれば日本軍の勝利となる。

 第1ターン。
 このゲームでは毎ターン主導権を半ランダムに決定する。
主導権をとった陣営は非常に有利になるので、ここのサイの目は重要。
主導権はそれぞれがサイコロを1個振って大きな目を出した方がとるが、このシナリオでは日本軍に+2のサイの目修正がある。
結果が同じ目だった場合は前のターンに主導権を持っていた陣営が引き続き主導権を持つ。
 今回のサイの目は日米ともに同じで、日本軍が主導権をとった。
そしてサイの目が同じ時にはランダムイベント判定がある。
結果はなんと日本軍の機銃故障(汗)
いきなり零戦1機の戦力が失われてしまった(汗)
 ところで零戦について聞いたことがない人はまずいないと思うが、簡単に説明しておく。


 空母翔鶴から離艦する零戦21型(A6M2b)画像はWikiより。
零戦と一言で言われることが多いが、そのバリエーションが最初期の11型から62型とかまで10種類以上あり、それぞれの違いも小さなものから丸々別の機体としか言いようのないものまで様々である。
 大雑把な特徴としては機動性と攻撃力が高かったが、その為機体は徹底的に軽量化されており、防御力や機体の剛性が犠牲にされていた。
その結果初期の攻勢期にはパイロットの練度が高かったこともあって圧倒的な戦果を残したが、アメリカ軍が零戦を研究して新型機を投入したのと圧倒的な物量、その他日本の新型機製造事情などによって次第に劣勢となった。
後期型だと防御力を強化したが機動性が低下したタイプなどもあり、零戦と一言で片づけると誤解を生じることもあるかも。
 上記21型は空母での運用を想定した最初の大量生産型で、中国戦線や太平洋での戦争初期に大活躍した機体である。


 主導権を持った日本軍が後攻を選択したので、アメリカ軍から移動。
第1インパルス。
最小移動機数は2(主導権決定時のサイの目差)なので、アメリカ軍は最低でも2機以上を動かさなければならない。
零戦に背後に迫られていて危機を感じるP40が左右に分かれて反転。できれば日本軍を挟撃したいところ。
 次に日本軍の移動だが、こちらは主導権をとっているので最低1機を動かせばいい。
とにかく前進して敵の背後につけたい。
最後尾のP40の後ろ3ヘクスのところまで迫ったが、20mm機関砲の射程は2しかないので届かず(汗)
次はアメリカ軍・・・という風に繰り返し、全機移動終了したら第1インパルス終了。
これを第3インパルスまで繰り返して1ターンが終わる。
この1ターンを3つのインパルスに分けているのがこのゲームのミソで、移動を細分化することによって交互移動のリスクを軽減している。
また各インパルスでどれだけの移動力を使用できるかは、そのターンの速度と機体の運動性によって変化する。運動性の低い機体は早いインパルスに移動力を使い切ってしまうが、運動性が高い機体はそれぞれのインパルスに移動力が分けられ、その分きめ細やかな飛行が可能となる。


 1ターン終了時の様子。
見にくいが矢印と数字の書かれたマーカーは速度マーカーで、次ターンの移動力を示している。
▲が1つか2つ描かれているのは高度変更マーカーで、赤は降下。
現状で上昇している機体はいない。
 このゲームの大きな特徴の1つに、絶対高度の概念が無いということがある。
つまりどの機体も今高度何mを飛んでいるのかは分からないのだ。
あるのは限定的な相対高度のみで、それは上昇中か水平飛行か下降中かで表される(急上昇&急降下有り)。
シミュレーションとしてはずいぶん思い切った手法だが、これと上記のインパルスシステムで、盤面以外には一切マーカー表示や記録用紙が必要無くなり、大量の機体を操れるようになっており、肝心の空戦らしさは失われていないと思うので、高く評価できると思う。
ただしマーカーの数が絶対的に足りないのはどうにかしてほしかったが(汗)
 さて盤面はアメリカ軍が慌てて反転しようとしているところに日本軍が真っ直ぐ突っ込んでいっている。
日本軍で1機だけ反転しているのはいきなり機銃が故障した機体である(笑)

 第2ターン
 主導権は日本軍が+1でとった。アメリカ軍を先攻とする。


 終了時。
高度変更の影響で、敵を2ヘクス以内にとらえた日本軍機も射撃不可能だった。
ちなみに主導権を持つ陣営は、通常各インパルスの移動後のところを、移動前にも射撃できる。

 第3ターン
 主導権は日本軍+6
 アメリカ軍先攻。


 P39が回り込んで零戦の側面につき、射撃。
結果は零戦の防御力合計に等しい攻撃力15となり、いきなり撃墜(汗)


 さらにP40からの射撃で、もう1機の零戦が撃墜された(汗)
しまったなんでアメリカ軍に先攻をやらせてしまったのやら(汗)
後悔先に立たず(汗)
 しかし今見なおしてみると、振ったサイコロの数が多すぎるような気がする。
射撃時の修正のいくつかを見落としていたのではなかろうか(汗)?
しかも下の射撃は間に他のユニットを挟んでは攻撃できないというルールを完全に見落としている(汗)

 日本軍も負けじとP40後方側面につき、20mm機関砲をたたき込んで1発撃墜。
ルールの見落としもあるけど、サイの目も走りすぎてるな(汗)
 この零戦はこの射撃で弾切れとなった。
さらにこの零戦にはP40が襲いかかり、損傷。



 4ターン
すっかり乱戦に(汗)
そんな中で被害が目立つのは日本軍の方で、P40を1機撃墜してはいるのだが、日本軍の無傷の機体はもはや2機のみ(汗)※弾切れも損傷機と見なす。


 5ターン
 大きく回り込んでいたP40の3機編隊もなだれ込み、収拾のつかないことに(汗)
P39を1機撃墜するが、零戦も1機が撃墜され、もはや無傷の機体は1機のみ(汗)


 6ターン
 機銃故障など、戦闘力を失った機体が離脱していき、戦闘空域は拡散。
このターンにまた零戦が1機撃墜された。
シナリオは通常6ターンまでだが、途中のランダムイベントで「雲量低下」が出ていたので7ターンまで延長された。
しかしこの後1ターンで、唯一攻撃力を残した損傷した零戦1機がどう頑張っても引き分けにさえ持ち込めないので、ここで日本軍の投了とした。

 初めてやってみた感想としては、確かにシンプルなルールではあるのだが風変わりで細かい部分もそえなりにあるので、まだまだルールに振り回されているという感覚だった。
後から考えるとなんてバカなことをしているのかと呆れるところも多い。
こういうゲームのルールというのはしっかり選択肢として身に付かないと戦術まで頭が回りにくいので、もっともっと繰り返してプレイしてみないと評価はできないところである。
しかしとりあえず大量の機体を扱えて雰囲気もあるという点ではすでに楽しめているので、まずはOKかな?

 それはそうと今回画像にエフェクトを加えてどの機がどの機を攻撃しているのか分かりやすくしてみたが、結果的には失敗だったと思っている。
確かに分かりやすくはなるが、そういうコンピュータゲームっぽい画面として見えてしまい、実際の機体が戦っている様子が想像しにくくなってしまったように思う。
なにかいい方法はないものか。

2015523


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