TheBlueMax
第1次世界大戦時の空戦ゲーム。
戦術(戦闘)級


ブルーマックス。
誕生間もない航空機たちが繰り広げるヨーロッパ上空での激しい戦闘を再現したゲームである。

戦いと言っても状況はさまざまで、ドッグファイトから爆撃、地上設備撮影なんて任務もある。
だがなんと言ってもこのゲームの最大の売りは、複葉機による飛行感そのものである。
例えば特に状況を設定せずに、適当に機体を選んで一人で飛んでみる。
ただそれだけでも複葉機に乗ってヨーロッパの風を切って飛んでいる気分が味わえ、結構楽しめてしまうのだ。

ボードゲームでいくら頑張ってみたところで、最近のポリゴンを駆使した3Dゲームのリアリティにはかなわないと思うかもしれない。
ところがそうではないのだ。
映像を駆使したコンピュータは、情報量が多い分リアルではあるが、逆に再現されていない部分も目立ってしまい、興ざめの原因となる。
だがプレイヤーの想像力を用いたボード・ゲームには限界はない。
パイロットの視点を想像するもよし。
上空の風の冷たさを感じるもよし。
また収穫が終わったばかりの麦畑の香りを感じてもいいのだ。
またブルーマックスにおいては、マップの美しさも特徴の一つである。右の画像がそれ。
実際にミニチュアディオラマを製作し、それを撮影して作られたそれは、航空写 真のような美しさはあるが、同時に余計な情報を切り捨てるのに成功しており、想像力のきっかけになりこそすれ、それを邪魔することはない。


簡単にルールシステムを説明する。
プレイヤーは担当する機体のデータカードを用意し、ユニットはマップに配置する。
更に記録用紙を用意し、それに飛行計画を記入。記入が終わったらそれぞれのプレイヤーがそれを見せ合い、計画に従ってユニットを移動させる。
つまり同時に移動することになるので、敵の動きを見てから考えると言うわけには行かない。
記録の時点で敵がどう動くかを予想するのが面白いところであり、プレイヤーの腕の見せ所なのだ。
移動が終了した時点で、敵が射界に入っていたら、攻撃することが出来る。
当時メインの武装は機関銃。
ただしこれが故障した場合の特別ルールとして、パイロットによる拳銃攻撃ルールや、敵機上空からのレンガ投下攻撃なんかもある(笑)。まさに第1次大戦当時しか考えられないのどかなルールである。
この辺のノリは宮崎駿の「紅の豚」を思い出していただければ、イメージがつかめると思う。


上が撃墜王リヒトホーフェンの乗機のひとつ、アルバトロスD2のデータカードとユニットである。
パッと見複雑そうだが、実は必要なデータがすっきりとまとめられており、非常に分かりやすく出来ている。

勝利ポイントと言うのはゲーム上のポイントで、この機体が撃墜された時に、撃墜した敵が得る勝利点である。
シナリオによってはこのポイント数が高い方が勝利ということになる。

その下の主翼〜エンジンの数値は、要するに機体各所のヒットポイントである。
ダメージがこの数値に達すると、その部位は破壊される。

右のスピンと言うのは、一定の機動を行った場合の、その機体がスピンに入ってしまう確率を表す。
この場合は2D6で12以上が出るとスピンに入る。要するに36分の1の確率なわけで、この機体の安定度は非常に高いということが読み取れる。

真中が飛行性能。このゲームの肝にあたる部分である。左に高度レベルの欄がある。右にはその高度での各機動の限界値が示されている。
例えばこの機体は、高度12000フィートでは、速度1以下だと失速し、最大速度は4、旋回性能はCランク。一度に50フィート上昇でき、同じく下降は800フィート。傾斜を行うためには1ヘックス以上前進しなくてはならず、2分の1ループ(半宙返り)を行うためには4ヘックスの前進が必要。一度に増速できるのは2。原則も同じく2、という感じである。
その下の上昇限界、下降限界はそれぞれの機動を行った場合の速度変化の影響の出る限界値である。つまりこの場合、100フィート上昇するごとに速度が1落ちて、逆に250フィート下降するごとに速度が1上がるのだ。

視認修正は文字通りその機体に乗ったパイロット&銃手からの、視界の良さを表している。
当時の飛行機は翼が操縦席の上下にあったりして、機種によっては非常に視界が制限されていたのだ。

最後が武装。色のついた部分がその期待の攻撃可能方向である。これは視認修正表も同じだが、周りの数値は方向を表し、外周が自分から見て高高度、内周が低高度を示す。


これらのデータを駆使して飛行するわけだが、こうして並べ立てると複雑そうだが、一定した手順の元にゲームを進めていくと、非常に簡単かつプレイアビリィティが高い。
例えばパーティーゲーム代わりにみんなでバトルロイヤルを繰り広げるのも楽しい。
マップ上で入り乱れるユニットは、なんともワクワクさせてくれるものがある。

最後に化夢宇留仁のお勧めオプション。
化夢宇留仁はこのゲームをする時には必ず練り消しゴムを用意する。
これをユニットの裏に貼り付けて、バンクしたときなど実際にユニットをバンクさせるのに使うのだ。
雰囲気倍増するのは請け合いである。
ただし背面飛行に入るとなんとも間抜けな状態になってしまうが・・・・(ブルーマックスのユニットは両面 印刷ではないのだ/汗)。