ドラゴンハント
アバロンヒル社


 当時アメリカを代表するボード・ウォーゲームメーカーだったアバロンヒル社が、1982年に送り出したファンタジー・マルチプレイ・ボードゲームである。
化夢宇留仁がこのゲームを購入したのはいつだったか・・・もはや記憶にも無いが、ホビージャパン社の日本語解説書つきだから少なくとも本国で発売してから何年かたってからだろう。

 実はこのゲーム、化夢宇留仁は一度もプレイしていない(汗)。
なんか他のページでも書いたようなセリフだが、せっかくマルチプレイヤーズ・ゲームなんだから、やはり少なくとも3人以上で遊びたい。 しかしルールは複雑で、更にホビージャパンの解説書が分かりにくく、手をこまねいている内に時間ばかりが過ぎてしまったのだ。
一応難易度は10段階で3という簡単なゲームという評価がされているのだが、ちょっとそうは思えない煩雑なシステムである。これについては後述する。

 とりあえずどんなゲームか簡単に説明しよう。
舞台はアラワンという国で、ここには中央に火山があり、ブリムストーンというあらぶるドラゴンが住んでいる。
その周囲には6つの城が建ち、それぞれに城主がいて、アラワンの覇権を争っているのだ。
プレイヤーはこの城主の1人となり、配下の騎士や兵士を率いてブリムストーンを倒せば勝利である。

 この通り非常にシンプルな設定なのだが、これがどうも一筋縄ではいかない。
ひとことで言えば煩雑なのだ。
これはアバロンヒル社が主にヒストリカルウォーゲームを作っていた会社であり、このゲームが作られたのがファンタジーというジャンルをどう表現するかが模索されていた時期だった為と思われる。
結果として、ドラゴンハントはファンタジーゲームの割にウォーゲームっぽいルールが多く、ルールが多い割にファンタジーらしさの描写 力は足らないという中途半端なゲームになってしまっているのだ。
 例えばゲームの目的であり、あらゆるものに災厄をあたえるブリムストーンは各プレイヤーによって半ランダムに動かされる。
また火山の北には洞窟があり、南には聖林があり、それぞれにはいつも10種類存在する魔界生物と呼ばれるユニットの内2種類の巣になっている。
この内1種類はそのターンに優位をとったプレイヤーが自由に動かし、あとの1種は半ランダムに、やはりプレイヤーによって動かされる。
 このブリムストーンをプレイヤーが半ランダムに動かすというのは、ゲームとしてはいつ襲ってくるか分からない不安もあって面 白い。
また魔界生物もコントロールできれば強い味方となるが、そうでなければ大変な障害になるのも面 白い。
しかし・・・この辺の理由は一切設定されていないのだ。
なぜドラゴンは各城主の意志を少しだけ聞くのか、またなぜ魔界生物はいつも誰かの望みを叶えるのか?
だいたい魔界生物という名前もいい加減である。
10種類の魔界生物の中には、まさにその名の通りなモンスターもいるが、中にはどう見たってちょっと変わった普通 の人間としか思えないものもいるのだ。
ここはあきらかにファンタジーという設定を使いこなしていない部分である。
勿論タリスマンまでとは言わないまでも、ちょっと設定を付け加えるだけでゲームは俄然面 白くなるし、ファンタジーなりのリアリティが生まれてくる。そのことに制作者側はまだ考えが及んでいなかったらしい。

 ゲームの展開は、うろつきまわるドラゴンや魔界生物をかわしたり利用したりしつつ、更に隣国との武力衝突を繰り返しながら、なんとかドラゴンに傷を負わせることで進んでゆく。
ここがまた煩雑なのだが、ドラゴンを倒すためには魔法の剣が必要で、その魔法の剣を手に入れる(なぜか自分の城に現れる)為にはドラゴンに3回傷を負わせないといけない。
魔法の剣を手に入れてからは城主であるヒーローがドラゴンに戦いを挑む。
もちろんこの戦闘も剣の魔力まかせというわけではなく、過酷なバランスに設定されている。
 更にこのゲームには勝利条件は設定されているが、敗北条件は無い。
配下の騎士や兵士は4ターン毎に補充されてくるし、プレイヤーの分身であるヒーローでさえ、死んでも復活するのだ。
いっそのこと隣国に滅ぼされたら敗北というルールもあれば、戦略もたてやすいのだが。
このままのルールでは隣国との衝突は、リスクが大きくメリットは少ない割に頻繁に起きて、展開をややこしくしている。この辺は同社の人気ゲームであるマキャベリとかディプロマシーのような要素を入れたかったのだろうが、あまりにも勝利条件と隔たりがあるので、分かりにくくなっているだけのように思う。
ちなみにゲームのボックスにはゲーム時間は1〜2時間と書かれているが、どう考えても不可能である。
対象年齢は10歳以上だそうだ(汗)。

 実は最近ひさしぶりにボードゲーム頭になっている化夢宇留仁は、買ったまま埃をかぶっていたこのゲームを今度こそプレイしてやろうと説明書を読み直し、プレイしやすいように手順一覧表なども作っていた。
しかしシステムを理解すればするほど煩雑さと、長いプレイ時間にだれてくる空気が想像でき、やる気が失せてしまったのだ。
結局このコーナーにアップすることで、このゲームの役目は全うしたとすることにした訳である(汗)。
まあ色々なゲームがあるわけだし、こんな結末もありではなかろうか。
ちなみに今回あらためてこのゲームに関する情報を集めてみたが、ほぼ皆無という状況(汗)。
わずかに化夢宇留仁が所有するタクテクス誌23号に作戦研究記事が載っていたが、ここでも「幻の秘宝」とか呼ばれていた。
どうやらみんな化夢宇留仁と同じような状況に陥ってコメントを控えていたようである・・・・・・(汗)。
ただしその記事では、初心者向けの好ゲームと書かれている。その割には記事内の2回のプレイも、時間が足らずに最後まで終わっていないのだ(笑)。

 でも誰か「こんな面白いゲームをやりもしないで文句言うとは何事か!?俺が面 白さを教えてくれる!」という方がいたら、ほんとにぜひ教えてください(笑)。