ブルームーンシティ



 「ブルームーンシティ」はクニッツァ先生のトレーディングカード風味のゲーム「ブルームーン」の世界観を使って、荒廃したブルームーンシティの魔法的建築物を再建してゆくというマルチプレイヤーズゲームに仕上げたものである。
クニッツァにしてはテーマとシステムが見事に融合している上に、相変わらずの数学的駆け引きに、カードプレイの妙味も加えており、非常に完成度の高いゲームになっている。



 画像はゲーム開始直後の様子。
ボードはタイルを敷き詰めて作られており、完成した建物はタイルをひっくり返して表現する。
 手番にはまず自分のコマを2タイルまで動かすことができる。
その後カードをプレイして、様々なアクションを解決する。
画像では水色のプレイヤーが早速最も得点の高い建物である大聖堂の再建に着手している。

 カードの一部を紹介する。
上の灰色のカードは、フリット族で、1のカードをプレイしたら自分のコマを任意の場所に移動でき、2のカードなら自分のコマを2タイル分追加で動かすことができる。
3のカードはどの種族も特殊能力は無い。
 赤のカードはテラ族で、1なら緑のドラゴンを任意のタイルに移動。2なら緑のドラゴンをタイル3枚分まで動かすことができる。
 カードに書かれた数字は建物の再建に貢献する能力であり、特殊能力を使わずにプレイすることで、今コマがいるタイルの建物の再建を進めることができる。

 黒はヴァルカ族。青はアクア族で、特殊能力はドラゴンの色が違うだけで、テラ族と同じである。

 黄色はピラー族。
このゲームは建物を再建することで手に入るクリスタルを、最も多くオベリスクに捧げたプレイヤーの勝利となる。
その重要なオベリスクへの捧げ物に効果があるのがピラー族の能力で、1手番に行える捧げ物の回数を追加できる。
1でも2でも効果は同じだが、その際支払う追加のクリスタルの数が異なる。
 緑はキンド族で、この種族のカードは1しか無い。
ただし建物の色に関わらず1点として使用することができるジョーカーのような種族である。

 白はホアクス族で、1なら建物の再建時に、同じ色のカード4枚までを、異なる1色のカードとして使用できる。
2なら同じように違う色のカードを再建に使用できるが、1枚のみである。
 茶色はミミックス族。
1と2のカードの効果は同じで、2枚同時にプレイすることで、他の色の3ポイントのカードとして使用することができる。

 これがオベリスク。
捧げ物をしたプレイヤーの色のキューブを置いてゆく。
このキューブの数が多いプレイヤーの勝利である。
ちなみに捧げ物をするためのクリスタルは、最初の4マスはクリスタル7個、次の2マスは8個、次は9個というように、だんだん必要数が上がってゆくようになっている。

 建物タイルの例。
下に並んでいる数字が再建に必要なポイントで、この数分示された色のカードをプレイすれば再建される。
 タイルの左上にあるのは、再建された時のボーナスで、大建築家(その建物の再建に最も貢献したプレイヤー)には上の列のボーナスが。少しでも貢献したプレイヤーには下の列のボーナスが渡される。これは大建築家も獲得できる。
 タイルの右上に描かれているのは、建物が再建された後で関わってくるボーナスを示したもの。

 完成するとひっくり返されてこんな感じになる。
未完成時の右上に描かれていたボーナスが下に描かれている。
このボーナスは、このタイルの隣の建物が完成した時に、再建に関わった者が獲得できる。
 ちなみに右上のタイルは宮殿で、ボーナスは左から「ドラゴンの鱗」「カード」「クリスタル」である。
ドラゴンの鱗は用意されている数全てが獲得されると、独立した得点計算が行われる。
たくさん持っていればたくさんクリスタルをもらえるが、2枚以下しか持っていなければ0個である。
ドラゴンの鱗の計算が終わると、2枚以下しか持っていないプレイヤーのドラゴンの鱗以外は全てストックに戻され、再び獲得できるようになる。
つまり次の計算時には今2枚以下だったプレイヤーが有利になるのだ。

 置くのタイルにドラゴンが集まっている。
 ドラゴンがいるタイル上で建物の再建が完成すると、そこにいたドラゴン1匹につき1枚のドラゴンの鱗が獲得できる。
上記の通りドラゴンの鱗は、直接勝利条件に関わるクリスタルを獲得することにつながるので、いかにドラゴンを効率的に動かすかも重要になる。


 ゲームは誰かがプレイヤー人数によって異なる数の捧げ物を行ったら終了する。
例えば3人プレイなら誰か1人が5回の捧げ物を行ったら終了である。
画像では3人プレイで白が5回目の捧げ物をして終了している。


 このゲームで勝利するには、建物の位置関係とボーナスと手札の内容。それに他のプレイヤーの動向を見ながら、捧げ物をするタイミングを計り、更にドラゴンの鱗の計算のタイミングをコントロールする必要がある。
こう書くとやたらにややこしそうだが、やってみるとうまく選択肢を絞ることでプレイしやすく仕上がっているのは流石のクニツィアである。
派手な山場があるわけではないが、様々な要素がバランスよくまとめられており、遊んでいて気持ちいい。
今のところ化夢宇留仁のお気に入りベスト10に入るゲームである。

気楽さ 4
言語依存 0
ソロプレイのしやすさ 3
化夢宇留仁の好き度 5

20120415