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書籍




イリューニュの巨人

★★ クラーク・アシュントン・スミス/創元推理文庫
 化夢宇留仁はクトゥルフ神話関係ではスミスが最も小説としては万人に受ける内容だと思う。読んでいて普通 に面白い。
マルネアンの夜
 恋人を亡くした傷心の男が迷い込んだ陰鬱なマルネアンの街は、男の恋人と同じ名前の女性の葬儀の準備が進んでいた。
ストーリーは高橋葉介。思い浮かぶ画面はジョジョ第3部の霧の街(笑)。
アタマウスの遺言
 ハイパーボリアの首都、コモリオムが滅んだ経過を、首切り役人アタマウスが回想する。その原因は彼が斬首した罪人クニガシン・ザウムにあった。
どこか愛嬌のある文体が楽しい佳作。多分アザトース関係。
聖人アゼダラク
 キリスト教の司教に化けている妖術師の秘密を知った修道士は、証拠品として「エイボンの書」を盗みだすが、追っ手に魔法の薬を飲まされ・・・
キャプテン・スーパーマーケットみたいな薬が出てくる。結局は妖術やキリスト教よりも女の方が強かったという話(汗)。
アヴェロワーニュの獣
 大きな彗星が夜空に現れだしてから、奇怪な怪物が人を襲うようになった。努力の結果 怪物をたおせなかった修道院は妖術師の力を借りることにする。怪物の正体は意外なものだった・・・。 なんと言うこともない短編だが、RPGのシナリオそのまんまでもある。
彼方からの光
 未知との遭遇(笑)。浦島太郎的でもある。
死の顕現
 高橋葉介(笑)。暗いやつだと思っていたら死んでた。
氷の魔物
 ひどい目にあうバンデットもの。ハイパーボレアが舞台。氷の描写が少し目新しい。
シレールの女魔法使い
 若い女の言動に絶望した男が、美しい女魔法使いに誘惑される。様々な要素がそれは魔法の力であり、 ほんとうは恐ろしい裏の顔があるのが分かるのだが・・・。
ある意味恋愛の真実を描いた作品かも(笑)。
土地神
 昔土地の持ち主だった老人が死体で見つかった不吉な沼の虜になった画家。心配した友人の小説家は彼の婚約者を呼び、元気を出してもらおうとするが・・・
沼の描写が普通の沼としか思えないのに不吉な感じなのが面白い。
柳のある風景
 絵の中へ。諸星大二郎の古代中国短編みたい。
九番目の骸骨
 高橋葉介の短編風。結婚は人生の墓場なのか。
イリューニュの巨人
 忌まわしき大巨人現る!
ファンタジーもののキャンペーンのラストのシナリオのような派手な展開。昔ウォーロックに載っていたシナリオを思い出すなあ(笑)。 しかしここまでくるとかえって恐怖とは無縁な感じである(汗)。
ヒキガエルおばさん
 なんか違う意味でごっつう怖い(汗)。
はかりがたい恐怖
 いきなりSF!文中で1977年の金星探検隊と書かれていて、たまげて初出一覧を見たら1931年の作品だった(笑)。
ジャングルが生い茂る金星で(笑)、巨大な怪物に遭遇するストーリー。今となってはチープな設定だが、描写 に迫力があって巨大生物がほんとに悪夢のようで楽しめた。
見えない街
 砂漠をうろついていたと思ったら矢追純一スペシャルみたいな展開に。
余分な死体
 物語の冒頭部分だけで終わってるような妙な作品。
夜の怪物たち
 なんと21世紀が舞台。内容は星新一(笑)。最後の1行が違うけど。
ユーヴォラン王の船旅
 ファンタジーアドベンチャー。ハリーハウゼンに映画化してもらいたい(笑)。




エイリアン秘宝街

★★ 菊池秀行/ソノラマ文庫
 インディー・ジョーンズ現代高校生版?コミックのスプリガンも随分この作品からパクっているように思う。

 ここのコメントを書くためにまた読み直してみたが・・・・・おっもしれえ(汗)。
しばらく読みにくいクトゥルフ関連の作品ばかり読んできたせいか、小気味よいテンポとアクション、謎。どれも実に面 白い。
特に前半の雰囲気を高めつつ、ヤクザが絡んだりして様々な情報が謎の正体に迫ってゆく件は実にいい出来。後半イマイチなのがほんとに残念で、そのままのノリでいったら間違いなく最高傑作だった。
 クトゥルフっっぽさという点ではその謎の正体が実にそれっぽいのだが、なにより最初に「リチャード・アプトン・ピックマン氏のモデルに。」捧げているのだからそのまんまんである。それにしてもグールに捧げられた作品は世界でもこれくらいなものだろう。
ゲームの参考には・・・江戸時代の怪奇現象や、現代科学を使っての怪物との戦闘など、イメージ描写 的に使えるところはあるが、やはり基本的にヒーロー物なのでそのまま使うのは難しいだろう。




クトゥルー3

★★★ 大瀧啓裕編/青心社 文庫
 編者がクトゥルフ神話に関わると判断した作品を選んだ比較的最近発売されていたシリーズ。
カルコサの住民/アンブローズ・ビアース
 霊媒がしゃべったという設定の心霊体験記。
黄の印/ロバート・W・チェンバース
 若い画家と、そのモデルをしている若い女性のラブラブストーリー(笑)。
二人が顔色の悪い夜警の出てくる夢を見てから、少しずつ現実世界にも不気味な影が忍びよる。そして彼女が手に入れた縞瑪瑙のメダルが、彼らを禁断の領域に立ち入らせてしまう。
 若い女が出てきた時点でクトゥルフ神話っぽくない。
意外にシナリオネタとしては優れているような気もするが。
彼方からのもの/クラーク・アシュントン・スミス
 彫刻家の友人、キュプリアン・シンカウルに会いに行く途中で立ち寄った本屋で、恐ろしい怪物を目撃するフィリップ。 彼にははっきりと見えているのに、他の人には見えていないらしい。
彼は彫刻家のところで、今さっき見たばかりの怪物が彫刻作品として作られているのを見て再び驚くことに。
彫刻で怪物に襲われている女性のモデルをしているマータ・フィッツジェラルドは、キュプリアンに製作を止めるよう説得してくれとフィリップに頼むのだが・・・。
 スミスにしては普通のクトゥルフ神話物っぽい。その分凡庸な出来になっているようにも思う。
邪神の足音/オーガスト・ダーレス&M・R・スコラー
 あかずの間がある屋敷を借りた作家ラーキンズ氏。前の借り主はあかずの間を開けた直後に死んだという。
更にその前には、ブレントという学者が魂の入れ替え実験を行っていたらしい。
まさかと思っていたが、誰もいないはずの2階から足音が聞こえ、死んだブレントの友人に連絡をとり、詳しく調べてみることに。
ブレントの友人は庭の木の近くに草が生えていないところがあるのを指摘し・・・。
 最後の怪物(?)の描写がいい感じで、少し背筋が冷たくなった。
色々出てきた設定がほとんど全て謎のままなのも面白い。気になるけど(笑)。
暗黒のファラオの神殿/ロバート・ブロック
 カイロの秘められた地下納骨所で、カータレット大尉が見たのは歴史が克明に記された壁画だった。描かれたのは何千年も前だというのに、それはつい最近の事件までもが克明に記されていた。
やがて現在の箇所にたどりついた大尉が見たものは・・・。
サンドウィン館の怪/オーガスト・ダーレス
 アーカムとインスマウスの間の海辺に建つサンドウィン館。そこに住む父子は働いている様子は無かったが、金には困っていなかった。実はサンドウィン一族は代々呪われた契約のおかげで、闇の勢力から収入を得ていたのだ。
しかし現在の主、アサ・サンドウィンは、自分の代で契約を断ち切り、呪いを払拭しようと決意する。
彼には準備をする時間もあり、闇の勢力に対抗する術も身につけていたが、唯一恐るべきロイガーには対処する術を持たなかった・・・。
 ダーレスの作品はゲームよりもゲームっぽい。しかも出来の悪いシナリオに、下手なキーパーの(汗)。
ずらずらとお馴染みの設定が並べ立てられ、何のひねりもないラストを迎えるのはなんとかならないものか。
そしてこの物語のロイガーは、風を利用する生き物のような描かれ方をしているが、よく分からない。
妖術師の帰還/クラーク・アシュントン・スミス
 悪魔学と妖術を研究しているジョン・カーンビイとネクロノミコンの翻訳を行う内、彼の部屋のまわりに妙な物音が聞こえ出す。
最初は鼠だと言っていたカーンビイだが、やがて彼には双子の兄弟がいたことをうち明け・・・。
 「ZONBIO死霊のしたたり」みたいな、なかなかグロテスクな描写がある。
スミスも残酷描写をするのね。
丘の夜鷹/オーガスト・ダーレス
 1928年5月。アイルズベリイの小さな村に住んでいた親戚のエイバル・ハロップが行方不明になったのを調査しにやってきたダン・ハロップ。
その家の近くには毎夜大量の夜鷹が集まり、気が狂いそうになるような大音量で鳴き続け・・・。
 ダーレスにしては雰囲気のある作品。共同電話の盗み聞きなど、小道具も幻(?)の異界描写がものたりず、オチがオチになっていないのが残念。
銀の鍵の門を越えて/H・P・ラブクラフト
 「ラブクラフト全集6」と同内容。

※画像について
 コントラストを強くした古い町並のイラストは雰囲気があっていいが、どうも化夢宇留仁にはアメリカの風景に見えない。なんだか地中海くさくないか(笑)?
イメージとしては街はもっと色合いを抑えてもっとアメリカ風にして、その分空を派手でかつ不気味な感じにした方が合うように思う。
それにしてもこのシリーズの表紙は統一感が無いな。




クトゥルー4

★★★ 大瀧啓裕編/青心社 文庫
魔犬/H・P・ラブクラフト
 ラヴクラフト全集5と同内容。
魔宴/H・P・ラブクラフト
 ラヴクラフト全集5と同内容。
ウボ・サスラ/クラーク・アシュントン・スミス
 ロンドンの骨董店で手に入れた不思議な水晶球。それは過去の時間全てを見ることが出来る水晶だった。
だがそれは、太古の強大な力を持った魔術師でさえ手に余る、ウボ・サスラへの道を開くものだった・・・。
 次々に視点が変わってゆく描写など、実にいい感じ。スミスはやっぱりすごいのだ(笑)。
奇形/ロバート・ブロック
  優秀で人柄もいいサイモン青年には1つの欠点があった。背中の左側に大きなこぶがあったのだ。
そのこぶには秘密があり・・・
 よくある話と言えばそうなのだが、当時もよくある話だったのかどうかは不明。
風に乗りて歩むもの/オーガスト・ダーレス
 雪の夜空から落ちてきた男二人と女の死体。彼らは「風にのりて歩むもの」という謎めいた存在のことを語った・・・。
 イタクァ・ザ・ウェンディゴ登場。
でいだらぼっちみたいである。しかしやはりどうもダーレスはつまらない。
七つの呪い/クラーク・アシュントン・スミス
 ハイパーボレアのコモリオムの勇者が遭遇する恐るべき存在達とその顛末。
 なんかのんきな作品で、実に楽しい。 昔話みたいな雰囲気がただよっている。 ツァトゥグァやヘビ人間達の描写や性格がまた面白い。
黒い石/R・E・ハワード
 歴史の中で見え隠れする黒い石の痕跡を追い、たどり着いた丘。
忌まわしい場所として誰も近づかないその丘にて体験する古代の忌まわしい儀式の悪夢。
 海外のクトゥルフ神話ものにしては珍しくエロティックな描写がある。単に作者がスケベなのかもしれないが。
闇に棲みつくもの/オーガスト・ダーレス
 ウィスコンシン北部の森の中にあるリック湖には、昔から人知れず異様な事件が起こっていた。
行方不明になった教授を捜しつつ調査に来た二人は、そこで恐ろしい夜を迎える。
 ダーレスにしてはマシな方だけど、相変わらず旧支配者の名前が飛び交い、安っぽい。
石像の恐怖/ヘイゼル・ヒールド
 ある山奥にある洞窟で、精密すぎる犬と人間の彫像が見つかった。行方不明になった若手彫刻家の手がかりではないかと調査に赴く友人二人だったが、そこで予想外の恐ろしい顛末を知ることになる。
 なかなかいい感じの好篇。やはり誰かさんみたいに、いたずらに神話怪物の名前が出てこないのは奥ゆかしくていい。
異次元の影/H・P・ラブクラフト&オーガスト・ダーレス
 「時間からの影」へのオマージュのつもりなのだろうが、明らかに盗作&改悪。
ダーレスは師匠の文章をちゃんと読むことも出来ないらしく、大いなる種族の性質も変わってしまっているし、雰囲気も台無しに。 腹が立った。
アーカムそして星の世界へ/フリッツ・ライバー
 1960年代のミスカトニック大学にて、様々な事件に登場した教授達が一堂に会し、談笑。
 ここまでやると滅茶苦茶でもOK。パロディ作品として大いに楽しめる。




クトゥルー5

★★★ 大瀧啓裕編/青心社 文庫
ピーバディ家の遺産/H・P・ラブクラフト&オーガスト・ダーレス
 曾祖父が遺した古い家を相続した主人公は、一族の墓も家の近くにあつめようとするが、曾祖父の遺体が俯せになっているのに驚いて、それを直す。
しかしそれ以後、奇怪な現象が起こり、主人公は次第に遺産の真の意味を知ることになる。
 ダーレスにしては出来のいい作品。4大元素も善悪の概念もほとんど出てこないし、雰囲気もいい。
彼の最高傑作かも。
ティンダロスの猟犬/F・B・ロング
 チャーマズは古代中国の麻薬により、精神の時間旅行を行うのに成功した。しかし四次元への干渉は、恐るべき猟犬の注意をひいていた。
ドラえもんの身を案じたくなる一遍(笑)。
墓はいらない/R・E・ハワード
 友人の死を知り、その遺言を執行する手伝いをすることになるが、それは一風変わった儀式のようなもので、しかもいつの間にか見ず知らずの人物が紛れ込んでいた。
 恐ろしいのか、単に借金を返してよかったよかったという話なのか、よく分からない(汗)。
臨終の看護/ヒュー・B・ケイブ
 友人夫婦の弟が亡くなったとき、その遺言は必ず戻ってくるというものだった。
その言葉を信じる姉と、それを心配して止めさせようとするがミイラ取りがミイラになる夫・・・結果 は主人公の落ち度でえらいことに(笑)。
 実はショートショート(笑)。
闇の魔神/ロバート・ブロック
 あからさまにラヴクラフトがモデルの小説家が、自分の見た夢を作品にしている内に、夢の中でメッセージを受け取り・・・。
 オチが見え見えすぎて面白くない。他のクトゥルフ神話関係の作品のどれもだいたいオチは見え見えなのに、特にこれがつまらないと思うのは、多分雰囲気を盛り上げる描写 が下手なのだろう。
無貌の神/ロバート・ブロック
 冷酷で強欲な商人カーノティが、砂漠の中ですばらしい保存状態の神像が見つかったという噂を耳にする。
彼は噂の元になった隊商の馬引きを捕まえて拷問し、その場所を探し出すが、 それは恐るべきナイアーラトテップを奉ったものだった・・・。
これと言って面白い作品でもないが、筋の通った展開と、映像っぽい描写でそこそこ楽しめた。
砂漠の描写はゲームにも使えるだろう。
戸口の彼方へ/オーガスト・ダーレス
 祖父の様子がおかしいので来てくれと頼まれ、行ってみると果たして祖父は元気であった。しかし祖父はある荒唐無稽な考えに取り憑かれていたのだった・・・。
 イタクァ登場。しかし相変わらずのダーレス節で、最初のうちはそこそこ面白いのだが、後半は毎度の通 りでつまらない。
谷間の家/オーガスト・ダーレス
 一人落ち着いて絵が描きたいとの理由から、ある山奥の一軒家を借りたが、その家では過去に残虐な事件が起こっており、しかもそれはまだ終わっていなかった・・・。
 途中主人公の自意識が錯綜するあたりは面白いのだが、やはりダーレス。ラヴクラフトの設定を改悪して使用していて、切なくなる。
魔道士エイボン/クラーク・アシュントン・スミス
 魔道士エイボンはハイパーボリア(文中ではヒューペルボリア) で、邪神ツァトゥグァ(文中ではゾタクァ)を礼拝しているとして異教徒の烙印を押され、ツァトゥグァにもらった異界への門を通 ってサイクラノーシュ(土星)へ逃亡する。それを追うライバル魔道士であり審問官であるモルギ。二人はサイクラノーシュで顔を会わすが、その世界のあまりの異様さに生き残るために協力しあうことで同意する。
かくして二人の珍道中(笑)が始まる・・・。
 スミスの作品はどれもそうだが、ちょっと変わったファンタジーとして実に楽しめる。ツァトゥグァの父方の叔父が出てきたりするんである(笑)。
ゲームの参考になるのかどうかは不明(笑)。
アタマウスの遺言/クラーク・アシュントン・スミス
 上記「イリューニュの巨人」と同じ作品だが、訳者が違うのでなんとなく趣が違う。
こちらではクニガシン・ザウムはクニガティン・ザウムと記される。

 付録にC・A・スミス、H・P・ラブクラフトそれぞれが書いた神話怪物の系図が載っており、なんだかわけが分からないが面 白い(笑)。
ツァトゥグァの叔父は土星で一生独身を通したらしい(笑)。




クトゥルー7

★★★ 大瀧啓裕編/青心社 文庫
星から訪れたもの/ロバート・ブロック
 ブロック本人と思われる作家が「妖蛆の秘密」を手に入れ、知恵を借りるためにラブクラフトと思われる作家に見せたところ、彼はその中の呪文の1つを朗読。星の精がやってきてぶっ殺される・・・・ ほとんどギャグである(汗)。
闇をさまようもの/H・P・ラブクラフト
 下記のラブクラフト全集3と同じ内容。 この本では掲載する順番に気を使っており、先の「星から訪れたもの」でぶっ殺されたお礼に(笑)、ブロックと思われる作家がぶっ殺されるという流れになっている。
尖塔の影/ロバート・ブロック
 上記「闇をさまようもの」の続編。ラブクラフトの死後に、追悼も兼ねてブロックが 書いたものと思われる。教会の尖塔から放たれたそれは、実は予想以上に強大な存在だった・・・。
「闇をさまようもの」で謎だった医者の正体が明らかになる。実にゲーム的な展開。
永却より/ヘイゼル・ヒールド
 海底火山の影響により、一時的に浮上した島で発見されたミイラと謎の円筒。それらは博物館に展示されるが、その謎が明らかになるにつれ、恐るべき太古の事件が現代に蘇る。
クトゥルフ神話の数あるモンスターの中でも最凶の一人(?)ガタノソアからの贈り物(笑)。
アッシュールバニパルの焔/R・E・ハワード
 砂漠をさまよい、盗賊の襲撃を退け、なんとかたどり着いたトルコ人がカラ・シュール(暗黒の都市)と呼ぶ不気味な廃墟だった。呆然と都市を歩く二人は、伝説の宝石、アッシュールバニパルの焔を発見するが・・・
レイダースやトゥーム・レイダーを思い出す展開。
セイレムの恐怖/ヘンリイ・カットナー
 過去に魔女が住んでいたと言われる屋敷を買い取った作家が(この時点でどうかしてるとしか思えないが/笑)、鼠の導きにより怪しい地下室を発見。ぁれは噂を聞いたオカルティストの忠告を聞かずに、その部屋を仕事部屋にしていたが、やがて恐ろしい悪夢と共に魔女の呪いを体験することに・・・。
地下室のデザインが実にいい。ゲームや映像のネタにも最高かも。
イグの呪い/ゼリア・ビショップ
 ある精神病院に人間とも蛇ともつかない異様な生き物が隔離されていた。それはどのようにしてこの世に姿を現したのか?医院長の前置きの長い話により(笑)真実が明かされる。アメリカの田舎は怖いです。
閉ざされた部屋/H・P・ラブクラフト&オーガスト・ダーレス
 ウィーズリー一族の生き残りであり、かのヨグ・ソトースの息子たちの従兄弟にあたる男が、祖父の遺産を処分するために、ダニッチにやってくる。 彼は祖父からの置き手紙を見つけ、その指示にしたがう決意をするが、それは彼の手にはあまる任務だった・・・。
  ダニッチの怪の続編ということだったが、単にウィーズリー一族の生き残りが出てくるのと、場所がダニッチだというだけで、特に関係はない。
むしろ下手に関係ありげな風にしている分楽屋落ち的な雰囲気でよろしくない。 なぜなら共作ということになっているが、ほんとうはラヴクラフトの草稿または冗談交じりの会話を元にした、ダーレス一人の作品なのだ。
文体が物足りないのは仕方が無いとしても、許せない点がある。 ディープ・ワンが出てくるのだが、これの設定がどう考えてもおかしいのだ。
インスマウスの影で説明されたディープ・ワンとは明らかに異なっていて、別の怪物としか思えない。
だいたいダニッチの続編でなんでディープ・ワンやねん(汗)!?・・・この辺の設定もこじつけがましくてやな感じである。
たまに善悪二元論が出てこない話を書いたと思ったら、この有様・・・困ったものである(汗)。




クトゥルー12

★★★ 大瀧啓裕編/青心社 文庫
アルハザードの発狂/D・R・スミス
 アブドゥル・アルハザードがネクロノミコン執筆時にとうとう発狂してしまい、判別 不可能になっている部分を復活させたという設定。
内容はと言うと、ローマの英雄マルクス・アントニウスは腹が減っていると滅茶苦茶強くてなんでも食う・・・以上(汗)。
サタムプラ・ゼイロスの物語/クラーク・アシュントン・スミス
 二人の盗賊が自分たちの器より大きな獲物に向かった結末。
なんだかD&Dの低レベル時のリプレイのようである。
ヒュプノス/H・P・ラブクラフト
 路上で倒れていた男を一目見て気に入った男。その二人が新種の薬を使い、夢の中で異世界への旅に出る。二人は人類未到の世界で新たな知識を手に入れるが、やがて眠りの王ヒュプノスの恐ろしさを知ることになる。
冒頭から訳がわからん。ラストは友人が存在していなかった可能性も漂わして、なかなかいい感じではある。
イタカ/オーガスト・ダーレス
 雪に覆われた田舎町で、インディアンに嫌がらせをした者が行方不明に。後に凍死寸前の状態で見つかるが、彼は「イタカ」がどうの「ハスター」がどうのとつぶやくのみで、すぐに死んでしまう。事件を捜査していた警官は、インディアンの居住地近くに環状列石を発見するが、やがて彼も行方不明に・・・。
クトゥルフの呼び声のシナリオ風で悪くない。しかしダーレスの作品全般に言えることで、あまりにも軽々しく神々の名が出てくるのと、無理に4大元素に当てはめたりという点が鼻につく。
首切り入り江の恐怖/ロバート・ブロック
 未開の民族が崇拝していた黄金の祭壇と櫃をつんだ沈没船を発見。 そこには黄金と一緒に崇められていた神も沈んでいた・・・。
流石はブロック。普通の海洋冒険ものとして楽しめる。潜水の描写も参考になる。
少し手直しすればそのままゲームのシナリオにもなりそうである。
湖底の恐怖/オーガスト・ダーレス&スコラー
 世界博会場建設のために埋め立てられていたミシガン湖の湖底から、妙な生き物の一部が発見された。やがてそれは想像を絶する怪物、クトゥルフの落とし子に成長する!
映画「エヴォリューション」に感じが似ている。しかし相変わらずのダーレスの善悪2元論はうっとおしい。
モスケンの大渦巻き/オーガスト・ダーレス&スコラー
 ある奇怪な伝説の残る島に、好奇心旺盛な青年が調査に向かったが、帰ってきた彼はなぜかすっかり別 人になっていた。
島の伝説とは、そこには不吉な不死の生き物がおり、それは人を食い、別の生き物の姿をとることもできるというものだった・・・。
短編小説としては悪くないが、やはり旧神の存在が邪魔くさい。
憤丘の怪/ゼリア・ビショップ
 とにかく前置きが長い。また元の文章がいけないのか、翻訳が下手なのか(多分後者)、意味の通 らない文章が多く、読みにくい。
しかし後半のクン・ヤンの描写にかかるあたりから内容の異常さが増してゆき、結構のめり込んで読めた。
異世界の描写と、その世界に奴隷(と言うか機械)として使われているモノが結構猟奇的ホラー。




クトゥルー怪異録

★★★ 学研文庫
 ちょっと変わった面々が筆をとった日本オリジナルアンソロジー。
曇天の穴/佐野史郎
 古風な文体だが、どこかポップな雰囲気の作品。文章とイメージの融合がうまくいってるように思う。けっこういいかも。
蔭洲升を覆う影/小中千昭
 完成台本そのまんまな感じ。特にセリフは映像があった上でないと書かれないようなものが目立つ。主人公の視点以外の部分はラスト以外はカットしてある。
邪教の神/高木彬光
 普通で古風なミステリー。 しかし完成度が高く、楽しめる。こういうキャンペーンもやってみたいものだ。
銀の弾丸/山田正紀
 昔のスパイもの日本映画のような内容。クトゥルフの解釈は・・・エヴェンゲリオン(笑)?
出づるもの/菊池秀行
 その名は出てこないが、実にいい感じのクトウゥルフ神話短編。ちょっとゲームに使用するのは無理っぽいが(汗)。
地の底の哄笑/友成純一
 九州の旧炭坑街の長者宅での大宴会。酒は出るは飯は出るは歌は歌うは怪物は出るは人は死ぬ は・・・(笑)ゲームの1シーンとしても面白いな。
対談「ラブクラフトに魅せられて」菊池秀行&佐野史郎
 好き者同士が好きなこと言ってます(笑)。




邪神たちの2・26

★★★ 田中文雄/学研
 ハードカバーで出版されたクトゥルフ神話小説。

 

 

 




邪神帝国

★★★ 朝松健/ハヤカワ文庫
 珍しい日本人作家による、ナチス・ドイツの魔術的側面をあらわす連作短編集。
”伍長”の自画像
 現代日本に魔術の力でヒットラーが復活!
ヨス・トラゴンの仮面
 第2次世界大戦前夜、日本の情報部員である神門帯刀は、ドイツにおいてそのリーダー達の異常性に遭遇し、更におぞましい魔術的な出来事を体験する。ヨス・トラゴンの仮面 とはいったいどういうものなのか?
狂気大陸
 第2次大戦の最中、はみ出しドイツ兵達とSSが、南極に存在する新天地に築かれている基地へ向かった。任務は単なる護衛の筈だったが、その裏には恐るべき計画が隠されていた。
古きものとショゴスが大暴れ(笑)。
1889年4月20日
 ヴィクトリア朝ロンドンを恐怖のどん底にたたき込んだ殺人鬼、切り裂きジャックはニャルラトテップの導きによりある儀式を完成させようとする魔術師だった。その儀式は「鉄の秩序を完成させるもの」をドイツに生じさせるものであった・・・。
夜の子の宴
 濃霧がたちこめるルーマニアの片田舎にて、本体とはぐれたドイツ軍小隊が闇夜に乗じて何者かに襲われる。翌朝辺鄙な村にたどり着くが、妙な遺跡のあるその村には恐ろしい吸血鬼が・・・。
手直しすればシナリオになりそう。
ギガントマキア1945
 総統からの極秘命令で空路を経て軍港ラコルーニャで潜水艦に乗り、 アルゼンチンへ向かう。その任務は”伝説”と呼ばれる人物の護衛だった。しかし彼らの後を身長40mはあろうかという単眼の巨人が追っていた。
怒りの日
 ヒトラー暗殺未遂事件の真相。映像的な演出が冴えてて楽しめる。シチュエーションも燃えものがあるし。

 総じてこの短編集はなかなか面白かった。多分テーマが絞られているので散漫な感じがしないからだと思う。
ただしラヴクラフトの文章で見られる記録文のような乾いた現実感は無い。
また色々な史実や創作物を作中にフレーバーとしてちりばめる手法は面白いが、混乱もしやすい。化夢宇留仁も混乱した(汗)。
それにしても「テケリ・リ!」というセリフまで入ってるのはどういうこと?ポオの引用なのか、それとも諸星大二郎の「栞と紙魚子シリーズ」からの引用なのか(汗)?

追記: ラヴクラフトが「狂気の山脈にて」において、ポオの作品から「テケリ・リ!」というセリフ(?)を流用していたことが判明しました。
お騒がせしました(笑)。


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