シャーロック・ホームズ 備忘録

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オリジナル出版順に並べている。

シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯

1962年 W.S.ベアリング=グールド
1977年9月28日講談社初版発行
小林司、東山あかね 共訳

 ホームズの両親の結婚からはじまるホームズの生涯の解説。
実に興味深い研究所で、ホームズがオックスフォードでルイス・キャロルと親交があったり、大英博物館でマルクスと会話を交わしたりと、びっくりするような情報てんこ盛り。
研究書としては問題も多かろうが、読み物として面白いのは確かである。

 それにしてもこの人はどういうつもりか、聖典の紹介でも色々余計な文章を付け加えたりしていて、どれが本当でどれがそうでないのかどんどん分からなくなる。
それとも新潮文庫の翻訳でカットされているのか?
 また明らかにドイル以外の人物の著作である(グールド本人かも)切り裂きジャック事件をホームズが捜査した物語を、聖典となんの区別もなく並べてあったりもする。
またその内容がワトスンが推理の上でホームズの上を行き、ホームズがジャックに倒されて気絶したところに飛びかかってジャックを軽くひねってしまう。
そしてジャックの正体はなんと「四つの署名」で活躍したアセルニー・ジョーンズ警部なのである!
更にどうやって事件の真相を解明したかをワトスンがホームズに語って聞かせるに至っては、まさに噴飯ものとしか言えない内容である。

 「ボヘミアの醜聞」のアイリーン・アドラーが結婚したゴッドフリー・ノートン弁護士は実は極悪人で、彼女はオペラの舞台に戻らざるを得なくなり、その収入もノートンに取られてしまうということをホームズが調べ上げ、レストレードに手を回して離婚させるという件もある。
ホームズの一枚上を行ったような女性がはたしてそんな目にあうだろうか。
ちうかこれではノートン弁護士が可哀想である(笑)。
勿論こんなエピソードも聖典には存在しない。

 どうも作者が想像力過多で、信用ならない点の多すぎる本のようである。


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