TRPG&GameBook TITAN

 

タイタンってどんな世界

タイタン世界は、イギリスはペンギン・ブックスから出版されていた、ゲーム・ブックの世界をまとめたものです。
日本では社会思想社(一部創元推理文庫)から翻訳が出ていました。

タイタン世界は、いわゆるヒロイック・ファンタジーの世界です。
剣と魔法を武器に、モンスターと戦い、冒険を繰り広げる・・・・・・・・
タイタンもそんな世界です。
ただし、この説明では不十分なのです。
いや、それどころか全く違うかもしれない(笑)!!
ここではそんなタイタンの、普通のファンタジーとは異なる部分をメインに説明します。


タイタンはどんな世界か?
一言で表すとすれば、「すごくいやな世界」でしょう(笑)。
もう少し詳しく書くと、危険で、汚くて、混沌としてて、すごくいやな世界・・・・でしょうか(笑)?

まず危険です。
タイタンには世界の隅々まで危険が転がっています。
事故や天変地異のたぐいももちろんあります。しかしそれらを別としても、まだ世界は危険に満ちているのです。
タイタンの世界は悪意に満ちているのです。道を普通に歩いているだけでも、人は命の危険に晒されています。
いきなり強盗に襲われるかもしれません。突然道端の石ころが剣を抜くかもしれません。前から歩いてくる人は、狼男かも知れません。もちろん虎男かもしれないし、鼠男の可能性もあります。
台所で夕食の準備をしているお母さんも例外ではありません。
かまどの炎が意志を持って襲い掛かってくるかもしれません。包丁がいきなり飛び上がってお母さんの心臓に狙いをつけるかもしれません。鍋蓋は円盤人かもしれないのです!
町中でこんな調子です。それもこの例は比較的安全な町だと考えておいた方がいいでしょう。
悪名高いポート・ブラックサンドや、カーレではこんなものでは済みません。
では町を出たらどうでしょう?
もちろん危険は遥かに増加します。
うでに覚えの無い人は、1日も生きていられるものじゃありません。
タイタンにおいて「自然」という言葉は、「危険」と同義語だと考えておいて損はありません。

そして汚いのです。
だいたいファンタジーの世界は汚いものです。衛生観念も発達していないし、設備も無いのだから当たり前です。
しかしタイタンの汚さは格別です!
統計を取った訳ではありませんが、タイタン世界の住人は掃除嫌い確率が地球よりも遥かに高いと思われます。
特に人口が集中している場所は、町であれ迷宮であれ(後者は人口とは言わないかも・・・)極めて汚れています。ほこりやゴミは言うに及ばず、食べカスや何かの死体など、腐っているものが目に付きます。
したがってタイタン世界は何処でもにおいます。臭いのです。
上記のお母さんが生き残り、夕食のシチューを完成させたとしましょう。いい匂いがします(これもケースによりますが)。しかし!窓の外から入ってくる腐った浮浪者の死体の匂いがそれを打ち消しているではありませんか!
でも 流石のタイタンでも奇麗な場所はあります。熱心な信者のいる神殿や、しっかりした村長のいる村・・・その他危険と比べたら汚さは可愛いものです。ただし本当に汚いところは、とことん汚いのです。もう、めちゃくちゃに汚いのです(笑)。
数え切れないほどあるファンタジー世界の中でも、ベスト5(ワースト?)に入る汚さなのは間違い無いでしょう。

気が狂いそうに混沌としてもいます。
何よりタイタン世界を特徴づけているのが、混沌とした雰囲気でしょう。
これは元がゲーム・ブックだったのが原因のようです。ちょっとパラグラフを選び間違えただけで死に至るゲーム・ブックの世界を、そのまま一つの世界にしてしまったのだから無理もありません。
同じ原因で細かい事件がいつでも何処でも起こっている世界にもなっています。
何も無い平穏な時間と言うのはタイタンには似合いません。いつでも何処でも事件が起こっているし、事件が起こっていない時はそれに気付いていないか、事件の幕間にしかすぎません。
更に同じ理由で、最も印象深い点が脈絡の無さ、でしょう。
事件が多発しているのですが、ことタイタンにおいてはそれぞれの事件の関連を探る努力は、ほとんどが徒労に終わります。
ゲーム・ブックはその性質ゆえ、多数の罠が配置されています。ぱっと見罠だと分からない事件も、後で考えてみればただプレイヤーを落としいれる為だけのイベントだったりするのです。
この脈絡の無さというのは、普通のTRPG ではマスターの能力不足の結果として評価されるケースが多いでしょう。
しかしタイタン世界では世界の描写の一環として認められるのです。
だってそれがタイタンと言う世界なのですから。
化夢宇留仁はもしかしたらタイタンの住人は、全員気が狂っているのではないかと考えた事が何度もあります。
狂っててもいいのです。
タイタンですから(笑)。

ね?すごくいやな世界でしょう?
よく現実の生活がいやになって、ファンタジーの世界に逃避すると言うような話がありますが、タイタンに逃避するくらいなら死んだ方がマシです(笑)。
でもそこが同時に、すごく楽しい世界でもあるのです。その訳は、すごくいやな分だけ世界に活気があるからなのです。
タイタン世界の住人は危険にもめげずに(と言うか気付いてないだけかもしれませんが)日々を楽しく過ごしています。
例えばタイタンでは、ドワーフは非常に不遇な境遇を強いられています。地下迷宮のオーク達にとって、ドワーフは拷問して遊び、飽きたら食料になる弱々しい生き物でしかありません。しかし彼らは迷宮を脱出するでもなく、日々仲間達とカード遊びにふけってコインのやり取りに一喜一憂しているのです。
汚いのはなぜかと言うと、彼らの生活が描写されているからなのです。
生活していればゴミは出るし、食べ物は放っておけば腐ってしまいます。もちろんヒーローに斬り殺されたモンスターの死体は消えてなくなったりはしません。その場に放置されて風景の一つになって行くのです。
これら普通のファンタジー世界では無視されるような要素が、しっかりと描写され、結果としてタイタンは汚いのです。
ちょっと注目しすぎのきらいもありますが(笑)。
混沌としているのは、同時になんでも起こりうると言う事でもあります。 タイタンを舞台にした冒険に、定石などは存在しません。
死んだら死んだでタイタン世界の住人らしいわけで、そうかと思えば何の後ろ盾も無い一介の旅行者が、 その地を支配する強大な魔法使いを倒したとしても、不自然ではないのです。
この世界ではみんな自分のスタイルを最優先して生きています。
それはモンスターであっても例外ではありません。みんな主張が強く、やりたい事で頭の中はいっぱいなのです。
そんな中に分け入っていって、自分のやりたい事をやるのは困難であり、かつとてつもなく面白いところでもあるのです。


 

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