ブリジット・ジョーンズの日記
きれそうなわたしの12か月

 続編。
前作より派手になり、コメディ色も強くなったが、前からほとんど無かったストーリーは完全に消えて無くなった。
 前作で敏腕弁護士のマークという念願の恋人を手に入れたブリジットだが、あまりの嬉しさのためか、思いこみバリバリの超痛い女になっていた。
そうこうする内に早合点でマークと別れ、前の恋人と出会い、なんだかよく分からない内に南米で牢屋に放り込まれることに・・・(汗)。
 要するにラブ・コメディなのだが、主人公が美人とは言えないのが最大の売りであり、特徴なのは前作と変わらない。
だがもう一つ前作に及ばないのは、やはりブリジット本人が痛すぎるからだろうか?
単にストーリーが無いからか(笑)?
内容の割に長すぎるというのも少しつらい。
 化夢宇留仁はブリジットが見飽きないキャラなのと、冒頭の007のパロディと、マークの秘書のねーちゃんが可愛かったのでそれなりに楽しめたが。
どうせだったら寅さんみたいに毎回別な恋人が出来るようにすれば面白いと思う。

2005.4.8


マジンガーZ 全5巻
桜多吾作/双葉社1998年6月26日発行

 永井豪のオリジナル版と同時期に連載されていたと思われる桜多吾作版マジンガーZ。
やはりこの作者の作品は子供向けでもひと味違う。
 設定もより細かくなっており、Dr.ヘルが弓教授と兜博士と一緒にミケーネの遺跡を発掘したというエピソードもあるし、あしゅら男爵、ブロッケン伯爵の誕生の秘密も明かされている。
Dr.ヘルの学生時代のストーリーなどもあって興味深い。
  基本的にはもちろん同じストーリーなのだが、細かいところが色々異なっている。
例えば兜博士は自宅ではなく山奥の研究所でマジンガーZを作っているし、永井版では甲児が担当していた料理は、こちらではシローが担当しているなど。
 なにより桜多吾作らしいのは、やはり自衛隊絡みのエピソードで、マジンガーZが内戦に揺れる外国に派兵するという話もあれば、海上自衛隊との共同作戦であしゅら男爵の要塞島を攻撃するという話もあり、実に面白い。
 有名なエピソードとして、マジンガーZの姉妹機ミネルヴァXや、スナイパー機械獣ジェノバM9などのストーリーもしっかり収録されているのも嬉しい。
 また番外編としてデビルマンとの共演が実現するストーリーも収められている。これは映画版「マジンガーZ対デビルマン」の原作にあたるのだろうか。
あまりにもデーモンが情けなくて笑ってしまうが。
 最後はグレートが登場するのは同じなのだが、桜多吾作版ではその後のDr.ヘルとマジンガーZの決着もしっかり描かれているのは、痒いところに手の届く素晴らしさである。
 化夢宇留仁はこの作品でブロッケン伯爵の大ファンになってしまった。その立ち振る舞い、考え方、そしてその最期も実にかっこいいのだ。


チャーリーと14人のキッズ

 食品会社に勤めていて、にんじんとブロッコリィの入ったシリアルの企画を進めていた主人公チャーリーだが、子供に大不評で企画は消滅。ついでに開発室ごとクビに。
仕方なく奥さんに働きに出てもらい、一人息子の世話をするチャーリーは、他にも困っている人々がいるのに気付き、自宅で保育園を経営することを思いつく・・・。

 エディ・マーフィー主演のほのぼのコメディ。
これと言って大した事件もなく、特にひねりもないストーリーがかえって安心して観れる。
他の批評とかを観ていると展開が予想できるとか、ひねりのないストーリーに文句を言っているのもあったが、この手の映画は最後はハッピー・エンドなのは分かり切っているで、無理にピンチを作って盛り上げられてもイライラするばかりなので化夢宇留仁はこのままで満足。
 「パパの保育園」に集まってくる子供達はどいつもこいつも実に可愛く描かれていて、見飽きない。
保育園のメインのスタッフは食品会社をクビになった同僚と、会社で小間使いしかやらされてなかった男だが、彼が重度のトレッキーで、子供とクリンゴン語で話したりする件など、スタートレックファンも楽しめると思う。
エディー・マーフィーもここ数年の不調が嘘のような生き生きとした演技で、むしろ若返って見える。
  化夢宇留仁はエリート教育が売りの高い保育料を取る保育園の秘書をやっている女性が気になって仕方がなかったのだが、途中でハタと気付いた。
ルーシー・シャベールちゃんじゃないの!
すっかり大人になっていたのでしばらく気付かなかったのだが、相変わらず実に可愛い♪
 色々な意味で楽しめる映画でした。


グラップラー刃牙
全42巻+別巻1
板垣恵介/秋田書店

 現在も「バキ」というタイトルで続きが連載されている代表的格闘漫画。
代表的格闘漫画というのに反対意見もあるだろうが、ボクシング漫画でも空手漫画でもない格闘漫画と言えば、本作が代表格なのは間違いないだろう。
 多くの戦う少年漫画と同じく、本作も主人公が強敵達と戦って強くなってゆくというのが本筋だが、他では見られない特徴も多い。
まず様々な格闘技を網羅しているというところ。
空手、柔道、柔術、テコンドー、相撲、プロレス、アマレス、ムエタイ、キックボクシング、ボクシング、中国拳法、バリートゥード、護身術、戦場格闘技などなど。
そのどれも特徴をよく捉えていて、単に格闘技図鑑として読んでも面白いと思う。
 強いキャラクターがいつまでも強いというのも珍しい。
第1話から登場している空手の達人は、現在連載中の最新作の中でもまだ最強グループの1人である。
そして主人公の目標である父親も、自他共に地上最強の名を欲しいままにしている。
通して考えると70巻以上に渡って、淘汰の厳しい少年漫画の世界で最強キャラクターの座を降りていないのだ。
まあスポーツ漫画とすればそう珍しいことでもないが、どちらかと言えばヒーロー漫画に近い本作で、これは奇跡と言える快挙であろう。
 主人公の活躍が少ないというのも特徴かもしれない。
もちろん本筋では主人公が頑張って戦っているのだが、キャラクターの魅力という点では他のズラリとそろった強面たちと比べると全然話にならず、その分彼ら名脇役達の活躍シーンが多いのだ。
下手をしたら空中分解してしまいそうな話だが、本作に限ってはこここそが面白さの肝になっている。

 ストーリーの流れは、おかしなことになっている。
化夢宇留仁の見たところ、計画半分、行き当たりバッタリ半分といったところだと思うが、簡単に説明しよう。
1巻から8巻までは、東京ドームの地下の秘密格闘場のチャンピオンである主人公グラップラー刃牙の戦いを語っている。
9巻から20巻までは、刃牙の少年時代まで遡り、彼が激しい修行と苦闘の末、父親と戦うが破れ、その後地下闘技場に参加するまでが描かれる。
21巻から最終42巻までは、現在に戻り、地下闘技場で開かれる世界一決定トーナメントの様子が描かれることになる。
 途中でいったん過去のエピソードを語るというのもありがちな展開だが、42冊中の12冊に渡る長さも凄いし、なによりそこが全然面白くないのがもの凄い(笑)。
そうなのだ。
実はこの作品、基本的に面白くないのだ(笑)。
 1巻から8巻まではいかにもな格闘漫画で、主人公も変な正義感とかが残っているし、イマイチ他のキャラクターも立っていない。
先に書いた最強空手家愚地独歩(おろちどっぽ)だけは少しマシだが。
 9巻からの過去編では流石に主人公はよく描かれているが、大猿との戦いや最強兵士との戦いなど、もう一つ盛り上がらないしモラル的にも納得がいかない展開が続く。
花山薫という屈指の名キャラクターが登場しているところは面白いのだが、それ以外はやはりイマイチ。
 そして21巻から開催されるトーナメントで最大の山場を迎え、登場キャラクターによっては最高に面白い。
つまり20巻までは登場人物紹介のようなもので、面白いとは言えない内容なのだ。
その分21巻以降のトーナメントは実に面白いが、全42巻の内20巻が面白くない作品は普通面白いとは言えないであろう。
そこをなんとか支えているのが、そのトーナメントの描き方と、それで生まれた魅力的なキャラクター達である。
 このトーナメントの凄いところは、全出場選手の全試合を全てカット無しで見せているところである。
出場選手32名に加えて、リザーバーやデモンストレーション、地上最強の生物の乱入など、全ての要素において一切のカット無しで描かれているのだ。
回想シーンなども入るが、一晩のトーナメントに22冊のコミックスを費やしているのも無理のない話である。
またトーナメントであるから、勿論いつでも主人公が戦うわけにはいかず、結果魅力的な脇役達の描写が増えているのだ。
中でも出色は小柄な老人ながら、相手の力を利用して大男をバッタバッタとなぎ倒す渋川先生!
その戦いぶりを見事に描ききったところは漫画芸術の域に達していると思う。

 と言うわけで久しぶりに読み返したので、感想のようなものを書いてみた。
思い返すのは、やはり漫画の面白さはキャラクターの魅力に尽きるということだ。
ちなみに別巻にはジャイアント馬場とアントニオ猪木がモデルであるキャラクターの対戦が描かれている。
これは往年の格闘技ファンの、ついに実現しなかった対戦を作品の中だけでも実現したいという欲求の現れだろう。
 現在続編である「バキ」が連載中である。
トーナメントで完成した魅力的なキャラクター達と、世界中から集まった極悪死刑囚との戦いという展開なのだが・・・今のところ面白いところは死ぬほど面白いが、そうじゃないところは全然という感じで、しかも本筋が空中分解してしまって行き先を見失っている感がある。
不安だ・・・・・・(汗)。

2005.4.15


 レイダース 失われた聖櫃

 ひっさしぶりに観た。
 第2次大戦の少し前。
自らの仮説を現場で実証する行動派考古学者のインディー・ジョーンズが、失われた聖櫃を追う。
しかしオカルト狂いのヒトラーの命令で、ドイツ軍も恐るべき力を秘めていると言われる聖櫃を狙っていた・・・。
 今観ると実にゆったりとしたテンポで作られていて、安心して観られた。
冒頭の007で言えば小事件みたいなシーンでワクワクして、カレン・アレン(今見ると梨花に似てる・・・)演じるヒロインは可愛くて、様々なシーンで描かれる細かいディテールが見飽きない。
めまぐるしく移動する舞台は実にバリエーションに富んでいて、それぞれに魅力があるのがポイントか。
「クトゥフルの呼び声」TRPGでこんなシナリオをプレイしてみたいものである。
 ただしハリソン・フォードの演技はやはり今ひとつ。彼は「スターウォーズ」と「ブレードランナー」、そして「刑事ジョン・ブック 目撃者」以外はあまりいいと思ったことがないな。

2005.4.18


ドリームキャッチャー

 スティーブン・キング原作。
奇妙な能力を持った4人の男達は、小さな頃からの親友で、もう一人彼らには大事な友達ダディッツがいた。
そんな彼らは毎年恒例で山小屋に集まって楽しんでいたが、そこで予想外の事件に巻き込まれる・・・。

 なにしろキング原作なので、しかもどうやらだいぶ原作に近い作りになっているようなので、何が起こっても許す気持ちで鑑賞しましょう。なにしろキングだし(笑)。
前半の4人の親友ぶりとかは実にいい感じで、キングお得意の雰囲気。後半は・・・語らないのが吉。
ストーリー的にはITに近いと言えば近いが、要するにキングっぽいのだ(笑)。
 上で原作に近い作りと書いたが、これは想像な上に、原作通りの内容では無いとも思う。
特に途中で語られるべきエピソードが1つぬけているような気が強くした。
彼の心臓は2回止まって、彼は彼と会った筈なのだ・・・って意味不明(笑)。

 とりあえず広い心で見ていればそこそこ楽しめる佳作だと思う。
化夢宇留仁は登場人物が魅力的だったので最後まで退屈しないで観れた。
 それにしてもこういうレビューが書きにくい映画だ。
このコーナーはネタバレ有りなのだが、明らかにネタが分かっていては面白さが半減する映画には流石に・・・。
でも一言書きたい。
どうしても書きたい。
この映画はエイリアンVSプレデターだ(笑)。


17歳のカルテ

 1967年?主人公のスザンナは精神病院に入院することになり、退院するまでに色々なことがある。
以上(笑)。
 原作者本人の体験談を映像化したものなので、淡々と主人公の視点で出来事が描かれる。
観ている最中体験談だと知らなかったので、なんで時代が60年代に設定されているのかさっぱり分からなかった(笑)。
 なにしろ体験談なので実にリアル。
病院のセキュリティの甘さは信じられないが、あのぬるま湯のような雰囲気とか、いついちゃってる人達とか、全体的にそのまんまな感じ。
化夢宇留仁は高校の頃登校拒否が高じて病院に放り込まれたことがあるので、まさにそのまんまな雰囲気が懐かしかった(笑)。
ああいうところに入院している人は、みんな心の傷や弱い部分に押しつぶされそうになっている人ばかりなのである。
完全にいっちゃってる人以外は(笑)。
 ところでこの映画のアンジェリーナ・ジョリィは最高である。
どうしてこんないい役者が今はあんな事になっているのか理解に苦しむ(笑)。

・・・ところでスザンナを病院に連れて行った心理学者だが、もしかしてロボコップの殺人鬼なのでは?
今にも「にににににににに・・・」とか言って手を吹っ飛ばされそうで怖かったぞ(笑)。


リーグ・オブ・レジェンド
時空を超えた戦い

スティーブン・ノリントン監督
ショーン・コネリー、シェーン・ウエスト、トニー・カラン出演。

 1899年。
 イギリスとドイツが正体不明の組織の攻撃を受け、両国ならびに諸外国はお互いの不審を深め、今にも世界大戦が勃発しようとしていた。
大英帝国情報部のMに集められた「超人紳士同盟」は、世界大戦の危機を回避すべく行動に移る。

 集められた超人達は「キングソロモンの秘宝」のアラン・クォーターメイン(ショーン・コネリー)をはじめ、ネモ船長、ドリアン・グレイにジキル博士、吸血鬼に透明人間と豪華絢爛。
各自の能力やキャラクターはなかなかうまく描かれており、見飽きない。
ただしこういう見せ場を用意すべき登場人物が多い映画にありがちな、人物紹介で力つきるという傾向はこの映画にも少なからずある。
おかげで話がめまぐるしく、そしてアクションシーンが多すぎる結果になったのは残念である。
どうせならテレビシリーズで観たい題材だ。
 しかし駄作かというと、そうでもない。 観ている間に退屈してしまうようなことはないし、なかなか見所も多い。
化夢宇留仁の気に入ったのは、アランが目が悪くなったのを気にしながらもライフルの腕はおとろえていないところ、なぜか滅茶苦茶強いネモ船長、ドリアン・グレイの剣、女吸血鬼の能力解放、などなど・・・。
 気にくわないのは悪の親玉が実は×××××××なのに、彼が出てこないというところ。映画の意図からすれば仕方がないところでもあるが。
 あとトム・ソーヤもうろついているのだが、化夢宇留仁は最後までそうだと気付かなかった(笑)。


ヤングシャーロック
ピラミッドの謎

1985年アメリカ映画

 少年時代のワトソンがロンドンへ転校し、若き日のホームズと出会う。
その頃ロンドンでは原因不明の自殺が連続して発生していた・・・。

 地上波の日本語吹き替えで観たのだが、ヒロインのおじさんの声が宮崎駿ホームズのモリアーティ教授と同じ声で、やってることも似たような感じなので混乱する(笑)。
 丸眼鏡にマフラー姿の少年ワトソンは、今見るとハリー・ポッターとしか思えないのは面白い。
同じクリス・コロンバス脚本だし。
 少年時代ワトソンとホームズが出会っていたというのは明らかに「緋色の研究」の内容と食い違うので、ファンタジーととる以外ない。
ロンドンの地下に木造のピラミッドが作られていたり、羽ばたき飛行機で空を飛んだり、その他バカ映画としての条件はそろっているのだが、音楽は素晴らしいし、特撮も凝っていてそれなりに金がかかっているので中途半端な感じは否めない。
 特撮が凝っていると書いたが、その使われ方は実に無理矢理なもので、要するに全て幻覚のシーンなのである。
当時ハリウッドの大作映画と言えば必ず特撮という、今で言えばCGが同じような扱いの状況だったのでそうなったのだろう。
CGと言えば、この映画は史上初の実写に違和感無く合成されたCGが使われた作品でもある。
それは例によって幻覚でステンドグラスの騎士が抜け出して襲って来るというシーンで、これは今観ても素晴らしい出来で、当時そんな完成度のCGなど想像もしていなかった化夢宇留仁は大いに驚嘆したのを覚えている。
それにしてもどんな規模のコンピュータで作ったのだろうか・・・想像するだに恐ろしい(笑)。
 ホームズものとして推理するシーンは外せないが、この作品ではストーリーに関わるほどの扱いはされていない。
勿論そういうシチュエーションはたくさん出てきてホームズらしさをアピールはしてくれるのだが、結局アクションでけりが付いてしまうのはハリウッド映画の宿命だろう。そのアクションシーンもそれなりに出来がいいので余計に混乱する。
 ところで最後にワトソンがホームズになぜ事件の顛末が分かったのかを聞いて、「君はずっと寝てたのかい?」と言われていたが、化夢宇留仁も最後近くでなぜホームズが真犯人に気付いたのか分からなかった。
化夢宇留仁も寝てたのであろうか(汗)?
 更にこの映画のホームズは左利きだが、ホームズって左利きだっけ?
覚えがない(汗)。


スキャナーズ

 何年ぶりかで観た。
今まではテレビ放映版しか観たことがなかったので、ノーカット版は初めてである。

 怪しい浮浪者である主人公は、彼を侮辱したおばさんをにらんだだけで自己喪失状態に陥れる。
彼はスキャナーだったのだ。
謎の追っ手に捕まった彼は、その能力を抑える薬をもらい、スキャナーを次々に殺害している男の調査に向かうことになる。
そして多くの犠牲を払った調査の末、スキャナーの誕生の秘密が暴かれてゆく・・・。

 いや〜〜〜〜〜!素晴らしい!
化夢宇留仁の知る限り最もよく出来た映画の一つである。
SFであり、ホラーであり、ミステリーであり、スプラッターであり、ヒーロー物でもある本作は、完成度の点ではディヴィッド・クローネンバーグ監督の代表作だと言えるだろう。
普通これだけの要素を詰め込んだら破綻するのが当たり前だが、本作で見事にそれらを融合している様は、新しいジャンルを生み出したとさえ言えるのではなかろうか。
とにかく隙のない脚本と演出で、最初から最後まで満点の出来である。
逆にクローネンバーグファンからすれば、完成度が高すぎて面白味が無いともとれるかもしれないが、寒そ〜〜〜な画面や、電話回線を通じてのスキャン後の受話器からどくどくと黒い液体が流れ出るなど、この監督らしいところもちゃんと楽しめる。
 まさにドラマ至上主義で飾り気は無いが演出を盛り上げる音楽も素晴らしいし、スキャナーであるが故にアートで発狂をくい止めている男の作品はほんとに芸術作品として鑑賞できるレベルだしと、ほんとに隙がない。
観ずに死ねるか!という化夢宇留仁の超お勧めの1本である。
 ちなみにノーカット版とテレビ版の違いだが、主人公が調査に出る前の超能力訓練のシーンが削られている他は、多分細かいカットなのだろう、ほとんど気付かなかった。
つまりテレビ放映版でもこの作品の完成度は充分に保てていたということである。


バロン

 これも何年ぶりかで観た。
恐るべき大金をかけて製作された作品だが、内容は完全にB級。
しかしだからと言って駄目じゃない!サジタリウス。いや(汗)。

 トルコ軍に包囲された中世のドイツで、ほら吹き男爵の舞台をしているところに、本物のほら吹き男爵「バロン」と名乗る老人が乱入する。
キチガイ扱いされて追い出されそうになるのだが、老人の語り口調はあまりに魅力的で、いつしか人々は彼の話に引き込まれてゆく・・・。

 テリー・ギリアム監督の超大作だが、興行的には大失敗に終わった。
当然である。こんな内容をA.I.が面白いというような人々が理解できよう筈もない。
これでもギリアムにしてはすごく大衆向けに作っているのだが、やはり彼の濃さは一般客には理解できず、また大衆向けにしている分元々のファンには物足りない内容となってしまった。
しかし決して駄作ではない。
少なくとも監督が作ろうとした世界は完全に作られているし、見始めたら目をそらせない面白さも持っているのだ。
やはり早すぎた作品の一つなのだろう。
今作っていれば、CGの使用で制作費は1/3に抑えられただろうし、観客も凝ったストーリーのファンタジーにも慣れてきている。
もちろん大傑作という評価には届かなかっただろうが、少なくとも制作費を回収できる程度のヒット作にはなったはずである。
 それにしても本作の画面はすごい。
今ならCGとしか考えられない映像てんこ盛りで、特撮もすごければ武装象軍団など本物の象を使用しているなど、考えられない超スケールである。
 時代の狭間で咲いた大輪の徒花。それが本作である。
とりあえず化夢宇留仁は好きだ(笑)。

 どうでもいいけど、ユマ・サーマンのビーナスはず〜〜〜っと乳首半出しで、また当時のサーマンは可愛くって、もう釘付けである(笑)。


機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

 久しぶりに観たが、観るごとに唖然とさせられる。
思い起こせば、最初は映画館に観に行ったのだった・・・。
 細かいところから言えば、セリフがひどすぎる。
「私、シャア・アズナブルは、」「妹のアルテイシアを」などなど、数え上げればキリがないのだが、いわゆる説明的なセリフをまったく遠慮なく連発していて、気味が悪い。
しかもそこまでしているのにストーリーが分かりづらいのだ(汗)。
 演出もひどすぎる。
クエスがファンネルを初めて操るシーン。
敵をイメージしろと言われて、目をつぶるのはいいのだが、結局画面上では光が瞬くだけで、「これか!」とか言ってファンネルを自由に操り出す。
映像作品というのは、そのイメージしている映像を描き出せるから映像にしているのではないのか?
またギュネイがファンネルで多数のミサイルの中から核ミサイルだけを狙撃するシーンでは、セリフで「ファンネル達・・・一番熱量の高いミサイルを狙うんだ・・・」などと言わせてしまっている。
技術的にファンネルが熱量を観測できるのかという問題も大きいが、サイコミュという一種のテレパシーで操る兵器の描写になっていないのが一番の問題である。
これではバビル二世の三つの僕と同じである。
 他にも問題点山積みで、脚本、演出ともプロの作品とは到底思えない。
しかしそれより大きな致命的な問題があるのだ。
地球に張りついて思い上がっている人類を粛正し、地球の生命や自然へ休息を与えるという名目で・・・・・・
なんで地球全土を放射能で汚染して、しかも核の冬を発生させるということに繋がるかな!?
そうなのである。本作ではシャアが気が狂っているとしか思えないのだ。
作品中では思い上がった人類への警鐘を表すセリフは繰り返し出てくるが、その時点で地球に生息している人類以外の生物に関する言及は一切無いのである。
これでは思い上がっているのはシャアの方だとしか思えない。
 この点は実はシャアはララァを殺したアムロに復讐したいのと、忌まわしい思い出の詰まったアクシズを抹消したいという描写もあってそれがフォローにはなっているのだが、このフォローはシャアが気が狂っているという仮説の裏書きにしかならない。
そう考えるとシャアについてネオジオンを構成している人々も、半分狂った狂信者の集団としか思えなくなってくる。
対するアムロの方はまだまともなのだが、逆にまともすぎてキャラクターが消滅しかかっている(汗)。
 ネオジオンが狂信者の集団と書いたが、地球連邦もひどいものである。
ついさっきフィフス・ルナという隕石を地球に落とされたばかりなのに、更にでっかい隕石であるアクシズをネオジオンに売却してしまうのだ。
なんぼなんでもあり得ないでしょう。

 ドラマが佳境に入ると正常に思えるキャラクターはどんどん死んでゆき、残るは発狂しているキャラクターばかりになってゆく。
アムロがガンダムから降りて、地球に落下しつつあるアクシズの破壊工作に移ったのを見たシャアのセリフはこうである。
「アムロめ。ガンダムを捨ててでもアクシズの地球落下を防ぐつもりか!?」
アクシズが地球に落下したら、核の冬が訪れて地球上のほとんどの生命は死滅するのである。なぜそれがガンダムなどという単なる1つの兵器との天秤に計られるのだろうか。
明らかにキチガイのセリフである。
 ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアは、なんとなく惚れてしまった狂った女の子から彼を守ろうとしたチェーンというまともな神経をもった女性を、味方であるにも関わらず激高して殺している。
勿論彼もキチガイである。
 アクシズがとうとう地球へ落下を始めると、アムロは「νガンダムは伊達じゃない!」と言って、それをモビルスーツ1機で押し戻そうとする。
勿論気が狂っている。
・・・・・・
 要するに監督が気が狂っているのである。
そうとしか考えられない。
私が監督で、同じストーリーを作るなら、政治家に転身したシャアがスペースノイドの支持を得るが、地球連邦の裏工作で失脚させられ、ブチ切れて今回の作戦を決行するという流れにするな。
 ところで本作はキチガイばかりだと書いたが、この世界のキチガイとしては定番の強化人間も登場する。
ところが彼ギュネイ・ガスは最も常識的で、若者らしい好青年に描かれている。
これはいったいどういうことなのだ(汗)?
なにが言いたかったのだ???
少なくともこの時代には精神の安定した強化人間を作る技術があったことは分かるな(笑)。

 けなしてばかりでもなんなので、誉めるところも書いておこう。
この映画の戦闘シーンはある面では素晴らしい。
ある面というのは、設定を生かしたリアルな描写という面である。
これはイズブチのデザインとその設定を生かした結果だと思うのだが、量産型の機体も特注の機体も、それぞれのもてる能力をぞんぶんに生かして戦っており、モビルスーツ好きにはこたえられない素晴らしさである。
惜しむらくは最初のガンダムのように、設定とドラマと演出が三位一体となったカタルシスを産むまでには至っていないというところだが、その前の作品が全てボロボロだったZZだと思えば随分頑張ったと言えるだろう。
 上と重なるが、νガンダムの鬼神のような強さもよかった。
シャア以外の敵は子供扱いで(ほんとに子供なのだが)、シャアとの戦いも結局圧倒してしまう。
強い上にアムロの感情描写がほとんど無いので、まさに戦闘マシーンという感じになってしまっているが、楽しめたのは楽しめた。

 それにしてもこんな作品でシャアとアムロが死んでしまったのは返す返すも残念である。
こんなことならZガンダムで死んでほしかった(笑)。


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