小人たちが騒ぐので
川原泉/白泉社平成10年12月22日初版/667円

 月刊PUTAOに連載された川原教授のヘロヘロエッセイコミック+アルファ。
基本的には編集者とのやりとりや、ほとんど意味不明なうわごとのような内容(笑)で構成されている。
途中からはコンピュータRPG風パロディも同時連載が始まるが、内容は大して変わらない(笑)。
そんな内容なのに(笑)なんとなく面白いのは、やはり川原教授の人柄と変に深い知識によるものだろう。
 また当時教授がはまっていたらしいアンジェリークの紹介&感想や、めしを食べ歩いたり古本屋を回ったりした記録マンガ(?)もはさまっており、巻末には「ロレンツォのカエル」という佳作ファンタジー短編も。

 まあ内容を深く楽しむと言うよりも、著者の脳味噌をちょっとだけ覗き見する。そんな見方が正しい本だと思う。
化夢宇留仁は基本的に川原教授は好きなので、それはそれで満足している(笑)。

20060425


 


変身忍者 嵐
 全2巻
石ノ森章太郎/大都社1997年12月5日初版/840円

 ハヤテの父親は化身忍法を完成させたが、術を記した巻物を血車党に奪われて殺された。
ハヤテは血車党への復讐を誓い、自ら変身忍者嵐となって血車党の化身忍者を倒してゆく・・・。

 到底子供向き変身ヒーロー漫画とは思えない渋い内容。
敵の化身忍者一人一人にも背負ったものがあり、それを苦悩しながらも非情に徹して切り捨ててゆくハヤテ。
ほんとに昔の漫画は内容が深かった。
また石ノ森独特の画作りが渋すぎで、特に俯瞰で観せる人気のない町の様子や、闇夜の霧にけぶる山中の屋敷の画など、かっこよすぎる。
嵐のデザインもあくまで着ぐるみを意識したものなのに、実に渋くかっこいいのは流石。
ラストがこれまた救いのないオチがつき、やりきれない思いを抱かせる。
まさに石ノ森本領発揮の傑作である。
ちなみに子供向きな展開を見せた続編も存在するらしいが、この全2巻ではオリジナルの内容のみとなっている。

20060426


 


忍法十番勝負

横山光輝他九名共著/秋田書店昭和41年10月5日初版/380円

 大阪城の秘密の抜け穴を記した絵図面を巡り、伊賀甲賀、賞金稼ぎ、風来坊などの忍者が死力を尽くして戦う。
絵図面は様々な忍者の手を経て、日本中を流れてゆく・・・。

 作家10人による連作という珍しい企画もので、しかも参加している作家が超一流ばかりなのがすごい。
参加しているのは堀江卓、藤子不二雄(A)、松本あきら(松本零士)、古城武司、桑田次郎、一峰大二、白戸三平、小沢さとる、石森章太郎、横山光輝という今では考えられない豪華さ。
 化夢宇留仁のお気に入りは藤子不二雄(A)の話で、相変わらずコントラストの強い画に渋い演出で楽しませてくれる。

 この本は人気も高かったようで、化夢宇留仁の持っているものが昭和55年11月の版で、44版(汗)!
古本屋でもよく見かける比較的手に入りやすい作品だと言える。

20060426


 


賽の目繁盛記
 全3巻
Dr.モロー&スタジオ寿/ホビージャパン1992年12月21日初版/951円

 コミックマスターに連載された、ファンタジーテーブルトークRPGのリプレイコミック。
内容は3部に別れており登場人物が異なるが、それぞれが関わりを持っており、他の部にまたがって登場しているキャラクターもいる。
 基本的には見ての通りのギャグ漫画なのだが、結構骨太のストーリーがあり、キャラクターも魅力的で、しっかり読ませる。
実は数あるリプレイコミックの中で一番よくできていると思う。化夢宇留仁の知る限りでは。
そう思うとどちらかと言えば下手な絵も魅力的に見えてくるから不思議である。
まあ下手と言ってもあくまで絵としてであり、漫画としての説得力や分かりやすさは見事なものなのだが。
リプレイから想像するに、作者のRPGのシナリオ作りやマスタリングも大した腕前である。
 残念なのはコミックマスターの廃刊にともない、連載も休止してしまったことで、3巻のラストでも完結していない。
その後なんとかならなかったのかと調べてみたら、続編が同人誌で発売され、1〜3巻も加筆されてリニューアル版が出て、同人誌の内容をまとめて収録した商業誌も発売されていた。
やはりこれだけ質が高いと、休止状態のままではファンが黙っていないのだろう。

 ちなみに1巻と2巻の巻末には、RPGマガジンに連載されていた「RPG一代男」という1ページ漫画がまとめて収録されている。
ファンタジーRPGから出た漫画家が4コマや短編ギャグを描くと酷いことになるケースが多いが、この作者の場合これまた毎回面白いのだから大したものである。

20060428


 


空想科学新聞マンスリー・プラネット

横山えいじ/早川書房昭和62年10月31日初版/980円

 SFマガジンに連載されたほのぼのSFギャグ。
どことも知れない星にあるマンスリー・プラネット社では、編集長、記者のマリ子、助手のロボット、ススム君が、日夜新聞の製作にいそしんでいたが、なにしろ月刊新聞と言うこともあって全然売れなかった・・・と、いうようなストーリーじみたものはほとんど無い不条理ギャグである(笑)。
特徴はそこら中に散りばめられたSFパロディで、パロディと言ってもこの作者のこと、実に上品にまとめられている。
その分パンチに欠けるとも言えるかも知れないが、この著者独特のデザインセンスにあふれた画と見事にマッチしているので文句を付けるところではない。
 要するに気楽にアハハと読むのが適した本である(笑)。

20060428


 


宇宙大雑貨

横山えいじ/早川書房1990年5月31日初版/951円

 ハイパーゾーンなどに掲載されていたほのぼのSFギャグ。
SFや特撮のパロディを散りばめた短編集で、その中にSFマガジンに連載された1ページギャグ「宇宙大雑貨」もまとめて掲載されている。
「宇宙大雑貨」はどことも知れない星にある24時間営業の雑貨屋が舞台で・・・って、またまともに紹介しても仕方のない不条理ギャグである。

 「マンスリー・プラネット」と比べると関わりのない短編が多いが、結局は同じような内容で、同じように楽しめる。
マンネリも魅力の一つになっているのは、この著者が大家といことなのかも知れないと、半分マジで思う(笑)。

20060428


 


おとなのしくみ
 全4巻
鈴木みそ/アスキーコミックス1997年11月3日初版/950円

 ファミ通に連載されていた、主にゲーム業界を独自の視点で取り上げたエッセイ(?)フルカラーコミック。
 第1回は数年ぶりに日本に帰ってきた著者が、ゲーム業界の様変わりに驚くのだが、それを今読むとまた年月のギャップが感じ取れて面白い。ちなみに当時はプレステやサターンがしのぎを削っていた頃で、バーチャルボーイは出た直後なのに見限られているのも笑える。
ちなみに4巻の最後の方ではニンテンドー・ゲームキューブも発売されている。

 基本的にこの著者の視点は好感が持てるので、全体的に楽しめる。
いわゆる業界を覗き見する楽しみも勿論だが、続けて読むとゲーム業界の移り変わりと共に、著者も成長したり年老いたりしていて、それを読んでいるこっちも同様なのだと思い知らされるのが変に面白い。
また未来の予想を何度も立てているのだが、見事に当たっているのが多いのも注目に値すると思う。
少なくともその辺の占い師よりも信用がおける(笑)。

20060501


 


愛してるかいSF

新井素子、大和眞也、夢枕獏、菊池秀行、矢野徹、
柴野拓美、大原まり子、難波弘之、神林長平、DAICON FILM
みき書房昭和60年5月16日初版/960円

 対談と講演の内容を記録したもの。
最初は新井素子と大和眞也の対談から始まるのだが、これがもうぬいぐるみはしゃべるは、子供の腹はさけるは、バイクに乗れないはで(???)、もう何がなにやら分からず、本をたたきつけて出刃包丁持って2人を殺しに行きたくなる。
このノリだけはほんとに我慢がならん(笑)。
 次は矢野徹と柴野拓美の対談で、日本のSFファンジン創世記のことを話している。
矢野徹の体験談は流石に面白い。
 次は夢枕獏と菊池秀行の対談。
想像通りの内容(笑)。獏がキマイラシリーズで、主人公が銃火に晒されないように苦労しているのが面白かった。
人工衛星が許せないというのは納得。
 次は大原まり子と難波弘之の対談で、2人とも作家でありミュージシャンでもあるので、音楽の話がメイン。
まだシーケンサーとコンピュータを繋げるのが珍しかったころで、何千万もするシーケンサーに平野文の声をサンプリングしているマニアの話が笑える。
 その次がダイコンフィルムの制作裏話。
当時「八岐大蛇の逆襲」の制作中で、その前のダイコンのオープニングアニメや、「愛國戦隊大日本」や「ウルトラマン」「怪傑のーてんき」の話。まさに大阪ノリばりばりで、面白い。
 そして神林長平の講演。
講演と言ってもネタをなにも考えておらず、いつもネタを考えるのに苦労しているという話をしている(笑)。
 最後に座談会があるが、これといって大したことは話していない。
それを言ったらこの本全部がそうなのだが(汗)。

 とりあえず内容と呼べるのは矢野徹と柴野拓美のところくらいで、他はうわごとのような話ばかりである。
化夢宇留仁は古本で400円で買ったらしいが、こりゃ100円でも高いかも(笑)。

20060507


 


人造人間キカイダー
 全6巻
石(ノ)森章太郎/秋田書店昭和47年12月25日初版

 光明寺博士に作られたロボット・ジローは、初の「良心回路」が取り付けられていたがそれは不完全だった。
そこにプロフェッサー・ギルが博士のこれまでに作った13体のロボットを奪い、更にキカイダーの良心回路を破壊しようと襲いかかる。
ジローは博士の娘ミツコに言われるまま両肩のスイッチを押し、戦闘ロボット「キカイダー」となって戦うが・・・。

 などと説明する必要も無いような名作。
ジローの自分が機械であり、しかも機械として不完全であるが故に人間に近いというジレンマに悩み、ミツコやサブロー(ハカイダー)と関わりながら自分のアイデンティティを探し求める展開はしびれるものがある。
また敵としてジローの前に立ちふさがるダークロボット達は、機械として完全であるが故に命令には絶対服従するが、それぞれに個性はあり、キカイダーに対して発する疑問がこれまたもの悲しく、面白い。
そしてプロフェッサー・ギルの率いる組織「ダーク」の企みも渋い。
大規模な都市開発計画のある土地を手に入れて大儲け・・・て、悪徳政治家か(笑)。
 ただ時代が時代でもあり、子供雑誌への掲載、テレビとの連動、長い連載などの要素が絡まって、展開が実に変化に富み、破綻しかかっているとも思える箇所も。
逆にこんな条件の元で描かれた割にはまとまっているとも思うのだが。

 1〜2巻までは主にジローの苦悩とダークロボットとの戦いが描かれるが、2巻では番外編っぽいジローがニューヨークで恐竜ロボットの大群と遭遇する話も。
 3巻ではついにハカイダーが登場。
光明寺博士の脳を組み込まれたハカイダーは、ジローの弟サブローという個性も持ち合わせ、超音波口笛でキカイダーを操る。
実にかっこよく強力無比な敵キャラクターだが、このハカイダーの登場シーンは意外に短い。博士の脳の影響を受け、キカイダーに協力してプロフェッサー・ギルの部下達に殺されてしまうのだ。
恐らくテレビ放映のテンポに合わせるために仕方がなかったのだろうが、これ以来ハカイダーは出てきてもサブローでないのが残念でならない。
 4巻では早速ハカイダー4人衆が登場。ハカイダーの脳はプロフェッサー・ギルのもので、彼の脳が身体を完全に支配している。要するにサイボーグとなり、サブローの個性は消えてしまったのだ。
 更にこの巻でキカイダー01が登場。
キカイダーのプロトタイプなわけだが、もちろん良心回路は装備されておらず、思考が単純な乱暴者という風に描かれている。
良心回路が無いロボットは人の命令で動く筈だが、この場合命令者は光明寺博士、または01が隠されていた寺の和尚に設定されていて、彼らの命令が無いので適当に動いていたということか(笑)?
 そして新たな敵の存在も。彼らは「シャドウ」。プロフェッサー・ギルが率いる「ダーク」が開発したらしい最終兵器を奪うために参戦してきたのだ。
 5巻ではハカイダーが一緒にシャドウを倒そうと01をだまし、仲間に。
更にハカイダー(ギル)の子供や乳母ロボットなども絡み、ジローの作ったキカイダー00も合流。
物語は混沌の度を高めてゆく。
 6巻ではシャドウの作った美女ロボット・ビジンダーが登場。
彼女とハカイダーとキカイダー達の三つ巴のだまし合いが繰り広げられ、その内01はクルクルパーにされるは、ビジンダーはジローに惚れるはで収拾がつかなくなってくる(笑)。
 そして衝撃のラスト。
いきなり1巻の冒頭に戻ったかのような衝撃的な終幕は、それまでの彼らの生き生きとした感情も、単なる電気信号だったと言わんばかりで、なんとも言えないはかなさを感じさせる。
無理矢理終わらせた感もなきにしもあらずだが、石森章太郎ならではの読後感でもある。

 5巻の巻末には「サイボーグ009」の番外編が、6巻の終わりには独立した短編「胎児の世紀」が収録されている。
009の方は少し荒唐無稽で鉄腕アトムみたいな感じだが、「胎児の世紀」の方はなかなか読ませる佳作である。

20060508


 


BLACK KNIGHT バット

寺沢武一/集英社1986年年4月15日初版/580円

 地球(?)で17歳になったバット・デュランは、古城の中庭にある古井戸の中へ。
その先は彼女の生まれ故郷レインボーリアに繋がっていた。
彼女はレインボーリアの星船(スターシップ)の王女、ブラックナイトとなる運命なのだ・・・。

 「コブラ」の寺沢武一がファンタジー・お色気コメディに挑んだ作品。
舞台となるレインボーリアはほとんど発狂した世界で、一番近いのは「不思議の国のアリス」の世界だろう。
ギャグ満載・・・にしたいのかどうかはよく分からないが、コメディタッチなのは間違いない。
しかし著者のもう一つ悪ノリしきれない絵柄と演出が、イマイチ笑いにつながらない。
それはそれで味っぽくもあるが(笑)。
また青年向け雑誌に連載していたおかげか、乳首解禁(笑)で張り切って描いているのだが、相変わらず女性は美しいがもう一つエロくない。
多分著者もこれは不思議に思っているのではないか(笑)。
 雰囲気的にはほとんど「バーバレラ」で、そういうつもりで読んでいれば結構楽しめる佳作だが、この1冊で終わってしまっているのは、キャラクターに深みが無いのが原因だと思う。
だいたいこの著者の作品はどれもそうなのだが、生活感を出すのを嫌うので仕方のないところか。

 でも結構気に入っている(笑)。

20060509


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