スターシップ・トゥルーパーズ
STARSHIP TROOPERS
監督ポール・バーボーベン/原作ロバート・A・ハインライン


化夢宇留仁は基本的にけちである。特にビデオなどはほとんどダビングですませてしまう。
ただし例外がある。
「資料用に」という考えが浮かぶと、途端に財布のひもが緩くなってしまうのだ。
最近は久しぶりに頭がSFTRPG、TRAVELLERな化夢宇留仁は、SF映画は全部資料に見えてしまう。
スターシップ・トゥルーパーズのビデオが安く売っているのを見て、思わず買ってしまったのはそういう訳である。

内容に入る前におことわりしておく。
化夢宇留仁はこの映画の原作「宇宙の戦士」(早川文庫SF)を読んだ。ただし中学生の頃に。(15年以上前・・・)
したがってほとんど覚えがない。
印象に残っていたのは厳しい訓練シーンくらいで、他はゼロに等しい。
訓練シーンの印象の強さは、キューブリックのフルメタル・ジャケットを初めて観たときに「宇宙の戦士」のようだと思ったくらいである。
というわけで以降の文面には間違いや、いい加減な記述が発生するやも知れないが、ご了承いただきたい。

この映画の印象を一言で表すと、「アメリカ人的お祭り騒ぎ」だろうか。
原作にあった(と思う)シリアスな雰囲気は消え失せ、全編ブラック・ユーモアとバイオレンスで埋め尽くされている。
ガンダムの元ネタになったという装甲服はなくなり(予算の関係らしい)、兵士たちは弱体化。逆にどちらかというと丸っこく鈍い印象だった(と思う)アラクニド(敵の昆虫型生物)は全身これ刃物というシャープなデザインで、かつ素早くなって強くなった。
結果兵士たちは片っ端から引き裂かれ、串刺しになってゆく。

ロボコップの時からそうだったが、バーボーベンはとにかく人の身体を破壊するのが好きらしい。内容との整合性もあまり考えているようには思えない。
ただしスターシップ・トゥルーパーズに関しては、これでもかと死んでゆく兵士たちのカットが妙なテンポのようなものを生んで、悪くなかったと思う。

ストーリーはだいたい原作に近い筈なのだが、全然別物に感じる。
化夢宇留仁の記憶が定かではないのも原因だが、原作では遠未来であまり人種を感じさせなかったのが、映画のノリはヤンキー丸出しだったのが大きい。
まぁでもこれはどうでもいいな。
何かこの映画にストーリー云々いっても空しいような気がする。

一番のポイントはやはり特殊効果&CGによる画面の面白さだろうが、はっきり言ってメインになる地上戦の画面はダメダメ。
特撮の技術は確かにすごい。もうどうやって作った画面かとか考える気にもならないレベルなのだが、もっとも基本的な画面レイアウトがなってない。
ほとんど岩ばかりの風景になるのは設定上仕方がないとしても、アングルやカット割りでもっとおもしろい画面に出来たはずである。
唯一よかったのは爆薬による巣穴の爆破カットくらいか。
ロボコップの時はそこそこいい画面を作っていたことを考えると、兵士や昆虫が大量に出てきているのが原因の一つと考えられる。
モブシーンをおもしろく撮るのは難しい。同じようにモブシーンで失敗している映画は思いつくだけでもきりがないほどある。
しかしそれだけに成功するととてつもなく面白い画面ができあがるのだ。
次回作に期待・・・かな?
特撮シーンで対称的によかったのが宇宙船の画面。
特に戦闘艦の発進するところなどは係留チューブの描写もかっこよく、素晴らしかった。
この映画、地上と宇宙で特撮監督が違う。
どうやら軍配は圧倒的に宇宙を担当したスコット・E・アンダーソンに上がったようだ。(ちなみに地上はジュラシック・パークの、フィル・ティペット。やはりスピルバーグの力が大きかったのか。)

映画は軍のCMに始まり、同じくCMで終わる。
このCMのシーンはバーボーベンのセンスが光ってて、楽しい。
特に最後は爆笑してしまった。
あれがあって結構許せる映画になっていると思う。ハインラインは墓から跳び起きて怒り狂いそうだが・・・。
面白いからOK。

1999.5.24

パッケージについて
 掲載画像は化夢宇留仁の所有する字幕スーパー版ビデオソフトのもの。
基本的にはポスターのデザインそのままなのだが、ビデオなので縦長になり、上部にトルーパー達の画像が合成されている。
はっきり言ってこの合成は邪魔だが、おそらくそのままビデオジャケットにしたのでは上が寂しかったのだろう。
 元々のポスターデザインの方は、「宇宙の戦士」のポスターとしては方向性が異なるが、この映画のポスターとしては内容を端的に表していて(笑)いい出来だと思う。
しかし本編にはもっと色々アピールできる内容があるのだし、化夢宇留仁は商業的にはイマイチなデザインだと思うのだが、どうだろうか?

2006.7.8追記



SF ゾーン・トゥルーパーズ
ZONE TROOPERS
監督ダニー・ビルソン 1984年アメリカ


スターシップ・トゥルーパーズを見てなにか頭に引っかかった。うーん・・・と考えて、ハタと思いだしたのがこの映画。
そういえば中古ビデオを買ってそのままになっていた。

舞台は第2時大戦下のイタリア。前線に取り残された米兵達がドイツSSがなにかを調査しているところに行き当たる。
見つけたのが不時着した宇宙船。
ナイスガイぞろいの米兵は宇宙人と協力し・・・うーむ。
チープここにあり!という感じ。しかし化夢宇留仁はこういうチープな映画が好きなのだった。

冒頭部分のヨーロッパの片田舎での小競り合いは画面的にもいい感じに撮れている。ちょっと期待させるが、チープなメイクの宇宙人が出てきていい感じは吹っ飛ぶ。その後はもうヒーローっぽい米兵と、意味不明な宇宙人との交流(?)、そしていかにも悪そうなドイツ軍との戦い(お約束でちゃんとヒトラーも登場)と、ステロな展開に突入してゆく。

なにかこうストーリーが進むにつれて自主制作映画のような雰囲気が色濃くなってゆき、ちょっと悪夢のような気がしないでもない。
主人公だと思っていたやつはいきなり死んでしまうし、通信兵には極秘任務をおっていると匂わせるだけ匂わせてそのまま。最後に奇跡のように生き残っていた隊長・・・らしき人は逆光のままで顔を見せないなど。意図しているのかいい加減なのかよく分からない演出(?)てんこ盛り。

特撮は語らない方がいいレベル。ただし不時着した宇宙船はそこそこ巨大なセットを組んでおり、結構見応えがあった。デザインはサンダーバードみたいだが。
デザインに関しては全編わざと昔のアメージングマガジンを意識してチープにしてあるのだが、ちゃちな造形と相まって意図通りに伝わりづらいのが残念なところ。

宇宙人はパッケージの毛むくじゃらの奴と、青白いクールな顔の男タイプが出てくる。
後者は最近のカード会社のCMに出てくる宇宙人とそっくり。これも昔の雑誌を意識していると思うのだが、CMの印象が強すぎて、今にも金を借りてゆきそうでまともに見れなかった。

うーん。どうも見た時期も悪かったようだ。それともよかったのか。
化夢宇留仁はこの手の、大戦中に兵士が妙なものに遭遇するというストーリーが結構好きで、他にも何本か似たような展開の映画を見た。その中では金はかかってないけど妙に印象に残る1本だった。
とりあえず酒を飲みつつ、笑いながら見るのにはいい映画。

パッケージについて
 上記のある通り、毛むくじゃらの宇宙人ががんばっている。
それにしてももうちょっとやりようはなかったのだろうか。このパッケージで本編を観てみたいと思う人は・・・それなりにいるか(笑)。しかし一般的には魅力の無いパッケージなのは確かである。
例えば劇中の不時着した宇宙船のシーンとか、それなりにかっこいい見せ場もあったと言うのに。
当時はレンタルビデオがドバーッと出ていた頃で、適当な商品も多かった。
本作もその一つなのだろうが、意外にがんばっているところもある分、少しもったいないような気もするな。

2006.7.10追記


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