若き女船長カイの挑戦
『栄光への飛翔』

小説/エリザベス ムーン
早川文庫2005・08・31初版発行/980円

入手方法/まだ店頭にあるはず


 士官学校を追放された大商船会社の令嬢カイはポンコツ商船の船長を任されるが……。


おもしろさ 5

 一人称で語りすすめるヒロイン・カイがいとおしくて一緒になって応援したくなります。


トラベラー度 5  そのままシナリオに出来ます。
 

レフリー度
 世   界 4  トラベラーとのちがいといえば超高速通信はあるくらいです
 ストーリー 5  商人がどうやって稼ぐか、という点にこだわっています。
 フレーバー 3  特筆すべき小道具は脳に直接情報を入力するインプラントと、ピストル型のボウガンくらいです

お気楽度 4  内容はラクなんだけど700pもある

投稿者/べっきぃさん




パンと魚

小説/ジョージ・R・R・マーティン
短編集本のタイトル/タフの方舟1
早川書房2005年4月30日初版発行/882円

入手方法/現在、書店にあります。


  前回の冒険で環境エンジニアリング船『胚種船』を入手したタフは、高テクノロジー星系に補修を目的に寄港した。しかし、この惑星は超人口過密状態で、他星系への侵略を起こした歴史を持っていた。
 そして、この星の政治の首脳部は『胚種船』の軍事力に着目し、なんとか入手しようと暗躍する。その全権を任された宇宙港長はタフとの交渉を開始した。


おもしろさ 5

 熟女の宇宙港長とタフの駆け引きが面白い。
 また、超人口世界の食糧問題を解決するためにタフが作り出した様々な食物が楽しい。


トラベラー度 5  
 

レフリー度
 世   界 5  アンバーゾーン『フードランナー』の参考になる。また、軌道宇宙港の描写も良い。
 ストーリー 5  
 フレーバー 4  万頃穀や雪小麦などのSF作物が参考になる。

お気楽度 5  

投稿者/masakiさん

※20070311
化夢宇留仁も読みました。masakiさんと同じ感想。
宇宙港長と猫の関係も面白かったです。




デュマレスト・サーガ7
科学惑星テクノス

小説/E・C・タブ/酒井昭伸訳
創元推理文庫1983年2月4日初版発行

入手方法/古書店など。


 デュマレスト・サーガ第7作。
 友人の死に際の伝言を伝えるため、彼の故郷である惑星ロームへ向かうデュマレスト。そこは農耕惑星で、住んでいる人達も素直で平和な惑星だったが、トゲカズラという頑強な植物のために窮地に陥っていた。またそれに乗じてテクノスという惑星から若い男女を差し出すように脅迫まがいの要請を受け、断り切れずにそれを受け入れている世界でもあった。
デュマレストはテクノスに送られてしまったレイン・デルメイヤーの完全記憶能力に望みを託し、テクノスに潜入するが・・・。


おもしろさ 4

 デュマレストシリーズには珍しく文明化された都市での冒険を描いており、スパイ物のような展開が繰り広げられるのが興味深い。


トラベラー度 4  世界によって様々な政治形態があるのがTRAVELLERっぽい。
 

レフリー度
 世   界 4  農業惑星ロームも面白いが、なにより学歴社会を突き詰めたテクノス社会が面白い。
 ストーリー 4  友人の死に際の言葉が発端というのは使えそうだ。
 フレーバー 4  強靱な植物による農耕社会への侵略というアイデアは素晴らしい。

お気楽度 4  当シリーズにしては登場人物も少なく、読みやすい。

投稿者/化夢宇留仁 2005.10.3




デュマレスト・サーガ8
植民惑星ドラデア

小説/E・C・タブ/沢万里子訳
創元推理文庫1983年2月25日初版発行

入手方法/古書店など。


 デュマレスト・サーガ第8作。
 デュマレストが手がかりを元に聖地教徒がいるらしい惑星にたどり着いた。
しかし一歩遅く、聖地教徒の町があったらしい場所は核爆発によって破壊されていた。
どうやら聖地教徒を邪魔に思う者がいるらしい。
 暗殺者に狙われたデュマレストは、用意された道程から脱出し、今度は惑星ドラデアにたどり着く。
そこの闘技場で雄姿を見せたデュマレストに、ある貴族がヴェルキアという女性を保護して欲しいと依頼してきた。
ヴェルキアは先日無くなった王の相続候補の一人だった・・・。


おもしろさ 5

 後半の古代宇宙船を探す冒険が始まるとヒートアップ。
とうとうデュマレストが15の分子の配列を生かすときが来る。
終わり方も最高。


トラベラー度 4  
 

レフリー度
 世   界 4  田舎惑星のお家騒動。
 ストーリー 5  実にTRAVELLERらしいストーリー。
 フレーバー 4  宇宙船発見への道のりや、海中での冒険など。
全長200mのイカというのも凄まじい。

お気楽度 4  

投稿者/化夢宇留仁 2005.10.7




デュマレスト・サーガ9
幻影惑星トーマイル

小説/E・C・タブ/鎌田三平訳
創元推理文庫1983年3月31日初版発行

入手方法/古書店など。


 デュマレスト・サーガ第9作。
 デュマレストは小型の船に乗客として乗り込んでいた。乗客は他にも歌姫、ディレッタント、堅物、仲介人、技師兄弟、金持ちの若い女とそのボディーガード、賭博師がいた。
和やかな雰囲気の船旅だったが、船倉で凶暴な生物が檻から脱走し、事態は急展開を見せる・・・。


おもしろさ 4

 前半の雰囲気のある船旅の描写と、魅力あるキャラクター達、それに彼らが遭遇する苦難は実に楽しい。
しかし後半が少々だれる。


トラベラー度 4  宇宙船の乗客としての旅。
 

レフリー度
 世   界 3  今回は宇宙船内と非常に変わった惑星しかまともに出てこない。
ジェンカの歌姫の設定は面白い。
 ストーリー 4

 そのままシナリオに出来る内容だが、トーマイルの設定はそのままでは利用しにくいかもしれない。

 フレーバー 4  特等チケットでの船旅の描写。あと原始的な武器の描写で参考になるところも。

お気楽度 3  登場人物は最初から多いが、だんだん減ってゆく(笑)。

投稿者/化夢宇留仁 2005.10.8




デュマレスト・サーガ10
誘拐惑星オウレル

小説/E・C・タブ/大西憲訳
創元推理文庫1983年4月29日初版発行

入手方法/古書店など。


 デュマレスト・サーガ第10作。
 デュマレストは惑星オウレルのサルゴーンの街の曲がりくねった道で、少年とその父親らしき人物が、3人の男に襲われそうになっているところに出くわす。
彼らを助け出したが負傷したデュマレストは、少年ジョンデルの家である農場にやっかいになることに。
しかし数日後、正体不明の鎧を着た集団が村を襲い、ジョンデルは誘拐されてしまった・・・。


おもしろさ 3

 少年を助け出すために男達を雇うときのデュマレストが実に頭がいい。
それ以外にも、基本的に主人公の頭がいいとストレスがたまらなくていい。
しかし鎧の描写と言い、彼らの国であるメレヴガンの描写と言い、興味深くはあるが少々ついていけないところも・・・。
 それにしても「誘拐惑星」というのはどうかと思う(笑)。


トラベラー度 3  まあこういう展開もありそうだ。
 

レフリー度
 世   界 4  泥棒達の作った国サルゴーン、古き血筋の末裔ヘゲルト、狂える国家メレヴガンなどどれも興味深く、それ以外にも多数の種族の国に別れているオウレルという惑星自体もなかなか面白い。
 ストーリー 4

 すんなりシナリオ化できる。問題は少年との友情(?)の部分くらいか。

 フレーバー 3  重量オーバーのラフトの飛行、ラフト同士の空中戦など。
情報屋も兼ねているずるがしこい宝石商もいい感じ。

お気楽度 3  メレヴガンの描写はくらくらする(笑)。

投稿者/化夢宇留仁 2005.10.10




デュマレスト・サーガ11
流血惑星チャード

小説/E・C・タブ/酒井昭伸訳
創元推理文庫1983年5月27日初版発行

入手方法/古書店など。


 デュマレスト・サーガ第11作。
 策略にはまって戦争状態の惑星で行方不明になった人物を探すことになるデュマレストだが、軍事国家から来た専門家ということにされてしまい、現地の軍を率いて謎の襲撃部隊の正体を探ることに・・・。


おもしろさ 5

 デュマレスト傭兵編(笑)。
戦争物としては地味な内容だが、相変わらずデュマレストが頭がいいので爽快感がある。
狂った雇い人の一族も面白い。


トラベラー度 4  勿論傭兵部隊の参考に。
 

レフリー度
 世   界 4  傭兵の活躍する舞台としては申し分のない設定。
あまり高度な武器や装備は出てこないが。
 ストーリー 5

 そのままシナリオ化できるだろう。

 フレーバー 3  謎の襲撃に見舞われた村の様子や、小規模軍隊の用兵など。

お気楽度 4  舞台が特徴的で読みやすい。

投稿者/化夢宇留仁 2005.10.12




若き女船長カイの挑戦 『復讐への航路』

小説/エリザベス・ムーン
早川文庫2005年11月15日初版発行/1000円

入手方法/まだ店頭にあるはず


カイの実家が何者かに襲撃される!情報隔離の状況に置かれながらもカイは一族の建て直しを誓うが彼女の周辺にも刺客の魔手が……。


おもしろさ 4

カイの健気な孤軍奮闘振りは1巻よりあいかわらず。ただし前巻よりむしろ設定が未消化な印象あり


トラベラー度 5 今回「帝国海軍」に当たる機関がないことが判明。恒星間通信システムの破壊による情報の混乱や、各惑星政府が私掠船免状を発行している点、傭兵の戦闘艦に船団護衛を依頼する点などむしろ「メガトラ」的世界かも
 

レフリー度
 世   界 4 冒頭の入港地なんて治安レベルの高い星に来てしまった、という印象。ただ、ラストのラストになって世界設定を壊しかねない超法規アイテムが登場するのが今後気がかり
 ストーリー 5

まさにハードタイムズの商船。

 フレーバー 3 今回の小道具としては「防御兵器」として機雷が登場。ただし正式な使い方をされなかったので参考にならないかも。

お気楽度 3 630pはやはり分厚い。それに一巻を読んでなきゃ分からないので前巻より1下げました

投稿者/べっきぃさん




ファイサル王子の指輪  (原題 Prins Faisals Ring ) 

小説(児童文学)/Bjarne Reuter 著 木村由利子訳
WAVE出版 2005年(原書 2000年 デンマーク)/1995円

入手方法/大書店
かなりマイナー


 1639年、カリブ海のネヴィス島。母と姉とともに宿屋で住み込みで働く少年トム・コリンズ(14歳)は、遭難したポルトガル船の噂を聞き、家族を貧しさから救おうと、海に出て金目の漂流物を探していた。しかし、拾ったのは船員のラモンと奴隷の少年が一人ずつ。その奴隷少年は実はベルデ岬諸島の王子で、連れて帰れば礼金たんまりとラモンが言うので、トムは、島を出る手立てを見つける間、ラモンと奴隷の世話するのだが、ある日、ラモンは奴隷の少年を連れてトンヅラ。
姉にからかわれ、怒りの追跡を開始するトム。そして、海賊の町、ジャマイカのポート・ロイヤルに渡ったトムは、持ち前の口の上手さで世を渡り、サメ漁師、鍛冶屋の助手、子持ちの少女に失恋、イギリス人の農場の奴隷監督、殺人と逃亡、スペインのガレオン船の乗組員等、数奇な運命をたどります。
冒険の果てにトムが見出すものは、いったいなんなのでしょうか?


おもしろさ 5

 なかなか面白いです。魔女、異端審問、奴隷制度、海賊、品の無い会話、暴力的な登場人物など、おおよそ汚い内容なのですが、ほんの腰帯にもあるように、何故か明るい感じがします。
 主人公トム・ファレル、貧しい生い立ちにしてはかなり有能です。天性の話し上手で、英語とスペイン語が話せて、読み書きも出来る。ボート漕ぎが上手く、自己流ながら航海術にも長けていて、おまけにナイフの達人でもある。ただ、人が良すぎるので時々コロッとだまされるのが子供らしい。また、トムとは父違いで、互いに屈折した兄弟愛を抱いている美人の姉、フィオドラは、出番は少ないながら、トムに輪をかけてスゴイ人です。トラベラーの18歳キャラではとても真似できないでしょう。
 ただ、カリブ海地域の歴史マニアという、マニアの中でも希少種に属する僕から言わせれば、背景世界に間違いが多いです。1639年にはポート・ロイヤルという街は無いし、しかもジャマイカはスペイン領で、イギリス人の農場なんてあるはず無いし、しかも当時の海賊の根拠地は、ジャマイカじゃなくてトルチュガ島だっつーの。
でも、ある種ファンタジーだからまあ良いのでしょう。


トラベラー度 1  17世紀のカリブ海。
 

レフリー度
 世   界 5  辺境の植民世界とすれば良いでしょう。
 ストーリー 5

 見ず知らずの惑星に渡った無一文の冒険者、という感じです。

 フレーバー 0  

お気楽度 5  児童文学ですので読み易いです。

投稿者/松永さん


NEXT