The List of Auxiliaries
in the Traveller space
トラベラー宇宙の
補助艦艇一覧
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Science -Fiction Adventure
in the Far Future


 

 

 

 

 

 







 
0.はじめに


 そもそもの始まりは、掲示板において大臣様が、以下のことを書きこまれたことだったと思います。

 で、このジャンプ能力のある戦闘艦艇ですが、単体では、自国の領地内、しかも十分に整備された支援設備、 例えば港湾や修理設備や修理に供される補給品等を利用出来る範囲内でしか稼働できない、という脆弱さを持ちます。
 つまり、戦闘艦艇のみの編成では、沿岸海軍としての性格であって、その主たる任務は領土防衛にのみ(!)利用出来る戦力と言えます。

 ですが、ここに、補助艦艇、つまり外洋で補給できる輸送艦や補給艦、長距離の連絡網を構築できる艦隊用連絡艦艇、 それに戦略的に稼働できる偵察艦艇なども含めて、装備できれば、これは外洋海軍という、侵攻作戦に運用可能な戦力になります。
 で、重要な点は、前述の沿岸海軍としての戦闘艦艇に単純に補助艦艇を付けてやれば、即座に外洋海軍となる、という訳ではありません。
 その海軍の装備だけでなく、作戦立案や索敵なども含めた戦略的な考え方が育たなければ、 外洋海軍としては全く使い物にならない、と言えるでしょう。


 上記の書き込みは過去ログの[100]番、 [1522] 海軍としての建軍思想について 投稿日:2016/10/29(Sat) 12:23 の中に有りますので、興味のある方は御確認下さい。



 その後、具体的な「補助艦艇(Auxiliaries)」に関しての書き込みをして頂けましたので、 大臣様の許可を頂いて、その内容を投稿記事の形で纏めました。
 内容は、2016/11/22(Tue) 20:35〜20:49に書き込まれた、 [35] 補助艦艇についての御案内 その1〜[38] 補助艦艇についての御案内 その4、 をほぼそのまま転載したものとなっています。



 以下、大臣様の書き込みを転載しました。

 恒星間国家同士の戦争で用いられる海軍には戦闘力を投入する艦艇ばかりでは戦争を遂行することはできません。
 その支援として、各種の支援補助艦艇が必要になります。

 各種支援艦艇とは何か、というイメージが付き難い各位の一助になるかと考え、以下の如く簡略に纏めてみました。
 トラベラーでの支援艦艇の設計及び建造運用について、御参考になれば幸いです。



 ということ(?)で、今回は「補助艦艇」について。
 といっても、雑役艦艇としてのワークホース的な何でも屋さんから専門職の艦艇まで、色々とあります。
 ここでは、「専門職な艦艇」を御紹介と致しましょう。
 ハウスな部分は、ハウスと書いておきますし、基本は近代海軍つまり日露戦争から現代に至る程度までを参考です。




 目次
    ※1.油槽艦・タンカー・給油艦
    ※2.観測艦・調査船
    ※3.測量艦
    ※4.補修艦・工作艦
    ※5.通報艦・センシングピケット艦
    ※6.病院船
    ※7.連絡艦・艦隊連絡艦
    ※8.情報収集艦
    ※9.練習艦
    ※10.外洋曳航船
    ※11.哨戒艦・警備艦
    ※12.強行偵察艦・偵察艦
    ※13.救難艦
    ※14.駆逐艦母艦
    ※15.機雷敷設艦と掃海艦艇
       (1)機雷敷設艦
       (2)掃海艦・掃海艇
    ※16.輸送艦
       (1)高速輸送艦
       (2)高速戦闘支援艦
       (3)貨物弾薬補給艦
       (4)戦闘給糧艦
       (5)給糧艦
       (6)給兵艦
       (7)宿泊艦
       (8)洋上艦隊給油艦
       (9)高速車両貨物輸送船・車両貨物輸送艦
       (10)軍隊輸送艦
       (11)攻撃輸送艦
       (12)攻撃貨物輸送艦
       (13)揚陸艦・強襲揚陸艦
    ※17.その他の艦種
    ※18.終りに





1.油槽艦・タンカー・給油艦


 海洋では言わずと知れた、艦船燃料に対する給油に要する艦です。
 米軍の艦種コードは「AO」です。

 トラベラーでは比較的簡単に燃料補給できますし、精製も装置さえ装備されていればどんな艦艇も可能です。
 ですが、ガスジャイアントが存在しないとか海洋供給が難しい(成分上とか大気圏内に降下できないとか)で燃料補給できない星系もありますので、 そういう時に活躍するでしょうね。
 
 ハウスですが、単純に貨物船の船倉を燃料供給タンクにしたケースもありますが、 それとは別に、戦闘艦隊に随伴して、艦隊に洋上(?)補給できる型を「艦隊給油艦」といい、 例えば敵性星系で、まだガスジャイアントの奪取などができない状態で艦隊に星系離脱用のジャンプ用の燃料を補給するなんていう状況もあります。
 
 これ以外にも燃料補給のあれこれは海軍では大きな課題になりますので、各海軍に合致した解答を持つべきでしょう。





2.観測艦・調査船


 海洋では、「主に観測・収集するデータとしては、海底地形・底質や潮流・海流、地磁気、水質(水温・塩分など)、 海底地形や海流は潜水艦の航行や機雷の設置が可能箇所の判別に必要なものであり、 水質はソナー探知と密接な影響がある音響伝播の状況を調べるために必要なものである」ので、 平時に綿密な観測をしてデータを得ている必要があるので、そのデータを収集する艦艇です。
 
 トラベラーでも例えば、戦場域になり得る星系の恒星のフレア爆発周期や惑星や小惑星や彗星の動きなどを綿密に調査する、 というケースは発生すると思います。
 ハウスでは小型艦艇から数千排水素トン程度の艦艇でこの観測専門艦艇を使用しておりました。
 ここで得られたデータは海軍の平素の作戦立案にも活用できるようにフィードバックされることになるでしょうね。





3.測量艦


 米海軍の艦種コードは「AGS」です。
 工事や作戦などを含めた活動の為の資料収集を目的にして測量・測地を行なう艦艇です。
 トラベラーだと恐らく、帝国なら偵察局の職域でしょうけど、別途に独自に海軍が保有していてもおかしくないですね。
 ハウスでは先の観測艦・調査艦と似た運用になる可能性もあり、この区分けは曖昧ですが、 前述の様に偵察局用はあくまでも一般航路整備用で、海軍用は作戦立案に対する測量用ですので、微妙に用途が違います。
 
 ちなみに近代史的には、他国の測量艦が沿岸に接近したことを理由に軍事的衝突に発展しかけたことが何回かあります。
 で、どれも同じ国の測量艦ですね。どちらかと言えば、「戦争しかけるぞ」という恫喝に使っていたのかも。





4.補修艦・工作艦


 海洋では、まさに移動工廠、旋盤や溶接機、クレーンなどの各種工作機械を装備し、艦船の補修・整備などを行う為の艦艇です。
 中国では3Dスキャナーを活用して応急修理に成功なんて記事が出たことがありますが、それもこの工作艦の活躍です。
 交換部品が潤沢にあれば良いのですが、そうそう都合よくも行かずに、現地入手とか現地制作で間に合わせる、という状態ですね。
 トラベラーだと例えば、TL15の部品がないばかりに、ある兵装システムが動かない、なんてケースですね。





5.通報艦・センシングピケット艦


 単艦の電子戦能力の限界を幾つかの艦艇でネットワークにして、その範囲を広げる為に艦隊に随伴して使われる場合と、 植民地の巡洋艦の先遣として、航路の安全を確認する場合があります。

 トラベラーでは恐らく、艦隊随伴型は一般的なのではないかとハウス的には考えております。
 電子装備と通信装備を充実させて、敵艦艇を発見して味方戦闘艦隊にいち早く警報を出す役割です。

 近代史的には有名なのは日露戦日本海海戦(1905年5月)の仮装巡洋艦「信濃丸」でしょうか。「敵艦見ユ」の電文は御存知の方もおいででしょう。
 あれがもし誤報であったら。あの大勝利はまずあり得ません。
 ちなみにこの戦闘で既に通信妨害をロシア軍は日本に試みております。今の電子戦の奔りですね。





6.病院船


 現在の場合には専用の病院船を有している国はあまりありません。
 なにせ、大病院並みの医師を含む医療従事者と高度な医療設備、入院施設や集中治療室などを船に乗っけている時点で 「一般治療患者」を受け入れられる設備ではなく、平素は「遊休装備」になってしまい、あまりに勿体ないから、ですね。
 最近の傾向では、揚陸艦や大型補給艦にその設備を装備させ、要員は作戦の際に本土から輸送させて来る、という運用です。
 この方式で東日本大震災に多くの活躍があったのは記憶に新しいかと存じます。
 
 トラベラーでは、恐らく辺境の医療未達星系を定期的に巡回するという運用が可能な様子ですね。これは別の方のアイデアです。
 船の大きさなどを調整すれば、結構有用なのではないかと感心致しました。
 ハウス的には、数千排水素トン級から何十万排水素トン級の病院船を使用、大規模な侵攻作戦に随伴させて、 降下作戦の後の海兵隊員の傷病兵の治療に従事なんてことで結構使い手があると存じます。





7.連絡艦・艦隊連絡艦


 現在ではこの手のメッセージ艦艇は通信の発達で存在しません。
 が、トラベラーではジャンプ速度で通信速度が制限されますので、この高ジャンプ性能の連絡艦の運用は実に海軍を運用する根幹になると思います。

 ハウスでは、数百排水素トン級を大量建造し、艦隊や星系に可能な限り配置し、各戦力の高密度な情報連結は必須と考えております。
 できればその運用最高のジャンプ能力を有させ、大きな通信能力を有することが望ましく、単独行動も可能な装備が望ましいのではないでしょうか。
 悩ましいのは、もしこの連絡艦が事故や戦闘で「交戦相手の手中に落ちた」場合です。 無事に情報を消去して復旧できなければ良いのですが、もし有している連絡内容を知られると、 敵にこちらの情報はどれだけ判っているか、あるいは判っていないか、そして、どうやって情報を得ているか、 も判明してしまう恐れがあります。
 ということで、その運用は充分に注意が払われるべきでしょう。





8.情報収集艦


 電子偵察つまり敵の国や艦艇や航空機の発する電波(通信や信号や索敵レーダ波や管制用レーダ波など)を分析する艦艇です。
 つまり諜報的には、シギントやエリントやコミントが相当しますね。
 海洋ではトロール漁船とか民間貨物船や商船に偽装してたりします。
 最近では電子装備をあからさまにした専用の「情報収集艦」が流行ですね。
 中国が尖閣諸島に差し向けて来る「813型電子情報偵察船」はこの艦種の最先端です。
 つまり、海上自衛隊や海上保安庁の艦艇や航空機の通信などのデータ採取をわざわざ領海に接近することで得ているのですね。
 米軍が演習などすると近くに貨物船がいたり漁船がいたりしますが、まああれも同じ様なモノ。

 トラベラーとしても、この情報収集艦は活躍する余地があると思います。
 ハウスとしては、平時に敵国内の星系に民間船に偽装した型と、軍隊の艦艇として、友好寄港を名目とした諜報活動があると思います。
 まあ他にも手はありますが、ここでは敢えて伏せて置きましょうか。





9.練習艦


 これは古くから運用させていますよね。
 海軍だけでなく沿岸警備隊や保安庁などの警察組織でも使用される艦種です。
 運用としては、士官幹部に対する訓練航海とくに外洋遠征航海を主眼にし、その運行練度を高める任務になります。
 組織によってもまちまちで、大抵は古くなった戦闘艦の武装を外したり減少させて使用するケースがありますが、 場合によっては、最新鋭の専用練習艦を準備する贅沢な国も存在します。

 トラベラーでも恐らく士官教育の実地訓練という形が採用されていると思いますので、運用されていると思いますよ。
 士官学校の最後の仕上げとかな感じですね。





10.外洋曳航船


 いわゆる外洋で使用できる能力を有しているタグボートです。
 あまり数はありませんが、あると重宝する種類の艦種ですね。 馬力があって大型艦の停泊や作業などを助ける役割もあったり、動力のない艀を何隻も繋げて引っ張ったりする荷役専用船です。

 トラベラーでも例えば宇宙海軍にあるジャンプ船がこれに近い運用になるでしょうか。
 ハウスでも小型の馬力持ちのブースターを装備させた船や各種のジャンプ船を運用して、真空暴露可能な荷ならばこちらで運用とかな感じです。





11.哨戒艦・警備艦


 航路の安全を確保し、航路上の犯罪行為を取り締まる艦種です。
 外洋航行能力の高い種類もあれば、より小型で沿岸で使用する前提の艦もあり、その用途によって異なります。
 原則的に固定武装を装備していますが、その武装種類はまちまちですね。
 より大型化してヘリなどの航空機運用が可能な艦もあり、並のコルベット以上の哨戒艦・警備艦なんていうのもあります。
 車両で言うならパトカーに相当ですが、このケースなら、重装甲車をツートンに塗った感じですよね。

 トラベラーでも御馴染のT型哨戒艦に代表される艦種です。
 恐らくジャンプ性能が違うとか武装種類が違うなどで設計思想が分かれると思います。
 ハウス的には、要するに海賊の戦闘力に負けない武装と性能があれば良いと考えております。
 そして、コスト的に使用する国家組織である程度の数が揃えられることが前提ですね。
 一説には洋上運用する予定数の3倍は準備したいとか。洋上運用艦と整備中と運用艦に不都合が発生した時の予備です。
 これは多くの軍艦でも同じでして、例えば潜水艦や空母を1隻所有しているのでは軍事的に意味がありません。 整備中になるかも知れないからですね。





12.強行偵察艦・偵察艦


 今の海上での海軍ではWW1時代に廃れた艦種です。

 ですがトラベラーでは戦闘艦隊の行動を支援する、先行して敵勢力圏にジャンプし、敵情を偵察するという非常に重要な種類だと思います。
 敵が何が何隻なんていう情報も必要になりますが、その星系に敵戦力の存在の有無が判明するだけでも重要な情報ですので、 この艦種を上手に使いこなせるかが恒星間戦争では大きなカギになるでしょうね。
 ハウスでは、加速性能を重視した艦、ジャンプ性能を重視した艦、電子偵察を重視した艦、生残性を上げる為に重装甲化した艦など色々と考えてみました。 これも恒星間国家が戦争するには数が必要な艦種でしょうね。





13.救難艦


 外洋の潜水艦に対する艦種です。
 もし潜水艦の事故があっても、この艦種があれば深海からのレスキューができる、というのは潜水艦乗員にとっては頼もしい存在でしょう。
 この艦種がないのに潜水艦を運用している国もあるにはありますが。

 トラベラー的には、全ての船舶に対し、救難活動が可能な艦種という位置付けで運用する感じでしょうか。
 ハウス的には、ある程度の大きさがないと大型艦船の遭難に対応できませんし、運用コストが割高ですね。悩ましい処です。





14.駆逐艦母艦


 駆逐艦や潜水艦など、居住性が低い艦種をわざわざ母港に引き返させることなく、 小型艦艇に対する消耗品などの補給や駆逐艦乗員の休息設備を提供する艦種です。
 現在では艦船の大型化と居住性の向上や娯楽提供の多様化で既に時代の向こう側になってしまった廃れた艦種です。

 が、トラベラーでは恐らく使い勝手がある艦種だと思います。
 ハウス的にはそれこそ何か月にも渡って母港に戻らない辺境の哨戒任務とかがある場合には、 この手の大型な艦艇で小型戦闘艦の休息をさせることは結果的に戦力を前線に長い時間配備することが可能になると思います。
 Xボート網のXT型連絡艦なども複数のXボート乗員の休息と補給に使っていましたよね。あんな感じです。
 できれば広めの専用休憩室や各種のリフレッシュ設備などを設けてあげたいところですよね。
 色々とアイデアはあると存じます。その辺りは設計者の知恵と所属国家の懐具合でしょう。





15.機雷敷設艦と掃海艦艇


 今回のお題は、「掃海・機雷戦」です。
 実は日本はこの第一人者と言って良く、 古くは薩英戦争(文久3年=1863年)で薩摩藩が3発の機雷を5隻の英艦に使用した実績があります。失敗しましたが。
 日露戦争でも旅順閉塞作戦やウラジオストック閉鎖で積極的に活用しています。

 機雷戦には大きく分けて、機雷敷設戦と対機雷戦があります。
 つまり、どうやって自軍の機雷を設置して運用するか、と、敵軍機雷をどうやって除去無力化するか、です。
 という訳で、以下の2種類になります。




(1)機雷敷設艦

 自軍の機雷を敷設する専用艦種です。
 小型の場合もあれば、駆逐艦を改造して使う場合もあり、その大きさはまちまちです。
 今は航空機や別の例えば掃海母艦がその任務を担っており、 敷設戦用艦を今なお運用しているのは、韓国、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなど少数派です。
 ということは。
 この国々は「いざとなったら機雷を積極的に敷設しちゃうよ」と宣言しているのですね。

 敷設には2種類あって、電纜敷設と急設網があります。
 電纜敷設は、固定ソナー局及びそれに付随する通信ケーブルの敷設や基地間の専用通信ケーブルの敷設に使用されます。
 船の後部甲板に大きなケーブルドラムを設置して、航行しつつ設置する方法ですね。
 機雷なら、このケーブルに機雷が複数個、結び付いている状態です。
 急設網は、自軍勢力圏内にある港湾、海峡及び水道等へ防潜網や捕獲網を敷設するための艦種です。 つまり海中に網を設置する型です。
 機雷であれば、複数個の機雷を養殖魚みたいに水中網で囲って流出しない様にする方式ですね。
 敵艦艇はこの水中網の上を通り抜けて機雷原に侵入するという仕組みです。

 トラベラー的には、同様に専門艦種を設定するか、改造船を使用するかが考えられると思います。
 一番簡単なのは、民間船を利用して外洋投棄する方法でしょうね。




(2)掃海艦・掃海艇

 敵軍敷設の機雷を除去する専用艦種です。
 装備は、機雷探知機たるアクティブソナーと掃海具、 つまり設置されている機雷を機械的に破壊するか電気的に作用して信管を反応させるかなど方法は数種類あります。
 それ以外にも掃討具という、水圧機雷専用の掃海装備もあり、つまりは海面に出ない型の機雷を遠隔操作で破壊するという方法です。
 船体にも注意が施されていて、今はFRP主体ですが、つい最近(2010年建造)まで木製を使用されておりました。
 近年の機雷は多様化していて、ホーミング式の小型誘導魚雷を収容したカプセルを機雷として敷設する型もあったり、 深深度(水深2千m)で敷設され探知すると上昇してくる型があったりして、それらの高性能機雷に対応する技術を求められます。

 トラベラー的には、機雷という設定が公的ルールにはないので、想定はハウスになってしまうでしょうね。
 で、ハウス的には、機雷は爆発物(着発半径設定)で考えたとして、 直接火力投射で機雷自体を攻撃する型とロボットなどで爆発処分する型を考えました。
 電気的に無力化(非反応化)させるのは難しそうです。





16.輸送艦


 改めて。今回は輸送船です。
 と一括りに言っても、単なる貨物船だろうと仰る向きもおいでかと思いますが、実はそんなことは全くありません。
 ですので、以下の如く纏めてみました。




(1)高速輸送艦

 米軍の艦種コードは「APD」、強迫性パーソナリティ障害の略称ではありません。
 駆逐艦を改造した、海兵隊の侵攻部隊や、水中爆破チーム、陸軍のレンジャー部隊などの小規模特殊部隊を 敵の支配する海岸に上陸させることが任務です。
 必要なら砲撃も可能で、乗客や郵便物を乗せて前線と後方を往復することにより連絡と輸送の任務や掃海任務にも投入されます。
 
 トラベラーとしても駆逐艦を改造した同様艦種で小部隊の特殊工作部隊を潜入させるなんて使い方はありそうですよね。




(2)高速戦闘支援艦

 米軍の艦種コードは「AOE」、エイジオブエンパイアの略称と思った方はゲームのやり過ぎです。
 戦闘艦並の高速発揮と外洋航行能力を有し、大型のデリッククレーンと最新鋭ならヘリ運用も可能です。
 他にも後述される洋上艦隊給油艦と同様に洋上給油・補給能力を有している場合も多くあります。
 主な輸送品目は燃料と冷蔵食料と弾薬類などで、つまりは戦線で使用される消耗品を必要な場所に配達する任務です。
 SDFの「とわだ型」とか「ましゅう型」はこの艦種ですね。

 トラベラーでも、専用の高速型輸送船として設計投入できると思います。
 状況に多様性があるので、ぜひとも汎用性の高い小艇を内装したい処ですね。
 艦隊随伴を考慮した設計が前提です。




(3)貨物弾薬補給艦

 米軍の艦種コードは「AKE」、綴りをもう一度見直した方は某アイドルグループに毒されています。
 弾薬や食糧、予備部品、日用品などドライカーゴ全般を運搬、補給する艦種です。
 前線部隊の兵達の下着やお楽しみはこの艦種が運んでくれます。

 トラベラーではたぶん標準的広汎的に運用されていることだと思います。一般的な輸送艦というのはこの艦種でしょう。
 ハウス的には、低加速でなるべく大きな貨物区画を有していると考えています。
 大気圏突入能力の要不要は議論が別れる処でしょうか。




(4)戦闘給糧艦

 米軍の艦種コードは「AFS」。
 食糧と日用品や各種消耗品、艦艇や航空機の予備部品など、武器弾薬類を除いたドライカーゴ全般を運搬、補給を担っています。
 先の貨物弾薬補給艦の弾薬抜き、消耗品増し、食糧増しっていう感じでしょうか。

 トラベラー的には、同じく広汎的に使用される艦種でしょうし、弾薬を輸送しない分、温度管理や資材の固定などに手間が掛りません。
 という訳で、ハウス的には、AKE型よりも運用要員数が少なく配置で運用できるという側面があります。



(5)給糧艦

 米軍の艦種コードは「AF」。
 主に冷凍・冷蔵品を中心とする食糧を運搬、補給を任務としています。
 判り易く言えば、食糧品専門輸送艦です。
 艦隊勤務でもドライフードな戦闘糧食では飽きてしまいますから、新鮮な肉や野菜を大量に輸送してくれるアリガタイ存在です。

 トラベラー的にも長距離遠征の戦闘艦隊より遅れて到着する補給艦でしょうか。
 ハウスとしても与圧された大型の輸送区画を有したり、色々と工夫が必要でしょう。




(6)給兵艦

 米軍の艦種コードは「AE」。
 主に武器弾薬類を運搬、補給します。これは実は難しい運搬で、つまりは爆発物運搬専門艦です。
 海洋にある弾薬庫ですね。

 トラベラー的にも防爆区画を設けたり、細かく区画分けされていると思われます。
 ハウス的には、静電気防止装置とか設けて他の輸送艦種よりも運用要員を増やしてみたり、神経を使う艦種としています。




(7)宿泊艦

 米軍の艦種コードは「APL」、プログラミング言語だと思った方は御尊敬申し上げます。
 現地で使える半恒久的な兵舎として転用される客船とかの場合もあります。
 米軍では余剰軍艦を兵装を外して使用しているものが多く、宿泊だけでなく、研修施設や講堂などを設けたり、 武装を残した例もあり、教育訓練用に使用されたりします。

 捕虜収容所代わりに運用されたり、刑務所に使われる場合もあり、この場合は「監獄船」となります。
 宇宙海軍のキャンペーン「キンニール」に登場したガッシュ(旧名ゲーシュ)はこのケースですね。
 通常は航行能力すら不要で、港に接岸した段階で主機関を取り外されてしまうケースが多いのも特徴でしょうか。

 トラベラー的にはまさにガッシュですね。
 ハウス的には大型の古くなった客船を流用したりして。




(8)洋上艦隊給油艦

 米軍の艦種コードは「AOR」。
 まさに外洋海軍にとってはこの艦種があるかないかがその区分けに相当します。外洋海軍になるなら必須です。
 洋上を航行しながら友軍艦艇に給油装置で繋いで給油している様子はたまにニュースでやっていますが、ああいうことができるのがこの艦種です。
 いわば洋上のガソリンスタンドです。

 トラベラー的には、高速戦闘支援艦に準じた装備になるかと思います。
 ハウスとしては、大型化して精製装置を高性能な短時間精製できる能力とかを想定しております。




(9)高速車両貨物輸送船・車両貨物輸送艦

 どちらも米軍艦種コードでは「AKR」。
 大型のRO-RO船で、民間コンテナ船を改装し運用です。
 能力的には、戦車を含む車両を1000両以上、同時に輸送できる仕様を有しています。
 感じとしては、超大型カーフェリー(客室無し)です。
 ランプウェーを有している場合が多く、荷役作業が容易であるのが特徴でしょう。
 高速型は戦闘艦隊に随伴可能な性能で、通常型は低速度という感じです。

 トラベラー的には、同じ様に大型民間貨物船を改装して運用でしょうか。
 ハウスとしては、できれば大気圏内稼働可能な仕様であるとか、車両用の発進チューブで円滑な荷役ができる様な仕様が望ましいと考えております。




(10)軍隊輸送艦

 単純に、兵士の輸送に用いるための船です。
 乗船した部隊を直接に海岸へ上陸させることはできず、埠頭に係留したり、連絡艇や艀を用いて乗り降りを行う方式で、 客船などでは戦時に転用されること前提の民間船もあります。
 フォークランド紛争時には英国は客船「QE2」を軍隊輸送船として徴用していたり、今もある状況です。
 つまり、民間の客船や貨客船を軍隊で徴用して運用する場合にこういう呼称になります。
 
 トラベラーでも、同じ様に民間船の徴用があれば、この種別になるでしょう。




(11)攻撃輸送艦

 米軍の艦種コードは「LPA」。
 これは輸送艦というか、いわゆる「揚陸艦」です。
 デリッククレーンを複数装備し、上陸舟艇を多数内装して上陸作戦に従事します。
 現在は専門の強襲上陸艦に交替しており、米海軍では存在しません。

 トラベラー的には、輸送艦改造型で上陸作戦に使用される型として存在すると思います。
 ハウス的には、重装甲の大気圏行動能力を有する「強襲揚陸艦」よりも、 安価で装甲度も民間並み、大気圏運用できない型で内装した兵員輸送艇での上陸作戦に使用される、という感じです。
 ただし兵員輸送艇用の発進チューブを装備するか分散型での設計仕様です。




(12)攻撃貨物輸送艦

 米軍の艦種コードは「LKA」。
 先の攻撃輸送艦と似て非なる任務で、あちらは兵員輸送ですが、こっちは物資の輸送・揚陸が主任務です。
 同じ様にデリックを複数装備し、上陸舟艇を内装して上陸作戦に従事するのも同じです。ただ輸送している中身が違うだけです。
 こちらも強襲揚陸艦に交替して今は現役でない艦種です。

 トラベラー的には攻撃輸送艦と同じでしょう。




(13)揚陸艦・強襲揚陸艦

 蛇足的になりますが。
 米軍の艦種コードは、ヘリ搭載型は「LPH」、ウェルドックを有しているのは「LHA」、大型化して万能装備なのが「LHD」とかあります。
 揚陸艦のうち輸送ヘリコプター及びエア・クッション型揚陸艇を始めとした各種上陸用舟艇を搭載・運用する能力を持つ艦のことです。
 色々と試行錯誤を経た後に発達した艦種と言えますが、まだ発展途上なのかも知れません。

 トラベラー的にも敵支配勢力星系に上陸強襲部隊を送り込む任務の艦種という位置付けになるかと存じます。
 ハウス的には、大型で大気圏行動能力を有し、戦闘車両の高速展開できるだけの発進チューブを装備し、 重装甲で高加速艦で、できれば重火力艦であるのが望ましい、回避性能たる移動力も欲しい処です。贅沢仕様ですね。





17.その他の艦種


 それ以外に海洋特有の艦艇としては、以下の種類があります。
 トラベラーには使えないかも。



 クレーン船、大型の起重機を装備した専用船。
 沈没船のサルベージや大型の橋梁建設に使用される。

 音響測定艦、米軍では海洋監視艦と呼称し、長大な聴音システムを海底に配置し潜水艦を探知する任務に使用される。

 衛星追跡艦、大型レーダーを搭載し、弾道弾や衛星打上の軌道を正確に測定する任務に使用される。
 弾道弾運用では弾着観測にも使用される。

 石油配給艦、洋上の給油任務艦種に石油を供給する任務に使用される。

 航空燃料支援艦、空母向けなどで航空燃料専用に供給する任務に使用される。





18.終りに


 以上、駆け足ですが、補助支援艦艇の概略を申し上げました。
 この全ての艦種が絶対に必要な訳ではなく、その国の状況に合わせた調達が重要だと思います。
 また、1艦あれば良いのではなく、複数を準備して乗員を訓練して、初めて戦争に使用できる戦力になり得るということが基本です。
 ですので、単純にあればいい、という訳ではないのが「最低限な考え方」です。

 それと読んでわかると思いますが、艦種の区分けは厳密ではありません。
 例えば某連邦の「木馬」の様に、どう見ても強襲揚陸艦ですが、元の区分は輸送艦だったり。
 つまり、平時ですので平和利用で軍事目的ではありませんよ、ということです。
 こういう手口は平時ではごく普通にありますよね。
 古くは水タンクとして戦車を量産したり(英)、トラクター工場で戦車作ったり(露)、旅客機として爆撃機を作ってたり(独)。
 ああ某公国だと作業用工事機械が機動兵器だったり。
 あるいは逆にそうでもない装備なのにスゴイ戦力だと宣伝する「張子の虎」もありです。
 西の某大陸国とか某半島国に思い当たるモノありますよね。うわあ某ばかり。

 まあ軍艦というのはそういうもので、「空母」であっても、「重航空巡洋艦」として建造されたりします。
 決まりがある訳ではないので、ある国が手漕ぎボートを「戦艦」と言い張ってもイイのです。
 重装備の戦闘艦を「練習艦」とか「輸送艦」と言ってもゼンゼン全く問題なしです。まあ近隣の軍事的緊張度は違いますけど。






 2017.06.11 初投稿