タイプ: |
BW110型バトルライダー TL15 MCr8158.88(同型艦割引MCr6527.1) |
船体: |
8100/20250 排水素=9000 形状:1/流線形 装甲=52G
基本重量=95240.71t 全備重量=100618.58t |
パワ−: |
1508/2011 核融合=271368Mw 航続=12日(待機状態=346日) |
移動: |
310/413 核融合ロケット=5.598G 航続=12日(最大加速)
地表=40kph 最高=1000kph 巡航=750kph 移動力:0 |
通信: |
電波式=星系内×3 レ−ザ−式=星系内×3 メ−ザ−式=星系内×3
中間子式=星系内×3 電波妨害機=星系内×3 |
探知機: |
質量探知=1km×3 能動ESM=遠軌道×3 中性微子=10km×3 受動ESM=遠恒星間×3 ESM妨害器=遠軌道×3
能動物体探知=並 能動物体追跡=並 受動質量探知=並
受動エネルギ−追跡=並 受動物体追跡=並 受動エネルギ−探知=易 |
攻撃: |
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粒子加速砲=P0X
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ミサイル=0A0
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Pレーザー=X03
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砲塔群 |
1
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4
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25
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射撃可能 |
1
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4
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25
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防御: |
防御DM+9 装甲DM+4 核中和装置=7 中間子スクリ−ン=7 |
管制: |
コンピュ−タ=9/ファイバ−×3
パネル=ホログラム型(リンク)×593
追加=大型ホロディスプレイ×5
環境=基本環境 基本生命 高度生命 重力プレ−ト 重力補正器
エアロック×40 |
居住区: |
乗組員=175(艦橋12 エンジニア12 維持4 砲術117 指揮24 接客5 医師1)
小型専用室×180 |
その他: |
船倉=26.82057Q 燃料タンク=43536.67kl 燃料スクープ
弾薬庫(核)=28000発(70rd) 燃料精製装置(168時間)
目標サイズ=中 視認レベル=中 |
備考: |
電子回路防御。 |
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1、建造の背景
第五次辺境戦争の直前、モーラ国防省は、星系海軍の保有するSDBの更新計画を策定していた。モーラ海軍はデネブ海軍の指導によって保有していた多数のSDBをイフェイトに売却しており、代艦の建造を必要とした。ゾダーン国境から遠いモーラ星系では、市民の危機感が薄く軍備よりも財政再建を優先し、モーラ星系議会はSDBの新造を承認しなかった。デネブ海軍艦政本部が発表した建艦計画によって状況は一変した。艦政本部は大型惑星防衛艦とバトルライダーを統合し、複数の星系海軍との間で共同開発をぶち上げたのである。デネブ海軍は、戦時徴用が条件であったが、大型惑星防衛艦の建造コストの20%補助を約束していた。
造船業界の必死のロビー活動によってモーラ議会も特別予算を組み大型SDBの共同開発参加を承認した。計画が実現すれば星系海軍と帝国海軍向けに大型惑星防衛艦が量産されるのである。国内に有力な造船メーカーを多数抱えるモーラ星系では、国内産業のためにも計画に参加する以外に選択肢は無かった。
2、デネブ海軍の思惑
当時、帝国とゾダーン連盟の緊張は高まりつつあった。双方共に軍備の拡張に余念が無くデネブ海軍は、軍備の拡張を進めつつもあったが、ゾダーンとの際限の無い建艦競争に陥ることを懸念していた。艦政本部は、ゾダーンをこれ以上、刺激せずに軍備拡張を行う手段を模索していた。彼らは先進諸国の星系海軍が整備している惑星防衛艦に注目した。基本的にバトルライダーと惑星防衛艦は似たようなコンセプトで建造されている。バトルライダーと大型惑星防衛艦を共通化することは技術的に難しくはなかった。
そこで艦政本部は、同一設計の惑星防衛艦を各星系軍や星域海軍に整備させ、戦時徴用によるバトルライダー戦隊の編成を目論んでいた。表向きは防御的兵器である惑星防衛艦や輸送船の増産になるためにゾダーンを刺激することも少ないと判断されたのである。
3、要求性能
@ 船体規模10000t以下。可能な限り小型化すること。
A 十分な防御力を有すること
B 5G加速が可能なこと
C 単独で艦隊型駆逐艦を上回る打撃力を有すること
4、競争試作
メイス重工は、デネブ海軍艦政本部の求める次世代型大型SDBのコンペに応じることにした。今まで標準星間文明レベルの星系向け艦艇建造で実績を積み上げてきたが、モーラ造船所に建艦ドックが増強されたこともあり、販路を広げるためにあえて参加を決定したのである。正式採用よりもアナウンス効果を狙ってコンペに参加したといっても過言ではない。デービット・バール博士に率いられたメイス重工の開発チームは、核融合ロケットとP級粒子加速砲を装備した9000tの打撃型惑星防衛艦〈モデル110〉の設計案を完成させた。小型の船体に粒子加速砲を搭載し、6Gを達成するためにあえて核融合ロケットを選択したのである。
アナウンス効果のためにメイス重工は、突飛な設計を採用したことは確かであるが、彼らが設計した〈モデル110〉の性能は折り紙付であった。メイス重工の開発者たちは、〈モデル110〉の採用を確信したが、設計案は採用されなかった。概略設計の段階で採用されず、代わって打撃型バトルライダーの可能性に着目したエドモンド・カーライル男爵の働きかけによって実験艦として採用された。デネブ海軍は、メイス重工に実験艦として〈モデル110〉を3隻発注した。その後、部隊運用試験のために2隻が追加発注された。
5、モデル110
メイス重工が完成させた試作艦〈モデル110〉は、P級粒子加速砲を装備した高速バトルライダーとして設計された。大出力を擁する粒子加速砲にエネルギーを供給しつつ、高加速を実現するために推進機関に核融合ロケットを採用した。この核融合ロケットの採用が〈モデル110〉のユニークな特徴を決定する要因になった。高加速を達成するために徹底的に軽量化が図られた。装甲も巡洋艦並みに抑えられ、防御力を確保するために防御シールドを強化している。核融合炉の発電能力に余裕が無いためにエネルギー兵器の採用は見送られている。推進システムとして採用したSR369のひねり出す推力は、予定値にわずかに達せず、最大化速度も5.598Gに留まった。反動推進である核融合ロケットの性質から余剰エネルギー供給による機動性の向上も望めず、主砲の発射も最大加速時にしか発射できないなどさまざまな問題を抱えていた。
実験艦として採用した帝国海軍も大火力と最大加速こそ評価していたが、装甲の薄さやアンバランスな搭載兵装、推進機関の耐久力等の問題をして指摘している。〈モデル110〉は、明らかに商業的には失敗であったが、艦政本部が重巡用主砲を装備した20000t級バトルライダーの研究に着手したことからもその影響の大きさが分かる。いわば〈モデル110〉は、第五次辺境戦争後、デネブ海軍で重要な役割を果たすバナレット級バトルライダーを生み出す母体となったことで評価されるべき艦である。
6、その後
帝国海軍に実験艦として採用された〈モデル110〉は、当初の3隻に追加生産の2隻を加えて5隻が納入された。この5隻は、バトルライダー母艦〈アークムーン〉に搭載され、第21戦隊を編成した。この部隊は、実験部隊であるが、最新鋭艦を配備した精鋭部隊として喧伝された。ゾダーンの耳目を海のものとも山のものとつかない実験部隊に集めるためである。〈モデル110〉は類別を変更され、カーライル級バトルライダーとして艦籍簿に登録された。すべては欺瞞のためである。
しかし、第五次辺境戦争の最中、戦力不足に悩むデネブ海軍は第21戦隊を実戦部隊として改変し遊撃部隊として実戦に投入された。カーライル級は、リジャイナ攻防戦で3隻が戦没し、残存艦はリジャイナ海軍に編入され、惑星防衛艦に類別を変更されている。戦後、この2隻は、リジャイナ海軍のドクトリンに合わせるために全面改装を受けている。リジャイナ海軍はカーライル級を移動砲台として運用するために著しく装甲を強化した。追加装甲によって著しく重量が増加し、最大加速度も加速度も2Gに落ち、外装も非流線に変わった。2隻とも1120年代までリジャイナ海軍で運用されたが、1120年代後半、老朽化を理由に予備艦として指定され、モスボールされた。
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