「農業移民」追加モジュール
 特記事項が無い限り、作柄表、病害、価格への修正、作業の実際については「農業移民」
Step.4に従うこと。

1.大麦(のようなもの)
収穫倍率 収穫量(t/ha) 小麦(のようなもの)と良く似ている。ただし、湿気を嫌うのは小麦以上。
熱帯
x15
2
亜熱帯
x15
2.5
温帯
x40-50
3-7
冷帯
x20
3
寒帯
x10
2
修正 (収穫倍率/収穫量)
化学肥料と農薬無し(TL3以下に相当): x0.3 / x0.5
湿地: x0.5 / x0.25
不毛: x0.1 /x0.01
傾斜地で段々畑ではない x 1/ x0.5
反重力農業機械の使用: x1.0 / x1.1 (機械が進入する隙間をあけなくて良いから)
必要量の肥料を与えた場合
肥沃度普通以下x1.0/x1.0 
  肥沃x1.2/x1.2
  小太りx1.5/x1.5
  肥満x2.0 /x2.0

肥料や除草剤を必要量与えなかった場合:
化学肥料と農薬無し(TL3以下に相当)とみなし、さらに以下の修正を行う
痩せx0.75/x0.75
激やせx0.2/x0.2 
白骨なみx0.1/x0.1
普通 x1.0/x1.0
肥沃 x1.1/x1.1
小太り x0.9 / x0.9
肥満 x0.75 / x0.75

水源による修正
乾燥帯以外で水源なし: x1.0 / 湧水量(x1.0より大きくはならない)
            池のみ: x1.0/x0.5
            小川のみ: x1.0 / x0.8
乾燥帯で水源なし: x1.0 / 湧水量x0.5 (x1.0より大きくはならない)
         池のみ: x1.0 /0.25
         小川のみ: x1.0 / x0.4 
大麦(のようなもの)カレンダー 
種子: 30Cr/100kg

必要農機具: プラウか耕運機、シードドリラー、サブソイラー(水はけを良くするため使う)、コンバインの麦用アタッチメント、散布機

秋まき用カレンダー
9月上-中旬: 土作り(肥料 散布機)タネの準備と消毒、排水溝設置(圃場の周囲に溝をほり、圃場内にはサブソイラーをかけ(トラクターとサブソイラ)、畑を耕す(トラクターとプラウ)
9月下-10月中: 播種(トラクターとシードドリラー) 三日以内に終えること (1日と書いてある資料もありました)
11月中旬: 播種1ヶ月後を目途に施肥(肥料 散布機)、排水溝の整備(1D6で4+でトラクターとサブソイラー作業)
12月中旬: 殺虫剤散布(殺虫剤 散布機 ※)、加えて2D6で8+の時は成長が悪く、再度の施肥(肥料、散布機)が必要となる。
1-2月: 排水溝の整備、
3月上旬: 施肥(肥料、散布機)
3月下-4月上旬: 再度の施肥(肥料、散布機)、殺虫剤散布(殺虫剤 散布機 ※)
4月中-4月下旬: 必要があればここで病気予防(農薬)
5月中旬: 除草剤散布(除草剤、散布機)
5月下-6月上旬:収穫(コンバイン)
※: 本来は害虫よりも野ネズミの被害なのだが、ここでは殺虫剤で良いものとする。
作業量:トラクター3回、肥料4+1回、薬剤散布3回、コンバイン1回

春まき用カレンダー(冷帯、寒帯のみ)
3月: 土作り(肥料 散布機)、タネの準備と消毒、排水溝設置(圃場の周囲に溝をほり、圃場内にはサブソイラーをかけ(トラクターとサブソイラ)、畑を耕す(トラクターとプラウ)
4月: 播種(トラクターとシードドリラー) 3日以内、その直後に施肥x2(施肥2回分 一週間以内)春まきは追肥効果が少ないので元肥を多くする
5月: 殺虫剤散布(殺虫剤 散布機)
6月: 除草剤散布(除草剤 散布機)
7月: 殺虫剤散布(殺虫剤 散布機)、必要があれば病気予防(農薬)
8月上旬: 収穫(コンバイン)

作業量: トラクター3回、肥料3回、薬剤散布3回、コンバイン1回

灌漑費用: 小麦並み

基本価格: 190 + (2D6-7)x7 Cr /t 

2.ソバ(のようなもの)
収穫倍率 収穫量(t/ha) 単位面積あたりの収量にはばらつきが多い。中国や日本(温帯)は1haあ
たり1t未満でしかないが、フランスでは1haあたり3tである。ソバは成長が
速いため、雑草を抑制する効果があり、草むしりの必要はほとんどない。
ただし、土地を痩せさせることがある。反面、肥沃な土地や追肥を行った
場合は繁茂しすぎて、却って収量が減少する。
熱帯
-
-
亜熱帯
x10
1
温帯
x10-20
0.5-1
冷帯
x10-20
1-3
寒帯
x7
1
修正 (収穫倍率/収穫量)
必要量の肥料を与えた場合
肥沃度普通以下x1.0/x1.0 
  肥沃x0.8/x0.8
  小太りx0.5/x0.5
  肥満x0.1 /x0.1
 それ以外は大麦(のようなもの)と同じ
ソバ(のようなもの)カレンダー
種子: 30Cr/100kg

必要農機具: プラウか耕運機、シードドリラー、サブソイラ、コンバインと麦用アタッチメント(で良い)、散布機
あったら良い機材: カルティペーター

7月: 土作り(肥料 散布機)タネの準備と消毒、畑を耕す(トラクターとプラウ)、水はけを良くする(トラクターとサブソイラ)
8月上旬: 播種(トラクターとシードドリラー) 3日以内
8月中旬: 中耕(トラクターとカルティベーター) やらなくてもよいが収量は下がる
10月中旬: 収穫(コンバイン)

作業量:トラクター2+1回、肥料1回、コンバイン1回

灌漑費用: 小麦並み
手動式石臼: 50Cr (TL4以下) 500Cr (TL5以上) そば作りに必須。

基本価格: 200 + (2D6-7)x10 Cr /t 

2.モロコシ(のようなもの)
収穫倍率 収穫量(t/ha) ソルガム、コーリャン、タカキビなどソルガム属(のようなもの)の総称。乾
燥に強い。文化によっては主食だが、穀物のメジャーリーグでは雑穀扱い
で、飼料用に使われることが多い。また草の背が高いため倒れ易い。
熱帯
x15
2
亜熱帯
x15
2
温帯
x20
4-5
冷帯
x10
1
寒帯
x10
1
修正 (収穫倍率/収穫量)
 大麦(のようなもの)と同じ
モロコシ(のようなもの)カレンダー
種子: 18Cr/100kg

必要農機具: プラウか耕運機、シードドリラー、サブソイラ、コンバインとトウモロコシ用アタッチメント(で良い)、散布機
あったら良い機材: カルティペーター

5月: 土作り(肥料 散布機)タネの準備と消毒、畑を耕す(トラクターとプラウ)、水はけを良くする(トラクターとサブソイラ)
6月上旬: 播種(トラクターとシードドリラー) 
7月: 除草剤散布1回(散布機)もしくはカルティベーターで中耕3回(トラクターとカルティベーター)
8月下旬−9月上旬: 収穫(コンバイン)

作業量:トラクター2+3回、肥料1回、除草剤散布1回、コンバイン1回

灌漑費用: 小麦並み

病気と害虫: 病気と害虫は少ない。1D6-5

基本価格: 125 + (2D6-7)x5 Cr /t 

4. 雑穀
収穫倍率 収穫量(t/ha) アワ、ヒエの類。現代以降の社会では、どちらかと言うとペットや家畜のエ
サ用か、せいぜいが製菓材料か地酒の材料用。なんであれ決して高級品
ではない。根本的に食べても美味しくないと言う説も。
熱帯
x20
1
亜熱帯
x20
1
温帯
x40
2
冷帯
x15
1
寒帯
x15
1
修正 (収穫倍率/収穫量)
 大麦のようなものと同じ
雑穀カレンダー 
種子: 25Cr/100kg

必要農機具: プラウか耕運機、シードドリラー、コンバインとコメ用か麦用アタッチメント(がそのまま使える)、散布

3月-4月中旬: 土作り(肥料 散布機)タネの準備と消毒、畑を耕す(トラクターとプラウ)
4月下旬-5月上旬: 播種(トラクターとシードドリラー) 
6月: 殺虫剤散布
7月: 施肥
8月: 殺虫剤、除草剤散布
9月上-中旬: 収穫(コンバイン)

作業量:トラクター2回、肥料1回、薬剤散布3回、コンバイン1回

社会身分度への影響: とある文化圏では、雑穀を食べれば非常なビンボー人と見なされる。そうした文化圏では、雑穀を栽培するのはかまわないが、食べているところを他人に見られると社会身分度はただちに-1D6。

連作障害: ヒエは連作障害を起こしやすく、土地も痩せさせる。連作障害は選択ルールだが、ヒエは例外として、連作2年目で連作障害が発生し、土地は2倍のスピードで痩せてゆくものとする。ただし、本ルールでは「雑穀」と一くくりなので、「ヒエではない」と宣言しておけば、悪影響はない。

灌漑費用: 小麦並み

基本価格: 150 + (2D6-7)x7 Cr /t 

多年性作物
1.ホップ(のようなもの)
収穫倍率 収穫量(t/ha)  毬花(まりばな ※)と呼ばれる部分を利用する。ビールの苦み成分が有
名だが、他に医薬、化粧品にもごく少量の需要がある。高価だが需要は
多くない(ビール好きな土地でも生産量は総人口一人あたり0.5-0.6kg)。雌
雄のある植物だが、栽培に使うのは雌株だけ。つる性の植物であり、つる
を巻きつかせる支柱やワイヤーが必要。
※: 日本語では発音に気をつけること。麻科植物であるから余計に誤解を受けやす
い。なお、英語では単にcone/cones 
熱帯
関係なし
-
亜熱帯
-
温帯
-
冷帯
2.5(未乾燥7.5)
寒帯
1.5(未乾燥4.5)
修正 (収穫倍率/収穫量)
 大麦(のようなもの)と同じ
ホップ(のようなもの)カレンダー
必要農機具: プラウか耕運機、サブソイラー(水はけを良くするため使う)、散布機、トラックか運搬用の家畜
あったらよい機械:ピッキングマシン(鍵をこじ開ける機械ではない。念のため…)、反重力ベルト

・栽培契約
 酒造会社との契約がないと売却ルートは存在しない。契約は2D6で10+で取れる。契約栽培には様々な条件がつく。下の条件表を参照すること。
1D6
条件
1
なし
2
「上」の肥料と農薬しか使えない
3
無農薬/無肥料
4
作業の結果では+2以上の成功
5
出目2と出目4の両方
6
出目3と出目4の両方

・設立時の準備作業
 土を耕し(トラクターとプラウ)、施肥して(散布機)、ポールを立てて(150本/1ha)、高さ5-9mのところにワイヤーを張り巡らせて、苗(1haあたり2000本程度)を植える。1haあたりマンアワーで250時間・人の労働力が必要。作業は急ぐ必要が無いが、4週間以上かけていると、最初に立てたポールがこけ、ワイヤーが切れ始める(笑)。

4月: 苗や休眠から覚めたホップがわらわらと出芽するため、余分な芽を摘む(株ごしらえ) 休む暇なく毎日働く
5月: 成長をそろえるための剪定作業 休む暇なく毎日働く
6月: 成長が早まる時期(15-20cm/日)。ワイヤーに蔓を巻きつかせる作業。ここから7月までに殺虫剤散布5回(※)および施肥5回 休む暇なく毎日働く
7月: 除草剤散布 ここから収穫まではややヒマになる
8月上-中旬: 除草剤散布
8月下-9月下旬: 収穫(7-10日以内が望ましいが30日以内)および乾燥、出荷作業。収穫には、毬花を一つ一つ手摘みする方法(高所の作業なので大変)と、蔓ごと切り取ってピッキングマシンで毬花を分離する方法がある。
10月-翌年3月: ポールやワイヤーの補修、土を耕し(トラクターとプラウ)、施肥(散布機)を行う等の作業。ヒマが多い。冬の訪れとともに地上部は枯れるが、地下茎は生き残り春に出芽する。

作業量: 施肥5回、殺虫剤散布5回、除草剤散布2回、散布機の出番12回

灌漑費用: 小麦並み

基本価格: 乾燥重量5,000 + (2D6-7)x150 Cr /t 
 単価が高いので、田舎度による価格の修正は無視してよい

(※)実際は7-8日毎に少量ずつ散布するようである
諸経費
設立時の必要経費
支柱: 1haあたり150本(15Cr/本)。2,250Cr/ha
支柱関連の物品: 2,750Cr/ha
ホップの苗:2,000Cr/ha 株の経済寿命は10年。株分けで苗を作るのが基本だが、ホップ農場設立時は必ず購入すること
ピッキングマシン: つるから毬花を分離する機械。据え付け式と自走式がある。手摘みに徹するなら不要
 据え付け式:  注文生産で量産はされない。機械を設置する建物は当然別売り(少なくとも床面積300sqm)。一台900,000Crで処理能力は1時間あたり0.3haもしくは、未乾燥ホップ1,800kg/h。特殊過ぎてレンタルやリースはない。ローンも不可(普通の借金で買わなくてはならないため、支払えなくなると他の担保が差し押さえられる)。
  自走式: 2台のトラクターで作業部分を引っ張る構造で、操作員2人が必要。1,500,000Cr。効率は据え付け式とかわらないが、収穫の手作業が不要で、収穫作業の人手が操作員2人だけで良くなる。同じくリース、レンタルなし。ローン不可。

毎年の経費
補修: 1,200Cr/ha 農場の設備の補修費用。
乾燥作業: 窯の面積100平方メートルあたり、未乾燥の毬花6tを8時間かけて熱風で乾燥させる。徐々に温度を上げていくものなので、量が少なくても時間は変わらない。乾燥すると重量は1/3になる。燃料代として、未乾燥の毬花1tにつき125Crと、火の番の人件費がかかる。窯は耐火レンガで自作すればよいが、自動制御付きの窯は100平方メートルのもので25,000Cr(低温)-100,000Cr(陶芸もできる高級品)程度。
ベーラー(圧搾梱包機): 2,500Cr (手動式で一度に1個) - 50,000Cr (動力式で一度にたくさん)。余所に出荷しない場合は不要。慣例的には1個200ポンド(90.8kg)もしくは100kgに梱包する。費用は梱包1個あたり4.5Cr。

労働力: 常雇い5人/100ha。100ha未満であっても3人は必要。また、管理/計画要員も含んでいるので、最低でも2人の人間もしくは知的生命体が必要。これに加えて、下記のように収穫期(30日)のバイトも必要

収穫期の臨時雇い(1日10時間労働で30日かけて作業する場合):
  ピッキングマシン使用= 蔓切り役10人/100ha + ピッキングマシン回りの作業と乾燥、梱包 10人/100ha
  完全な手摘み= 一人あたり乾燥重量換算で50kg/日(2.5t/haでおよそ160人/100ha)、高所作業で不効率なため、輸送手段が機械化されても一人乾燥重量100kg/日(80人/100ha)にしかならない。これに加えて、 乾燥、梱包作業5人/100haが必要

反重力ベルト: 一機100,000Cr(TL12)もしくは110,000Cr(TL15)。これがあると高所作業が劇的に楽になるため、人数分装備していれば、設立時の労働時間マン・アワーは2/3になり、乾燥、梱包、ピッキングマシン作業を除く全ての作業の労働力は半分で良くなる。

・ビール作り
ビール作りの原価は安い。ビールの原料は端的に言って、酵母、大麦の麦芽、ホップ、水だけである。ビールの質や種
類によって一概には言えないが、ビール1リットルあたりの必要原料は麦芽(大麦であれ他の麦であれ)120-
200gホップ1.5g-2.0g(乾燥毬花16-20個)消毒、洗浄用の水10リットル。酒にはミネラルウォーターを使う。洗浄
用にも精製水推奨。少なくとも水道水をそのまま使ってはダメ。
 なお、ビール、エールの定義は税法も絡んで多種多様であり、それをいちいち取り上げていてはきりが無いので、本ル
ールでは以下のものだと限定する。
ビール(ラガー): 下面発酵で作られた酒で滅菌したものとそうでないものの両方を含む
エール: 上面発酵で作られた酒で滅菌しないもの


・麦芽製造
1. 大麦の貯蔵
 収穫直後の大麦は、休眠性と発芽への水感受性の問題から、最低でも二ヶ月は保管しなければならない(このルール
では収穫後1D6+1ヶ月)。使えるかどうかは発芽試験で確認する。重さはいろいろ変化するが、面倒なので大麦1g=麦芽
1gとして扱う。

2. 浸麦
  発芽するようになった大麦をタンクに入れ、水に浸す。ここは面倒くさいので、水漬け4時間+水を抜いて8時間空気
にさらす、を3回繰り返すと発芽出来る大麦になる(約36時間)。なお、この工程は洗浄も兼ねているので、水は使い
まわししないこと。水は大麦の容積(1g=1mlとする)の5倍必要。

3. 発芽
 浸麦後の大麦を薄く広げ、厳密な湿度と温度の管理の下で7−10日間発芽させる。なお、最速では4日で使える状態
になるが、品質は低い。

4. 乾燥
 発芽した大麦を専用の乾燥窯に移し、徐々に温風を送って乾燥させて、発芽を停止させる。「乾燥」とは言うものの、作
るビールの種類によってはほとんど「焙煎」なので、「焙燥」とも呼ばれる。また、天日干し2-3日+鍋で炒めると言うとても
安上がりな方法も使えるが、大量製造には向かない。

5.根掻き
 乾燥後、揺すって篩にかけることで芽と根を除去する。これをしないと味が悪くなる。

 これで麦芽は完成。なお、小麦の麦芽も(調べるのが面倒くさいので)これと同じ方法で作るものとする。

・諸経費
 一度にどれだけの麦芽を製造するかで経費は変わってくる。
貯蔵施設: 大麦の保管と発芽に使う。環境管理設備の建設費1sqmあたり250Crと、部屋の維持費として稼働一週間
あたり4Cr/100sqm。建物の建設費は別。貯蔵施設の能力は床面積100sqmあたり3t(広げて貯蔵するから効率は悪
い)。
浸麦: 普通のタンクや樽でも良い(750Cr/kl)。給排水の配管付きならキロリットルあたり1000Cr。一度に製造する麦
芽の1.5倍の容積が必要(麦芽は1g=1mlとしておく)。
乾燥窯: 床面積100sqmあたり3t乾燥させられる。自作するなら100sqmで10,000Cr。自動制御付きの窯は100sqmのも
ので25,000Cr(低温)-50,000Cr(高温用)程度。乾燥は1日かかるものとし、1tにつき125Crの燃料代が必要。
徐々に温度を上げていくため、量の多寡は所要時間に関係ない。
自動篩機: 処理能力15kg/hで3,000Cr。経費は15Cr/年。あまり大きな機械はない。
水の費用
 水道水不可だが、ミネラルウォーターを使うのは単なる不要な贅沢。
精製水: 10Cr/kl。
水道水:  1キロリットルあたり1Cr(=水道代)。純水精製装置に通さないと使えない。
純水精製装置: TL7以上 10リットル/h 10,000Cr 1リットルあたり0.01Cr。
水資源が無い世界: 水界度4以下の世界では水の価格x2、水界度1以下もしくは非水海洋世界ではx4

ビール醸造(注: 以下に示す方法は概ね正しいが、コスト計算は、容器を含まないビールの原価が税も含めた販売価格の25%程度と言う結果に
無理に合わせた無茶な推定である。特に酵母の代金は市販のものをそのまま拡大しただけなので実際とのかい離は大きいだろう。また設備を置く
建物の代金は全く考慮していない)
1. 仕込み
 糖化釜を使う。イギリス式の、ローラーミルで麦芽を粉砕して水と混ぜて粥状の麦汁にして65度に加温しつつ撹拌しながら濾過する方法(インフュージョン式)と、インフュージョン式より細かく粉砕して、粥状のもろみをすくって加温し、中に戻して温度を上昇させる方法を1-3回繰り返す方法(デコクション式)がある。副原料(砂糖、コーンスターチ、小麦粉など)はこの段階で加える。原料の10-25%だがアメリカ式は40%に達する。いろいろ面倒なので、この時点で麦汁は、製品としてのビールと同じ体積であるとしておく(例えば1バッチで500klのビールなら、ここで既に500kl)。また面倒なので、方法の違いによるコストの違いは無いものとする。

2. 煮沸
 麦汁を濾過した後、煮沸釜(銅製が伝統)で煮沸する。煮沸することで酵素の働きを止め、熱変性タンパクが析出するとともに、濃縮と殺菌に役に立つ。ホップはこの時に添加する。副原料としての砂糖はこの後に添加される。煮沸後は濾過してホップの糠を除去して、沈殿したタンパクを除去してから、冷却器に通す。透明度を上げたければ、高速遠心分離を使う。なお、この時に濾過した液体が「一番搾り」で、固体部分をお湯で溶いたものが「二番搾り」だが、一番と二番に味の違いはあっても、二番が低級と言う訳ではない。したがって、本ルールでは特に差は設けない。ただ、出来た製品の半分が二番搾りから作ったものであるとしておく。
 
3. 発酵
 煮沸が終わると、麦汁を酵母の活動に最適な温度まで冷却してから、酵母を添加する。発酵には大別して上面発酵下面発酵がある。
上面発酵: エールを作る方法。15-24℃の範囲内で温度を上げながら短期間発酵させる方法。大量の炭酸ガスが発生して泡だらけになり、泡と一緒に酵母が浮かんでくるため、「上面」発酵。味わい深い美味しいビールになるが、発酵性物質が多量に残存するため品質の統一が難しく、保存も効かない。時間がたてば酸っぱくなる。本ルールにおける発酵期間は7日とする。
下面発酵: ラガーを作る方法。酵母は沈むので「下面」発酵。冷却機必須(TL4以上)。低温(6-10℃)にまで冷却して7-8日間発酵(一次発酵)させる。この時点で発酵性物質は全てアルコールになっているはず。次にさらに低温(0℃)で長期間保管する(二次発酵)。保管期間は長くて3ヶ月。この間に炭酸ガスの発生や、沈殿による透明化がおこる。
手抜き下面発酵: 一次発酵が終わると濾過して炭酸ガスを溶解させる方法。これをやったら決して高級品にはならない。

 そしてこの段階で、醸造が上手く言ったかどうか、
 醸造の責任者の<生物学>か<化学>技能 で成否を判定すること。失敗した場合は全滅する。

4. いよいよ出荷
 発酵が終わると容器に移す。この時に、「ドライ」なビールはさらにホップを添加したり、風味づけのための砂糖の添加、品質保持のための加熱殺菌(←これをやれば厳密には「生ビール」ではなくなる)も行われる。


水関連費用
おいしい水: ビールの仕込みに使う水。100Cr/klのミネラルウォーターから1000Cr/klの超おいしい水まである
精製水: 滅菌、洗浄に使う水。10Cr/kl。
水道の水: 1キロリットルあたり1Cr(=水道代)。純水精製装置に通さないと使えない。
水タンク: 必要な量を貯蔵しておく。1klあたり100Cr。洗浄、消毒用の水と酒の仕込み用は分けておくこと。
水資源が無い世界: 水界度4以下の世界では水の価格x2、水界度1以下もしくは非水海洋世界ではx4
純水精製装置: TL7以上 10リットル/h 10,000Cr 1リットルあたり0.01Cr。

工業用濾過装置: TL6以上 50,000Cr(5000リットル/h)、もしくは5,000Cr(10リットル/h)。経費は100時間当たり価格の5%
動力式製粉機: 麦芽を砕くのに使う。10kg/h 5,000Cr 経費は年間25Cr 
タンクや釜: 糖化用と煮沸用、一次発酵用にそれぞれ1つ必要。容量10リットルあたり10Cr。食品製造用なので宇宙船のタンクでの代用などは認められない。糖化する時の燃料代は麦汁1klにつき1Cr、煮沸する時の燃料代は、麦汁1klにつき5Cr。一次発酵用タンクの経費は、面倒なので酵母の代金に含むとする。

貯蔵設備: 二次発酵に使う。天井高は3mとして、建設費は床面積1sqmあたり250Cr。経費は稼働1週間につき400Cr/100sqm。有効な貯蔵容積は部屋の容積の50%。醸造するビールの容量から必要な床面積を計算すること。
工業用高速遠心分離機: 容量600リットル/h 100,000Cr 重さ2t 
(TL6以上から可)
容量300リットル/h 90,000Cr 重さ1t
容量200リットル/h 80,000Cr 重さ0.8t
どれも年間の維持費は価格の1%

TL7以上では手間のかからない醸造装置ができる。酒場やレストランに置くもの。醸造工程の管理が簡単に行える(判定の難易度は「易」)。ただし、一度ビールを醸造すると、タンクの中身は全部使い切るか、別の場所に保管しない限りは、同じ装置で次のビールを作ることはできない。貯蔵する機能があっても、効率の面から貯蔵は別の場所で行う方が良い。上面発酵用と下面発酵用は価格は同じだが、互換性は無い。また、この装置でこだわり品質の美味しい銘酒が出来るかどうかは分からない。使用した場合の年間の経費は価格の1%。衛生を保つため、年間ずっと使わないとしても経費は変わらない。
小規模醸造装置: 100リットル用 4,000Cr 発酵過程のみ
400リットル用 12,500Cr 発酵過程のみ
1000リットル用 40,000Cr  発酵過程のみ
2000リットル用 50,000Cr  発酵過程のみ
3200リットル用 100,000Cr このレベルでは麦芽用ミルも付属して、貯蔵もこれ一台で行える
6500リットル用 125,000Cr このレベルでは麦芽用ミルも付属して、貯蔵もこれ一台で行える

酵母: キロリットルあたり500g必要とする。市販酵母は500gで300Cr。
ビン: 容量22オンス(623.69ml)のいわゆる大びんは1本1Cr。リサイクル瓶は0.05Cr/本。ただし、出荷したものの1D6 x 5%は帰ってこない。
缶: 350mlで缶0.2Cr/本。TL5以上。味が変わらないようにするコーティングが必要で低TL不可。自作も不可。
炭酸ガスボンベ: 手抜き用。10kgあたり10Cr。だいたいビールの二酸化炭素濃度は0.5%くらいか。(溶解度以上には溶けないので多く使っても無駄) 
労働力: 1バッチの醸造が100lまでなら片手間一人で可能。0.1kl-500klまでは3人、以降1500klごとに1人。あくまで1バッチごとの必要労働力であり、年間1500klごとに1人と言うことではない。またここには宣伝や販売担当者は含まれない。


例) 醸造業者
 この例では、メジャーな酒造会社と同じく、原材料は生産価格で購入しているものとする。この酒造会社では、下面発酵でのビール製造を目指しま
す。いろいろ面倒なので、大麦の貯蔵期間2ヶ月は何もしないものとして、その後の麦芽製造(発芽から乾燥まで12日)、仕込みと煮沸に1日、発酵
に7日、貯蔵期間は40日として1バッチの製造に2ヶ月かけるものとします。1バッチは500klとして、計算が簡単になるように、1リットルあたり200gの
大麦麦芽を使用する贅沢な仕様とします。従って、
 1バッチあたりの大麦必要量は、500kl x 1000 x 0.2kg= 100t 価格は19,000Cr (1t=190Cr)
  ホップ必要量は、500kl x 1000 x 1.5g = 750 kg = 0.75t 価格は3,750Cr (1t=5,000Cr)となります。
 水の必要量は美味しい水500kl =50,000Cr + 洗浄用の精製水5,000kl=50,000Cr、計5,500kl = 100,000Cr (この際タンクは無視し
ます)
そして労働者は3人。月給は各2500Crとしておきましょう。

 まず麦芽製造です。
 貯蔵設備は100t/3≒34 x 100sqm = 3,400sqm必要です。
 建設費は3,400sqm x 250 = 850,000Cr 
 稼働中の経費は1バッチ保管2ヶ月 + 発芽7日 = 9週間として 9 x 3400 x 4 /100 = 1224Cr
 浸麦には150klのタンクが必要です。給排水管つきで150,000Crで、さらに水の料金として、100kl x 5 = 500kl x 10Cr = 5,000Cr。
  乾燥窯は100t/3≒34 x 100sqm = 3,400sqmが必要です。
 窯の設置費は850,000Crで、1バッチごとの燃料代は100t x 125 = 12,500Crです。
 自動篩機は100tを1日で処理するのに280台、840,000Cr 年間の経費は4,200Cr。 1バッチは700Crです。

 さて、次にいよいよ仕込みです。糖化、煮沸する時にはビール500klですから麦汁も500klになります。これを処理するのに500 x (1+5)Cr = 3,
000Crの燃料代がかかります。
  濾過は2回(麦汁の濾過と一次発酵後の濾過)。濾過装置50,000Crで、1000klの濾過に0.2h 経費は2500Cr x 0.2 = 1,000Cr
 酵母の必要量は、500kl/10l x 5g = 250kg x 0.6Cr/g = 150,000Cr
  貯蔵スペースは、500klのビールのためには容積1000Kl、床面積334sqmとして835,000Cr。 使っていない時はスイッチを切る省エネ態勢として、
年間の稼働日数は貯蔵40日 x 6バッチ= 240日 240/7日 x 400Cr x 334sqm/100 = 82,285Cr/年 1バッチでは13714.17Cr。
 
 で、ここでは設備費やその減価償却費は含まず、あくまで材料費と人件費のみによる原価を計算します。
麦芽の保管費
1,224
麦芽の乾燥
12,500
麦芽の水
5,000
篩機
700
麦汁の煮沸
3,000
濾過
1,000
100,000
酵母
150,000
貯蔵費用
13,714.17
人件費
15,000
材料費
22,750
324,888.2Cr
製品1リットルあたりでは、324,388.2Cr / 500kl / 1000 = 0.639776Cr。
これはビール缶350mlに換算すると、0.2239Cr。 高コスト体質の日本での缶を除いたビールの原価の半分程度なので、まあ妥当でしょう(笑)。
設備費の原価償却費も加わればいいところでは?
なお、伝統的な22oz瓶だとすると、8万本が出荷できます(端数1400本ほどは品質検査や試飲、宣伝のサンプルとしてのロスとしましょう)。

・ビール造りのオプション
副原料の添加
  副原料の添加には、コスト削減と風味付けの二つの意味がある。材料としての大麦の費用の10-25%の範囲でコスト
を増減させることができる。減らせばビールはそれなりの品質となり、増やせば評価が高くなる。

工業用エタノールの添加
 -25%を限度として酵母代金を削減できる。品質と評価には決してプラスにならない。

黒ビール
 麦芽の乾燥のときに焦げるまでやると黒ビールになる。麦芽の乾燥時の燃料代x1.5

小麦も混ぜる
 大麦との比率は1:1くらいまで。このルールでは雰囲気だけのもので影響は無い。

原始ビール
 大麦でパンを作り、水に突っ込んで自然発酵させる。ホップなし、炭酸ガスなしで、美味しいかどうかは甚だ怪しいが、
理論上は少し甘い味のはず。上記のような醸造工程は不要。必要とする大麦の量は1リットル中120-200gの法則に従う
こと。副原料の添加やアルコール混和も可能。ただし、2D6で9+で雑菌が繁殖して腐る。

ナノマシン酵母
 TL14以上。酵母のDNAと酵素を持ち、酵母と同じ役割を果たすナノマシン。必要量は酵母と同じだが、価格は1gで1,
000Cr。ただし、発酵過程が終わると自分で「基地」となる容器に帰ってくる。おおよそ2,000回の再利用に耐える。

市販の麦芽とホップ
 少量の自家製ビールように、麦芽、酵母、ホップは市販されている。麦芽は一袋1kg入りで1.5Cr(農業世界) - 15Cr
(貿易上の分類に農業が無い世界)。ホップは一袋100gで7.5Cr(農業世界) - 15Cr (貿易上の分類に農業が無
い世界)。酵母は一袋10gで5Cr。ただし、少なくとも人口コード6以上でなければ売っているお店は無いと思われるの
で、その場合は恒星間通販価格を適宜加えること。

・ビールの高級度と販売価格
 自家製ビールを作るのは難しくないが、商売として新規参入するのは難しい。以下の表でビールの高級度を調べるこ
と。
麦芽使用量: 1リットルあたりの使用量(g)/10 - 15 (ex. 200g使用なら、200g/10 - 15 で+5) 端数切り捨て。 
ホップ使用量: 1リットルあたりの使用量(g) x 10 -15 端数切り捨て
ホップ使用量が1リットルあたり2.5gを超える: -5 苦過ぎる

手摘みホップ: +2
美少女による手摘みホップ(※): +3 手摘みホップと重複する
ホップ摘みでチラリズム: ここまで欲望むき出しだと却って清々しい。+5。ただし、翌年から美少女の応募者は激減。美少女によるホップ摘みと重複。
 
無農薬の大麦から作った麦芽: +10
無農薬ホップ:+10
上面醗酵: +10 いわゆる「エール」で、賞味期限は要冷蔵、栓開後1週間。冷蔵しなければ製造後1週間
貯蔵期間が1週間-1ヶ月未満: 0
貯蔵期間1ヶ月毎に: +5 (三か月まで)
二次発酵後に滅菌しない: +10 いわゆる生ビールで、賞味期限は要冷蔵、栓開後1週間。冷蔵しなければ製造後1週間
副原料の添加: 麦代金に対する% / 5 (プラスにもマイナスにもなる)
アルコール添加: 1%につき-2
炭酸ガス混和: -10 (原始ビールの場合は無視してよい)
原始ビール: -30
小規模醸造装置で作った: -15
ロボットによる醸造管理: 人間味が無いので-20
黒ビール: +10
遠心分離でクリアな色合い: +5
手抜き下面発酵: 自動的に「安物」として扱われる。
ナノマシン酵母: -1
水のおいしさ: 水資源による価格修正適用前で (1リットルあたりの値段x10) -3 
水道の水をそのまま使った: -50
精製した水道水: -3
麦芽かホップが市販品: -10 手抜きと見なされる

(※)100%手摘みである必要があるが、美少女が関係する部分はイベントや取材の間だけで良い

製造したビールは、製造した分の(2D6 - 4) x 10% が売れる。当然、100%以上にはならないが、もし-30%以下になった
場合は、品質が悪くて消費者に健康被害が出たことを意味する(その場合は問答無用で倒産のうえに刑務所行
き)。なお、製造量が年間50klを超えると、小売業者を通じてしか売れなくなる。売れる量は高級度と宣伝、そして味と
価格によって修正をうける。

高級度が+30以上:高級ビール 販売DM+4 
+5 〜+29: 普通ビール 
-20 〜 +4 : 大衆的ビール 販売DM+2
-21以下: 安物ビール 
宣伝による修正: 宣伝費50MCrにつき販売DM+1 (ライバルが多いので宣伝も大変)

・ビールの味に対する評価
 これは文化によって違うので一概には言えない。ここでは「どれだけ個性的」かが重要で、高級度がマイナスだからと言
って必ずしも悪影響ばかりではない。2D6を使って評価を決定すること。この味の評価は、国や世界毎に行うこと。地元
では美味しいと評判でも、となりの世界の人にとっては美味しくないかもしれない。また、毎年振りなおすこと(流行の変
化、材料の質のばらつきなどの影響があるから)。
2D6 評価 販売へのDM 価格への影響
 -4 -  地獄マズ +3 何事も傑出すれば世間に認められる +1
2- -3 激マズ -8 -4
3-4 マズイ -4 -1
5-11 普通 0 0
12-13 美味しい +5 +2
14+ 激ウマ アル中が増えて反発を買う。-3 +4
DM: 高級度がプラスであれば、(高級度の絶対値/10) -2
  高級度がマイナスであれば(高級度の絶対値/10) -4
   ホップ使用量が1リットルあたり2.5gを超えている: -5
 全て端数切り捨て。

・価格の決定
 これは消費者や小売業者が、製品に対してどの程度まで支払う意志があるかで決まる。まず、以下の式に従って価格
の係数を求める。
 価格の係数: 高級度/10 + 味の評価(価格への影響の数値) +2 
 修正: 小売業者を通す x0.5
 例えば、高級度56で「地獄マズ」のビールの価格の係数は、56/10 +1 +2 = 8.6となる。小売業者に対しては4.3。

 得られた価格の係数を、容器を含まない原価にかけたものが、値段となる。「醸造業者」の例では、おおよそ1リットル
あたり0.64Crの原価であるから、価格の係数が4とすれば、0.64 x 4 = 2.56で、1リットル2.56Crで売れる。
 なお、価格の係数が1以下になった最低な製品でも、容器を含まない原価の1.5倍、小売業者には容器を含まない
原価の1.25倍で売れる。買ってもらえるかは別問題。
 なお、ここで求める価格の係数には酒税は含まれない。

・安売り
 もし売れ行きが思わしくないなら、価格の係数が1より大きい時に限って、価格の係数-2ごとに販売DM+1が得られる(+
5%の売り上げとしてDM+0.5も可)。ただし、マイナスの売れ行きの場合にはこの方法は使えない。

・酒税
 酒税は売れ行きに多大な影響を与えるが、残念ながらメーカーと小売業者に決める権利はない。
 
  酒税率
 価格に対して (市場としている世界の治安コード-2D6) x 10%
 修正: 政治コードD 教義がアルコールを許容しているかどうかで違う。許容していなければDM-12
     政治コードBもしくはE以上 DM-5

 例えば、治安度9の世界で、2D6が7であれば、9 - 7=2で、20%の税率である。しかし、これがアルコールを許容
しない宗教体制であれば、9 - ( 7 - 12) = 9 - (-5) = 14で 140%の税率となる(販売DM-11)。 酒税率が0以下
の時は、酒税は無い(ただし、消費税は可能性がある)。酒税率が30%を超える10%ごとに販売DM-1。なお、酒税の影響
のみによって販売量マイナス30%を達成した場合は、刑務所に行かなくても良い(倒産はする)。

・密造酒
 アルコール入りジュース。酒税によるマイナス修正は受けないが、逮捕される危険は毎年2D6で8+。アルコールを許
容しない宗教独裁の社会以外では、酒税が90%を越えた時点で社会に許容され、逮捕の危険は12+になる。販売量や
価格決定は酒税による影響を除いてオモテの酒と同じ。

・禁酒法
 医療目的以外のアルコールの製造と輸送が禁止される(飲むことそのものは禁止されない)。社会がどうなるかはレフ
リーが決定すること。

・麦芽水あめ
 1.米(=本当はもち米だが、面倒なのでこのルールでは米でよい) 1kgを3倍の水でおかゆに炊く
  2. 麦芽100gをおかゆに入れて、60度で半日ほどおく
  3. 上澄みを濾過(布袋を使うのが伝統)
  4. 濾過した上澄みをさらに煮詰め、糸を引く状態になれば完成。だいたい800 - 1000 ml程度の水あめが出来る。
 5. 適当な値段で売ろう。ただし、素朴な味で、つまるところ砂糖を使ったアメほどに美味しくはない。


山中様から頂いたビールに賭ける出戻り出稼ぎ労働者の例

元科学者 フィオナ・フリッカー
 579883 30歳(女性) 科学者3期(酒造会社の醸造技術者)
 〈社交−2〉〈エレクトロニクス−2〉〈生物学−2〉〈格闘−1〉
* カーカ出身者のハウス・ルールより、18歳時点での教育度を1D6+1で決定しました。
* 「本当の萌え表」より、(バクスター氏26歳を規準として)年上、眼鏡っ娘、腹黒い(可愛げ有)、知的、美巨乳、です。
 フィオナ嬢は、カーカの高校を学年2位の成績で卒業しました(学年2位と言っても、彼女の同級生は30人程度しかいませんでしたが)。残念なが
ら2位ですので、学年1位の者に与えられる、星系外の大学奨学金は得られません。また、適性検査の結果(当時の筋力が3しかなかったため)傭
兵会社の募集にも引っ掛かりませんでした。
 それでも彼女は自分の優秀な知力、教育度を活かした職業に就くため、隣接星系の農業世界レックへと『出稼ぎ』に出かけました。レックまでの一
等チケットは、親からの借金で賄います(後日、働いて返済)。幸い、レックは「労働力不足」の世界です。仕事はすぐに見つかりましたが、残念なが
ら、酒造会社の下働きです(〈社交−1〉〈エレクトロニクス−1〉を習得)。知力8、教育度7程度では、彼女の期待していたような知的エリートの仕事
は得られません。プライドが傷ついたフィオナ嬢ですが、彼女は仕事の無い夜間や週末を使い、頑張って通信教育に励みます。
 4年後、教育度が上昇したフィオナ嬢は、醸造部門へと回されました。ビールやワインなどのアルコール飲料について、基礎から教育を受けます
(〈生物学−1〉を習得)。8年後、フィオナ嬢はさらに責任のある地位へ昇進します。醸造技術に関して、より知識を深めました(〈生物学−2〉を習
得)。しかしながら、12年目になって、上司との不倫問題が発覚(笑)。彼女は「自主退職」という形を取って、会社を辞めることになりました。ひとつ
の恋が終わったことで、レックという世界まで嫌いになってしまった彼女は、故郷へ帰ることにします。

 除隊恩典 1等チケット1枚 一時金40,000cr

 故郷のカーカには、老いた父(70歳)と母(50歳)、それに加えて「見合い話」が待っていました。
『出稼ぎ』から帰って来た以上、早く結婚して子供を産むのがカーカ市民の義務ではあるのですが、持ち込まれる「見合い話」は年上ばかり。上司と
の不倫が思い出されるため、どうにも気が進みません。さらに、仕事の無いカーカで、収入を得る方策も考えなければなりませんでした。色々と情報
を集めている内に、カーカへやってきた若い男の移民について、噂を聞きます。

 その男は、娘(あるいは妹?)2人を連れて、農園を経営しているようです。小麦が豊作だったことに加え、ジャガイモでかなりの収入を得たらしい。
顔は強面、無愛想。人嫌いのようで農園を離れることはほとんどなく、押しかけ女房を試みた若い娘達はすべて撃退された。

色々と思いついたフィオナ嬢は、強引にバクスター農園へ押しかけ、「年上の落ち着いた色香」でもって彼を篭絡し、(実際には多分、篭絡とは違うと
思いますが)ビール醸造に必要な大麦栽培と、資金提供を約束させたのです。もちろん、フィオナ嬢も手持ち資産のすべてを投じる訳ですが。

エール醸造

 醸造規模1,000リットル。フィオナ嬢が1人でビール醸造を行ないます。
 本当ならば、1年目は100Lの最小規模で醸造を行い、数年掛かりで徐々に規模拡大を計っていくべきなのですが、焦る彼女は無謀にも、1,000L
から初めてしまいました。 まずは、麦芽購入のコスト比較から。上面発酵ですので、1バッチの製造には18日しか掛かりません。計算を簡単にする
ため、期間を20日と考えておき、年間18バッチの製造を目指します。醸造単位は、1回当たり1,000リットル。
1,000Lのエール製造に必要な原料を逆算して求めます。大麦麦芽の使用量は、200g/Lとしました(1,00×0.2=200kgです。高級度+5)。上記の
分量で18回製造しますから、200kg×18で3,600kg(エール18KLの製造)。

麦芽製造−1.貯蔵    2ヶ月以上
 貯蔵施設は3,600kg分ということで、120sqm(3.0tonの1.2倍)が必要です。建設費が30,000cr(=250cr×120sqm)。年間365日の24時間稼動に
切り換えて、維持費は4.8cr(=4cr×1.2)×52週=250crでした。

麦芽製造−2.浸麦過程  1日半(おおよそ2日)
 200kgの大麦の浸麦過程には、300L(=0.30KL)のタンクが必要です。給排水の配管付きで、300cr。水道水(1cr/KL)を、純水精製装置(10,
000cr)に通して、精製水1.0KLを造ります。非水海洋世界なので、水道水の価格は4倍(4cr/KL)になり、1.KL当たり4.0cr。1.0KLの精製コストは、
1.0cr。合わせて14cr×18バッチ=252cr。
浸麦に使う水のコストは、原料代として後の方で加算。

麦芽製造−3.発芽    7日
 貯蔵設備の項目で計算済み。追加コストもなし。

麦芽製造−4.乾燥/焙煎 1日
 自動制御装置付きの乾燥窯(高温用)を購入します。今回も黒エール化狙いで、高級度+10。
麦芽200kgを扱うので、規模は6.667sqm(=3,333cr)。200kgの乾燥には37.5crの燃料代(=125cr×1.5×0.20ton)が掛かりますので、18回の乾
燥で年間675cr。

麦芽製造−5.根掻き   1日
 自動篩機2台(処理能力30kg/h、6,000cr)を購入。200kgの処理に6.67時間が掛かります。維持費は30cr。

 以上、麦芽製造工程だけで、39,633crの投資と、維持費955cr、11日間が必要になりました。

 これに、フィオナ嬢の人件費12,000cr(=身分度4を想定して、月給1,000cr×12ヶ月)と、大麦の原料代、6,384cr(=33.6ton×190cr)を加えたも
のが、麦芽の製造コストとなる訳です。初期投資が39,633cr、これの20分の1を減価償却するとして1,982crを維持費に加算しました。
年間維持費は955cr+12,000cr+6,384cr+1,982cr=21,321cr(全体の56%が人件費)。

 加工済みの麦芽を星系外(農業世界のレック)から輸入する場合、農業世界の価格を適用して、1kg当たり1.5cr×3,600kg=5,400cr。麦芽3,
600kgは、商船の船倉容積1排水素トン(=13.5KL)に難なく収まる筈なので、1パーセク分の運賃は1,000cr。運賃を加算しても6,400crですので、
明らかに「輸入した方が格安」だと確認できました。

 フィオナ嬢の人件費を無視できるのであれば、年間維持費を9,321crまで圧縮できますが、それでもまだ割高です。
もう少し、生産効率を上げるため、規模を拡大する方が良いでしょう。複数のバッチを並行して進め、機械の稼働率を上げれば、初期投資と維持費を
もう少し圧縮できる筈。
外貨獲得の問題さえなければ、輸入すべきですね。いや、そもそもカーカでの醸造を諦めるべきか(苦笑)。

エール醸造−1.仕込み  1日
 動力式製粉機2台(処理能力20kg/h、10,000cr)を購入して、200kgの麦芽を10時間で粉砕。
維持費50cr。糖化釜の大きさは1,000L(1,000cr)。維持費は1回当たり1.0cr×18回なので、18cr。

エール醸造−2.煮沸   時間不明
 煮沸釜の大きさも1,000L(1,000cr)。維持費(燃料代)は、5.0cr×18回なので、90cr。
濾過装置が50,000cr(処理能力5KL/h)で作業時間は0.2時間(12分、維持費5.0cr×18回=90cr)。

エール醸造−3.発酵   7日
 容量1,000Lの小規模醸造装置(40,000cr:高級度-15)によって、上面発酵を行ないます。維持費400cr。

 難易度は〈易〉なので、まず「失敗しない」と解釈しました。一応、彼女は経験者ですし、〈生物学−2〉の技能もありますから。
 発酵完了後に、再度の濾過作業を行ないます(1,000L分なので、維持費5.0cr×18回=90cr)。
貯蔵スペースとして、1バッチ分(販売中の分)1,500Lのタンクを用意。必要な床面積は1.0sqmで十分(1,500Lまで可)。購入費用が250cr(=250cr
×1.0sqm)、維持費が208cr(=週4.0cr×52週)。

エール醸造−4.出荷
 年間でエール18KLが出荷できると想定。623.7mlのビール瓶で、28,860本に相当(3週間当たりの生産量が1,600本、1日当たり80本)。
醸造行程の初期投資が102,250cr、維持費が946cr、8日間になりました。

原材料のコスト計算
大麦3.6ton(×生産者価格190crを想定して)が、684cr。大麦麦芽については、諸般の事情より、国産品に拘ります。
ホップが(18KL×2.5kg=)45kgで、(1kg単価を75cr+輸送費25cr=100crとして)4,500cr。

原料用の水18KL、洗浄/消毒用の水180KLと、浸麦用の水18KLには、精製した水道水を用います。合計で216KLです。水道の水(1cr/KL)が
216KLで216crですが、非水海洋世界なので4倍の864cr。純水精製装置が1台10,000cr、維持費が精製水1KL当たり10cr。216KLの精製水を得
るために、3,024crが掛かります。
酵母、1KL当たり500gなので、18KLのビールには9kgが必要。1kg当たりの単価は500crで、9kgは4,500cr。

人件費は1人分。フィオナ嬢が行うので、不要。
初期投資(精製装置)に10,000cr、維持費(コスト)が12,708crです。

麦芽製造工程  初期投資 39,633cr  維持費  955cr  所要日数 11日
ビール醸造行程      102,250cr       946cr       8日
原材料/人件費      10,000cr     12,708cr

以上の合計   初期投資 151,883(100Lの2倍) 維持費 14,609cr  所要日数 19日
ビール1リットル当たりの単価が、14,609cr/18,000L=0.812cr/L。
大瓶1本当たりに直すと、0.587cr。

ビールの高級度
麦芽使用20%       +5 1L当たりの麦芽使用量が200gなので、200/10−15=+10。
ホップ使用量       +10 1L当たりのホップ使用量が2.5gなので、2.5*10−15=+10。

美少女による手摘みホップ +5 
無農薬大麦        +10
無農薬ホップ       +10
上面発酵         +10

小規模醸造装置で作った  −15
黒ビール         +10
精製装置を通した水道水  −3 合計+42「高級ビール」

ビールの味に対する社会の評価
+42なのでDMは+2.2(切捨てして、+2)。高い確率で「普通(販売0、価格0)」となります。運が良ければ「美味しい(販売+5、価格+2)」にな
って、大きな売上げを得られるでしょう。
(編: 勝手ながらサイコロを振らせていただきました。出目は4 + 2 = 6 「普通」です。価格はx6.2もしくはx3.1で、直売なら大びん3.6Cr、小売りを通す
なら1.8Crです。瓶の代金は原価に含んでいません)