The Best Weapon
49th stage ( Artillery 5)
Armor Value for Tank

最強兵器 決定戦
第49回(砲兵5)
戦車の装甲値
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MEGA TRAVELLER
 


 

戦車装甲無敵だが、
   その無敵歩兵相手限定される。



 前回は、榴弾(HE)を用いた「直接照準射撃」について考察しました。

 膨大な砲弾の消費を伴う「間接射撃」と比べると、「直接照準射撃」は 砲弾の消費量を「12分の1(照準−0)」から「3分の1(照準−2)」、「5分の3(照準−4)」に抑えることが可能です。
 「塹壕の中へ直接、榴弾を撃ち込む」とか 「トーチカの銃眼を狙って撃つ」といった戦術を用いることによって、更に効果的な節約ができるでしょう。

 しかし「直接照準射撃」には、大きな弱点が存在しました。
 それは目標を視認しなければならないこと、そして相手から反撃を受けること。
 そうなった場合、通常の砲兵は非装甲で無防備ですから、敵歩兵のライフル射撃に耐えることができません。
 「直接照準射撃」を行う砲兵は身を守るため、装甲を纏うようになりました。
 機動力装甲の2つを備えた砲兵=戦車の登場です。



 今回は、その戦車が必要とする装甲の厚さ (=装甲値)について、考察しました。



21013.07.07

 超遠距離〜中距離における歩兵の対戦車攻撃力の評価に、移動DMについての考察を追加しています。





メガトラの装甲値


 メガトラの個人戦闘ルール、及び、輸送機器設計ルールから、装甲値について考えてみました。



(1)装甲値の扱い

 メガトラにおいて、攻撃に対する輸送機器や防具の防御力は装甲値という数値で表現されています。
 個人用の防具はあらかじめ装甲値が設定されていますし、輸送機器についてはそれを設計する際、 船殻(船体)の重量と価格に以下の修正値を掛け合わせることで、任意の装甲値を与えることができるのです。



 レフリーズ・マニュアル、p.62より、 装甲値装甲修正値の一部を抜粋しました。


             表1 メガトラの装甲修正値

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 表の左端が装甲値
 その隣に記載された数値が、それぞれの装甲値に対応した装甲修正値です。
 例えば装甲値=4の輸送機器は、船殻の重量と価格に1.0を掛けますが、 装甲値=40の輸送機器は33.0を掛けなければなりません。

 上の表を見ればすぐに分かると思いますが、装甲値装甲修正値明らかに比例していませんでした。

> 装甲値40とは、均質圧延鋼換算で33cmに該当する

 という情報から考えると、 装甲修正値RHA換算の装甲厚(cm)、 という解釈が妥当なのかも知れません。
 装甲値=10ならばRHA換算で2.5cm装甲値=4ならばRHA換算で1.0cmという風に。
 RHAとは均質圧延鋼のことですが、 装甲の強さはRHA換算の装甲厚さだけで評価できるものではありません。 RHA換算だけに拘るのもどうかと思いますが。



 表の右側は、装甲値10、20、40を基準として計算し直した装甲修正値です。
 それぞれの装甲修正値が、装甲値10、20、40を基準にして何倍となっているか、 分かり易くするため再計算して、表に示しました。

 装甲値10の輸送機器が装甲値を20に増やす際は 装甲修正値が2.38になるため、船殻の重量と価格も2.38倍になる、といったことが分かります。
 装甲値40の輸送機器が装甲値を50や60に増やす際は 装甲修正値が2.42と5.76になるため、船殻の重量と価格も……という訳です。
 但し、装甲値の上限は、その輸送機器を製造するテックレベル×5ですので、 テックレベル8ならば装甲値=40が上限、 テックレベル14ならば装甲値=70が上限となっていました。

 メガトラにおいては、その輸送機器(=戦車)に与えられる 装甲値の上限が決められているのです。
 そのため、無制限に厚い(丈夫な)装甲を与える訳にはいかないということを、承知しておいてください。




(2)Gキャリアーの装甲

 装甲強化の具体例として、装甲値=10Gキャリアーを取り上げてみました。
 一応、帝国百科、p.77に記載されているGキャリアーと同じものですが、 例によって英文エラッタで一部のデータが修正されています。御注意下さい。

 考察に先立ってメガトラの輸送機器設計ルールでGキャリアーを再設計した結果から、 船殻パワープラント滑空式サスペンション(標準型反重力)その他の各部位が、全体の総重量、建造費の中でどれだけの比率を占めているかを求めてみました。


          表2 Gキャリアーの船殻重量比/価格比

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 Gキャリアーの総重量、建造費の中で、 船殻の重量と価格は、総重量の40.4%、建造費の1.3%を占めていました。
 価格は大したことありませんでしたが、重量で4割(40.4%)という数字には驚きを隠せません。
 Gキャリアーの中身が軽いということもあるのでしょうが、 重装甲の船殻は重いということの証左でもあります。

 出力=54Mwのパワープラントは、総重量の36.2%、建造費の50.7%を占めています。
 Gキャリアーの建造費の半分以上は、パワープラントの価格だと分かりました。
 損傷を受けた際は、修理費の大部分もパワープラントに掛かってくるのでしょう。

 滑空式サスペンション(標準型反重力)は、総重量の6.5%、建造費の5.1%だけでした。

 その他の部位は、兵器やコンピュータ、居住設備などのことですが、 総重量の16.9%、建造費の42.9%を占めていました。



 ここで、Gキャリアーの重装甲化を試みてみます。
 船殻装甲値を増やしてみたら、 Gキャリアー全体の総重量と建造費はどのぐらい増えるだろうか、という実験をしてみました。
 重く、高価になるのは船殻だけで、パワープラント滑空式サスペンション(標準型反重力)その他の部位は変更しません。



 以下の数値が、Gキャリアー装甲値を増減してみた結果です。


             表3 Gキャリアーの重装甲化

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 1番上は、 Gキャリアー装甲値まで減らした場合です。
 装甲値10を基準として再計算した装甲修正値0.4
 船殻の重量と価格に0.4を掛け合わせた結果、 Gキャリアーの総重量は0.76、 建造費は0.99となりました。
 軽量化を目的としたのであれば十分な結果ですが、建造費の節約には効果が有りません。

 2番目は、比較基準とするための数値。装甲値=10そのままのデータです。

 3番目は装甲値20まで増やした場合。
 再計算した装甲修正値2.38で、 船殻の重量と価格も2.38倍。
 Gキャリアーの総重量は1.56倍、 建造費は1.02倍となりました。
 増えた船殻の重量が積載可能な貨物重量にほぼ等しいため、 このGキャリアーは貨物をほとんど積めなくなります。 かろうじて飛行は可能ですが、貨物や人員の輸送は困難になるでしょう。

 4番目は装甲値30まで増やした場合。
 Gキャリアーの総重量は2.87倍で、 建造費は1.06倍でした。
 これだけ重くなってしまうと、もうGキャリアーは飛行できません。 パワープラント滑空式サスペンション(標準型反重力)の双方を 強化することが必要になります。

 5番目は装甲値40まで増やした場合。
 総重量は5.93倍で、建造費は1.16倍まで増えました。
 滑空式サスペンション(標準型反重力)の数を6倍まで増やさなければ、 Gキャリアーは飛行できません。 ついでにパワープラントの出力も5割増しにしなければならないでしょう。
 船殻だけの建造費ならば大した増加ではないのですが、 パワープラントが大きくなる訳ですから、それに伴う建造費の増加が懸念されます。




(3)反重力戦車の装甲

 装甲強化の具体例としてもうひとつ、装甲値=40反重力戦車を取り上げてみます。
 今回は、反乱軍ソースブック、p.86から抜粋。 これも英文エラッタで一部データが修正されていました。

 以下は、反重力戦車−トレピダを再設計した結果です。
 再び、船殻パワープラント滑空式サスペンション(標準型反重力)その他の各部位が、全体の総重量、建造費の中でどれだけの比率を占めているかを求めてみました。


           表4 反重力戦車の船殻重量比/価格比

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 反重力戦車の総重量、建造費の中で、 船殻の重量と価格は、総重量の42.8%、建造費の5.1%を占めていました。
 その傾向はGキャリアーの場合と類似しており、 重量が42.8%という数字になっているのです。
 メガトラ的に、船殻の重量比は4割が妥当なのかも知れません。

 出力=126Mwのパワープラントは、総重量の30.7%、建造費の21.1%を占めていました。

 滑空式サスペンション(標準型反重力)は、総重量の11.7%、建造費の6.1%です。

 その他の部位は、総重量の14.8%、建造費の67.7%を占めていました。 これは管制装置であるコンピュータの影響が大です。



 ここでも反重力戦車の重装甲化を試みてみました。
 その結果は以下の通りです。


             表5 反重力戦車の重装甲化

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 1番上と2番目は、 反重力戦車装甲値2030まで減らした場合の数値です。
 装甲値40を基準として再計算した装甲修正値は それぞれの場合で0.180.43でした。
 船殻の重量と価格にその数値を掛け合わせると、反重力戦車の総重量は、 装甲値=20の場合で0.67倍装甲値=30の場合で0.77倍まで軽くなりました。
 建造費は0.99で大きな変化がありません。

 3番目は比較基準とするための、装甲値=40そのままのデータです。

 4番目と5番目は装甲値5060まで増やした場合。
 再計算した装甲修正値2.425.76で、 反重力戦車の総重量は1.57倍2.92倍になりました。
 建造費は1.02倍1.06倍です。
 反重力戦車は高い機動力を得るため大出力の滑空式サスペンションが搭載されていますが、 それでも自重の2倍までしか飛行できません。 装甲値=50反重力戦車は飛行可能ですが、その動きは鈍重になるでしょう。 装甲値=60の場合、滑空式サスペンションを強化しなければ、浮かぶことすらできません。

 6番目以降は冗談のような数値になってしまいましたが、装甲値80100120まで増やした場合です。
 テックレベルによる装甲値の上限から、 ここまで大きな装甲値を与えることはできませんが、 反重力戦車の総重量はそれぞれ13.8倍73.4倍420倍まで増えてしまいました。 まともに飛行云々を考えられる状況ではないでしょう。



 実際に、異なる装甲値トレピダを設計してみたところ、 その重量と建造費は以下のようになりました。


             表6 反重力戦車の重装甲化

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 表の一番上は、装甲値=40で再設計した 公式設定通りトレピダ
 船殻の重量は全体の40.4%、価格は建造費の1.3%で、肝心の総重量は146.8トン、建造費は10.64MCrでした。
 「反乱軍ソースブック」に記載されたデータと若干の違いがありますが、誤差ということで御容赦ください。

 その次は、装甲値50まで増やしたトレピダ
 船殻の重量と価格は装甲値=405.76倍
 全体の総重量は212.2トン1.45倍、 建造費は11.69MCr1.10倍に増えました。

 その下は、装甲値60まで増やしたトレピダです。
 船殻の重量と価格は装甲値=402.42倍
 パワープラントと反重力ユニットの容積が大型化したため、船殻の容積も18排水素トンに増えてしまいました。
 全体の総重量は459.3トン1.73倍、 建造費は18.41MCr1.73倍です。
 価格の増加だけならばともかく、容積や総重量が大きく増えてしまったことから考えると、 装甲値60まで増やすことは困難なようです。

 最後は装甲値をテックレベル上限の70まで増やしたものです。
 船殻の重量と価格は装甲値=4032.7倍
 パワープラントと反重力ユニットに合わせて、船殻の容積は100排水素トンに激増しました。 まるでククリーが作った戦車のようですね(苦笑)。
 全体の総重量は3,570トン24.3倍、 建造費は94.3MCr8.86倍です。
 どう見ても大きくなり過ぎました。 装甲値70まで増やすことは、この仕様では不可能なのです。




(4)装甲値の限界

 上記の通りGキャリアー反重力戦車の二例を挙げて考察してみましたが、 トラベラー世界における戦車装甲値は、 50〜60程度が限界となっているようです。
 重量とコストの兼ね合いを考慮するのであれば、 トレピダと同じ40が適切な数値かも知れません。



 そのあたりの問題を、実際の対戦車戦闘から考えてみましょう。





歩兵による対戦車戦闘


 戦車の装甲は本来、歩兵が持つ個人用携帯火器(歩兵用ライフル)支援火器(機関銃)から身を守るため、纏っているものです。
 対戦車砲が普及してくると、 戦車の装甲はそれらの対戦車砲への防御力も期待されるようになってきますが、 対戦車砲戦車の装甲と共に発展してくるものなので、 対戦車砲の貫通力と比較しても、あまり意味がありません。

 本来の存在理由に立ち返り、 此処では個人用携帯火器支援火器の威力から、 戦車の装甲値について考えました。




(1)個人用携帯火器の命中難易度と貫通力

 まずは、個人用携帯火器支援火器も含む)の命中難易度を考えてみます。



 プレイヤーズ・マニュアル、p.73から直接射撃難易度表を抜粋しました。
 多用されるであろう、武器付属品類を用いた場合の命中難易度も併記してあります。


              表7 直接射撃難易度表

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 中距離から遠方の距離帯における、命中難易度です。



 勝手な想定ですが、歩兵が対戦車戦闘を行う距離帯は、超遠距離(250〜500m)だと判断しました。

 より離れた遠方(500m〜5km)では多くの場合、個人用携帯火器の射程が足らず、その攻撃が届きません。
 それに加えて考察の後半で明らかになることですが、戦車との距離が遠距離(50〜250m)よりも近くになると、 個人用携帯火器による戦車の撃破率が大幅に上がってしまうことが分かっています。
 そういったリスクを抱えている以上、余程の必要性に迫られない限り、 戦車が歩兵に対して、自ら超遠距離より近い距離帯(遠距離以内)へ接近することはないでしょう。



 また、これも勝手な想定ですが、歩兵が対戦車戦闘を行う状況は、 彼らが遮蔽物の陰に隠れて移動しない状況だと思われます。
 ですからプレイヤーズ・マニュアル、p.73に記されている ジャイロ・スタビライザーの効果

> 移動速度がゼロで、1マスも移動せず、固定物で武器を支えて射撃した場合には、
> ジャイロ・スタビライザーが装備されているものとして扱ってもよい。


というルールが適用できるでしょう。



 そう考えた結果、個人用携帯火器の命中難易度は、
 照準器なしの条件で〈至難:15+〉照準器ありの条件で〈難:11+〉
 になりました。

 しかし、ちょっと思い出してみましょう。
 前回の考察「砲兵4、直接照準射撃−榴弾」でも説明しましたが、 「自動車以上の大きさ。動物なら重量500キログラム以上、ロボットなら機体容量500リットル以上。」を目標とした射撃は、 その命中難易度がひとつ低く(易しく)なるのです。
 当然、上記の命中難易度もひとつ低く(易しく)修正されなければなりません。



 修正された命中難易度は、以下の通りです。


         表8 直接射撃難易度表(目標が大きい場合)

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 大きな目標を狙うことで命中難易度が修正された結果、個人用携帯火器の命中難易度は、 照準器なしの条件で〈難:11+〉照準器ありの条件で〈並:7+〉です。



 命中難易度が明らかになったので、次は個人用携帯火器の貫通力について考えます。
 すでに幾度か掲載している、距離帯によって変化する貫通力の表を再掲載しました。


            表9 距離帯による貫通力の低下

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 トラベラー世界の銃器には、減衰率という数値が存在します。
 その数だけ距離帯を横切る毎に貫通力が半減する(端数切捨て)というルールになっている訳ですが、 戦場で使用される個人用携帯火器の場合、その多くは減衰率が2〜3でした。
 距離帯の近距離、中距離、遠距離の3つにおいては、貫通力は初期値のままですが、 その次の超遠距離では貫通力が半減してしまう、ということになります。 貫通力が2の場合、貫通力の半減は遠距離からですので、超遠距離で半減していることは同じ。

 そう、個人用携帯火器の多くは、 対戦車戦闘を行うことの多い距離帯=超遠距離で、貫通力が半減するのです。
 これは意外と重要な事実なのではないでしょうか。




(2)超遠距離における対戦車戦闘

 歩兵が対戦車戦闘を行う際は、 手持ちの個人用携帯火器を総動員して射撃を行うことになります。
 専用の対戦車兵器が手元にあれば一番良いのですが、あまりにもデータ量が多くなり過ぎたので、 対戦車兵器は次回の考察に回しました。此処では対象外となります。



2013.07.07 加筆

 掲示板にて、橘様から「移動DM」に関する考察が不足している、という主旨の指摘を受けました。

 言われてみれば、確かにその通りです。
 考察を書き始めた時点では、対戦車攻撃力の評価を超遠距離(250m〜500m)に限定していましたので、 移動DMに関する考察が不要だと考えていました。
 超遠距離での移動DMは、至近/近距離(0m〜5m)で求めた数値、移動速度10km/h毎に−1という数字を10分の1へ減じた数値でしかありません。 別の見方をすれば移動速度100km/h毎に−1しかない、ということです。
 地上を這い回る戦車が200km/hという高速で走れる筈がありませんし、 トラベラー世界の反重力戦車も、航空電子機器による速度制限が存在するため 障害物を利用できる地表ぎりぎりの飛行速度が最大でも190km/hに制限されていました。
 この速度で移動していても、超遠距離の場合、 その速度によって生じる移動DMは「−1」だけなのです。
 命中判定に−1のDMが加わる程度では、戦闘に大きな影響を与えられません。
 ですから、超遠距離の戦闘だけに限って言えば、移動DMを無視しても問題なかったのですが……。

 遠距離(50m〜250m)まで接近した場合、移動DMの減少は4分の1です。
 別の見方をすれば時速40km/h毎に−1の移動DMが発生するということで、最高速度190km/hの場合は−4の移動DMになりました。
 更に接近して中距離(5m〜50m)となった場合、移動DMの減少は2分の1。
 時速20km/h毎に−1の移動DMが発生してしまうのですから、最高速度の190km/hで移動していれば−9の移動DMになるでしょう。

 橘様の指摘通り、中距離での対戦車戦闘は移動DMの影響が極めて大きいと判明しました。
 移動速度の大きさによっては、遠距離での対戦車戦闘にも影響が出るでしょう。
 何らかの手段や作戦によって攻撃目標である戦車を足止めし、 不利な移動DMが生じないようにしなければならないのです。

 以上、加筆部分は終わり。



 歩兵が重機関銃軽機関銃ライフル軽突撃銃戦闘ライフル磁気ライフルなどの銃器で、 対戦車戦闘を行った際のダメージ期待値について計算しました。
 以下はすべて、セミオート射撃1回毎のダメージ期待値ですから、 命中判定3回や4回のフルオート射撃を行う場合は、下記の数値を3倍か4倍してください。



 まずは装甲値=4の非装甲車輌、エアラフトを攻撃した場合から。
 ちなみにエアラフトの船殻(車体)耐久値は36で計算しています。


       表10 超遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=4)

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 表の左端は、個人用携帯火器支援火器も含む)の武器名です。
 上から順に重機関銃軽機関銃ライフル軽突撃銃磁気ライフルが並んでいます。
 恐れ入りますが、戦闘ライフルについては重機関銃の欄を見てください。 貫通力やダメージに関する数値は全く同じですので。

 次の数値は貫通力。超遠距離における、その銃器の貫通力を示しました。
 この距離帯では重機関銃の貫通力軽突撃銃の貫通力磁気ライフルの貫通力が目立ちます。

 さらに右側の欄は、貫通状態。
 先程の貫通力が、目標のエアラフトに対して「完全貫通」を得ているのか、 「部分貫通」に過ぎないのか、それとも「無貫通」なのかを示しています。
 状態は上下に2つ示されているものが多くありますが、上半分は通常の射撃による貫通状態で、 下半分は「狙い撃ち」を行って装甲値半減の効果を得た場合の貫通状態です。
 考察の38回「援護物と狙い撃ち」で明らかになった通り、 「狙い撃ち」による装甲値半減を行っても その射撃によるダメージ期待値が増えることはめったにありません。
 よほど重装甲の目標を攻撃しない限り、「狙い撃ち」のメリットはほとんどないと思われます。

 次の欄は命中難易度。表8に示されている、目標が大きな場合の難易度です。
 前述の通り、その難易度は〈並:7+〉から〈難:11+〉ですが、 「狙い撃ち」を行う場合は 難易度がひとつ上がって〈難:11+〉から〈至難:15+〉になります。

 最後の欄が本題であるダメージ期待値。
 射撃1回毎に期待できるダメージを示しました。射手のDM+2と+4の場合について計算してあります。



 重機関銃軽機関銃は、反動が「高」なので移動しながら撃つことができません。
 射撃は常に停止した状態で行われ、専用の三脚や二脚が付属していますので当然のように 「ジャイロ・スタビライザー付き」として扱われます。
 また、私の独断ですが「照準器付き」としても扱うことにしました。 そうしないと、重機関銃軽機関銃は、 単にフルオート射撃が可能な歩兵用ライフルに相当する性能しか持つことができません。 史実のような存在意義を発揮させるためには、最低でも「照準器付き」として扱わなければならないのです。

 重機関銃軽機関銃の命中難易度は〈並:7+〉
 「無貫通」の状態でのダメージ期待値は、どちらも0.86〜1.58
 エアラフトを撃墜するためには、23回〜42回の射撃が必要になるでしょう。

 ライフルも貫通状態は「無貫通」ですが、 上記の重機関銃軽機関銃と比べて、命中難易度がひとつ下がっています。
 ダメージ期待値は0.08〜0.36
 エアラフトを撃墜するまで、100回〜433回の射撃が必要になりました。

 軽突撃銃エアラフト装甲値=4に対して、 「部分貫通」を得ることができました。
 とは言っても劇的な結果にはならず、ダメージ期待値は0.61〜1.89
 エアラフトを撃墜するまで、19回〜59回の射撃が必要です。

 戦闘ライフルについては前述の通り、重機関銃の欄を御覧ください。
 貫通状態は「無貫通」ですが、戦闘用電子照準器を装備できますので、 それを装備している「照準器付き」として扱います。
 命中難易度は〈並:7+〉でダメージ期待値は0.86〜1.58
 エアラフトを撃墜するためには、23回〜42回の射撃が必要でした。

 磁気ライフル装甲値=4に対して 「部分貫通」を得ていました。
 磁気ライフル戦闘用電子照準器を装備できますので、 それを装備している「照準器付き」として扱います。
 やはり命中難易度は〈並:7+〉でダメージ期待値は3.83〜6.56
 エアラフトを撃墜するためには、6回〜10回の射撃で十分でしょう。 フルオート射撃を用いれば1〜2戦闘ラウンドでの撃墜が可能だということです。怖い話ですね。



 今度は装甲値=10の軽装甲車輌、Gキャリアーの場合です。
 Gキャリアーの船殻(車体)耐久値は、72で計算しています。


      表11 超遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=10)

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 装甲値=10の目標を攻撃する場合、 ほとんどの個人用携帯火器の貫通状態が「無貫通」です。
 唯一の例外が「狙い撃ち」をした磁気ライフルによる 「部分貫通」でした。



 重機関銃軽機関銃のダメージ期待値はそのまま、 0.08〜0.36です。
 Gキャリアーを撃墜するまで、49回〜84回の射撃が必要でした。

 ライフル軽突撃銃によるGキャリアーの撃破は困難です。
 ダメージ期待値は0.08〜0.36で、撃墜するまでには200回〜865回の射撃が必要。

 戦闘ライフルのダメージ期待値は 重機関銃と同じで0.08〜0.36
 撃墜まで49回〜84回の射撃が必要です。

 磁気ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58。 撃墜するまで46回〜84回の射撃が必要です。
 「狙い撃ち」をして装甲値半減の効果を得ると 「部分貫通」になり、ダメージ期待値は0.61〜1.89
 命中DMが大きければ「狙い撃ち」も有効な攻撃となるようです。



 今度は装甲値=20の重装甲車輌ですが名称未定
 名称未定の船殻(車体)耐久値は、90で計算しています。


      表12 超遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=20)

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 流石に装甲値=20と称えるべきでしょうか。
 ほぼ全ての個人用携帯火器の貫通状態が「無貫通」となりました。
 例外は通常射撃の軽機関銃ライフルですが、 これらの攻撃は英文エラッタで追加された、

> もしも目標が装甲で完全に覆われており(=「全身装甲」の目標であり)、
> 同時に、貫通力が目標の「最も薄い」装甲値の10分の1未満であるならば、
> 例外的成功の結果が出ても無視します。


 というルールによって、「被害なし」となるでしょう。
 この場合、例外的成功による「ラッキーヒット」は期待できないのです。



 重機関銃のダメージ期待値は0.86〜1.58で、 撃墜するまで57回〜105回の射撃が必要です。

 軽機関銃は、通常射撃による攻撃が「被害なし」にしかならないので、 ダメージを与えるためには「狙い撃ち」を行わなければなりません。
 その場合のダメージ期待値は0.08〜0.36、 撃墜するまで250回〜1,080回の射撃が必要になりました。

 ライフルは、通常射撃でも「狙い撃ち」でも、ダメージを与えることができません。

 軽突撃銃のダメージ期待値は0.08〜0.36
 撃墜まで250回〜1,080回の射撃が必要です。

 戦闘ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58で、 撃墜まで57回〜105回の射撃が必要。

 磁気ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58。 撃墜するまで57回〜105回の射撃が必要です。



 最後は装甲値=40反重力戦車トレピダ
 トレピダの船殻容積は13排水素トンなので、耐久値は117で計算しました。


      表13 超遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=40)

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 多くの宇宙船と同レベルの装甲値=40です。
 ですから上記のダメージ期待値は、トレピダを攻撃した時と同じように、 宇宙船を攻撃した時にも適用できるでしょう。
 個人用携帯火器宇宙船を攻撃するなんてナンセンスだと感じる方は多いでしょうが、 困ったことにメガトラの個人戦闘ルールではそれが可能でした。

 ルールに記載されていない事柄はレフリーとプレイヤーの良識(常識)に任せます。

 というスタイルがデザイナーの方針となっているようですが、前述したルール、

> もしも目標が装甲で完全に覆われており(=「全身装甲」の目標であり)、
> 同時に、貫通力が目標の「最も薄い」装甲値の10分の1未満であるならば、
> 例外的成功の結果が出ても無視します。


 が英文エラッタで追加されたところから推測して、あちらでも何か公式な目安が必要だと判断されたのでしょう。



 装甲値=40トレピダに対して、 軽機関銃ライフルは一切のダメージを与えられなくなりました。
 貫通力の絶対的な不足が原因です。

 重機関銃戦闘ライフルは、 「狙い撃ち」による装甲値半減を利用することで、かろうじてダメージを与えられます。
 そのダメージ期待値は0.08〜0.36
 トレピダを撃破するまで324回〜1,405回の射撃が必要でしょう。

 軽突撃銃のダメージ期待値は0.08〜0.36
 撃墜までは同じく324回〜1,405回の射撃が必要。

 磁気ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58。 撃墜するまで74回〜136回の射撃が必要でした。



 以上の考察から判断して、装甲値=4エアラフトは、 銃撃に対して極めて脆弱だと判断できました。
 超遠距離であるため、ローテク世界のライフルならば、ほとんどダメージを受ける心配はありません。
 しかし「照準器付き」の重機関銃軽機関銃から撃たれた場合、 23回〜42回の射撃で撃墜されるということが判明しました。
 すぐに撃破されるという訳ではありませんが、無視できる訳でもないのです。
 ハイテク世界になると「照準器付き」の戦闘ライフルが普及するため、 装甲値=4エアラフトは、撃墜されるリスクが大きくなりました。
 磁気ライフルが用いられるようになると、 エアラフト6回〜10回の射撃で撃墜されてしまいます。

 装甲値=10Gキャリアーは、 個人用携帯火器に対して優秀な防御力を発揮するようになりましたが、 無敵を誇るにはまだ足りません。
 重機関銃軽機関銃戦闘ライフル磁気ライフルに撃たれた場合、46回〜84回の射撃で撃墜されてしまいます。

 装甲値=20の重装甲車輌名称未定は、 貫通力1の個人用携帯火器に対して無敵となりましたが、 貫通力2以上の重機関銃戦闘ライフル磁気ライフルに撃たれた場合は、57回〜105回の射撃で撃墜されてしまいます。

 装甲値=40トレピダは、 より多くの個人用携帯火器に対して無敵となりました。
 但し、通常射撃の軽突撃銃、 「狙い撃ち」の重機関銃戦闘ライフルに撃たれた場合は、 324回〜1,405回の射撃で撃墜されてしまうでしょう。
 磁気ライフルに撃たれた場合は、74回〜136回ですが。




(3)遠距離における対戦車戦闘

 戦車側にとって、あまり有り難いことではありませんが、 対戦している歩兵が対戦車戦闘を始めるまでに遠距離(50〜250m)へ近付くことに成功した、と考えます。
 そうした状況を考慮して、遠距離における対戦車戦闘も評価してみました。



2013.07.07 加筆

 前述の通り、遠距離(50m〜250m)まで接近した場合、時速40km/h毎に−1の移動DMが発生します。 190km/hで移動している場合は−4の移動DMになりますので、それなりの影響が生じてしまうでしょう。
 今回の考察では、移動DM=0でダメージ期待値を計算しています。御了承ください。

 加筆部分はここまで。



 今回も最初は装甲値=4の非装甲車輌、エアラフトを攻撃した場合からです。
 エアラフトの船殻(車体)耐久値は36で計算しました。


       表14 遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=4)

BW49_Fig14.gif - 13.2KB

 距離帯が、超遠距離から遠距離に変わることで最も大きな変化は、貫通力の増大でしょう。
 正確に表現するのであれば、 個人用携帯火器の多くは超遠距離で貫通力が半減するので、 遠距離ならば初期値の貫通力に戻るということなのですが。
 実際、重機関銃軽機関銃軽突撃銃戦闘ライフルの4種類は、その貫通力が元に戻って倍増しました。
 より良い貫通状態を得られることでしょう。

 もうひとつの変化は、命中難易度です。
 大きな目標を狙うことで命中難易度が修正された結果、個人用携帯火器の命中難易度は、 照準器なしの条件で〈難:11+〉照準器ありの条件で〈並:7+〉でした。
 しかし、距離帯が遠距離になると、照準器の有無に関わらず、 同じ命中難易度の〈並:7+〉になるのです。
 哀しいことに「照準器付き」のメリットが無くなってしまいました。



 重機関銃のダメージ期待値は2.72〜4.83で、 撃墜するまで8回〜14回の射撃が必要でしょう。
 超遠距離での射撃は23回〜42回でしたから、射撃効率は3倍も向上しました。

 軽機関銃ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58
 撃墜するまで23回〜42回の射撃が必要で、射撃効率は4倍〜10倍の向上。

 軽突撃銃は貫通力の高さを如何なく発揮しており、貫通状態が唯一の「完全貫通」。
 ダメージ期待値は7.67〜13.11ですから、 わずか3回〜5回の射撃でエアラフトを撃墜できると判明しました。 射撃効率の向上は6倍〜10倍。

 戦闘ライフルのダメージ期待値は 重機関銃と同じで2.72〜4.83で、 撃墜するまで8回〜14回の射撃が必要。射撃効率の向上は3倍。

 磁気ライフルのダメージ期待値は3.83〜6.56のまま。 撃墜するまで6回〜10回の射撃が必要であることも同じで、射撃効率の向上はありませんでした。
 もともと磁気ライフルのダメージ期待値は大きいので、仕方のないことでしょうが。



 今度は装甲値=10Gキャリアーです。
 Gキャリアーの船殻(車体)耐久値は72で計算。


       表15 遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=10)

BW49_Fig15.gif - 12.7KB

 装甲値=10の目標を攻撃する場合、 ほとんどの個人用携帯火器の貫通状態が「無貫通」です。
 例外は「狙い撃ち」をした重機関銃軽突撃銃戦闘ライフル磁気ライフルの4つによる 「部分貫通」でした。
 軽突撃銃磁気ライフルの2つだけは、 「狙い撃ち」によるダメージ期待値の向上が期待できるため、 以下の考察には「狙い撃ち」を含めています。



 重機関銃軽機関銃ライフル戦闘ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58でした。
 Gキャリアーを撃墜するまで46回〜84回の射撃が必要です。
 射撃効率はあまり変わらず、ライフルだけが4倍〜10倍の向上となりました。

 軽突撃銃磁気ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.89
 撃墜まで38回〜84回の射撃が必要で、軽突撃銃の射撃効率向上が目立っています。



 今度は装甲値=20名称未定の重装甲車輌です。
 名称未定の船殻(車体)耐久値は90で計算しました。


       表16 遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=20)

BW49_Fig16.gif - 12.7KB

 装甲値=20を相手にした対戦車戦闘は、 距離帯が超遠距離から遠距離に近付いても、あまり大きな変化がありませんでした。
 個人用携帯火器の貫通力では、その大半が同じ「無貫通」のままであるためです。



 ライフルだけは「狙い撃ち」をしなければダメージを与えられず、 そのダメージ期待値は0.08〜0.36
 名称未定の重装甲車輌を撃墜するまで250回〜1,080回の射撃が必要でした。
 超遠距離ではライフルに対して無敵だったのですが、 遠距離ではライフルにも撃墜されるリスクが生じてしまったのです。

 重機関銃軽機関銃軽突撃銃戦闘ライフル磁気ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58で、 撃墜まで57回〜105回の射撃が必要でしょう。
 軽突撃銃の射撃効率は4倍〜10倍に向上しました。他の銃器は変わりません。



 最後は装甲値=40反重力戦車トレピダ
 トレピダの船殻耐久値は117です。


       表17 遠距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=40)

BW49_Fig17.gif - 12.4KB

 装甲値=40トレピダに対して、 ライフルは一切のダメージを与えられませんでした。
 このあたりは、超遠距離と同じです。

 超遠距離でダメージを与えられなかった軽機関銃は、 「狙い撃ち」をすることで若干のダメージを与えられるようになりました。
 その際のダメージ期待値は0.08〜0.36
 トレピダを撃墜するまで324回〜1,405回の射撃が必要ですが、 決して、不可能なことではないのです。

 重機関銃軽突撃銃戦闘ライフル磁気ライフルのダメージ期待値は0.86〜1.58で、 撃墜まで74回〜136回の射撃が必要です。
 重機関銃軽突撃銃戦闘ライフルの射撃効率が、4倍〜10倍に向上しました。



 上記の通り、装甲値=4エアラフトは、 敵歩兵が超遠距離から遠距離に近付いてきた場合、撃墜されるリスクが3倍〜10倍に膨れ上がります。
 遠距離に近付かれるより早く敵歩兵を殲滅するか、それが困難ならば後退して距離を大きく取りましょう。 そうする以外に生き残る道はありません。

 装甲値=10Gキャリアーライフル軽突撃銃によって撃墜されるリスクが4倍〜10倍に膨れ上がりました。
 重機関銃軽機関銃戦闘ライフル磁気ライフルによる撃墜リスクはそのままですが。

 装甲値=20名称未定は、 ライフルによって撃墜されるリスクが生じるようになりました。
 また、軽突撃銃によって撃墜されるリスクは4倍〜10倍に増加しています。

 装甲値=40反重力戦車トレピダであっても、 個人用携帯火器に対して無敵では居られません。
 そして、撃墜されるリスクは超遠距離よりも遠距離の方が明らかに高いのです。
 ですから他の装甲車輌(戦車)と同じように、できるだけ超遠距離で敵歩兵を殲滅し、 遠距離へ近付かれそうになったら逃げる、という戦術を取るべきでしょう。




(4)中距離における対戦車戦闘

 更に戦車側が危うくなった状況を評価してみました。
 対戦している歩兵が中距離(5〜50m)まで接近することに成功し、対戦車戦闘を始めた、という想定です。



2013.07.07 加筆

 前述の通り、歩兵が中距離まで接近することに成功した場合、移動DMの減少は2分の1ですから、 時速20km/h毎に−1の移動DMが発生してしまいます。190km/hで移動していれば−9の移動DMですね。

 橘様の指摘通り、中距離での対戦車戦闘は移動DMの影響が極めて大きくなるのですが、 今回の考察では移動DM=0でダメージ期待値を計算しました。御了承ください。

 加筆部分はここまで。



 例によって最初は装甲値=4の非装甲車輌、エアラフトを攻撃した場合から。


       表18 中距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=4)

BW49_Fig18.gif - 13.1KB

 今回、貫通力の増大はほとんどありません。
 数少ない例外が、減衰率2のライフルで、 遠距離の貫通力が、中距離で貫通力に戻っていました。


 より大きな変化は命中難易度で、個人用携帯火器の命中難易度は、 照準器の有無に関わらず、命中難易度は〈易:3+〉 に下がっていました。
 命中難易度が易しくなった訳ですから、その分、例外的命中による「ラッキー・ヒット」も出やすくなります。
 ダメージ期待値も大きくなりますから明らかに戦車側のリスクが高まりました。
 具体的には、上の表の通りでしたが。



 重機関銃はより多くのダメージを与えられるようになりました。
 「狙い撃ち」を行うことで、ダメージ期待値が更に大きくなります。
 ダメージ期待値は7.08〜9.81。 撃墜するまで4回〜5回の射撃で十分でした。
 超遠距離での射撃と比べて、射撃効率は5倍〜9倍の向上です。

 軽機関銃ライフルのダメージ期待値は2.36〜4.83
 撃墜するまでの射撃回数は8回〜16回
 ライフルであっても簡単にエアラフトを撃墜できるようになりました。

 軽突撃銃は通常射撃でエアラフト装甲値=4を 「完全貫通」できる唯一の銃器ですが、そのダメージ期待値は18.9〜24.9に急増。
 撃墜に必要な射撃回数はわずか2回となりました。

 磁気ライフルのダメージ期待値は9.44〜13.1
 撃墜に必要な射撃回数は3回〜4回で、射撃効率の向上はほぼ2倍でした。 遠距離、超遠距離でのダメージ期待値が元々大きいので、射撃効率の向上は小さい倍率に留まっています。



 今度は装甲値=10Gキャリアー


       表19 中距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=10)

BW49_Fig19.gif - 12.8KB

 重機関銃戦闘ライフルのダメージ期待値は 2.72〜4.83でした。明らかに「狙い撃ち」を行った方が有利です。
 Gキャリアーを撃墜するまで15回〜27回の射撃が必要で、 超遠距離での射撃と比べて射撃効率がおよそ3倍に向上していました。

 軽機関銃ライフルのダメージ期待値は2.36〜3.11
 撃墜するまで24回〜31回の射撃が必要で、超遠距離での射撃と比べて射撃効率が3倍〜27倍の向上です。 特にライフルの効率向上が目立っていました。

 軽突撃銃のダメージ期待値は3.86〜6.56軽突撃銃も「狙い撃ち」を行った方が有利でした。
 撃墜までの射撃回数は11回〜19回。超遠距離での射撃と比べて16倍〜43倍の射撃効率向上です。
 中距離の距離帯限定ですが、ローテク世界において軽突撃銃は、 極めて有効な対戦車兵器と成り得るのではないでしょうか。

 磁気ライフルのダメージ期待値も3.86〜6.56
 撃墜に必要な射撃回数は11回〜19回で、射撃効率の向上はほぼ4倍〜6倍。



 今度は装甲値=20名称未定の重装甲車輌。


       表20 中距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=20)

BW49_Fig20.gif - 12.4KB

 重機関銃軽機関銃ライフル軽突撃銃戦闘ライフル磁気ライフル、 すべての銃器の命中難易度が〈易:3+〉で、貫通状態は「無貫通」でした。

 ダメージ期待値はすべて同一で2.36〜3.11
 名称未定の重装甲車輌を撃墜するまで29回〜39回の射撃が必要でした。



 最後は装甲値=40反重力戦車トレピダ


       表21 中距離における、歩兵の対戦車攻撃力(装甲値=40)

BW49_Fig21.gif - 12.4KB

 重機関銃軽突撃銃戦闘ライフル磁気ライフルのダメージ期待値は2.36〜3.11で、 トレピダの撃墜まで38回〜50回の射撃が必要です。
 重機関銃軽突撃銃戦闘ライフルの射撃効率は、8倍〜28倍の向上。
 磁気ライフルの射撃効率は、2倍〜3倍の向上でした。

 軽機関銃ライフルは 「狙い撃ち」を行わなければダメージを与えられず、 そのダメージ期待値は0.86〜1.58でした。
 撃墜するまで74回〜136回の射撃が必要となったようです。



 エアラフトの生存率は、遠距離の場合と比べて更に低くなりました。 敵歩兵に中距離まで近付かれた場合、数回の射撃で簡単に撃墜されてしまいます。

 Gキャリアーも、撃墜されるリスクが3倍〜86倍に膨れ上がりました。

 歩兵が中距離まで接近すると、どんな個人用携帯火器であれ、 容易に装甲値=20の重装甲車輌を撃破できると判明しました。
 メガトラにおいては、これが戦車の現実なのでしょう。

 装甲値=40反重力戦車トレピダも同様に脆弱な存在となるようです。




(5)装甲値の限界

 上記の計算結果から、

 メガトラの個人戦闘ルールで、無敵の装甲を持つことは難しい

 ということが言えました。



 貫通状態が「無貫通」であっても、 例外的成功による「ラッキー・ヒット」のルールが存在する以上、 どんなに重装甲の戦車であっても、与えられるダメージを無視できません。
 「ラッキー・ヒット」を完全に防ぐためには、 攻撃してくる銃器の貫通力と比べて10倍を超えた装甲値が必要なのです。

 例えば貫通力7の磁気ライフルに対して、「被害なし」の貫通状態を得るためには、 その戦車装甲値=80を与えなければなりません。 厳密に言えば装甲値=71以上を与えなければならないということですが、 計算が面倒になるので装甲値=80ということにしておきます。
 装甲値=8であっても装甲値=70であっても、 貫通状態は「無貫通」のまま、同じ状態になりました。 例外的成功による「ラッキー・ヒット」が有効な状態ですから、同じ期待値でダメージを受けるでしょう。
 逆の言い方をするなら極論ですが、貫通力7の磁気ライフルに対して、

 装甲値=8装甲値=70も同じ防御力しか持たない

 ということなのです。
 同じ防御力しか持たないのであれば、 戦車はできる限り薄い装甲を備えた方が良いことは間違いありません。
 戦車の装甲は薄い方が、より小型に、より軽量に、より安価に製造できるのですから。



 反重力戦車トレピダに与えられている装甲値=40では、 「ラッキー・ヒット」を完全に防ぐために、全く足りませんから、 装甲値=8でも装甲値=70でも装甲値=70でも 同じ防御力しか持たないのであれば、、貫通力7の磁気ライフルに対して、 トレピダ装甲値でも十分だと言えるのです。




 次に言えることは、厄介な問題として、

 「狙い撃ち」によって、目標の装甲値を半減できる(端数切捨て)

 というルールが存在することです。



 この目標の装甲値を半減できるというルールによって、 「ラッキー・ヒット」を防ぐために必要な装甲値、 つまり無敵の戦車に必要な装甲値は、一気に2倍へと跳ね上がりました。

 先程も例に挙げた貫通力7の磁気ライフルに対してならば、 半減されても「ラッキー・ヒット」を完全に防げる装甲値装甲値=150です。 厳密には装甲値=142以上を与えておけば半減しても装甲値=71以上が残る訳ですが、 計算を簡略化するため装甲値=150としておきますが。
 貫通力7の磁気ライフルに対しては 装甲値=16でも装甲値=70でも、 貫通状態は「無貫通」となります。
 再び逆の言い方をするならば、貫通力7の磁気ライフルに対して、

 装甲値=16装甲値=70も同じ防御力しか持たない

 ということになりました。

 貫通力7の磁気ライフルに対して、 トレピダ装甲値16で十分なのです。



 上記2つの問題点から、戦車に必要な装甲値を逆算してみました。

 まずは重機関銃ですが、重機関銃の貫通力は6です。
 貫通状態を「無貫通」にするため必要な装甲値ですが、 「狙い撃ち」による装甲値の半減を考慮するのであれば 必要な装甲値14以上となりました。
 貫通状態を「被害なし」にするためには装甲値=70が必要ですので、 重機関銃に対して無敵になることは困難なようです。

 次の軽機関銃ライフルは貫通力が3でした。
 「無貫通」に必要な装甲値ですが、 「狙い撃ち」を考慮するのであれば 必要な装甲値以上。
 「被害なし」にするためには装甲値=40が必要ですが、 この装甲値ならば、戦車に与えることは可能でしょう。

 軽突撃銃は貫通力が8です。
 「無貫通」に必要な装甲値で、 「狙い撃ち」を考慮すると18以上が必要。
 「被害なし」にするためには装甲値=90が必要で、 軽突撃銃に対して無敵になることも困難でした。

 戦闘ライフルに対する考察は重機関銃と同じ。
 「狙い撃ち」を考慮した上で 「無貫通」に必要な装甲値14以上。
 「被害なし」にするためには装甲値=70が必要ですから、 戦闘ライフルに対して無敵になることも困難です。

 磁気ライフルについても考察済みで、 「無貫通」に必要な装甲値以上、 「狙い撃ち」を考慮しても16以上が必要でした。
 「被害なし」にするのであれば装甲値=80が必要で、 それだけの装甲値はルール上の制限から与えることができません。



 これらの計算結果から考えて、歩兵が持ち歩く個人用携帯火器に対して、 貫通状態を「無貫通」にするため必要な装甲値です。 「狙い撃ち」による装甲値の半減を考慮するのであれば 必要な装甲値18になりました。

 歩兵が持ち歩く個人用携帯火器に対して、 貫通状態を「被害なし」にすることは困難です。 貫通力の小さい軽機関銃ライフルならばともかく、 軽突撃銃磁気ライフルに対して、 「被害なし」となる装甲値を与えることはどうやっても不可能でした。

 こういった状況(設計ルール、ラッキーヒットのルール)を考慮するのであれば、 「戦車は消耗品である」と割り切って、 装甲値=40で我慢する設計思想も「有り」なのではないでしょうか?





輸送機器の損傷判定


 折角ですので、輸送機器へのダメージ適用方法も考察しておきましょう。

 上記の考察において、個人用携帯火器の命中によって与えられるダメージは 「機体の耐久値」しか考慮しておりません。
 すべてのダメージが「機体」に命中している、という強引な想定です。

 実際にはそれ以外の命中箇所、例えば「搭乗員」や「パワープラント」、 「移動装置」などに、攻撃が命中する可能性もあるでしょう。
 そうした可能性を考慮しないのは不味いと分かっているのですが 「機体」以外への命中を考察に含めると評価基準が曖昧になってしまうため、 今回は「機体の耐久値」だけしか考慮しないことにした訳です。



 しかし実際の対戦車戦闘において、 戦車(及び輸送機器)はどのようなダメージを受けるのでしょうか?
 「プレイヤーズ・マニュアル、p.72」の輸送機器とロボットのダメージと、 「同、p.75」の命中箇所表から、その内容を以下にまとめてみました。


             表22 輸送機器の命中箇所表

BW49_Fig22.gif - 15.4KB

 輸送機器に攻撃(射撃)が命中した場合、まず、その攻撃が「無貫通」なのか、 それとも「部分貫通/完全貫通」なのかを確認しなければなりません。

 その攻撃が「無貫通」ならば自動的に「機体」への命中として処理されます。
 この場合は評価が簡単でした。
 与えられたダメージをそのまま「機体」に加算していき、 累積したダメージが「機体の耐久値の左側=無力化値」に達した時点で、その輸送機器は無力化されるからです。
 単純にダメージが累積していくだけですから、期待値計算も楽でした。

 「部分貫通」か「完全貫通」のどちらかならば、ちょっと面倒です。
 上の表で1回1D6を振り、大まかな命中箇所を決定しなければなりません。
 1D6の結果がならば機体表面への命中、 2〜3ならば搭乗員への命中、 4〜6はそれぞれ補助表1〜3を用いる、ということになっていました。

 表を分けるのが面倒なので、上の表には補助表1〜3を合成してあります。
 補助表1の場合は再度1D6を振って、 1〜5ならばパワープラントへの命中、 だけがコンピュータへの命中、といった具合。
 補助表2は、 1〜4積載機器5〜6武器への命中。
 補助表3は、 1〜4移動装置5〜6砲塔への命中、です。



 それぞれの命中個所への命中確率と、 ダメージの適用箇所と内容を、以下にまとめました。


         表23 輸送機器が受けるダメージの内容と確率

BW49_Fig23.gif - 15.0KB

 1番上の「機体」に命中する確率は、100%でした。
 表22にも示した通り、メガトラの個人戦闘ルールにおいては輸送機器に命中弾があった場合、 どの命中箇所であっても「機体」にダメージが適用されるルールです。
 ですから「部分貫通」か「完全貫通」のどちらかであっても、 戦車の無力化に必要な射撃回数を 「機体」だけで考える評価方法は、それほど間違っていないでしょう。

 2番目の「搭乗員」に命中する確率は、意外なことに3分の1(=33.3%)もありました。
 「機体」に与えたダメージの半分を、ランダムに選んだ乗員に適用するとのことですから、 その戦車に何人の搭乗員が乗っているとしても、 ダメージを受けるのは1人だけで良いと思われます。
 具体的に受けるダメージは「機体」に与えたダメージの半分ですから、1〜2ポイントの範囲でしょう。
 個人用携帯火器は基本ダメージが小さく、貫通状態も「部分貫通」が精々ですから、 それほど大きなダメージを与えられないのです。端数切捨てによって0ポイントのダメージしか与えられないことも多い筈。
 しかし、その戦車(輸送機器)搭乗員が見えている場合は 「狙い撃ち」で搭乗員命中を狙うことも可能だそうです。
 上記の搭乗員が見えている場合というのは、 英文の if the crewmember is visible から判断して、文字通り「見えている」状況でしょう。 ハッチを閉鎖した戦車の場合は「狙い撃ち」できそうにありません。

 3番目の「パワープラント」に命中する確率は36分の5(=13.9%)。
 「パワープラント」に命中してダメージが「パワープラントの無力化値」に達した場合、 その「パワープラント」は機能を停止します。 電力を必要とする機器、移動装置や武器、コンピュータは一切動かなくなりますので、多くの場合は行動不能。 飛行型の輸送機器は墜落という危機的な状況に陥ってしまうでしょう。
 ちなみに「パワープラント」の無力化値は、 Gキャリアーで2ポイント(機体は72ポイント)、 トレピダで9ポイント(機体は117ポイント)でした。 ルールの解釈によっては双方とも10ポイントまで底上げされます。
 「パワープラント」の耐久力は「機体」と比べて遥かに小さいので、 ここを「狙い撃ち」するという戦術も選択肢のひとつとして有り得ますが、 「パワープラント」を「狙い撃ち」した場合、 残念ながら装甲値半減の効果は得られません。 通常の装甲値で命中判定を行うことになります。

 4番目は同率の11.1%で「積載機器」と「移動装置」。
 「積載機器」については、重要な機器や探知機がなにかひとつ破壊される程度ですから、 それほど問題視する必要もないでしょう。
 しかし「移動装置」への命中は大問題です。
 「移動装置」の無力化値は、 Gキャリアーの1ポイントとトレピダの5ポイント。 これもルールの解釈によっては10ポイントまで底上げされますが、 明らかに「パワープラント」の無力化値より小さいのです。 下手をすれば、わずか1発の命中で機能停止という事態に陥るでしょう。
 「移動装置」を「狙い撃ち」する場合は通常通り、 装甲値半減の効果が得られます。 「移動装置」は数少ない戦車の弱点となってしまいました。

 6番目以降の「武器」、「砲塔」、 「コンピュータ」については、考察を省略します。
 「武器」が破壊された場合、武器をひとつだけしか搭載していない Gキャリアートレピダは自動的に戦闘不能になるとか、 「砲塔」が破壊された場合も 「砲塔」に搭載された唯一の武器が使えなくなるので、 トレピダはやはり戦闘不能になってしまうとか、 幾つか問題がない訳でもないのですが。



 以上の考察から、攻撃が「無貫通」になっている場合は、 すべてのダメージが「機体」に命中している、という想定は問題がないと確認できました。
 また、貫通状態が「部分貫通」か「完全貫通」のどちらかであっても、 戦車の無力化に必要な射撃回数を 「機体」だけで考える評価方法は、それほど間違っていないようです。

 但し、「部分貫通」か「完全貫通」の場合は、 「パワープラント」や「移動装置」に命中することで、 より早く戦車(輸送機器)が撃破される可能性も見つかりました。
 個人用携帯火器の貫通力は小さいので、 そう簡単に「部分貫通」や「完全貫通」になることはないでしょうが、 装甲の薄いエアラフトGキャリアーは注意すべきです。



 「搭乗員」のダメージについて以下のようなルールが英文エラッタの中に記載されてましたので、 蛇足かも知れませんが紹介しておきます。

> All explosive rounds which penetrate a vehicle's hull also cause
>  crew hits to all crew members in the danger space of the explosion
>  (at half the penetration value of the explosive round).

> 車輌の車体を貫通した、すべての爆発弾頭(の攻撃)は、
> すべての乗組員を爆発弾頭の致傷範囲に収め(その範囲の貫通力は半減)、
> 「Crew Hits =乗組員の負傷」を引き起こすこともあります。


 「also」という単語が有りますので、このルールの採用はレフリーの判断に任されているようです。
 爆発弾頭(=榴弾)が貫通したら、 その輸送機器の搭乗員は全員が即死という訳ではなさそうですが、 レフリーが認めればそういった可能性も「有り」なのでしょう。
 使用している武器が個人用携帯火器だけならば、貫通力もダメージも小さいので気になりませんが、 貫通力とダメージの大きな対戦車砲が使用されるのであれば、このルールの採用は劇的な結果を齎します。
 どんな強力な戦車であっても、 対戦車砲の一撃で搭乗員が全滅してしまうでしょうから。
 このルールの採用にはくれぐれも御注意下さい。





結論


 今回は、「戦車の装甲」について考察しました。
 具体的には装甲値=4〜40、4種類の非装甲/装甲車輌/戦車を例に取り、 歩兵の個人用携帯火器によって受けるダメージ期待値を計算しています。



 上記の結果から言えることは、まず何よりも、

1.メガトラの個人戦闘ルールで、無敵の装甲を持つことは難しい

 ということでしょう。
 貫通状態が「無貫通」であっても、 例外的成功による「ラッキー・ヒット」のルールが存在する以上、 どんなに重装甲の戦車であっても、与えられるダメージを無視できません。

 「ラッキー・ヒット」を完全に防ぐためには、 攻撃してくる銃器の貫通力と比べて10倍を超えた装甲値が必要なのです。

 ですから、例えば貫通力7の磁気ライフルに対して、無敵の戦車を作るためには、 その戦車装甲値=80を与えなければなりません。
 反重力戦車トレピダに与えられている装甲値=40では、全く足りないということです。
 厳密に言えば装甲値=71以上を与えなければならないということですが、 計算が面倒になるので装甲値=80ということにしておきます。



 次に厄介な問題は、

2.「狙い撃ち」によって、目標の装甲値を半減できる(端数切捨て)

 というルールが存在すること。
 装甲値の半減というルールによって、 無敵の戦車に必要な装甲値は、一気に2倍へと跳ね上がってしまいました。

 つまり、「狙い撃ち」による「ラッキー・ヒット」を防ぐために、 装甲値=80ではなく、装甲値=150が必要となった訳です。
 厳密には装甲値=142以上を与えておけば半減しても装甲値=71以上が残る訳ですが、 計算を簡略化するため装甲値=150としておきました。



 そして、表1から表6で考察した通り、

3.メガトラの輸送機器設計ルールより、
  上記で触れたような装甲値=80150は、
  重量的、経済的に非現実的な数値


 であるということです。

 船殻(車体)の容積や重量、価格の制限は 戦車兵器である以上必ず存在します。
 その制限の中で設計しているのですから、装甲値=80は実現できません。
 装甲値重視の設計であっても、その上限は50〜60
 実用的には装甲値=40が適切な値のようでした。



 つまり、

4.メガトラの戦車は決して「無敵」ではありません。
  弱い攻撃(「無貫通」)であっても数の暴力には必ず屈服します。
  戦車はある程度のダメージを甘受しなければならず、
  それに耐えながらも攻撃を続け、敵を殲滅しなければならないのです


 と言えるでしょう。

 これこそが、メガトラにおける戦車の運用方法なのです。






2013.06.23 初投稿。
2013.07.07 移動DMに関する考察を追加。