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The Best Weapon
28th stage ( Mine
2)

最強兵器 決定戦
第28回 (機雷2)

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気が付いた時、
 それ目の前浮いているかも知れない
    浮遊機雷は、常に移動しているからだ


 河川の流れや、海流任せで流れていく機雷のことを、浮遊機雷と呼びます。

 浮遊機雷の典型的な使い方としては、まず敵の艦隊から見えない距離、水平線の彼方で敷設する、という方法がありました。
 敷設された浮遊機雷は、係留機雷と敷設方法が異なっており、その場所に固定されている訳ではありません。
 海流の力によって、徐々に敵艦隊の方へと近付いていきます。
 最終的には浮遊機雷敵艦隊を包み込み、一斉に敵艦に命中する、というパターンが理想なのですが、そう上手くはいかなかったようでした。
 移動速度も方向も海流任せですし、目標の敵艦隊もじっと動かないでいてくれるとは限りません。
 史実においても日本海軍は、当てにならない浮遊機雷をさっさと見捨て、魚雷の開発に努力を注いでいます。

 余談になりますが、外れた浮遊機雷をそのまま放っておきますと、流れていった先で不特定多数の商船に触雷し、被害を与えてしまう可能性が高いと思われていました。
 そのような事態を防ぐため、一応、敷設後1時間で無力するという条約(※)があるそうですが、過去の事例を見る限り、条約を守っている軍隊はほとんどありません。
 困ったものです。

 ※ある方に教えてもらったところ、1907年に調印された「自動触発水雷禁止条約」という条約だと分かりました。


 さて、今度は本物の浮遊機雷です。
 前回で考察した浮遊機雷は、100倍直径の外側に機雷堰を構築するという形でしたので、実際は係留機雷としての使い方になっていました。

 20世紀テラの海洋ですと、海底に錘を下ろし、所定の長さの鎖で繋がれているため敷設された位置(深さ)から動けない機雷が、一般的な係留機雷になります。
 何も無い宇宙空間で係留する方法がありませんが、特定の軌道(例えば、100倍直径を巡る円軌道)に浮かべられて、惑星との距離が100倍直径で変わらない機雷は、係留機雷と呼んでも良いでしょう。

 では、浮遊機雷とは、どんな機雷でしょうか。
 円軌道ではない軌道、つまり、楕円軌道を描いて世界の100倍直径内を横切り、たまたま遭遇した商船に襲いかかるという機雷が、浮遊機雷であると思います。
 浮遊機雷に加速能力はありませんから、「襲い掛かる」という表現は少々オーバーでした。
 しかし「100倍直径の内側は安全だ」と信じていた民間商船にしてみれば、いきなり目の前へ現われた浮遊機雷に触雷してしまったならば、きっと襲われたような気分になることでしょう。


 今回の考察も、公式ルールにない「浮遊機雷」を活躍させるための、ハウス・ルールに関する考察です。




楕円軌道上の浮遊機雷


 楕円軌道による機雷の投入パターンの一例を、図に描こうと思ったのですが、綺麗な絵を描けませんでした。
 ですので、掲示板に書き込んだ文章をそのまま掲載します。


[307]12/19(Fri)の投稿より

「いつものように、規模6(直径9,600km)の惑星を例に取りました。
 100倍直径96万km19ヘクス)をパトロールしていると思われる、惑星海軍のSDBや哨戒艦を避けて、150倍直径144万km29ヘクス)から機雷を投入すると仮定します。
 計算が簡単になるように、遠日点が150倍直径、近日点が50倍直径48万km10ヘクス)だと想定しました。
 周期は135日になりましたが、その内66%(89日間)、機雷100倍直径の外を周回しています(つまり敷設してから45日間は、役立たず)。
 機雷が有効になるのは、100倍直径の内側へ入り込む34%(46日間)だけでした。
 その期間を過ぎると、機雷は再び100倍直径の外へ出てしまい、役立たずの89日間を過ごすことになります。」


[329]12/25(Thu)の投稿より


「色々と計算を試みて、ケプラーの第2法則を当てはめてみたところ、
 遠日点の150倍直径において、相互間距離5,000kmで敷設された機雷は、
 近日点の50倍直径において、相互間距離を15,000kmまで広げてしまうことが発見されたのです。

 機雷の有効距離は2,500kmですから、2つ並んだ機雷の間には、10,000kmもの隙間が空いてしまいます。
 せっかく大量の機雷を敷設したのに、獲物の商船機雷の隙間をすり抜けて、逃げてしまいそうではないですか。

 近日点で「相互間距離=5,000km」にするためには、遠日点での敷設を、1,670km間隔で行なわなければなりません。
 しかし、そんな狭い間隔で敷設したら、機雷同士が触雷して誘爆してしまいます。」


 この問題に関しては、橘様より、以下の返答を頂いて解決しました。

[330]同日12/25(Thu)の投稿より

「実際には、1,600km以上離れているわけですし、対宇宙船用の信管が機雷に対して反応するということはないのでは?」

 軌道計算が非常に面倒になってきましたので、「機雷同士の間隔が2,500km以下になっても、機雷同士ならば反応しない」という解釈を使わせて頂くことにしました。
 それならば、遠日点での敷設間隔を1,600kmにするだけで、問題は解決です。

 という訳ですので、楕円軌道を周回する、浮遊型の機雷堰というものを、登場させることが出来るようになりました。




機雷の発見率


 さて、次に検討すべき問題は、ぷかぷか漂って何処にいるか分からない浮遊機雷をどれだけの距離で発見できるかということです。
 考察の26回でも述べたように、浮遊機雷の目標サイズは「小」、視認レベルは「中」でした。


  表1  機雷の探知成功率 テックレベル14〜15の宇宙船による探知の場合

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 テックレベル14〜15で建造された宇宙船が、目標サイズ「小」、視認レベル「中」の浮遊機雷を探知しようと試みる場合、探知成功率が最も高い探知方法は、受動エネルギー探知です。
 他の探知方法と比べると、探知成功率が6も違いました。

 ただし、この成功率の高さは、テックレベル14以上でしか入手できない「10kwを探知可能な中性微子探知器」の能力に拠るところが大きいのです。
 もしも10kwの中性微子探知器を搭載していないのであれば、テックレベル14以上で建造された宇宙船でも、受動エネルギー探知の成功率は、下の表2の数値まで、下がってしまうでしょう。

 帝国百科に掲載の公式データによれば、J型試掘船A型自由貿易船AU型外航自由貿易船K型狩猟船Y型ヨットR型政府指定商船などの民間商船は、テックレベル15で建造されていながら、中性微子探知器を搭載していません。
 おまけに、モデル1(もしくは1新型)のコンピュータしか積んでいませんでした。


 数少ない例外が、S型偵察艦T型哨戒艦P型海賊船などです(S型偵察艦に搭載されていた中性微子探知器が、J型試掘船で外されている理由は分かりませんが)。
 これらの宇宙船は、しっかりと10kwの中性微子探知器搭載していました。
 コンピュータのモデルは、モデル1新型S型)、モデル3T型)、モデル2P型)です。

 モデル3コンピュータを搭載したT型の場合、受動エネルギー探知による探知成功率は、距離15万km(=3ヘクス)の目標で、3+(ほぼ確実)でした。
 探知行為を2回行うならば、もう少し遠い25万km(=5ヘクス)の目標でも、97%以上の確率で探知できるでしょう。
 最大探知距離は、60万km(=12へクス)です。

 モデル1新型を搭載したS型の場合は、10万km(=2へクス)で4+(91.7%)でした。
 探知行為を2回行えば、15万km=3ヘクス)の目標を97%で探知できます。
 最大探知距離は、50万km=10へクス)でした。


  表2 機雷の探知成功率 テックレベル13で作られた宇宙船による探知の場合

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 中性微子探知器を搭載していない商船でも、最も探知成功率が高い探知方法は、受動エネルギー探知です。
 目標が100トン以上の宇宙船ならば、目標サイズが「中」になって、能動物体探知受動物体探知の成功率が同じ確率になるのですが、目標サイズ「小」の浮遊機雷を探知する場合、この2つの探知方法は不利でした。

 ちょっと、間違い。
 能動物体探知受動物体探知の成功率が同じ確率になるのは、テックレベル14以上の場合です。
 テックレベル13の場合、質量探知器の性能が落ちるので、受動物体探知の成功率は下がっていました。


 モデル1コンピュータを搭載した民間商船は、距離10万km(=2へクス)にて、成功率8+で浮遊機雷を探知することが出来ます。
 その確率は、41.7%
 半分よりも、低い確率でした。
 2回の探知を行なっても、まだ66.0%です。

 受動エネルギー探知で失敗したら、次に能動物体探知を試みても良いのですが、この探知方法は10万km(=2へクス)の目標でも、成功率が10+(16.7%)ですので、やはり、当てには出来ません。
 テックレベル14以上受動物体探知も、成功率は同じ10+(16.7%)。
 テックレベル13受動物体探知は、成功率が14+ですから、探知不可能でした。
 コンピュータモデルの低い宇宙船に、テックレベル13以下質量探知器を搭載しても、成功率が低すぎて、あまり役には立たないようです。


 隣接へクス(1ヘクスの距離視認距離)まで接近すれば、探知器を使わなくても、自動的に浮遊機雷を探知して、固定することは出来るでしょう。
 しかし、10万km以上の距離で浮遊機雷を探知することは、民間商船にとって難しいことだと分かりました。

 10kwの中性微子探知器を搭載するだけで、探知の難易度が1つ下がり、2回の探知を行なえば15万km(=3ヘクス)の浮遊機雷を、確実に探知できるようになります。
 どうして「帝国百科」掲載の公式データ、民間商船の大部分には、中性微子探知器が搭載されていないのでしょうか。
 中性微子探知器質量探知器の搭載を止めたところで、コストダウンの効果はわずかでしょうから、謎は深まるばかりです。


 参考までに、テックレベル13で建造された帝国共通規格のSDBドラゴン級」も、計算してみました。
 モデル7のコンピュータを搭載しているので、10kwの中性微子探知器が無くても、距離15万km(=3ヘクス)の目標を確実に探知することが出来ます。
 探知行為を2回行うならば、もう少し遠い25万km(=5ヘクス)の目標でも、97%以上の確率で探知できました。
 最大探知距離は、60万km(=12へクス)なのですが、これは上で計算してあるT型哨戒艦10kwの中性微子探知器付き)と同じ探知能力なのです。
 10kw中性微子探知器の有無が、探知能力に関してはモデル4のコンピュータ格差に相当すると、明らかになりました。
 この事実、結構、重要なことなのではないでしょうか?


 さて、探知の次は、追跡です。
 受動エネルギー探知に反応した目標が、果たして本物の浮遊機雷なのか、ダミーなのか、あるいは海賊船なのか、確認しなければなりません。
 民間商船であれば、識別信号を発信している筈ですから、浮遊機雷と間違えることはないのです。
 機雷ダミーか、海賊船か。
 非力な民間商船が安全な航海を続けるためには、何としても、追跡に成功する必要があるでしょう。

 追跡の成功率を、下の表3、4に示しました。


  表3  機雷の追跡成功率 テックレベル14〜15の宇宙船による追跡の場合

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 テックレベル14〜15で作られた宇宙船の場合、追跡の成功率は、能動物体追跡受動物体追跡受動エネルギー追跡の3つとも、変わりはありません
 追跡に成功した時点で、照準の「固定」に成功することも共通でした。
 どの追跡手段をとっても成功率は同じだったのですが、3つの追跡方法により分かるデータは、それぞれ異なっています。

 探知のルール解釈については、ちょっと自信がありませんので、間違いを見つけた方は、ぜひ教えてください。


 能動物体追跡に成功した場合、目標のクラスを知ることが出来ました。
 何処で読んだのか忘れてしまいましたが、レーザー式のレーダーなどを使い、目標となった宇宙船の形状を割り出すため、宇宙船のクラスが分かるのだそうです。
 5万km先の宇宙船の形状を識別できるほど高精度のレーダーとは、解像度が一体、どれだけあるのだろうか、などと気になることも多々ありますが、未来の超科学ということで、追及しないことにしましょう。

 クラスというのは、例えば「Xボート」や「リーガル級巡洋戦艦」のことです。
 機雷であれば、本物の浮遊機雷か、ダミーの機雷なのかが区別できますし、ついでに機雷の攻撃力商船にとっての危険度)も分かるでしょう。
 レフリー側の振るサイの目によっては「誤認」になる可能性もあるところが、とてもスリリングです。


 受動質量追跡に成功した場合、目標の排水素トンを知ることが出来ました。
 目標が50kg機雷なのか、400トン宇宙船なのかという違いは区別できますが、同じ50kgダミーである場合には、区別できませんね。
 また、400トンの宇宙船が、識別信号の故障した民間商船なのか、隠密行動中の海賊船なのかということも分かりません。

 意外と、受動質量追跡は役に立たないようです。
 他の探知手段をフォローする手段としては、有効なのでしょうが。


 受動エネルギー追跡に成功した場合、目標のパワープラント出力を知ることが出来ます。
 トラベラー世界の中性微子探知器ニュートリノを探知することで、目標が内燃機関太陽電池を搭載していたとしても、その発電量を知ることが出来るのです。
 パワープラント出力によって、目標の艦種は概ね推測できますが、他の探知手段と組み合わせない限り、決定的にはなり得ません。


  表4 機雷の追跡成功率 テックレベル13で作られた宇宙船による追跡の場合

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 テックレベル13になると、質量探知器中性微子探知器の性能が落ちるため、追跡の成功率は、能動物体追跡が一番です。
 受動物体追跡受動エネルギー追跡の2つは、難易度が1高いので、成功率が4も下がってしまいました

 選択の余地があるテックレベル14〜15でも、選択できないテックレベル13でも、最良の追跡手段は能動物体追跡です。
 戦闘艦の場合は逆探知を恐れ、なかなか使う気分になれない能動物体追跡ですが、すでに識別信号を常時発信している民間商船ならば、今更、逆探知を恐れる理由はありません。
 また、質量探知器中性微子探知器も搭載していない民間商船の場合は、追跡手段が唯一、能動物体追跡だけですから、選択の余地がありませんでした。


 モデル3コンピュータを搭載したT型から、モデル1コンピュータA型まで、色々な宇宙船がありますが、とりあえず、その成功率を計算してみます。

 モデル3搭載の場合、距離10万km(=2へクス)で成功率が6+(72.2%)、砲塔群2個の射撃を諦めて、3回の成功判定を行なうのならば、かろうじて97.9%の成功率を得られました。
 追跡の成功を期待できる最大距離は、40万km(=8ヘクス)です。

 テックレベル14〜15T型ならば、受動物体追跡受動エネルギー追跡を行なえますから、射撃を諦めずとも3回の成功判定が出来る筈だと思われるかも知れません。
 しかし今回、追跡を行なう目的は「射撃」ではなく「識別」なのです。
 上で述べましたように、受動物体追跡受動エネルギー追跡では、目標の識別を不十分な形でしか行なえませんでした。
 探知した目標を「とりあえず撃ってみる」という識別方法は、民間商船にとって危険な方法だと思うのです。


 モデル1コンピュータを搭載したA型R型の場合、距離10万km(=2へクス)で成功率が8+(41.7%)でした。
 2回の成功判定を行っても、66.0%です。
 また、追跡可能な最大距離は、30万km(=6ヘクス)。
 隣接ヘクス(1ヘクスの距離視認距離)まで近付けば、自動的に追跡にも成功するようですが、それ以前の追跡成功は、困難だと分かりました。

 例えば、非武装のA型自由貿易船は、最大で2回の探知/追跡判定を、試みることができます。
 10万km(=2へクス)先の目標に対して、探知に成功する確率は、2回の成功判定を行なっても66.0%
 探知に成功した目標に対して追跡を試みた場合も成功率は同じで、2回の成功判定を行って66.0%
 66.0 × 66.0 = 43.6%
 探知/追跡が不可能という訳ではありませんが、かなり困難なことです。
 怪しい目標を探知したら、安全のためには追跡識別)よりも先に、回避行動を取るべきなのでしょうね。


 凶悪なルールの再発見

 掲示板の過去ログ[3277]08/07(Thu)において、EMS妨害機の記述を再発見しました。
 テックレベル13で最も成功率の高い追跡手段は能動物体追跡ですが、機雷側EMS妨害機を使うことで、宇宙船側能動EMS使用不能に追い込むことが出来ます。

 今回の浮遊機雷はミサイル流用ですから、浮遊機雷EMS妨害機は搭載できませんが、浮遊機雷とほぼ同じ軌道でECMポッドを流せば良いでしょう。
 普段は浮遊機雷と同じように静かな状態で漂流しておきながら、民間商船掃海艇機雷堰に近付いてきて能動物体追跡を行なったならば、それを逆探知して、電子妨害を仕掛けるという戦術はいかがでしょうか。

 能動EMS使用不能になりますから、民間商船掃海艇は、やっと追跡に成功した浮遊機雷を見失ってしまいます。
 タイミングが悪ければ、そのまま機雷堰の中へ突入してしまうかも知れません。
 もしコンピュータのレベルが十分高ければ、遠距離からECMポッドを追跡(固定)して、攻撃/撃破することも可能ですが、低レベルのコンピュータしか積んでいない、民間商船ではとても無理なことでしょう。




浮遊機雷(単独)の回避方法


 単独で浮遊している浮遊機雷の回避方法です。

 前々回(26回)の考察で述べた通り、機雷攻撃は、近接信管を使っている都合上、機雷の2,500km以内に接近した宇宙船に対して、自動的に命中するものと考えます。

 ただし、ジャンプアウト直後の触雷の場合とは異なって、通常空間を航行中の宇宙船は、探知器で周囲の状況を知ることが出来ますし、加速方向を変えることで浮遊機雷を回避することも可能でした。
 とは言うものの、上の項で計算した通り、民間商船の探知能力は悲しいほど低いものですので、10万km(=2へクス)以上の距離で機雷を探知して、追跡に成功する確率は、かなり低いのですが。
 
 浮遊機雷の有効範囲は2,500kmですから、もしも、商船の針路の真正面に浮遊機雷が浮いていたとしても、針路と垂直な方向へ720秒の1G加速を行なえば、ぎりぎり、回避が可能な筈でした。
 問題は浮遊機雷を発見してから、720秒(=12分間)の余裕が得られるかどうか、ということでしょうね。


 浮遊機雷50km以内(=視認距離1ヘクス)に入れば、自動的に、探知と追跡が成功する筈なのですが、視認距離の定義は上記の通り、50kmとなっておりますので、浮遊機雷の存在に気が付く前に、機雷は爆発しています。
 これでは、話になりません。
 商船浮遊機雷隣接ヘクス(=視認距離)に侵入した途端、機雷に吹き飛ばされているということになってしまいます。
 その解釈を用いても良いのですが、そうした場合、浮遊機雷回避は不可能となってしまいますので、単純に遭遇率だけの問題となります。

 1ヘクスの距離がおかしくなってしまいますが、とりあえず、50万km10へクスの定義から、5万km1ヘクスという条件で計算を行ないました。
 5万km1ヘクスの数値を優先するならば、視認距離5万kmということになるでしょう。
 実は、メガトラベラーの宇宙戦闘ルールには、5万km2へクス近距離)という定義もなされているのですが、そうすると2万5千km1ヘクスということになってしまいます。
 矛盾点の続出ですが、ルール自体がそうなっていますので、勘弁してください。


 距離5万kmで、浮遊機雷を発見した場合、機雷を回避する時間、720秒を得られる速度は、(50,0002,500km ÷ 720sec66.0km/sec まででした。
 秒速66.0km以下の速度で航行しているならば、商船浮遊機雷を発見しても、安全に回避することができます。
 1G加速性能を持つ商船の場合、秒速66.0kmは、6,600秒(=1時間50分)の直線加速を行なった時の速度に相当しました。
 6,600秒の加速を行なった後、商船がそれ以上の加速を自粛し、慣性だけの低速航行(ただし通常ドライブは何時でも使える状態で待機)をすれば、浮遊機雷に遭遇しても安全になるのです。

 この安全速度で商船が航行(低速航行)した場合、100倍直径から世界へ至るまでの航行時間がどれだけ延びるか、計算してみました。


     表5  浮遊機雷を回避可能な、低速航行を行なった場合の影響

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 規模3以下の世界において、世界100倍直径との間を航行する場合は、低速航行の影響は全くありません。
 連続加速が1時間50分を超えるよりも早く、中間点に到達してして、今度は減速を行なうことになるからです。
 規模4以上の世界で影響があるといっても、規模4の世界では0.1時間(=5分)の遅れ、規模Aの世界でも1.6時間(=93分)の遅れですから、それほど大したことは、ないでしょう。

 しかし、ガスジャイアントの場合には、10.5〜26.3時間の遅れになってしまいますので、ちょっと大変です。
 ガスジャイアントでの燃料補給を考えている場合や、主要世界がガスジャイアントの衛星だったりする場合には、浮遊機雷の存在が無視できない問題になりました。


 低速航行を行なっていれば、何処を漂っているか分からない浮遊機雷を、安全に回避することが出来る訳なのですが、その時間的損失が無視できない場合(あるいは、通商破壊艦に襲われるなどして、低速航行を続けていられない場合)はどうでしょうか?

 そもそも、針路の真正面に浮遊機雷が浮いているなんて不運(幸運?)は、どれだけの確率なのかということも、とても気になります。
 針路の真正面ぴったりに浮遊機雷が浮いている確率は、ゼロに等しいように思えますから。


 そこで、針路から1,250km離れて浮遊機雷が存在した場合を考えてみました。
 その場合は、機雷と反対の方向へ500秒の1G加速を行なえば、回避可能です。
 機雷を発見してから、500秒(=8.33分間)の余裕が得られれば良い訳ですね。

 残念ながら、1,250kmよりも近い位置に機雷が待ち受けていたら、回避行動は間に合わないと想定しました(回避できない速度を持っているため)。
 商船機雷の有効範囲(2,500km)以内を通過することになり、その結果として、触雷してしまいます。

 距離5万km浮遊機雷を発見した場合、機雷を回避可能な時間=500秒を得られる速度は、(50,000-2,500km ÷ 500sec99.5km/sec までです。
 秒速99.5km以下の速度で航行しているならば、商船浮遊機雷1,250km以内に存在しない限り、回避することができました。
 1G加速性能を持つ商船の場合、秒速99.5kmは、10,150秒(=2時間49分)の直線加速を行なった時の速度に相当します。

 商船が、この回避不能な危険速度に達している時間は、どの程度のものでしょうか。


   表6 商船が、機雷を回避不能な危険速度で航行している区間と、航行時間

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 規模6以下の世界では、商船秒速99.5kmの速度に達することはありませんので、確率計算が非常に面倒なことになります。
 今回、規模6以下の世界100倍直径内に敷設された浮遊機雷は、簡単に回避されてしまうため、役に立たない、と結論しておくことにしました。
 本当は、若干の有効性が残されている筈ですが、計算が難しくなってしまいますので、ここでは計算しません。

 さて、規模7以上の世界ならば、浮遊機雷が効果を発揮する区間(商船の航行速度が秒速95.5kmを越えている区間)がしっかりと存在します。
 規模7の世界では、45〜55倍直径に相当する範囲の12万km規模Aの世界では、32〜68倍直径に相当する60万km大型ガスジャイアントLGGならば、5〜95倍直径に相当する900万kmで、浮遊機雷は効果を発揮することが分かりました。

 規模の大きい(つまり100倍直径の範囲が広い)世界ほど、浮遊機雷の有効な範囲は広いのです。
 浮遊機雷は、規模の大きい世界(あるいはガスジャイアント)における通商破壊に、とても有効だと言えるのではないでしょうか。


      表7  触雷率1%を確保するために必要な、浮遊機雷の数

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 上の表7は、危険区域を航行する商船に対して、触雷率1%(危険区域を横切る商船100隻の内1隻が、針路上1,250km以内の距離で浮遊機雷に遭遇する確率=触雷する確率)を確保するために必要な、危険区域内浮遊機雷の数と、楕円軌道で投入される浮遊機雷の数です。

 触雷による経済的リスクの計算は後で行なうつもりですが、触雷率がほんの1%あるだけでも、民間商船の大半は、そのリスクを忌避するだろうという試算結果が出ていました。
 ですから表7でも、触雷率1%を基準に計算している訳です。
 必要な機雷数は、当然のことながら、世界の規模に比例して増えました。

 しかし、楕円軌道で投入される浮遊機雷は、50倍直径150倍直径の間を往復しています(他の楕円軌道でも投入できますが、今回の計算は例に出した50〜150倍直径の間を動く楕円軌道で行なっています)。
 そうすると、浮遊機雷が有効な区域(商船にとっての危険区域)は、規模7の世界において、50〜55倍直径までの狭い範囲に限られてしまうのですが、規模Aの世界では50〜68倍直径の広い範囲になりました。
 大型ガスジャイアントに到っては、50〜95倍直径の、とても広い範囲なのです。

 範囲が広ければ、楕円軌道に投入する浮遊機雷の有効率も上がりますので、投入する機雷の数は、少なくて済むでしょう。


 例えば、リジャイナ星系(大型ガスジャイアントの衛星軌道を、主要世界リジャイナが巡っています)に、1,000トン未満の小型商船は、2週間当たり4,000隻が寄港していました(MAG様の「スピンワードマーチ宙域の商業船舶」より算出)。

 リジャイナ星系の惑星海軍は強力ですが、それらのSDB哨戒艦を避け、ゾダーンの機雷敷設艦が、ガスジャイアントの150倍直径(距離は1,500万km300ヘクス)にジャンプアウトして、楕円軌道で浮遊機雷500個を投入したとします。
 SDB哨戒艦がパトロールしている100倍直径より500万km(=100へクス)も離れているのですから、安全に機雷を敷設できるでしょう。
 機雷敷設の所要時間は、およそ1週間でした。
 浮遊機雷は、ガスジャイアントの引力に引かれ、ゆっくりと100倍直径内へ近付いて行きます。

 そして50日後、浮遊機雷は大型ガスジャイアントの95倍直径の内側まで入り込み、探知能力の低い小型商船を襲うことになりました。
 触雷率1%とはいえ、4,000隻の商船が寄港するのですから、2週間で40隻商船を攻撃することができるでしょう。
 触雷した商船の半数20隻)を撃破するだけだとしても、戦果としては立派なものだと思います。

 100倍直径をパトロールしている筈の哨戒艦が、100倍直径の水際で、どれだけの浮遊機雷を発見して処分できるかは分かりませんが、半分を処分できても、残り半分の機雷が10隻の商船を撃破してしまいます。
 完全な防御を行なうためには、400隻以上の哨戒艦を機雷発見のため、100倍直径に貼り付けておく必要があると分かりました。
 ガスジャイアントの防御は、意外と大変です。


 参考のため、商船による浮遊機雷の回避パターンを、図8に示しました。


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   図8 1G加速の商船による、浮遊機雷の回避パターン
    (左側:針路上の真正面に、浮遊機雷を発見した場合 表5の想定パターン)
    (右側:針路上から1,250km以内/以上の距離で浮遊機雷を発見した場合)
    (    表6、7の想定パターン    )

 水色の▲が、民間商船
 まっすぐ下へ連続して伸びた矢印が予定針路で、円弧を描いて左右に逸れた矢印が、回避運動によって曲げられた商船の軌跡です。

 ★印が浮遊機雷で、黄色の円内機雷の有効範囲(半径2,500km)を示します。
 浮遊機雷5万kmで発見したという想定ですが、縮尺は適当に描きました。

 回避運動による軌跡が、黄色の円から離れていれば、回避運動は成功
 黄色の円内に侵入すれば、触雷してしまいますから、回避運動は失敗です。




浮遊機雷(多数)の回避方法


 今度は、有効範囲が重なるように連続して敷設された、複数の浮遊機雷機雷堰とも呼ばれます)を回避する方法について考えてみます。

 私の想定ですと、1ヘクスを完全に封鎖するために必要な機雷の数は、わずか10個でした(最低限、10個の機雷があれば、長さ5万km機雷堰を構築できるということです)。
 10個の機雷を敷設することはとても簡単ですから、10個の機雷が連続して敷設されている可能性も高いでしょう。
 確実に商船を撃破するため、できるならば、幅6列のしっかりした機雷堰を構築しておくべきだと考えていますが。


 今回も、針路前方の浮遊機雷を、距離5万km(=1ヘクス)で発見したと想定してみました。
 浮遊機雷は1つだけではなく、複数の機雷がずらりと横に並んで、機雷堰を形作っています。
 距離の定義は少し矛盾してしまいますが、1ヘクス視認距離ということで、自動的に浮遊機雷の探知と追跡が成功したものとして扱います。

 単独で敷設された浮遊機雷の場合、その機雷1個の有効範囲(=最大2,500km)を避けるだけで、触雷を回避することが出来ました。
 しかし、今度は複数の機雷が敷設されていますので、触雷を回避するためには、その全てを避けなければいけません。

 しかし目の前に広がる機雷堰は、針路の左右を何処まで伸びているのでしょう?
 左右のどちらへ避ければ、機雷を避けることが出来るのでしょうか?

 高度な探知器と、モデル数の高いコンピュータを装備している宇宙船なら、2へクス以上の距離を探知して、機雷堰の存在を確かめることも出来ます。
 しかし、民間の小型商船は、限られた探知能力しか備えていませんでした。
 ほとんどの場合、わずか1ヘクスの距離(=視認距離)にある機雷を探知/追跡することしか出来ないのです。
 当然、機雷堰が何処まで伸びているのか、知ることも出来ません。
 機雷堰は、わずか2万5千km(=0.5ヘクス)で途切れているのかも知れませんし、逆に50万km(=10へクス)以上先まで伸びている可能性もあるのです。


 商船が、機雷堰に遭遇してしまった場合の対応策は、4通りが考えられました。

1.横方向へ加速して逃げる。
 前述の通り、機雷堰が何処まで伸びているか、知ることは出来ません。
 横へ逃げることは、ギャンブルなのです。
 運良く、機雷堰が途切れていれば、回避もできますが、機雷堰がそのまま続いている場合には避け切れません。

2.機雷堰の切れ目(隙間)を見つけて、すり抜ける。
 すでに他の商船が触雷していた場合や、掃海艇の活躍により機雷堰に切れ目(隙間)ができていれば、商船は切れ目をすり抜けることで、機雷を回避することが出来ます。
 機雷堰の切れ間を見つけても、商船の加速能力の関係から、その切れ目を利用できるとも限りませんが。

3.減速して、機雷堰の手前で停止する。
 とっても無難な選択肢だと思います。
 秒速30.0km以下の速度で航行しているならば、およそ3,000秒(=50分)の減速を行い、機雷堰の手前5,000kmで停止することが可能でした。
 機雷堰を確実に回避できる低速航行の速度は、秒速30.0kmということになります。
 単独の浮遊機雷を回避できる低速航行は、秒速66.0kmでしたから、その半分以下になるということでした。

4.諦める。
 機雷堰の切れ目が見つからず、秒速30.0km以上の速度で航行している場合は、運を天に任せて、被害が少なくなるようにと祈りつつ、機雷堰に突入するしかありません。


 再び、参考のため、商船による機雷堰の回避パターンを、図9に示しました。
 本当は6列の機雷堰を描きたかったのですが、3列を描くだけでも大変でしたので、3列の機雷堰に簡略化してあります。


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  図9 1G加速の商船による、機雷堰の回避パターン
    (左側:針路上に、機雷堰の切れ目を発見した場合 想定パターンの2)
    (中央:減速して、機雷堰の手前で停止した場合  想定パターンの3)
    (右側:横方向へ加速して逃げた場合       想定パターンの1)

 水色の▲が、民間商船
 まっすぐ下へ連続して伸びた矢印が予定針路で、円弧を描いて左右に逸れた矢印が、回避運動によって曲げられた商船の軌跡です。

 ★印が浮遊機雷で、黄色の円内機雷の有効範囲(半径2,500km)を示します。
 浮遊機雷5万kmで発見したという想定ですが、縮尺は適当に描きました。

 回避運動による軌跡が、黄色の円から離れていれば、回避運動は成功
 黄色の円内に侵入すれば、触雷してしまいますから、回避運動は失敗です。


 想定パターンの3.減速して、機雷堰の手前で停止する方法、が最も安全で確実だと考えられました。

 距離5万km機雷堰を発見した場合、商船が停止するため約3,000秒(=50分)の減速時間が必要であり、安全な低速航行の速度は、秒速30.0kmに制限されます。
 1G加速の性能を持つ商船の場合、3,000秒の加速を行なった後、それ以上の加速を自粛して、慣性だけの低速航行(ただし通常ドライブは何時でも使える状態で待機)を行なえば、機雷堰に遭遇しても安全になりました。

 この安全速度で低速航行を行なった場合、100倍直径から世界へ至るまでの航行時間がどれだけ延びるか、計算してみました。


     表10  機雷堰を回避可能な、低速航行を行なった場合の影響

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 表10に示した通り、非常に困ったことですが、規模1の世界でも航行時間の遅れが生じてました。

 通常空間の航行時間は、規模4の世界1.5倍規模8の世界2.0倍ガスジャイアントでは3.8〜5.3倍という大きな遅れが生じています。
 特に大型ガスジャイアントの場合、1G加速を続けていれば18時間弱で済む筈の航行時間が、94時間(=4日弱)まで伸びてるのですから、大問題でしょう。
 往復で1週間以上の時間を費やしてしまうのです。

 100倍直径内機雷堰を構築された場合、該当星系における恒星間の物流に、大きな遅れ(貨物の滞留)と、採算の悪化をもたらすことが分かりました。
 単独の浮遊機雷が浮いている場合とは、影響の大きさが全く違うのです。


 不経済な低速航行を忌避して、商船が通常通りの航行を行なうなら、100倍直径内における危険区間(危険速度で航行する区間)は、以下の表11のようになるでしょう。


  表11 商船が、機雷を回避不能な危険速度で航行している区間と、航行時間 

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 単独で敷設された浮遊機雷の場合(表6)と大きく異なり、危険区間は規模1の世界にも存在します。
 これだけの広い範囲で機雷堰が有効なのですから、触雷率1%程度の脅威であっても十分に商船を脅かすことが出来るでしょう。


 機雷の存在を10万km(=2へクス)以上の距離で確認できれば良いのでしょうが、探知はともかく、2へクス以上の距離で追跡に成功する確率は、とても低いのです。
 商船が安全重視で航行するならば、浮遊機雷機雷堰)の存在する星系内を航行する場合、極度の低速航行を強いられることが分かりました。

 船団航行を行なうならば、船団の先頭に掃海艇か、重装甲(重火力)の護衛艦を配置するという対策も考えられるでしょう。
 実際に機雷が存在するかどうかはともかく、存在するという噂だけでも、商船低速航行を強いられてしまうと思います。
 それが機雷の心理的効果というものですが、低速航行をしているということは、海賊通商破壊艦の攻撃を受けやすいということを意味するかも知れません。




触雷直前の迎撃(対機雷攻撃)


 加速能力の限界から、浮遊機雷機雷堰の回避が不可能(図9の想定パターン4)であっても、まだ諦めるには及びません。
 針路上の機雷を掃海するという手段があります。

 武装を搭載していなければ行なえない手段ですので、非武装の商船でしたら、諦めて下さい。
 R型商船M型客船の場合でしたら、搭載している大型ボートにパイロット独りだけを乗せて前方へ送り出すという、文字通り、最後の手段もあるのですが……。


 第26回の考察より、機雷を攻撃した場合の命中率は、以下の表12のようになっていました。

        表12   浮遊機雷への攻撃命中率

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 S型偵察艦武器設置点1)、A型自由貿易船武器設置点2)、R型政府指定商船武器設置点2)、M型政府指定客船武器設置点3)などの民間商船が、混合砲塔を武器設置点の数だけ搭載していると仮定しました。
 T型哨戒艦だけは、三連架ビーム・レーザー砲塔2基と、三連架ミサイル砲塔2基を搭載しています。

 私の考えたハウス・ルールですと、残念なことですが、散乱砂砲機雷の掃海に使えません。
 上記の例に挙げた三連架混合砲塔の内、パルス・レーザーミサイルの2つしか使えないということです。

 これらの商船が、単独の浮遊機雷や、単列〜6列の機雷堰に遭遇した場合、目の前の機雷を掃海できる可能性はどれだけあるのか、その成功率を計算してみました。
 もちろん、複数の機雷が針路上にある場合は、その全てを掃海できなければ、安全な通過は出来ません。
 全て、あるいは、一部の機雷掃海に失敗して、機雷が命中してしまった時の命中期待値も計算しました。


      表13 掃海の成功率と、掃海に失敗した時の機雷命中予想数

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 予想通りと言うべきでしょうか。
 砲塔群数の多さが、機雷掃海の成功率に繋がっています。

 S型偵察艦は砲塔群が2つしかありませんので、単独の浮遊機雷に遭遇しても、掃海の成功率は66.0%でした。
 34.0%の確率で、触雷してしまいます。
 3列の機雷堰に遭遇した場合、2つの砲塔群で機雷を掃海できますが、成功率が低いため、平均して2.2個機雷に触雷するでしょう。
 6列の機雷堰の場合、触雷予想数は5.2個です。

 A型自由貿易船R型商船は、混合砲塔を2基搭載しているため、砲塔群の数が4つになりました。
 単独の浮遊機雷に遭遇した場合は、88.4%の高確率で掃海に成功します。
 しっかりと武装した民間商船に対しては、単独の浮遊機雷はあまり効果を持たないと分かりました。
 3列の機雷堰に遭遇した場合は、成功率が11.5%に激減しています。
 平均して1.5個機雷に触雷するでしょう。
 6列の機雷堰の場合は、4.3個です。

 M型客船は、混合砲塔を3基搭載しているため、砲塔群数が6でした。
 単独の浮遊機雷に遭遇した場合は、100%
 3列の機雷堰の場合でも、78.6%の高確率で、掃海に成功します。
 6列の機雷堰の場合は、成功率が14.2%しかありませんでした。
 平均して1.7個機雷に触雷するようです。

 T型哨戒艦は、三連架ビーム・レーザー砲塔2基と三連架ミサイル砲塔2基、4砲塔群を搭載していました。
 単独の浮遊機雷に遭遇した場合は、99.9%
 3列の機雷堰の場合は、67.5%の確率で掃海に成功しますが、失敗した時の機雷命中数は0.4個
 意外なことに、M型客船よりも、掃海の成功率で劣っていました。
 6列の機雷堰の場合は、平均して2.7個機雷に触雷するようです。

 ドラゴン級SDBは、T型と同じ、三連架ビーム・レーザー砲塔2基と三連架ミサイル砲塔2基、合わせて4砲塔群を搭載していました。
 搭載しているコンピューターモデル7ですので、機雷掃海の成功率は、極めて高いレベルにあります。
 単独の浮遊機雷に遭遇した場合も、3列の機雷堰に遭遇した場合も、確実な100%の確率で掃海に成功しました。
 しかし砲塔群数が4つしかありませんので、6列の機雷堰に遭遇してしまった場合には、残り2つの機雷が命中してしまうでしょう。




浮遊機雷の敷設コスト


 浮遊機雷敷設コストを計算してみました。
 私のデザインした「オーランド級敷設艦」(第26回の考察に掲載)によって、浮遊機雷強化型)を1つ敷設するために、何クレジットのコストがかかるだろうかという計算です。

 適当な計算ですが、何かの参考にはなるでしょう。


 オーランド級敷設艦 1隻  MCr187.2 × 1隻 = MCr187.2
 上記に搭載の敷設艇 5隻  MCr   18.4 × 5隻 = MCr   92.0

                          合計  MCr279.2

 戦闘艦の維持費に、建造費の10%が掛かる(CT「1兆クレジット艦隊」)とすれば上記敷設艦艇の維持費は、年間 MCr27.9 となります(=固定経費)。

 浮遊機雷1個強化型価格は、cr 2,080 でした(=変動経費)。


 オーランド級敷設艦と搭載された敷設艇は、1週間で3,000個の機雷を敷設することができました。
 ジャンプ1回の距離(=2パーセク)にある星系で、機雷を敷設するならば4週間に1度(=年間12回)、ジャンプ2回の距離(=3〜4パーセク)にある星系で機雷を敷設するならば、6週間に1度(=年間8回)の敷設が可能になります。

 オーランド級が1年間に敷設できる機雷の数は、36,000〜24,000個3,000個×年間12〜8回)ということになりました。


 固定経費の MCr27.9 を、機雷数36,000〜24,000個で割ると、機雷1個当たりの敷設コストが出てきます。

  cr 27,900,000 ÷ 36,000〜24,000 = cr 775 〜 1,163

  cr 775 〜 1,163 + cr 2,080 = cr 2,855 〜 3,243

 機雷1個の敷設には、おおよそcr3,000経費が掛かると分かりました。

 敷設コストの内 27〜36%は、固定経費敷設艦艇維持費機雷輸送費)ですから、ダミー機雷の敷設は、ダミー機雷購入費用が掛からない(=ゼロ)と仮定しても、あまり安くはならないようです。
 本物の機雷1個を敷設するコストと、ダミー機雷3個を敷設するコストが、ほぼ等価になってしまいましたから。




結論


 今回の考察も、色々と計算を重ねてみました。

 搭載しているコンピュータのモデルが低い小型商船では、早期に機雷を発見することが困難です。
 機雷までの距離が視認距離になるまで、なかなか発見できませんし、追跡(識別)の成功も望めません。


 視認距離1ヘクス5万km、という想定で、浮遊機雷の回避パターンをいくつか計算してみましたが、機雷発見と同時に回避行動を行なうためには、商船の航行速度を抑えなければならないと分かりました(=低速航行)。

 単独の浮遊機雷を避けるためならば、秒速66.0km
 大規模な機雷堰を避けるためには、秒速30.0km

 航行速度を抑えた低速航行を行なった場合、航行時間が大幅に増加してしまいます。
 特に規模の大きい世界、主要世界がガスジャイアントの衛星だった場合などは、その影響が顕著でした。
 低速航行は、とても不経済なのです。


 低速航行を嫌った商船が通常通りの航行を行なった場合、浮遊機雷機雷堰は有効な通商破壊手段となりえました。

 武装を搭載した商船ならば、単独の浮遊機雷3列程度の機雷堰掃海して、自力で安全を確保することも可能です。
 しかし非武装の商船では掃海が不可能ですし、強力な武装を持ったM型客船や、T型哨戒艦であっても、6列の機雷堰を短時間で掃海することは困難だということも分かりました。


 トラベラー宇宙の民間商船どれだけの武装を施されているのか、レフリーの数だけ世界観がある訳ですが、非武装商船の多い宇宙であるほど、浮遊機雷はそれらの民間商船にとって、大きな脅威となるでしょう。

 などと色々書いてきましたが、視認距離50kmの定義を採用するならば、探知性能の劣る民間商船が、浮遊機雷を回避できる可能性はほとんど無くなります。
 視認距離(=50km)に入るよりも早く、機雷の近接信管が2,500kmで作動して、民間商船は吹き飛ばされていることになりますから。


 次回こそ、大島様提案の無人戦闘ポッド型機雷などの考察を行なうつもりです。


2009.01.14に追加

 質量探知器中性微子探知器など、高度なセンサーの搭載について、掲示板で意見を伺ったところ、恐ろしい事実が明らかになりました。
 以下は、[351]01/09(Fri)〜[353]01/12(Mon)に投稿された、ナイR@TEP様の意見抜粋です。

「普通は必要ないから積んでない。」
「ええ、普通に治安の確立された宙域(まっとうな商人が飛ぶのはそういうところです)を飛んでいるのであれば、いらないでしょう。」
「ですから、PC一行が飛ぶようなところは、そもそも「普通でない」ところなんですよ。」

 言われて初めて気付きましたが、普通の(まっとうな)商人は、浮遊機雷海賊船の跋扈する紛争地域を避けて通るものなのですね。
 ビジネスチャンスだ!などと喜んで紛争地域に向かうようなPC達を、普通の商人と一緒にしてはいけないのです。
 いつの間にか、自分が「常識」に疎くなっていたことを知りました。

 一般の民間商船(まっとうな商人の保有する商船)は、質量探知器中性微子探知器を積んでいなくても、当たり前なのです。


2009.01.04 投稿前のチェック
2009.01.14 結論部分に加筆
2009.01.15 初投稿