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The Best Weapon
30th stage ( Sensor 2
)

最強兵器 決定戦
第30回 (探知器2)

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MEGA TRAVELLER
 


 

テックレベル13以下になるだけで、
 半分の距離
まで縮んでしまった水平線


 数回に渡る「機雷」の考察で、最低検出能力10kwの中性微子探知器のことを何度も引き合いに出しました。
 上記の中性微子探知器を持っているか、持っていないかで、宇宙船の探知/追跡性能が大きく変わってしまうのです。

 中性微子探知器を必要としていない民間商船はともかく、戦闘艦艇は最高級の探知器を搭載していなければなりません。
 ところが、テックレベル13以下では、どうやっても10kwの中性微子探知器を装備できないのです。
 計算してみた結果、確実な探知距離がテックレベル15と比べて半分に縮まっていました。

 第6回の考察「探知器」において、メガトラベラーの宇宙戦闘ルールでは、距離10へクスに「水平線」が存在していると主張しましたが、テックレベル13以下宇宙船にとっては、その「水平線」が5ヘクス前後の距離に存在しているのです。

 探知と追跡を行なえる最大距離水平線までの距離が半分になってしまうのですから、それに合わせて宇宙戦闘のドクトリンも変わってくるでしょう。
 今回は、水平線が何処まで縮んでくるのか、電子妨害の影響はどうなるのか、ということについて、考察しました。




テックレベルによる、
探知/追跡難易度の比較


 「緩衝宙域」に関して様々な設定を考えている内に、低テックレベルにおける探知/追跡性能が、再び気になってきました。
 第6回の考察でも触れましたが、テックレベル13以下の宇宙船が持っている探知/追跡性能は、テックレベル15の宇宙船が持つ性能に比べて、大きく劣るのです。

 探知/追跡性能について、もう一度、考え直してみました。



(1)能動物体探知/追跡

 レーダー波レーザー波を宇宙船自ら発信し、その反射を得ることで、目標を発見/追跡します。
 そのレーダー波レーザー波を逆探知されてしまうこと、レーダー妨害機EMS妨害機によって使用不能になるなどの欠点はありますが、安価ですし、低いテックレベルでも装備することが可能でした。

 能動物体探知/追跡の難易度を求めることはとても簡単です。

 最大探知距離が、遠軌道距離能動EMSは、難易度」。
 超遠方〜惑星距離のものは、難易度」ということでした。
 探知も追跡も、その難易度は変わりません。

 テックレベル10以上ならば、遠軌道距離能動EMSを装備可能でしたから、難易度は「」になります。
 テックレベル10未満は判断が難しくなりましたが、テックレベル8〜9の範囲で、遠軌道距離レーダーを装備、テックレベル7惑星距離レーダーを装備すると考えました。
 その場合の難易度は、テックレベル8〜9で「」、テックレベル7で「」になります。


 ところで、ふと気付いたことなのですが、遠軌道距離の定義は50万kmなのです。
 メガトラのルールブックを読み直してすでに1年が経過していますが、昨夜になって初めて発見しました。
 50万kmということは、宇宙戦闘に用いるヘクスで10へクスの距離です。
 能動探知/追跡を行なう場合、その難易度がどんなに低くても、+DMが山ほどあっても、それが可能な距離は最大で10へクスしかありません。

 ちなみに、帝国百科掲載の小艇大型ボートからシャトルまで)が搭載している能動EMS最大探知距離は、惑星距離です。
 テックレベル7レーダーも、惑星距離のものが最大でした。
 惑星距離の定義は5万km
 宇宙戦闘に用いるヘクスで、わずか2へクス先の目標しか探知/追跡できないと分かりました。

 実に、意外な発見です。



(2)受動物体探知/追跡

 質量探知器を用いることで、目標の放つ重力波を探知/追跡する手段です。

 探知の難易度は探知器のテックレベルにより決定され、テックレベル14以上難易度」、テックレベル12〜13難易度」、テックレベル10〜11難易度至難」となっていました。

 追跡の難易度を求めることは少し難しいのですが、要約すると、テックレベル14以上難易度」、テックレベル12〜13難易度」、テックレベル11難易度至難」、テックレベル10難易度不可能」となります。

 テックレベル10未満では、質量探知器を製造できませんから、探知も追跡も行なえません。



(3)受動エネルギー探知/追跡

 目標から発信される電磁波赤外線なども含む)を利用して、目標の探知を行なう手段です。
 テックレベル11以上になれば、中性微子探知器を用いることで目標を追跡し、目標のパワープラント出力を知ることも出来ました。

 探知の難易度を求める方法は、これもまた難しくなっています。
 遠恒星間距離受動EMS10kwの中性微子探知器の2つを備えて、初めて難易度が「」になりました。
 その一方、遠恒星間距離受動EMSを備えていても、中性微子探知器の検出能力が100kw以上であるか、あるいは、中性微子探知器を装備していなければ、難易度は「」になるのです。
 また、帝国百科掲載の小艇は、惑星間距離受動EMSを搭載していました。
 中性微子探知器を備えている小艇はありませんでしたから、小艇の難易度は「」になります。

 追跡の難易度は、中性微子探知器の検出能力によって決まりました。
 検出能力が10kw(これが可能なテックレベルは14以上に限られます)であれば、難易度は「」。
 100kwテックレベル13)ならば、難易度は「」。
 1,000kw以上テックレベル11〜12)ならば、難易度は「至難」になります。



(4)探知/追跡手段の選択


 これまで述べてきた、探知/追跡手段の難易度を、下の表1にまとめました。


       表1  テックレベルによる、探知/追跡の難易度比較

BW30_FIG01.GIF - 7,587BYTES

 最も難易度の低い、探知/追跡手段を赤字で示しました。
 例えば、テックレベル14〜15の範囲において、最も難易度の低い探知手段は、受動エネルギー探知の「」です。

 同じ難易度の探知/追跡手段が複数存在する場合は、受動エネルギー探知受動物体追跡を優先しました。
 能動物体探知は、探知可能距離が10へクスに制限されいていること。
 受動物体探知の方が、難易度が若干低いことから、そのように決めています。


 テックレベル14〜15においては、受動エネルギー探知受動物体追跡が最も難易度が低くなっていました(受動エネルギー追跡も難易度は同等)。
 その難易度は、探知が「」、追跡が「」になります。

 テックレベル13以下は、受動エネルギー探知能動物体追跡の難易度が最も低く、探知が「」、追跡も「」になっていました。
 テックレベル7だけは、能動物体追跡難易度が「」になりますが。




テックレベルによる、探知成功率の変化


 上記で求めた探知の難易度を用いて、探知成功率を計算してみました。
 第6回の考察で作成した早見表が「分かり難い」という指摘を受けましたので、今回の表は、表現方法を少し変えてみます。


     表2 探知成功率の比較(探知回数=1回)
        テックレベルに関わらず、受動エネルギー探知を用います。

BW30_FIG02.GIF - 10,007BYTES

 表の数値は、その距離における探知成功率を表しています。
 赤字の「1.00」ならば、確実に探知/追跡が成功。
 黄色の「0.99〜0.80」ならば、探知/追跡は80%以上の確率で成功。
 緑色の「0.79〜0.01」は、探知/追跡可能ですが、その成功率が低いことを示し、 白色の「0.00」が記された距離では、探知/追跡が不可能です。

 テックレベル14〜15の場合、距離10へクスでも「0.93〜0.83」の高い成功率を持っていました。
 テックレベル11〜13の場合、距離10へクスの成功率は「0.17〜0.03」しかありません。
 テックレベル10以下になると、10へクスでの探知は不可能になります。


 探知成功率を上げるため、探知回数を4回に増やしてみました。

     表3 探知成功率の比較(探知回数=4回)
        テックレベルに関わらず、受動エネルギー探知を用います。

BW30_FIG03.GIF - 10,085BYTES

 テックレベル14〜15の場合、距離10へクスでの成功率が「1.00」、ほぼ100%になりました。
 探知の成功判定を4回行うならば、距離10へクスに侵入してきた目標を確実に探知できるのです。

 ところがテックレベル11〜13の場合、距離10へクスの成功率は「0.52〜0.11」しかありません。
 探知に成功しない可能性の方が、大きいくらいです。
 確実に探知できる距離は、テックレベル135ヘクスでした。
 テックレベル14〜15の確実な探知距離と比べて、半分しかないのです。

 何ということでしょうか。
 テックレベル13の航路監視衛星は、テックレベル15と比べて探知距離が半分ですから、同じ面積を監視するために、4倍の数が必要になってしまいます。
 ピケットの考察を、また新たに書き直さなければなりません。

 テックレベル10以下では、探知回数を増やしても、距離10へクスでの探知は不可能のままでした。


 さらに探知成功率を上げるため、探知回数を20回に増やしてみましょう。

     表4 探知成功率の比較(探知回数=20回)
        テックレベルに関わらず、受動エネルギー探知を用います。

BW30_FIG04.GIF - 9,743BYTES

 探知回数を20回まで増やすことで、テックレベル13の探知であっても、距離9ヘクス確実に成功、距離10へクスで「0.97」の成功率を得られるようになりました。

 しかし同じ条件で、テックレベル15の探知は距離15へクス確実16へクスで「0.97」ですから、やはり歴然とした差が残ります。

 テックレベル7〜8の探知は、成功率が低すぎます。
 20回の探知を行なっても、確実に成功する距離が4ヘクスしかないのですから。




テックレベルによる、追跡成功率の変化


 同様に、追跡の成功率を計算してみました。


     表5 追跡成功率の比較(追跡回数=1回)
        テックレベル14〜15は、受動物体追跡を、
        テックレベル13以下は、能動物体追跡を用います。

BW30_FIG05.GIF - 10,027BYTES

 追跡の難易度は、テックレベルによる違いがありません。
 同じ難易度」に対して、与えられる+DM(コンピュータのモデル数)が異なるだけです。

 敢えて違いを述べるならば、テックレベル14〜15受動物体追跡を行なうので、逆探知を心配する必要が無く、テックレベル13以下能動物体追跡を行なうため、自動的に逆探知されてしまい、さらに電子妨害を受ける可能性があるということでしょう。


 追跡成功率を上げるため、追跡回数を4回に増やしてみました。

     表6 追跡成功率の比較(追跡回数=4回)
        テックレベル14〜15は、受動物体追跡を、
        テックレベル13以下は、能動物体追跡を用います。

BW30_FIG06.GIF - 10,207BYTES

 追跡の回数が増えても、成功率が右へシフトしていくだけなので、コメントの仕様がありません。


 追跡回数を20回に増やしてみると、追跡成功率はどうなるでしょうか。

     表7 追跡成功率の比較(追跡回数=20回)
        テックレベル14〜15は、受動物体追跡を、
        テックレベル13以下は、能動物体追跡を用います。

BW30_FIG07.GIF - 9,772BYTES

 テックレベル13の追跡は、追跡の回数を20回まで増やしても、距離9ヘクス確実に成功、距離10へクスで「0.97」の成功率でした。

 テックレベル8の追跡は、距離4ヘクスでようやく確実に成功です。




電子妨害下における、追跡成功率の変化


 レーダーなどを含む能動EMSは、電子妨害に弱いという特徴を持っています。
 目標が電子妨害を行なっている場合、目標に対して能動追跡を試みることが出来ません。
 その場合、受動物体追跡受動エネルギー追跡の2つしか、追跡手段は残されていませんが、これら2つの追跡手段は、難易度が高い(成功率が低い)のです。


 電子妨害下における、追跡の成功率を計算してみました。


     表8 電子妨害下における、追跡成功率の比較(追跡回数=1回)
        テックレベル10〜15は、受動物体追跡を用いますが、
        テックレベル9以下は、追跡を行なえません。

BW30_FIG08.GIF - 8,725BYTES

 テックレベル14〜15の場合、距離4〜7へクスでも「0.97〜0.83」の高い成功率を持っています。
 この追跡成功率ならば、一方的にテックレベル13以下宇宙船を追跡し、攻撃することが可能でしょう。

 テックレベル12〜13の場合、追跡回数1回程度ではほとんど成功できません。
 受動エネルギー探知によって、攻撃側のおおよその位置はつかめるでしょうから、敵にむかって突撃を掛ける(距離を1ヘクスまで縮める)以外に、選択の余地は無さそうでした。

 テックレベル11以下は論外です。
 目標の1へクス以内(=視認距離)に近付かなければ、追跡は不可能です。


 追跡成功率を上げるため、追跡回数を4回に増やしてみました。

     表9 追跡成功率の比較(追跡回数=4回)
        テックレベル10〜15は、受動物体追跡を用いますが、
        テックレベル9以下は、追跡を行なえません。

BW30_FIG09.GIF - 8,739BYTES

 追跡回数を4回に増やした場合、テックレベル14〜15宇宙船は、距離4〜7へクス確実に追跡に成功できます。
 あるいは、8〜9ヘクスの距離で「0.99〜0.88」の成功率を活用しても良いでしょう。
 やはり、テックレベル13以下宇宙船を一方的に攻撃できました。

 テックレベル12〜13の場合、距離3〜4ヘクスで「0.88」の成功率を得ることが出来ましたが、テックレベル15宇宙船がそれ以上の距離に遠ざかってしまえば、もう追跡続行は不可能です。

 テックレベル11以下視認距離に近付かなければ、追跡不可能です。


 さらに追跡成功率を上げるため、追跡回数を20回に増やしてみました。

     表10 追跡成功率の比較(追跡回数=20回)
        テックレベル10〜15は、受動物体追跡を用いますが、
        テックレベル9以下は、追跡を行なえません。

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 追跡回数を20回に増やした場合、テックレベル14〜15宇宙船は、距離10へクスでも確実に成功します。

 テックレベル12〜13の場合、距離4〜5ヘクス追跡成功が確実になりました。
 「0.97〜0.82」の成功率で良ければ、距離5〜7ヘクスでの追跡も可能です。

 これらのことを考えてみると、テックレベル15宇宙船が1回の追跡判定しか出来ず、テックレベル13宇宙船が20回以上の追跡を行なえるのであれば、追跡能力は、ほぼ対等だと言えるでしょう。
 ちょっと妄想してみました。

 1回の追跡判定しか出来ない宇宙船・・・・5
0トン大型戦闘艇
 20回以上の追跡を行なえる宇宙船・・・5,000トン級艦隊護衛艦

 テックレベル15大型戦闘艇が、電子妨害を掛けながら逃走していく場合(多分、何らかの偵察任務だったのでしょう)、テックレベル13ソードワールズ海軍は、艦隊護衛艦1隻を出撃させなければそれを補足すら出来ないという、とても情けない状況が発生しそうですね。

 テックレベル11は、距離2へクスで「0.43」の成功率を持ちますが、20回の追跡判定で「0.43」ですから、やはり当てになりません。
 実質的には、視認距離に近付かなければ、追跡不可能です。


 テックレベル13以下宇宙船にとって、電子妨害というものがとても効果的だと分かりました。




結論


 探知能力に関しては、テックレベル13宇宙船は、テックレベル15と比べて半分の距離までしか探知できません。
 星系内の航路監視衛星4倍の数が必要になってしまう訳で、ピケットについて再検討が必要になりました。

 追跡に関しては、コンピュータモデルが異なる他、それほど影響がないと思っていたのですが、電子妨害が加わると、テックレベルの差が顕著になりました。
 テックレベル12〜13宇宙船は、テックレベル15と比べて、半分の距離までしか追跡できませんし、テックレベル11以下宇宙船視認距離まで近付かなければ追跡不可能になるのです。

 これでは、ピケットの運用方法を根本から見直さなければならないでしょう。
 次回は、それを検討課題とします。


2009.04.13 投稿前のチェック。
2009.04.16 初投稿。