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  Maneuvers
02

最強兵器 決定戦
演習結果−第2回

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MEGA TRAVELLER
 


 

 戦艦同士による、大規模艦隊戦
                                移動力の価値は?


 今回の演習も、大島氏のおかげで行なうことができました。
 私が「帝国の戦艦」のデータ作成(メガトラルールへのコンバート)を試みていると知り、海外の何処かから、該当するデータを見つけてきてくださったのです。
 おかげさまで、海外で公表されているタイグレス型コーキラク型戦艦プランクウェル型戦艦、3種類の戦艦のデータを手に入れることが出来ました。

 しかし、どれも通常ドライブの性能が低く抑えられています。
 CT「宇宙海軍」に記載のデータでは、上記の戦艦は3種とも5〜6G加速性能で、移動力も5〜6(加速性能と同じ数値)だったのですが、海外の公表データでは、どの戦艦も2G加速性能で、移動力は0〜1なのです。

 私は「移動力崇拝派」の信奉者ですので、移動力の小さい戦艦の存在を許せません。
 とは言うものの、前回(番外編第1回)の結果から、その信念が揺らいでいることも事実です。
 そこで、その信念を再確認するため(あるいは、教義の誤りを正すため)今度は戦艦同士の演習を行なうことにしました。
 


タイグレス型の戦い


 以下に、タイグレス型弩級戦艦の、異なる2つのデータを示します。

タイグレス型(海外版)
 
50万トン 形状5流線型 ジャンプ4 2G加速 移動力=1  Mcr673,313
 主砲=中間子T
 副砲=ミサイル9×430(215) 反重力砲9×22(11)
 砲塔群=Bレーザー9×10(5) フュージョンガン3×50(25)
    粒子加速砲7×100(50) 
散乱砂9×10(5)
 スクリーン=中間子7 核中和装置9
 装甲DM=15
 航続=28

タイグレス型(山中版)
 50万トン 形状5流線型 ジャンプ3 6G加速 移動力=6  Mcr823,332
 主砲=中間子T
 副砲=ミサイル9×430(215) 反重力砲9×22(11)
 砲塔群=Bレーザー9×10(5) フュージョンガン6×50(25)
    粒子加速砲7×10(5)  散乱砂9×10(5)
 スクリーン=中間子7 核中和装置9
 
装甲DM=15
 航続=3/13

 武装は基本的に同一(若干の違いはあります)ですが、なぜかジャンプ性能が異なっていました。
 また、高い移動力を得るためのパワープラント出力が違いますので、価格と航続日数に大きな違いが生じています。
 ジャンプ性能4を確保して、同時に6G加速と移動力6を得ることが困難であることは、私も承知しています。
 必要なジャンプ性能を確保するための、2G加速と移動力1なのかも知れませんが、……やはり納得しかねます。

 同一コストで比較したとろこ、海外版11隻の価格と山中版9隻の価格が等しかったため、以下の演習では、海外版110隻と、山中版90隻が激突することにしました。




演習の経緯(タイグレス型)


 以下は、演習の途中経過です。


第1ターン

 星系内に展開したタイグレス型弩級戦艦110隻90隻が、お互いを射程距離に収め(遠距離にて)砲撃を開始しました。

タイグレス型(海外版)の攻撃

 主砲の照準判定 難易度「並」+DM移動力 なので、6+で照準に成功します。
 72.2%×110隻=79.4隻               79隻が射撃可能です。 

 主砲の命中判定 タイグレス型(山中版)の移動力が6なので、8+で命中。
 41.7%×79隻=32.9発                33発が命中しました。

 スクリーンの突破判定 防御力が7なので、4+で突破に成功。
 91.7%×33発=30.3発          30発がスクリーンを突破しました。

 船体形状の突破判定 形状5より、0+で突破に成功。
          自動的に全弾30発が船体形状の影響を受けず、命中しました。

 攻撃を受けたタイグレス型(山中版)は、90隻中30隻が撃破されました。
 残り戦力は、90−30=60隻(67%)です。

タイグレス型(山中版)の攻撃

 主砲の照準判定 難易度「並」+DM移動力 なので、1+で照準に成功します。
                          全艦90隻が射撃可能です。 

 主砲の命中判定 タイグレス型(海外版)の移動力が1なので、3+で命中。
 97.2%×90隻=87.5発                88発が命中しました。

 スクリーンの突破判定 防御力が7なので、4+で突破に成功。
 91.7%×88発=80.7発          81発がスクリーンを突破しました。

 船体形状の突破判定 形状5より、0+で突破に成功。
          自動的に全弾81発が船体形状の影響を受けず、命中しました。

 攻撃を受けたタイグレス型(海外版)は、110隻中81隻が撃破されました。
 残り戦力は、110−81=29隻(26%)です。

 目標艦の撃破率が圧倒的に違っています。
 わずか1ターンの戦闘で、タイグレス型(海外版)は、全滅に近い被害を受けてしまいました。
 残り戦力数は、29隻(海外版)60隻(山中版)ですから、これ以上は続けるだけ無意味でしょう。

 この性能差(通常ドライブの加速性能と移動力の差)を補おうとするならば、海外版タイグレス型は、装甲値を削り、さらなるコストダウンを行なって、数を確保しなければなりません。
 現在の性能差の場合、180隻(海外版、移動力=1)100隻(山中版、移動力=6)で戦闘を始めれば、互角の勝負になる(双方が全滅する)と分かりました。
 しかし装甲を削ってしまったら、それはもうタイグレス型と呼べないでしょうから、このタイグレス型に関しては、移動力確保が正しいと言えます。

 移動力が3〜4の場合は、どうなるのでしょうか。それほど回避能力は変わらずに、コストダウンが可能な筈ですが……、今後の課題にしておきます。




コーキラク型の戦い


 以下に、コーキラク型戦艦の、異なる2つのデータを示します。

コーキラク型(海外版)
 
20万トン 形状4流線型 ジャンプ4 2G加速 移動力=0  Mcr125,038
 主砲=中間子T
 副砲=ミサイル9×50(33) 反重力砲9×20(13)
 砲塔群=Bレーザー6×50(33) フュージョンガン6×50(33)
    
散乱砂9×33(20)
 スクリーン=中間子8 核中和装置9
 装甲DM=13
 航続=28日

コーキラク型(山中版)
 20万トン 形状4流線型 ジャンプ3 6G加速 移動力=6  Mcr198,658
 主砲=中間子T
 副砲=ミサイル9×50(33) フュージョンガンA×50(33)
     反重力砲9×20(13)
 砲塔群=Bレーザー6×50(33) 粒子加速砲7×33(22)
     散乱砂7×50(33)
 スクリーン=中間子8 核中和装置9
 
装甲DM=12
 航続=4/17

 この戦艦も、武装は基本的に同一(若干の違いはあります)ですが、やはりジャンプ性能が異なっていました。

 同一コストで比較したところ、海外版8隻の価格と、山中版5隻の価格が等しかったため、以下の演習では、海外版160隻と、山中版100隻が激突することにしました。




演習の経緯(コーキラク型)


 以下は、演習の途中経過です。


第1ターン

 星系内に展開したコーキラク型戦艦160隻100隻が、お互いを射程距離に収め(遠距離にて)砲撃を開始しました。

コーキラク型(海外版)の攻撃

 主砲の照準判定 難易度「並」+DM移動力 なので、7+で照準に成功します。
 58.3%×160隻=93.3隻               93隻が射撃可能です。 

 主砲の命中判定 コーキラク型(山中版)の移動力が6なので、8+で命中。
 41.7%×93隻=38.8発                39発が命中しました。

 スクリーンの突破判定 防御力が8なので、4+で突破に成功。
 91.7%×39発=35.8発          36発がスクリーンを突破しました。

 船体形状の突破判定 形状4より、0+で突破に成功。
          自動的に全弾36発が船体形状の影響を受けず、命中しました。

 攻撃を受けたコーキラク型(山中版)は、100隻中36隻が撃破されました。
 残り戦力は、100−36=64隻(64%)です。

コーキラク型(山中版)の攻撃

 主砲の照準判定 難易度「並」+DM移動力 なので、1+で照準に成功します。
                         全艦100隻が射撃可能です。 

 主砲の命中判定 コーキラク型(海外版)の移動力が0なので、2+で命中。
                      全艦の射撃100発が命中しました。

 スクリーンの突破判定 防御力が8なので、4+で突破に成功。
 91.7%×100発=91.7発         92発がスクリーンを突破しました。

 船体形状の突破判定 形状4より、0+で突破に成功。
          自動的に全弾92発が船体形状の影響を受けず、命中しました。

 攻撃を受けたコーキラク型(海外版)は、160隻中92隻が撃破されました。
 残り戦力は、160−92=68隻(43%)です。

 今回も。目標艦の撃破率が圧倒的に違っています。
 コーキラク型(山中版)の目標撃破率は92%、対するコーキラク型(海外版)の目標撃破率はわずか23%しか有りません。
 移動力0の戦艦が、中間子砲の攻撃に対していかに脆いか、それを実証する結果となったようです。

 現在の性能差の場合、200隻(海外版、移動力=0)100隻(山中版、移動力=6)で戦闘を始めても、まだギリギリですが、100隻(山中版)の方に勝ち目がありました。
 今回のコーキラク型に関しても、移動力確保が正しいと言えるでしょう。




プランクウェル型の戦い


 以下に、プランクウェル型戦艦の、異なる2つのデータを示します。

プランクウェル型(海外版)
 
20万トン 形状4流線型 ジャンプ4 2G加速 移動力=0  Mcr102,928
 主砲=中間子T
 副砲=ミサイル9×80(52) 反重力砲9×50(33)
 砲塔群=Bレーザー9×10(7) フュージョンガン4×6(4)
     粒子加速砲7×40(26) 
散乱砂9×10(7)
 スクリーン=中間子3 核中和装置9
 装甲DM=10
 航続=37

プランクウェル型(山中版)
 20万トン 形状4流線型 ジャンプ4 5G加速 移動力=5  Mcr147,827
 主砲=中間子T
 副砲=ミサイル9×80(52) 反重力砲9×50(33)
 砲塔群=Bレーザー9×10(7) フュージョンガン6×15(10)
     粒子加速砲7×40(26) 散乱砂9×10(7)
 スクリーン=中間子3 核中和装置9
 
装甲DM=10
 航続=7.5/25

 この戦艦だけは、ジャンプ性能が同じです。

 同一コストで比較したところ、海外版10隻の価格と、山中版7隻の価格が等しかったため、以下の演習では、海外版200隻と、山中版140隻が激突することにしました。




演習の経緯(プランクウェル型)


 以下は、演習の途中経過です。


第1ターン

 星系内に展開したプランクウェル型戦艦200隻140隻が、お互いを射程距離に収め(遠距離にて)砲撃を開始しました。

プランクウェル型(海外版)の攻撃
 主砲の照準判定 難易度「並」+DM移動力 なので、7+で照準に成功します。
 58.3%×200隻=116.7隻              117隻が射撃可能です。 

 主砲の命中判定 プランクウェル型(山中版)の移動力が5なので、7+で命中。
 58.3%×117隻=47.8発               68発が命中しました。

 スクリーンの突破判定 防御力が3なので、2+で突破に成功。
                自動的に全弾68発がスクリーンを突破しました。

 船体形状の突破判定 形状4より、0+で突破に成功。
          自動的に全弾68発が船体形状の影響を受けず、命中しました。

 攻撃を受けたプランクウェル型(山中版)は、140隻中68隻が撃破されました。
 残り戦力は、140−68=72隻(51%)です。

プランクウェル型(山中版)の攻撃
 主砲の照準判定 難易度「並」+DM移動力 なので、2+で照準に成功します。
                         全艦140隻が射撃可能です。 

 主砲の命中判定 プランクウェル型(海外版)の移動力が0なので、2+で命中。
                      全艦の射撃140発が命中しました。

 スクリーンの突破判定 防御力が3なので、2+で突破に成功。
               自動的に全弾140発がスクリーンを突破しました。

 船体形状の突破判定 形状4より、0+で突破に成功。
         自動的に全弾140発が船体形状の影響を受けず、命中しました。

 攻撃を受けたプランクウェル型(海外版)は、200隻中140隻が撃破されました。
 残り戦力は、200−140=60隻(30%)です。


 目標艦の撃破率が圧倒的に違っています。
 プランクウェル型(山中版)の目標撃破率は100%、対するプランクウェル型(海外版)の目標撃破率は34%でした。
 プランクウェル型(山中版)の移動力が5ですので、(移動力6のコーキラク型と比べて)被撃破率が1.5倍に増えてしまいましたが、それでも「移動力崇拝派」の勝利です。
 移動力0の戦艦が、中間子砲の攻撃に対していかに脆いか、それを実証する結果となったようです。

 現在の性能差の場合、200隻(海外版、移動力=0)110隻(山中版、移動力=6)で戦闘を行ってようやく、200隻(海外版)の方に勝ち目が生まれます。
 その建造費は20兆クレジット(海外版、移動力=0)16兆クレジット(山中版、移動力=6)になりますので、移動力5プランクウェル型(山中版)を建造する方が、2割も安価に揃えられることになりました。




結論


 正面から艦隊戦を行なう場合、移動力0の戦艦は、1.6〜2.0倍の数を用意することで、移動力5〜6の戦艦に対して、勝利を収めることが出来るようです。
 概ねそのぐらいの比率で、コスト面での釣り合いもほぼ取れていましたが、同じ予算で比べると、

 高い移動力は、建造費の増加以上に、高い生存性を得られる

 つまり、移動力にはそれだけの価値がある


 と、結論付けることが出来ました。


 さらに、移動力とはやや異なりますが、通常ドライブの加速能力についても一言、述べておきます。

 これまで述べてきた演習は、双方が戦いを望んでいる状況での演習でした。
 味方が劣勢であれば無理に戦おうせず、味方の増援を待つか、一時的に退却して次のチャンスを待つことが、正しい戦術判断でしょう(どうしても、戦わなければならない状況も存在しますが、それは例外として)。
 そのような場合、通常ドライブの加速能力は、大きな意味を持ってきます。

 加速能力に優れた艦隊は、戦うか/戦わないか、の自由選択権があるからです

 加速能力に劣る艦隊は、そのような選択権を持てません

 味方が劣勢、敵が優勢の状況でも、敵艦隊から逃げることはできませんし、味方が優勢、敵が劣勢の状況でも、逃げる敵を捕まえることは出来ないからです。

 

                                2008.06.21