この中で、最強の海賊船はＣ型巡航艦でしょう。CTの遭遇表では、宇宙港クラスＥ／Ｘの星系でしか遭遇しないことになっていますが、そんなことは考えられません。
　Ｃ型巡航艦を維持するための経費は大きな金額になりますから、獲物の多い星系を巡り、儲かる獲物（例えばＭ型客船など）を捕まえなければ、採算が合わない筈です。

　Ｔ型哨戒艦は、とても使いやすい海賊船だと思います。帝国海軍や惑星海軍は同型の哨戒艦を用いていますから、しっかりと偽装を施せば「海軍の臨検」を演じることが出来るでしょう。獲物の商船が自分から停船してくれるのですから、こんなに楽な方法はありません。
　また、４Ｇ加速の性能は、獲物を追い掛け、追っ手から逃げる際に強力な武器となります。50トンの船倉も奪った船荷を積み込むため、有効に使えるでしょう。

　Ｐ型海賊船は、私の考えでは、密輸か地上襲撃しかできない武装貨物船です。
　宇宙空間で商船襲撃に使えるかどうかは、これからの計算で明らかになると思いますが。

　Ｍ型政府指定商船とＲ型政府指定商船には、パルス・レーザー、ミサイル、散乱砂砲からなる、混合砲塔を積みました。
　自由貿易船の経済性を計算していると、エネルギー消費量の多いレーザーを搭載することはとても不経済だと分かってきたのですが、とりあえず、今までの考察に従って、混合砲塔の搭載を続けます。
　もちろん、非武装である可能性も高いでしょう。

　Ａ型武装商船は、Ａ型自由貿易船に改装を施し、複架のフュージョンガンを１基搭載したものです。補助武装として、ミサイル１門と散乱砂砲２門を混載した三連架砲塔を搭載しており、さらに３Ｇ加速も可能だという設定。
　フュージョンガンという兵器が商船や海賊船の間でどのような評価をされているか、それを計算するために登場させました。

　Ｓ型偵察艦は、複架砲塔にパルス・レーザー１門とミサイル１門を搭載しています。
　レーザーを搭載できるだけの余剰出力がある場合、レーザーを使わなければ移動力２を発揮できるような気もするのですが、今回の考察では移動力＝０として扱います。

　上の表は、戦術ポイントや乗組員の技量、その他の状況を考慮せずに、命中率と命中期待値だけを計算しました。

　Ｃ型巡航艦の攻撃は、近距離でも遠距離でも、ほぼ全弾が命中しています。

　Ｍ型客船の攻撃も、意外なことに命中期待値がとても大きいのです。３基の混合砲塔の火力は、近距離でも遠距離でも４回弱の命中を得られるようでした。Ｍ型客船の襲撃を企てたＳ型偵察艦やＡ型武装商船は、先制攻撃に成功しない限り、高い確率で返り討ちに遭うことでしょう。
　場合によっては、Ｍ型客船を通商破壊艦（偽装商船）として使う可能性も、十分に有り得そうです。

　Ｔ型哨戒艦は、３回の命中を期待できます。
　普通に攻撃した場合、目標を行動不能に陥れるためには数ターンの連続した攻撃が必要になってしまいますが、後述する「精密射撃」や「致命的損傷」を用いれば、わずか１ターンで獲物を無力化することも可能でしょう。

　Ｐ型海賊船の攻撃による命中期待値は、2.6回でした。

　Ｒ型商船の命中期待値は1.4回、Ａ型武装商船は1.4〜0.6回、Ｓ型偵察艦は、0.7回。
　あまり高いものではありませんが、海賊船がＳ型偵察艦やＡ型武装商船ならば、何とか対抗することも出来そうです。
　逆に考えると、海賊家業を始めるならば、最低限モデル２以上のコンピュータを搭載すべきでしょう。


　　　　表３　視認距離で商船を精密射撃した場合、損傷表を振り直しできる
　　　　　　　（損傷箇所を限られた範囲でも自由に選べる）成功率と、
　　　　　　　　致命的損傷を与えられる確率と、それらの期待値

　視認距離で精密射撃を行なった場合の成功率と、致命的損傷を与える期待値です。

　海軍の臨検を装って、獲物の商船に接舷するならば、獲物の視認距離に近づくまで、正体がばれることもないでしょう。精密射撃を行なうことは、十分に可能だと思います。
　もし獲物に気付かれたとしても、高加速で追いすがり、獲物の１ヘクス以内（視認距離）へ近づけば、精密射撃は可能です。
　ですから、海賊船が、精密射撃を用いる可能性は極めて高いでしょう。

　精密射撃の成功率には、コンピュータのモデル差が大きく影響していました。
　モデル５のコンピュータを搭載したＣ型巡航艦は、なんと４回以上の成功を期待できるのです。
　装甲ＤＭ＝０の目標に対する外部損傷（サイコロの目＝２〜12の範囲）を見ると、最も大きな損傷は、通常ドライブ−１、燃料−２、兵器−３の３つでした。
　精密射撃に４回も成功しているのであれば、通常ドライブの損傷を１回、兵器−３の損傷を２回選ぶことが出来ます。混合砲塔を搭載したＲ型商船であっても、一撃で無力化できるということになりました（精密射撃の成功１回分は無駄になりますが）。

　燃料−２の損傷は、獲物がジャンプアウトした後（燃料タンクが空の状態）なのか、ジャンプする前（燃料を満載している）なのかによって、有効性が異なるでしょう。
　燃料タンクが空に近い状態であれば、燃料損傷を（Ｓ型やＡ型は）１回か（Ｒ型は）２回与えるだけでパワープラントを停止させ、簡単に逃走も抵抗も不可能な状況に追い込めます。
　しかしジャンプの直前で、燃料が満載の状態ならば、行動不能に陥れるまで、（Ｓ型やＡ型は）３回か（Ｒ型は）６回の燃料損傷が必要になりました。精密射撃で２〜３回の成功が必要だということです。
　Ｃ型ならば簡単ですが、Ｔ型やＰ型では難しいことになるでしょう。１ターンだけの射撃では、それだけの命中を得られません。

　Ｍ型客船による精密射撃は、成功期待値が2.1回もあります。

　Ｔ型哨戒艦の場合は、2.0回です。
　獲物の通常ドライブを破壊して、移動不能にすることは容易でしょう。しかし、兵器を無傷で残してしまうと、反撃を受けてしまいます。
　獲物が装備している武装や残っている燃料の量に応じて、損傷を選択しなければなりません。
　ジャンプアウトしてきたところならば、燃料タンクに穴を１つ開けるだけで、簡単に無力化できるのですが。

　Ｐ型海賊船は、コンピュータがモデル２です。Ｔ型哨戒艦と比べ、１レベルしか違わないのですが、精密射撃の成功率は７割の1.4回しかありません。
　果たして、この命中率で商船襲撃を行なえるのでしょうか。反撃を受けて、返り討ちに遭う可能性が高そうなのですが。

　モデル１のコンピュータしか積んでいない商船、Ｒ型商船、Ａ型武装商船、Ｓ型偵察艦の場合、精密射撃の成功を期待できません。
　海賊をするならば、やはりコンピュータのレベルアップは必須でしょう。
　襲われる立場であれば、別の方法で反撃を試みるべきです。



　ところで、１千トン未満の小型商船にとって、致命的損傷はどんな結果を引き起こすのでしょうか。
　ちょっと計算してみました。

　　　　　表４　　致命的損傷の累積効果（１千トン未満の小型商船の場合）

　例えば、ジャンプドライブを破壊される確率は６分の１（16.7％）ですが、致命的損傷を２回、３回と重ねていくについれて、30.6％、42.1％と増えていく訳です。
　パワープラントや通常ドライブの損傷も同様で、致命的損傷を３回も受けたら、まず逃走も、戦闘の継続も不可能な状態に陥っているでしょう。

　コンピュータは、宇宙船ならば必ず３系統以上が搭載されている筈ですので、あまり致命的な結果を招くとは考えておりません。
　コンピュータ破壊の結果が３回以上出てしまうと、３系統全てのコンピュータが破壊されることになってしまいますが、もともと搭載しているコンピュータのモデル数は１ですから、戦闘でDM１つ分、不利になるだけで済むでしょう。
　ジャンプが出来なくなるという問題も生じますが、その頃には、他の要因（ジャンプドライブやパワープラント破壊）によって、ジャンプ不能になっている筈です。

　コンピュータとは反対に、小型船特有の事情として乗組員の人数が少ないことから、乗組員の損傷も重大な結果を引き起こすことが分かりました。乗組員の損傷を１つ受けるだけで、その宇宙船は戦闘不能の状態に陥ってしまうのです。
　移動とジャンプは可能だそうですが、乗組員が全滅した状態で、誰がどうやって船を動かしているのでしょう。謎は深まるばかりです。

　また、致命的損傷によって宇宙船が爆発（消滅）する可能性は、36分の１（2.8％）です。この程度なら、大したことはないと思う方がほとんどでしょうが、致命的損傷を４回受けるだけで、爆発の可能性は10.7％、８回で20.2％、15回で34.5％まで跳ね上がりました。
　致命的損傷を４回受けたら、10隻中の１隻。
　８回受けたら、５隻中の１隻。
　15回受けたら、３隻中の１隻が爆発している訳です。
　結構、恐ろしい数字ではないでしょうか。

　「被害無し」の欄は、致命的損傷表で「スクリーン破壊」か「主砲破壊」の目が出た場合に該当します。スクリーン発生装置や主砲を搭載している小型商船は有り得ないと思いますので、「被害無し」として扱いました。
　もっとも、致命的損傷を複数回受けて、「被害無し」でいられる可能性はとても低いのですが。

　ジャンプ可能は、ジャンプドライブ、パワープラント、艦橋の３つが無事である確率を表しています。戦闘への影響はありませんが、ジャンプによる逃走が可能か不可能かという問題になりますので、計算しておきました。

　移動可能は、パワープラント、通常ドライブ、艦橋の３つが無事な確率です。どれか１つを破壊されただけでも宇宙船は移動が出来ません。逃走が不可能になる、という点で、狙われた商船にとって重要です。

　戦闘可能は、探知器、パワープラント、乗組員、火器管制装置の４つすべてが無事である確率です。



　致命的損傷といえば、宇宙船のサイズコードよりも大きい攻撃力で攻撃された場合、「攻撃力−サイズコード」の差だけ、致命的損傷を受けるというルールがありました。
　表２の命中期待値から、致命的損傷を受ける可能性について計算してみます。

　まずは、100トン級のＳ型偵察艦から。

　　　　表５　　Ｓ型偵察艦が攻撃された場合に「致命的損傷」を受ける可能性

　わざわざ精密射撃を行なわなくても、上記の表に示した分だけ、致命的損傷を受けてしまうことが分かりました。

　例えばＣ型巡航艦が攻撃を行なった場合、標的となったＳ型偵察艦は自動的に、致命的損傷を15回以上受けてしまいます。
　爆発の可能性は、34.5％もありました。
　運良く爆発を逃れたとしても、ジャンプできる可能性はわずか0.5％、移動ができる可能性も1.2％、戦闘できる可能性は0.3％しかありません。
　乗組員も、27.1％の確率でしか生き残れませんでした。

　Ｔ型哨戒艦に攻撃された場合は、致命的損傷が７回以上です。
　仮に７回だったと想定しても、爆発の可能性は17.9％。爆発せずにすんだとしてもジャンプ可能8.2％、移動可能12.9％、戦闘可能6.9％でした。
　乗組員の生存率は54.4％です。あまり変わりません。

　Ｃ型巡航艦やＴ型哨戒艦、Ｐ型海賊船に遭遇し、降伏勧告を受けたら、何はともあれ降伏しましょう。
　Ｓ型偵察艦の性能では、逃走も反撃も、試みるだけ無駄ですから。
　先手を取って行動し、電子妨害に成功すれば何とかなるかも知れませんが、分の悪い命懸けのギャンブルになりそうです。

　比較的、武装の軽い（攻撃力２の武装しか積んでいない）Ｒ型商船やＡ型自由貿易船が相手だとしても、１発の命中があれば自動的に致命的損傷を１回受けてしまうことも確認できています。
　Ｓ型偵察艦が、宇宙戦闘でこれほど脆い存在だとは思いませんでした。Ｓ型偵察艦で海賊家業を始めることは、とても無謀だと思います。



　さて、次はＡ型自由貿易船を計算しましょう。

　　　表６　　Ａ型自由貿易船が攻撃された場合に「致命的損傷」を受ける可能性

　Ｃ型巡航艦の火力は凶悪です。200トン級のＡ型自由貿易船を狙った場合でも、10回以上の致命的損傷を与えることが出来ました。
　爆発の可能性は24.6％。生き残ってもジャンプ可能2.8％、移動可能5.4％、戦闘可能2.2％ですから、やはり、抵抗するだけ無駄でしょう。
　
　Ｔ型哨戒艦やＰ型海賊船の場合、致命的損傷は４回以上です（Ｐ型の遠距離は3.8回ですが）。
　４回と想定した場合、爆発の可能性は10.7％。爆発しなかった場合、ジャンプ可能24.0％、移動可能31.0％、戦闘可能21.7％、乗組員の生存が70.6％でした。
　無力化／大損害の可能性がまだまだ高いので、抵抗は諦めた方が良いようです。

　武装の軽い商船（Ｍ型客船、Ｒ型商船、Ｓ型偵察艦）に攻撃された場合は、致命的損傷を受ける可能性がほとんどありません。
　視認距離から精密射撃を受ける状況にならなければ、まず大丈夫でしょう。
　とは言うものの、通常の外部損傷でも１発の命中弾で移動不能になったり、戦闘不能になったりする可能性が高いので、油断はできませんが。
　海賊船がそれらの小型商船だった場合は、逃走か反撃を選択しても良いと思います。



　この章の最後は、Ｒ型政府指定商船です。

　　　表７　Ｒ型政府指定商船が攻撃された場合に「致命的損傷」を受ける可能性

　400トン級のＲ型商船が致命的損傷を受ける可能性は、ほとんどなくなりました。
　数少ない例外が、Ｃ型巡航艦のミサイル（三連架砲塔４基による攻撃力５）と、Ａ型武装商船のフュージョンガン（複架砲塔１基による攻撃力５×２）です。

　小型艦艇の典型的な武装になっている、三連架ビーム・レーザー砲塔とミサイル砲塔は、テックレベル15でも攻撃力が４と３ですから、400トン級の宇宙船が致命的損傷を受ける可能性は低いのでしょう。
　400トン以上の宇宙船に対して致命的損傷を与えるためには、Ｃ型のように多砲塔を集中して運用するか（砲塔群数の減少と引き換えです）、フュージョンガンという凶悪兵器を搭載するしかありません。

　あるいは、視認距離まで近づいて精密射撃を行なうか、ですが、これは表３に示されている通り、確率の高いものではありませんでした。
　戦術ポイントを使用すれば、何とかなるのでしょうか。

　今回も、命中率と命中期待値だけを計算しました。

　Ｃ型巡航艦の攻撃は相変わらず強力で、近距離でも遠距離でも、ほぼ全弾が命中しています。

　Ｍ型客船の攻撃も多数の命中弾を得られました。Ｍ型客船の襲撃を企てたＰ型海賊船も、高い確率で返り討ちに遭ってしまいます。

　Ｔ型哨戒艦は、2.6回の命中を期待できます。
　海軍のＴ型哨戒艦に追われたＰ型海賊船は、あっという間に穴だらけにされてしまうでしょう。

　Ｐ型海賊船同士の攻撃による命中期待値は、2.0回でした。

　Ｒ型商船の命中期待値は0.9回、Ａ型武装商船は1.0〜0.3回、Ｓ型偵察艦は、0.7回。運が悪ければ、通常ドライブや兵器に損傷を受け、移動能力や戦闘能力を失う危険もあるようです。
　反撃を受けた場合のリスクが高すぎると思ったのですが、これは大型戦闘艇などの回避能力に慣れすぎたためかも知れません。



　Ｐ型海賊船が、Ｒ型商船などに偽装することができるとした（Mixiのトラベラー掲示板における提案を採用した）場合、Ｐ型は海軍のＴ型哨戒艦や獲物である民間商船に、警戒心を抱かさせずに、接近することが可能になるでしょう。
　不意討ちで、視認距離からの精密射撃を行なえば、一瞬で目標を無力化することが可能になるかも知れません。
　自分が精密射撃を行なえるということは、目標からの反撃も精密射撃になる可能性が高いのですが。

　　　　表９　視認距離で商船を精密射撃した場合、損傷表を振り直しできる
　　　　　　　（損傷箇所を限られた範囲でも自由に選べる）成功率と、
　　　　　　　　致命的損傷を与えられる確率と、それらの期待値

　様々な宇宙船が、Ｐ型海賊船に対して視認距離で精密射撃を行なった場合の成功率と、致命的損傷を与える期待値です。

　精密射撃の成功率は高いままでした。モデル２程度のコンピュータでは、精密射撃を回避しきれません。
　兵器−３の外部損傷を選べば、精密射撃に１回成功するだけで、Ｐ型海賊船の武装を75％使用不能にすることが可能です。
　Ｒ型やＡ型、Ｓ型といった軽武装の商船だけを狙って襲撃したとしても、10隻の内１隻ぐらい、反撃に成功する商船があるでしょう。
　だからといって、Ｐ型海賊船が撃破されてしまう訳ではありませんし、反撃をさせない体勢を整えておけば良いのですが、リスクが高いことは事実のようです。



　蛇足になりそうですが、Ｐ型海賊船が普通に攻撃されて、致命的損傷を受ける可能性についての計算をしました。

　　表10　　Ｒ型政府指定商船が攻撃された場合に「致命的損傷」を受ける可能性

　400トン級のＰ型海賊船が致命的損傷を受ける可能性はほとんどありませんが、Ｃ型巡航艦のミサイルと、Ａ型武装商船のフュージョンガンには気をつけましょう。

　ずいぶんと、命中率や命中期待値が小さくなってきたように思います。
　まだ「無敵」というレベルではありませんが、獲物である民間商船が、Ｔ型哨戒艦に反撃してもほとんど無意味だと分かりました。
　モデル３のコンピュータを搭載したＭ型客船だけは、高い命中率を示していますが。

　反対に、獲物である民間商船がモデル３のコンピュータを搭載した場合、海賊船による攻撃の成功率が小さくなってきたことも分かります。
　Ｔ型が近距離で攻撃した場合、モデル１搭載の商船は3.1発の命中弾を受けますが、モデル３搭載の商船ならば2.0発の命中弾。
　Ｐ型が近距離で攻撃した場合は、2.6発から1.4発への減少するのですから。

　コンピュータモデルの影響は、精密射撃の成功率にも顕著に現れます。

　　　　表12　視認距離で商船を精密射撃した場合、損傷表を振り直しできる
　　　　　　　（損傷箇所を限られた範囲でも自由に選べる）成功率と、
　　　　　　　　致命的損傷を与えられる確率と、それらの期待値

　モデル３搭載の宇宙船に対して視認距離で精密射撃を行なった場合、Ｃ型巡航艦を除けば、その成功期待値は1.0を切っていました。
　致命的損傷を与える可能性も、Ｃ型巡航艦の攻撃を除けば、ほとんどありません。
　つまり、例え精密射撃のチャンスを得たとしても、一撃で目標の戦闘力を奪うことは困難だ、ということです。

　それならば、海賊船はどうやって、獲物である民間商船の足を止めるのでしょうか。



　その問題について、100トン級の偵察艦や200トン級の自由貿易船ならば、解答になりそうな数値を見つけました。
　S3型偵察艦が攻撃されて、致命的損傷を受ける可能性についての計算です。

　　表13　　S3型偵察艦が攻撃された場合に「致命的損傷」を受ける可能性

　という結果が出ました。
　モデル３のコンピュータを搭載したS3型偵察艦に、わざわざ苦労して、精密射撃を行なわなくても、100トン級という最小サイズであるが故、多くの致命的損傷を受けてしまうのです。

　Ｃ型巡航艦の攻撃では12〜13回、Ｔ型哨戒艦の攻撃では4.8〜5.2回、Ｐ型海賊船でも3.3〜3.6回の致命的損傷が予想されていました。
　一撃を受けるだけでも、高い確率で撃破されてしまうでしょう。
　艦載兵器の射程は10ヘクスです。1Gの加速度で、３〜4G加速の海賊船から逃げることも出来ません。

　S3型偵察艦が海賊船から降伏勧告を受けた場合、抵抗を諦めるしかないのではないでしょうか。
　Ｔ型やＰ型が相手ならば、反撃の成功率はそこそこありますが、反撃に失敗した場合は自動的に殺されてしまいます。

　Ｓ型偵察艦にモデル３コンピュータを搭載し、海賊を始めようとしても同じです。
　例えば、獲物のＲ型商船に反撃された場合、半分の確率で致命的損傷を受けてしまいました。
　１隻か２隻の商船を襲う（そして、Ｓ型海賊船は宇宙の塵になる）ことが、限界ではないでしょうか。



　次はA3型自由貿易船の計算です。

　　　表14　A3型自由貿易船が攻撃された場合に「致命的損傷」を受ける可能性

　せっかく大金を出してモデル３のコンピュータを搭載しても、致命的損傷の発生率はあまり変わりませんでした。

　Ｃ型巡航艦の攻撃では8.5〜9.2回、Ｔ型哨戒艦の攻撃では2.8〜3.2回、Ｐ型海賊船でも1.9〜2.2回。
　S3型偵察艦ほど酷いことにはなりませんが、やはり、自由貿易船はボロボロになることが確実です。
　Ｃ型、Ｔ型、Ｐ型の海賊船に襲われたら、速やかに降伏しましょう。

　Ｒ型商船やＡ型自由貿易船、Ｓ型偵察艦を改造した海賊船だった場合、相手の武装を良く見て、攻撃力３以上の兵器が無かった場合にだけ、反撃を選ぶのです。
　攻撃力３以上の兵器を搭載していたら、やはり降伏しましょう。



　ふと思ったのですが、獲物に降伏を選ばせるためには、「無駄な抵抗をしなければ、旅客や乗組員には手を出さない」という評判を、海賊船が獲得しておく必要があるのではないでしょうか。

　「降伏したら、旅客も乗組員も皆殺しになる」などと思われていた場合、獲物の降伏は望めません。
　わずかな可能性にすがって、逃走と反撃を試みてくるでしょう。
　その場合、獲物の商船を撃破して、無力化しなければ略奪は出来ません。
　獲物は大破していますから、儲けられる船荷も少ないでしょう。
　反撃によって、海賊船が受けるリスクも高くなってしまいます。

　しかし「無駄な抵抗をしなければ、旅客や乗組員には手を出さない」という評判を得た海賊に対してならば、降伏を選ぶ商船は多いでしょう。
　根こそぎの略奪は出来ませんから、儲けは少ななりますが、海賊船の収入は安定します。何より、獲物の商船を攻撃する必要がありませんから、リスクはずっと少なくなりました。
　襲撃された商船も、ドライブ機器や乗組員が無傷ですから、航海をそのまま続けられます。船荷を奪われた荷主には泣いてもらうしかありませんが、基本的には良いことずくめなのです。
　いかがでしょう。



　最後に、Ｔ型哨戒艦が受ける致命的損傷を計算しました。

　　　　表15　Ｔ型哨戒艦が攻撃された場合に「致命的損傷」を受ける可能性

　Ｒ型商船やＰ型海賊船と同じく、400トン級のＴ型哨戒艦が致命的損傷を受ける可能性はほとんどありません。
　例外は、Ｃ型巡航艦のミサイルと、Ａ型武装商船のフュージョンガンだけでした。


　Ａ型武装商船にモデル３コンピュータを搭載すれば、さらに強力なＱシップ（海賊船を引き付けて、撃破するための偽装商船）として使えるように思えます。
　攻撃力５のフュージョンガンは、Ｔ型哨戒艦やＰ型海賊船、Ｒ型商船などに対しても致命的損傷を与え得る、強力な兵器ですから。
　もちろん、海賊船としても有用ですね。

　私のトラベラー宇宙では、フュージョンガンは軍用に用途が限られており、民間では購入も取り付けも出来ないという設定なのですが、皆様の宇宙ではどうなっていますでしょうか。
　これまでの考察を見る限り、Ｔ型やＰ型の海賊船に対する反撃、Ｒ型商船の襲撃にはとても有効な兵器のようですが。