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The Best Weapon
39th stage ( Combat
5)
Hand Grenade

最強兵器 決定戦
第39回(個人戦闘5)
手榴弾

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MEGA TRAVELLER
 


 

貴方が投げた手榴弾は、
  
榴弾ですか? それとも徹甲榴弾
ですか?

 考察の36回(個人戦闘2)において、スナッブ・ピストルによる「巻き添え命中」の危険性が指摘されたにも関わらず、私はこの問題をずっと放って来ました。
 とりあえず、ある程度のレベルまで考察を進めたいと思ったことも理由のひとつですが、「巻き添え命中」のルールが良く分からないことが最大の理由です。

 何と言っても「巻き添え命中」の命中難易度が定義されていません。
 プレイヤーズ・マニュアルの p.74 に書かれている記述では、それが明らかになっていないのです。
 これでは、射撃の命中難易度を「巻き添え命中」にも適用するしかありません。
 ですがこれは、散弾銃(フレチェット弾)の場合はともかくとして、榴弾や爆発物に適用するには不自然な数値です。

 という訳で今回は、爆発物による「巻き添え命中」について、ハウス・ルールを提案させて頂きます。
 「巻き添え命中」の命中難易度を〈並:7+〉として考え、考察してみました。
 また、CT「スナップ・ショット」の戦闘ルールを参考として、手榴弾をより有効に使えるハウス・ルールや、榴弾と徹甲榴弾との区別を試みています。

 個人戦闘ルールの考察はまだまだ序盤ですので、今後の考察結果によっては、「巻き添え命中ルール」を修正する必要が出てくると思われます。
 今回のルール提案は、叩き台として、お考えください。





巻き添え命中」の命中難易度に、
射撃の命中難易度を適用した場合


 「巻き添え命中」の命中難易度に、射撃の命中難易度を適用することは納得いかないことなのですが、プレイヤーズ・マニュアルを読むでは、それ以外に適用できる難易度が見つかりません(エラッタにも見つかりませんでした。2010.10.11)。
 ですから試しに、その解釈でダメージ期待値と無力化率を求めてみます。

 まずは、問題となっているスナッブ・ピストル(徹甲榴弾)について計算しました。

 徹甲榴弾が装填されたスナッブ・ピストルを、至近距離(命中難易度〈易〉)、近距離(同〈並〉)、中距離(同〈難〉)で射撃します。
 射撃目標は、宇宙服(装甲値6)を着た切り裂き魔にしました。
 射撃を行なうキャラクターが標準的なキャラクターであり、「敏捷力DM」が1、〈ハンドガン−1〉の技能を持っているとするならば、命中DMが「+2」です。

 命中率は至近距離で「1+」、近距離で「5+」、中距離で「9+」になりました。
 それぞれの場合について、攻撃目標となった切り裂き魔の受ける命中期待値と無力化率を表1に示しました。
 また、目標になった切り裂き魔の周囲(同一マス、あるいは隣接マス)に居るキャラクター(敵味方を問いません)も、「巻き添え命中」を受けます。


    表1 スナッブ・ピストル(徹甲榴弾)による「巻き添え命中」の評価
              (ダメージ期待値と無力化率)

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 至近距離で射撃を行なった場合、命中率は「1+」です。
 基本ダメージ4の「部分貫通」ですから、ほぼ確実に切り裂き魔を無力化することが出来るでしょう(ダメージ期待値14.2、無力化率97.2%)。
 しかし、徹甲榴弾の巻き添え範囲は1.5メートル。
 同一マスばかりでなく、隣接したマスにも被害が及んでしまいます。

 至近距離で射撃を行なったということは、射撃したキャラクター自身も切り裂き魔と同じマス内に居るということを意味します。
 同じように「1+」で命中判定を行ない、確実に命を落とすでしょう。
 隣接マスになると、貫通力が半減するため「無貫通」になりますが、それでも命中率が「1+」のままですから、ダメージ期待値は2.4、無力化率が27.8%もある困った状況です。
 まとめて敵を吹き飛ばせるのは有り難い事ですが、守るべき味方のキャラクターまで大勢が死傷してしまうことになりそうです。
 これでは、危なくてスナッブ・ピストルを使えません。

 「巻き添え命中」が怖いので、2マス離れた位置(近距離)から射撃することにしました。
 その場合、命中率は「5+」になります。
 基本ダメージ4の「部分貫通」は変わりませんが、命中率が落ちたため、ダメージ期待値は5.7、無力化率も58.3%まで下がります。
 射撃目標から2マス以上離れている、射撃したキャラクターは被害を受けません。
 しかし目標と同一マスや隣接マスにいるキャラクターは「5+」の「巻き添え命中」判定をしなければなりません。
 同一マスならば「部分貫通」ですから、ダメージ期待値5.7、無力化率58.3%。
 隣接マスならば「無貫通」ですから、ダメージ期待値0.9、無力化率0.0%です。
 同一マス内の切り裂き魔ならば、それなりの確率で無力化できそうですが、隣接マスの切り裂き魔にはほとんど影響が無さそうです。

 さらに距離を置いて、3マス以上の距離(中距離)から射撃した場合はどうでしょうか。
 命中率は「9+」になりました。
 今回も基本ダメージ4の「部分貫通」は変わりませんが、命中率が「9+」ですから、効果はあまり期待できません。
 ダメージ期待値が2.8、無力化率は27.8%です。
 切り裂き魔はほとんど無傷の状態で突撃してくることでしょう。
 同一マス内の切り裂き魔に対する「巻き添え命中」のダメージ期待値も2.8、無力化率は27.8%になりました。
 隣接マスの切り裂き魔に至っては、ダメージ期待値0.1、無力化率0.0%です。

 射撃距離によって「巻き添え命中」の命中率も変化してしまっているため、徹甲榴弾の爆発力が変わったようになってしまいました。
 やはり、不自然な情況だと思います。



 今度は、屋内戦闘でも利用可能な唯一の間接射撃兵器、手榴弾(榴弾)を投擲してみましょう。
 テックレベル11で製造された手榴弾(貫通力13、基本ダメージ8)のピンを抜き、投擲します。
 投げる距離は、至近距離(同一マス)、近距離(2マス)、中距離(3マス以上)の3段階です。

 手榴弾を投げる際の命中難易度は、これまた分かりません。
 良く分からないままですが、とりあえず、「手投げ」武器の命中難易度を使っておきました。
 至近距離が〈並〉、近距離が〈難〉、中距離が〈至難〉です。
 〈手投げ〉技能というものはありませんから、筋力と敏捷力の平均だけが+DMになります。
 一般のキャラクターならば、命中DMは+1でしょう。



2010.10.11 加筆
 エラッタにて、手榴弾の投擲難易度が明らかになりました。

狙ったマスへ、手榴弾を投げ込むには、
 〈手投げの難易度〉、筋力、敏捷力、1ラウンド(確定)、致命的。


 手榴弾の場合、DMは「筋力と敏捷力の平均」ではありませんでした。
 筋力DMと敏捷力DM、それぞれが別個に加算されます。
 という訳で、一般的なキャラクターの命中DMは、+2〜3に増えました。
 バトルドレス装備の海兵隊ならば、(筋力倍増で)DM+4〜6の猛者も有り得そうですが、今回の考察では、命中DMを+2に増やして再計算しました。



 命中率は至近距離で「5+」、近距離で「9+」、中距離で「13+」になりました。
 それぞれの場合について、攻撃目標となった切り裂き魔の受ける命中期待値と無力化率を表2に示します。
 また、目標から2へクス以内に居るキャラクターが受ける「巻き添え命中」の可能性も併記しました。    


       表2 手榴弾(TL13の榴弾)による「巻き添え命中」の評価
              (ダメージ期待値と無力化率)

BW39_FIG02.GIF - 5,219BYTES

 至近距離で手榴弾の投擲を行なった場合、命中率は「5+」です。
 標準的なキャラクターが投擲した場合、83.3%の確率で目標の居るヘクスに投げ込むことが出来るでしょう。
 残り16.7%は隣接したヘクスに落ちるか、あるいは何らかの事故が起きる訳です。

 同一マスで手榴弾が爆発した場合、貫通力13ですから、装甲値6の宇宙服に対して「完全貫通」になります。
 「完全貫通」の基本ダメージ8はとても強力で、「巻き添え」命中率が「5+」でもダメージ期待値は15.3、無力化率は83.3%となりました。
 サイコロの目が4以下ならば巻き添え命中が「外れ」てノーダメージですが、目が5ならば4ポイント、6でも8ポイントのダメージを受ける訳です。
 命中すれば、確実に無力化。
 7以上の目が出れば、16ポイント以上のダメージを受けて即死します。
 手榴弾の爆発は、とても強力であることが判明しました。

 隣接マスで手榴弾が爆発した場合、貫通力は半減して6に下がります。
 宇宙服に対しては「部分貫通」になり、ダメージ期待値は8.4、無力化率は58.3%になりました。
 投擲の命中判定に失敗しても、狙ったマスの隣に落ちる訳ですから、まだまだ十分に強力です。

 2マス(3.0m)離れると、貫通力は4分の1で3に下がりました。
 宇宙服に対しては「無貫通」ですから、ダメージ期待値は0.6で、無力化率0.0%。
 これだけ離れると、ほとんど被害は無いようです。
 しかしキャラクターが宇宙服を着ておらず、装甲値1以下の防具しか身に付けていないとしたら、2マスの距離でも「完全貫通」になってしまうのです。
 かなりの確率で死亡することが予想できます。
 防具の無い(装甲の薄い)キャラクターにとって、手榴弾は極めて凶悪な兵器になるでしょう。
 自殺する際には便利ですが、至近距離の敵に投げつける武器ではない、ということが良く分かりました。



 「巻き添え命中」を避けたいのですが、プレイヤーズ・マニュアルに拠れば、3マスの距離は中距離になっています。
 仕方ありませんから、2マス離れた位置(近距離)から投擲することにしました。
 その場合、命中率は「9+」でした。
 目標の居るマスに落ちる確率は、わずか4分の1(27.8%)です。
 外れても隣接マスに落ちる筈ですから、何とかなるかも知れません。

 同一マスに投げ込めた場合、基本ダメージ8の「部分貫通」です。
 しかし「巻き添え命中」の命中率が「9+」まで上がってしまったため、ほとんどダメージを与えることが出来ません。
 9+の目が出れば無力化できますが、その確率は4分の1。
 「手投げ」の成功率と合わせて、13分の1程度の確率(7.7%)しかないのです。

 隣接マスに落ちた場合(4分の3の確率)は、1マス離れていますから基本ダメージ8の「部分貫通」になります。
 ダメージ期待値は1.8、無力化率も16.7%しかありません。
 隣接マスに落ちる確率と合わせて、20分の1(=4.6%)しか無力化を期待できないのです。



 3マス以上の中距離で投擲された手榴弾は、投げつけた攻撃目標を含めて、何の被害を及ぼすこともありません。
 「巻き添え命中」のために「13+」の目が必要だからです。
 考察は省略しました。



 手榴弾を投げつけられた切り裂き魔の立場からしてみると、近距離〜中距離で投擲された手榴弾は全く怖くない、ということになるでしょう。
 手榴弾の爆発力が、ほとんど無くなってしまったからです。
 投げ返す必要も、避ける必要もありません。
 現行のルールで使用された手榴弾は、至近距離でなければ役に立たない武器だということが分かりました。





巻き添え命中」の命中難易度に、
〈並:7+〉を適用した場合


 前章のように、投擲した手榴弾が何の被害を及ぼさないような情況が、私にはとても我慢できません。
 手榴弾は、敵から(場合によっては味方からも)恐れられるべきなのです。 
 唯一、まともな威力を発揮する情況が至近距離だけであり、投げつけた本人も死亡が確実なのでは、悲しすぎます。

 この問題を解決する簡単な方法は「巻き添え命中」の命中率を固定してしまうことでしょう。
 いくつか試行錯誤した結果、「巻き添え命中」の命中率を〈並:7+〉にすると概ね上手くいくことが判明しました。    

 ただし、目標が援護物下に居る場合は難易度が1つ上がって〈難:11+〉。
 目標の防具が全身装甲でなければ、装甲値半減の効果もあります。
 爆発地点から目標に視線が通らなければ、つまり、遮蔽物に隠れているのであれば、「巻き添え命中」の判定は行ないません。

 また、目標が手榴弾を警戒していない、例えば不意討ちの場合や、ブービートラップに引っ掛かったなどの場合は難易度を1つ下げ、〈易:3+〉にします
 攻撃目標がキャラクターではない場合、物や構造物である場合も、この難易度〈易〉を使って構わないと思います。
 目標のサイズによる修正や移動DMの適用はまだ検討中で、決まっていません。



 目標が無警戒の場合(難易度〈易〉)、通常の戦闘状態(難易度〈並〉)、目標が援護物に隠れている場合(難易度〈難〉)それぞれについて、ダメージ期待値と無力化率を比較してみました。

      表3 手榴弾(TL13の榴弾)による「巻き添え命中」の評価
           (ダメージ期待値と無力化率/ハウスルール)

BW39_FIG03.GIF - 5,125BYTES

 「巻き添え命中」の命中率を固定したことで、手榴弾の威力(破壊力)を評価できるようになりました。

 以下の表4〜表6を用いて、貫通状態によるダメージ期待値の変化を見ていきます。


       表4 手榴弾が「完全貫通」した場合のダメージ期待値

BW39_FIG04.GIF - 4,422BYTES

 手榴弾が「完全貫通」する状態で「巻き添え命中」を受けたキャラクターのダメージを表4に示しました。
 ほとんどの場合は、手榴弾が同一マスで炸裂した情況になると思います。

 手榴弾が同一マスで爆発した場合、無防備な状態でいれば、よほどの幸運(サイコロの目が2、2.8%)に恵まれない限り、確実に死亡します。
 ダメージ期待値26.2ですから、跡形も残らないのではないでしょうか。
 12分の1の確率で受ける、64ポイントのダメージが怖いと思います。

 攻撃を警戒しており、とっさに伏せるなど対策を取れば、負傷率は7+(58.3%)まで下がります。
 普通の戦闘状態では、この難易度を用いてください。
 負傷すれば、意識不明の重態(4〜8ポイントのダメージ)ですし、高確率で16ポイント以上のダメージを受け、死んでしまいますが。

 援護物下に隠れている情況ならば、「完全貫通」であってもほとんど負傷せずに済むようです。
 至近距離の場合、同一マスの同僚を盾にする、あるいは、自分の体で仲間を庇う、といった情況になるでしょうか。
 (貫通力が半減する)隣接マスに居て、援護物に隠れている(全身装甲でなければ、装甲値が半減)という情況も、これに該当するでしょう。


       表5 手榴弾が「部分貫通」した場合のダメージ期待値

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 隣接マスになると、手榴弾は「部分貫通」になりました。
 無警戒の状態では、まだ危険です。
 ダメージ期待値は19.7、無力化率91.7%ですから、ほとんどの目標は無力化されるでしょう。
 無警戒で行軍中の隊列にいきなり手榴弾が投げ込まれたら、このぐらいの被害が出るのではないでしょうか。

 警戒していれば、かなり被害を抑えられます。
 ダメージ期待値は5.7、無力化率は41.7%。
 これだけ見ると、それほど被害が変わっていませんが、即死率は同一マスの27.8%から8.3%まで下がりました。
 1マスの違いが生死を分けるのです。

 援護物に隠れていれば、よほど運が悪くない限り、怪我をしません。
 とは言うものの、援護物下に隠れていると装甲値が半減しますので、隣接マスでも「完全貫通」になってしまう可能性があります。
 それでも援護物に隠れている方が、負傷率はずっと低い筈ですが。


       表6 手榴弾が「無貫通」になった場合のダメージ期待値

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       表4 手榴弾が「完全貫通」した場合のダメージ期待値

 2マス離れると宇宙服を着ている限り、手榴弾の貫通状態は「無貫通」になります。
 無警戒の状態でも、警戒していても、援護物に隠れていても、ほとんど被害を受けることはないでしょう。
 ただし、装甲値が低い場合は大変です。
 2マス離れていても「完全貫通」になりますから、高い確率で死亡することになるでしょう。



 以上のように、「巻き添え命中」の命中率を「7+」にすることで、手榴弾の威力をそれらしく修正することができるようになったと思います。





徹甲榴弾」の特例、
同一マスでの貫通力を半減させる


 それでは、「巻き添え命中」の命中率〈並:7+〉を、スナッブ・ピストルにも適用してみましょう。
 攻撃側の乗組員(命中DM+2)が、切り裂き魔の至近距離(同一マス)まで肉迫して、徹甲榴弾を装填したスナッブ・ピストルで射撃を行なった、という想定です。


 「巻き添え命中」の命中率は、無警戒の場合(難易度〈易〉)、通常の戦闘状態(難易度〈並〉)、援護物に隠れている場合(難易度〈難〉)それぞれ異なります。
 ですが、自分が引き金を引いたのですから、無警戒は有り得ません。
 至近距離まで接近したのですから、恐らく援護物も使えないでしょう。
 という訳で、最もありふれている通常の戦闘状態、難易度〈並:7+〉の欄を赤字で示しました。


    表7 スナッブ・ピストル(徹甲榴弾)による「巻き添え命中」の評価
         (ダメージ期待値と無力化率/ハウスルール、その1)

BW39_FIG07.GIF - 5,655BYTES

 至近距離におけるスナッブ・ピストルの命中率は、表1で示した通り「1+」です。
 ダメージ期待値は14.2、無力化率は97.2%でした。
 同一マスにおける「巻き添え命中」に難易度〈並〉を適用すると、同じ「部分貫通」でもダメージ期待値が1.9、無力化率27.8%まで下がります。
 隣接マスは「無貫通」なので、ダメージ期待値0.4、無力化率0.0%です。
 これだけダメージ期待値が下がれば、安心してスナッブ・ピストルを使えるでしょうか?

 私はまだ不安です。
 無力化率27.8%ということは、サイコロを振って「9+」が出れば、撃った本人も重傷を負ってしまうということなのですから。
 切り裂き魔の宇宙服(装甲値6)に対抗できる兵器がスナッブ・ピストルしかないと言われても、これを使うには勇気が要るでしょう。



 ここで「徹甲榴弾とは何なのか」という問題に気付きました。
 メガトラのプレイヤーズ・マニュアルのp.78「個人用弾丸射出武器」から、榴弾や徹甲榴弾を使用できる武器データを抜き出してみます。 


     表8 榴弾や徹甲榴弾を使用できる、個人用弾丸射出武器の一覧
        (貫通力、巻き添え命中の貫通力、致傷範囲、ダメージ)

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 赤字は基本の貫通力。
 青字は、同一マスや1〜4マス離れた位置での貫通力です。
 致傷範囲を超えた距離では、貫通力があっても「巻き添え命中」の対象になりませんから、致傷範囲内の数字を青字で示しました。
 白い数字で示した貫通力は、致傷範囲外です。
 また、致傷範囲内であっても貫通力が1未満になってしまう場合、端数切捨てのため貫通力が0となり、「巻き添え命中」の対象にはなりません。
 それらを、黄色字で示しました。



 表9は同じく、p.79「手榴弾」から抜き出した、テックレベル毎に異なる手榴弾の貫通力データです 
 擲弾筒については、(基本的には)屋内戦闘で使用できないというルールのようですし、データ量が膨大であることから抜粋を諦めました。

     表9 榴弾や徹甲榴弾を使用できる、個人用弾丸射出武器の一覧
        (貫通力、巻き添え命中の貫通力、致傷範囲、ダメージ)

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 これらのデータを見比べてみると、

 貫通力は同じ武器の榴弾と比べて1.5倍〜6倍になっている。
 基本ダメージは、榴弾と同じか、若干弱くなっている。
 徹甲榴弾は致傷範囲を持っているものの、1.5メートルの範囲しかない


 という傾向があることが分かります。

 とは言うものの、貫通力の違いで6倍も差が開いているのはスナッブ・ピストルだけであり、大半の武器は2〜3倍です。
 弾丸射出武器でダメージが4よりも大きいものは、突撃ロケットランチャーの榴弾だけです。
 他の弾丸射出武器は、榴弾でも徹甲榴弾でも基本ダメージが変わりません。
 致傷範囲は1.5メートルでないデータは、突撃ロケットランチャーの榴弾と、手榴弾の榴弾だけでした。
 これらの武器だけ、致傷範囲は3.0メートルになっています。



 ところで表8と表9のデータを見てみると、榴弾の殺傷力(貫通力)が、多くの場合で「徹甲榴弾に劣っている」ことが分かりました。
 突撃ロケットランチャーの榴弾と、手榴弾の榴弾だけは致傷範囲が3.0メートルですので、より広範囲で殺傷力を持っている訳ですが、メリットはそれだけです。
 同一マスの貫通力も、隣接マスの貫通力も、徹甲榴弾の方が大きいのです。
 これは納得できません。

 榴弾という武器は、広範囲における殺傷能力を目的としたものです。
 そのため、榴弾は単なる爆薬では済みません。
 爆発力だけではわずかな殺傷力しか期待できないため、その爆発力で小さな破片を飛び散らせるような工夫がなされているのです。
 その破片の大きさも、殺傷力を十分備えた大きさで、かつ、十分な命中率を得られる数を飛ばせるように、巧みに調整されています。
 最高のバランスで設計された、ある種の芸術品といっても良いでしょう。

 それに対し、徹甲榴弾は故意にバランスを損なわせ、その代償として局所的に大きな貫通力を得ています。
 要塞や装甲車輌といったものに対して、より大きな貫通力が必要なため、特別に開発された武器が徹甲榴弾なのです。
 ですから榴弾としての殺傷力は、普通の榴弾に比べたら、劣って当然です。
 局所的に大きな貫通力(それが得られる方向は、大抵、榴弾の正面方向でしょう)を得る代償として、爆薬の内部には大きな空間が作られたり、飛び散らす破片の大きさも数も減らされます。
 それなのに、徹甲榴弾が榴弾よりも強い殺傷力を持っていることは、とても不自然に感じられるのです。

 という訳で、CT「スナップ・ショット」で見つけたルールをひとつ、アレンジして提案させて頂きます。

 榴弾の貫通力は、従来通り、目標と同じマス内にいるユニットなら、武器の貫通力はそのまま計算する。
 1マス離れているユニットに対しては、武器の貫通力が半分になる。
 2マス離れているユニットに対しては、さらに半分にします。


 徹甲榴弾の貫通力は、命中した目標に対しては、武器の貫通力をそのまま適用。
 目標と同じマス内にいるユニットに対しては、武器の貫通力が半分。

 1マス離れているユニットに対しては、さらに半分(4分の1)。

 というルールです。
 徹甲榴弾の貫通力を同一マスで半減することにより、徹甲榴弾の「巻き添え命中」を榴弾よりも弱くできますし、自動的に、榴弾の存在価値を高めることが出来ました。



 ハウスルールによる貫通力の変化を、表10と表11に示します。

 表10 榴弾や徹甲榴弾を使用できる、個人用弾丸射出武器の一覧
  (貫通力、巻き添え命中の貫通力、致傷範囲、ダメージ/ハウスルール、その2)

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 スナッブ・ピストルの榴弾と徹甲榴弾は貫通力の差が6倍もありましたから、今回のハウスルールによっても、その立場が入れ替わることはありません。
 しかし、徹甲榴弾の「巻き添え命中」による貫通力、同一マスの貫通力が3に下がりましたから、至近距離で射撃したとしても、射撃したキャラクターの「巻き添え命中」は「無貫通」に変わりました。
 「無貫通」のダメージ期待値は0.4、無力化率が0.0%です。
 これならば安心してスナッブ・ピストルを使うことができるでしょう。
 スナッブ・ピストルの榴弾は、徹甲榴弾を使うと自分自身が危険になる場合に備え、わざと殺傷力を落とした銃弾だ、と考えることが出来そうです。
 他には麻酔弾とガス弾しかありませんので。

 戦闘ライフルの榴弾は、装甲値が3以下の目標にとって、明らかな恐怖でしょう、
 基本ダメージ4の「部分貫通」の榴弾がフルオートで飛んできたら、撃たれた先では大きな被害が予想されます。

 突撃ロケットランチャーの榴弾が、存在意義を強く主張できるようになりました。
 命中目標以外に対する貫通力ならば、徹甲榴弾よりも榴弾の方が上なのです。
 基本ダメージも4から5に増えていますので、ダメージ期待値も大きく、致傷範囲も広いのですから、大変、有用でしょう。
 しかし今回のハウスルールを用いても、徹甲弾の存在意義が見出せませんでした。
 帝国百科を見ましたが、値段が安いといった特典も無いようです。
 せめて「致傷範囲が無い」といった特徴でもあれば、「周りに被害を及ぼさないため」威力の劣る徹甲弾を使用する情況も考えられたのですが。

 軽突撃銃の場合も、榴弾と徹甲弾の立場は入れ替わりませんでした。
 貫通力を半減しても、同一マスにおける「巻き添え命中」の貫通力は、徹甲弾の方が上なのです。
 致傷範囲も基本ダメージも同じですから、榴弾のメリットが見つかりません。
 無理矢理、榴弾のメリットを作るならば、同一マスにおける徹甲弾の貫通力を4分の1にまで減らす必要があるでしょう。
 ですが、さすがにそこまでは……。


 表11 榴弾や徹甲榴弾を使用できる、個人用弾丸射出武器の一覧
  (貫通力、巻き添え命中の貫通力、致傷範囲、ダメージ/ハウスルール、その2)

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 手榴弾の場合、貫通力の半減によって、命中目標以外に対する貫通力はすべての場面で榴弾が徹甲榴弾を上回りました。
 私としては、とても満足できる結果です。

 帝国百科に手榴弾のデータが無くて、困っていたのですが、「ハード・タイムズ」の中に少しだけ記述が見つかりました。
 手榴弾の榴弾タイプは1発が0.5kg、徹甲榴弾タイプは1発が1.0kgだそうです。
 ライフルの予備弾倉が1個0.5kgですから、榴弾タイプの手榴弾1個を持ち歩くためには、弾倉を1つ諦めなくてはなりません。
 対装甲用の徹甲榴弾ならば、弾倉2個分です。
 重くて使い勝手の悪い徹甲榴弾はあまり喜ばれず、多くのキャラクターは榴弾タイプの手榴弾を愛用することになると思います。 



 表7で評価していたスナッブ・ピストルの「巻き添え命中」を、貫通力半減のハウスルールで再評価してみました。

    表12 スナッブ・ピストル(徹甲榴弾)による「巻き添え命中」の評価
         (ダメージ期待値と無力化率/ハウスルール、その2)

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 表10の考察ですでに説明済みですが、徹甲榴弾の貫通力を同一マスで半減することによって、スナッブ・ピストルを射撃する側の危険を大きく減らすことができました。
 射撃するキャラクターが宇宙服を着ていない場合は、まだ危険ですが、そうした場合は目標側も宇宙服を着ていないでしょう。
 その場合は、徹甲榴弾に拘る必要もありません。
 もし徹甲榴弾を榴弾に変えて至近距離で撃つのであれば、メッシュ(装甲値2)でもフラックジャケット(装甲値3)でも、ちょっとした防具を着れば「無貫通」の状態を得られます。
 「巻き添え命中」を心配する必要はないでしょう。



 ミリヲタの独り言です。
 興味の無い方は、読み飛ばして下さい。
 トラベラー世界(の各種ルール)における、弾丸(砲弾や爆弾)の呼称についての疑問点です。

 CT時代から気になっていたことですが、ルールブック、プレイヤーズ・マニュアルの中で語られている「徹甲榴弾」とは、所謂「成型炸薬弾HEAT、High Exprosive Anti Tank)」のことではないかと疑っています。
 もし本当の徹甲榴弾HEAP、High Exprosive Armour Piercing)であるならば、装甲を貫通するための高初速が不可欠ですから、手榴弾や擲弾筒には使えません。

 当然、本当の徹甲榴弾はどのデータなのかという疑問も生じてきますが、それは突撃ロケットランチャーと軽突撃銃で使用されている、「徹甲弾」のことだと思います。
 本来、「徹甲弾AP、Armour Piercing)」とは、装甲を貫通するため、硬い弾芯を持った銃弾です。
 その銃弾の内部に、炸薬は収められていませんでした。
 炸薬の入った徹甲弾は特別に徹甲榴弾と呼ばれ、徹甲弾とは明確に区別されていたのです。
 当然、徹甲弾ならば、致傷範囲も「巻き添え命中」も有り得ません。
 ですが、プレイヤーズ・マニュアルの2つの銃器は、しっかりと致傷範囲を備えています。
 ですから、この2つの銃器に使われている銃弾は、表記通りの「徹甲弾」では有り得ないのでしょう。
 致傷範囲がある以上、徹甲榴弾でなければいけないのです。
 名称が間違っている原因として、テックレベル6以降では従来の徹甲弾が廃れ、その代わりに徹甲榴弾が広く普及したことが挙げられます。
 そうなりますと、わざわざ徹甲弾徹甲榴弾を区別する必要も無くなりました。
 徹甲弾に炸薬が入っているのは当たり前になり、これまで特別に徹甲榴弾と呼ばれてきた筈の銃弾が、普通に徹甲弾と呼ばれるようになるのです。
 名称の混乱は、このあたりに根ざしているのではないかと思うのですが。

 スナッブ・ピストルや戦闘ライフル、突撃ロケットランチャー、軽突撃銃で用いられている榴弾は、ただの榴弾ではなくて、粘着榴弾HESH、High Exprosive Squash Head)か、多目的榴弾HEAT-MP、High Exprosive Anti Tank Multi Purpose)ではないかと期待しているのですが、それを裏付ける根拠は何もありません(笑)。



2010.10.11 加筆
 掲示板にて、Severus様から下記のような意見を頂きました。
 なかなか面白いルールだと思いますので、参考にしてください。

 むしろ(巻き添え効果としての)貫通力やダメージ値はそのままにして、モンロー効果でメタルジェットがドバーッと噴き出す様子にあわせて、完全貫通時(または部分貫通以上の時)にのみ効果範囲を同心円から着弾点以遠の射線上(もしくは鋭角コーン状の面制圧)にして巻き添え攻撃を適用するというのはどうでしょうか?





手榴弾」の命中判定


 最後に、手榴弾の投擲成功率(命中判定)についても考えてみましょう。

 前述の通り、手榴弾の投擲に「手投げ」の難易度を用いるのであれば、至近距離が〈並〉、近距離が〈難〉、中距離が〈至難〉となります。
 一般のキャラクターならば命中DMは+1ですから、命中率は至近距離で「6+」、近距離で「10+」、中距離で「14+」になりました。
 筋力10以上のキャラクターならば、遠距離(50メートル以上)に投擲することも可能であり、その場合の命中率は(命中DMを+1として)「18+」になるでしょう。
 これが銃撃であれば、戦術ポイントを大量に注ぎ込まなければ命中は望めません。

 ですから私はこの命中率が低すぎると感じていたのですが、この問題を相談した橘様から、下記のように諭されました。

 命中判定に失敗したとしても、(致命的失敗で事故を起こさない限り)手榴弾は隣のマスに落ちるのです。

 気付きませんでした。
 外れた手榴弾は、どこか遠くへ行ってしまったり、消えてしまう訳ではありません。
 狙ったマスのすぐ近くに落ちて爆発し、目標にもそれなりの被害を与えるのです。



2010.10.11 大幅に加筆修正
 エラッタによって、幾つかのルールが追加されました。
 必ずしも、隣のマスに落下するとは限らなくなったようです。

 手榴弾を含む間接射撃が命中判定に失敗した場合、事故表を参照して、実際の砲撃が着弾した地点(手榴弾の落下場所)を決定します。
 事故表のサイコロには、特別に観測者の〈照準〉技能レベル、手榴弾投擲の場合は、筋力DMと敏捷力DMが、マイナスDMとして用いられます。

 事故の結果が、
  微小の事故: 攻撃者と目標との距離の1D%、最低1マスのずれが生じます。
   小の事故: 攻撃者と目標との距離の2D%、最低2マスのずれが生じます。
   大の事故: 攻撃者と目標との距離の3D%、最低3マスのずれが生じます




 上記の数字をちょっと計算してみました。
 攻撃者と目標との距離が、10、20、40、60、80、100マスの6段階について、どれだけの「ずれ」が生じているのか。
 それぞれの事故で最小と最大の数値(マス数)を求めてみた結果が、以下の表13です。

       表13 間接射撃がずれる距離(マス数)の範囲

BW39_FIG13.GIF - 5,153BYTES

 例えば、攻撃者と目標との距離が10マスである時、事故が「微小事故」であれば、ずれは「0.1〜0.6マス」の範囲になります。
 最低でも1マスのずれが生じるというルールですから、実際は常に「1マス」のずれになる訳ですが。

 100マスならば、「微小事故」で「1〜6マス」、「小事故」で「2〜12マス」、「大事故」で「3〜18マス」の範囲になります。

 攻撃者と目標との距離が20マス以内であるならば、微小=1マス、軽度=2マス、重度=3マスとみなして構わないでしょう。
 少数第一位を四捨五入する場合、厳密には19マス以内になるのですが、計算を簡単にするため、20マス以内で考えます。



 前述の通り、間接射撃の着弾地点(手榴弾の落下地点)は事故表で決める訳ですが、そこには特別にマイナスDMが加算されます。
 そのDMによって、ずれの分布がどれだけ異なってくるのか、計算してみました。

 表14の計算結果は、攻撃者と目標との距離が20マス以内である場合です。
 屋内マップ(1マス=1.5メートル)で30メートル以内の手榴弾投擲、屋外マップ(1マス=15メートル)で300メートル以内の間接射撃に該当しました。
 近距離〜遠距離における間接射撃(手榴弾投擲)は、この考察に従っていると考えられます。

 間接射撃は〈技能なし可〉なので、〈照準〉技能を持たないキャラクターが誘導した場合「DMなし」になるでしょう。
 軍隊で訓練を受けた標準的な観測員ならば、最低でも〈照準−2〉の技能を持っているので、DMは+2。
 ベテランの観測員や専門ロボットの誘導ならば、〈照準−4〉でDM+4。
 それに〈戦術ポイント〉を加えれば、DM+6も達成できる筈です。

 手榴弾の投擲でも、筋力4以下、敏捷力4以下(子供かドロイン)が投げるならば、やはり「DMなし」だと思います。
 標準的なキャラクター(筋力7、敏捷力7)ならば、DM+2は得られます。
 優秀なキャラクター(筋力A、敏捷力A)は、DM+4です。
 バトルドレスを着用すると筋力倍増ですから、優秀な海兵隊員は、DM+6になりました。

    表14 DMの大きさによる、間接射撃(手榴弾)がずれるマス数の分布

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 上の表14に、命中率(難易度〈難:11+〉)を絡めて考察した「ずれ分布」が、次の表15になります。

    表15 DMの大きさによる、間接射撃(手榴弾)がずれるマス数の分布
        間接射撃、または、近距離での手榴弾投擲(難易度〈難:11+〉)

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 同じく表14に、命中率(難易度〈至難:15+〉)を絡めて考察した「ずれ分布」が表16です。

    表16 DMの大きさによる、間接射撃(手榴弾)がずれるマス数の分布
           中距離での手榴弾投擲(難易度〈至難:15+〉)

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 上の表3つを見ると一目瞭然ですが、DMなしの場合、40.0%の確率で1マス、51.4%の確率で2マスのずれ、8.6%の確率で3マスのずれが生じます。
 もともと、DMなしでの命中は期待できません(間接射撃は〈難:11+〉、手榴弾の投擲でも、近距離で〈難:11+〉、中距離で〈至難:15+〉)。
 表15と表16に示した通り、実際問題として、間接射撃や手榴弾の投擲は毎回、ほぼ確実に外れます。
 そして常に1マスか2マス、運が悪ければ3マスのずれが生じることになりました。
 DMなしのキャラクターに間接射撃の観測員や、手榴弾の投擲を行なわせるべきではないでしょう。



 標準的なキャラクター(DM+2)の場合、間接射撃の命中率は9+(27.8%)になります。
 手榴弾を投擲する場合、近距離ならば同じ9+(27.8%)で、中距離ならば13+(0.0%)。
 命中率はそれほど高くありませんが、命中しなかった場合でも、射撃や手榴弾の7割弱(66.7%)は隣のマスへ落ち、残り3割強(33.3%)も2マスずれるだけでした。
 3マスのずれが生じることは(目標との距離が20マス以内ならば)有り得ません。
 間接射撃や手榴弾の投擲(近距離)を行なうならば、目標への命中率は27.8%、1マスのずれが48.1%、2マスのずれが24.1%という分布になります。
 中距離の手榴弾投擲は、目標への命中率0.0%、1マスのずれが66.7%、2マスのずれが33.3%でした。



 優秀なキャラクター(DM+4)になると、間接射撃の命中率は7+(58.3%)。
 手榴弾も、近距離ならば7+(58.3%)で、中距離は11+(8.3%)です。
 命中しなかった場合も、その多く(85.7%)は隣のマスへ落ちて、2マスずれる確率は1割未満(14.3%)でした。
 間接射撃や手榴弾の投擲(近距離)を行なうと、目標への命中率は58.3%で、1マスのずれが35.7%、2マスのずれが6.0%です。
 中距離の手榴弾投擲であっても、命中率は8.3%、1マスのずれが78.6%、2マスのずれが13.1%。



 さらに優秀なキャラクター、あるいは、戦術ポイントを多用してDM+6を得ると、目標への命中率は5+(83.3%)まで上がります。
 中距離の手榴弾投擲も、命中率が9+(27.8%)。
 命中しなかった場合、隣のマスへ落ちる確率が100%になりました。
 ですから、間接射撃や手榴弾の投擲(近距離)を行なうと、目標への命中率は83.3%で、1マスのずれが16.7%。2マス以上ずれることは有り得ません。
 中距離の手榴弾投擲でも命中率は27.8%、隣のマスへ落ちる確率が72.2%です。
 本当に優秀ですね。



 また、手榴弾の落下地点が「ずれる」方向は、図17に示しました。
 これもエラッタに掲載されていたものです。


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   図17 命中判定に失敗した間接射撃(手榴弾)の、落下地点がずれる方向

 手榴弾を投げた攻撃側の位置は、図の下方になります。

 六角マス(ヘクス)を用いている場合は、全方向に6分の1ずつの確率でずれるのですが、正方マス(スクエア)の場合は、遠方と手前にずれる確率が高くなるように作られていました。
 マスに正対していない場合は、ずれが前後方向に多く発生するよう、その方向を決定してください。

 また、エラッタに記載されていたルールの特例ですが、手榴弾を除く間接射撃の場合、
 事故(着弾のすれ)によって、砲撃が攻撃者のマスに落ちることはありません。
 もしも結果がそうなった場合は、方向決定のサイコロを振り直して、別の方向にずれを生じさせてください。

 とのことです。
 生憎と手榴弾の場合だけは、攻撃者(投擲者)の足元に落ちる可能性が残されていました。

 そして手榴弾の「ずれた」落下地点と、攻撃側のマスを直線で結び、それが何らかの障害物(建物の壁、地形、車輌など)と交わった場合には、手榴弾がその地点に落ちてしまいます。
 手榴弾を投げるキャラクターに隣接している障害物(窓のある壁や廊下の角)だけは無条件にクリアできると解釈しました。
 それでも障害物の多い森林や茂み、屋内戦闘の場合は、かなり危険なことになるかも知れません。
 投げたキャラクターの目の前や仲間の足元で、手榴弾が爆発する可能性も生じるからです。


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        図18  手榴弾の落下地点が1マスだけ外れた場合

 具体的な図を描いてみました。
 攻撃側キャラクターの位置が「」、攻撃されるキャラクターの位置が「」です。
 緑の長方形はコンテナを表しており、コンテナは視線や射撃線を完全に妨害する「遮蔽物」となっています。

 の位置からの位置へ、直接、射撃線を引くことは出来ません。
 もちろんが射撃をしようと顔を覗かせてくれれば、突き出された顔や手を狙い撃つことは可能ですが、なかなか出てきてくれないのです。
 かといってが接近しようとしたならば、は「妨害判定」を行なって、援護物も何も無い状態のを撃ってくることも間違いないでしょう。
 このままでは、どちらも相手を攻撃することができません。

 そこでは、の居るマスの左側、C地点手榴弾を投げ込むことにしました。
 手榴弾の致傷範囲は3メートルですから、隣接するにダメージを与えることが期待できます。

 からまでの距離は5マスですから、中距離になりました。
 中距離の「手投げ」難易度は〈至難:15+〉。
 命中DMが+2だとすると、命中率は「13+」です。
 確実に(という言い方も変ですが)、狙ったマスから外れるでしょう。

 それでも、致命的失敗が起こるかどうかを確認するため、サイコロを振らない訳にはいきません。
 その結果は「10」、予想通り、外れました。
 事故表でサイコロを振り、今度は「6」の目が出ます。
 DM−2を加えて「4」ですから、事故は「微小事故」。
 幸運にも(72.2%の確率で)、手榴弾の落下地点はから1マスしか「ずれ」ずに済んだようです。



 「ずれ」の方向について、4通りを考えてみました。

 最も可能性が高い方向は、目標マスC地点の前後方向、D地点G地点です(確率は3分の2)。
 D地点とG地点で手榴弾が爆発した場合、本来の目標である敵キャラクターは致傷範囲内の1マス以内に入っていました。
 ですが、間にコンテナの角が割り込んでしまったため、爆発地点Dから射撃線を引くことができません。
 この場合、キャラクターBは「遮蔽物」に隠れていると考えられます。
 致傷範囲(2マス)以内に居ますから、4分の1に減少した「貫通力3」と、難易度〈難:11+〉で「巻き添え命中」の判定を行なうことになりました。

 キャラクターBが宇宙服(装甲値6)を着ているならば、「無貫通」の難易度〈難〉ですから、ダメージを与えることは期待できません。
 もしも防具無し(装甲値0)ならば「完全貫通」になりますから、サイコロ運次第で無力化することが有り得ます。



 手榴弾が左に逸れ、E地点へ落下した場合は、手榴弾とBとの距離が2マスになってしまいます(確率は6分の1)。かろうじて、致傷範囲の内側でした。
 爆発地点Eとの間で射撃線を引くことも可能ですから、4分の1に減じた貫通力と難易度〈並:7+〉で「巻き添え命中」の判定を行なえます。

 キャラクターBが宇宙服を着ていれば「無貫通」ですので、ダメージ期待値は0.4、無力化される心配もありません。
 しかし防具無しの場合「完全貫通」ですから、ダメージ期待値7.6、無力化率58.3%という大きなダメージが期待できるでしょう。



 反対に手榴弾が右に逸れ、落下地点がになった場合は大変です(これも確率は6分の1)。
 攻撃側のキャラクターB地点を結ぶ射撃線(手榴弾の軌跡)は、コンテナに遮られてしまいました。
 その射撃線が最初にコンテナと交差するF地点で、手榴弾は爆発します。
 つまり、の目の前(2マスの距離)で爆発する訳です。
 貫通力が4分の1に減じたとはいえ、攻撃したキャラクターが「巻き添え命中」の判定をしなければいけない訳で、これは怖い情況でしょう。
 キャラクターAは手榴弾の投擲後、左右に動いて遮蔽物の影に隠れるべきだと思います(手榴弾の爆発タイミングについては、後述)。



 次は、サイコロの目がもっと悪く、2マス「ずれた」場合を考えます。


BW39_FIG16.GIF - 15,721BYTES

         図19  手榴弾の落下地点が2マス外れた場合

 図19は、手榴弾の落下地点が2マス「ずれた」場合です。
 「ずれ」の方向について、今回も4通りを考えてみました。



 まず考えられる方向は、目標のC地点を2マス通り過ぎたD地点です(確率は3分の1)。
 D地点手榴弾が爆発した場合、今回もコンテナの角が割り込んでしまったため、爆発地点Dからキャラクターに対して射撃線を引くことができません。
 よく考えてみたら、キャラクターBとの距離が3マスに増えていますので、致傷範囲の外にもなってしまいました。
 残念ながら「巻き添え命中」も判定できません。



 手榴弾が左に逸れ、E地点へ落下した場合(確率は6分の1)は、手榴弾ととの距離が3マスになってしまいましたから、致傷範囲を外れています。
 爆発地点Eとの間で射撃線を引くことは可能ですが、「巻き添え命中」の判定は行なえません。



 反対に手榴弾が右に2マス逸れた場合(確率は6分の1)は、さらに大変です。
 攻撃側のキャラクターF地点を結ぶ射撃線(手榴弾の軌跡)は、今回もコンテナに遮られてしまいました。
 射撃線が遮られる地点はの目の前(1マスの距離)です。
 「巻き添え命中」の貫通力がずっと大きくなりました。



 手榴弾が手前2マス、G地点へ落ちた場合(確率は3分の1)は、との距離が3マスですから致傷範囲外、との間はコンテナで遮られているため、どちらにも「巻き添え命中」の判定はできません。



 手榴弾の落下地点が2マスずれた場合、その手榴弾は目標に対してほとんどダメージを与えられなくなるようです。
 場合によっては、障害物によって手榴弾が手前に落下し、攻撃側がダメージを受ける可能性も見つかりました。





手榴弾」の爆発タイミング


 手榴弾の投擲に関する命中判定は、近接戦闘や銃器戦闘と同様に、そのキャラクターの行動中に行なわれます。
 しかし、手榴弾の爆発に「巻き添え命中」の判定とダメージの適用は、果たして何時に行なわれるのでしょうか。

 私はそのキャラクターの行動中、投擲の「命中判定の直後」に行なうものだと思っておりました。
 ところが例によって、橘様から指摘を受けたのです。

 間接射撃には、実は次のような縛りがあるのです。
 プレイヤーズ・マニュアル、p.74。間接射撃:

 間接射撃は、射撃が要請された次の戦闘ラウンドに着弾する。


 実際には、「屋外での間接射撃は、射撃を要請した次の戦闘ラウンドに着弾する」と書いてある訳ですから、屋内での手榴弾投擲は例外になるのかも知れません。
 しかし、屋内と屋外で手榴弾の扱いが変わってしまうのは不自然です。
 また、「屋内での手榴弾はその戦闘ラウンドに着弾する」とはっきり書かれた文章も見つかりませんから、例外扱いをすべきではないでしょう。
 ですから、手榴弾の着弾(爆発)による「巻き添え命中」判定は、次の戦闘ラウンドに行なうこととします。

 間接射撃の着弾が遅れる理由は、発射までに費やす時間を指していました。
 一方、手榴弾は必要だと思った時にすぐ投げることができますが、手榴弾のヒューズは短いもので3秒、長いもので7秒程度に設定されています。
 着弾はともかくとして、手榴弾の爆発が次の戦闘ラウンドに持ち越されたとしても、おかしなことではありません。

 その戦闘ラウンドで、まだ行動していないユニットの傍に手榴弾が落ちてきた場合、そのユニットは逃げる(3マス以上の距離に離れて手榴弾の致傷範囲外に出る、あるいは遮蔽物に隠れる)ことが可能です。
 どうせ逃げるのであれば、手榴弾を投げてきた敵に向けて、突撃を行なっても良いでしょう。すでに敵は行動を終えているのです。突撃するユニットに対して、射撃してくることは有り得ませんから。 

 反対に、すでに行動を終えてしまった(手榴弾を投擲したキャラクター自身を含む)ユニットは、足元に転がり落ちた手榴弾を見て震え上がることでしょう。
 彼(彼女)自身はもう、手榴弾に対して何もできないのです。



 そして、手榴弾は次の戦闘ラウンドが始まった直後、全てのユニットが行動を始める前に爆発します。
 明記された文章はありませんが、そうあるべきだと考えました。



2010.10.11 加筆
 これもエラッタで補足されました。
 手榴弾は、投擲者のターンの終了時(その戦闘ラウンドで、投擲者が行動の終了を宣言した時点)で爆発するそうです。
 間接射撃の特例になるのでしょうか。
 足元に落ちてきた手榴弾の爆発から逃れるためには、投擲者の行動を「妨害」して、それに成功しなければならないことになりました。





結論


 「巻き添え命中」の命中難易度について、ハウス・ルールを提案し、その評価を行いました。

 「巻き添え命中」の命中難易度に〈並:7+〉を用いることで、榴弾の致傷力を安定させることが出来ます。
 ダメージ期待値などの数値を見ると、実に納得しやすいデータになりました。
 本来「巻き添え命中」の難易度は〈並〉であり、たまたまプレイヤーズ・マニュアルに書き忘れられているだけではないか、などと邪推してしまいます。

 榴弾徹甲榴弾の違いをはっきりさせるため、徹甲榴弾の貫通力を同一マスで半減させるというルールを導入してみました。
 価格等の違いがないため、単に威力を求めるならば徹甲榴弾を選んでしまい勝ちですが、このルールによって、榴弾の価値を高めることができます。

 手榴弾の命中判定に失敗した場合について、エラッタに記載されていたルールを採用し、その結果を考察してみました。
 命中判定に失敗しても隣のマスへ落ちるというルールに、不満を感じていた方は多いと思うのですが、いかがでしょうか。


2010.05.06 初投稿。
2010.10.11 加筆して再投稿。