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 輸送母艦の殺し方


 例のごとく、トラベラー掲示板での会話が、今回の演習の発端です。

 主要世界へ奇襲を仕掛けてきた敵艦隊(バトルライダー主力の艦隊)が、100倍直径ぎりぎりにジャンプアウトしてきた場合、その輸送母艦は撃破されてしまうのかという疑問が生じました。

 主要世界の防衛作戦として、100倍直径に惑星海軍の主力をまんべんなく、分散配置した「水際防御」は、
 主要世界の規模が5〜7の場合は、1エリアに全艦艇の2%程度、
 主要世界の規模が8〜Aの場合は、1エリアに全艦艇の1%未満
この程度の戦力しか配置できず、防御が難しいという結論に達してしまいました。

 ここで言う「エリア」とは、探知機の有効範囲と砲兵器の射程内という意味でして、具体的には、半径25万kmの球状空間のことを指します。
 主要世界の100倍直径を、隙間無くカバーしようとすると、規模5〜7の世界では、「エリア」が50個必要だということなのです。

 サンプルとして用いたヴィリス海軍の主戦力は、400トンのSDB(ドラゴン級)が100個戦隊(=1,000隻)と、7千トンの機動砲台50隻だと想定しています。
 ヴィリスの世界規模は5ですから、エリア数は50
 100倍直径には、1エリアあたりSDB2個戦隊(=20隻)と、機動砲台1隻しか置けません。
 これだけの戦力で、ジャンプアウトしてきた敵艦隊(真面目に攻め込んできたからには、惑星海軍全体の戦力より大きい筈です)を撃退することは可能でしょうか?

 まず、無理でしょう。
 結論としては、下記のようになりました。

> 100倍直径付近にジャンプアウトしてきた輸送母艦は、ほとんど何の障害も無く、バトルライダー部隊を放出できるでしょう


 しかし、輸送母艦の撃破だけは可能ではないだろうか。
 輸送母艦を撃破すれば、バトルライダーは帰るところが無くなります。

 という指摘もありました。

 という訳ですので、SDBや戦闘艇の火力で、輸送母艦を撃破できるかどうかを検証してみます。

 ゾダーンの輸送母艦の設計は行なっていませんので、以前、私が作ったルレンティ級輸送母艦のデータの中で、コンピュータモデルを8に、中間子スクリーンと核中和装置の防御力を6に下げて、流用してみました。

ルレンティ級輸送母艦
 40万トン 形状7不規則形 ジャンプ4 2G加速 移動力1 Mcr95,557
 副砲=ミサイル9×200(110) フュージョンガン×20(11)
 砲塔群=Bレーザー9×20(11) 散乱砂砲9×60(33)
 スクリーン=中間子6 核中和装置6
 装甲DM=0
 コンピュータモデル=
 


惑星防衛艦(ドラゴン級)の攻撃


 私の作成した惑星防衛艦(ドラゴン級)の性能は、以下のようになっています。

ドラゴン級惑星防衛艦
 
400トン 形状4流線型 6G加速 移動力=2  Mcr370
 砲塔群=ミサイル3×2 Bレーザー4×2
 装甲DM=5
 コンピュータモデル=7

 試しに、ヴィリス海軍の1エリア戦力(20隻)のドラゴン級で、輸送母艦を攻撃してみました。
 最初の戦闘距離は、遠距離です。


第1ターン

 ドラゴン級の攻撃

核ミサイルの場合 攻撃力3×2基×20隻
 命中判定 5+で命中
 83.3%×40基=33.3基                33発が命中しました。

 Bレーザーと、フュージョンガンによる迎撃
 Bレーザー 攻撃力9×11基 フュージョンガン 攻撃力9×11基
 突破判定 12+で突破に成功
 (33発22発)+16.7%×22発=11.6発    12発が防御を突破しました。

 スクリーンの突破判定 防御力6なので、14+で突破に成功
              全弾が、各中和装置により無効化されてしまいました。
             非核ミサイルの場合は、12発が防御を突破しています。

Bレーザーの場合 攻撃力4×2基×20隻
 命中判定 7+で命中
 58.3%×40基=23.3基                23発が命中しました。

 散乱砂砲による迎撃 防御力9×33基
 命中したBレーザーよりも散乱砂砲の数が多いため、10発のBレーザーは、2回の防御射撃を受けています。
 突破判定 12+で突破に成功 
 2.8%×13発2.8%×2.8%×10発=0.37発  全弾が突破できませんでした。 


損傷の期待値

 命中して、防御を突破できた攻撃は、非核ミサイル12発のみでした。
 損傷の期待値は、以下のようになります。

 通常ドライブ−−−2.33回   探知機−−−−−−0.00回
 燃料−−−−−−−5.00回   兵器−−−−−−−7.67回

 通常ドライブ2回以上の命中を得ていますので、輸送母艦は移動不能になりました。
 燃料タンク5回の命中がありましたが、ジャンプアウト直後でも、輸送母艦の燃料は34%が残されていますので、十分に戦闘の継続が可能です。
 タンカーから補給を受けさえすれば、応急修理なしでも、ジャンプが可能でしょう。




惑星防衛艦(ワイアーム級)の攻撃


 テックレベル13で作られたドラゴン級では、歯が立たないようですので、その代わりに、テックレベル15で作られた高性能なワイアーム級を使ってみました。
 予算の問題で、惑星防衛艦の数は半分の10隻に減ってしまいます。

ワイアーム級惑星防衛艦
 
400トン 形状1エアフレーム 6G加速 移動力=3  Mcr708
 砲塔群=ミサイル3×2 Bレーザー4×2
 装甲DM=10
 コンピュータモデル=9

 20隻のドラゴン級に代わり、10隻のワイアーム級で、輸送母艦を攻撃してみました。
 最初の戦闘距離は、遠距離です。


第1ターン

 ワイアーム級の攻撃

核ミサイルの場合 攻撃力3×2基×10隻
 命中判定 3+で命中
 97.2%×20基=19.4基                19発が命中しました。

 Bレーザーと、フュージョンガンによる迎撃
 Bレーザー 攻撃力9×11基 フュージョンガン 攻撃力9×11基
 突破判定 10+で突破に成功
 16.7%×16発16.7%×16.7%×3発=2.75発 3発が防御を突破しました。

 スクリーンの突破判定 防御力6なので、12+で突破に成功
 0.28%×3発=0.08発       防御を突破した核ミサイルは、ありません
              非核ミサイルの場合は、3発が防御を突破しています。

Bレーザーの場合 攻撃力4×2基×10隻
 命中判定 5+で命中
 83.3%×20基=16.7基                17発が命中しました。

 散乱砂砲による迎撃 防御力9×33基
 命中したBレーザーよりも散乱砂砲の数が多いため、16発のBレーザーは、2回の防御射撃を受けています。
 突破判定 10+で突破に成功 
 16.7%×1発16.7%×16.7%×22発=0.78発    1発のみが防御を突破。 


損傷の期待値

 命中して、防御を突破できた攻撃は、非核ミサイル3発と、Bレーザー1発のみでした。
 命中率も防御突破率も上がっているのですが、砲塔数が減少しているため、かえって期待値が下がってしまっています。

 損傷の期待値は、以下のようになりました。

 通常ドライブ−−−0.78回   探知機−−−−−−0.00回
 燃料−−−−−−−1.67回   兵器−−−−−−−2.56回

 ドラゴン級による攻撃と比べると明らかに、与える損傷が少なくなりました。




大型戦闘艇(ジェリュイ級)の攻撃


 私は、大型戦闘艇の設計をしたことがありませんので、MAG様作成のジェリュイ級大型戦闘艇を使わせていただきました。
 ジェリュイ級の性能は、以下のようになっています。

ジェリュイ級大型戦闘艇
 50トン 形状1エアフレーム 6G加速 移動力=6  Mc128
 砲塔群=ミサイル2×1 Bレーザー2×1 散乱砂砲3×1
 装甲DM=9
 コンピュータモデル=9

 ヴィリス海軍のドラゴン級20隻分の予算で、ジェリュイ級大型戦闘艇58隻を用意できます。
 という訳で、58隻の大型戦闘艇を用い、輸送母艦を攻撃してみました。
 最初の戦闘距離は、遠距離です。


第1ターン

 ジェリュイ級の攻撃

核ミサイルの場合 攻撃力2×1基×58隻
 命中判定 4+で命中
 91.7%×58基=53.2基                53発が命中しました。

 Bレーザーと、フュージョンガンによる迎撃
 Bレーザー 攻撃力9×11基 フュージョンガン 攻撃力9×11基
 突破判定 11+で突破に成功
 (53発22発)+8.3%×22発=32.8発     33発が防御を突破しました。

 スクリーンの突破判定 防御力6なので、13+で突破に成功
              全弾が、各中和装置により無効化されてしまいました。
             非核ミサイルの場合は、33発が防御を突破しています。

Bレーザーの場合 防御力2×1基×58隻
 命中判定 6+で命中
 72.2%×58基=41.9基                42発が命中しました。

 散乱砂砲による迎撃 防御力9×33基
 突破判定 12+で突破に成功 
 (42発33発)+2.8%×33発=9.92発    10発が防御を突破できました。 


損傷の期待値

 命中して、防御を突破できた攻撃は、非核ミサイル33発と、Bレーザー10発でした。
 砲塔数が多くなったため、輸送母艦の防御射撃の手数が足りなくなり、そのおかげで防御を突破する命中弾が多くなったようです。
 損傷の期待値は、以下のようになりました。

 通常ドライブ−−−8.36回   探知機−−−−−−0.00回
 燃料−−−−−−-17.92回   兵器−−−−−−27.47回

 通常ドライブは確実に機能を停止し、輸送母艦は移動不能になります。
 燃料タンク18回の命中がありましたが、まだまだ戦闘可能でしょう。




バトルライダー(ノリキアン型)の攻撃


 惑星海軍に配備される筈の機動砲台は、まだ性能が確定しておりません。
 ですので、機動砲台よりもずっと強力ですが、バトルライダーのデータを使ってみます。
 バトルライダーの火力で、輸送母艦を撃破することは出来るのでしょうか。

ノリキアン型バトルライダー
 2万トン 形状1エアフレーム 6G加速 移動力=6  Mc30,002
 主砲=中間子N
 副砲=粒子加速砲9×2 ミサイル9×12 フュージョンガンA×2
     反重力砲5×1
 砲塔群=Bレーザー2×12 散乱砂砲3×8
 スクリーン=中間子9 核中和装置9
 装甲DM=11
 コンピュータモデル=9

 ヴィリス海軍が50隻のバトルライダーを保有していたとして、1つのエリアに配備できるバトルライダーは1隻だけです。
 という訳で、1隻のバトルライダーで、輸送母艦を攻撃してみました。
 最初の戦闘距離は、遠距離です。


第1ターン

 ノリキアン型の攻撃

中間子砲の場合 Nクラスの主砲×1門
 命中判定 2+で命中             自動的に、1発が命中しました。

 中間子スクリーン(防御力6)と、船体形状(形状7)の突破
 スクリーンの突破判定は5+、船体形状の突破判定は6+で突破成功です。
 83.3%×72.2%×1発=0.60発   主砲60%の確率で防御を突破できます。

粒子加速砲の場合 攻撃力9×2基×1隻
 命中判定 2+で命中             自動的に、2発が命中しました。

核ミサイルの場合 攻撃力9×12基×1隻
 命中判定 0+で命中            自動的に、12発が命中しました。

 Bレーザーと、フュージョンガンによる迎撃
 Bレーザー 攻撃力9×11基 フュージョンガン 攻撃力9×11基
 突破判定 4+で突破に成功
 91.7%×2発91.7%×91.7%×10発=10.2発 10発が防御を突破しました。

 スクリーンの突破判定 防御力6なので、6+で突破に成功
 72.2%×10発=7.2発              7発が防御を突破しました。

レーザーの場合 攻撃力2×12基×1隻
 命中判定 6+で命中
 72.2%×12基=8.67基                9発が命中しました。

 散乱砂砲による迎撃 防御力9×33基
 突破判定 12+で突破に成功 
 2.8%×2.8%×2.8%×9発=0.00発 防御を突破したBレーザーはありません。 


損傷の期待値

 命中して、防御を突破できた攻撃は、60%の確率で突破したNクラスの中間子砲を除くと、粒子加速砲2発と、核ミサイル7発でした。
 損傷の期待値は、以下のようになります。

 致命的損傷−−−−0.19回   内部損傷−−−−−1.75回
 通常ドライブ−−−3.31回   探知機−−−−−−5.25回
 燃料−−−−−−−5.50回   兵器−−−−−−-12.72回。

 致命的損傷で、爆発、艦橋破壊、ジャンプドライブ破壊、パワープラント破壊など、輸送母艦としての機能を失う損傷を受けてしまう可能性は、7.9%です。
 内部損傷はそれなりに痛い損傷ですが、応急修理も可能ですので、輸送母艦が機能を喪失するようなことはないでしょう。幸いなことに「燃料タンク破壊」の損傷を受ける可能性はありません。 
 例のごとく通常ドライブは確実に機能を停止し、輸送母艦は移動不能になります。

 Nクラスの中間子砲による損傷の期待値は、以下の通りです。

 致命的損傷表−−−2.72回   探知機−−−−−−8.94回
 燃料タンク破壊−−1.56回   乗組員−−−−−−6.61回
 ジャンプドライブ−3.89回   兵器−−−−−−−3.11回
 パワープラント−−3.11回   スクリーン−−−−7.00回
 コンピュータ−−−0.78回

 致命的損傷で、爆発、艦橋破壊、ジャンプドライブ破壊、パワープラント破壊などの損傷のどれかを受ける確率は、6割以上の高確率です。致命的損傷は応急修理が不可能ですから、輸送母艦としての機能を失ってしまいます。
 燃料タンク破壊の損傷を、まず確実に受けます。ジャンプ不能移動不能戦闘不能になります。
 幸運が味方して上記の損傷を受けなかったとしても、ジャンプドライブ、パワープラントの損傷回数が多いので、やはりジャンプ不能になっている可能性が高いでしょう。




結論


 同予算ならば、惑星防衛艦よりも大型戦闘艇の数を揃えたほうが、輸送母艦に対する攻撃力は増すようです。
 時間があったら、(より安価な設計で)テックレベル13の大型戦闘艇などを作り、輸送母艦の攻撃を計算してみたいと思います。

 テックレベル15のワイアーム級よりも、テックレベル13のドラゴン級の方が、輸送母艦に与える損傷が多いという事実は、とても意外でした。

 輸送母艦を大破させるには、副砲クラスの核ミサイルが必要だということを確認できました。
 副砲クラスでも、粒子加速砲中間子砲では、まだ破壊力が足りませんでした。

 主砲クラスの中間子砲でも、意外と高い確率で防がれてしまいます。
 防御を突破すれば、高確率で撃破が可能でした。

 主砲クラスの粒子加速砲の場合はどうなるか、次回の課題としておきます。
 

                                2008.06.21