The Best Weapon
50th stage ( Artillery 6)
Anti Tank Weapons

最強兵器 決定戦
第50回(砲兵6)
携帯式の対戦車兵器
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MEGA TRAVELLER
 


 

歩兵が使う携帯式対戦車兵器は、
   本物戦車相手には 力不足なのか?



 戦車にとって脅威となる存在を、私は3つのグループに分けて考察しました。

 1つ目は、歩兵の主力火器となっている個人用携帯火器(ライフル、突撃ライフル、戦闘ライフル、磁気ライフル)。

 2つ目は、歩兵が持っている可能性がある携帯式の対戦車兵器(レーザー火器、プラズマガンやフュージョンガン、 無反動ライフル、対戦車擲弾筒、RAMP擲弾筒など)。

 3つ目は、対戦車砲(拠点防御用の固定式から、自走式の対戦車砲、場合によっては戦車砲を含む)。



 1つ目の個人用携帯火器については、 すでに前回「砲兵5、戦車の装甲値」で考察しました。
 残念ながら、歩兵の持ち歩く個人用携帯火器に対しても、 戦車無敵の防御力を誇ることができません。 メガトラの個人戦闘ルールには、例外的成功による「ラッキーヒット」というルールが存在するため 貫通力の10倍を超える装甲値を持たない限り無敵になることができないのです。
 幸い「ラッキーヒット」によるダメージは僅少でした。 ですから圧倒的な物量の差が無い限り(数の暴力を振るわれない限り)、そして近距離や中距離に近付かれない限り、 戦車が撃破されるまでには長い時間が必要でしょう。
 戦車は徐々に蓄積していく「ラッキーヒット」のダメージを 大きな耐久力で吸収しつつ戦い続ける、ということになる訳です。

 2つ目、携帯式の対戦車兵器は非力な歩兵にとって最後の拠り所です。
 本来戦車を撃破する任務は3つ目の対戦車砲が担当するべきことなのですが、 対戦車砲が使えない状況では、携帯式の対戦車兵器が頑張るしかありません。

 実際にこれらの対戦車兵器戦車に対してどの程度の効果を発揮してくれるのか。
 命中率と貫通力、ダメージ等について 対戦車兵器対戦車戦闘を評価してみましょう。



 今回も、戦車が必要とする装甲の厚さ(=装甲値) について考察しましたが、その対象は携帯式の対戦車兵器となっています。





レーザー火器とエネルギー火器


 クラッシック・トラベラー(略号はCT)の基本ルールの中で 最も強力な個人用携帯火器は何だろうか、と問いかけてみれば、 多くの方は「それはレーザー・ライフルだ!」と応えられるのではないでしょうか。
 キンニール傭兵部隊プラズマガンフュージョンガンといった エネルギー火器が紹介されるまでは、私もそう思っていました。
 しかしアブラットやリフレックといった対レーザー防具だけは苦手ですが、命中DMから考えて レーザー・ライフルが最も強力な武器であることは間違いなかったのですが。

 さて、高出力のレーザー光を用いたレーザー火器とは異なり、 エネルギー火器は高温のプラズマを撃ち出す銃器です。
 CTにおいてもその破壊力は絶大であり、致傷力は12D〜16D(普通の銃器は3D〜4D)にもなっていました。
 この威力ならば主力戦車は無理でも、 Gキャリアー程度の軽装甲車輌ならば簡単に吹き飛ばせるのではないでしょうか。



 レーザー火器エネルギー火器が 果たしてどれだけの対戦車攻撃力を備えているのか、 メガトラの個人戦闘ルールで評価してみましょう。

 まずは、恒例の命中難易度から。




(1)レーザー火器とエネルギー火器の命中難易度と貫通力

 プレイヤーズ・マニュアル、p.73から直接射撃難易度表を抜粋しました。
 武器付属品類を用いた場合の命中難易度と 間接射撃の命中難易度、射撃の遅れも並記してあります。


              表1 直接射撃難易度表

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 中距離から遠方の距離帯における、標準サイズの目標を狙った場合の命中難易度です。
 今回も対戦車戦闘を行う距離帯は超遠距離(250〜500m)を想定。 場合によっては遠方(500m〜5km)での射撃も有り得るでしょう。



 超遠距離における対戦車戦闘を考えた場合にとても有り難いことですが、 レーザー・カービンレーザー・ライフルには 光学照準器が標準装備されているようです。
 低出力でレーザーを連続発振できれば、それだけでレーザー照準器としての機能を発揮できると思うのですが、 まぁ、無粋な突っ込みは止めておきましょう。
 とりあえず命中判定の難易度は照準器ありの条件を用いることができました。

 エネルギー火器の場合、 少なくとも13型プラズマガン14型フュージョンガンには 照準器が標準装備されていました。
 ですから、これらのエネルギー火器照準器ありの難易度を使えます。
 12型プラズマガンだけは照準器なしの難易度ですが。



 また、これも勝手な想定ですが、歩兵が対戦車戦闘を行う状況は、 彼らが遮蔽物の陰に隠れて移動しない状況だと思われます。
 ですからプレイヤーズ・マニュアル、p.73に記されている ジャイロ・スタビライザーの効果

> 移動速度がゼロで、1マスも移動せず、固定物で武器を支えて射撃した場合には、
> ジャイロ・スタビライザーが装備されているものとして扱ってもよい。


というルールが適用できるでしょう。

 そう考えた結果、レーザー火器エネルギー火器の命中難易度は、
 照準器なしの条件で〈至難:15+〉照準器ありの条件で〈難:11+〉
 になりました。



 しかし、ここで再び修正が入ります。
 前々回の考察「砲兵4、直接照準射撃−榴弾」でも説明しましたが、 「自動車以上の大きさ。動物なら重量500キログラム以上、ロボットなら機体容量500リットル以上。」を目標とした射撃は、 その命中難易度がひとつ低く(易しく)なるのです。
 従って、上記の命中難易度もひとつ低く(易しく)修正されなければなりません。



 修正された命中難易度は、以下の通りです。


         表2 直接射撃難易度表(目標が大きい場合)

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 大きな目標を狙うことで命中難易度が修正された結果、 レーザー火器エネルギー火器の命中難易度は、
 照準器なしの条件で〈難:11+〉照準器ありの条件で〈並:7+〉
 に変わりました。
 間接射撃の命中難易度は、目標が大きくても変わりません。



 次はレーザー火器エネルギー火器の貫通力について考えます。
 同じような並べ方で、距離帯によって変化する貫通力の表を示しました。


            表3 距離帯による貫通力の低下

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 距離帯による貫通力の変化を示しました。
 軽突撃銃のデータは、比較する参考値として掲載してあります。
 深い意味はありません。



 レーザー火器の減衰率は2です。
 レーザー火器は比較的貫通力が高いのですが、この減衰率ですから、超遠距離では貫通力が半減、 遠方においては貫通力が4分の1という状況になっていました。
 この貫通力では、効果的な対戦車戦闘の実行は困難かも知れません。

 唯一、レーザー・ライフル(TL13)の貫通力20に頼り甲斐を感じました。
 超遠距離でも貫通力は10ありますから、エアラフトを「完全貫通」、 Gキャリアーでも「部分貫通」が可能なのです。



 エネルギー火器は、 プラズマガンフュージョンガンの2種類に大別されました。
 高温高圧のプラズマを目標に叩き付けるのがプラズマガンで、 そのプラズマが核融合爆発を起こすのがフュージョンガンだそうですが、 些細なことには目を瞑って貫通力だけに注目しましょう。
 超遠距離における貫通力は、プラズマガンが2〜3しかありませんが、 その一方でフュージョンガンは17もあります。
 6〜8倍の差で、物凄く大きな違いですね。
 実は両者の減衰率の違いが超遠距離における貫通力の大きな差を齎していました。
 プラズマガン減衰率は1フュージョンガン減衰率は2なのです。
 ですからプラズマガンの貫通力は超遠距離で10分の1に激減、 フュージョンガンの貫通力は超遠距離でも半減で済む、という訳でした。
 プラズマガンは減衰率の所為で、 近距離か中距離でしか使えない銃器、となっているようです。



 では、実際に行われる対戦車戦闘を評価してみましょう。




(2)超遠距離における対戦車戦闘

 歩兵が対戦車戦闘を行う際は 手持ちの個人用携帯火器を総動員して射撃を行うことになりますが、 対戦車兵器が手元にあれば当然、対戦車兵器も使用します。

 歩兵が軽突撃銃レーザー・ライフル(TL9)レーザー・ライフル(TL13)12型プラズマガン13型プラズマガン14型フュージョンガンといった 対戦車兵器対戦車戦闘を行った際のダメージ期待値について計算しました。



 まずは装甲値=4の非装甲車輌、エアラフトを攻撃した場合から。
 エアラフトの船殻(車体)耐久値は36で計算しています。


      表4 超遠距離における、対戦車兵器の攻撃力(装甲値=4)

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 表の左端は対戦車兵器の武器名。
 上から順に軽突撃銃レーザー・ライフル(TL9)レーザー・ライフル(TL13)12型プラズマガン13型プラズマガン14型フュージョンガンを並べました。

 次の数値は貫通力。超遠距離における、その対戦車兵器の貫通力です。
 この距離帯ではレーザー・ライフル(TL13)の貫通力1014型フュージョンガンの貫通力17が圧倒的でした。

 さらに右側の欄は、貫通状態。
 先程の貫通力が、目標のエアラフトに対して「完全貫通」を得ているのか、 「部分貫通」に過ぎないのか、それとも「無貫通」なのかを示しています。
 状態は上下に2つ示されているものが多くありますが、上半分は通常の射撃による貫通状態で、 下半分は「狙い撃ち」を行って装甲値半減の効果を得た場合の貫通状態です。
 考察の38回「援護物と狙い撃ち」で明らかになった通り、 「狙い撃ち」による装甲値半減を行っても その射撃によるダメージ期待値が増えることはめったにありません。
 よほど条件が良くない限り、「狙い撃ち」のメリットはほとんど無いのです。

 次の欄は命中難易度。表2に示されている、目標が大きな場合の難易度です。
 前述の通り、その難易度は〈並:7+〉から〈難:11+〉ですが、 「狙い撃ち」を行う場合は 難易度がひとつ上がって〈難:11+〉から〈至難:15+〉になります。

 最後の欄が対戦車兵器のダメージ期待値。
 射撃1回毎に期待できるダメージを示しました。射手の命中DMが+2と+4の場合について計算してあります。



 軽突撃銃エアラフト装甲値=4に対して、 「部分貫通」を得ることができました。
 とは言っても劇的な結果にはならず、ダメージ期待値は0.61〜1.89
 エアラフトを撃墜するまで、19回〜59回の射撃が必要です。

 レーザー・ライフル(TL9)装甲値=4に対して 「部分貫通」を得ていました。
 照準器付きで命中難易度が〈並:7+〉というアドバンテージもあってか ダメージ期待値は2.72〜4.83
 エアラフトを撃墜するまで、8回〜14回の射撃で十分です。

 レーザー・ライフル(TL13)装甲値=4に対して 「完全貫通」となりました。
 そのダメージ期待値は5.69〜9.81
 エアラフトを撃墜するまで、射撃回数は4回〜7回しか必要ありません。 やはりレーザー・ライフルは頼り甲斐のある強力な銃器なのです。

 12型プラズマガン装甲値=4に対して 「無貫通」となる貫通力しか持ち合わせていませんでした。
 ダメージ期待値は0.08〜0.86で、撃墜するまでに100回〜433回の射撃が必要。
 軽突撃銃より破壊力の低い12型プラズマガンに、果たして存在価値があるのか疑問です。

 13型プラズマガン装甲値=4に対して「無貫通」でしたが、 命中難易度が〈並:7+〉になるというアドバンテージを持っていました。
 ダメージ期待値は0.86〜1.58で、撃墜するまでに必要な射撃は23回〜42回
 「狙い撃ち」を行うことで貫通状態を「部分貫通」に変えた場合、 ダメージ期待値は1.83〜5.67まで急増します。
 撃墜まで7回〜20回の射撃で十分だ、ということにもなっており、 これは13型プラズマガンの基本ダメージが13もあることに起因していると言えるでしょう。

 14型フュージョンガン装甲値=4に対して 「完全貫通」を得ていました。
 ダメージ期待値は26.8〜45.9で、撃墜するまでに必要な射撃は1回〜2回
 一撃でエアラフトを撃破できる確率は、DM+2で27.8%、 DM+4で58.3%という極めて高いものでした。



 今度は装甲値=10の軽装甲車輌、Gキャリアーの場合です。
 Gキャリアーの船殻(車体)耐久値は、72で計算しています。


      表5 超遠距離における、対戦車兵器の攻撃力(装甲値=10)

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 装甲値=10の目標を攻撃する場合、対戦車兵器であっても その多くの貫通状態は「無貫通」となってしまいました。
 2つのの例外がレーザー・ライフル(TL13)14型フュージョンガンの 「部分貫通」。
 この2つは通常射撃で「部分貫通」ですから、 「狙い撃ち」をして装甲値半減の効果を得るならば 「完全貫通」を得ることも可能です。



 軽突撃銃12型プラズマガンGキャリアー装甲値=10に対して、 「無貫通」にしかなりません。
 「狙い撃ち」も無意味です。
 ダメージ期待値は0.08〜0.369で、撃墜まで200回〜865回の射撃が必要でした。

 レーザー・ライフル(TL9)13型プラズマガン装甲値=10に対しては同じく「無貫通」ですが、 照準器付きの優位を活かしてダメージ期待値は0.86〜1.58
 撃墜まで46回〜84回の射撃が必要になるでしょう。

 レーザー・ライフル(TL13)は前述の通り装甲値=10に対しても 「部分貫通」を得ることができました。
 そのダメージ期待値は2.72〜4.83で、 Gキャリアーを撃墜するまでの射撃回数は15回〜27回で十分です。

 14型フュージョンガン装甲値=10に対して 「部分貫通」を得ており、ダメージ期待値は13.4〜22.9です。
 撃墜するまでに必要な射撃は3回〜6回でした。
 一撃で撃破することはできませんが、 軽装甲のGキャリアーを攻撃する対戦車兵器として 14型フュージョンガンは極めて有効なようです。



 今度は装甲値=20の重装甲車輌ですが名称未定
 名称未定の船殻(車体)耐久値は、90で計算しています。


      表6 超遠距離における、対戦車兵器の攻撃力(装甲値=20)

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 装甲値=20に対しては、全ての対戦車兵器が 「無貫通」の貫通状態となりました。
 「狙い撃ち」を行ったレーザー・ライフル(TL13)14型フュージョンガンの2つだけが、かろうじて「部分貫通」を得られます。



 軽突撃銃12型プラズマガン装甲値=20に対して「無貫通」のまま。
 ダメージ期待値は0.08〜0.36で、 撃墜するまで250回〜1,080回の射撃が必要でしょう。

 レーザー・ライフル(TL9)13型プラズマガン装甲値=20に対しては「無貫通」しか得られませんが、 ダメージ期待値は0.86〜1.58まで増えました。
 撃墜まで57回〜105回の射撃が必要です。

 レーザー・ライフル(TL13)は 「狙い撃ち」を行うことで装甲値=20に対しても 「部分貫通」を得ることができますが、ダメージ期待値を見てみると無意味だったようです。
 通常射撃による「無貫通」でのダメージ期待値は0.86〜1.58、 撃墜するまでの射撃回数は57回〜105回でした。

 反対に14型フュージョンガンは 「狙い撃ち」を行うことでダメージ期待値を大きくすることが可能です。
部分貫通」を得た場合のダメージ期待値は2.14〜6.61、 撃墜するまでに必要な射撃は14回〜42回になりました。
 14型フュージョンガンだけは装甲値=20に対しても、 ある程度は対戦車兵器として有効だと言えます。



 最後は装甲値=40反重力戦車トレピダ
 トレピダの船殻容積は13排水素トンなので、耐久値は117で計算しました。


      表7 超遠距離における、対戦車兵器の攻撃力(装甲値=40)

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 装甲値=40に対する対戦車兵器の攻撃ですが、 すべての貫通状態が「無貫通」となってしまいました。



 軽突撃銃12型プラズマガン装甲値=40に対しても「無貫通」です。
 「被害なし」にならず「ラッキーヒット」を期待できるだけ、良しとすべきなのでしょうか。
 そのダメージ期待値は0.08〜0.369
 トレピダを撃破するまで個人用携帯火器と同じく 324回〜1,405回の射撃が必要でした。

 レーザー・ライフル(TL9)レーザー・ライフル(TL13)13型プラズマガン14型フュージョンガン装甲値=40に対しては「無貫通」しか得られませんでした。
 「狙い撃ち」も無意味です。
 ダメージ期待値は0.86〜1.58で、撃破まで74回〜136回の射撃が必要でしょう。
 遂に14型フュージョンガンも、対戦車兵器としての有効性を失ってしまいました。



 以上の結果から、レーザー火器エネルギー火器の 限定的な対戦車攻撃力が明らかとなりました。

 レーザー・ライフル(TL9)は、 装甲値=4エアラフトに対して、それなりのダメージ期待値を発揮しています。
 超遠距離において、そのダメージ期待値は軽突撃銃の2〜4倍ですから、 非装甲車輌に対しては有効な兵器となるでしょう。
 ただし、装甲値=5以上の車輌に対しては貫通状態が「無貫通」になってしまうため、 有効な対戦車攻撃力を発揮できません。

 レーザー・ライフル(TL13)は、 装甲値=10Gキャリアーまで有効な対戦車兵器です。
 装甲値=4エアラフトには「完全貫通」となるため、 そのダメージ期待値はレーザー・ライフル(TL9)の2倍。
 超遠距離において軽装甲の車輌限定ですが、対戦車戦闘に威力を発揮します。

 12型プラズマガン13型プラズマガンは、 超遠距離での対戦車戦闘にほとんど使えません。
 すべては減衰率=1という設定が悪いのです。
 恐らく、遠距離戦闘でも装甲値=4エアラフトを撃破することが限界でしょう。
 中距離まで近付けば装甲値=10Gキャリアーを撃破できそうですが、 そこまで近付かなければならないのであれば、有効な対戦車兵器としては使えません。

 14型フュージョンガン対戦車兵器として理想的な存在です。
 超遠距離における装甲値=17以下の目標限定ですが、 「部分貫通/完全貫通」となった目標に対しては、極めて大きなダメージ期待値を持っていました。
 エアラフトならばほぼ一撃で、 Gキャリアーでも3回〜6回の射撃で撃破できるのです。



 歩兵が携帯するレーザー火器エネルギー火器に対して、 戦車の装甲装甲値=20があれば十分なようです。
 レーザー火器エネルギー火器は貫通力がまだ不十分ですから、 装甲値=20以上の装甲車輌に対して、有効な対戦車兵器とは成り得ませんでした。





無反動ライフル(無反動砲)


 無反動ライフル(無反動砲)は、 発射ガスの一部を砲の後部から吹き出すことによって反動を軽減した大砲の一種です。
 砲自体を大幅に軽量化できるため持ち運びがし易く、歩兵の支援火器としては大変有用。 その反面、噴き出した発射ガスによって砲手の存在が目立ってしまうとか、 砲弾の飛翔速度が遅いために榴弾や徹甲榴弾(成形炸薬弾)しか使えない、といった欠点もありました。
 テックレベルが高く(8以上に)なると、 対戦車ミサイル(=トラベラー世界では戦術ミサイル)に取って代わられている筈の兵器ですが、 軽量、安価であることから、一部ではまだ現役です。



 トラベラーのハイテク世界でも無反動ライフルが使われ続けているかどうか分かりませんが、 困ったことにCTもメガトラベラーも戦術ミサイルのルールが用意されていませんでした。
 戦術ミサイルのルールが存在しない以上、 対戦車兵器として戦術ミサイルを頼る訳にはいきません。
 旧式だろうと何だろうと追い詰められた歩兵は、目の前にある対戦車兵器無反動ライフルを使うしかないのです。

 という訳で、まずは無反動ライフルの命中難易度を確認してみましょう。




(1)無反動ライフルの命中難易度と貫通力

 無反動ライフルの命中難易度はライフルの欄を用います。

 無反動ライフルの反動は「低」であるものの、移動しながら射撃することはできません。
 射撃時は常に静止していなければならない(移動速度=0の)訳で、 無反動ライフルにはしっかりとした三脚が付属していることから今回も、 プレイヤーズ・マニュアル、p.73に記されている ジャイロ・スタビライザーの効果

> 移動速度がゼロで、1マスも移動せず、固定物で武器を支えて射撃した場合には、
> ジャイロ・スタビライザーが装備されているものとして扱ってもよい。


という、例のルールが適用できる筈です。

 無反動ライフルに関する記述は、 「プレイヤーズ・マニュアル、p.81」と「ハードタイムズ、p.95」を除けば ほとんど見つかりません。ですから、装備の詳細に関しては常識で判断するしかないようです。
 少々悩みましたが、無反動ライフルには照準器が装備されていないことにしました。
 ですから無反動ライフルの命中難易度には、 ライフル+ジャイロの欄を用いることになります。
 元々、無反動ライフルの命中率が低いものですから、それをゲーム上で再現するためにも 照準器なしという設定は都合が良いでしょう。
 私はそう考えることにしました。



 ここで例によって修正が入ります。
 無反動ライフルの攻撃目標は「大きさな目標」ですから、 命中難易度もひとつ低く(易しく)修正されなければなりません。

 修正された命中難易度は、以下の通りです。表2を再掲載しました。


         表2 直接射撃難易度表(目標が大きい場合)

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 照準器が付いていない分、 超遠距離で射撃する無反動ライフルは、他の銃器と比べて難易度がひとつだけ不利になりました。
 徹甲榴弾(HEAP)を使用して戦車への直撃を狙う場合は確かに不利ですが、 榴弾(HE)を使うのであれば問題にはなりません。
 「48回、砲兵4、直接照準射撃−榴弾」で考察した通り、 「榴弾は必ず、狙ったマスで爆発する」からです。
 以下の考察で明らかになりましたが、非装甲車輌軽装甲の車輌に対しては、 徹甲榴弾を命中させるよりも榴弾の至近弾で吹き飛ばす方が効果的のようでした。



 無反動ライフルの貫通力とダメージ、致傷範囲について考えます。
 無反動砲は、その致傷力を砲弾の爆発力に依存していますから、 距離帯によって貫通力等が変化することはありません。


       表8 無反動ライフルの貫通力とダメージ、致傷範囲の比較

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 表の左端から、 無反動ライフルテックレベル口径が並んでいます。
 テックレベルテックレベル=6テックレベル=7の2つ、 口径6cm8cm10cmの3つがありました。

 次の欄は弾種で、榴弾(HE)徹甲榴弾(HEAP)の2種類が用意されています。

 貫通力とダメージ、致傷範囲は無反動砲の口径弾種で異なっていましたが、 何故かテックレベルによる差異は存在しませんでした。

 最後の最大射程は口径=6cm〜8cmが超遠距離(500mまで)で、 口径=10cmが遠方(5kmまで)です。



 では、実際に行われる対戦車戦闘を評価してみましょう。




(2)超遠距離における対戦車戦闘

 歩兵が無反動ライフルを用いて 対戦車戦闘を行った際のダメージ期待値について計算しました。



 まずは装甲値=4の非装甲車輌、エアラフトを攻撃した場合から。
 今回もエアラフトの船殻(車体)耐久値は36で計算しています。


    表9 超遠距離における無反動ライフルの対戦車攻撃力(装甲値=4)

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 武器名は無反動ライフルで確定ですから、 左端の欄には無反動ライフルの口径弾種だけを並べました。
 弾種榴弾(HE)徹甲榴弾(HEAP)の2種類だけですが、 徹甲榴弾は「狙い撃ち」が可能ですので、その欄も設けてあります。

 次の欄は貫通力と貫通状態。
 表8でも説明した通り、無反動ライフルの貫通力は距離帯による変化をしません。
 どの距離帯でも同じ貫通力ですから、どの距離帯でも同じ貫通状態になりました。
 ダメージ期待値を左右するのは、命中難易度と射手の命中DMになるのではないでしょうか。
 状態は上下に2つ示されているものが多くありますが、上半分は通常の射撃による貫通状態で、 下半分は「狙い撃ち」を行って装甲値半減の効果を得た場合の貫通状態です。

 次の欄は命中難易度。表2に示されている、目標が大きな場合の難易度です。
 前述の通り、その難易度は〈難:11+〉で、「狙い撃ち」を行う場合は 難易度がひとつ上がって〈至難:15+〉になります。

 最後の欄が無反動ライフルのダメージ期待値。
 射撃1回毎に期待できるダメージを、射手の命中DMが+2と+4の場合について示しました。



 どの口径弾種でも「完全貫通」を得ていますので、 ダメージ期待値の差は弾種による違いしかありませんでした。

 榴弾(HE)は「必ず、狙ったマスで爆発する」というルールから、全弾が自動命中です。
 榴弾の巻き添え命中に関しては、巻き添え命中を判定するための公式ルールが存在しないため、 私のハウス・ルールを使用しました。 詳細については「39回、個人戦闘5、手榴弾」を御覧ください。
 そんな訳で説明を省きますが、榴弾の巻き添え命中は難易度〈易:3+〉を使用します。 但し、射手の命中DMは影響しません。
 「完全貫通」で基本ダメージが10、難易度〈易:3+〉の命中判定ですから、 射手DMが無関係でもダメージ期待値は大きくなりました。実際、その数値は32.8にもなります。
 エアラフトを一撃で撃破できる確率は58.3%、半分以上の確率でした。
 「完全貫通」を得られるのであれば、非装甲車輌に対しては 榴弾の至近弾で吹き飛ばす方が効果的なのです。

 榴弾を用いた直接照準射撃の長所は、距離帯が変わっても確実に命中することでしょう。
 最大射程が遠方になっている無反動ライフル口径=10cmのものだけですが、 口径10cmの無反動ライフルは例え遠方(500m〜5km)を移動しているエアラフトであっても、 高確率で一撃の撃破が可能ということです。
 恐ろしい話ですね。

 徹甲榴弾(HEAP)を用いた場合は、残念ながら命中しない可能性が高くなっています。
 命中難易度〈難:11+〉によるダメージ期待値は 「完全貫通」であるにも関わらず2.44〜7.56
 エアラフトを撃破するまで5回〜15回の射撃が必要となりました。
 遠距離(50m〜250m)まで引き寄せて撃つことができるのであれば 命中難易度が〈並:7+〉まで上がってダメージ期待値も15.3〜26.2まで急増し、 2回〜3回の射撃で撃墜できるようになるのですが、残念です。 超遠距離での戦闘では、これが限界なのでしょう。



 今度は装甲値=10の軽装甲車輌、Gキャリアーの場合です。
 Gキャリアーの船殻(車体)耐久値は、72で計算しました。


    表10 超遠距離における無反動ライフルの対戦車攻撃力(装甲値=10)

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 装甲値=10の目標を攻撃する場合、 口径=6cm榴弾(HE)だけが 「無貫通」となってしまいました。
 口径=8cm〜10cm榴弾(HE)は「部分貫通」、 徹甲榴弾(HEAP)口径に関係なく「完全貫通」です。



 「無貫通」になってしまった口径=6cm榴弾は、 ダメージ期待値が1.58まで激減してしまいました。
 Gキャリアーを撃破するまでに必要な射撃回数は46回
 口径6cmの無反動砲装甲値=10の目標を攻撃する場合は、 徹甲榴弾を用いた方が良いようです。

 「部分貫通」になっている口径=8cm〜10cm榴弾は、 ダメージ期待値が16.4に半減。
 Gキャリアーを撃破するまでに必要な射撃回数は5回前後。
 「部分貫通」ならば、まだ榴弾を用いるべきだと分かりました。

 徹甲榴弾を用いるのであれば、 口径には関係なく「完全貫通」です。
 ダメージ期待値は2.44〜7.56のままで、 Gキャリアーを撃破するまで10回〜30回の射撃が必要。
 遠距離まで接近できれば、ダメージ期待値は15.3〜26.2まで増えて、 撃破までの射撃回数も3回〜5回に減少するでしょう。



 今度は装甲値=20の重装甲車輌名称未定が相手。
 名称未定の船殻(車体)耐久値は、90で計算しています。


     表11 超遠距離における無反動ライフルの対戦車攻撃力(装甲値=20)

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 装甲値=20を攻撃する場合、 すべての口径榴弾(HE)が「無貫通」です。
 口径=6cm〜8cm徹甲榴弾(HEAP)は「部分貫通」、 口径=10cm徹甲榴弾だけが「完全貫通」になりました。



 「無貫通」に成り下がった榴弾のダメージ期待値は1.58
 名称未定を撃破するまでに必要な射撃回数は57回でした。
 装甲値=20の目標を攻撃する場合は、 口径に関わらず徹甲榴弾を用いた方が良いようです。

 「部分貫通」を得ているのは 口径=6cm〜8cm徹甲榴弾ですが、 これらのダメージ期待値は1.22〜3.78でした。
 撃破までに必要な射撃回数は24回〜74回
 遠距離まで近付けばダメージ期待値は7.67〜13.1に増え、 撃破までの射撃回数も7回〜12回に減少します。

 「完全貫通」を得ている口径=10cm徹甲榴弾は ダメージ期待値が2.44〜7.56で、撃破までに必要な射撃回数は12回〜37回でした。
 遠距離まで近付いた場合のダメージ期待値は15.3〜26.2であり、 撃破までの射撃回数は4回〜6回になります。



 最後は装甲値=40反重力戦車トレピダ
 トレピダの船殻容積は13排水素トンなので、耐久値は117で計算しました。


     表12 超遠距離における無反動ライフルの対戦車攻撃力(装甲値=40)

BW50_Fig12.gif - 11.3KB

 装甲値=40を攻撃する場合、 すべての口径榴弾(HE)口径=6cm〜8cm徹甲榴弾(HEAP)が「無貫通」になりました。
 口径=10cm徹甲榴弾だけが「部分貫通」です。



 「無貫通」になっている榴弾のダメージ期待値は1.58
 トレピダを撃破するまで74回の射撃が必要です。
 装甲値=40の目標を攻撃する場合は、 口径=10cm徹甲榴弾を使いましょう。

 口径=6cm〜8cm徹甲榴弾も「無貫通」で これらのダメージ期待値は0.08〜0.36、撃破までに必要な射撃回数は324回〜1,405回
 遠距離まで近付けば「狙い撃ち」を選択することによって、 貫通状態を「部分貫通」まで持っていけます。 その際のダメージ期待値は1.22〜3.78で、 撃破までの射撃回数は31回〜96回になりました。

 口径=10cm徹甲榴弾(HEAP)だけが「部分貫通」です。
 ダメージ期待値は1.22〜3.78で、撃破までに必要な射撃回数は31回〜96回
 遠距離まで近付ければダメージ期待値は7.67〜13.1に増え、 撃破までに必要な射撃回数は9回〜16回になるでしょう。



 以上の考察より、装甲値=4エアラフトにとって、 無反動ライフルは天敵であると言えます。
 無反動ライフルから発射された榴弾が、 一撃でエアラフトを撃破できる確率は58.3%
 「完全貫通」を得られるのであれば、非装甲車輌に対しては 榴弾の至近弾で吹き飛ばす方法が確実なのです。

 装甲値=10の軽装甲車輌Gキャリアーになると、 榴弾を発射する無反動ライフル口径=8cm〜10cmが必要。
 射撃回数は増えましたが、まだ5回前後の射撃でGキャリアーを撃破できます。

 装甲値=20の重装甲車輌名称未定に対して、 もう榴弾は効かなくなりました。
 徹甲榴弾ならば効果がありますが、撃破するまでに必要な射撃回数は12回〜74回対戦車兵器としては物足りない威力です。

 装甲値=40反重力戦車トレピダに対して、 無反動ライフルは更に存在価値を落としてしまいます。
 効き目があるのは口径=10cm徹甲榴弾のみで、 撃破するまで31回〜96回の射撃が必要でした。
 やはり対戦車兵器としては不十分な性能です。




(3)遠距離における対戦車戦闘

 上記の考察で少しだけ触れていますが、無反動ライフルを遠距離で使用した場合、 徹甲榴弾(HEAP)の命中難易度が 〈難:11+〉から〈並:7+〉に変わりました。
 その結果、攻撃時のダメージ期待値が大幅に上がり、対戦車兵器としてより威力を発揮するようになっています。

 もちろん遠距離や中距離に近付いた場合は目標の移動DMの影響が大きくなってしまいますが、 その問題について色々な方法で対策しなければならないことは歩兵の個人用携帯火器と同じでしょう。
 対戦車戦闘は決して、楽ができる仕事ではないのです。

 要するに徹甲榴弾を発射する無反動ライフル重装甲の戦車にも効果を発揮できる数少ない武器なのですが、 本来は中距離か遠距離で使用すべき対戦車兵器でした。
 榴弾を発射するのであれば超遠距離でも遠方でも問題ありませんが、 榴弾装甲値の大きな目標に効かないという欠点があります。
 装甲値の大きな目標に対しては 貫通力の大きな徹甲榴弾を撃ち込まなければならないのですが、 命中率の低さをカバーするためには遠距離まで接近しなければならない、ということが分かりました。

 無反動ライフル照準器が付いていない/付けられないということにして、 そういった命中難易度に設定した犯人は私ですが、史実と照らし合わせても妥当なところではないかと思うのです。




(4)無反動ライフルの重量と価格

 「ハードタイムズ」を持っていない方のため、 無反動ライフルの諸元(重量と価格)を掲載しておきます。
 下記のデータを「同、p.95」から転載しました。


         表13 無反動ライフルの諸元(重量と価格)

BW50_Fig13.gif - 4.42KB

 弾薬の重量と価格は、1発当たりの重量と価格を示しています。

 無反動ライフル本体の重量と価格は妥当なところだと思いますが、 歩兵が持ち歩く重量としては口径=6cm21kgが限界でしょう。
 より大型の口径=8cm〜10cmは牽引式か車載式になるのではないでしょうか。

 口径=6cmの弾薬重量が異様に小さいような気がします。
 あるいは口径=8cm〜10cmの弾薬重量が異様に大きいと表現すべきか。
 英文エラッタに記載されている数字は上記と同じなのでこれ以上のコメントは止めておきますが、何か納得できません。





擲弾筒とRAMP擲弾筒


 大戦末期にドイツ軍が大量投入したパンツァーファウスト、 それを戦後のソビエトが発展させ、世界中に普及させたRPGシリーズ
 上記は携帯式対戦車兵器の代名詞とも言える存在ですが、 メガトラのルールにおいては全て擲弾筒として扱われています。

 ところが、メガトラの「プレイヤーズ・マニュアル、pp.80-81」には、 擲弾筒の貫通力やダメージといった諸元がしっかりと記載されているにも関わらず、 「帝国百科」の中には説明文も、重量や価格などのデータも記載されていませんでした。
 プレイに必要な最低限のデータは英文エラッタで追加されましたが、 それだけでは擲弾筒RAMP擲弾筒がどんな兵器なのか、 具体的なイメージを思い浮かべられません。
 そんなことでは困りますので「CT版:傭兵部隊」を読み直してみましょう。

 擲弾筒は中口径の榴弾を射出する兵器で、運動エネルギーによる衝撃でなく、弾頭の爆発力により目標を破壊するものです。

 可変圧推進機構により、40mm榴弾を500メートル以内の地点に発射します。
 40mmロケット補助弾は、秒速150〜200メートルの初速で発射され、以後推進剤によって秒速500〜600メートルにまで加速されます。


 ということだそうです。
 詳細については、後の方に丸ごと転載しておきました。
 興味のある方は確認してください。




(1)擲弾筒の命中難易度

 さて、「プレイヤーズ・マニュアル、pp.80-81」の記述によれば、 擲弾筒の命中判定には間接射撃を用いるとのこと。
 つまり、距離帯に関わらず命中難易度は〈難:11+〉です。
 命中DMには〈照準〉技能ではなく〈重火器〉の技能レベルを用いるようでしたが、 間接射撃ですから敏捷力によるDMは適用されないのでしょう。
 また、目標の大きさによる難易度修正も有り得ません。



 間接射撃の命中難易度と射撃の遅れは以下の通りです。
 比較のため、直接射撃の命中難易度も「大きな目標」の場合を併記しました。
 実際のところ、表2を再掲載した訳ですが。


         表2 直接射撃難易度表(目標が大きい場合)

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 前述の通り、間接射撃の命中難易度は距離帯に関わらず〈難:11+〉です。

 射撃の遅れは、遠距離までならば1ターンですが、 超遠距離では2ターン、遠方では3ターンに増えていました。
 この遅れは、間接射撃だけの特別ルールです。
 射撃を実行してから狙った場所に着弾するまで、ある程度の時間が掛かることを表現したルールのようですが、 このルールが存在するため、移動目標に対する間接射撃が更に難しくなったと言えるでしょう。



 ところで、以前にも考察しましたが間接射撃の命中判定は、 狙ったマスに命中したかどうか、という判定です。
 致傷範囲の広い榴弾(HE)で、そのマス内すべてを致傷範囲とすることができるならばともかく、 対戦車攻撃を目的とした徹甲榴弾(HEAP)の場合は、 その徹甲榴弾が目標を直撃できたかどうかの判定を行わなければなりません。
 徹甲榴弾の致傷範囲は狭いので、 狙ったマス内に落ちても目標を直撃することができなかった、という可能性は高いでしょう。

 この問題についてはハウス・ルールで対応することにしました。
 まず、間接射撃の命中は1マス(15mマス)の中への命中を意味していますから、 15m四方=225平方メートルの何処かへ落ちたと考えられる訳です。
 そして、目標となった戦車(輸送機器)の上面積(地面への投影面積)は 戦車(輸送機器)の容積1排水素トン当たり4.5平方メートルだと考えました。
 容積4排水素トンのエアラフトならば18平方メートル、 8トンのGキャリアーならば36平方メートル、 13トンのトレピダならば58.5平方メートル、といった具合です。
 この上面積を1マスの面積225平方メートルで割れば、単純ですが、目標へ直撃する確率が出てくるでしょう。
 容積が4排水素トンのエアラフトならば18÷225=8.0%、 8トンのGキャリアーならば36÷225=16.0%、 13トンのトレピダならば58.5÷225=26.0%、という風になる訳です。
 かなり適当な数字だと自覚していますが、プレイアビリティのため妥協して下さい。

 ちなみに、この確率が通用するのは超遠距離(500m)以内の戦闘に限定されます。
 遠方(500m〜5km)での戦闘(間接射撃)には「1マス=150m」のスケールを用いますから、 1マスの面積が22,500平方メートルに拡大してしまうのです。ですから徹甲榴弾の直撃率は100分の1に減少。 榴弾の命中率も1%(=100分の1)程度に減ってしまいました。
 御注意下さい。



 この方法で、間接射撃の命中難易度と掛け合わせ、 擲弾筒の攻撃で目標に直撃弾を1発与えるために必要な射撃回数を求めてみました。
 致傷範囲の広い榴弾ならば、同じマス内に命中するだけで 目標に対する巻き添え命中のダメージ判定を行えるのですが、 徹甲榴弾は目標に直撃しなければダメージを与えることができません。

 以下は、榴弾徹甲榴弾を1発直撃させるため、 必要な擲弾筒の射撃回数です。


       表14 間接射撃の命中率(榴弾1発を命中、あるいは
           徹甲榴弾1発を直撃させるために必要な射撃回数)

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 命中DMの大きさによって間接射撃の命中率が変わり、 それに伴って必要な射撃回数も変わっていました。



 1番上は榴弾の欄です。
 榴弾を用いた場合、射撃回数は目標の大きさに左右されません。
 命中DM+2の欄を見ると、必要な射撃回数は3.6でした。
 実際に3.6回の射撃をすることはできませんから、端数を切り上げして、 4回の射撃で命中数は1、8回の射撃で命中数は2、 11回の射撃で命中数は3、といった風になる訳です。

 2番目はエアラフトを目標とした徹甲榴弾の欄。
 容積4トンのエアラフト徹甲榴弾が直撃する確率はわずか8.0%でした。 ですから榴弾と比べて12.5倍の射撃回数が必要になったようです。
 射撃回数が45に激増、具体的には 1発を直撃させるために必要な射撃回数が45回、2発を直撃させるために必要な射撃回数は90回、 3発を直撃させるために必要な射撃回数は135回になりました。
 何と言うか、擲弾筒の射撃で徹甲榴弾を直撃させるのは大変なことのようです。

 3番目のGキャリアーと4番目の名称未定については省略しました。

 5番目は反重力戦車トレピダを目標とした徹甲榴弾です。
 容積13トンのトレピダを目標にしても徹甲榴弾が直撃する確率は26.0%しかありません。
 そして必要な射撃回数は13.8でした。
 徹甲榴弾1発を直撃させるために必要な射撃回数は14回、 2発を直撃させるために必要な射撃回数は28回、 3発を直撃させるために必要な射撃回数は42回です。



 致傷範囲の広い榴弾はともかくとして、 徹甲榴弾を直撃させることはとても大変であると判明しました。
 幸い、擲弾筒の操作は1人だけでも可能ですから、 擲弾筒戦車を攻撃する場合は最低でも1個分隊(=10人)、 できることならば1個小隊(=40人)規模の兵士で一斉に同一目標を攻撃する、ということになりそうです。




(2)間接射撃が移動目標に命中する確率

 表2へ示した通り、間接射撃には射撃の遅れが伴います。
 射撃を実行してから狙った場所に着弾するまで、ある程度の時間が掛かることを表現したルールのようですが、 具体的な射撃の遅れは、遠距離までならば1ターンで、 超遠距離では2ターン、遠方では3ターンでした。
 このルールが存在するため、移動目標に対する間接射撃が更に難しくなったと言えるでしょう。

 間接射撃が目標に命中するためには、間接射撃が着弾したターン、 着弾したマスの中に目標が存在するか、そのマスを目標が通過していなければなりません。
 目標が移動しておらず、そのターンの開始時と終了時、そのマスの中に留まっていれば話は簡単なのですが、 目標が移動している場合はとても面倒なことになるのです。
 間接射撃の命中判定が移動DMの影響を受けることはありませんが、 目標の移動は別の形で命中率の低下という影響を及ぼしている、と言える訳ですね。



 以下の表へ、間接射撃が移動目標に命中する確率を示しました。
 「47回:砲兵4、間接射撃−超遠方」の表7とほぼ同じものです。


          表15 間接射撃が移動目標に命中する確率

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 間接射撃の着弾するマスで移動を始めた、通過した、移動を終えたユニットは、 そのマスで過ごした時間に応じて間接射撃が命中する可能性を持つ訳です。

 例えば、とあるマスが擲弾筒で狙われており、そのターンに数発の命中弾があることが分かっていながら、 そのマスを急いで(速度4マスで)通過しようと試みた戦車があるとしましょう。
 戦車の速度は4マスですから、移動速度は4マスの欄。
 擲弾筒で狙われているマスが、移動を始めるマスか、終えるマスであれば12.5%、 移動途中に通過するマスであれば25.0%の確率で命中するのだと分かります。
 前述した表14の数字に、この確率を掛け合わせてください。



 上記の確率を逆数にしたものが下の表です。
 間接射撃を移動目標に命中させるため、何倍の射撃回数が必要になるか、 という数字を示しました。


          表16 間接射撃が移動目標に命中する確率

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 間接射撃に目標の移動DMは影響しませんが、 移動する目標に間接射撃を命中させることがどれだけ大変か、それを声高に主張する数字だと思います。




(3)擲弾筒の貫通力とダメージ

 今度は各種擲弾筒の貫通力とダメージ、致傷範囲について考えます。
 擲弾筒無反動砲と同じように、その致傷力を砲弾の爆発力に依存していますから、 距離帯によって貫通力等が変化することはありません。


         表17 擲弾筒の貫通力とダメージ、致傷範囲の比較

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 表の左端は、擲弾筒の種類とテックレベル、口径が並んでいます。
 テックレベル6の擲弾筒に、何故4種類もデータが存在するのか良く分かりません。 デザイナーが何かを再現したいと考えたから、これだけの種類が並んでいるのでしょうが……。
 使い捨て型対戦車擲弾筒は恐らく パンツァーファウストRPGシリーズをイメージしているのでしょう。
 テックレベル8以降の擲弾筒は、ロケット補助弾(=RAMP)を用いるようになっていました。

 表の次の数値は、貫通力とダメージ、致傷範囲です。

 貫通力は様々ですが、榴弾(HE)の貫通力は7〜11の範囲、 徹甲榴弾(HEAP)の貫通力は15〜36の範囲になっていました。
 ローテク(テックレベル6〜7)の対戦車擲弾筒は、 ちょっと貫通力が大き過ぎるのではないでしょうか。
 RAMP擲弾筒無反動砲などと比べた場合に貫通力が大き過ぎるように感じます。

 ダメージは、榴弾のダメージが8、 徹甲榴弾のダメージが6で一定でした。

 致傷範囲は、榴弾が7.5m〜30mですので、15mのマス全体を致傷範囲とするのに十分な大きさでした。
 徹甲榴弾の致傷範囲はすべて1.5mでしたから、やはりダメージを与えるには直撃させることが必要だと分かります。



 次いで、歩兵用のライフルから発射される擲弾ライフル擲弾筒の貫通力とダメージ、致傷範囲も調べてみましょう。


       表18 ライフル擲弾筒の貫通力とダメージ、致傷範囲の比較

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 貫通力とダメージ、致傷範囲等のデータは擲弾筒のものとほぼ等しいのですが、 テックレベル6〜7については大きく異なっていました。
 致傷範囲1.5mの榴弾にどの程度の利用価値があるのか謎です。
 納得いかない数値もあるのですがコメントしません。



 擲弾筒によって行われる対戦車戦闘を評価してみます。




(4)超遠距離における対戦車戦闘

 歩兵が擲弾筒を使用して行う 対戦車戦闘のダメージ期待値について計算しました。



 まずは装甲値=4の非装甲車輌、エアラフトを攻撃した場合から。
 今回もエアラフトの船殻(車体)耐久値は36で計算しています。


          表19 擲弾筒の対戦車攻撃力(装甲値=4)

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 武器名は、擲弾筒使い捨て型擲弾筒ライフル擲弾筒などの種類に関係なく、 テックレベル口径弾種で区別しました。
 弾種榴弾(HE)徹甲榴弾(HEAP)の2種類だけですが、 同じようなレベルの貫通力でまとめてあります。

 次の欄は貫通力と貫通状態。
 擲弾筒も距離帯に関わらず貫通力が一定です。

 次の欄はダメージを求めるための命中難易度。
 間接射撃による榴弾徹甲榴弾のダメージですから、 難易度は〈易:3+〉で確定です。

 最後の欄は、ダメージ期待値と必要な射撃回数
 ダメージ期待値は、榴弾の命中1発か、 徹甲榴弾の直撃1発毎に期待できるダメージを示しています。
 必要な射撃回数は、榴弾の命中1発か、 徹甲榴弾の直撃1発を得るために必要な射撃回数で、 命中DMが+2の場合の数値です。



 装甲値=4エアラフトを攻撃した場合、 極一部の例外を除いて、すべての擲弾の貫通状態は「完全貫通」となりました。
 例外というのはテックレベル8以下の口径4cm榴弾
 これらの擲弾だけは5〜7という貫通力なので 「部分貫通」しか得られないのです。

 ダメージ期待値は、貫通力7以下の榴弾13.1、 貫通力8以上の榴弾26.2徹甲榴弾19.7でした。
 このダメージ期待値ならば、エアラフトを1〜2発の命中弾/直撃弾で吹き飛ばすことができるでしょう。
 しかし問題は必要な射撃回数で、 このダメージ期待値を得るために榴弾3.6発徹甲榴弾45発を射撃しなければなりません。
 擲弾筒の威力はエアラフトに対して十分ですから、 榴弾の利用によって命中率の低さをカバーすることもできるでしょう。



 今度は装甲値=10の軽装甲車輌、Gキャリアーの場合。
 Gキャリアーの船殻(車体)耐久値は72で計算しました。


          表20 擲弾筒の対戦車攻撃力(装甲値=10)

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 装甲値=10Gキャリアーを攻撃した場合、 榴弾の多くは「無貫通」になってしまいました。
 貫通力が足りないためですが、「無貫通」であるため ダメージ期待値は1.58しかありません。
 唯一の例外はテックレベル11のRAMP擲弾筒で、 かろうじて「部分貫通」を得ることができています。
 そのダメージ期待値は13.1
 擲弾筒榴弾を使って Gキャリアーを撃破することは、難しいようです。

 徹甲榴弾はすべてが「完全貫通」となり、 そのダメージ期待値は19.7でした。
 必要な射撃回数22.5発ですから、 1個小隊(=40人)規模の兵士が一斉に射撃すれば2発の直撃弾を与えることが出来るでしょう。
 そうした状況ならば、Gキャリアーの撃破も可能な筈です。



 装甲値=20の重装甲車輌名称未定を目標にした場合。
 名称未定の船殻(車体)耐久値は、90で計算しています。


          表21 擲弾筒の対戦車攻撃力(装甲値=20)

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 装甲値=20を攻撃する場合、 すべての榴弾が「無貫通」に変わりました。
 そして、すべての徹甲榴弾は「部分貫通」です。

 「無貫通」になった榴弾のダメージ期待値は1.58で、 歩兵の主力武器であるライフルよりはマシですが、対戦車兵器と呼べるほどでもありません。
 榴弾を発射する擲弾筒は、 装甲値=20に対して無力なのです。

 「部分貫通」を得ている徹甲榴弾のダメージ期待値は9.83
 名称未定の重装甲車輌を撃破するためには、直撃弾10発が必要になるでしょう。



 最後は装甲値=40反重力戦車トレピダ
 トレピダの容積は13排水素トンですから、船殻(車体)の耐久値は117です。


           表22 擲弾筒の対戦車攻撃力(装甲値=40)

BW50_Fig22.gif - 9.25KB

 装甲値=40を攻撃する場合、 すべての榴弾徹甲榴弾が「無貫通」になりました。
 ダメージ期待値は1.58
 擲弾筒は、装甲値=40トレピダ対して無力です。



 擲弾筒の命中率やダメージ期待値を考察してきましたが、 重装甲の戦車に対して擲弾筒は予想外に非力でした。
 徹甲榴弾の38という貫通力も、「無貫通」になってしまう以上、貫通力4と同じです。 装甲値=40に対しては貫通力が足りないと分かりました。
 ダメージ期待値も小さくなってしまいましたから、一撃で戦車を撃破する、といったことは到底望めません。
 命中すれば貫通力以下の目標=軽装甲の戦車に対して有効な対戦車兵器なのですが。

 予想以上に擲弾筒が非力になってしまった理由のひとつとして、 命中率(徹甲榴弾の場合は直撃率)の低さが挙げられるでしょう。
 そもそも間接射撃は命中率が低いのです。
 表14で求めたように、DMなしの状況で命中率は8.3%、1発の命中弾を得る為に12回の射撃が必要でした。
 DM+2でも27.8%で1発の命中弾を得る為には3.6回の射撃が、 DM+4だと58.3%で1発の命中弾を得る為には1.7回の射撃が必要となります。
 致傷範囲の広い榴弾ならば何とかカバーできますが、 徹甲榴弾の場合は更に直撃の判定が必要ですから、 必要な射撃回数の増加が半端ではありません。




(5)擲弾筒の復権(命中率の向上計画)

 擲弾筒の命中率の低さは、どう考えても問題です。
 命中率がこれほど低いのであれば、いくら大戦末期の危機的状況といえども、 国民突撃隊にパンツァーファウストを持たせてT34の前へ送り出す、 という訳にもいかないでしょう。
 どうにかして、擲弾筒の命中率を改善する方法はないものでしょうか。

 悩んだ結果、思いついた方法はスケールを変えること。

 考察の47回「砲兵3:間接射撃−超遠方」を執筆するに当たって、 私は「1マス=150m」のスケールを用いました。
 通常、屋外戦闘マップにおいて「1マス=15m」のスケールを用いることになっていましたが、 超遠方(5km〜50km)の砲撃戦のプレイを考慮してみると、そのスケールはあまりにも不便です。
 そのスケールで表現すると超遠方の距離帯は最低でも300マス、最大で3,000マスの距離に相当するでしょう。
 地図を描くには、ちょっとマスの数が多過ぎますね。
 「1マス=150m」のスケールならば30〜300マスで表すことができるのです。
 また、間接射撃の射撃精度も、 5kmを超えた長距離射撃で着弾が1マス(15m四方)に集中してしまう状況は不自然でした。
 「1マス=150m」のスケールならば、同じ1マスでも150m四方ですから、より自然な精度となるでしょう。

 超遠方(5km〜50km)の砲撃戦(間接射撃)でスケールをひとつ大きくして上手くいったのですから、 中距離(5m〜50m)の擲弾筒射撃間接射撃)は反対に、 スケールをひとつ小さくすれば上手くいくのではないかと考えた訳です。



 例えば、中距離(50m)の目標(停止した戦車)を 擲弾筒で攻撃する、という状況を考えてみましょう。
 通常の屋外戦闘マップで「1マス=15m」のスケールを用いると、50mの距離は3マスです。
 そして間接射撃には着弾の「ずれ」が生じるのですが、その「ずれ」の大きさは最低でも1マスでした。
 つまり、射撃距離3マスに対して「ずれ」が1マス以上生じてしまう訳です。
 比率に直せば33%もの着弾誤差が生じてしまうのですから、長距離射撃の場合とは反対の意味で、不自然な状況ですね。

 そこで、屋外戦闘マップではありますが、「1マス=1.5m」のスケールを用いてみましょう。
 本来「1.5m」は屋内戦闘マップ用のスケールですが、屋外で使ってはいけない、ということでもない筈です。
 「1マス=1.5m」で表現すると、50mの距離は33マスになりました。 着弾の「ずれ」の最低値が1マスであることは変わりませんが、その1マスの大きさは1.5mです。 着弾誤差は3.0%になりました。妥当なところではないでしょうか。
 間接射撃の射撃精度も、命中すれば着弾が1.5m四方の1マスに集中したことになりますから、これも妥当でしょう。



 実はもうひとつ、「1マス=1.5m」のスケールを用いることには利点がありました。

 擲弾筒戦車を攻撃する際に使用する徹甲榴弾は、 致傷範囲が1.5メートルしかありません。
 それに対して、間接射撃の命中はマス内(15m四方=225平方メートル)への着弾を意味しているだけですから、 「表14 間接射撃の命中率(榴弾1発を命中、あるいは徹甲榴弾1発を直撃させるために必要な射撃回数)」で求めたように 徹甲榴弾が目標(戦車)を直撃中したかどうかの判定を行う必要が生じました。
 その直撃率があまりにも低いため、必要な射撃回数が異様に大きくなってしまい、 擲弾筒が役に立たない、という結論に至ってしまった訳ですが。

 しかし「1マス=1.5m」のスケールを用いて、 間接射撃の命中が小さなマス内(1.5m四方)への着弾を意味するようになれば、話は変わってきます。
 1.5m四方の面積は2.25平方メートルです。 表14でも用いた換算式(1排水素トン=4.5平方メートル)を用いれば、1マスは0.5排水素トンになりました。
 ですから排水素トンが0.5トン以上の目標であれば、間接射撃の命中徹甲榴弾の直撃、 となるでしょう。
 更に排水素トン4.5トン以上の目標になれば、その上面積(投影面積)は1.5マスで9マス(=3×3マス)を占めていますので、 着弾の「ずれ」が1マスでも徹甲榴弾が直撃していると考えられます。
 12.5トン以上の目標ならば上面積(投影面積)が25マス(=5×5マス)なので、 同様に着弾の「ずれ」が2マスでも直撃でしょう。
 「1マス=1.5m」のスケールを用いることで擲弾筒の命中率は劇的に向上するようです。



 「1マス=1.5m」のスケールを用いた状態で、表14の数値を再計算してみました。
 表14と同じように、 間接射撃を移動目標に命中させるため、何倍の射撃回数が必要になるか、という数字を示しています。


     表23 間接射撃の命中率(中距離:50m以内、榴弾1発を命中、
         あるいは徹甲榴弾1発を直撃させるために必要な射撃回数)

BW50_Fig23.gif - 11.9KB

 今回も命中DMの大きさによって間接射撃の命中率が変わります。
 「1マス=1.5m」のスケールを用いることで、 必要な射撃回数は大幅に減少しました。



 今回は、A:間接射撃の命中率(狙ったマスへの命中率)の他、 B:微小事故(着弾の「ずれ」が1〜2マス)の場合と、C:小事故(着弾の「ずれ」が2〜4マス)の場合についても、 それぞれの確率を示しています。
 前述の通り、これらの確率が擲弾筒の命中率(直撃率)に影響してきました。

 目標の大きさが排水素トンで4トン以下(例えばエアラフト)の場合、 徹甲榴弾は狙ったマス(1.5m四方の1マス)に着弾しなければ、目標にダメージを与えることができません。
 外れた徹甲榴弾は目標の側面を掠めて、地面に落下。
 その貫通力を地面に対してのみ、発揮したということになるでしょう。
 徹甲榴弾の直撃率は、A:間接射撃の命中率と等しくなりました。
 具体的には1.2回〜12回の射撃で1発の命中弾を得られるということです。
 表14の15回〜150回に比べて、格段に命中率が向上した、と言えるでしょう。

 目標の大きさが4.5トン〜12トンの範囲(例えばGキャリアー)になると、 徹甲榴弾は狙ったマス(1.5m四方の1マス)から1マス外れても、目標にダメージを与えることができるでしょう。
 目標になった車輌は、狙ったマスを含めた9マス(=3×3マス)を占めていると考えられるためですが。
 徹甲榴弾の直撃率は、A:間接射撃の命中率に B:微小事故で着弾の「ずれ」が1マスだけの場合(1D6で1〜3が出た場合)を加えたもの、つまりA+0.5×B、となりました。
 具体的な射撃回数は1.1回〜3.8回ですが、表14の7.5回〜75回に比べても大きな命中率の向上です。

 目標の大きさが12.5トン以上(上限は24.5トンですが、トレピダ)の場合は、 徹甲榴弾は狙ったマス(1.5m四方の1マス)から2マス外れても大丈夫になります。
 目標になった車輌は、狙ったマスを含めた25マス(=5×5マス)を占めていると考えられる訳で。
 徹甲榴弾の直撃率は、A:間接射撃の命中率+ B:微小事故で着弾の「ずれ」が1〜2マスの場合+C:小事故で着弾の「ずれ」が2マスの場合(2D6で2〜6が出た場合)、 つまりA+B+0.42×C、となりました。
 具体的な射撃回数は1.0回〜1.5回です。表14の4.6回〜46回に比べると劇的な命中率の向上だと言えました。 これならば、もう少しまともな対戦車戦闘も行えることでしょう。

 致傷範囲の広い榴弾を使用した場合、目標に直撃させる必要はありません。
 擲弾筒から発射される榴弾は、 極一部を除けば致傷範囲が7.5m(5マス)以上ありますので、着弾の「ずれ」が5マス以内ならば問題なくダメージを及ぼせるのです。
 榴弾の命中率は、A:間接射撃の命中率に、 B:微小事故で着弾の「ずれ」が1〜2マスの場合と、C:小事故で着弾の「ずれ」が2〜4マスの場合を加えたもの、 つまりA+B+C、になりました。
 榴弾も、命中率が大きく向上しています。



 更に擲弾筒の命中率を上げるため、目標により近付くことにしてみました。
 同じ中距離ですが、射撃距離は25m以内。
 「1マス=1.5m」で表現すると、16マスの距離です。
 表23と同じように、 間接射撃を移動目標に命中させるため、何倍の射撃回数が必要になるか、という数字で示しています。


     表24 間接射撃の命中率(中距離:25m以内、榴弾1発を命中、
         あるいは徹甲榴弾1発を直撃させるために必要な射撃回数)

BW50_Fig24.gif - 11.8KB

 射撃距離が短くなったため、それに比例して生じる着弾の「ずれ」も小さくなっています。
 具体的には、B:微小事故によって生じる着弾の「ずれ」が1マスだけとなり、 C:小事故によって生じる「ずれ」も2マスのみとなりました。
 これに伴って徹甲榴弾の直撃率も変わる訳です。




 目標の大きさが排水素トンで4トン以下(エアラフト)の場合はそのまま。
 徹甲榴弾の直撃率は、A:間接射撃の命中率のまま変わりません。

 目標の大きさが4.5トン〜12トン(Gキャリアー)の場合、 A:間接射撃の命中率に、B:微小事故を加えたもの、つまりA+B、です。
 具体的な射撃回数は1.0回〜2.2回で大きな変化はありませんが、僅かながらも表23に命中率が向上しました。

 目標の大きさが12.5トン以上(トレピダ)の場合は、 A:間接射撃の命中率+B:微小事故+C:小事故、=A+B+C、です。
 必要な射撃回数は1.0回〜1.1回ですから、もう、射撃=命中、と言っても良いでしょう。

 榴弾を使用した場合も、命中率は変わりませんでした。



 擲弾筒の命中率が低すぎる問題に対して、 中距離の距離帯(5m〜50m)では「1マス=1.5m」のスケールを用いる、 というハウス・ルールを作って対処することで、上手く解決できたと思います。
 擲弾筒も中距離ならば、それなりに高い命中率を発揮できるでしょう。
 命中すれば擲弾筒は有効な対戦車兵器となり得ます。
 問題は、戦車にどれだけ近づけるか、ということになりそうですが。

 一応、遠距離(50m〜250m)の距離帯についても、このハウス・ルールの適用を試みたのですが、 遠距離は最大で250mの射撃になる可能性がありました。この距離は「1マス=1.5m」のスケールで167マス。 着弾の「ずれ」は最低でも2マスになってしまい、至近弾の恩恵を受けることが滅多にないため、適用を諦めています。




(6)擲弾筒の重量と価格

 ここにも擲弾筒の諸元(重量と価格)を掲載しておきます。
 下記のデータは「ハードタイムズ、p.95」から転載しました。


           表25 擲弾筒の諸元(重量と価格)

BW50_Fig25.gif - 9.49KB

 弾薬の重量と価格は、1発当たりの重量と価格を示しています。
 テックレベル6の使い捨て型対戦車擲弾筒が、余りにも軽くて安過ぎると思いましたが、コメントは止めておきます。


         表26 ライフル擲弾筒の諸元(重量と価格)

BW50_Fig26.gif - 5.47KB

 空欄ばかりですが、「ハードタイムズ、p.95」に記載されていたデータはこれだけでしたから、 必要なデータはレフリーとプレイヤーの間で相談の上、決めて下さい。




(7)CT版傭兵部隊における、擲弾筒の扱い

 「CT版:傭兵部隊」より転載しました。
 命中判定のDMや致傷力といった数字はCTのルールに基づいたものですので、メガトラの参考にする際は軽く読み流してください。


榴弾射出型支援火器

 擲弾筒は中口径の榴弾を射出する兵器で、運動エネルギーによる衝撃でなく、弾頭の爆発力により目標を破壊するものです。

擲弾筒(グレネード・ランチャー):
 可変圧推進機構により、40mm榴弾を500メートル以内の地点に発射します。
 外形は折りたたみ装弾式の散弾銃に似ており、榴弾を1発しか装填できません。
 再装填には1戦闘ラウンドが必要で、
 この間射手は防御姿勢にあるものとみなされます。
 弾は通常の榴弾(HE)です。
 命中判定のDMはロケット補助弾のセミ・オートマチック時(斜線左側)を
 用いてください。
 ただし致傷力は6Dです。
 超々遠距離への射撃は不可能です。

 全長:750mm。
 重量:未装填時3,000グラム(40mm榴弾は200グラム)。
 基本価格:Cr200(榴弾10発入りの弾帯がCr50)。
 テック・レベル7。(注:テック・レベル6〜8で、
  様々な種類の対戦車用擲弾筒やバズーカ砲が入手可能です。)

自動擲弾筒:
 擲弾筒を大型精巧化し、車載型にしたもので、
 40mm榴弾を実用最大発射速度毎分100発で発射します。
 砲塔型、ピントル型の2種があり、砲塔型は200発の榴弾が装填できる給弾庫を
 装備しており、ピントル型では16発入りのドラム(弾倉)を使用します。
 給弾庫への再装填には15〜20分か必要です。
 ドラムの再装填は、一人で操作しているなら3戦闘ラウンド、
 射手の他に専門の装弾手がいるなら1戦闘ラウンドで行なわれます。

 自動擲弾筒は引金を一度しぼるごとに4発の榴弾を発射し、
 1戦闘ラウンドに6回まで引金をしぼることができます。
 4発ごとに目標を変えることが可能です(目標が射撃可能角度内にあれば)。
 射撃可能角度は砲塔型で180度、ピントル型で90度です。
 弾は榴弾(HE)であり、命中判定のDMは40mmロケット補助弾の
 フル・オートマチック時(斜線の右側)のものを使用してください。
 ただし致傷力は6Dです。
 超々遠距離への射撃はできません。

 全長:900mm。
 重量:未装填時6,000グラム
  (40mm榴弾1発は200グラム。16発入りのドラムは1個3,500グラム)。
 基本価格:Cr1,400(砲塔型用の40mm榴弾は20発が1セットでCr100。
   16発入りドラムが1個Cr85)。砲塔型は砲塔設備にCr500。
 テック・レベル7。

多目的ロケット補助弾(ロケット・アシステッド・マルチ=パーパズ・プロジェクタイル、RAMP)擲弾筒:
 ロケット補助弾を使用するため、擲弾筒に比べて
 射程が長く、弾道が低くなっています。
 ロケット補助弾は、RAMP擲弾筒やRAMP自動擲弾筒以外に、
 戦闘ライフルや磁気ライフルから発射することが可能です。
 40mmロケット補助弾は、秒速150〜200メートルの初速で発射され、
 以後推進剤によって秒速500〜600メートルにまで加速されます。
 RAMP擲弾筒は、3発の40mmロケット補助弾が入った弾倉を
 この兵器の上部、握りの後ろに装填します。
 引金を一度しぼると、弾が1発発射されます。
 弾倉の再装填には1戦闘ラウンドが必要で、この間射手は
 防御姿勢をとっているものとみなされます。

 弾には榴弾(HE)、フレチェット弾、徹甲榴弾(HEAP)の三種類があります。
 徹甲榴弾には自動追尾センサーが装備されており、
 複数命中の可能性が高くなっています。
 RAMP擲弾筒には戦闘ライフルと同様の戦闘用電子照準器、
 レーザー距離計が内蔵されています。
 肩かけも標準装備です。
 RAMP擲弾筒およびライフル発射の40mmロケット補助弾の命中判定には、
 40mmロケット補助弾のセミ・オートマチック時のDMを使用します。
 RAMP擲弾筒とライフル発射用の40mmロケット補助弾は、
 性能的には全く同じですが、互換性はありません。

 全長:900mm。
 重量:未装填時4,000グラム(40mmロケット補助弾は1発450グラム。
  3発入り弾倉は1個1,400グラム)。
 基本価格:Cr400(3発入り弾倉ないしライフル用の3発入り弾帯が1個Cr50)。
 テック・レベル8。
 最大射程:1,000メートル。

RAMP自動擲弾筒:
 自動擲弾筒を、40mmロケット補助弾用に改造したもので、
 砲塔型とピントル型の2種があります。
 砲塔型は150発の40mmロケット補助弾が装填できる給弾庫を2個有しており、
 ピントル型では20発入りのドラムを2個装填します。
 いずれの型も異なる2種類の榴弾を使用するのが普通で、
 射手は4発ごとに発射する榴弾の種類を切り換えることが出来ます。
 発射速度、再装填に関しては自動擲弾筒に準じます
 (ピントル型の場合、ドラムが2個装填できますから、
  装弾手がいれば常に射撃を続けることが可能です)。

 全長:900mm。
 重量:未装填時6,500グラム(20発入りドラムが1個9,000グラム)。
 基本価格:Cr2,200(20発入りドラムが1個Cr350)。
  砲塔型は砲塔設備にCr700。
 テック・レベル8。
 最大射程:1,000メートル。


 以上、転載終わり。





結論


 今回も、「戦車の装甲」について考察しました。
 その対象は、レーザー火器エネルギー火器無反動ライフル擲弾筒など、 携帯式の対戦車兵器となっています。



 歩兵が携帯するレーザー火器エネルギー火器に対して、 戦車の装甲装甲値=20があれば十分なようです。
 レーザー火器エネルギー火器は貫通力がまだ不十分ですから、 装甲値=20以上の装甲車輌に対して、有効な対戦車兵器とは成り得ませんでした。



 徹甲榴弾を発射する無反動ライフル重装甲の戦車にも効果を発揮できる数少ない武器なのですが、 本来は中距離か遠距離で使用すべき対戦車兵器でした。
 榴弾を発射するのであれば超遠距離でも遠方でも問題ありませんが、 榴弾装甲値の大きな目標に効かないという欠点があります。
 装甲値の大きな目標に対しては 貫通力の大きな徹甲榴弾を撃ち込まなければならないのですが、 命中率の低さをカバーするためには遠距離まで接近しなければならない、ということが分かりました。



 重装甲の戦車に対して擲弾筒は予想外に非力でした。
 徹甲榴弾の38という貫通力も、装甲値=40に対しては貫通力が足りないのです。
 ダメージ期待値も小さくなってしまいましたから、一撃で戦車を撃破する、といったことは到底望めません。
 命中すれば貫通力以下の目標=軽装甲の戦車に対して有効な対戦車兵器なのですが。

 擲弾筒の命中率が低すぎる問題に対して、 中距離の距離帯(5m〜50m)では「1マス=1.5m」のスケールを用いる、 というハウス・ルールを作って対処することで、上手く解決できたと思います。
 擲弾筒も中距離ならば、それなりに高い命中率を発揮できるでしょう。
 命中すれば擲弾筒は有効な対戦車兵器となり得ます。
 問題は、戦車にどれだけ近づけるか、ということになりました。



 今回も戦車の装甲について考察しましたが、その結果、 携帯式の対戦車兵器では極一部の兵器、 口径=10cm無反動ライフルを除けば、 装甲値=40反重力戦車トレピダに対しては非力である、という結論が出てきました。
 装甲値=20程度の軽装甲車輌に対しては有効なのですが。

 この結論を逆の視点から見ると、 携帯式の対戦車兵器からの防御としては装甲値=40で十分だ、 ということにもなります。
 歩兵相手に万全の防御力を備えたければ、その車輌には装甲値=40を持たせるべきだ、ということですね。
 「反乱軍ソースブック」に掲載されていた装甲兵員輸送車アストリントレピダと同じ装甲値=40を備えている理由は、このあたりかも知れません。



 もうひとつ、携帯式の対戦車兵器は有効射程が短い、という欠点も発覚しました。
 性能諸元としての最大射程は十分に長く、超遠距離や遠方まで届くということとなっていましたが、 実際に命中弾を得られる距離は遠距離まで、武器によっては中距離までに限られてしまいます。
 そのために使い難くなってしまいましたが、携帯式の対戦車兵器ですから当然だとも言えるでしょう。
 超遠距離や遠方で重装甲の戦車を撃破するためには、 大型で強力な対戦車砲を用いるしか方法が無いのです。






2013.07.07 初投稿。