The Best Weapon
58th stage (Air Force 6)
Bombing

最強兵器 決定戦
第58回(空軍6)
爆撃
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MEGA TRAVELLER
 


 

  爆撃砲撃よりくまでき、
          強くてくて高精度


 命中率やダメージ期待値を計算してみれば明らかなことですが、 機関銃といった類の兵器を用いた対地攻撃、機銃掃射(Strafing)は 単独の地上目標、あるいは、数人の歩兵や数台の車輌といった数の地上目標を攻撃する用途にしか使えません。
 数百人、千人規模の歩兵部隊。
 数十輌、数百輌といった戦闘車輌。
 陣地や建物といった大型の地上目標を攻撃する目的には、向いていないのです。

 広範囲での大量殺戮を行いたいのであれば「45回〜51回:砲兵1〜7」で考察した通り、 命中すれば周囲の目標を纏めて吹き飛ばしてしまう大口径の榴弾を用いる方法がベストです。
 しかし、初期の航空機に8cm砲12cm砲を搭載する能力はありません。
 ある程度のテックレベルになれば、榴弾砲を搭載した大型輸送機(ガン・シップ)が出現しますが、 その動きは鈍重で、とても前線を飛び回れるものではありません。
 前線で地上を攻撃するためには、より軽量で効果的な兵器が必要になったのです。



 では、一体どのような兵器を使用するべきなのか?

 その答えが航空爆弾(Aerial bomb)であり、 その爆弾を投下する攻撃方法が爆撃(Bombing)と呼ばれるようになりました。
 砲弾と同じように目標付近で炸裂する航空爆弾は、 機銃掃射よりも遥かに強力であり、現実の戦場でも多用されています。

 今回は、航空機から地上に対して行われる 爆撃(Bombing)について考察してみましょう。

 爆撃に関するルールは、主に「COACC」を参考としました。
 しかし残念ながら「COACC」のルールには幾つもの欠落が存在しますので、それだけでは円滑なプレイが望めません。
 そのため、必要な部分をハウス・ルールで補うこととなりました。



 上の文章で「機銃掃射は数人の歩兵や数台の車輌を攻撃する用途にしか使えません」と書きましたが、 これはローテク時代の兵器、機関銃オート・キャノンに限定されます。
 ハイテク世界となればプラズマ・ガンフュージョン・ガンを搭載した 反重力戦車も利用できるようになりますが、今回の考察はそれより低いテックレベルにおける航空攻撃の手段を模索しているのです。 御了承下さい。




 目次
    ※航空爆弾の性能
    ※爆撃の命中判定−1
       (1)水平爆撃の命中率
       (2)急降下爆撃の命中率
       (3)緩降下爆撃の命中率
       (4)高抵抗爆弾の命中率
       (5)誘導爆弾(スマート爆弾)の命中率
       (6)トス爆撃の命中率
       (7)ロケット弾の命中率
       (8)外れた爆弾の行方
    ※爆撃の命中判定−2
       (1)個別目標への命中判定
       (2)爆撃のダメージ期待値(難易度〈難:11+〉)
       (3)爆撃のダメージ期待値(難易度〈並:7+〉)
       (4)爆撃のダメージ期待値(難易度〈易:3+〉)
    ※爆撃の巻き添え命中
       (1)航空爆弾とロケット弾の貫通力と致傷範囲
       (2)装甲値=4の目標に対する、航空爆弾とロケット弾の貫通力
       (3)装甲値=10の目標に対する、航空爆弾とロケット弾の貫通力
       (4)装甲値=18の目標に対する、航空爆弾とロケット弾の貫通力
    ※爆弾の前方移動
       (1)前方移動量の求め方
       (2)水平爆撃における前方移動量
       (3)急降下爆撃における前方移動量
       (4)緩降下爆撃における前方移動量
       (5)トス爆撃における前方移動量
       (6)前方移動のメリットとデメリット
    ※結論





航空爆弾の性能


 第一次世界大戦において、登場初期の航空機は、小型爆弾と機関銃で地上目標を攻撃していました。
 その小型爆弾が手投げ式、つまり手榴弾(Hand Grenade)だったことは有名な話ですが、 当然、そうした攻撃方法ではなかなか目標には命中しませんし、命中したとしても有効な被害を与えられません。

 そのため、航空爆弾は、より大きく、強力に進化していき、 同時に、その投下方法も発展してきました。
 まずは、航空爆弾の性能について考察してみましょう。



 「COACC」の中から、掲載されている航空爆弾を抜き出して、 それらのデータを2つの表に纏めてみました。


           表1 航空爆弾の性能諸元(通常爆弾)

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 表の左端が武器名で、5種類の通常爆弾を並べました。
 上から順にそれぞれ、50kg、250kg、350kg、500kg、1,000kg(=1ton)の大きさ(重さ)となっています。

 最も初歩的な最小サイズの50kg爆弾は、テックレベル5から利用可能ですが、 他のサイズ、250kg〜1,000kgの通常爆弾は、テックレベル6以上にならないと利用できません。



 その右に書かれている数値は出力(kw)であり、 その武器を使用するために必要な電力を表していますが、 通常爆弾は電力を必要としていませんでした。



 更に右の欄は容積(Little)
 容積の概念は「COACC」のルールに存在していないので、 ルール上、航空爆弾は容積を持ちません。
 それではMTの輸送機器設計ルールと整合が取れませんので、容積が必要な場合は、 その航空爆弾の重量1kg当たり1リットルという数値を用いれば良いでしょう。
 機体内部に爆弾倉を設ける場合は、 航空爆弾の重量1kg当たり2リットルの爆弾倉を用意するという解釈で良いと思います。



 重量(kg)については、ちょっとした問題が見つかりました。
 250kg爆弾500kg爆弾の重量が 「COACC」の中でも数字が揺れているのです。

 まずは250kg爆弾ですが、 COACCのp.59とp.64では200kg爆弾である、と記述されていました。
 その一方、同じ性能(貫通力、ダメージ、致傷範囲)の通常爆弾が、 p.69では250kg爆弾である、と書かれていたりします。
 困ったことですね。
 実際のところ、この爆弾は史実でいうところの500ポンド爆弾だと思われますので、 その重量は227kgになる筈です。200kgと500kgの中間なので、デザイナーの考え(切捨てか切上げかの違い)によって、 200kg爆弾になったり、250kg爆弾になったりするのでしょう。
 私は他の航空爆弾との兼ね合いから、250kg爆弾だと判断しました。
 500kg(=1,000ポンド)爆弾1,000kg(=2,000ポンド)爆弾の存在を考えると、 500ポンド爆弾の重量は250kgが正しいと思えますので。

 次に500kg爆弾ですが、これも COACCのp.59とp.64で450kg爆弾だと記述されていました。
 p.69では500kg爆弾なのですが。
 これも1,000ポンド爆弾の重量が454kgという史実から考えれば 450kg爆弾を選ぶべきなのでしょうが、端数が面倒だと感じたので 私は500kg爆弾の重量を選んでいます。

 この2つの問題を除けば、重量のデータに不自然な点は見つかりませんでした。



 次は価格(Cr)
 これも問題なし。
 後述しますが、これら通常爆弾の価格は、対照できる範囲であれば、 「レフリーズ・マニュアル、pp.76-78」に記載されている 迫撃砲、低初速砲、高初速砲の砲弾(榴弾)の価格と一致していました。



 最後の3つは貫通力/減衰ダメージ致傷範囲です。
 通常爆弾の中身が榴弾(HE)であると考えるならば、 そのデータは迫撃砲、低初速砲、高初速砲の砲弾(榴弾)とほぼ一致していました。
 ですから「COACC」には記載されていませんが、 テックレベルの上昇に伴う貫通力の増加(5を越えるテックレベル2毎に+1)と 致傷範囲の拡大(5を越えるテックレベル3毎に+5)は、適用されるべきだと思います。
 計算が面倒になるので、上記の表では考慮していませんが。

 例えば、50kg爆弾の殺傷力は、口径18cmの砲弾(榴弾)と同じです。
 貫通力ダメージ致傷範囲の全てが一致しました。
 上空から航空機が50kg爆弾を投下するということは、 その場所へ口径18cmの砲弾(榴弾)を撃ち込むということと、同一視できるようです。
 口径18cmの迫撃砲弾(榴弾)は、容積90リットル、重量45kg、価格135crでしたから、 重量(輸送)や価格(コスト)の観点でも、50kg爆弾とほぼ同等だと言えるでしょう。

 次の250kg爆弾の殺傷力は、口径24cmの砲弾(榴弾)と同じでした。
 ですから250kg爆弾による爆撃は、18cm砲弾の砲撃と同一視できそうですが、 実は口径24cmの迫撃砲弾は、容積190リットル、重量95kg、価格285crです。
 通常爆弾の重量が装薬込みの迫撃砲弾より重い、 という事実はちょっと気になりました。価格は同じなのですが。

 その次も、350kg爆弾の殺傷力は口径30cmの砲弾(榴弾)と同じですが、 口径30cmの迫撃砲弾は、容積420リットル、重量210kg、価格720crでした。
 350kg爆弾装薬込みの迫撃砲弾より重い、というデータになっております。
 エラッタも出ていませんし、下手に数字を弄ると収拾がつかなくなりそうなので修正できませんでした。
 納得できませんが、このデータを使い続けるしかないのでしょう。

 500kg爆弾1,000kg爆弾の2つは、 対応するサイズの砲弾(榴弾)が存在しませんでした。 おかげで、このデータ(重量)が適切なのかどうか悩まずに済みますが、信用して良いのか不安なデータではあります。



 最後になりましたが、追加オプションである、 高抵抗爆弾化(high-drag airbrakes)バリュート爆弾化(ballute system)レーザー誘導爆弾化(laser guidance)TV誘導爆弾化(television command guidance)の4つは、 上記5種類の通常爆弾に追加するための装備です。
 それらの装備を追加しても、価格(Cr)が修正されるだけで、 重量他のデータに影響はありません。

 詳しくは後述しますが、高抵抗爆弾は、特殊形状の爆弾です。
 通常爆弾は、早く地上へ到達するように、空気抵抗が小さくなるようにデザインされていますが、 高抵抗爆弾はエアブレーキやパラシュートを取り付けられ、空気抵抗が大きくなるようにデザインされています。
 大きくなった空気抵抗のため命中精度は悪くなってしまいますが、爆弾の落下速度は遅くなります。 航空機が「爆風被害(bomb blast damage)」を免れるための時間的余裕を得られるので、 低空爆撃の際に使用されるとのこと。高度1,500メートル以下で爆撃を行うと、 投下した爆弾の「爆風被害」を受ける可能性があるのです。
 価格の上乗せは100crでした。

 バリュート爆弾はパイロットの判断によって、 高抵抗爆弾としても、通常爆弾としても投下できます。
 バリュート爆弾の尾翼には、 スイッチひとつで膨らむバリュート(気球orパラシュート)が取り付けられているためです。
 価格の上乗せは200cr。

 レーザー誘導爆弾TV誘導爆弾は、所謂スマート爆弾のことです。
 詳細は後述しますが、価格の上乗せは、それぞれ500crと1,000crでした。



 次の表は、ちょっと毛色の変わった航空爆弾のデータです。


           表2 航空爆弾の性能諸元(特殊爆弾)

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 表の左端が武器名ですが、今度は特殊爆弾を並べました。
 上から順にナパーム弾焼夷弾、 対人と対装甲、2種類のクラスター爆弾となっています。

 ナパーム弾焼夷弾はテックレベル6から、 対人クラスター爆弾はテックレベル7から、 対装甲クラスター爆弾はテックレベル8から利用可能でした。



 その右に並ぶ出力(kw)容積(Little)については、表1と同様です。
 特殊爆弾も、電力を必要としていません。
 容積が必要ならば航空爆弾の重量1kg当たり1リットル、 爆弾倉を設ける場合は航空爆弾の重量1kg当たり2リットルの爆弾倉、という数値を用いて下さい。



 重量(kg)は、史実通りのデータとなっているようです。
 ナパーム弾は750ポンド爆弾が一般的なので、その重量が350kg。
 焼夷弾クラスター爆弾は500ポンド爆弾なので、 その重量が250kgとして扱われていました。



 次は価格(Cr)
 ナパーム弾焼夷弾は安価でしたが、 クラスター爆弾は高価でした。
 あまり気楽に使えそうもありません。
 しかし、その致傷範囲の広さを考えるのであれば、 かえってクラスター爆弾は安く済む可能性があるでしょう。



 最後の3つは貫通力/減衰ダメージ致傷範囲ですが、 特殊爆弾は中身が特殊過ぎて、該当する砲弾が見つかりませんでした。

 ナパーム弾貫通力は「10」です。
 ダメージは「40」でしたから、 貫通結果が部分貫通になるだけで人間や動物は即死確定でしょう。
 致傷範囲は少し変わっていて、 水平爆撃の場合で、投下した場合は爆撃した航空機に並行した幅20メートル×長さ100メートルの範囲になっていました。 おまけに、その致傷範囲に存在する目標には自動的に攻撃が命中するそうですから大変です。
 急降下爆撃で投下した場合は幅50メートル×長さ50メートルの範囲に収束していました。
 狙う地上目標の配置によって使い分ける、ということなのでしょう。

 焼夷弾貫通力は「10」で、 そのダメージは「30」です。
 致傷範囲は通常の榴弾と同じような形で、半径30メートルの円でした。 メガトラのルールでは幅60メートル×長さ60メートルの正方形として扱われますが、 命中地点から離れるほど貫通力が小さくなるので、実質的なダメージは狭い範囲にしか及びません。
 この部分が上記のナパーム弾と異なります。

 ナパーム弾は命中精度が低い代わり、広範囲の殲滅に向いており、 焼夷弾は威力が低くても精密爆撃に向いている、という風に使い分けされているそうです。
 「COACC」の説明文によれば焼夷弾は、 焼夷効果を期待するよりも、煙幕を生成したり、目標にマーキングしたりするために用いられているとか。

 クラスター爆弾は、同じ重量の250kg爆弾と比べて、 2倍以上の致傷範囲を備えていました(面積で比較するならば6倍弱)。
 その致傷範囲に存在する全ての目標に対して、 同じ貫通力で個別の命中判定を行う、ということになっています。
 命中地点からの距離(マス数)に従って貫通力が減衰するということもありませんから、 ある意味、理想的な榴弾だと言えるかも知れません。
 その高価な価格に見合った、強力な爆弾なのです。

 類似したデータの貫通力ダメージの砲弾を探してみたところ、 対人クラスター弾に関しては野砲(迫撃砲、低初速砲、高初速砲)で見つからず、 「プレイヤーズ・マニュアル」まで手を広げて、ようやく見つかりました。
 テックレベル9〜10の擲弾筒、徹甲榴弾(HEAP)がぴったり同じデータです。
 この擲弾(HEAP)の重量が1発当たり0.6kgということですから、 1発当たり250kgの重量を持つ対人クラスター弾の中には、 416発(=250÷0.6)の擲弾が詰まっている、という解釈ができそうです。

 その一方、対装甲クラスター弾には 口径6cmの徹甲榴弾(HEAP)が該当しているようでした。
 対装甲クラスター弾のテックレベルは8ですが、 テックレベル9(貫通力+10)の技術で子弾が作られていると考えるのであれば、 貫通力ダメージも一致しています。
 6cm砲弾の重量は6kgですから、重量250kgの対装甲クラスター弾の中には、 6cm砲弾が41発(=250÷6)詰まっている、と解釈できるでしょう。



 ほとんど「オマケ」的な扱いになりますが、 ロケット弾による対地攻撃も爆撃(Bombing)の中に含まれています。
 最後に、ロケット弾のルールも紹介しておきましょう。
 「COACC」におけるロケット弾50kg爆弾より少しだけ小さい通常爆弾のような威力で、 機銃掃射のように手軽に使える兵器なのです。

 ロケット弾のことを評価するためには、まず、その性能を知らなければなりません。
 「COACC」の中から、ロケット弾を抜き出してみました。


             表3 ロケット弾の性能諸元

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 表の左端が武器名です。
 ロケット弾は、その口径2種類、 80mmロケット弾120mmロケット弾が存在していますが、 それぞれが装弾数の異なる2種類のポッドに収められるので、合わせて4種類が並ぶことになりました。
 80mmロケット弾のポッドは、 7連装19連装の2つ。
 120mmロケット弾は、ポッドではなくレールに取り付けられ、 単装3連装の2種類です。

 表に載せるスペースが無くなってしまったので省きましたが、利用可能になるテックレベルは、 単装の120mmロケット弾(HE)だけがテックレベル6から。
 他のロケット弾はテックレベル7からでしら。



 その右に書かれている数値は出力(kw)容積(Little)ですが、 ロケット弾も電力を必要としていません。
 また、容積の概念は「COACC」のルールに存在していないので、 ロケット弾のデータにも容積がありませんでした。
 容積が必要な場合は、ロケット弾の重量1kg当たり1リットルという数値を用いれば良いと思います。



 重量(kg)は表に示した通りですが、やはり不自然な点が幾つか見つかりました。
 例えば、7連装の80mmロケット弾の重量は60kgですが、 19連装の80mmロケット弾は重量が200kgなのです。
 装弾数が3倍弱(正確には2.7倍)なのに、重量が3.3倍になっているのは何故なのでしょう?
 120mmロケット弾についても、単装の重量は60kgでしたが、 3連装は重量が200kgで、3.3倍の重量増加。
 どういう理屈なのでしょうか? 良く分かりません。
 まぁ、考えていはいけないことなのでしょうから、このままの数値を使うことにします。
 それにしても、50kg爆弾×1発に相当する重量で、 80mmロケット弾×7発を搭載できる訳ですから、かなり手軽に使えることは間違いないでしょう。



 次は価格(Cr)ですが、こちらはそれほど不自然でもありませんでした。



 最後の3つは貫通力/減衰ダメージ致傷範囲です。
 ロケット弾に使われている弾種は3種類でした。

 最も一般的だと思われる榴弾(HE)は、 そのデータが迫撃砲、低初速砲、高初速砲の砲弾(榴弾)とほぼ一致しています。
 対応する口径も、80mmロケット弾8cm砲弾(榴弾)120mmロケット弾12cm砲弾(榴弾)となっていました。
 重量的には、同口径の迫撃砲弾を発射している、ということになるようです。

 対人向けのフレチェット弾(Flechette)は、 貫通力ダメージこそ小さいものの、 致傷範囲の広さと手数の多さで勝負すれば、大量殺戮が可能な兵器であることは 「砲兵1:榴散弾」で考察した通りです。
 該当する野砲のフレチェット弾は見つかっておりません。

 最後の弾種、焼夷弾(Incendiary)は、80mmロケット弾だけのものです。
 航空爆弾焼夷弾と同じように、 焼夷効果を期待するよりも、煙幕を生成したり、目標にマーキングしたりするために用いられているようでした。



 次は、爆弾の命中判定について考察してみました。





爆撃の命中判定−1


 航空爆弾の中身、 通常爆弾特殊爆弾に関するデータが明らかとなったので、 今度は、その命中率について考えてみましょう。

 航空爆弾を命中させるための行為判定は、 「COACC」を参考にして以下のようなハウス・ルールを作成しました。

 命中判定は、 明示された目標地域(狙ったマス)に命中させるための行為判定と、 明示された目標地域(狙ったマス)の中で、個別の目標に命中させるための行為判定、 の2段階に別れています。

 まずは、最初の行為判定から。




(1)水平爆撃の命中率

 航空機が地上目標に対して爆撃を行うのであれば、 その航空機は移動の途中で地上目標と同じマスを通過しなければなりません。
 そのマスに進入した時点で、航空機航空爆弾を投下します。
 航空機を管理しているレフリーやプレイヤーは、その時点で1回目の命中判定(行為判定)を行って下さい。

 航空機の移動ポイントがゼロであるか、 垂直上昇/降下等、何らかの事情によってマップ上の移動が無い場合を除き、 移動無しで航空爆弾を投下することは出来ません。
 その戦闘ラウンドに最低でも1マスの移動を行ってから航空爆弾を投下して下さい。
 これは、連続する戦闘ラウンドで2回、同じマスで爆撃を行えないようにするための制限です。

 爆弾を投下する航空機、その戦闘ラウンド、移動を開始した時点から移動を終了するまで、旋回できません。
 これは爆撃の精度を高めるための制限です。
 テックレベルの高い航空機ならば旋回中でも高精度の爆撃が可能になっているかも知れませんが、 私のハウス・ルールでは旋回中の爆弾投下はできないものとして扱います。

 特別に指定しない限り、このマスのスケールは150mである、としました。
 「COACC」のスケールが1マス=500mなので、 150mのスケールを使っても投弾精度が3倍になってしまう訳ですが、許容できる範囲でしょう。
 通常の航空機では有り得ないよう極端な低速、低高度からの爆撃でない限り、 この1回目の行為判定の対象となる明示された目標地域(狙ったマス)のスケールは極力、 150mを用いて下さい。



 航空爆弾明示された目標地域(狙ったマス)に命中させるための行為判定は、 以下の通りです。

>爆弾を、明示された目標地域(狙ったマス)に命中させるために:
> 〈並〉、〈砲術〉、(致命的)
>
>レフリー:
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> ヘッドアップ・ディスプレイを使用していれば+1。
> +前進観測官の〈照準〉技能レベル。
> 爆弾の落下時間が1戦闘ラウンド増える毎に−1。
> ナパーム弾による爆撃であれば1戦闘ラウンド増える毎に−2。
> 
> 投下した爆弾がレーザー誘導爆弾TV誘導爆弾であれば、
> 命中判定は不要で、爆弾はほぼ確実に狙ったマスへ命中します。
> 誘導装置の故障や不慮の事故、妨害等を避けるため、2D6を振って下さい。
> 「2」が出た場合、爆弾は狙ったマスから外れてしまいます。




 あくまで目標地域(狙ったマス)に命中させるための行為判定ですが、その難易度は〈並:7+〉です。
 航空機に搭載されたコンピュータのモデル数がそのまま+DMになりますし、 ヘッドアップ・ディスプレイの使用によるDM+1と前進観測官の〈照準〉技能レベルが加わります。
 航空機の移動速度(移動DM)は影響しないので、かなり命中率は高くなるでしょう。

 マイナスのDMとして働く要素は、爆弾の落下時間で纏めました。
 参考にした「COACC」のルールでは、爆弾を投下した高度によってDMが加減されていましたが、 急降下爆撃や世界によって異なる重力を考えると、不適切な数値になってしまうのです。
 ですから、爆弾の落下時間が1戦闘ラウンド(=6秒以内)ならばDMなし、 2戦闘ラウンド掛かればDM−1、3戦闘ラウンドでDM−2、4戦闘ラウンドでDM−3……という形にしました。
 高抵抗爆弾はエアブレーキの装備によって爆弾の落下時間が長くなりますから、 その命中精度の低さも容易に再現できるでしょう。
 ナパーム弾はその散布パターン故に横風等の影響を受けやすいため 爆弾の落下時間によるDMを2倍にしています。
 具体的には爆弾の落下時間が 2戦闘ラウンドならばDM−2、3戦闘ラウンドならばDM−4、4戦闘ラウンドでDM−6となりました。



 問題となるのは爆弾の落下時間がどれだけなのかという点ですが、ちょっと計算してみました。
 以下は、航空機が水平に飛行しながら爆弾を投下する爆撃方法、 所謂、水平爆撃を行った場合の爆弾の落下時間です。


           表4 航空爆弾の落下時間(水平爆撃)

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 表の左端が爆弾の落下時間です。
 単位は戦闘ラウンド=6秒

 表の上には、世界の重力加速度を並べています。
 具体的には、世界の規模(UWP)G(Gal)m/s2の3つで表していますので、分かり易いものを使って下さい。



 まず、水平爆撃を行う高度(m)を決定して下さい。
 そして、世界の重力加速度を選び、その欄を上から順に見ていきます。
 爆撃を行う高度と同じか、それより大きな数字を見つけたら、その数字の左側を見て下さい。
 それが爆弾の落下時間になります。

 例えば、高度500メートルで水平爆撃を行うと仮定しましょう。
 世界の規模が2であれば、重力加速度は0.25G=2.5m/s2です。
 その高度と同じか、大きな数字は720でした。
 その数字の左を見ると、表の左端には「4」という数字がありますから、 爆弾の落下時間は4戦闘ラウンドだと分かります。
 同様に、世界の規模が4であれば、重力加速度は0.50G=4.9m/s2です。 その高度と同じか大きな数字は780で、 爆弾の落下時間は3戦闘ラウンドになりました。
 世界の規模が6〜Aであれば、 爆弾の落下時間はすべて2戦闘ラウンドです。

 高度3,000メートルで水平爆撃を行うとしたら、規模2の世界で9戦闘ラウンド、 規模4の世界で6戦闘ラウンド、規模6の世界で5戦闘ラウンド、 規模8〜Aの世界で4戦闘ラウンド、となりました。



 実際に、上記の行為判定を使って、水平爆撃の命中率を計算してみました。
 条件は世界の規模が8、重力加速度が1.0G=9.8m/s2の場合です。


              表5 水平爆撃の命中率

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 表の左端が、水平爆撃を行う航空機の高度(m)です。
 その下には、表4から求めた命中DMを並記しました。
 その右側が水平爆撃の命中難易度で、 高度に関係なく〈並:7+〉となっています。

 表の右側は、コンピュータ・レベル+砲術技能レベル+照準技能レベル等の+DMによって変化する、 水平爆撃の命中率です。
 命中に必要な目標値と命中の可能性(%)を並記しました。



 乱暴な結論ですが、爆撃の命中率は条件(高度や+DMの大きさ)によって様々です。

 例えば、高度500メートルで爆撃を行うのであれば、 この高度は対空砲火に撃たれたり、爆風被害を被る可能性が高いのですが、 DMなしの条件でも8+(41.7%)の命中率を得られました。
 DM+4ならば4+(91.7%)、 DM+5以上ならば「致命的失敗」とならない限り、全弾が命中するでしょう。

 高度3,000メートルから爆撃する場合、DMなしの条件だと10+(16.7%)しか命中しません。 投下した爆弾6発の内5発は外れてしまうという計算ですから、勿体無いですね。
 DM+4の条件ならば、この高度でも6+(72.2%)で命中します。 無駄になる爆弾は、投下した4発の内1発のみでした。
 DM+7以上の条件で3+(97.2%)となります。

 高度10,000メートルから爆撃する場合は、DMなしの条件だと遂に1発も命中しなくなりました。 2D6で14+を出さなければなりませんので、どうやっても無理なのです。 市街地に対する無差別爆撃だったら構わないのでしょうが。
 DM+4の条件ですと、命中率は10+(16.7%)でした。 投下した爆弾6発の内5発は外れて、何処か別の場所に被害を出してしまいます。
 DM+8以上の条件で、命中率はようやく6+(72.2%)となりました。
 高高度からの爆撃は、なかなか狙ったマスに命中しないのです。

 後述しますが、誘導爆弾(スマート爆弾)を用いた爆撃は、 常に難易度〈易:3+〉DMなしで命中判定を行う、 というハウス・ルールを作成しました。
 航空機の高度やパイロットの熟練度に左右されず、常に高い命中率を発揮できる誘導爆弾は、 実に有難い兵器だと言えるでしょう。



 爆弾を投下する高度が低ければ低いだけ、爆弾の落下時間は短くなります。
 爆弾の落下時間が短ければ、爆弾の命中率も良くなりますから、 命中率の良い爆撃を行うため、言い換えれば爆弾を無駄にしないため、 爆撃を行う航空機はより低い高度を飛ばなければならないことが明らかになりました。

 反対に、爆弾を投下する高度が高いほど、爆弾の落下時間は長くなります。
 そのため、高い高度からの爆撃は命中率が悪く、多くの爆弾を無駄にしてしまうことになるでしょう。

 誘導爆弾を利用できれば、それらの問題は簡単に解決してしまうのですが、 次項では誘導爆弾を利用できないという想定の元、解決策を考えてみることにします。




(2)急降下爆撃の命中率

 水平爆撃は、高く飛ばないと対空砲火に撃たれてしまう
 しかし、高く飛ぶと爆撃の命中率が悪い
 というジレンマを抱えた爆撃方法です。

 実際に表5で計算した通り、+DMの小さな条件ですと、高度500メートルといった超低空を飛行しなければ水平爆撃は命中を期待できません。
 その高度は、対空砲火に撃たれたり、爆風被害を被ったりと、 色々な問題が生じますから、あまり航空機が飛ぶべき高度ではないのですが。



 そこで考案されたのが、急降下爆撃という爆撃方法。
 目標に対して急降下を行いながら爆弾を投下するのです。

 Wikipedia:急降下爆撃からの引用ですが、

> 水平爆撃の場合、低空飛行で爆撃すると
> 敵の対空砲火などによる攻撃で撃墜されたり、
> 進路が狂って爆撃に失敗する可能性がある。
>
> 高高度から爆撃を行なう場合には、地上などの固定された目標に対しても
> 命中率は高くなく、まして艦船など移動する目標に対しては
> 投弾から着弾までの時間が長くなり目標に退避する時間の余裕を与えるため
> 命中率が極めて低くなるものである。
>
> それに対し、急降下爆撃の場合、降下する機体のベクトルと
> 爆弾の落下するベクトルが近いために命中率を高めることが可能となる。


 ということなのだそうです。

 急降下の前段階では高い高度を飛んでいますから、 超低空爆撃のように対空砲火を恐れる必要がありません。
 もちろん、射程の長い対空砲からは撃たれますが、撃墜されるリスクは低いでしょう。



 同じくWikipediaから転載した、急降下爆撃の説明図です。

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              図6 急降下爆撃の説明図

> 急降下爆撃と水平爆撃の違い。
> 同じ精度で投弾を行っても、急降下爆撃の方が着弾誤差が小さくなる




 このように、急降下爆撃は命中精度を重視した爆撃方法なのですが、 その命中率の良さを再現するため、私のハウス・ルールでは 水平爆撃と同じように爆弾の落下時間をマイナスのDMとして利用しています。

 急降下を行いながら爆弾を投下することによって、 爆弾の落下時間がどれだけ短縮できるのか、以下の2つの表を御覧下さい。


          表7 航空爆弾の落下時間(急降下爆撃1)

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 表の左端が爆弾の落下時間です。
 単位は戦闘ラウンド=6秒

 表の上は、航空機の降下速度です。その範囲は0〜400km/h
 垂直方向の移動速度(=降下速度)を、時速(km/h)と、 15mマス150mマス、2つのスケールのマス数で表しました。

 世界の重力加速度は、 世界の規模が8、重力加速度が1.0G=9.8m/s2です。



 まず、急降下爆撃を行う高度(m)を決定して下さい。
 そして、航空機の降下速度を選び、その欄を上から順に見ていきます。
 爆撃を行う高度と同じか、それより大きな数字を見つけたら、その数字の左側を見て下さい。
 それが爆弾の落下時間になります。

 例えば、高度500メートルで急降下爆撃を行うと想定して下さい。
 航空機の降下速度100km/hであれば、 その高度と同じか大きな数字は1,000でした。
 その数字の左を見ると、表の左端には「2」という数字がありますから、 爆弾の落下時間は2戦闘ラウンドだと分かります。
 ですから、命中判定のマイナスDMは−1のままでした。

 航空機の降下速度200〜400km/hであれば、 爆弾の落下時間は1戦闘ラウンドになり、命中のマイナスDMは無くなります。
 航空機の降下速度=200km/hで該当する欄の数字は450ですが、 メガトラのルール的には500として扱えますので、上記のように考えました。御了承下さい。

 比較のため、左端は降下速度=0、 水平爆撃を行った際の高度を掲載しています。



 航空機の降下速度500〜900km/hになると、 爆弾の落下時間は更に短縮されました。


          表8 航空爆弾の落下時間(急降下爆撃2)

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 表の左端が爆弾の落下時間
 単位は戦闘ラウンド=6秒

 表の上は航空機の降下速度で、範囲は500〜900km/h
 今回も垂直方向の移動速度(=降下速度)を、時速(km/h)と、 15mマス150mマス、2つのスケールのマス数で表しています。

 同様に世界の重力加速度は、 世界の規模が8、重力加速度が1.0G=9.8m/s2。



 航空機の降下速度600km/hになると、 急降下爆撃を行う高度が1,000メートルになっても 爆弾の落下時間は1戦闘ラウンドとなります。
 水平爆撃の場合、1,000メートルからの落下時間は3戦闘ラウンドで、命中のDMは−2でした。
 この「−2」の違いは大きいと思います。
 急降下爆撃は急降下を行いながら爆弾を投下するので、急降下を始める高度は更に高いでしょう。
 この場合、航空機最低でも高度レベル6(=900メートル)を降下しなければなりませんから、 急降下を始めた高度は2,000メートル以上となります。
 対空砲火に対して、より安全を確保できることでしょう。

 「地対空戦闘」に関する考察は未だ手付かずですが、 「COACC」における対空砲火の(垂直方向の)射程は 歩兵用小火器軽対空砲が高度1,000メートルまで。
 中対空砲が高度2,000メートルまで。
 重対空砲が高度10,000メートルまで。
 となっておりました。
 必然的に、地上目標周辺の対空砲火は高度1,000メートル以内が最も濃密であり、 次いで高度1,000〜2,000メートルの範囲、高度2,000〜10,000メートルの範囲と順番に薄くなっているでしょう。
 更に、高度10,000メートルを越えれば対空砲火は存在しません。



 例えば、とある航空機が 高度3,000メートル(=高度レベル20)を移動速度300km/h(=移動ポイント3)で水平飛行していると仮定します。
 この高度まで届く対空砲火重対空砲だけですから、 この航空機は薄い対空砲火にしか狙われません。
 比較的、安全な状態で目標へ接近できる訳です。

 狙うべき地上目標の手前1,200メートル(=8マス)手前で、航空機は急降下を開始します。
 急降下に振り分けた移動ポイントは2ポイント。 1戦闘ラウンド当たり300メートル(=高度レベル2)を200km/hに相当する速度で降下することになりました。
 残る移動ポイントは1つしかありませんが、これは前進に費やします(毎戦闘ラウンド1マスだけの前進です)。

 急降下は8戦闘ラウンド(現実では48秒間)続きます。
 それによって、急降下を始めて4戦闘ラウンドの終了時には目標の手前600メートルで高度1,800メートル(=高度レベル12)、 7戦闘ラウンドの終了時には目標の手前150メートルで高度900メートル(=高度レベル6)、 8戦闘ラウンドの終了時には目標の頭上で高度600メートル(=高度レベル4)に到達しました。
 この瞬間が、爆弾を投下する瞬間となります。
 この降下速度と高度を使って表7を見ると、爆弾の落下時間は2戦闘ラウンドでした。
 爆撃の命中率はマイナスのDMが−1だけですから、かなり高くなる筈です。
 おまけに、中対空砲に撃たれる時間は 爆弾を投下する戦闘ラウンドを含めて5戦闘ラウンドで済むでしょう。
 歩兵用小火器軽対空砲に撃たれる時間は 爆弾を投下する戦闘ラウンドを含めて2戦闘ラウンドだけですから、かなり安全です。

 航空機次の戦闘ラウンドでは急激な引き起こしを掛けて、地表すれすれを水平飛行。
 戦場を離脱することになるでしょう。

 爆撃の直前まで高い高度を飛行しておき、 急降下を行いながら爆弾を投下するという爆撃方法は、 対空砲火を避けながら命中率の高い爆撃を行うという観点からすると、実に適切な爆撃方法だと言えるようです。



 ただし急降下爆撃にも、幾つかの問題が存在していました。
 最も重大な問題は、急降下爆撃急降下を行いながら爆弾を投下するということであり、 航空機がそのまま急降下を続けるのであれば、遅かれ早かれ地面に激突してしまいます。
 激突を避けるため、航空機は水平飛行に移る必要があるでしょう。
 水平飛行の後は、そのまま超低空の水平飛行を続けて戦場を離脱することが一般的ですが、 対空砲火で撃たれるリスクが少ないのであれば上昇による戦場離脱も有り得ます。
 周囲の状況を考えて、そのどちらかを選択して下さい。

 この進路変更(機首上げ)の行為を引き起こしと呼びますが、 引き起こしの最中も航空機の高度は下がり続けています。
 そのため引き起こしはある程度、地表から離れた高さで開始しなければなりません。

 速度○○km/h、降下角度60度で急降下している航空機は、
 高度○○メートル以上で引き起こしを始めなければならない。


 といったようなことになる訳です。



 この引き起こしを始める高度は、その航空機の速度や旋回性能によって様々ですが、 これまでの考察で求めてきた旋回性能等を利用して、メガトラにおける 航空機が引き起こしを始めなければならない高度を計算してみました。
 それが以下の表へ示した数字(高度)となります。


        表9 引き起こしを始めなければならない高度(m)

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 表の左端は航空機の移動速度(km/h)
 表の右側は航空機の降下角度で、これは急降下爆撃の表ですから、 その角度は45度60度75度の3パターンです。

 表の中に示しているのは、航空機の移動速度(移動ポイント)の振り分け方で、 A:Bという書き方をしました。
 前進に費やした移動ポイントが左側の数値Aで、 降下に費やした移動ポイントが右側の数値B。
 その比率が大凡1:1であれば、 その航空機の降下角度45度前後。
 その比率が大凡1:2であれば、 その航空機の降下角度60度前後。
 その比率が大凡1:4であれば、 その航空機の降下角度75度前後。
 と言うことになる訳です。

 とりあえず、急降下の定義は、その航空機が 持っている移動力(移動ポイント)の半分以上を降下に費やすこと、であるとしておきました。
 現実的には、降下角度が45度以上ということになるでしょう。 資料によっては降下角度が60度以上急降下の定義としていることもありますが、 プレイアビリティの観点から私は45度以上を選択しました。

 但し、最低でも1ポイントの移動力は前進に費やして下さい。最低でも1マス(=150メートル)を前進しなければならないということです。
 あまり詳しくないのですが、垂直降下は方向感覚を失いやすい危険な行為なのだそうで、 垂直に降下しながらの急降下爆撃を行うことは困難だとのこと。
 この表の中に示されていない1:91:11の移動ポイント振り分けは、 1マスの前進を行っていても実態が垂直降下に限りなく近いため、実行できないものとしておきます。

 この表を使って調べると、前述した急降下爆撃のサンプル、 移動速度が300km/h(=移動ポイント3)で、前進に振り分けたものが1ポイント、降下が2ポイントの降下パターンは、 降下角度=60度であると判明しました。



 移動ポイント振り分けの下に示した数字は、急降下爆撃の後、 引き起こしに必要な高度です。
 単位はメートル(m)高度レベル(150m)で示しました。

 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度より低い場合、 爆撃を行った航空機は次の戦闘ラウンド、地面に衝突してしまいます。
 衝突を避けるため、その航空機はより高い高度で爆弾を投下しなければなりません。
 安全な高度で投下した場合、 爆弾の落下時間が2戦闘ラウンド以上になってしまう条件を 黄色で表示しました。

 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度と等しい場合、 爆撃を行った航空機は次の戦闘ラウンド、高度0メートルという超低空飛行を行うことになります。
 急降下爆撃によって爆弾の落下時間を1戦闘ラウンドにすることは可能ですが、 それをすると高度0メートルの超低空飛行というリスクを抱えてしまう条件は、赤色で表示しました。
 爆弾の落下時間を2戦闘ラウンドへ増やして良いのであれば、安全な引き起こしが可能になります。

 爆弾を投下する高度引き起こしより大きい場合、 爆撃を行った航空機は次の戦闘ラウンド、高度150メートル以上で水平飛行を行うことができます。リスクはありません。
 その条件を、水色で表示しました。



 急降下爆撃のサンプル、移動ポイント3を1:2に振り分けた降下パターンは、 引き起こしに必要な高度が600メートルでした。
 爆撃を行った航空機は次の戦闘ラウンド、高度0メートルという超低空飛行を行うことになりますから、 3,000メートルで急降下を始め、急降下を8ターン続けて、高度600メートルで爆弾を投下するという爆撃方法は、まだまだ危険だったようです。
 最初の1戦闘ラウンドは降下速度を1ポイントに抑え、2〜8戦闘ラウンドは降下速度を2」ポイントに増やす。 そうすることで、爆弾を投下する高度を750メートルへ持ち上げられるでしょう。
 航空機の降下速度が2ポイント(=200km/h)の場合、 爆弾を投下する高度が1,250メートル以下ならば爆弾の落下時間を2戦闘ラウンドに抑えられますから、 爆撃のマイナスDMは−1のままで、変わりません。



 長々と書いてきましたが、ハウス・ルールがかなり複雑になってきました。
 簡略化の意図を込めて、以下のように整理します。

> 急降下爆撃は、目標に対して
> 急降下を行いながら爆弾を投下する爆撃方法です。
>
> 爆弾を投下する航空機は、移動ポイントの3分の2(=67%)を
> 降下(高度レベルの変更)に費やさなければなりません
> (降下角度=60度を想定)。
>
> ルールを簡易化するため、爆弾の投下は移動終了時に限定されます。
> また、爆弾を投下する高度(高度レベル)は、
> 航空機の降下速度(降下に割り振った移動ポイント)以上が必要です
> (投下後に、地面と衝突することを避けるため)。
>
> 爆弾を投下する高度(高度レベル)が
> 航空機の降下速度(降下に割り振った移動ポイント)+1以下であれば、
> 爆弾の落下時間は1戦闘ラウンドです
> (命中判定のマイナスDMはなし)。
>
> 航空機の降下速度の2倍+2以下であれば、
> 爆弾の落下時間は2戦闘ラウンドです
> (命中判定のマイナスDMは−1)。
>
> 航空機の降下速度の2倍+3以上の高度で、爆弾を投下することはできません。
>
> 爆弾を投下した後の航空機は、投下直後の1戦闘ラウンドも
> 同じ降下速度で降下を続けなければなりません
> (引き起こしに相当します)。
> 爆弾を投下する高度が航空機の降下速度と等しかった場合、
> 引き起こし後の高度は0メートル(高度レベル0)となります。
> 
> 引き起こしが終了した時点で、航空機は水平飛行をしていると見なされます。
> 2戦闘ラウンド以降は、水平飛行を続けても上昇をしても構いません。




 プレイアビリティのため、航空機の降下角度60度に限定しました。
 例えば移動速度が300km/hの場合、移動ポイントは3となりますから、その振り分けは1:2です。
 移動速度が600km/hであれば移動ポイントは6で、振り分けは2:4
 移動速度が1,000km/hであれば移動ポイントは10、振り分けは3:7になります。

 爆弾の投下も、移動途中は禁止。移動終了時のみとしました。
 移動途中で爆弾を投下してしまうと、 爆弾の落下時間引き起こしに必要な高度の計算がとても面倒になるのです。

 爆弾の落下時間も単純に、航空機の降下速度+1で求めるようにしました。
 爆弾を投下する高度が航空機の降下速度+1以下ならば1戦闘ラウンド、 その2倍以下ならば2戦闘ラウンドということになります。
 爆弾の落下時間が3戦闘ラウンド以上となる場合は爆弾を投下する高度が高過ぎて、 急降下爆撃には相応しくありません。

 爆弾を投下した後の航空機は、投下直後の1戦闘ラウンドも同じ降下速度で降下を続けなければならない、 というルールは、航空機の引き起こしを再現したものです。
 メガトラの移動ルールそのままで引き起こしを再現することは困難ですから、 こうしたハウス・ルールでそれっぽさを出すようにしてみました。
 面倒だと思われるのであれば、無視して下さい。



 簡易版の航空機の降下速度早見表は、以下のようになります。
 前述したように航空機の降下角度60度で固定しました。


          表10 急降下爆撃の爆撃高度と命中DM

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 表の左端は航空機の移動速度です。単位はkm/h。

 その右側が150mマスを使った場合の移動ポイント
 移動ポイントの振り分けは、 降下角度60度で固定なので、 その右側に示した通りとなります。
 表8と同じようにA:Bという書き方をしましたが、 前進に使う移動ポイントが左側の数値Aで、 降下に使う移動ポイントが右側の数値Bです。

 表の右側は爆弾を投下する高度
 単位はメートルですが、括弧の中は150mマスを使った場合の高度レベルです。

 数字は3つあって、左端が最低高度
 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度と等しい場合で、 爆撃を行った航空機は次の戦闘ラウンド、高度0メートルという超低空飛行を行わなければならない高度のこと。
 この高度より低い高度で爆弾を投下した場合、航空機は次の戦闘ラウンドで地面に衝突して破壊されるでしょう。

 中央の数字は、爆弾の落下時間が1戦闘ラウンドとなる高度で、 この高度以下で爆弾を投下すれば、命中判定のDMが±0になります。
 もちろん、安全な引き起こしを行うためには、 左に並ぶ最低高度より高い高度で爆弾を投下しなければなりませんが。

 右端の数字は、爆弾の落下時間が2戦闘ラウンドとなる高度で、 この高度以下で爆弾を投下すれば、命中判定のDMが−1になります。



 何度も登場している移動速度=300km/hで飛行している急降下爆撃のサンプルは、 移動ポイントが3ですから、それを1:2に振り分けた降下パターンとなります。

 急降下は、狙うべき地上目標の手前1,200メートル(=8マス)手前、高度3,000メートル(=高度レベル20)から始まり、 戦闘ラウンド毎に150メートル(=1マス)を前進し、300メートル(=高度レベル2)を降下していくことになりました。

 急降下を始めて7戦闘ラウンド目、航空機は目標の手前150メートル(=1マス)、高度900メートル(=高度レベル6)に到達します。
 高度1,000メートル以下は対空砲火が最も激しい高度域ですから、 パイロットは早く爆弾を投下したいと考えましたが、生憎、爆弾を投下する高度は表9より、 移動速度=300km/hの場合で750メートル以下だと決まっていました。
 まだ、高度が高過ぎます。
 パイロットはあと1戦闘ラウンドの間(=6秒間)、対空砲火の中を我慢しなければなりません。

 次の戦闘ラウンド、急降下を始めて8戦闘ラウンド目。
 航空機は目標の頭上(=同じマス)、高度600メートル(=高度レベル4)に到達します。
 表9より、高度750メートル(=高度レベル5)以下の高度ならば命中DM−1で、 高度450メートル(=高度レベル3)以下の高度ならば命中DMなしでの爆撃が可能でした。
 これ以上の我慢ができなくなったパイロットは、DM−1を甘受して、爆弾の投下スイッチを押すことにします。

 爆弾を投下した次の戦闘ラウンド、引き起こしを行った航空機は同じ降下パターンで移動しますが、 目標を1マス通り過ぎた地点、高度300メートル(=高度レベル2)で水平飛行に移ったことになります。
 投下した爆弾は、爆弾の落下時間が2戦闘ラウンドなので、まだ落下中。

 爆弾を投下して2戦闘ラウンド後、航空機は水平飛行(最大速度)で戦場を離脱します。
 高度は300メートル(=高度レベル2)のままですが、すべての移動ポイントを前進に振り向けるので、 目標から更に450メートル(=3マス)、合計で600メートル(=4マス)を離れることができました。
 この時点で投下した爆弾は目標に命中し(外れていたら、近くの地面に着弾して)、被害判定を行うことになるでしょう。
 着弾地点から600メートルしか離れていませんので、 この航空機は「爆風被害」を受ける可能性が高いのですが、 その問題については此処では考慮しません。

 表10を利用した急降下爆撃の手順は、上記のように行って下さい。



 簡単なハウス・ルールを用いたのであれば、 急降下爆撃の命中率は以下のようになります。


             表11 急降下爆撃の命中率

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 表の左端は3種類の数字を並べてありますが、一番上は急降下爆撃を行う航空機の移動速度(km/h)、 次が爆弾を投下する高度(m)、一番下が命中DMです。
 その右側が、急降下爆撃の命中難易度で、 移動速度や高度に関係なく〈並:7+〉のままで一定。

 表の右側は、コンピュータ・レベル+砲術技能レベル+照準技能レベル等の+DMによって変化する、 急降下爆撃の命中率です。
 命中に必要な目標値と命中の可能性(%)を並記しました。



 表の左端に並べた移動速度投下高度は、 数値の計算を省くために書き添えてみたのですが、まだ分かり難いような気がします。
 もっと分かり易い表のデザインを作れたら差し替えるかも知れません。

 御覧の通り、表下端の水平爆撃と比べたら、 急降下爆撃の命中率の高さは一目瞭然でしょう。
 これが急降下爆撃のメリットなのです。



 急降下爆撃は、対空砲火による損害を抑えつつ、 爆撃の命中率を高めることができるという実に有難い爆撃方法である訳ですが、 実は幾つかの欠点も包有していました。

 その内のひとつは、降下速度の制限。
 メガトラや「COACC」の移動ルールでは再現できませんが、 急降下している航空機の移動速度は重力によって加速され、 通常よりも早い速度に達してしまいます。
 そうした場合、航空機は大きな空気抵抗によって機体全体が振動したり、操縦が困難な状況に陥ったりしていました。
 ですから急降下爆撃を行う航空機はあらかじめエンジン出力を絞ったり、 エアブレーキを広げて空気抵抗を大きくしたりした上で、急降下を開始していたのです。
 急降下爆撃は、あまり大きな速度で行うことができません。
 メガトラや「COACC」の移動ルールでは再現できませんが、 史実(リアル)では、それが大きな制約になっていました。

 次の欠点は、引き起こしに必要な高度。
 表10へ示した通り、急降下から水平飛行に移るまで、最低でも300メートル、最大で1,200メートルの降下が必要ですから、 当然ながら、爆弾を投下する高度はそれ以上の高度が必要となります。
 この高度が意外と馬鹿になりません。
 表9と表10の引き起こしに必要な高度は、 航空機が8G〜10Gの急激な引き起こし(=急旋回)を行えることが前提となっている数字ですが、 航空機にそれだけの機体強度を持たせるのは大変なことなのです。

 航空機が急激な引き起こしに耐えられず、緩やかな引き起こししかできない場合、 表10の最低高度を2倍にして下さい。
 安全な急降下爆撃は命中DM−1の欄、上限ぎりぎりでしか行えないようになります。
 蛇足ですが、エアラフトのような反重力型輸送機器が急降下爆撃を行う場合も、 上記と同じように表10の最低高度を2倍にして下さい。

 他にも、急降下爆撃は爆弾の撃速が遅くなり、 対装甲目標を狙った場合に装甲貫通力が小さくなってしまうとかいう欠点も存在するのですが、 これもメガトラや「COACC」の戦闘ルールでは再現できないため、考察は省略しました。

 さて、上記の欠点を克服するにはどうしたら良いのでしょう?




(3)緩降下爆撃の命中率

 これらの欠点は、第二次世界大戦の後期に登場した緩降下爆撃という 新たな爆撃方法によって解決されました。

 緩降下爆撃急降下爆撃と異なって、 目標に対して緩やかな降下を行いながら爆弾を投下する、爆撃方法です。
 緩やかな降下というのは、具体的には15〜45度の角度で行われる降下のことを指すようです。 某文献には、45度より浅いものが緩降下爆撃である、と書いてありました。

 緩降下爆撃のメリットですが、
 降下角度が浅いため、引き起こしに必要な高度が少なくて済む=より低い高度で爆弾を投下できる。
 低い高度で爆弾を投下するため、その命中精度がより高くなる。
 ということなのだそうです。

 当時、低速しか出せなかった航空機(爆撃機)が徐々に高速化してきたため、 わざわざ急降下しなくても短時間で目標へ接近できるようになったということも、 緩降下爆撃急降下爆撃に取って替わった要因のひとつなのでしょう。
 後でサンプルとしても説明しますが、 移動速度=300km/hの航空機が降下角度=60度急降下爆撃を行った場合、 その降下速度は戦闘ラウンド当たり2高度レベル(=200km/h相当)です。
 それに対して、移動速度=600km/hの航空機が降下角度=30度緩降下爆撃を行った場合も、 降下速度は戦闘ラウンド当たり2高度レベル(=200km/h相当)ですから、 両者の降下速度は全く等しくなる訳でした。

 急降下爆撃と同じように緩降下爆撃であっても、 緩降下の前段階では高い高度を飛んでいます。
 それほど対空砲火を恐れる必要はありません。

 緩降下爆撃は、高速を出せる航空機に向いた爆撃方法なのです。



        表12 引き起こしを始めなければならない高度(m)

BW58_Fig12.gif - 14.2KB

 表の左端は航空機の移動速度(km/h)
 表の右側は航空機の降下角度で、これは緩降下爆撃の表ですから、 その角度は15度30度45度の3パターンとなりました。

 表の中に示しているのは、表9と同じように航空機の移動速度(移動ポイント)の振り分け方で、 A:Bという書き方をしています。
 前進に費やした移動ポイントが左側の数値Aで、 降下に費やした移動ポイントが右側の数値B。
 その比率が大凡4:1であれば、 その航空機の降下角度15度前後。
 その比率が大凡2:1であれば、 その航空機の降下角度30度前後。
 その比率が大凡1:1であれば、 その航空機の降下角度45度前後、という具合。

 緩降下の定義は、その航空機が 持っている移動力(移動ポイント)の半分以下(最低でも1ポイント)を降下に費やすこと、にします。
 現実的には降下角度が15度〜45度の範囲です。
 但し、降下角度があまりにも浅すぎる場合は、 1レベルの降下を行っていても引き起こし不要の水平爆撃として扱うことにしました。
 具体的には、移動ポイントの振り分けが9:1と11:1の場合ですが、 この2つの降下パターンは緩降下爆撃として認められません。
 表の中に記されていない、7:18:18:210:2は、降下角度=15度
 同じく8:4は、降下角度=30度、として扱って下さい。



 移動ポイント振り分けの下に示した数字は、緩降下爆撃の後、 引き起こしに必要な高度。 単位はメートル(m)高度レベル(150m)です。

 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度より低い場合、 爆撃を行った航空機は次の戦闘ラウンド、地面に衝突してしまいます。
 衝突を避けるため、その航空機はより高い高度で爆弾を投下しなければなりませんが、 緩降下爆撃の場合、それはずいぶんと小さな数字(低い高度)となりました。

 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度より小さい場合、 爆弾の落下時間が2戦闘ラウンド以上にしなければならない条件を黄色で、
 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度と等しい場合を赤色で、
 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度より大きい場合、水色で示しました。



 緩降下爆撃についても、簡略化したハウス・ルールを用意しました。
 その内容は、以下の通りです。

> 緩降下爆撃は、目標に対して
> 緩降下を行いながら爆弾を投下する爆撃方法です。
>
> 爆弾を投下する航空機は、移動ポイントの3分の1(=33%)を
> 降下(高度レベルの変更)に費やさなければなりません
> (降下角度=30度を想定)。
>
> ルールを簡易化するため、爆弾の投下は移動終了時に限定されます。
> また、爆弾を投下する高度(高度レベル)は、
> 航空機の降下速度(降下に割り振った移動ポイント)の半分以上が必要
> (投下後に、地面と衝突することを避けるため)。
>
> 爆弾を投下する高度(高度レベル)が
> 航空機の降下速度(降下に割り振った移動ポイント)以下であれば、
> 爆弾の落下時間は1戦闘ラウンドです
> (命中判定のマイナスDMはなし)。
>
> 航空機の降下速度の2倍以下であれば、
> 爆弾の落下時間は2戦闘ラウンドです
> (命中判定のマイナスDMは−1)。
>
> 航空機の降下速度の2倍を超える高度で、爆弾を投下することはできません。
>
> 爆弾を投下した後の航空機は、投下直後の1戦闘ラウンドだけ
> これまでの半分の降下速度で降下を続けなければなりません
> (引き起こしに相当します)。
> 
> 引き起こしが終了した時点で、航空機は水平飛行をしていると見なされます。
> 2戦闘ラウンド以降は、水平飛行を続けても上昇をしても構いません。




 今回は航空機の降下角度30度で限定しました。
 例えば移動速度が300km/hの場合、移動ポイントは3で、振り分けは2:1です。
 移動速度が600km/hであれば移動ポイントは6で、振り分けは4:2
 移動速度が1,000km/hであれば移動ポイントは10、振り分けは7:3となります。

 爆弾の投下も、移動途中は禁止。移動終了時のみとしました。

 爆弾の落下時間も単純に航空機の降下速度で求めています。
 爆弾を投下する高度が航空機の降下速度以下ならば1戦闘ラウンド、 その2倍以下ならば2戦闘ラウンドになりました。

 爆弾を投下した後の航空機は、投下直後の1戦闘ラウンドもこれまでの半分の降下速度で降下を続けなければならない、 というルールは、航空機の引き起こしを再現したものです。
 面倒だと思われるのであれば、無視して下さい。



 簡易版の航空機の降下速度早見表は、以下のようになります。
 前述したように航空機の降下角度30度で固定しました。


          表13 急降下爆撃の爆撃高度と命中DM

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 表の左端は航空機の移動速度です。単位はkm/h。

 その右側が150mマスを使った場合の移動ポイント
 移動ポイントの振り分けは、 降下角度30度で固定なので、 その右側に示した通りとなります。

 表の右側は爆弾を投下する高度
 単位はメートルですが、括弧の中は150mマスを使った場合の高度レベルです。

 数字は3つあって、左端が最低高度
 爆弾を投下する高度引き起こしに必要な高度と等しい場合で、 爆撃を行った航空機は次の戦闘ラウンド、高度0メートルという超低空飛行を行わなければならない高度のことです。
 緩降下爆撃の場合はその数字が一挙に小さくなりました。
 具体的には、航空機の降下速度の半分として求めてあります。
 緩降下爆撃を行った航空機が地面に衝突するリスクは、あまり気にしなくても良いでしょう。

 中央の数字は、爆弾の落下時間が1戦闘ラウンドとなる高度で、 この高度以下で爆弾を投下すれば、命中判定のDMがなしとなります。
 言うまでもなく、安全な引き起こしを行うためには、 左に並ぶ最低高度より高い高度で爆弾を投下しなければなりませんが、 急降下爆撃と比べてずいぶんと低い高度で投下していることが明らかでしょう。

 右端の数字は、爆弾の落下時間が2戦闘ラウンドとなる高度で、 この高度以下で爆弾を投下した場合は、命中判定のDMが−1です。



 緩降下爆撃は、高速を出せる航空機に向いた爆撃方法ですから、 緩降下爆撃のサンプルも速い移動速度、600km/hで考えてみました。
 移動速度=600km/hで飛行している緩降下爆撃は、 その移動ポイントが6になり、その振り分け方は4:2となります。
 降下速度だけに注目するのであれば、 移動速度=300km/h急降下爆撃と同じでしたね。

 緩降下は、狙うべき地上目標の手前5,400メートル(=36マス)手前、高度3,000メートル(=高度レベル20)から始まります。
 急降下爆撃と比べて、ずいぶんと遠くから降下が始まることにお気付きでしょうか?
 現実ならば、この緩降下によって航空機の移動速度は水平飛行よりも早くなり、目標へより早く到達できることになるのですが、 メガトラや「COACC」のルールで再現できないことが残念です。
 前進に費やされる移動ポイントは4ですから、毎戦闘ラウンド当たり600メートル(=4マス)の前進となりました。
 降下速度は移動ポイント2が振り分けられていますので、 毎戦闘ラウンド当たり300メートル(=高度レベル2)を降下していきます。

 緩降下を始めて7戦闘ラウンド目、航空機は目標の手前1,200メートル(=8マス)、高度900メートル(=高度レベル6)に到達します。
 高度1,000メートル以下は対空砲火が最も激しい高度域ですから、 パイロットは早く爆弾を投下したいと考えるでしょうが、爆弾を投下する高度は表12より、 移動速度=600km/hの場合で650メートル以下だと決まっていました。
 まだ、爆弾を投下することはできません。
 パイロットは少なくとも1戦闘ラウンドの間(=6秒間)、対空砲火の中を我慢しなければならないのです。

 次の戦闘ラウンドは、緩降下を始めて8戦闘ラウンド目です。
 航空機は目標の手前600メートル(=4マス)、高度600メートル(=高度レベル4)に到達しました。
 この高度ならば、命中DM−1の条件で爆弾を投下することが可能です。
 しかしパイロットは貴重な爆弾を確実に命中させるため、更に1戦闘ラウンドを耐えることにしました。

 緩降下を始めて9戦闘ラウンド目。
 遂に航空機は目標の頭上(=同じマス)、高度300メートル(=高度レベル2)に到達しました。
 表12より、高度300メートル以下ならば命中DMなしで爆弾を投下することができるのです。
 パイロットは大喜びで爆弾の投下スイッチを押しました。

 爆弾を投下した次の戦闘ラウンド、引き起こしを行った航空機は、 これまでの半分の降下速度で降下を続けなければなりません。
 緩降下の降下速度は毎戦闘ラウンド当たり300メートル(=高度レベル2)でしたから、 その半分は150メートル(=高度レベル1)になります。
 この戦闘ラウンド、航空機は移動ポイント1を費やして300メートルを降下。 残り5ポイントを前進に費やして、目標のマスから750メートル(=5マス)離れることができました。
 この時点で、投下した爆弾は目標に命中します。

 表13を利用した緩降下爆撃の手順は、上記のようになりました。



 急降下爆撃の命中率は以下のようになります。


             表14 緩降下爆撃の命中率

BW58_Fig14.gif - 19.4KB

 表の左端は3種類の数字を並べてありますが、一番上は緩降下爆撃を行う航空機の移動速度(km/h)、 次が爆弾を投下する高度(m)、一番下が命中DMです。
 その右側が、緩降下爆撃の命中難易度で、 移動速度や高度に関係なく〈並:7+〉のままで一定。

 表の右側は、コンピュータ・レベル+砲術技能レベル+照準技能レベル等の+DMによって変化する、 急降下爆撃の命中率です。
 命中に必要な目標値と命中の可能性(%)を並記しました。



 表の左端に並べた移動速度投下高度は、 数値の計算を省くために書き添えてみたのですが、まだ分かり難いような気がします。
 もっと分かり易い表のデザインを作れたら差し替えるかも知れません。

 御覧の通り、表下端の水平爆撃と比べれば明らかですが、 急降下爆撃と同じように、緩降下爆撃は爆撃の命中率が高いのです。
 急降下爆撃緩降下爆撃のどちらがより有効か、 と言う問題については、対空砲火のリスクを計算しない限り、何とも言えませんが。




(4)高抵抗爆弾の命中率

 高抵抗爆弾について説明するためには、 それより先に「爆風被害(bomb blast damage)」のことを論ずる必要があるでしょう。



 「COACC」における「爆風被害」のルールは、以下の通りです。

> もし低抵抗爆弾を高度1,500メートル以下で投下するのであれば、
> 以下の行為判定を行って下さい。
>
>航空機が爆風被害を免れるために:
> 〈並〉、(致命的)
>
>レフリー:
> 航空機が「大きな損害」を被ったのであれば、航空機は基地に帰れません。
> パイロットと乗組員は脱出する必要が有ります。
>
> 航空機が「重大な損害」のダメージを被ったのであれば、
> 航空機は即座に破壊され、乗組員は脱出できません。




 上記文章の中の低抵抗爆弾とは、表1で示した通常型爆弾のことです。

 「COACC」の爆撃ルールはかなり簡略化されているので、 爆弾は投下と同時に地表へ瞬間移動して、地表で爆発する、という流れになっておりました。
 ですから、投下後に航空機がどれだけの距離を水平移動するか(離れているか)に関係なく、 高度1,500メートル以下、という表現をせざるを得ないのでしょう。
 かなり不自然なルールですが、プレイアビリティのためには仕方ないことだと思われます。

 私の作ったハウス・ルールですと、爆撃を行った航空機はそのまま移動してしまい、 爆弾が目標に命中した瞬間には、最低でも1戦闘ラウンド分は目標のマスから離れていることになってしまいます。
 このルールをそのまま流用することはできませんから、爆弾が目標に命中した時点で、 高度1,500メートル(=高度レベル10)以内、水平距離で3,000メートル(=20マス)以内を飛行している場合にのみ、 「爆風被害」を受けることにしましょう。
 1,500メートル以下で爆撃を行った場合、安全な距離まで離脱することは普通の航空機にはできません。
 また、ロケット弾は破壊力が小さいので、 高度150メートル(=高度レベル1)以内、水平距離で300メートル(=2マス)以内を飛行している場合に、 「爆風被害」を受けることとしました。

 それはともかく、高度1,500メートル以下で爆撃を行った航空機は、 「爆風被害」を免れるため、 〈並:7+〉の行為判定に成功しなければならない、とのこと。
 致命的な行為判定で、DMなしという条件ですから、サイコロ(2D6)で「3〜6」が出たら失敗になるので事故表で2D6を、 「2」が出たら致命的失敗なので事故表で3D6を振る、ということになるでしょう。

 事故表については、55回「空軍3:羽ばたき機とホバークラフト」でも考察しましたが、 事故表で振るサイコロが2D6であった場合(行為判定のサイコロが「3〜6」だった場合=38.9%)は、 「大きな損害(Major damage)」を受ける確率が8.6%あるだけです。
 それほど気になる確率ではありませんでした。
 上記の行為判定で「3〜6」の目が出たとしても、大きなダメージを受ける可能性は低い筈です。
 問題は、事故表で振るサイコロが3D6になった場合(行為判定のサイコロが「2」だった場合=2.8%)で、 「大きな損害」を受ける確率が40.7%、 「重大な損害(Destroyed)」を受ける確率が9.3%も存在していました。

 行為判定に成功する確率、失敗する確率、致命的失敗を出してしまう確率。
 それらを含めて「大きな損害」と「重大な損害」を受ける確率を纏めてみたところ、 以下のような結果が出ています。


           表15 爆風被害で損害を受ける確率

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 御覧の通りでした。

 多くの場合、行為判定には成功して、何の損害も負わずに済みます。
 その確率は58.3%ですから、爆撃を行った航空機の5分の3は「損害なし」ということになるでしょう。

 サイコロの目が「3〜6」、通常の失敗だった場合は前述の通り、 「大きな損害」を受ける確率が8.6%でした。
 失敗になる確率の38.9%を掛け合わせると、3.3%にしかなりませんが。

 サイコロの目で「2」が出て、致命的失敗になってしまった場合は、 「大きな損害」を受ける確率が40.7%、 「重大な損害」を受ける確率が9.3%も存在していました。
 致命的失敗となる確率の2.8%を掛け合わせると、それぞれ1.1%と0.3%ですが、意外と馬鹿にできません。

 上記の合計を求めたところ、「損害なし」となる確率は58.3%、 「微小な損害(Superficial)」となる確率は15.8%、 「小さな損害(Minor damage)」となる確率は21.1%、 「大きな損害」が4.5%、「重大な損害」が0.3%でした。

 具体的なダメージがルールに記載されていない 「微小な損害」と「小さな損害」については棚上げしておきますが、 「大きな損害」となる確率が4.5%という点は見逃せません。
 高度1,500メートル以下で爆弾を投下した航空機は、4.5%(23回の内1回)という高確率で飛行不能の損傷を受けてしまうのです。
 「重大な損害」を受ける確率の0.3%も、389回の内1回という数字に置き換えができました。

 大したことがないと思っていた「爆風被害」ですが、 ルール的には結構、深刻な問題を引き起こしていたようです。
 史実での被害が深刻だからこそ、こういったルールが「COACC」にも用意されていたのでしょうが、 これでは急降下爆撃緩降下爆撃も、 高度1,500メートル以下での水平爆撃も、危なっかしくて実行できません。

 致傷範囲が小さい50kgの通常型爆弾 高度500メートル(水平距離1,000メートル)までしか「爆風被害」を受けないとか 何らかの救済措置が欲しいところですが、そんな都合の良いルールは「COACC」に存在しませんでした。
 別の方法で「爆風被害」を免れられるようにしなければなりません。



 と言う訳で、高抵抗爆弾の出番です。
 表1の中から高抵抗爆弾として使える2つの追加オプションを抜き出してみました。


          表16 航空爆弾の性能諸元(高抵抗爆弾)

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 表の左端が武器名で、2種類の追加オプションを並べました。
 様々なサイズ(重量)の通常爆弾特殊爆弾は、 上記の追加オプションを取り付けることで、 高抵抗爆弾として利用できるようになるのです。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)貫通力/減衰ダメージ致傷範囲のデータは存在しません。

 有意なデータは価格(Cr)だけでした。
 高抵抗爆弾は+100cr、バリュート爆弾は+200crの上乗せです。



 表1でも説明しましたが、高抵抗爆弾は、特殊な形状の爆弾です。
 エアブレーキやパラシュートを取り付けられ、空気抵抗が大きくなるようにデザインされていますから、 大きくなった空気抵抗のため、爆弾の落下速度は遅くなりました。
 爆弾を投下した航空機はその時間を使って、「爆風被害」を受ける範囲から離脱することができるでしょう。 命中精度の悪化と引き換えに。

 バリュート爆弾は、パイロットの判断によって、 高抵抗爆弾としても、通常爆弾としても投下できました。
 バリュート爆弾の尾翼には、 スイッチひとつで膨らむバリュート(気球orパラシュート)が取り付けられているのです。



 さて、ここで改めて爆弾の落下時間について考え直すことにしましょう。

 1,500メートル以下で爆弾を投下すると「爆風被害」を受けてしまう。
 これは「COACC」の公式ルールですが、 私のハウス・ルールでは、水平方向に3,000メートル以内という基準を追加しました。
 爆弾の落下時間は、爆弾を投下した航空機が水平方向の移動(前進)で、 3,000メートル(=20マス)を移動できるだけの時間を必要とする訳です。
  3,000メートル(=20マス)の移動に必要な時間を計算すると、 速度6(=600km/h)ならば4戦闘ラウンド、速度4(=400km/h)ならば6戦闘ラウンド、という数字が出てきました。
 果たして高抵抗爆弾は、離脱に必要な時間を稼ぐことができるのでしょうか?



 高抵抗爆弾について、 その落下時間を幾つかのパターンで計算し、以下の表へまとめてみました。


            表17 高抵抗爆弾の落下時間

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 表の左端が爆弾の落下時間です。
 単位は戦闘ラウンド=6秒

 表の上には爆弾の種類を並べました。
 左から順に通常爆弾高抵抗爆弾です。
 そして高抵抗爆弾は更に、 エアブレーキ2エアブレーキ1パラシュートとして区別しました。

 高抵抗爆弾の落下時間ですが、 とある文献でパラシュートを付けた照明弾は毎秒10メートルの速度で落下するという記述を見つけました。
 ですからパラシュート付きの高抵抗爆弾も同じような速度で落下するだろうと考え、 落下速度を毎秒10メートル、戦闘ラウンド(6秒)当たり60メートル、であると想定しています。
 メガトラのスケールは1マス=150mですから、それに合わせて速度を25%増やしました。
 落下速度は戦闘ラウンド当たり75メートル、150mマスのスケールで0.5マスということになります。
 これが、右端のパラシュートと書いてある高抵抗爆弾の落下時間

 その落下時間が遅すぎると感じる場合もあると考え、Mk82.スネークアイのような エアブレーキ付きの高抵抗爆弾をイメージした落下時間が、 エアブレーキ2エアブレーキ1の欄に示した 高抵抗爆弾の落下時間です。
 エアブレーキ1は降下速度が毎戦闘ラウンド当たり150メートル(高度レベル1)、 エアブレーキ2は300メートル(高度レベル2)という想定。
 具体的な数字が見つからなかったので、2つの落下速度を仮定して、色々と考察してみた訳です。
 レフリーは周囲の状況から、その高抵抗爆弾がどのタイプのものであるかを前もって決めておいて下さい。
 それによって、プレイヤー(パイロット)の選べる選択肢が制限され、より面白いプレイができると思います。



 爆弾の落下時間を求めるのであれば、 まず爆弾を投下する高度(m)を決めて下さい。
 投下する爆弾の種類を探して、その欄を上から順に見ていきます。
 爆弾を投下する高度と同じか、それより大きな数字を見つけたら、その数字の左側を見て下さい。
 それが爆弾の落下時間になりました。

 例えば同じ高度500メートルで水平爆撃を行う場合であっても、 爆弾の落下時間爆弾の種類によって大きく変化するように設定しました。

 投下する爆弾が通常爆弾であるならば、 高度500メートルに該当する欄は750ですから、 爆弾の落下時間は2戦闘ラウンドです。
 投下する爆弾が高抵抗爆弾エアブレーキ2ならば、 高度500メートルに該当する欄は同じ750ですが、 欄がひとつ下がっているので爆弾の落下時間は3戦闘ラウンドです。
 投下する爆弾がエアブレーキ1ならば、 高度500メートルに該当する欄は600で、爆弾の落下時間は4戦闘ラウンド。
 投下する爆弾がパラシュートならば、 高度500メートルに該当する欄は525で、爆弾の落下時間は7戦闘ラウンドです。



 この数字、爆弾の落下時間だけを見ても分かり難いので、 「爆風被害」を免れるために必要な高度と速度の関係を表に纏めてみました。


         表18 爆風被害を免れる、高度と速度の関係

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 表の左半分は、投下する爆弾の種類で、 その下の数字は爆弾を投下する高度
 表の右半分は、その爆弾の種類投下する高度から決まる、 「爆風被害」を免れるために必要な、航空機の移動速度です。



 例えば、高度150メートル以下で通常爆弾を投下すると、 爆弾の落下時間は1戦闘ラウンドです。
 爆弾を投下したした航空機が「爆風被害」を免れようとするのであれば、 爆弾が命中して爆発する次の戦闘ラウンドまでに3,000メートル以上を移動して、 「爆風被害」の被害範囲から離脱しなければなりません。
 1戦闘ラウンド(=6秒間)に3,000メートルの移動ですから、その航空機は2,100km/h以上の速度で移動することになります。
 2,100km/hといえば音速の1.7倍。
 かなり無茶な話ではないでしょうか。

 150メートルよりも高い高度、例えば750メートル以下で通常爆弾を投下するのであれば、 爆弾の落下時間は2戦闘ラウンドになりました。
 航空機の移動時間が2倍になりますから、移動速度は半分で済みます。
 「爆風被害」の被害範囲から離脱するために必要な移動速度は1,100km/h。
 超低空を飛行するには、まだ厳しい速度だと思われます。

 750メートルよりも高い高度、1,500メートル以下で通常爆弾を投下する場合は、 爆弾の落下時間は3戦闘ラウンド。
 航空機の移動時間が3倍になって、離脱に必要な移動速度は700km/h。
 このあたりから、ようやく実用的な速度になってきたのではないでしょうか。

 1,500メートルよりも高い高度で通常爆弾を投下するのであれば、移動速度がどうであれ、 極端な場合は空中静止していても、「爆風被害」を免れました。
 移動速度について悩む必要はありません。

 通常爆弾を高度1,500メートル以下で投下する場合、 その航空機が「爆風被害」を免れることは、かなり難しいと言えるようです。



 ここで高抵抗爆弾の出番となりました。
 通常爆弾に関連して、離脱に必要な移動速度が700km/hならば実用的だと言いましたが、 投下する爆弾が高抵抗爆弾ならば、投下する高度はもっと低く、 離脱に必要な移動速度をもっと遅くできるのです。

 高度500メートルでエアブレーキ2高抵抗爆弾を投下する場合、 爆弾の落下時間は3戦闘ラウンドで、離脱に必要な移動速度は700km/hでした。
 エアブレーキ1高抵抗爆弾を投下するならば、 爆弾の落下時間は4戦闘ラウンドで、離脱に必要な移動速度は600km/hです。 少し遅くなりました。
 パラシュート高抵抗爆弾を投下するならば、 爆弾の落下時間は7戦闘ラウンド。  離脱に必要な移動速度は300km/hですから、離脱に必要な時間は十分あるでしょう。



 高抵抗爆弾という存在が 「爆風被害」を免れるために有効な兵器であることは、上記の通り、明らかです。
 だからこそ、高抵抗爆弾が開発され、改良され、生産された訳なのですが、 不幸なことに、高抵抗爆弾が主役になることもありませんでした。

 低空まで降りなくても高い命中率を発揮できる爆弾、誘導爆弾が登場したのです。




(5)誘導爆弾(スマート爆弾)の命中率

 誘導爆弾とは、

> 投下されると動翼などによって滑空しながら落下しつつ、
> 決められた目標へ自ら軌道修正していく爆弾


 のことです(再びWikipediaから抜粋)。
 自ら軌道修正を行うといっても完全な自立誘導は困難であり、実際には 前進観測官や砲手がレーザー照準指示器やTV誘導装置を使って目標への誘導を行うこととなりました。



 「COACC」では、2つの誘導方式が定義されています。

 ひとつは、レーザー誘導(laser guidance)
 パイロットか前進観測官が目標に向けて、レーザーを照射。
 その反射光に向かって爆弾が向かっていく、という方式です。
 誘導システムの構造が単純で済むのですが、爆弾の誘導中はレーザー光の照射を続けなければならないことが弱点となるでしょう。

 例えば、レーザーを照射している航空機や前進観測官は 爆弾が誘導が終わるまで(爆弾が目標に命中するまで)、敵に狙われる可能性があります。
 レーザー誘導方式の爆弾やミサイルを回避する手段として、レーザーの照射元を叩き潰すことは基本的な戦術ですから、 何処の国の軍隊でも、レーザーの照射を探知したら、即座にレーザーの照射元へ砲弾を撃ち込むことでしょう。
 メガトラの輸送機器設計ルールでも説明されているように、 レーザー探知機受動EMSを装備していれば、 自機に向けられたレーザーの照射を感知し、その照射元を突き止めることは容易なのです。
 反撃が出来なくても、自機を対レーザー・ガス乱反射ガスで包み込み、 爆弾の誘導を妨害することが出来るかも知れません。
 とにかく、色々と妨害を受けやすい誘導方式なのです。

 もうひとつは、TV誘導(television command guidance)
 投下する爆弾の先端にテレビカメラが取り付けられており、パイロット(砲手)はコックピットの中でその映像を見ながら、 ジョイスティック式の遠隔操縦装置を操作することで、爆弾を誘導することが出来ます。
 爆弾と遠隔操縦装置の間がどのようにして結ばれているのか詳しい情報はありませんが、恐らく無線通信が使われているのでしょう。
 無線通信だとすると、電波妨害装置の影響を受ける可能性があります。
 また、テレビ画面を見ながら遠隔操縦している都合上、投下される爆弾1発毎に1人の砲手が必要です。 同時に複数の爆弾を投下し、誘導することはできません。そういった点では不便な誘導方式だと言えます。
 その代り、TV誘導爆弾に狙われている目標は、自分が狙われていることを感知できません。
 落下してくる爆弾を目撃しない限り、目標が 対レーザー・ガス乱反射ガスを展開することもないでしょう。



 表1の中から誘導爆弾として使える2つの追加オプションを抜き出してみました。


           表19 航空爆弾の性能諸元(誘導爆弾)

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 表の左端が武器名ですが、今回も2種類の追加オプションを並べています。
 様々なサイズ(重量)の通常爆弾特殊爆弾は、 上記の追加オプションを取り付けることで、 誘導爆弾として利用できるようになりました。

 今回も有意なデータは価格(Cr)だけで、 レーザー誘導爆弾は+500cr、TV誘導爆弾は+1,000crの上乗せです。



 これら2つの 誘導爆弾(スマート爆弾)を用いた爆撃は、表4でも触れましたが、 常に難易度〈易:3+〉DMなしで命中判定を行う、 というハウス・ルールを作成しました。
 実際に、この誘導爆弾の運用(誘導方法)については、 次の「空軍7:空対地ミサイル」でじっくりと考察しています。
 誘導爆弾は、そんな簡単に投下できる訳でも、それほど命中率が高い訳でもありませんでした。 しかし、それらのルールを採用するとプレイが複雑になるだけなので簡易ルールとして、 〈易:3+〉DMなしの命中判定をそのまま残しておきます。
 航空機の高度やパイロットの熟練度に左右されず、常に高い命中率を発揮できる誘導爆弾は、 実に有難い兵器なのである、ということにしておいて下さい。
 色々と運用に制約があるとはいえ、 ただ投下するだけの通常爆弾と比べれば、ずっと命中率が高いことには間違いがありませんから。

 欠点は、専用の誘導装置が必要なことでしょうか。
 レーザー誘導の場合は、そのレーザー光が敵に探知されやすい、煙幕等で妨害を受けやすい。
 TV誘導の場合は、投下する爆弾1発毎に1人の砲手が必要。
 などといったことが挙げられると思いますが、要は使い方次第です。
 状況によっては、極めて効果的な兵器になるでしょう。



 ところで、実は誘導装置に関して「COACC」の中には具体的な記述がありません。
 仕方がないので、レーザー誘導TV誘導それぞれについて、 誘導装置ハウス・ルールででっち上げてしまいました。

 その性能諸元は以下の通りです。


             表20 誘導装置の性能諸元

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 表の左端が武器名で、今回は各種の誘導装置を並べました。
 上から、テックレベルが異なる3種類のレーザー誘導装置、 歩兵用のレーザー・カービン、 そしてテックレベルが異なる3種類のTV誘導装置という順番です。



 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)に関しては、 「レフリーズ・マニュアル」の輸送機器設計ルールに記載されている、 通信機のデータを参考に決定しました。



 貫通力/減衰ダメージは、 レーザー誘導装置レーザー・カービンだけに存在するデータです。
 レーザー誘導装置のレーザーは、 貫通力=0ダメージ=0、 致傷力を持たないレーザーであるとしました。
 レーザー・カービンの性能は、 「プレイヤーズ・マニュアル」のデータをそのまま転載していますが、 レーザー誘導爆弾の誘導中、目標にダメージを与え続けても良いのでしょうか?  それとも、目標にダメージを与えない「誘導射撃モード」という状態があるのでしょうか?



 表の右端は使用制限
 利用できるテックレベル最大射程(単位は距離帯とkm)を記載しています。
 テックレベル7〜8の誘導装置は、最大射程が遠方:5km
 テックレベル9の誘導装置は、最大射程が超遠方:50kmであるとしました。



 レーザー誘導TV誘導の実践については、 次回の考察「空軍7:空対地ミサイル」で説明する予定です。
 照準や誘導の具体的な手順、妨害等の対抗手段については、そちらを御覧下さい。




(6)トス爆撃の命中率

 急降下爆撃緩降下爆撃と反対に、 上昇しながら爆弾を投下する方法も存在します。
 その名をトス爆撃と言いますが、 Weblio辞書:トス爆撃からの引用によると、

> 機首を急激に上げながら上空へ放り出すように爆弾を投下する。
> その後、急速に離脱する。
>
> 爆弾は放物線を描き落下するため長大な射程を得る事が出来る。
>
> 地形追随飛行からの投下やAAA有効範囲の回避、もしくは
> 退避時間を稼ぐ必要のある原子爆弾を投下する際に有効である。


 ということになっていました。

 対空レーダーや対空砲を回避するため超低空を飛行を強いられている航空機が 「爆風被害」を免れるために行う爆撃方法である、と理解すれば十分だと思います。



 では、上昇しながら爆弾を投下することによって、 どれだけの落下時間を得られる(稼げる)ものなのか、具体的に数字を求めてみましょう。


           表21 航空爆弾の落下時間(トス爆撃)

BW58_Fig21.gif - 10.4KB

 表7と同じ形式で、表の左端が爆弾の落下時間です。
 単位は戦闘ラウンド=6秒

 表の上は、航空機の上昇速度です。その範囲は0〜400km/h
 垂直方向の移動速度(=降下速度)を、時速(km/h)と、 15mマス150mマス、2つのスケールのマス数で表しました。
 比較のため、左端に水平爆撃(上昇速度=0)の場合の落下時間も掲載しました。

 世界の重力加速度は今回も、 世界の規模が8、重力加速度が1.0G=9.8m/s2を想定しています。



 爆弾の落下時間を求めるのであれば、 まずはトス爆撃を行う航空機の上昇速度から決定して下さい。
 移動速度=400km/hの航空機が、45度の急上昇を行うのであれば、 前進に振り分けられる移動ポイントが2ポイント、上昇に振り分けられる移動ポイントが2ポイントずつ、ということになりますから、 上昇速度は200km/hとなります。

 爆弾を投下する高度(m)については、 航空機の移動が終了した時点での高度を用います。
 計算が面倒になるので、上昇の始まりや途中での爆弾投下は御遠慮下さい。
 さて、トス爆撃は超低空飛行からの急上昇ですから、 上昇直前の高度は150メートル(=高度レベル1)だと考えられます。 より高い高度からトス爆撃を行う場合は少し数字が異なってきますが、此処では考慮しません。
 その高度から上昇速度=200km/hで2マス分の上昇を行いますので、 移動が終了した時点での高度は450メートル(=高度レベル3)になりました。

 決定した航空機の上昇速度爆弾を投下する高度の2つから、 爆弾の落下時間を求めて下さい。
 上記の例で出した上昇速度=200km/h高度=450メートルからは、 爆弾の落下時間が3戦闘ラウンドである、と分かります。



 トス爆撃の後、航空機はそのまま上昇を続けて下さい。
 最低でも、爆撃時と同じだけの高度を上昇しなかった場合(上昇した高度レベル数が足りないか、水平飛行に移った場合)は、 投下した爆弾と衝突する可能性がありますし、爆風被害に巻き込まれる可能性も無視できません。
 トス爆撃の後、航空機はそのまま上昇を続けるということで、面倒な事態を回避して下さい。

 上昇と同時に、航空機は旋回することも可能です。
 旋回によって爆撃目標から離れることができるでしょう。
 その際、機首上げを続けることで縦方向のUターン(インメルマン・ターン)を行うこともできます。

 インメルマン・ターンを行うのであれば、トス爆撃を行う戦闘ラウンドの開始時に、インメルマン・ターンを行う旨を宣言して下さい。
 その戦闘ラウンド、トス爆撃は通常通りに行えます。
 トス爆撃を行った次の戦闘ラウンド、航空機は同じように上昇を続けますが、移動開始の時点で180度の方向転換を行って下さい。
 更に次の戦闘ラウンドになれば通常通りの飛行が行えますが、 傍から見れば唐突な方向転換のように見えますから、誤解を招かないために宣言が必要となる訳です。



 今回もトス爆撃について、ハウス・ルールを以下のように整理します。

> トス爆撃は、目標に対して
> 上昇しながら爆弾を投下する爆撃方法です。
>
> 爆弾を投下する航空機は、トス爆撃を開始する戦闘ラウンドの直前、
> 高度150メートル(=高度レベル1)で移動を終了していなければなりません。
>
> 爆弾を投下する航空機は、移動ポイントの50%を
> 上昇(高度レベルの変更)に費やさなければなりません
> (上昇角度=45度を想定)。
>
> ルールを簡易化するため、爆弾の投下は移動終了時に限定されます。
> また、爆弾を投下する高度(高度レベル)は、
> 航空機の上昇速度(上昇に割り振った移動ポイント)+1レベルとなります。
>
> 爆弾の落下時間は、
> 爆弾を投下する高度(高度レベル)と同じです
> (単位は戦闘ラウンド)。
>
> トス爆撃を行った後の航空機は、
> 次の戦闘ラウンドも同じ速度で上昇を続けなければなりません。
> 上昇を続けるのであれば、旋回等は自由に行えます。
>
> インメルマン・ターンを行うのであれば、次の戦闘ラウンドの開始時、
> 航空機に180度の方向転換をさせて下さい。
> それによって、インメルマン・ターンが実行されたとみなします。
> 但し、インメルマン・ターンを実行する際は、
> トス爆撃を行う戦闘ラウンドの移動開始時に、
> インメルマン・ターンを行う旨の宣言が必要です。
>
> 2戦闘ラウンド以降は通常通り、自由な飛行を行えます。




 プレイアビリティのため、航空機の上昇角度45度に限定しました。
 移動ポイントは水平方向(前進)と垂直方向(上昇)の移動へ、均等に割り振ることになります。
 移動ポイントが奇数で割り切れない場合は、水平方向(前進)の移動ポイントを多くして下さい。
 例えば移動速度が300km/hの場合、移動ポイントは3となりますから、その振り分けは2:1です。
 移動速度が600km/hであれば移動ポイントは6で、振り分けは3:3
 移動速度が1,000km/hであれば移動ポイントは10、振り分けは5:5となります。

 航空機の上昇角度45度に限定したため、 考察の53回「空軍1:固定翼機と反重力型輸送機器」の表18に従って、 加速率が0.50G以上の航空機でなければトス爆撃を行えないことになりました。
 御注意下さい。

 爆弾の投下も、移動途中は禁止。移動終了時のみとしました。
 移動途中で爆弾を投下してしまうと、爆弾の落下時間の計算がとても面倒になるためです。

 トス爆撃を始める時点での高度を150メートルに限定したため、爆弾の落下時間の計算がとても簡単になりました。
 実際は色々と面倒な計算式を使うのですが、結果だけに着目するのであれば、 爆弾の落下時間は移動終了時の高度レベルと等しい値となります。。

 爆弾を投下した後の航空機は、投下直後の1戦闘ラウンドも同じ上昇速度で上昇を続けなければなりません。
 トス爆撃の目的から考えて、多くの航空機はインメルマン・ターンで方向転換した後、 再び高度を超低空まで下げつつ、目標から遠ざかっていくことになるでしょう。



 簡易版の航空機の上昇速度早見表は、以下のようになります。
 前述のに、航空機の上昇角度60度で固定しました。


           表22 トス爆撃の爆撃高度と命中DM

BW58_Fig22.gif - 9.71KB

 表の左端は航空機の移動速度です。単位はkm/h。

 その右側が150mマスを使った場合の移動ポイント
 移動ポイントの振り分けは、 上昇角度45度で固定ですから、 その右側に示した通りとなります。
 表8と同じようにA:Bという書き方をしましたが、 前進に使う移動ポイントが左側の数値Aで、 上昇に使う移動ポイントが右側の数値Bです。

 表の右側は爆弾を投下する高度
 単位はメートルですが、括弧の中は150mマスを使った場合の高度レベルです。

 数字は3つあって、左端が投下高度
 前述したようにトス爆撃は高度150メートルから開始するというルールにしましたから、 航空機が上昇した高度+150メートル(上昇した高度レベル+1)が、 爆弾の投下高度となる訳です。
 中央の数字が爆弾の落下時間
 これも前述したように、爆弾の投下高度をレベル数で表したものがそのまま、 戦闘ラウンドで表した落下時間になりました。
 右端の数字が、命中判定のDMです。
 当然ながら爆弾の落下時間が長いほど、命中が難しくなります。




(7)ロケット弾の命中率

 ロケット弾とは 火薬の燃焼や圧縮ガスの噴出によって推力を得、自力で飛行する能力のある爆弾、または砲弾 のことです(これもWikipedia:ロケット弾からの引用)。
 ですから、航空爆弾のように自由落下をする訳ではありません。
 航空機の高度から落下時間を求める必要もないのです。

 では、どんな条件ならばロケット弾による爆撃が可能になるのか。
 それについては、前回の考察「空軍5:機銃掃射」の中で取り上げた、 固定銃の射界に従うものとします。

 以下、考察の57回「空軍5:機銃掃射」より転載しました。



固定銃(Fixed Mount):

 航空機に特定の方向(その多くは前方)に向けて搭載され、 機体自身を動かすことで照準を合わせる機関銃固定銃です。
 機体を動かして照準を合わせるという都合上、パイロットが射手(砲手)を兼ねることになりますが、 余分な乗組員(専門の砲手)を乗せる必要がありません。
 そのため1人乗りの航空機では前方固定銃が一般的な武装となっています。

 前方固定銃機銃掃射を行う場合は、 航空機の機首を下げなければなりません。
 それを再現するため、機銃掃射を行っている間は、 少なくとも1高度レベルを下げなければいけない(降下しなければいけない)、 ということにしておきます。
 実はこのルール、「COACC」では 機銃掃射爆撃を含めた全ての地上攻撃を対象としていたのですが、 流石に不自然だったので、私のハウス・ルールでは 前方固定銃による機銃掃射のみと限定したのです。

 機首を下げていても、その射界は下向き45度程度にしかなりません。
 ですから今回も、下向き45度までの目標しか狙い撃つことができない、という制限に従って下さい。
 航空機の高度が1レベル(=150メートル)であれば、水平距離が1マス以上離れている目標しか撃てず、 高度が2レベル(=300メートル)であれば、2マス以上離れている目標しか撃てない、ということです。
 それより近く(高度1レベルであれば同じマス、高度2レベルであれば1マス以内)に存在する地上目標は、死角に入っていると考えて下さい。



 以上、転載終わり。

 ロケット弾を使用する場合は、狙った地上目標が航空機の射界内にあることを確認して下さい。

 また、ロケット弾の最大射程は、 80mmロケット弾1.0km(=7マス)120mmロケット弾1.5km(=10マス)です。
 この最大射程が、垂直方向にも適用されることに御注意を。
 7マス先にある地上目標をロケット弾で爆撃するのであれば、 航空機は高度7レベル以下を飛行していなければなりません。
 10マス先にある地上目標をロケット弾で爆撃するのであれば、高度10レベル以下になりました。
 基本的にロケット弾低空での使用を前提にしている、ということでしょう。

 ロケット弾を使った場合でも 「爆風被害」を受ける可能性があることに留意して下さい。
 前述した通りロケット弾が目標に命中した時点(通常は発射した次の戦闘ラウンド)で、 ロケット弾が命中したマスから 高度150メートル(=高度レベル1)以内、水平距離で300メートル(=2マス)以内を飛行している場合には、 「爆風被害」を免れるためにサイコロを振らなければなりません。



 ロケット弾を命中させるための行為判定も、以下の2段階に分かれています。
 まずは最初の、明示された目標地域(狙ったマス)に命中させるための行為判定、から。



 ロケット弾を、明示された目標地域(狙ったマス)に命中させるための行為判定は、 以下の通りです。

>空対地のロケット攻撃を、明示された目標地域(狙ったマス)に命中させるために:
>
> 〈並〉、〈砲術〉
>
>レフリー:
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> ヘッドアップ・ディスプレイを使用していれば+1。
> 前進観測官の〈照準〉技能レベルをプラス。
> ロケット弾攻撃を行う航空機がヘリコプターであれば+1。




 ロケット弾を命中させるための行為判定は、 あくまで目標地域(狙ったマス)に命中させるだけですが、その難易度が〈並:7+〉でした。
 航空機に搭載されたコンピュータのモデル数が+DMになりますし、 ヘッドアップ・ディスプレイの使用によるDM+1と前進観測官の〈照準〉技能レベルが加わります。
 そしてロケット弾の場合も航空機の移動速度(移動DM)は影響しないので、 命中率は高くなるでしょう。

 マイナスのDMとして働く爆弾の落下時間は、ロケット弾の場合、存在しません。
 ロケット弾は常に1戦闘ラウンドの飛翔時間で狙った目標に到達します。
 ですから、ロケット弾の飛翔時間が命中判定に不利となることもないのです。
 ちなみに水平爆撃の場合、 爆弾の落下時間が1戦闘ラウンドで済む高度は150メートル以下、 2戦闘ラウンドになる高度は750メートル以下、 3戦闘ラウンドになる高度は1,500メートル以下でした。
 それに対してロケット弾は、高度1,000メートル以下(口径80mm)、 高度1,500メートル以下(口径120mm)であれば、 常に1戦闘ラウンドの飛翔時間で狙った目標に到達します。
 これは非常に大きなメリットであり、ロケット弾が普及した理由のひとつでした。
 目標への到達時間が短くて済むことは、命中率の向上と共に、爆撃の効率そのものを高めてくれるのです。



 上記の行為判定を使って、ロケット弾の命中率を計算してみました。


             表23 ロケット弾の命中率

BW58_Fig23.gif - 4.34KB

 ロケット弾を使用する場合、 その命中難易度は常に〈並:7+〉でした。

 表の右側は、コンピュータ・レベル+砲術技能レベル+照準技能レベル等の+DMによって変化する、 水平爆撃の命中率です。
 命中に必要な目標値と命中の可能性(%)を並記しました。



 ロケット弾は、DMなしの条件でも半数以上が、つまり7+(58.3%)の確率で 狙ったマス(=150mマス)へと命中します。
 かなり命中率が高く表現されているような気もしますが、使っているスケールが150mマスで、 ロケット弾の最大射程が1.0〜1.5km(7〜10マス)であることを考えると、当たり前のことかも知れません。

 〈砲術〉技能レベル、〈照準〉技能レベル、コンピュータのモデル数、などの合計が+2となる条件であれば、 ロケット弾の命中率は5+(83.3%)まで向上。
 DM+4ならば3+(97.2%)で命中するようになりました。
 DMが+4以上あるならば、それ以上の命中率にはなりません。
 「致命的失敗」とならない限り、全弾が命中する訳です。




(8)外れた爆弾の行方

 最初の命中判定は冒頭で説明した通り、 航空爆弾を明示された目標地域(狙ったマス)に命中させるための行為判定、です。
 ですから命中判定に成功した場合、爆弾は目標地域(狙ったマス)の中へ落ちることになるでしょう。
 特別に指定しない限り、このマスのスケールは150mである、としました。

 では、行為判定に失敗した場合はどうなるのでしょう?
 此処では、失敗した(外れた)爆弾の行方について考えてみます。



 「COACC」の中には具体的な記述が見つかりませんでしたので、 「プレイヤーズ・マニュアル」の間接射撃を基に、 ハウス・ルールを作ってみました。

 命中の行為判定に失敗した場合は、その行為判定が(致命的)ですから、事故表で2D6のサイコロを振って下さい

>事故表の結果が、
> 「微小」ならば1マス(150m)の「ずれ」。
> 「小」ならば2マス(300m)の「ずれ」。
> 「大」ならば3マス(450m)の「ずれ」、となります。
> 
> 「ずれ」の方向はランダムにサイコロを振って決めて下さい。



 「ずれ」の分布は以下の通りです。


           表24 航空爆弾の落下地点の「ずれ」

BW58_Fig24.gif - 7.05KB

 表の左は、サイコロの目と、特定の目が出る確率

 その右側は事故の程度
 メガトラで扱われる事故は4段階に分かれていて、 軽い順に微小(Superficial)小(Minor)大(Major)重大(Destroyed)として定義されています。
 サイコロを振った場合、その目が「2」ならば振り直し、「3〜6」ならば微小事故、 「7〜10」ならば小事故、「11〜14」ならば大事故、 「15〜18」ならば重大事故になることが決められていました。
 今回は振るサイコロが2Dですから最大値は「12」、重大事故は起こり得ません。



 「事故表」で振るサイコロが2Dである場合、事故の分布は上記の通りでした。

 最も多く発生する事故は小事故で、その確率は51.4%。
 次点は微小事故で40.0%の確率。
 最後は大事故ですが、その確率は8.6%で滅多に起こりません。
 事故の大半は微小事故小事故であるというのが、 「事故表」で2Dを振った場合の結果なのです。

 ですから、命中判定に失敗したとしても、外れた爆弾は1マスか2マスずれた場所へ落ちるだけで済むことでしょう。

 面倒ならば、命中判定に失敗した爆弾は消えてしまう、ということにして下さっても結構です。
 それらの爆弾が、狙っていない敵の地上部隊や、場合によっては味方の地上部隊の上に落下する、という可能性は否定できませんし、 無視して良い物でもありませんが、プレイアビリティが損なわれるのであれば、簡略化されるべきですので。



 次は、個別目標への命中判定について考察します。





爆撃の命中判定−2


 今度は、明示された目標地域(狙ったマス)の中で、個別の目標に命中させるための行為判定、を考察します。




(1)個別目標への命中判定

 前章、(1)水平爆撃の命中率で説明した通り、1回目の命中判定は、 航空機が移動の途中で地上目標と同じマスを通過した時点で行うことになっていました。
 爆弾を投下すれば、その時点での移動方向や投下のタイミングで、爆弾が命中するかどかは判断できます。
 ジャンプの成功判定と同じだと考えて下さい。
 しかし、その時点で明らかになるのは、 その爆弾が明示された目標地域(狙ったマス)に命中したかどうか、ということだけでした。
 その爆弾が 明示された目標地域(狙ったマス)の中で、個別の目標に命中したかどうかの命中判定については、 爆弾が地表に到達した時点(通常は投下から1〜10戦闘ラウンド後)で行って下さい。

 この命中判定が狙う地上目標は、基本的に固定目標(移動しない目標)を想定して作りました。
 固定目標とは、建物や構造物、停止している車輌や陣地に籠った歩兵などですが、移動している目標、 例えば走っている列車や車輌、歩兵等を爆撃する場合は何らかのルール変更が必要になると思われます。
 今は思いつきませんので、保留(棚上げ)しておきますが。

 この命中判定は、目標に与えるダメージの判定も兼ねています。
 ですから、サイコロを振る前にきちんと航空爆弾の貫通力と目標の装甲値を比較して、 あらかじめ「貫通状態」を確認しておいて下さい。
 航空爆弾が与えるダメージの大きさも重要です。



 航空爆弾明示された目標地域(狙ったマス)の中で、 個別の目標に命中させるための行為判定は、以下の通りです。

>明示された目標地域(狙ったマス)の中で、
> 開けた地形で個別の目標に命中させるために:
> 〈並〉、〈砲術〉
>
>レフリー:
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> ヘッドアップ・ディスプレイを使用していれば+1。
> 
> 投下した爆弾がレーザー誘導爆弾であれば+4。
> 
> 但し、目標が援護物に隠れていれば、命中難易度は〈難〉になります。
> ナパーム弾は、援護物に隠れている目標でも〈並〉のままです。
> クラスター爆弾は目標が開けた地形に居る場合、命中難易度が〈易〉です。
> 但し、目標が援護物に隠れていれば、命中難易度は〈並〉になります。




 2回目(個別)の命中判定は爆弾が地表に届いた時点で行いますが、 もしかすると爆弾を投下した航空機がすでに戦場を離脱しているか、あるいは撃墜されているかも知れません。
 そうだとしても、〈砲術〉技能レベルやコンピュータ・レベルのDMは、爆弾を投下した航空機の乗組員やコンピュータのものを使って下さい。
 また、個別目標への命中判定に、前進観測官の〈照準〉技能レベルはDMとして利用できません。

 投下した爆弾がレーザー誘導爆弾である場合、DMが+4もありますから、ほぼ自動的に命中することになりました。
 サイコロを振って致命的失敗が出ない限りは大丈夫の筈です。
 残念ながら、TV誘導爆弾にDMはありません。
 〈砲術〉技能レベルやコンピュータ・レベルが低い場合、その命中は難しくなるでしょう。

 目標が援護物に隠れている場合、通常爆弾焼夷弾の命中難易度は、 〈並:7+〉から〈難:11+〉へ変わります。
 命中させることは少し難しくなりますが、〈砲術〉技能レベルやコンピュータ・レベルが高ければ問題にはなりません。

 ナパーム弾は、目標が援護物に隠れていても隠れていなくても、命中難易度が変わりませんでした。 命中難易度は〈並:7+〉のままです。
 ナパーム弾は、燃焼による「熱」と「高温ガス」で与えるものですから、 通常の援護物では防御の役に立たない、ということなのでしょう。

 クラスター爆弾は、援護物なしでの命中難易度が〈易:3+〉、 援護物に隠れている目標への命中難易度が〈並:7+〉でした。
 クラスター爆弾の命中を避けるためには、 完全な遮蔽物の陰に隠れるか、致傷範囲から逃げ出す以外、方法がないようです。

 DMの上限は±8であることに注意して下さい。



 ロケット弾の場合も、 その弾頭が 明示された目標地域(狙ったマス)の中で、個別の目標に命中したかどうかの命中判定については、 ロケット弾が地上目標と同じマスに到達した時点(1戦闘ラウンド後)で行って下さい。

 この命中判定が、目標に与えるダメージの判定も兼ねていることも同様。
 「貫通状態」とダメージの大きさも確認しておいて下さい。



 ロケット弾明示された目標地域(狙ったマス)の中で、 個別の目標に命中させるための行為判定は、以下の通りです。

>明示された目標地域(狙ったマス)の中で、個別の目標に命中させるために:
>
> 〈並〉、〈砲術〉
>
>レフリー:
> 上記は、開けた地形に目標が存在する場合の難易度です。
> 個別の目標が援護物下に存在しているのであれば、難易度は〈難〉です。
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> ヘッドアップ・ディスプレイを使用していれば+1。
> ロケット弾攻撃を行う航空機がヘリコプターであれば+2。




 2回目(個別)の命中判定はロケット弾、狙った目標と同じマスに届いた時点、 通常は発射の1戦闘ラウンド後に行われます。

 適用されるDMも、その大半は通常爆弾ルールのものと変わりませんでした。
 唯一の例外は、ロケット弾攻撃を行う航空機がヘリコプターであれば+2。という項目でしょうか。
 これはヘリコプターならば進行方向に関係なく、機体を(ロケット弾の発射方向を)目標に指向できる、 という点が再現されているのだと思われます。

 目標が援護物に隠れている場合、ロケット弾の命中難易度は、 〈並:7+〉から〈難:11+〉へ変わります。
 命中させることは少し難しくなりますが、〈砲術〉技能レベルやコンピュータ・レベルが高ければ問題にはならないでしょう。



 上記の命中難易度を航空爆弾の種類ごとに纏めると、以下の通りとなりました。


          表25 航空爆弾−個別目標への命中難易度

BW58_Fig25.gif - 12.3KB

 表の左端が爆弾のタイプ援護物の有無です。
 その右側が、対応する命中難易度

 一番上の通常爆弾には焼夷弾が含まれます。
 二番目はナパーム弾
 三番目は対人対装甲を含むクラスター爆弾です。

 表の右側は、「空軍5:機銃掃射」の考察と同じようにして求めた 砲術技能レベル+戦術ポイント等の+DMによって変化する、爆撃の命中率です。
 命中に必要な目標値と命中の可能性(%)を並記しました。



 通常爆弾焼夷弾は、 援護物の有無によって命中難易度が異なりますから、欄も上下二つに分けました。
 援護物が無い状態で、命中DMを+4ぐらい持つパイロットならば、確実に命中させることができるようです。
 しかし援護物に隠れた目標になってしまうと、命中DMの低いパイロットでは命中弾を得ることができません。

 レーザー誘導爆弾を投下するのであれば、命中DMは+4されます。
 難易度がひとつ下がるでのはなく、命中DMが+4であることに注意して下さい。
 DMの最大値は±8ですから、それを超えたDMは切り捨てられてしまうのです。
 レーザー誘導爆弾のDM+4は、技量の低い(命中DM+4未満)のパイロットであっても ベテラン(命中DM+8)並みの命中率を得られるという点に、その存在意義があるのでしょう。

 ナパーム弾は、目標が援護物に隠れていても命中難易度が変わらないということで、 その命中難易度は〈並:7+〉のままでした。
 貫通力は低いのですが、援護物(塹壕や樹木)の中に隠れた歩兵や軽車輌に対しては、極めて有効な攻撃となる筈です。
 目標が援護物に隠れていることを前提とするのであれば、これほど頼もしい爆弾はありません。

 はっきり言って、クラスター爆弾の命中率が異常です。
 命中難易度が〈易:3+〉というだけでも十分なのに、 それにDMが+4も追加されたら、大きなダメージを与えられることは確実でしょう。
 クラスター爆弾を利用可能なテックレベルは、 対人クラスター爆弾がテックレベル7から、対装甲クラスター爆弾がテックレベル8から となっていますが、これらの子弾は知能化されていて、自ら目標目掛けて飛んでいくのに違いありません。
 ダメージ期待値の計算が楽しみです。



 今度は、ロケット弾の命中難易度を纏めました。


         表26 ロケット弾−個別目標への命中難易度

BW58_Fig26.gif - 6.83KB

 表25と同じ形式ですが、今回はロケット弾の命中難易度を示しています。



 ロケット弾も、 援護物の有無によって命中難易度が異なりますから、欄も上下二つに分けました。
 援護物が無い状態で、命中DMを+4ぐらい持つパイロットならば、確実に命中させることができるようです。
 しかし援護物に隠れた目標になってしまうと、命中DMの低いパイロットでは命中弾を得ることができません。
 技能なしのパイロットは、目標が援護物に隠れなくてもほとんど命中弾を得られない、という事実が意外でした。
 素人は、ロケット弾を狙ったマス(=150mマス)の中へ撃ち込むことが精々で、 そのマスの中に存在する目標を狙い撃ちすることまではできない、ということなのでしょう。




(2)爆撃のダメージ期待値(難易度〈難:11+〉)

 恒例のダメージ期待値を計算しました。
 地上目標の頭上に航空爆弾ロケット弾を1発落とすことで、 その目標にどれだけのダメージを与えられるのか、 2回目の命中判定1回毎(サイコロを1回振る毎)の平均値を求めています。



 まずは、地上目標が援護物に隠れている状態の通常爆弾焼夷弾から。
 パイロット(砲手)の〈砲術〉技能レベル、ヘッドアップ・ディスプレイの有無、航空機に搭載されているコンピュータのモデル数。
 それらを合計した命中DMは+4を想定しました。


   表27 航空爆弾のダメージ期待値(命中難易度〈難:11+〉、DM+4)

BW58_Fig27.gif - 14.5KB

 「空軍5:機銃掃射」とほぼ同じ形で、ダメージ期待値の評価を行いました。

 表の左端は武器名
 様々なサイズの通常爆弾焼夷弾です
 通常爆弾の重量は50kg1,000kgの5種類。
 焼夷弾は1種類のみです。
 それぞれの爆弾について、貫通力ダメージを示しました。

 表の右側は、ダメージ期待値
 「完全貫通」と「部分貫通」、「無貫通」、 3つの貫通状態におけるダメージ期待値を示しました。
 同時に、その貫通状態になるための条件、目標の装甲値の範囲も並記しています。



 通常爆弾は強力です。
 最小サイズの50kg爆弾であっても表1の考察でも触れた通り、 口径18cmの砲弾(榴弾)と同じ 貫通力ダメージを備えていました。
 その破壊力のおかげで、装甲値=12以下の地上目標を爆撃する際は、 「完全貫通」の欄を用いることができるのです。
 「完全貫通」している場合のダメージ期待値は、22.7。
 命中率は7+ですから半分程度ですが、命中すれば最低でも12ポイント。 それ以外の場合でも、24ポイントか48ポイントのダメージを与えられるでしょう。 サイコロの目が良ければ72ポイントのダメージです。
 50kg爆弾通常爆弾の中で最も小さいサイズですが、 その貫通力ダメージ期待値は、 機銃掃射と比べられないほど大きい、ということが分かりました。

 個人的には、50kg爆弾よりもう少しだけ小さくて、 手軽に使える通常爆弾が欲しいところですが「COACC」の場合、 その類の兵器は後述するロケット弾によって補完されているようです。



 250kg爆弾の破壊力は口径24cmの砲弾(榴弾)と同等。
 350kg爆弾の破壊力も口径30cmの砲弾(榴弾)と同等でした。
 この2つ、貫通力ダメージがそれほど変わらないので、使い分ける必要を感じません。
 250kg爆弾貫通力が足りない装甲目標には、 より強力な1,000kg爆弾をぶつければ良い、と思うのです。



 500kg爆弾も中途半端な破壊力でした。
 貫通力250kg爆弾と比べて+4、 350kg爆弾と比べても+2多いだけです。
 もう少し貫通力が大きければ使い方も変わってくるのでしょうが、 多くの場合、250kg爆弾を2発持って行った方が効果的でしょう。



 1,000kg爆弾は、とても強力な爆弾でした。
 貫通力が40を超えている爆弾は、このサイズだけですから、 装甲値=40反重力戦車トレピダに大きなダメージを与えられる爆弾も、 この1,000kg爆弾だけなのです。



 焼夷弾だけは貫通力が極端に小さく、何となく不遇な感じがしました。
 表2でも説明しましたが、焼夷弾は、 焼夷効果を期待するよりも、煙幕を生成したり、目標にマーキングしたりするために用いられているとか。
 今更ですが、焼夷弾によって発生する煙幕のルールは、以下の通りでした。

> 焼夷弾は着弾地点を中心とした直径30メートルの煙幕を生じます。
> 煙幕は風によって流されますが、15戦闘ラウンド後には消失します。


 ということですから、煙幕の大きさは150mマスを埋め尽くす程ではありません。
 高さに関する記述は見つかりませんでしたが、狙った150mマスの中の一地点から、白煙が立ち上っている、 という情景になるのでしょう。
 確かに、目立ちます。「視認」のルールでDM+4が付くことにも納得できました。
 15mマスを用いるのであれば、命中した(着弾した)マスを中心として、 隣接マスを含めた9マス(=3×3マス)が煙幕に覆われた、ということになるようです。
 結構、延焼範囲が広いですね。
 このあたりは非常に興味深いので、次の機会に焼夷効果も含め、考察してみたいと思っています。



 次は各種のロケット弾
 命中DMは今回も+4を想定しています。


   表28 ロケット弾のダメージ期待値(命中難易度〈難:11+〉、DM+4)

BW58_Fig28.gif - 11.6KB

 表27と同じ形式です。

 表の左端は、ロケット弾の口径と弾種。
 ロケット弾の口径は80mm120mmの2種類でした。
 弾種は榴弾(HE)フレチェット弾(Flechette)焼夷弾(Incendiary)の3種類ですが、 焼夷弾80mmロケット弾の中にしか存在しません。
 それぞれのロケット弾の貫通力ダメージを示しています。

 表の右側は、ダメージ期待値
 「完全貫通」と「部分貫通」、「無貫通」、 3つの貫通状態におけるダメージ期待値を示しました。
 同時に、その貫通状態になるための条件、目標の装甲値の範囲も並記しています。



 予想通り、ロケット弾の破壊力(殺傷力)は、 機銃掃射通常爆弾の中間にありました。
 まずは比べ易い榴弾(HE)から。

 機銃掃射ダメージ期待値と比べるのであれば、 機関銃オート・キャノンの貫通力は1〜5、 徹甲弾(KEAP)を使っても8〜14しかありません。
 ロケット弾の貫通力は14〜18なので、明らかに優っています。
 ダメージについても、 機関銃オート・キャノン3〜8なのに対し、 ロケット弾12〜16でした。
 こちらも大きく優っています。

 反対に通常爆弾と比べるのであれば、最小サイズの50kg爆弾であっても、 その貫通力は24、ダメージも24でしたから、 それを基準にしたロケット弾の貫通力は58〜75%、ダメージは50〜67%になり、明らかに劣っています。

 以上の通りですから、ロケット弾の破壊力(殺傷力)は、 機銃掃射通常爆弾の中間にあるという解釈は、 間違っていないことが確認できました。

 フレチェット弾については、 機銃掃射通常爆弾の中に比較対象がないため、考察を保留。

 焼夷弾の場合、航空爆弾は250kgのサイズしか存在しませんでしたが、 その貫通力は10で、ダメージが30
 対応する80mmロケット弾焼夷弾は、 貫通力は10で、ダメージも10でした。
 ダメージが3分の1であるため、ダメージ期待値も3分の1になった、ということのようです。



 今度は命中DMが+8の場合。
 物凄いベテランのパイロットが投下するか、あるいはレーザー誘導爆弾を投下した、と考えて下さい。


   表29 航空爆弾のダメージ期待値(命中難易度〈難:11+〉、DM+8)

BW58_Fig29.gif - 14.6KB

 表27と同じ形式です。



 50kg爆弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」している場合で78.7、「部分貫通」でも39.3でした。
 1,000kg爆弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で196.7、「部分貫通」でも98.3です。
 焼夷弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で98.3、「部分貫通」で49.2。
 「無貫通」のダメージ期待値はすべて共通で1.6です。

 通常爆弾焼夷弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」と「部分貫通」で3.5倍、 「無貫通」で4.4倍になりました。
 元からダメージ期待値が小さかった「無貫通」はともかくとして、 「完全貫通」と「部分貫通」が与えるダメージはとても大きい値となっています。
 つまり、援護物に隠れている目標であっても、ベテランのパイロットやレーザー誘導爆弾を用いるならば、 大きなダメージを与えられるということなのでしょう。

 航空爆弾に対して、地上目標が援護物に隠れるという行為は、 あまり意味がないのかも知れません。



 今度はロケット弾を命中DM+8で発射した場合のダメージ期待値。


   表30 ロケット弾のダメージ期待値(命中難易度〈難:11+〉、DM+8)

BW58_Fig30.gif - 11.8KB

 表27と同じ形式です。



 ロケット弾の場合、命中DMが+4から+8に上がることで、 榴弾ダメージ期待値が、3.5〜4.5倍に増えました。

 フレチェット弾ダメージ期待値が、3.5〜4.5倍に急増。
 「完全貫通」の状態を得られる相手は 装甲値=1以下、もしくは2以下の目標に限られていますが、 そうした目標を攻撃するのであれば、極めて有効です。
 装甲値=5以上の目標を攻撃する場合、 フレチェット弾の貫通状態は「無貫通」となってしまいます。
 そうなると当然、目標に大きなダメージを与えることはできませんが、 フレチェット弾の致傷範囲の広さを考えるのであれば、それでも構わないのかも知れません。
 意外と、大きなダメージを与えられることに気付きました。

 80mmロケット弾焼夷弾も、 命中DMが+8になることでダメージ期待値が、3.5〜4.5倍に増えました。

 援護物に隠れている目標であっても、ベテランのパイロットがロケット弾を用いているのであれば、 大きなダメージを与えられます。
 ロケット弾も、援護物に隠れた地上目標に対して有効であることが判明しました。




(3)爆撃のダメージ期待値(難易度〈並:7+〉)

 今度は、援護物に隠れていない地上目標への通常爆弾焼夷弾
 更にナパーム弾と、援護物に隠れた地上目標を爆撃するクラスター弾を追加しました。
 命中DMは今回も+4を想定しています。


   表31 航空爆弾のダメージ期待値(命中難易度〈並:7+〉、DM+4)

BW58_Fig31.gif - 19.6KB

 表27と同じ形式です。



 50kg爆弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」している場合で78.7、「部分貫通」でも39.3でした。
 1,000kg爆弾になると、そのダメージ期待値は、 「完全貫通」で196.7、「部分貫通」でも98.3でした。
 物凄く大きなダメージ期待値です。
 流石は通常爆弾と喜ぶべきでしょうか。

 目標が援護物に隠れていないのであれば、命中DM+4の状態であっても、 表29(援護物に隠れている状態で命中DMは+8)と同じダメージを与えられるのです。

 おまけに貫通力が大きいので、 装甲値=12〜24以下の目標に対しては「完全貫通」、 装甲値=24〜48以下の目標に対しては「部分貫通」を得られました。
 中途半端なサイズの野戦砲(迫撃砲、低初速砲、高初速砲)の砲弾(榴弾)と比べると、 通常爆弾の破壊力は小さなものであっても 口径18cm、24cm、30cmの砲弾(榴弾)と同等なのです。
 500kg爆弾1,000kg爆弾の破壊力は、 30cm砲弾よりも強力でした。
 このダメージ期待値を見るだけでも、 爆撃砲撃より遥かに強いのだなと実感する訳ですが。



 目標が援護物に隠れていない場合、焼夷弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で98.3、「部分貫通」でも49.2です。
 焼夷弾貫通力が小さいので、 「完全貫通」を得るためには目標が装甲値=5以下、 「部分貫通」を得るだけでも目標が装甲値=10以下でなければなりません。
 焼夷弾は装甲目標には不向き。非装甲目標を攻撃するのに使うべきだということが確認できました。
 個人的には、木造家屋やジャングルを延焼させる、という目的で利用したいと思います。



 目標が援護物に隠れていても、隠れていなくても、同じ命中難易度で爆撃できるところがナパーム弾の長所でした。
 そのダメージ期待値は、 「完全貫通」で131.1、「部分貫通」でも65.6。
 ダメージ期待値焼夷弾の1.3倍でした。
 しかしナパーム弾貫通力が小さいので、 「完全貫通」を得られる目標は装甲値=5以下、 「部分貫通」を得られる目標が装甲値=10以下、という制限は同じです。
 延焼や巻き添え命中のルールを絡めるとナパーム弾は更に使い勝手が良く、 面白い兵器となるのですが、色々と複雑になり過ぎますから、此処では棚上げしておきましょう。



 最後は、援護物に隠れた地上目標を爆撃するクラスター弾
 貫通力が小さい対人クラスター弾と、 貫通力が大きくなった対装甲クラスター弾の2つがあります。
 ルール的には、 対装甲クラスター弾の方が貫通力ダメージも大きく、 どちらも致傷範囲は120で同じ。
 唯一のデメリットが価格だけ、対装甲クラスター弾の方が1発当たり1,000cr高い、という状況ですから、 自由に選べるのであれば、対装甲クラスター弾が多用されると思います。

 目標が援護物に隠れている場合であっても、クラスター弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で19.7〜26.2、「部分貫通」で9.8〜13.1でした。
 貫通力が小さいので、 「完全貫通」を得られる条件は装甲値=4〜14以下の目標、 「部分貫通」を得られる条件は装甲値=9〜28以下の目標、と限られてしまいますが、 その条件を満たす非装甲、軽装甲の目標であれば十分です。
 少し物足りないのはダメージでした。
 通常爆弾焼夷弾ナパーム弾に比べて 基本のダメージが小さ過ぎるため、ダメージ期待値も小さくなってしまっているのです。
 命中難易度がひとつ易しいことで、この欠点をカバーできるのでしょうか?

 それを確かめるため、同じサイズの通常爆弾(250kg爆弾)で援護物ありの状態(表27)と比べてみました。
 250kg爆弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で32.1、「部分貫通」で16.1です。
 クラスター弾と比べてみると、250kg爆弾の方が6割から2割ほど優っているようでした。
 貫通力も明らかに劣っているので、 単一の目標に対する爆撃手段としてクラスター弾を選ぶことは間違っているのでしょう。



 今度は、援護物に隠れていない地上目標をロケット弾で攻撃した場合のダメージ期待値です。
 命中DMは今回も+4を想定。


   表32 ロケット弾のダメージ期待値(命中難易度〈並:7+〉、DM+4)

BW58_Fig32.gif - 11.7KB

 表27と同じ形式です。



 目標が援護物に隠れていない場合、命中DMが+4しかないパイロットであっても、 ロケット弾(榴弾によるダメージ期待値は、 19.4〜52.4でした。
 目標の装甲値が14以下、もしくは16以下、 つまり少なくとも「部分貫通」を得られるという条件ですが、 意外と大きなダメージを与えています。
 車輌を一撃で撃破、あるいは、個人(兵士)を即死させることが十分に可能でしょう。

 目標が援護物に隠れていない場合のフレチェット弾は、 ダメージ期待値が、4.8〜13.1でした。
 この数値も意外と大きいです。
 装甲値の薄い目標に限りますが、致傷範囲内の個人(兵士)は一撃で全滅してしまうのではないでしょうか。

 焼夷弾の場合、 そもそもの目的が異なるので真面目にダメージ期待値を求める必然性もないのですが、 その数値は、16.4〜32.8。
 榴弾と比べれば明らかに劣っているものの、それなりのダメージを与えられるようです。



 今度は命中DMが+8を想定しました。


   表33 航空爆弾のダメージ期待値(命中難易度〈並:7+〉、DM+8)

BW58_Fig33.gif - 19.6KB

 表27と同じ形式です。

 50kg爆弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」している場合で149.3、「部分貫通」で74.7。
 1,000kg爆弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で373.3、「部分貫通」で186.7。
 焼夷弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で186.7、「部分貫通」で93.3。
 「無貫通」のダメージ期待値は3.1でした。

 通常爆弾焼夷弾ダメージ期待値は、 すべての貫通状態で1.9倍に増えています。約2倍でした。
 援護物に隠れている状態(命中難易度〈難:11+〉)程ではありませんが、 命中DMが+4から+8へ増えることによって、ダメージ期待値は2倍に増えるということが分かりました。
 やはり、ベテランのパイロットやレーザー誘導爆弾には、それだけの価値があるのです。



 クラスター弾ダメージ期待値は、 「完全貫通」で37.3〜49.8、「部分貫通」で18.7〜24.9でした。
 DM+4の場合と比べて1.9倍ということも同じですから、 同サイズの通常爆弾(250kg爆弾)で援護物ありの状態(表29)と比べた場合の比率も変わりません。



 今度も援護物に隠れていない地上目標をロケット弾で攻撃した場合のダメージ期待値ですが、命中DMは+8を想定。


   表34 ロケット弾のダメージ期待値(命中難易度〈並:7+〉、DM+8)

BW58_Fig34.gif - 11.7KB

 表27と同じ形式です。



 目標が援護物に隠れていない場合、命中DMが+4から+8になることで ロケット弾ダメージ期待値は、 1.9〜2.0倍に増加しました。
 目標が援護物に隠れている場合と比べて増加率が小さいようですが、すでに十分大きなダメージを与えています。 これ以上、高望みすることはないでしょう。




(4)爆撃のダメージ期待値(難易度〈易:3+〉)

 最後は、援護物に隠れていない地上目標へのクラスター弾です。
 命中DMは今回も+4を想定しました。


   表35 航空爆弾のダメージ期待値(命中難易度〈易:3+〉、DM+4)

BW58_Fig35.gif - 7.00KB

 表27と同じ形式です。

 この命中難易度でサイコロを振れる航空爆弾は、クラスター弾しかありません。
 援護物(隠れるもの)のない状態で頭上にクラスター弾を落とされた地上目標は、 上の表に示したようなダメージを受けます。
 そのダメージ期待値は、 「完全貫通」で37.3〜49.8、「部分貫通」で18.7〜24.9でした。
 「無貫通」のダメージ期待値は3.1。

 表33の数値と同じなのですが、ふと気になって「完全貫通」の際に受ける具体的なダメージを求めてみたところ、 ダメージなしの確率が2.8%(サイコロの目で「2」が出た場合=例外的命中)、 ダメージ4倍(24〜32ポイント)となる確率が38.9%(サイコロの目が「3〜6」)、 ダメージ8倍(48〜64ポイント)となる確率が58.3%(サイコロの目が「7〜12」)、でした。
 どんな歩兵であっても即死です。車輌であっても、小さな(耐久値の少ない)車輌であれば一撃で破壊されるでしょう。
 基本のダメージポイントが小さくても、命中難易度が低いため、ダメージ4倍、8倍の目が簡単に出てしまうのです。

 「部分貫通」の場合は上記ダメージの半分しか与えられませんが、歩兵ならばそれでも十分。
 対人クラスター弾はともかく、対装甲クラスター弾ならば、 装甲値=18バトルドレスを着た歩兵に対しても 「部分貫通」の状態を得られます。
 サイコロの目で「2」(=例外的命中)が出る以外、ダメージを避ける手段はありません。
 与えられるダメージは最低でも2倍の16ポイント、半分以上の高確率で4倍の32ポイントを与えられます。
 クラスター弾の直撃を受けた歩兵部隊は、一撃で全滅してしまうのではないでしょうか。
 援護物に隠れていないのであれば、当然のような気もしますが。



 今度は命中DMが+8の場合です。


   表36 航空爆弾のダメージ期待値(命中難易度〈易:3+〉、DM+8)

BW58_Fig36.gif - 7.04KB

 表27と同じ形式です。

 命中DMが+4から+8に増えることで、クラスター弾ダメージ期待値も、 「完全貫通」で46.7〜62.2、「部分貫通」で23.3〜31.1へ増えました。
 DM+4の場合と比べて1.25倍にしか増えていませんが、これはルールのシステム上、仕方がないことだと思います。
 サイコロの目で「2」(=例外的命中)が出た場合の「ダメージなし」を除けば、 目標が受けるダメージは常に8倍(部分貫通ならば4倍)の48〜64ポイント(24〜32ポイント)になりましたから。





爆撃の巻き添え命中


 航空爆弾明示された目標地域(狙ったマス)の中で、 個別の目標に命中させるための行為判定と、ダメージ期待値に関する評価が終わったので、 今度は巻き添え命中について考えてみましょう。



 此処までの命中判定には、屋外戦闘マップの中でも大きなスケール1マス=150mを用いてきましたが、 此処からは1マス=15mのスケールを用いなければなりません。
 巻き添え命中には致傷範囲という要素が大きく影響してくるのですが、 その致傷範囲内での貫通力減衰は、 15mマスのスケールを前提としているからです。




(1)航空爆弾とロケット弾の貫通力と致傷範囲

 考察の46回「砲兵2:間接射撃−遠方」の表6、致傷範囲内における榴弾の貫通力、 と同じような形で、各種航空爆弾貫通力を求めてみました。


           表37 航空爆弾の貫通力と致傷範囲

BW58_Fig37.gif - 16.2KB

 いつものように、表の左端は武器名
 様々なサイズの通常爆弾ナパーム弾焼夷弾対人クラスター弾対装甲クラスター弾が並んでいます。

 その右側は貫通力
 左側から、狙った目標と同一のマス、1つ離れたマス、2つ離れたマス、という形で、 1マス離れる毎に半減する貫通力を示しました。
 貫通力は、そのマスが致傷範囲にある限り半減していきますが、 致傷範囲を超えるか、ゼロになるまで小さくなるかしたら、そのマスにダメージを与えることはありません。

 表の右端はダメージ致傷範囲



 通常爆弾焼夷弾は、基本ルールに従って、 同一マスから1マス離れる毎に貫通力が半減していきました。
 ですから、1つ離れたマス(隣接マス)では貫通力が半分(=2分の1)、 2つ離れたマスでは4分の1、3つ離れたマスでは8分の1、という値になっていきます。
 通常爆弾、特に1,000kg爆弾貫通力は極めて強大ですが、 その貫通力を発揮できる場所は、同一マスと、それに隣接したマスぐらいだ、ということなのでしょう。
 実に残念なことです。

 ところが、ナパーム弾と2種類のクラスター弾は、距離による半減がありません。
 致傷範囲内であれば、どのマスでも同じ貫通力
 この特典は、通常爆弾焼夷弾貫通力と比べてみると、 実に有難いものだと分かって頂けるのではないでしょうか。

 例えばナパーム弾
 同一マスと1つ離れたマスでの貫通力は、どの通常爆弾と比べても勝てませんが、 2マス目の貫通力を比べると、その立場は逆転していました。
 500kg以下の通常爆弾と比べるならば、 ナパーム弾の方が大きな貫通力を持っているのです。

 ナパーム弾致傷範囲は狭いので2マス目までしかダメージを与えられません。
 しかしクラスター弾致傷範囲は何と120メートル。
 15mマスのスケールで8マス先までダメージを与えることが出来ました。
 通常爆弾と比べた際の立場逆転は、 対人クラスター弾ならば2マス〜3マス目で、 対装甲クラスター弾ならば1マス目で発生しています。
 対装甲クラスター弾は優秀なのです。



 今度は、ロケット弾貫通力です。


           表38 ロケット弾の貫通力と致傷範囲

BW58_Fig38.gif - 9.55KB

 表37と同じ形式です。

 表の左端は、ロケット弾の口径と弾種。
 ロケット弾の口径は80mm120mmの2種類でした。
 弾種は榴弾(HE)フレチェット弾(Flechette)焼夷弾(Incendiary)の3種類。

 その右側は、表37と同じ方法で貫通力を示しています。



 ロケット弾の場合も通常爆弾と同じように、 榴弾焼夷弾の貫通力は急激に減少してしまいました。

 フレチェット弾は、 ナパーム弾クラスター弾と同じように、 距離による貫通力の半減が起こりません。
 元々の貫通力が小さいので、距離による半減ルールを適用されてはかないませんが、 致傷範囲内であればどのマスでも同じ貫通力で命中判定を行えるのは、有難いことだと思います。



 この貫通力を、特定の装甲値と比べてみると、 その結果は以下のようになりました。




(2)装甲値=4の目標に対する、航空爆弾とロケット弾の貫通力

 装甲値=4の目標に対して、 「完全貫通」、もしくは「部分貫通」 となる貫通力の部分だけ、数字を残しました。
 貫通力が小さく「無貫通」にしかならない部分は「」と示し、 致傷範囲外は「−」で埋めてあります。


    表39 航空爆弾の貫通力と致傷範囲(装甲値=4を貫通できる範囲)

BW58_Fig39.gif - 16.9KB

 表37と同じ形式です。



 目標が装甲値=4を備えている場合、 貫通力が3以下のマスでは「無貫通」の状態となります。
 表27〜表36で示した通り、「無貫通」の状態で与えられるダメージは極めて小さな値でしかありません。
 「完全貫通」や「部分貫通」の場合に与えられる ダメージ期待値と比較するのであれば、 「無貫通」の状態で与えられるダメージは無視できるほど小さいのです。
 上の表で「」と示したマスは、 「−」で示した致傷範囲外と同じように、 ダメージを与えられないものだと考えて良いでしょう。

 そう考えるのであれば、装甲値=4の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 50kgと250kgの通常爆弾ならば2マス以内、 350kg〜1,000kgの通常爆弾ならば3マス以内、 ナパーム弾も2マス以内で、 焼夷弾は1マス以内、となりました。
 クラスター弾はどちらも8マス以内、です。



 今度は、各種ロケット弾が有効な範囲。


    表40 ロケット弾の貫通力と致傷範囲(装甲値=4を貫通できる範囲)

BW58_Fig40.gif - 10.3KB

 表37と同じ形式です。



 装甲値=4の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 80mmロケット弾榴弾焼夷弾120mmロケット弾榴弾で1マス以内、だけです。
 フレチェット弾は口径に関わらず貫通力が極めて小さいので、 装甲値=4の目標にすら、大きなダメージを与えることができません。




(3)装甲値=10の目標に対する、航空爆弾とロケット弾の貫通力

 今度は装甲値=10の目標に対して 「完全貫通」もしくは「部分貫通」 になる貫通力の部分だけ、数字を残しました。


    表41 航空爆弾の貫通力と致傷範囲(装甲値=10を貫通できる範囲)

BW58_Fig41.gif - 17.3KB

 表37と同じ形式です。



 目標が装甲値=10を備えている場合、 貫通力が9以下のマスでは「無貫通」になりました。

 装甲値=10の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 50kg〜500kgの通常爆弾ならば1マス以内、 1,000kgの通常爆弾で2マス以内、 ナパーム弾も2マス以内で、 焼夷弾は狙った目標の同一マスのみ、となりました。
 対人クラスター弾貫通力が9しかないため、 致傷範囲すべての目標に対して「無貫通」。
 対装甲クラスター弾貫通力が28なので、 致傷範囲すべての目標に対して「完全貫通」です。



 今度は、各種ロケット弾が有効な範囲。


    表42 ロケット弾の貫通力と致傷範囲(装甲値=10を貫通できる範囲)

BW58_Fig42.gif - 10.3KB

 表37と同じ形式です。



 装甲値=10の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 80mmロケット弾榴弾と、 120mmロケット弾榴弾の同一マスだけになりました。
 焼夷弾フレチェット弾は、大きなダメージを与えることができません。




(4)装甲値=18の目標に対する、航空爆弾とロケット弾の貫通力

 最後は装甲値=18の目標に対して 「完全貫通」もしくは「部分貫通」 になる貫通力の部分だけ、数字を残しました。


    表43 航空爆弾の貫通力と致傷範囲(装甲値=18を貫通できる範囲)

BW58_Fig43.gif - 17.2KB

 表37と同じ形式です。



 目標が装甲値=18を備えている場合、 貫通力が17以下のマスは「無貫通」です。

 装甲値=18の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 50kg〜500kgの通常爆弾ならば狙った目標と同一マスのみ、 1,000kgの通常爆弾で1マス以内、 ナパーム弾焼夷弾対人クラスター弾貫通力が小さいため全てのマスで「無貫通」となりました。
 対装甲クラスター弾だけは貫通力が28なので、 致傷範囲=8マス以内すべての目標に対して有効です。



 クラスター弾、特に対装甲クラスター弾の恐ろしさが明らかとなりました。
 致傷範囲内すべての目標に対して、減衰しない貫通力で命中判定を行える、 というメリットは、同じ重量、250kgの通常爆弾と比べて9倍〜12倍も高価だというデメリットを差し引いても、 十分過ぎる価値があるのです。

 このままのルールですと、クラスター弾、 特に対装甲クラスター弾が強くなり過ぎるかも知れません。
 そこで、対装甲クラスター弾が行える巻き添え命中の回数を制限することにしました。

 表2の考察でも触れましたが、重量だけで考えるならば、重量250kgの対装甲クラスター弾の中には、 重量6kgの6cm砲弾が41発(=250÷6)詰まっている、と解釈することが可能です。
 それならば、巻き添え命中の回数を最大で40回までと制限できるのではないでしょうか?
 対装甲クラスター弾の致傷範囲は120メートルでした。
 これを15mマスに換算すると、致傷範囲は8マスとなって、 狙ったマスを中心とする17マス四方の範囲(=289マス)で表現できます。
 致傷範囲の289マスに対して、子弾の数は41発。
 すべてのマスで巻き添え命中の判定を行うためには、子弾の数が足りません。 289÷41=7.1、という計算結果から考えると、致傷範囲7マスの中で1マスだけ、判定を行えるということになります。
 これを実践する場合は、特定のマス(15mマス)で巻き添え命中の判定を行った場合、 隣接するマス8つでは巻き添え命中の判定を行えない、という形にすれば良いと思います。
 この制限を課しても、まだ最大79マスで判定を行うことが可能なのですが、流石にそこまで都合の良い状況は発生しないでしょう。

 対人クラスター弾の場合、子弾の数は416発(=250÷0.6)。
 1マス当たり1.4発の子弾が降り注ぐことになりました。
 更に対人クラスター弾の子弾は榴弾(HE)ですから、直撃の必要もありません。
 対人クラスター弾に関しては 巻き添え命中の回数を制限できませんし、する必要もないのです。



 ロケット弾が、装甲値=18の目標に対して有効な範囲。


    表44 ロケット弾の貫通力と致傷範囲(装甲値=10を貫通できる範囲)

BW58_Fig44.gif - 10.3KB

 表37と同じ形式です。



 装甲値=18の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 120mmロケット弾榴弾の同一マスだけです。
  80mmロケット弾榴弾焼夷弾フレチェット弾は、 装甲値=18の目標に対して、大きなダメージを与えることができませんでした。

 装甲値が大きな目標に対して、ロケット弾は非力なのです。





爆撃の前方移動


 此処までのルールではプレイアビリティを最優先し、 投下された爆弾は、そのまま投下したマスへ落ちる、という扱いをしてきました。

 しかし、現実の爆撃ではそうもいきません。
 航空爆弾が地表に到達するまでにある程度の時間が必要でしたから、 その間、航空爆弾は慣性の法則に従って、 投下した航空機と同じ速度で前方へ移動していくことになるでしょう。

 航空爆弾が投下した場所から前方へ移動する距離(移動するマス数)を、 此処では前方移動量と呼ぶことにします。
 単位は、メートルでもマス数(15mマス150mマス)のどれでも構いません。

 この章では、航空爆弾の前方移動量に関してハウス・ルールを作成し、 それによって生じる諸問題を考察してみました。




(1)前方移動量の求め方

 前方移動量の求め方は、以下のように定義しています。

>航空爆弾の前方移動量:
>
> 前方移動量 = 移動速度 × 落下時間。
>
> 移動速度は、爆撃を行った航空機の水平移動速度
> (単位はメートル、もしくは、移動ポイント)。
>
> 落下時間は、その航空爆弾が地表に到達するまでに必要な時間
> (単位は秒、もしくは、戦闘ラウンド)。


 上記の中の移動速度は、爆撃を行った時点における航空機の水平移動速度、です。
 水平爆撃ならば、その航空機の移動速度水平移動速度となる訳ですが、 急降下爆撃、緩降下爆撃、トス爆撃等を行っているならば、 移動速度水平移動速度とは限りません。
 極端な話ですが、1,200km/h(150mマスで12マス)で移動していても、 緩降下爆撃ならば800km/h相当(=8マス)、 急降下爆撃ならば400km/h相当(=4マス)の水平移動速度しか持たないのです。

 落下時間は 表4、表7〜8、表10、表13で示した航空爆弾の落下時間のことです。 表の数字をそのまま使って下さい。
 落下時間は最低でも1戦闘ラウンド(=6秒)、最大は10戦闘ラウンド(=1分)くらいになると思いますが、 命中精度を気にしなければ、20戦闘ラウンド(=2分)や40戦闘ラウンド(=4分)という長い時間も有り得ます。




(2)水平爆撃における前方移動量

 航空爆弾を投下する度に、その時点の高度と移動速度から求めるのは面倒なので、 条件を特定の範囲で限定した前方移動量の早見表を作ってみました。
 まずは高度4,500メートル(=高度レベル30)以下で、 水平爆撃を行った場合の前方移動量です。


       表45 水平爆撃における、航空爆弾の前方移動量−1

BW58_Fig45.gif - 17.7KB

 縦軸は航空機の移動速度
 単位はkm/hと、150mマスで表した移動ポイント

 横軸は航空機が爆弾を投下する高度
 高度が150メートル以下ならば、落下時間は1戦闘ラウンド
 300〜750メートルならば、落下時間は2戦闘ラウンド
 900〜1,500メートルならば、落下時間は3戦闘ラウンド
 1,650〜3,000メートルならば、落下時間は4戦闘ラウンド
 3,150〜4,500メートルならば、落下時間は5戦闘ラウンド
 となります。



 肝心の前方移動量ですが、 航空機の移動速度爆弾を投下する高度が交差する欄を見て下さい。
 前方移動量メートルと、 150mマスで求めたマス数で示しました。
 メートルが上半分の数字、マス数が下半分の数値です。

 例えば、航空機の移動速度が400km/h、爆弾を投下する高度が3,000mだった場合、 前方移動量2,400メートル(=16マス)となる訳です。
 移動速度が800km/h、爆弾を投下する高度が1,000mならば、 前方移動量3,600メートル(=24マス)になりました。



 今度は高度4,650メートル(=高度レベル31)以上から、 水平爆撃を行った場合の前方移動量です。


       表46 水平爆撃における、航空爆弾の前方移動量−2

BW58_Fig46.gif - 18.8KB

 表45と同じ形ですが、爆弾を投下する高度は4,650メートル以上になりました。
 高度が4,650〜6,500メートルならば、落下時間は6戦闘ラウンド
 6,600〜8,500メートルならば、落下時間は7戦闘ラウンド
 8,550〜11,500メートルならば、落下時間は8戦闘ラウンド
 11,550〜14,500メートルならば、落下時間は9戦闘ラウンド
 14,550〜17,500メートルならば、落下時間は10戦闘ラウンド
 ということです。

 前方移動量を求める際には同じように、 航空機の移動速度爆弾を投下する高度が交差する欄を見て下さい。
 航空機の移動速度が800km/h、爆弾を投下する高度が10,000mだった場合、 前方移動量9,600メートル(=64マス)です。




(3)急降下爆撃における前方移動量

 急降下爆撃を行った場合の前方移動量は、少し求め方が異なりました。


        表47 急降下爆撃における、航空爆弾の前方移動量

BW58_Fig47.gif - 17.4KB

 縦軸は航空機の移動速度
 単位はkm/hと、150mマスで表した移動ポイント
 その右に移動ポイントの振り分けも示しました。
 2つ並んだ数字の左側が前進、右側が降下、です。

 横軸は航空機が爆弾を投下する高度なのですが、急降下爆撃の場合、 航空機の移動速度に合わせて爆弾を投下する高度も変わります。
 とりあえず、落下時間=1戦闘ラウンド(命中DM=0)落下時間=2戦闘ラウンド(命中DM=−1)の2つに大別して、 移動速度毎に細かく爆弾を投下する高度を記しました。
 その移動速度と爆弾を投下する高度に対応する前方移動量も、 メートル150mマスで求めたマス数で並記しています。
 メートルが上半分の数字、マス数が下半分の数値。

 急降下爆撃前方移動量が小さいので、 水平爆撃と比べてみると、 目標のほぼ真上で爆弾を投下すると言っても良いかと思われます。




(4)緩降下爆撃における前方移動量

 今度は緩降下爆撃を行った場合の前方移動量


        表48 緩降下爆撃における、航空爆弾の前方移動量

BW58_Fig48.gif - 17.6KB

 表47と同じ形式です。

 緩降下爆撃の場合、 航空機が爆弾を投下する高度急降下爆撃の半分程度に減少。
 爆弾の前方移動量急降下爆撃の2倍前後に増大しました。
 緩降下爆撃の特徴が端的に表れている数字だと思います。




(5)トス爆撃における前方移動量

 最後はトス爆撃を行った際の前方移動量


        表49 トス爆撃における、航空爆弾の前方移動量

BW58_Fig49.gif - 13.3KB

 縦軸は航空機の移動速度
 単位はkm/hと、150mマスで表した移動ポイント
 移動ポイントの振り分けは 2つ並んだ数字の左が前進、右が上昇になりました。

 トス爆撃の場合、トス爆撃を開始する高度が150メートル(=高度レベル1)だと決まっているので、 その航空機の移動速度によって、実際の爆弾を投下する高度も確定してしまいます。
 爆弾を投下する高度も自動的に決まりますので、 前方移動量も簡単に求めることが出来ました。

 トス爆撃前方移動量は、 超低空から爆撃を開始することを思うと、非常に大きくなっています、
 しかも爆弾を投下した後は反転して(インメルマン・ターンを行って)、目標から遠ざかる方向へ移動できますから、 「爆風被害」に巻き込まれる心配もありません。




(6)前方移動のメリットとデメリット

 爆撃のルールに航空爆弾の前方移動を採用した場合、 メリットとデメリットが発生します。



 大きなメリットは、目標から離れた場所で爆弾を投下できること。
 これまで説明してきた簡易ルールにおいて、爆弾を投下する航空機は目標が存在するマスの真上を通過しなければなりませんでした。
 当然、目標周辺に据え付けられた対空砲火からは、撃たれまくります。
 しかし航空爆弾の前方移動を採用するのであれば、目標の手前から爆弾を投下して速やかに、 対空砲火から逃れることが可能になるでしょう。

 例えば、高度1,500メートルを移動速度600km/hで飛行する航空機が、爆撃を行う場合を考えてみます。
 この航空機の飛行する高度は1,500メートルですから、急降下爆撃の項で説明した通り、 高度2,000メートルまで届く中対空砲と、 高度10,000メートルまで届く重対空砲によって撃たれる可能性がありました。
 高度1,000メートルまでしか届かない歩兵用小火器軽対空砲については、無視できます。

 あくまで参考値ですが、「COACC」における対空砲火の(水平方向の)射程は、 歩兵用小火器が250メートル(同一マス)まででした。
 軽対空砲が500〜1,500メートル(3〜10マス)まで。
 中対空砲重対空砲が5,000メートル(30マス)まで。
 となっております。

 中対空砲重対空砲の(水平方向の)射程は5,000メートル(30マス)まで。
 航空機は中/重対空砲の射程に入った時点から撃たれ続けることになるでしょう。
 移動速度が600km/hですから、1戦闘ラウンド当たり6マスの移動しかできません。
 目標の上空に到達するまで(爆撃を実行できるまで)、5戦闘ラウンド(=30÷6)の間、 対空砲火を耐えなければならないのです。
 更に爆弾投下後の離脱時間も計算に入れるのであれば、2倍の10戦闘ラウンドを耐えなければなりません。

 しかし航空爆弾の前方移動を採用するのであれば、 その航空爆弾の前方移動量は、2,700メートル(=18マス)、もあります。
 航空機は、目標の2,700メートル(=18マス)も手前で爆弾を投下できるのですから、 対空砲火に撃たれる時間も減少しました。
 中/重対空砲の射程内を飛行する時間は2戦闘ラウンドです。
 爆弾投下後の方向転換と離脱時間を含めても、5戦闘ラウンドを耐えれば十分でしょう。

 航空爆弾の前方移動を採用するのであれば、爆撃を行う航空機の生存率はずっと多くなる筈です。



 反対のデメリットは、その航空機の移動経路(爆撃コース)が限定されてしまうこと。
 例に挙げた航空機の場合、目標の2,700メートル(=18マス)手前で爆撃を行うことが必須になりました。
 2,550メートル(=17マス)手前で投下したならば、爆弾は目標を通り越してしまいますし、 反対に2,850メートル(=19マス)手前で投下したならば、爆弾は目標の手前150メートルへ落ちてしまいます。
 簡易ルールでは、目標の真上(同じマス)を通過すれば良かった航空機は、 目標から正確に2,700メートル(=18マス)離れたマスで、爆弾を投下しなければならなくなったのです。
 おまけに、その時点で航空機は、目標に向かって直進していなければなりません。

 一般的な爆弾は、旋回等の方向転換を行うことができません(面倒になるので滑空爆弾等のことは忘れて下さい)。
 投下された時点での移動速度を保ったままの状態で前方への移動を続ける訳ですから、 航空機は目標へ向かって直進していなければならないのです。
 これで、航空機の移動経路(爆撃コース)が限られるようになりました。
 戦闘マップに正方形マス(スクエア)を用いているのであれば、 航空機の移動方向は45度刻みで8方向に制限されます。
 戦闘マップに六角マス(ヘクス)を用いているのであれば、 航空機の移動方向は60度刻みで6方向に制限されます。
 その目標を狙った爆撃は上記に挙げた6〜8マスでしか行えません。
 この制限、結構、キツイのではないでしょうか。

 地上目標を守るための防空網(警戒レーダー対空砲)も、 そのことを前提として構築されるべきでしょう。
 簡易ルールであれば、敵の航空機を地上目標の真上(同じマス)に侵入させなければ爆撃を受けずに済んでいましたが、 航空爆弾の前方移動を採用するのであれば、そうもいきません。
 航空機の移動速度と高度によって爆弾の前方移動量は大きく変化しますが、 地上目標の真上だけを守れば良い、ということはないのです。
 防空網の構築には、色々と頭を悩ませることになるでしょう。
 それも醍醐味だと思いますが、プレイをより楽しんで頂ければ幸いです。





結論


 今回は、航空爆弾(Aerial bomb)と、 それを使った攻撃方法、爆撃(Bombing)について考察してみました。



 まず、通常爆弾の破壊力(殺傷力)は、 野砲(迫撃砲、低初速砲、高初速砲)の砲弾(榴弾)とほぼ等しいことが判明しています。
 例えば、50kg爆弾の殺傷力は口径18cmの砲弾(榴弾)と一致しており、 250kg爆弾口径24cmの砲弾(榴弾)と、 350kg爆弾口径30cmの砲弾(榴弾)と同じでした。
 500kg爆弾1,000kg爆弾に関して 類似する砲弾(榴弾)のデータは見つかりませんでしたが、 口径30cmよりも強力だ、ということだけは確認できています。
 上空から航空機が通常爆弾を投下することは、 その場所へ口径18cm以上の大口径砲弾(榴弾)を撃ち込むことと、同一視できるのです。

 ナパーム弾については、その貫通力とダメージの大きさ、命中判定の方法から、 塹壕に籠った兵士を焼き殺す目的には最適、という怖い結論が出てきました。
 焼夷弾の破壊力は弱いのですが、 焼夷効果を期待するよりも、煙幕を生成したり、目標にマーキングしたりするために用いられているそうなので、 仕方がないことかも知れません。
 クラスター爆弾は、広い範囲で大きな貫通力を発揮できる、 文字通りの大量殺戮兵器であることが判明しました。
 その高価な価格に見合った、ある意味、理想的な榴弾だとも言える、強力な爆弾なのです。

 ロケット弾は 小さな通常爆弾のような威力で、機銃掃射のように手軽に使える兵器でした。



 爆撃の方法について、水平爆撃急降下爆撃緩降下爆撃トス爆撃、4つの方法を検討し、 それらを再現するためのハウス・ルールを作成しています。
 超低空で行われる爆撃に関して「COACC」の公式ルール「爆風被害」を考察しました。
 その被害が予想以上に大きかったことから、 高抵抗爆弾誘導(スマート)爆弾の必要性を実感しています。



 最後ですが、航空爆弾の前方移動についてハウス・ルールを作成しました。
 色々と面倒にはなりますが、よりリアルな爆撃を再現できると思います。






2014.03.23 初投稿。