The Best Weapon
59th stage (Air Force 7)
Air to Ground Missiles

最強兵器 決定戦
第59回(空軍7)
空対地ミサイル
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MEGA TRAVELLER
 


 

対空砲火かない
    超遠方
からわれる爆撃
         空対地ミサイル発射


 前回の考察で取り扱った航空爆弾(Aerial bomb)
 通常爆弾だけでなく、焼夷弾クラスター弾ロケット弾までを含めた爆弾類は、 一般的に面制圧兵器(area weapons)と呼ばれます。
 これらの兵器は基本的に大きな致傷範囲を備えていますし、 致傷範囲が小さな場合は同時に複数を使用することで、致傷範囲の狭さを補うことになっていました。
 端的な言い方をしてしまえば航空爆弾は、 目標の近くへ落とすことで目標が吹き飛ぶことを期待して使用される兵器、なのです。

 「COACC」の説明文にも書かれていましたが、 航空爆弾については、
> 目標とした地域に爆弾が落ちるだけで、パイロットの任務は成功する。
 と見なされていたそうですから。



 もっとも、こうした方法では効率が悪いという考えは、昔から存在していました。
 例えば、航空爆弾の使用には、それを戦場まで運ぶ航空機の存在が不可欠ですから、 命中精度が悪くても命中するまで無尽蔵に爆弾を投下する、という訳にはいきません。
 もう少し、命中精度を良くする必要が生じてきます。

 あるいは、対空砲火のせいで高空からの爆撃しか実行できない目標があるとします。
 そうした場合、その高高度からは目標とした地域になかなか命中させられません。
 こうした状況でも、何らかの手段で爆弾の命中精度を良くしなければなりません。



 ここで登場したのが、精密兵器(precision weapons)
 所謂、誘導爆弾(Guided Bombs)空対地ミサイル(Air to Ground Missiles)のことです。
 これらの兵器は様々な種類の誘導装置に向かって目標へ導かれ、目標を直撃することになるでしょう。

 今回の考察では、これらの精密兵器、特に空対地ミサイルを取り扱うことにしました。
 誘導爆弾について、基本的なことは前回の考察「空軍6:爆撃」で触れましたから、   此処では誘導装置誘導方式だけしか説明しません。




 目次
    ※空対地ミサイルの概要
       (1)空対地ミサイルの性能
       (2)空対地ミサイルの誘導方式
    ※空対地ミサイルの射撃手順
       (1)目標の捕捉
       (2)ミサイルの発射
    ※空対地ミサイルの誘導と移動
       (1)指令誘導ミサイル
       (2)レーザー誘導ミサイル
       (3)自動追尾ミサイル
       (4)対レーダー・ミサイル
       (5)ミサイルの移動
    ※空対地ミサイルの命中判定
       (1)個別目標への命中判定
       (2)空対地ミサイルのダメージ期待値(難易度〈並:7+〉)
    ※空対地ミサイルの巻き添え命中
       (1)空対地ミサイルの貫通力と致傷範囲
       (2)装甲値=4の目標に対する、空対地ミサイルの貫通力
       (3)装甲値=10の目標に対する、空対地ミサイルの貫通力
       (4)装甲値=18の目標に対する、空対地ミサイルの貫通力
    ※結論





空対地ミサイルの概要


 初期型の空対地ミサイルは、テックレベル6から登場します。
 これは、パイロットがミサイルの行方を目視で追跡し、ジョイスティックで操縦するというシンプルなものですが、 こうした対地ミサイルの登場によって、航空機は地上目標を「より遠くから攻撃する」ことが可能になりました。




(1)空対地ミサイルの性能

 「COACC」に掲載されている空対地ミサイルの一覧を以下に纏めました。
 その性能について、考察してみます。
 まずは、その重量破壊力(殺傷力)から。


            表1 空対地ミサイルの性能−1

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 表の左端が空対地ミサイルの名前(区分)で、この表には6種類を並べました。
 一番上から指令誘導(Command Guided)ミサイルレーザー誘導(Laser Guided)ミサイル赤外線自動追尾(IR Homing)ミサイル画像認識自動追尾(TV Homing)ミサイル、 軽重2つの対レーダー・ミサイル(Anti Radiation Missiles)の順です。

 最も初歩的な空対地ミサイルである指令誘導ミサイルはテックレベル6から利用可能ですが、 他のミサイルはテックレベル7にならないと利用できません。



 最初のデータは重量(kg)
 使用目的に合わせているためだと思われますが、 指令誘導ミサイル1,000kg
 レーザー誘導ミサイル350kg
 赤外線自動追尾ミサイル画像認識自動追尾ミサイル軽量対レーダー・ミサイルの3つは200kg
 最後の重量対レーダー・ミサイルだけが500kgでした。

 例によって、「COACC」のルールには容積の概念が存在しておりません。
 容積が必要になった場合は、ミサイルの重量1kg当たり1リットルという数値を用いて下さい。
 機体内部にミサイルを格納する場合は、 ミサイルの重量1kg当たり2リットルのミサイル倉庫を用意すれば良いと思います。



 その右に並んだ3つの数値は、 貫通力ダメージ致傷範囲、です。

 指令誘導ミサイルには、 その使用目的に合わせて榴弾(HE)徹甲榴弾(HEAP)が用意されていました。
 そのどちらも口径30cmの砲弾とデータが一致しており、 榴弾のデータは500kgの通常爆弾とも一致しています。
 弾頭の重量が500kgですから、残りの500kgが誘導装置と推進装置、ということになるのでしょう。
 徹甲榴弾はトーチカや要塞など堅固な構造物を攻撃する際に用いられますが、 致傷範囲を持ちませんでの、周囲の目標に巻き添え命中を与えられません。

 レーザー誘導ミサイルの弾頭には、 榴弾徹甲榴弾が用意されていました。
 どちらも口径24cmの砲弾とデータが一致しており、 通常爆弾で言えば250kgの通常爆弾に相当します。
 弾頭の重量が250kgですから、残り100kgが誘導装置と推進装置に該当するのでしょう。

 赤外線自動追尾ミサイル画像認識自動追尾ミサイルの2つは、 移動目標(戦闘車輌)を攻撃するという用途のためでしょうか、徹甲榴弾だけしか用意されていませんでした。
 これは口径20cmの砲弾とデータが一致していましたので、弾頭部の重量は60kg。 残り140kgが誘導装置と推進装置に該当するようです。

 軽量対レーダー・ミサイルのデータは、 口径20cmの砲弾(榴弾)と一致していました。
 レーダー波の発信源を吹き飛ばす。少しぐらい狙った場所から外れても、爆風でアンテナ等の設備を薙ぎ倒し、ついでに人員も殺傷する。
 その目的を考えれば、その弾頭に榴弾を選択することは当然でしょう。
 このミサイルも弾頭部の重量が60kgですので、残り140kgが誘導装置と推進装置に該当します。

 同じ理由でしょうが、重量対レーダー・ミサイルも 口径24cmの砲弾(榴弾)250kgの通常爆弾と一致していました。
 ですから、残りの250kgが誘導装置と推進装置に該当する筈です。
 前述したレーザー誘導ミサイルと同じ弾頭を積んでいる筈なのに 重量対レーダー・ミサイル重量が大きな理由は、 最大射程速度にあるのでしょうか。



 次は、その射程速度飛翔時間価格を比べます。


            表2 空対地ミサイルの性能−2

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 表の左端の空対地ミサイルの名前については、表1と同じ。



 表に示した最初のデータは射程(km)
 同じ欄の下半分は、150mマスのスケールで換算したマス数です。

 射程は2つの数字が示されていますが、左側の数値は最小射程(Min Range)で、 右側の数値が最大射程(Max Range)を表していました。
 「COACC」のスケールは500mマスですから、 それを強引に150mマスへ直したので少し不自然な数字にもなっていますが、御容赦下さい。

 最小射程については考察を保留しておきますが、 最大射程9〜22.5km(60〜150マス)の範囲になっていました。
 前回の考察「空軍6:爆撃」でも軽く触れましたが、 対空砲火の最大射程は250m〜5km(同一マス〜30マス)です。
 これだけ長い射程距離があるのならば、空対地ミサイルを発射した航空機は 対空砲火の洗礼を受けずに離脱することも可能でしょう。



 その次のデータは速度(km/h)
 同じ欄の下半分は、150mマスのスケールに換算した、 1戦闘ラウンド当たりに移動できるマス数(=移動ポイント)です。

 発射されたミサイルは、 発射した航空機の移動速度に、この表に掲載した速度を加算した速度で移動する、 というルールになっていました。
 移動速度500km/hで飛行している航空機が、指令誘導ミサイルを発射したのであれば、 そのミサイルは、500km/h+2,000km/h=2,500km/hで移動する、ということです。
 発射した航空機の移動速度を、ミサイルの初速として反映するとか、 航空機の航空機の移動速度が大きい場合、発射したミサイルが背後に置き去りにされるという事態を防ぐため、といった目的があるのでしょうが、 このルールを悪用する(航空機が移動を終了した時点でミサイルを発射する)と、ミサイルの移動距離が異様に長くなってしまいました。
 そのあたりが不自然にならないように、レフリーとプレイヤーの間で話し合い、適度な制限を加えて下さい。

 加算されるミサイル自身の速度は、最も遅いレーザー誘導ミサイル等で1,500km/h、 最も早い重量対レーダー・ミサイル3,500km/hでした。



 3番目のデータは飛翔時間
 単位は戦闘ラウンド(=6秒)です。

 これは文字通り、ミサイルが飛翔可能な時間で、 ミサイルは発射された後、表に示されただけの時間しか滞空することができません。
 このデータは、前述の最大射程速度で割って求めました。
 「COACC」の原文にはなかったデータなのですが、 私がハウス・ルールとして追加した訳です。
 発射した航空機の速度を加算しないと、 ミサイル自身の速度だけでは飛翔時間内に最大射程まで到達することができません。
 御注意下さい。



 最後は価格(Cr)
 これについては何の問題もありません。
 通常爆弾の価格と比べると、ミサイルは非常に高価だな、と思いますが。



 今度はテックレベル8以降で登場する空対地ミサイルの一覧です。
 今回も、まずは重量破壊力(殺傷力)から。


            表3 空対地ミサイルの性能−3

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 表1と同じ形式ですが、空対地ミサイルの種類は3種類だけでした。
 一番上から自動指令誘導(Auto Command Guided)ミサイルマイクロ波自動追尾(Microwave Homing)ミサイル、 その12連装ミサイルポッド(pod of 12)中性微子自動追尾(Neutrino Homing)ミサイルの順です。

 レーザー誘導ミサイルマイクロ波自動追尾ミサイルはテックレベル8から、 中性微子自動追尾ミサイルはテックレベル10から利用可能です。



 最初のデータは重量(kg)
 自動指令誘導ミサイル1,000kgでした。
 マイクロ波自動追尾ミサイルは1発当たり50kgですが、 通常は12連装のミサイルポッドに収められて運用され、その重量が1,000kgです。
 中性微子自動追尾ミサイル200kg

 容積については、表1と同じことしか書けませんので省略しました。



 その右に並んだ3つの数値は、 貫通力ダメージ致傷範囲

 自動指令誘導ミサイルは、 やはりその使用目的に合わせて榴弾(HE)徹甲榴弾(HEAP)が用意されていました。
 これは口径30cmの砲弾とデータが一致しており、 榴弾のデータは500kgの通常爆弾とも一致しています。
 弾頭の重量が500kgですから、残りの500kgが誘導装置と推進装置、ということでしょう。

 マイクロ波自動追尾ミサイルのデータに一致する砲弾は見つかりませんでした。
 口径12cm〜18cmの徹甲榴弾に該当するのではないかと思われますが、 類似するデータが見つからなかったので詳細は不明。

 中性微子自動追尾ミサイルの弾頭はデータが口径20cmの徹甲榴弾と一致しました。
 このミサイルも弾頭部の重量が60kgとなりますので、残り140kgが誘導装置と推進装置に該当します。



 そして射程速度飛翔時間価格を比べます。


            表4 空対地ミサイルの性能−4

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 表の左端、空対地ミサイルの名前については、表3と同じ。



 最初のデータは射程(km)
 同じ欄の下半分は、150mマスのスケールで換算したマス数です。
 左側の射程最小射程で、 右側の射程最大射程でした。

 最大射程6〜12km(40〜80マス)で、ミサイルが全体的に小振りとなった分、 最大射程も短くなったように感じます。



 その次のデータは速度(km/h)
 同じ欄の下半分は、150mマスのスケールに換算した、 1戦闘ラウンド当たりに移動できるマス数(=移動ポイント)です。

 加算されるミサイル自身の速度は、1,200〜2,000km/hの範囲にありました。
 極端に早いミサイルというものが無くなっているのは、それだけの速度が必要ない、ということなのでしょうか。
 運用ドクトリンの変化が興味深いです。



 3番目のデータは飛翔時間
 単位は戦闘ラウンド(=6秒)です。



 最後は価格(Cr)
 相変わらずミサイルは高価ですが、マイクロ波自動追尾ミサイルは安価で使い勝手が良さそうだな、と思われます。



 参考までに、「COACC」に掲載されていた空対空ミサイルについて、 射程速度飛翔時間価格を転載しておきます。


             表5 空対空ミサイルの性能

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 左端の空対空ミサイルの名前は上から順に、 赤外線自動追尾(Infrared Homing)ミサイルセミ・アクティブ・レーダー自動追尾(Semiactive Radar Homing)ミサイルアクティブ・レーダー自動追尾(Active Radar Homing)ミサイル大型アクティブ・レーダー自動追尾(Heavy Active Radar Homing)ミサイルです。



 最初のデータは射程(km)
 同じ欄の下半分は、150mマスのスケールで換算したマス数です。

 左側の最小射程0〜5km(0〜30マス)の範囲でした。
 最小射程=0km(0マス)ということですから、 赤外線自動追尾ミサイルに関しては、目標と同一マスから発射しても構わないようです。

 右側の最大射程10〜150km(60〜1,000マス)の範囲。
 範囲が広すぎてコメントにも困りますが、何となく納得できる数字でした。



 その次のデータは速度(km/h)
 同じ欄の下半分は、150mマスのスケールに換算した、 1戦闘ラウンド当たりに移動できるマス数(=移動ポイント)ですが、 対空ミサイルだけあって、流石に速度が大きくなっています。
 高速で飛び回る航空機を追いかけるのですから当然のことでしょうが。



 3番目のデータは飛翔時間で、単位は戦闘ラウンド(=6秒)
 上3種類のミサイルに関して、飛翔時間は 「COACC」のルール中できちんと定義されていました。
 赤外線自動追尾ミサイル4戦闘ラウンド
 セミ・アクティブ・レーダー自動追尾ミサイルアクティブ・レーダー自動追尾ミサイルの2つが6戦闘ラウンドという具合に。
 隣の射程速度と見比べれば明らかですが、 ミサイルを発射する航空機の速度を加算しない限り、ミサイルは最大射程に届くより早く、 飛翔時間の制限時間を迎えてしまいます。
 速度飛翔時間の積は、 最大射程の半分から8割程度しかありません。
 こうした事情ですので、表2と表4で示した空対地ミサイル飛翔時間も、 勝手に短い数字を作らせてもらいました。
 最後、大型アクティブ・レーダー自動追尾ミサイル飛翔時間は、 「COACC」のルール中に見つからなかったので、 これも勝手に15戦闘ラウンドという数字を作りました。




(2)空対地ミサイルの誘導方式

 空対地ミサイルの誘導方式について、整理しておきます。




指令誘導(Command Guided)ミサイル

 まずは、テックレベル6で利用可能な指令誘導ミサイルから。

 このタイプの兵器は、発射した航空機から無線、もしくは有線で指令を送られ、目標へと誘導されます。
 砲手は、狙った地上目標と飛翔するミサイルの双方を目視で追跡し、 ジョイスティック(の如き操縦装置)を使ってミサイルの進路を修正するのです。
 ですからミサイルの誘導中、地上目標とミサイルの双方が、 ミサイルを発射した航空機の前方(左右60度の範囲内)に存在していなければなりません。
 誘導中は移動方向を制限されるので不便ですが、ミサイルの飛翔速度が速いので、それほど長い時間、拘束されることはないでしょう。

 砲手は、狙っている目標とミサイルの現在位置を把握し、どうすればミサイルが命中するのか、 未来予測をしながら誘導しなければなりません。
 これは意外と大変な作業で、砲手は毎戦闘ラウンド、誘導の行為判定に成功しなければならない、というルールで再現されています。
 無線妨害に弱いという欠点もありました。
 低いテックレベルでも利用可能な精密誘導兵器として指令誘導ミサイルが考案された訳なのですが、 行為判定等を見てみると、色々と制約が多く、運用が大変な兵器となっているようです。



 指令誘導ミサイルを使用する際には、以下の誘導装置が必要となりました。

 考察の58回「空軍6:爆撃」と用語を合わせるため、 指令誘導ミサイルの誘導に必要な管制側の装置をTV誘導装置と呼称しています。
 後述する自動指令誘導ミサイルの都合もありますが、 これらは誘導(スマート)爆弾のひとつ、 TV誘導爆弾(television command guidance bombs)の誘導に必要な装置を兼ねています。
 御了承下さい。


      表6 誘導装置の性能諸元(考察58回の表19、下半分を転載)

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 表の左端が誘導装置で、テックレベル毎に性能の異なるTV誘導装置を並べました。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)に関しては、 「レフリーズ・マニュアル」の輸送機器設計ルールに記載されていた、 探知機のデータを参考に決定しています。

 貫通力/減衰ダメージは、 レーザー誘導装置用のデータなので、TV誘導装置には存在しません。。

 表の右端は使用制限
 利用できるテックレベル最大射程(単位は距離帯とkm)を記載しています。
 テックレベル6〜8の誘導装置は、最大射程が遠方:5km
 テックレベル9の誘導装置は、最大射程が超遠方:50kmであるとしました。



 ところで、指令を送る方法として「有線」誘導方式も有り得た訳ですが、今回は見送りました。
 「COACC」に掲載されていた指令誘導ミサイルは、 1,200〜2,000km/h以上という高速で移動しますので、「有線」誘導は有り得ない、と考えたためです。
 地対地ミサイル(戦術ミサイル)ハウス・ルールを作る際には きちんと考慮したいと思っているのですが。




自動指令誘導(Auto Command Guided)ミサイル

 前述した指令誘導ミサイルの発展型です。
 テックレベル8から利用が可能になりました。

 このタイプは、照準装置の中央に狙った地上目標を収めておくだけで、 ミサイルが自動的にその目標へ向かって飛行してくれる(自動的に誘導される)、という優れた性能を持っています。
 そのため、誘導に費やす労力がずいぶんと少なくなりました。
 場合によっては照準装置を目標に向けたまま、ミサイルを発射した航空機自身は戦場を離脱することも可能です。

 他のバージョンとして、ミサイルの先端にテレビカメラを取り付けたミサイル(所謂、TV Command Guided)も存在します。
 このミサイルは、砲手がミサイル先端の視点から目標を視認することが可能であり、 ミサイルが命中するその瞬間まで精度の高い誘導を実現させています。

 と言う訳で、考察58回「空軍6:爆撃」の 誘導爆弾に記述されていた存在したTV誘導(television command guidance)爆弾は、 この指令誘導方式に該当することが判明しました。
 テックレベル8以降のTV誘導爆弾ならば、それは自動指令誘導として扱います。
 TV誘導爆弾を使用する際は、誘導の行為判定をミサイルと同じように行って下さい。
 何となく、誘導爆弾の命中率が一気に悪くなったような気がします。
 面倒ならば省いて下さっても構いませんが(苦笑)。

 自動指令誘導ミサイルを使用する場合も、表6へ示した誘導装置が必要です。



 「COACC、p.68」に掲載されていた空対地ミサイルの表によれば、 この自動指令誘導方式を使えるのはテックレベル7からなのだそうですが、 他の部分の記述と整合が取れなくなっていたため、テックレベル8からに変更しました。




レーザー誘導(Laser Guided)ミサイル

 レーザー誘導ミサイルは、テックレベル7から利用可能です。

 この兵器の誘導原理は、レーザー目標指示器で照射された目標を目掛けて飛んでいく、という単純なもので、 運用にはレーザー目標指示器が不可欠です。
 しかし有難いことに、そのレーザー目標指示器を使用するのは、ミサイルを発射する航空機に限定されていません。
 前進観測官を乗せた別の航空機や、あるいは地上部隊の前進観測官によって照射されていても、ミサイルの誘導は可能です。

 困ったことにレーザー目標指示器のレーザーは、レーザー探知機や受動EMSによって容易に探知されてしまいます。
 レーザーを探知した目標は、レーザー誘導ミサイルに狙われているということを即座に悟り、 何らかの対抗手段を講じてくるのではないでしょうか。
 例えば、「レフリーズ・マニュアル、p.83」に記載されている対レーザー・ガスや乱反射ガスのことですが、 このあたりの問題も少し考えてみたいと思います。



 レーザー誘導ミサイルを使用する際に必要な誘導装置は、以下の通りでした。


      表7 誘導装置の性能諸元(考察58回の表20、上半分を転載)

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 表の左端が誘導装置で、 今度はテックレベル毎に性能の異なるレーザー誘導装置を並べました。
 歩兵用のレーザー・カービンも追加してあります。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)が意味するところは表6と同じ。

 貫通力/減衰ダメージは、 レーザー誘導装置レーザー・カービンだけに存在するデータです。
 レーザー誘導装置のレーザーは、 貫通力=0ダメージ=0、 致傷力を持たないレーザーであるとしました。

 表の右端は、表6と同じように示した使用制限です。



 「COACC、p.68」に掲載されていた空対地ミサイルの表によれば、 このレーザー誘導ミサイルを使えるのはテックレベル8からでしたが、 やはり他の部分の記述と整合が取れないため、テックレベル7からに変更しました。
 自動指令誘導ミサイルの数字と入れ換わってしまったということなのでしょう。




自動追尾(Homing)ミサイル

 自動追尾(Homing)ミサイルには、以下の4種類のミサイルが含まれています。

 赤外線自動追尾ミサイル画像認識自動追尾ミサイルマイクロ波自動追尾ミサイル中性微子自動追尾ミサイル
 これらのミサイルすべては、射撃と同時に(退避や別目標への攻撃が可能な)撃ち放し兵器です。



赤外線自動追尾(IR Homing)ミサイル:

 目標の放射する赤外線に向かって突進するタイプの自動追尾ミサイルは、TL7から利用可能です。
 赤外線自動追尾ミサイルは、目標の熱源、 車輌のエンジン熱や排気熱などを追いかけて、目標を自動追尾します。
 具体的にどれだけの高温が必要かということに関してはレフリーの裁量に任されますが、不自然な状況にならないよう気を付けて下さい。

  赤外線自動追尾ミサイルは、車輌や居住者のいる建物など、明確な熱源を伴う目標だけに使われます。



画像認識自動追尾(TV Homing)ミサイル:

 画像認識型の自動追尾ミサイルもTL7から登場します。
 このミサイルを発射する際、砲手は光学式照準システムのテレビ画面の中で目標を明確に識別しなければなりません。
 これによって発射前にミサイルは目標を「見て」、その目標をロックし、そのイメージを記憶します。
 ミサイルは、発射されてから命中(着弾)するまで、目標のイメージを追い続けるでしょう。

 画像認識自動追尾ミサイルは、十分な光量が存在する環境、昼間にしか使うことができません。
 雲や雨、煙幕等によっても、その機能が妨害されてしまいます。
 目標が移動して、援護物や遮蔽物の陰に隠れてしまった場合も、それ以上の自動追尾を継続できません。
 そのため、このミサイルは、車輌、建物、ミサイル基地、砲床、橋など、 容易に視認できる固定目標に対して使用されることとなりました。



能動マイクロ波自動追尾(Active Microwave Homing)ミサイル:

 通常の電波の代わりにマイクロ波を用いたマイクロ波自動追尾ミサイルはTL8で登場します。
 このミサイルは、内蔵されたレーダーによって金属目標を探すため周囲を走査(スキャン)します。
 マイクロ波が戦闘車輌などの金属目標によって反射されると、ミサイルはその反射源を自動追尾するのです。

 目標がレーダー探知機や受動EMSを装備していれば、ミサイルの存在は容易に逆探知されてしまいますし、 レーダー妨害機やEMS妨害機によって、自動追尾を妨げられる可能性があるでしょう。

 その代りマイクロ波自動追尾ミサイルは、目標を視認できない位置から撃ち放すことが出来ます。
 例えば、丘の背後や遠く離れた場所から発射するのです。
 そのようにして発射されたミサイルは、自動的に金属目標を捜索し、それらの目標を自動追尾することでしょう。

 マイクロ波自動追尾ミサイルは、1,000kgの重量を持つ、12発入りのポッドとして利用可能です。



中性微子追尾(Neutrino Homing)ミサイル:

 中性微子自動追尾ミサイルはTL10で登場するミサイルです。
 このミサイルは、核融合炉など、目標に搭載された放射源を追いかけて、目標を自動追尾します。
 核融合炉を搭載した車輌(輸送機器)と固定式の核融合発電所、つまり中性微子の発生源に対してのみ使用できますが、 中性微子は遮断も妨害も出来ませんので、核融合動力を搭載した車輌に対しては極めて有効でしょう。




対レーダー・ミサイル(Anti Radiation Missiles):

 対レーダー・ミサイルは、レーダー波や無線通信波の発信源を自動追尾します。
 これらのミサイルは大規模な空襲や空挺作戦に先立って、目的地周辺のレーダー網や対空兵器を破壊するために用いられてきました。
 レーダーを使用している防空設備や対空兵器、無線通信を行っている司令部の他、 民間の無線通信設備(放送設備)なども、目標になる可能性があります。

 初期型(TL7)の対レーダー・ミサイルは、 目標が無線封鎖(レーダーや無線通信機の使用を止めること)によって、簡単に目標を見失ってしまいます。
 無線封鎖している目標の自動追尾を続けることはできません。
 ルール上、目標を見失った初期型の対レーダー・ミサイルは墜落してしまい、 マップ上から取り除かれることとなります。

 発展型(TL8以降)の対レーダー・ミサイルは、 目標が無線封鎖を行っても発信源の位置を記憶しているため、その場所への自動追尾を継続できます。
 無線封鎖を行っても、対レーダー・ミサイルは飛翔を続け、目標へと命中するのです。



 では、実際に空対地ミサイルを発射する手順(ルール)へ進みましょう。





空対地ミサイルの射撃手順


 空対地ミサイルの発射には、以下の手順が必要です。
 その手順は、目標の捕捉、発射、誘導、命中判定、という順序になっていますが、 ミサイルの種類によっては一部の手順を省略できるでしょう。
 基本的には、以下の手順通りに進めて下さい。




(1)目標の捕捉

 空対地ミサイルを発射するための準備として何よりも先に、 狙うべき地上目標を捕捉(acquire / lock on)しなければなりません。
 その行為判定の難易度は以下の通りです。

>地上目標を捕捉するために:
> 〈易〉、〈砲術〉。
>
>レフリー:
> 目標は機首方向から左右60度の範囲内に存在しなければなりません。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
>
> ミサイルが画像認識自動追尾ミサイルであれば、
> 行為判定の難易度は〈並〉になります。




 指令誘導方式自動指令誘導方式のミサイルは、捕捉の行為判定が不要でした。 地上目標を視認していれば、それだけでミサイルを発射することが可能です。

 レーザー誘導ミサイルは上記の通り、難易度〈易:3+〉で行為判定を行って下さい。

 赤外線自動追尾ミサイルも、難易度〈易:3+〉で行為判定を行います。

 画像認識自動追尾ミサイルを使う場合、行為判定の難易度は〈並:7+〉になります。
 また、このミサイルは十分な光量のある日中でなければ使用することが出来ません。
 曇天や雨天、霧が発生している状況では、不利なDM(−2か−4)を被るか、あるいは使用できない可能性があります。

 マイクロ波自動追尾ミサイルは前章の説明文にもあった通り、 視認できない目標に対して、ロックオンなしでの発射が可能になっていました。
 ですからマイクロ波自動追尾ミサイルは発射直後、あるいは、発射した次の戦闘ラウンドに、 目標捕捉の行為判定を行って下さい。
 その際は、ミサイルの前方(射程内)に存在している目標の中で、 ミサイルに最も近い位置にいる目標(金属目標、車輌や航空機に限られます)から順番にサイコロを振っていき、 最初に成功した目標に対して自動追尾を始めます。
 難易度は〈易:3+〉ですから、DMなしでもほぼ自動的に成功することでしょう。
 同時に複数のマイクロ波自動追尾ミサイルが発射された場合、 それらのミサイルは情報を共有して目標を分け合います。
 ひとつのミサイルがとある目標への自動追尾を始めたのであれば、他のミサイルはそれ以外の目標に対して目標捕捉の行為判定を試みて下さい。 ミサイルの前方(射程内)に未捕捉の目標が存在しなくなった場合にのみ、1つの目標へ2つ以上のミサイルが自動追尾することが許されます。

 中性微子自動追尾ミサイルは、目標を視認していなくても捕捉の行為判定が可能です。
 但し、航空機の探知機(中性微子探知機)によって、目標を探知していなければなりません。
 中性微子は、樹木や建物、地形などの遮蔽物に妨害されない放射線であるためです。
 説明文にもあった通り、核融合炉を搭載した輸送機器か核融合発電設備しか目標として捕捉できません。
 そのため、中性微子発生源である目標との間にある障害物の存在を認識して、迂回できるかどうかも疑問です。

 対レーダー・ミサイルは、目標がレーダーやEMS、無線通信機を使っている場合にのみ、ロックオンが可能でした。
 具体的には、その戦闘ラウンドに、レーダーによる探知やロックオン、射撃(ハイテクの火器管制装置は必ずレーダーの使用を伴います)、 無線通信、電波妨害を行った敵ユニットが、すべて対レーダー・ミサイルの目標に成り得るということです。
 しかしながら、航空機が目標捕捉を試みている時点で、まだ行動していないユニットは、 対レーダー・ミサイルの目標にはなりません。 その時点では、まだレーダー波や無線電波を発信していないからです。
 このハウス・ルールから考えると、 対レーダー・ミサイルを搭載している航空機(航空機)は、 出来る限り後攻で行動させるべきなのでしょう。
 これもハウス・ルールですが、 無線妨害機、レーダー妨害機、EMS妨害機を使用しているユニットは常に電波を発信していますので、 行動前であっても対レーダー・ミサイルの目標と成り得ることにしました。



 目標捕捉の成功率をその難易度とDMの大きさ毎に分けて比較してみました。


              表8 目標捕捉の成功率

BW59_Fig08.gif - 8.87KB

 表の左端は、8種類のミサイル名

 その右側が、対応する目標捕捉の難易度ですが、指令誘導方式自動指令誘導方式マイクロ波自動追尾ミサイルは、目標捕捉の行為判定が不要。
 レーザー誘導ミサイル赤外線自動追尾ミサイル中性微子自動追尾ミサイル対レーダー・ミサイルは、 難易度が〈易:3+〉
 画像認識自動追尾ミサイルは、難易度が〈並:7+〉でした。

 実際のところ、マイクロ波自動追尾ミサイルは発射直後、 もしくは、発射の1戦闘ラウンド後に目標捕捉の行為判定が必要と成り、 その難易度は他のミサイルと同じ〈易:3+〉なのですが、 「COACC」の説明文では何故か目標の捕捉なしで発射できることが強調されていたため、 このような表現方法となりました。

 御覧の通り、きちんと訓練を受けた砲手(〈砲術〉技能の持ち主)ならば、 致命的失敗を出さない限り、目標捕捉に失敗することはありません。
 画像認識自動追尾ミサイルだけは難易度が〈並:7+〉で難しくなっていますが、 これは地上目標が地形や植生に紛れて識別しにくいことを表しているのでしょう。
 しかし、〈砲術〉技能レベル+コンピュータ・モデル数の合計が+4以上あれば問題ありません。



 この行為判定には時間が掛からないので(時間単位が即時なので)、 この行為判定に成功すれば、同じ戦闘ラウンドにミサイルを発射することも可能です。

 次の段階へ進んで下さい。




(2)ミサイルの発射

 空対地ミサイルを発射する航空機は、 目標に向かって降下しているか、あるいは水平飛行を行っている必要があります。
 そして、ミサイルを発射する戦闘ラウンドの間、移動開始の時点からミサイルの発射時まで、 機種方向の左右30度以内に目標を保持していなければなりません。 ミサイルの発射は、最低1マスを移動した後ならば何時でも構いません。 例外は何らかの理由で1マスも移動せずに行動を終了する場合のみです。
 ミサイルは、最小射程と最大射程の間で発射されなければなりません。
 発射後、ミサイルを発射した航空機の速度に、ミサイルの速度を加えて下さい。



 更に、ミサイルを無事に発射できたかどうかを判定するための行為判定が必要です。

>空対地ミサイルの発射を成功させるために:
> 〈易〉
>
>レフリー:
> 「致命的失敗」の結果は発射装置に不具合が起きたことを示し、
> ミサイルは発射装置の上に「引っ掛かった」状態となります。




 このルール、「COACC」では意外と重要視されているようなのですが、 難易度〈易:3+〉の行為判定で無理にサイコロを振る必要はないと思います。
 ミサイルの信頼性の低さを再現するためのルールなのでしょうが、 朝鮮戦争やベトナム戦争の当時ならばともかく、私はそれほど必要を感じません。
 レフリーとプレイヤーの合意があれば、この行為判定は無視しても構わないと思います。



 私が面白いと思った点は、 目標捕捉の際には機首方向から左右60度の範囲内に存在するだけで良かった目標が、 ミサイル発射の時点では機種方向の左右30度以内に保持しなければならなくなった、ということでした。
 これは、照準装置の可動範囲が機首方向から左右60度の範囲を可動するのに対して、 ミサイル自身の探知機(seeker)が機種方向の左右30度以内しか対応していないのか、 あるいはミサイルの機動性(旋回性能)を考えると、この範囲でしか撃てない、ということを意味しているのでしょう。



 無事に空対地ミサイルを発射できたのであれば、次のステップへ進んで下さい。





空対地ミサイルの誘導と移動


 発射された空対地ミサイルは、何らかの手段によって目標へと誘導する必要が有ります。
 しかし、ミサイルがきちんと誘導されているかどうか、あるいは、目標をきちんと自動追尾できているかどうか、 移動を始める時点で以下の行為判定を行って下さい。




(1)指令誘導ミサイル

 指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイルの2つに関しては、 以下のような行為判定を用意しました。
 基本的には「COACC」に掲載されたルールの流用ですが、移動する地上目標を狙う場合、 そして地上目標が電波妨害を行う場合を考慮して、難易度やDMを追加修正してあります。

> 指令誘導式のミサイルを発射した航空機の砲手は、
> ミサイルが飛んでいる間は毎ターン、
> 次の行為判定を行わなければなりません。
>
>指令誘導式のミサイルを、目標へ向け続けるために:
> 〈並〉、〈砲術〉、敏捷力、移動DM。
>
>レフリー:
> ミサイルのテックレベルが6か7であれば、DM−2。
>
> ミサイルと航空機のどちらかが電波妨害機の有効距離内にあれば、
> 行為判定の難易度は〈難〉になります。
>
> 更に、電波妨害機の有効距離が、無線通信機の最大通信距離を越える
> 距離帯1つ毎に1段階、難易度が上昇します。
> 反対に、無線通信機の最大通信距離が、
> 電波妨害機の有効距離を越える場合は妨害不可能です。
> 通常通り、難易度〈並〉で誘導の行為判定を行って下さい。


 移動DMは、その戦闘ラウンドの開始時における航空機と地上目標との距離、相対速度から求めて下さい。。
 ミサイルの誘導は多くの場合、遠方(500m〜5km)の距離帯で行われると思います。



 誘導の行為判定は毎戦闘ラウンドに行わなければなりませんから、ミサイルを誘導する時間が長い程、行為判定の回数も多くなります。
 行為判定を繰り返した場合の誘導成功率を、その難易度とDMの大きさで求めました。

 以下の数値は、行為判定の難易度が〈並:7+〉だった場合の成功率です。


         表9 指令誘導の成功率(難易度〈並:7+〉)

BW59_Fig09.gif - 10.5KB

 表の左端は、行為判定の難易度
 前述の通り、今回の難易度は〈並:7+〉です。

 その右側が飛翔時間で、単位は戦闘ラウンド

 そして表の右側に、+DM±0+2+4+8の場合それぞれについて、誘導の成功率を示しました。



 技能なしの場合、行為判定の難易度がひとつ上がって〈難:11+〉になります。
 敏捷力によるDMも得られませんが、不利に働く移動DMだけは適用されますから、その行為判定はまず成功しないでしょう。
 必要な訓練を受けていない素人に指令誘導ミサイルの誘導を任せることは論外だ、という意図だと思われます。

 DMが±0となることは通常ならば有り得ませんが、 テックレベル7以下の指令誘導ミサイルを用いる場合は−2のDMがありますから、 〈砲術〉技能レベル、敏捷力ボーナスと打ち消し合って、±0になってしまうかも知れません。
 その場合の誘導成功率は、1戦闘ラウンドで7+(58.3%)です。
 2戦闘ラウンドになると34.0%、3戦闘ラウンドで19.8%まで下がりました。
 目標に届くミサイルは、目標までの飛翔時間が1戦闘ラウンドであっても5発中3発で、 2戦闘ラウンドになると3発中1発、 3戦闘ラウンドでは5発中1発しかない、ということです。
 何というか、随分と当てにならないミサイルだ、と感じました。

 DMが+2の場合だと、1回当たりの成功率は5+(83.3%)
 2戦闘ラウンド目も成功する確率は69.4%、 3戦闘ラウンド目も成功する確率は57.9%です。
 目標までの飛翔時間が3戦闘ラウンドであっても、5発中3発のミサイルが届く、ということが判明しました。
 ミサイルのテックレベルが6か7であれば、DM−2、という修正値は大したことがないかと思っていましたが、 何戦闘ラウンドも繰り返して判定を行うとなると、大きな影響を及ぼしているようです。
 3戦闘ラウンド先への到達率が、5発中1発5発中3発では3倍も違いました。
 テックレベル8で登場する自動指令誘導ミサイルがどれだけ素晴らしい兵器であるのか、 この数字を見ればそれは明らかでしょう。

 DMが+4の場合、1戦闘ラウンド目の誘導成功率は3+(97.2%)
 2戦闘ラウンド目も成功する確率は94.5%、3戦闘ラウンド目は91.9%でした。
 DMが±0と+2を比べた時ほどの劇的な違いはありませんが、 3戦闘ラウンド先の目標へ届くミサイルが10発中9発もあるという事実は、安心できる話だと思います。

 DMが+8であっても、この難易度だと成功率に違いが現れません。
 サイコロの目で「2」が出ない限り、致命的失敗を出さない限り、誘導に失敗することが有り得ないためです。



 ところで、「MT版:Robots、p.34」で追加された無線通信の妨害ルールは、 通信機と電波妨害機の出力差によって妨害の成功率が大きく異なってくるルールでした。
 「レフリーズ・マニュアル、pp.69」に書かれていた、 最大通信距離が等しいか、それ以下の電波通信機を使用不能にすることができる、 というルールよりも納得しやすいと思います。
 それを指令誘導ミサイルの誘導判定にも応用してみました。

 以下の使用例では狙われた地上目標が電波妨害機を使用しているという想定ですが、 必ずしも地上目標が電波妨害機を使用している必要はありません。
 ミサイルや航空機を電波妨害機の有効距離内に収めていれば、 他の車輌や地上施設、味方の電子戦機が電波妨害機を使用していても、全く構わないのです。



 仮に、ミサイルを発射した航空機が超遠方まで届くTV誘導装置(TL9)を装備しているとしましょう。
 ミサイルのテックレベルも9。パイロットと砲手の技能DMを合計すると、+4でした。 そして、とある地上目標に対して指令誘導ミサイルを発射します。

 地上目標は有効距離=遠方(5km)の電波妨害機で妨害を試みてきました。
 電波妨害機の有効距離は遠方まで。
 TV誘導装置(TL9)は超遠方(50km)まで届くので、この電波妨害機では妨害できません。
 通常通り、難易度〈並:7+〉の行為判定を、DM+4で行って下さい。
 サイコロの目で「2」を出さない限り、=致命的失敗とならない限り、誘導には失敗しない筈です。 2戦闘ラウンド目以降も誘導に成功する確率は、表9へ示した通り。



 今度は、地上目標が有効距離=超遠方(50km)の電波妨害機を持ち出してきました。
 電波妨害機の有効距離はTV誘導装置(TL9)と同じ距離帯なので、妨害が可能になります。
 行為判定の難易度は〈難:11+〉に上がりました。
 DMが+4あっても、成功率は7+(58.3%)しかありません。
 この場合、誘導時間が1戦闘ラウンドで済めばともかく、2戦闘ラウンド、3戦闘ラウンドと続くと、誘導の継続が難しくなってくるでしょう。

 実際に求めてみた誘導成功率は、以下の通りでした。


        表10 指令誘導の成功率(難易度〈難:11+〉)

BW59_Fig10.gif - 10.7KB

 表9と同じ形式です。
 但し行為判定の難易度は前述の通り、〈難:11+〉



 DMが±0の場合、1戦闘ラウンド当たりの成功率は11+(8.3%)しかありません。
 2戦闘ラウンド目の成功率は更に下がって0.7%、 3戦闘ラウンド目の成功率は0.1%という具合ですから、 ほとんどのミサイルは途中で誘導に失敗し、墜落してしまうでしょう。
 指令誘導ミサイルは、電波妨害に弱いのです。

 DMが+2の場合、成功率は1戦闘ラウンド当たり9+(27.8%)でした。
 2戦闘ラウンド目は7.7%、3戦闘ラウンド目は2.1%
 やはり、ほとんどのミサイルは誘導に失敗してしまうようです。
 +2程度のDMでは、電子妨害による難易度修正を打ち消せません。

 DMが+4の場合、誘導の成功率は1戦闘ラウンド当たり7+(58.3%)です。
 2戦闘ラウンド目の成功率は34.0%で、3戦闘ラウンド目の成功率は19.8%
 表9で示した難易度〈並:7+〉でDM±0と同じ成功率になりました。
 目標に届くミサイルは、目標までの飛翔時間が1戦闘ラウンドでも5発中3発で、 2戦闘ラウンドになると3発中1発、 3戦闘ラウンドでは5発中1発しかない、ということです。
 ミサイルのすべてが誘導に失敗するという訳ではありませんが、この成功率ではミサイルを当てにすることもできないでしょう。

 DMが+8の場合、成功率は3+(97.2%)でした。
 2戦闘ラウンド目も成功する確率は94.5%、3戦闘ラウンド目は91.9%
 +8のDMがあれば、有効距離が同じ距離帯の電子妨害を突破して、ミサイルを目標まで届けることができるようです。



 地上目標が有効距離=地域間距離(500km)の電波妨害機を持ち出してくると、 誘導の難易度は<至難:15+>へ急上昇。
 DMが+4あっても成功率は11+(8.3%)まで下がってしまいました。
 行為判定は高い確率で失敗するでしょう。

 実際に求めた誘導の成功率は、以下の通り。


        表11 指令誘導の成功率(難易度〈至難:15+〉)

BW59_Fig11.gif - 10.2KB

 表9と同じ形式です。
 但し行為判定の難易度は前述の通り<至難:15+>となりました。



 有効距離が距離帯でひとつ大きい妨害機を使用された場合、 指令誘導ミサイルの誘導はほとんど成功しなくなります。
 実際、DMが±0+2の場合の成功率は0.0%
 最初の成功率が0.0%ですから、何回繰り返しても0.0%のままです。
 ミサイルは発射した途端に誘導を妨害され、目標を見失ってしまうことになるでしょう。

 DMが+4あれば、1戦闘ラウンド当たりの成功率は11+(8.3%)を確保できました。 といっても、目標を目掛けて誘導できるミサイルの数は12発中1発のみ、という状況。
 高価なミサイルですから、こんな成功率で使用するのは勿体無いと思います。

 DMが+8になると、1戦闘ラウンド当たりの成功率は7+(58.3%)
 2戦闘ラウンド目の成功率は34.0%で、3戦闘ラウンド目の成功率は19.8%
 表9で示した難易度〈並:7+〉でDM±0と同じ成功率です。
 やはり、この成功率ではミサイルを当てにすることができません。

 有効距離の距離帯が1つだけしか優っていない電波妨害機であっても、 指令誘導ミサイルの誘導は大半が妨害されてしまう、ということが分かりました。
 砲手の〈砲術〉技能レベルだけではカバーできません。
 強力な電子妨害機は、指令誘導ミサイルに対して極めて効果的なのです。



 この行為判定に成功した場合は、指令誘導ミサイルの誘導に成功した、ということになります。 (5)ミサイルの移動、へ進んで下さい。

 行為判定に失敗した場合は、指令誘導ミサイルの誘導に失敗した、ということになります。 ミサイルは墜落したものと考え、ユニットを盤上から取り除いて下さい。



 プレイヤーが地上目標の立場であるならば、行為判定は逆になります。
 指令誘導ミサイルの無線誘導を妨害するためには、以下の行為判定を行って下さい。
 妨害を試みるためには、無線妨害機、あるいは、EMS妨害機が必要です。

>指令誘導ミサイルの誘導を妨害するために:
> 〈並〉、〈通信〉、教育度、移動DM。
>
>レフリー:
> ミサイルのテックレベルが6か7であれば、DM+2。
>
> 電波妨害機の有効距離が、無線通信機の最大通信距離を越える
> 距離帯1つ毎に1段階、難易度が下がります。
> 反対に、無線通信機の最大通信距離が、
> 電波妨害機の有効距離を越える場合は妨害不可能です。


 航空機側の+DMが+4であると考えて、行為判定の立場を入れ換えました。
 僅かながらもプレイヤー側が有利になるように細工をしてありますが。
 移動DMは、妨害が成功しやすいように適用して下さい。

 この行為判定に成功すれば、ミサイルの誘導を妨害できた、ということになります。
 行為判定の対象となったミサイルを墜落させ、そのユニットを盤上から取り除いて下さい。

 行為判定に失敗した場合は、ミサイルの誘導を妨害できなかった、ということで、ミサイルはそのまま向かってきます。



 少し気になったので、「レフリーズ・マニュアル」の輸送機器設計ルール、 p.69とp.71に掲載されていた電波妨害機EMS妨害機の性能を纏めてみました。


     表12 電波妨害機とEMS妨害機の性能(有効距離=遠方:5km)

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 表の左端は、有効距離=遠方:5km電波妨害機EMS妨害機のテックレベルを示しています。
 テックレベルは5〜10の範囲。
 テックレベル6以降の世界でなければ指令誘導ミサイルは登場しませんが、 テックレベル5以下の世界でも輸入された指令誘導ミサイルが使われるとか、 反対にテックレベル6以上の世界でも旧式なテックレベル5の車輌が使われることは有り得るでしょう。
 EMS妨害機が登場するのはテックレベル10からなので、テックレベル10のものしか載せていません。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)が意味するところは表6と同じ。



 有効距離=遠方:5km電波妨害機は安価でした。
 その価格は150〜450Crという範囲なので、このレベルの電波妨害機ならば、 すべての輸送機器や野砲、防御拠点に据え付けることも可能だと思われます。
 問題は、その出力容積重量でしょう。
 テックレベル5の電波妨害機は、消費電力と占有容積が大きく、重量が重過ぎました。 これは重要な防御拠点でもなければ設置されていないのではないでしょうか。
 テックレベル6の電波妨害機はコンパクトなので、あまり負担にはなりません。 車輌への搭載は問題ないでしょう。

 テックレベル7以上の電波妨害機ならば、個人で持ち歩けるほどの大きさになります。
 テックレベル7以上の世界であれば、輸送機器や防御拠点が 有効距離=遠方:5km電波妨害機を装備している可能性は、 とても高いのではないでしょうか。
 それを実際に使用するかどうかは、周囲の状況にもよりますが。

 有効距離=遠方:5kmEMS妨害機は極めて高価です。
 価格が150〜450Cr電波妨害機と比べると余計高価に思えるのでしょうが、 その価格は80,000Cr、これ1台で電波妨害機を533台購入できました。
 あらゆる周波数帯の電波を妨害できるEMS妨害機を、 単純な指令誘導ミサイルの妨害に用いることは勿体無いことなのです。



 今度は、有効距離=超遠方:50kmになる 電波妨害機EMS妨害機の性能を纏めました。


    表13 電波妨害機とEMS妨害機の性能(有効距離=超遠方:50km)

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 表12と同じ形式です。
 但し、有効距離超遠方:50kmのもの。
 参考データとしてですが、「COACC」に掲載されていた 電子妨害ポッドも載せておきます。



 有効距離=超遠方:50km電波妨害機は、 有効距離=遠方:5kmのものと比べて3倍ほど高価でした。
 出力容積重量等のデータは、 2〜7倍の範囲で増加。
 それでもテックレベル7以上の世界であれば、輸送機器や防御拠点が 有効距離=超遠方:50km電波妨害機を装備している可能性は高いと思われます。

 有効距離=超遠方:50kmEMS妨害機は、更に大きく、重く、高価となりました。 その価格は400,000Cr
 元から装備しているのであれば指令誘導ミサイルの妨害に用いることもあるでしょうが、 それを主目的としてEMS妨害機を装備することは有り得ません。

 電子妨害ポッドは「COACC」の説明文に数行だけ記されていたものです。
 重量有効距離が書かれていただけで、それ以外のデータは一切ありません。
 「COACC」における電子戦機(簡易版)の性能が、 この程度の電子妨害能力であるという目安にして下さい。



 最後は、有効距離=地域間:500kmになる 電波妨害機EMS妨害機の性能です。


    表14 電波妨害機とEMS妨害機の性能(有効距離=地域間:500km)

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 表12と同じ形式です。
 但し、有効距離地域間:500km
 これも参考データですが、「COACC」に掲載されていた 電子戦専用機に搭載される電波/レーダー妨害機も載せておきます。



 有効距離=地域間:500km電波妨害機は更に2倍、高価なものになりました。
 出力容積重量等のデータは、2.1〜3.5倍。
 これだけ重くなると、すべての輸送機器や拠点に電波妨害機を搭載、接地する訳にはいきません。 一部の電子戦用機や機材が有効距離=地域間:500km電波妨害機を装備する、 ということになりそうです。

 有効距離=地域間:500kmEMS妨害機の価格は、 1,200,000Crという、極端に高価なものとなりました。
 装備すること自体が躊躇われる価格ではないでしょうか。

 電子戦専用機の性能も「COACC」の説明文に書かれていたものですが、 御覧の通り、有効距離だけしか具体的なデータがありませんでした。




(2)レーザー誘導ミサイル

 レーザー誘導ミサイルは、ミサイルの誘導を行う必要がありません。
 レーザー目標指示器によって目標にはレーザー光が照射される訳ですが、 レーザー誘導ミサイルはその反射したレーザー光を追い掛けて行く、という誘導方式だからです。

 もちろん、レーザー目標指示器は自身(搭載している輸送機器)の移動や狙っている地上目標の移動に合わせ、 そのレーザーの照射方向を変えていかなければなりません。
 ですが、レーザー通信機は「プレイヤーズ・マニュアル、p.85」で説明されている通り、 戦術コンピュータ(携帯式コンピュータや車載コンピュータでも問題なし)と接続されていれば、 自身が移動していても目標が移動していても通信を継続できるとのこと。
 TNEの記述によれば、レーザー目標指示器はレーザー通信機と同じ原理で作られているそうですから、 レーザー通信機と同じように、移動目標を自動的に追尾できると考えて良いでしょう。

 という訳でレーザー誘導ミサイルに関しては、誘導と追尾に関する判定を行う必要がありません。
 そのレーザーが、前進観測官を乗せた別の航空機や、あるいは地上部隊の前進観測官によって照射されていても、同じです。



 但し目標が、自身がレーザー目標指示器によって照射されていることに気付いたり、 自身に向かってレーザー誘導ミサイルが飛んでくることに気付けば、話は変わってきます。
 何らかの対抗手段が取れるのであれば、レーザー目標指示器のレーザーを妨害したり、あるいは、逃げ出したりすることでしょう。

 さて、ここでひとつ疑問が生じました。
 MT世界において地上目標が、レーザー目標指示器によって照射されていることに気付く可能性は、 果たしてどのぐらいあるのでしょうか?

 MTの輸送機器設計ルールにはしっかりと、 レーザー探知機受動EMSといった、 自身に照射されたレーザーを探知できる探知機が掲載されていました。
 これらの探知機を装備していれば、その輸送機器や施設は レーザー目標指示器によって照射されていることに気付けます。
 問題は、それらの探知機がどれだけ普及しているか、ということでしょう。



 再び「レフリーズ・マニュアル」の輸送機器設計ルール、p.69とp.71から、 レーザー探知機受動EMSの性能を纏めました。


    表15 レーザー探知機と受動EMSの性能(有効距離=超遠方:50km)

BW59_Fig15.gif - 8.60KB

 表の左端は、レーザー探知機名
 どういう理屈か分かりませんが、MTの輸送機器設計ルールにおけるレーザー探知機は、 第1世代(1st Generation)第2世代(2nd Generation)第3世代(3rd Generation)、といった呼び方で区別されていました。
 説明文が見つからないので、呼び方以外に何が違うのか良く分かりません。
 有効距離についてはデータがありませんので、とりあえず、 どんな距離であれレーザーが照射されていることについては探知できる、ということで良いのでしょう。

 受動EMSは説明文の通り、その機能の中にレーザー探知機を含んでいますから、 同じように使えると考え、上記の表に掲載しました。
 その有効距離は、超遠方:50kmですが。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)が意味するところは表6と同じ。



 結果は御覧の通りです。
 私は、TL8〜9という中途半端なテックレベルの輸送機器を設計した経験がほとんどないため気付きませんでしたが、 レーザー探知機という代物は、物凄く大きくて重くて高価である、ということが分かりました。
 表12〜表14において電波妨害機の大きさや重さ、価格について考察しましたが、 レーザー探知機の大きさや重さはテックレベル5の電波妨害機並みです。
 これほど大きいと、個人で持ち歩くことは論外ですし、車輌に積むことも躊躇われました。
 おまけに価格も高価です。
 電波妨害機の価格は150〜3,000Crでしたが、 レーザー探知機の価格は25,000〜35,000Cr
 文字通り、桁が違いました。

 テックレベル9以下の世界において、レーザー探知機を搭載している輸送機器や、 レーザー探知機を設置している施設は珍しいのではないでしょうか。



 テックレベル10以上の世界になると、今度は受動EMSが登場します。
 これは急激な小型軽量化が実現されており、 容積は2〜4リットル、重量は1〜2kgしかありませんでした。
 従来のレーザー探知機と比べるならば、桁が2つも違います。
 価格はあまり変わりませんでしたが、それでも20,000〜40,000Cr
 より多くの付加機能が付いて値段が変わらないのであれば、使い勝手の良い受動EMSが選ばれるでしょう。
 唯一の欠点は出力が大きくなったことでしょうか。
 従来のレーザー探知機1〜2kwしか消費しなかったのに対し、 受動EMSは10倍の電力10〜20kwを必要としていました。

 テックレベル10以上(場合によっては11以上)の世界であれば、受動EMSを搭載した輸送機器は珍しくないでしょう。
 「帝国百科」に掲載されている エアラフトGキャリアーも、 しっかり有効距離=超遠方:50km受動EMSを搭載していました。



 以上、レーザー探知機受動EMSの性能から考えてみた結果、
 テックレベル9以下の世界では、レーザーの照射に気付かない。
 テックレベル10以上の世界では、レーザーの照射に気付く。

 と言うことが言えるようです。

 ちょっと意外でした。 レーザー探知機がこんなに不便で使い難かったものだったとは思いませんでしたから。

 ちなみに、ローテク(テックレベル12以下の)世界において、レーザーの多くは可視光を使っているそうです (「Starship Operator's Manualより」)。
 ですから、レーザー光が大気中の水滴や煙に乱反射していれば見えることもあるでしょう。
 また、自分の体(車体や構造物の一部)にレーザー光が当たっているところを目撃することがあるかも知れません。
 ですが、そうしたレーザー光は熱や痛みを伴う訳ではありませんから、そうそう気付くこともないでしょう。
 夜間ならばレーザー光は目立ちますが、 そもそも夜間にレーザー誘導ミサイルを使う機会があるかどうか、分かりません。
 一応、私の見解として、レーザー探知機受動EMSを装備していないのであれば、 レーザーの照射には気付かない、ということにしてありますが、 もちろん、レフリーとプレイヤーの話し合いによって変更して下さっても結構です。



 レーザーの照射に気付いたのであれば、レーザーへの対抗手段が必要です。
 移動(回避)によってレーザー目標指示器の照射から逃れる、というのであれば、 次項、(3)自動追尾ミサイルの行為判定を参考にして下さい。
 移動できない地上目標の場合、あるいは、移動せずに逃れたい場合は、煙幕や対レーザー・ガス、乱反射ガスを使って下さい。



 今度は「レフリーズ・マニュアル」の輸送機器設計ルール、p.83から、 その他の防御装置を抜き出しました。


              表16 その他の防御装置

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 表の左端は、防御装置名
 MTの輸送機器設計ルールで対レーザー防御に使えそうな防御装置は、 煙幕発生器(Smoke Discharger:TL5)対レーザー・ガス(Anti-Laser Aerosol:TL8)乱反射ガス(Prismatic Aerosol:TL10)の3つでした。
 それに加えて、「COACC」に掲載されていた チャフ・フレア(Chaff/Flare)の重量だけを転載しておきます。
 この2つは重量だけしかデータが見つかりませんでした。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)が意味するところは表6と同じ。



 MTの個人戦闘ルールにおいて、煙幕(Smoke)は視線を遮ります
 ですから、煙幕対レーザー・ガスを展開して、その中に隠れた目標は、 自動的に敵の視線から逃れ、同時にレーザー目標指示器のレーザー照射からも逃れたことになりました。
 その反射光に誘導されていたレーザー誘導ミサイルも、目標を見失って墜落してしまいます。

 ちなみに、煙幕が展開される範囲は15メートル四方のマスを1つ埋め尽くし、その高さは地表から15メートルの高さまで届くとのこと。
 煙幕の煙は便宜上、1辺が15メートルの立方体となる訳です。
 その中に隠しきれない目標(例えば、高さ100メートル以上の高層建築物や、全長200メートルの列車)は、 複数の煙幕を展開するか、あるいは、煙幕に隠れることを諦めて下さい。
 一部分でも煙幕から露出している部分があれば、レーザー目標指示器はそこに指向され、 レーザー誘導ミサイルの誘導も継続されるものとします。



 誘導が継続されるのであれば、(5)ミサイルの移動、へ進んで下さい。




(3)自動追尾ミサイル

 赤外線自動追尾ミサイル画像認識自動追尾ミサイルマイクロ波自動追尾ミサイル中性微子自動追尾ミサイル
 これらのミサイルは、すべて同じ行為判定で回避(ロックオンの破断)を判定します。
 前述の通り、レーザー誘導ミサイルを回避する場合も同様。



 上記4種の自動追尾ミサイルの中で、 能動的な自動追尾を行うミサイルはマイクロ波自動追尾ミサイルだけです。
 マイクロ波自動追尾ミサイルだけは、 レーダー方位計受動EMSによって、 そのミサイルが自身を目標としていることに気付くでしょう。

 地上目標がレーダー方位計受動EMSを装備している場合、 その地上目標はマイクロ波自動追尾ミサイルが自身を狙っていることに、即座に気が付くと考えます。
 それらの探知機について、纏めた性能は以下の通り。


   表17 レーダー方位計と受動EMSの性能(有効距離=超遠方:50km)

BW59_Fig17.gif - 13.0KB

 表の左端はレーダー方位計のテックレベル。

 受動EMSは電波の発信源を逆探知できますから、 レーダー方位計と同じように使えます。実際はそれ以上の性能なのですが。
 有効距離超遠方:50kmのものを抜粋しました。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)が意味するところは表6と同じ。



 レーダー方位計は、極めて大きく、重く、高価であることが判明しました。
 特にテックレベル6のものはそうです。
 この大きさと価格では、重要な拠点か大型輸送機器でもなければ搭載することは望めません。

 テックレベル7になってようやく、車輌や航空機への搭載が可能になるでしょう。
 しかし高価であるため、搭載は特別な車輌や電子戦機に限られると思われます。

 テックレベル8〜9になると小型軽量化が進み、様々な車輌や航空機への搭載が可能となりました。
 しかし安価になったと言っても未だ厳しい価格面の制約から、搭載できる車輌や航空機は限られてしまうでしょう。

 テックレベル10になると、より安価で使い勝手の良い受動EMSが登場しました。
 多くの輸送機器は、特にテックレベル11以上になると、この受動EMSを搭載するようになりますので、 テックレベル10以上(場合によっては11以上)の輸送機器の多くは マイクロ波自動追尾ミサイルのロックオンに気付くことができるでしょう。



 レーザー誘導ミサイルに対する レーザー探知機受動EMSを考えた時と同じように レーダー方位計の性能を考えてみると、
 テックレベル9以下の世界では、マイクロ波の照射に気付かない。
 テックレベル10以上の世界では、マイクロ波の照射に気付く。

 ということとなりました。



 今度は、自動追尾ミサイルの回避について考えます。

 自動追尾ミサイルの回避を再現する方法は色々とありますが、 プレイアビリティの観点から、私は以下のような簡易ルールを用いることにしました。
 単純に、サイコロを振って目標値以上の目が出たら回避成功、目標値に届かなければ回避失敗、という訳です。

 某空戦ゲーム(Air War)のようにマップ上でミサイルを移動させ、旋回によってミサイル回避を再現する、 というルールにもできない訳ではありませんが、はっきり言って面倒です。
 MTの移動ルールはもちろん、 私が考察の53回〜55回「空軍1〜3」で作成した移動のハウス・ルールも、 それほど詳細な移動を再現できる訳ではありません。
 ミサイル専用の移動ルールを作ることも面倒ですし、それを使ってプレイすることは明らかにプレイアビリティを下げてしまいます。
 そんな事情から簡易ルールを用いることにしました。御了承下さい。



 狙われた地上目標が移動や電子妨害等によって自動追尾ミサイルの回避を試みる場合は、 目標側の立場に立って、以下の行為判定を行って下さい。
 自分に向かってくるミサイル1発に付き1回、サイコロを振ります。

 「MT版:Robots、p.34」に掲載されていた、 赤外線追尾ミサイル、レーダー自動追尾ミサイルの回避に関する行為判定を利用しました。
 狙われている地上目標が車輌等の輸送機器であることが大前提です。

>自動追尾式ミサイルのロックオンを外すためには:
> 〈難〉、適切な〈輸送機器〉技能、〈戦術〉、
>     コンピュータのモデル数(対抗)、技能なし可。
>
>レフリー:
> ミサイルが赤外線自動追尾ミサイルの場合、
> 防御側がフレアを射出した戦闘ラウンド中は、DM+2。
> 防御側が赤外線対抗手段(IRCM)を使用していれば、DM+2。
>
> ミサイルがマイクロ波自動追尾ミサイルの場合、
> 防御側がチャフを射出した戦闘ラウンド中は、DM+2。
> 防御側がレーダー妨害装置やEMS妨害機を使用していれば、DM+4。




 レーザー誘導ミサイル画像認識自動追尾ミサイルを回避する場合、 行為判定に+DMを与えてくれる対抗手段はほとんどありません。
 視線を遮る煙幕の類ならば効果的ですが、移動しながら煙幕を利用することはできませんから、 煙幕を利用するのであれば地上目標は静止することとなります(視線を遮るので回避は自動的に成功)。

 中性微子自動追尾ミサイルを回避する場合も同様ですが、 中性微子自動追尾ミサイルを確実に回避する手段はありません。



 回避に成功する確率を求めてみました。
 行為判定の難易度は〈難:11+〉です。


     表18 自動追尾ミサイル回避の成功率(難易度〈難:11+〉)

BW59_Fig18.gif - 10.5KB

 表の左端は、行為判定の難易度
 前述の通り、今回の難易度は〈難:11+〉です。

 その右側が飛翔時間で、単位は戦闘ラウンド

 そして表の右側に、+DM±0+2+4+8の場合それぞれについて、誘導の成功率を示しました。

 ミサイル回避の行為判定は戦闘ラウンド毎に1回ずつ行えます。
 ですから、ミサイルが高速だったり、すでに近くまで接近していたりする場合は、判定の回数が少なくなりますし、 ミサイルが低速で遠距離から長い時間を掛けて向かってくるような場合には、判定の回数が多くなるでしょう。



 DMが±0の場合、回避の成功率は11+(8.3%)しかありません。
 〈輸送機器〉技能レベルが0、〈戦術〉技能レベルも0、といった素人は、ミサイルに狙われた場合の回避方法も分からないようです。
 自動追尾ミサイルに狙われた場合は、回避することがほとんどできません。BR>  ミサイルが命中するまでに3戦闘ラウンドの時間があれば回避成功率は23.0%、 5戦闘ラウンドの猶予があれば回避成功率を35.3%まで上げられますが、 それでも生存率は5分の1から3分の1程度。
 素人が戦場で生き残るのは、難しいことだと言えるでしょう。

 DMが+2の場合、回避の成功率は9+(27.8%)でした。
 3戦闘ラウンドの時間があれば成功率は62.3%、 5戦闘ラウンドの時間があれば成功率は80.4%まで上がります。
 生存率は1戦闘ラウンドで4分の1、3戦闘ラウンドで5分の3、 5戦闘ラウンドで5分の4、ということになるでしょうか。
 DM+2の存在が、非常に重くなってきました。
 素人であっても、適切な妨害手段(チャフやフレア)が使えるならば、生存率は劇的に向上するのです。

 DMが+4の場合、回避成功率は7+(58.3%)です。
 3戦闘ラウンド目の成功率は92.8%、 5戦闘ラウンド目の成功率は98.7%と、極めて大きな数値まで上がりました。
 生存率は最初の1戦闘ラウンドだけでも5分の3ありますし、 3戦闘ラウンド目以降は9割を超えています。
 DMを+4も得られるベテランであれば、それほどミサイルを恐れることもなさそうです。
 近距離からミサイルを撃たれ、回避の行為判定が1回しかできない場合はかなり危ないのですが。

 DMが+8の場合、回避成功率は3+(97.2%)でした。
 ほぼ確実に回避成功です。
 DM+4のベテランが、適切な赤外線対抗手段(IRCM)やレーザー妨害機を併用すれば、 DM+8を達成できるでしょう。



 回避に失敗したのであれば、(5)ミサイルの移動、へ進んで下さい。




(4)対レーダー・ミサイル

 対レーダー・ミサイルは、レーダー波や無線通信波の発信源を自動追尾します。
 ですから、電波妨害は対レーダー・ミサイルに対して何の役にも立ちません。
 対レーダー・ミサイルの誘導を妨害するためには、 目標が電波の発信を止める以外に方法がないのです。

 しかしながら、無線通信を止めれば他の部隊との情報交換ができません。
 MT版の個人戦闘ルールにおいて、その状況は 戦術ポイントの共有ができないというペナルティによって再現されていました。
 個人戦闘ルールは戦術ポイントの活用で勝負が決まる、という一面もありますから、 部隊間の情報交換ができない(戦術ポイントの共有ができない)というペナルティは、 しばしば致命的となるでしょう。

 また、レーダーの使用を止めれば、敵の捜索や敵への射撃ができなくなります。
 これについて具体的なペナルティは何処にも記載されていませんので、ハウス・ルールを作りました。
 まず、テックレベル7以上の火器管制装置を備えた砲兵器はすべて、レーダー使用が前提であると見なします。
 レーダーの使用を止めた場合は、 その火器管制装置のテックレベルを6まで引き下げて命中難易度を判定して下さい。
 超遠距離での命中難易度が〈並:7+〉から〈難:11+〉に下がる。
 あるいは、遠方での命中難易度が〈難:11+〉から〈至難:15+〉に下がる。
 というペナルティになる訳です。
 このルールは「COACC」の対空射撃ルールにも準拠していますから、問題はない筈。

 これらのペナルティを甘受して電波の発信を止めるのであれば、 目標は対レーダー・ミサイルを妨害することが可能になるのです。

 使用されているミサイルが初期型(TL7)の対レーダー・ミサイルであるならば、 電波の発信を止めている目標を追い続けることは出来ません。
 その時点で、目標を見失った初期型の対レーダー・ミサイルは墜落してしまい、 マップ上から取り除かれることとなるでしょう。

 しかしながら発展型(TL8以降)の対レーダー・ミサイルは、 目標が電波の発信を止めても発信源の位置を記憶しているため、その場所への自動追尾を継続できます。
 若干、その命中率は悪くなりますが、対レーダー・ミサイルは記憶した場所へ向かって飛翔を続け、 目標へと命中するのです。



 対レーダー・ミサイルの回避に成否について纏めました。


           表19 対レーダー・ミサイルの回避

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 表の左端は対レーダー・ミサイルのテックレベル
 初期型(TL7)発展型(TL8以降)に分かれています。

 表の右側は地上目標の状況
 具体的には、電波の発信を発信している発信を止めているか、ということです。

 発展型の対レーダー・ミサイルは、 電波の発信を止めても構わず突っ込んできますから、どうやっても回避する手段がありません。
 命中判定のDMが+4から±0に変わる点が、せめてもの救いでしょうか。
 狙われた目標が移動可能な車輌であれば、 電波の発信を止めるのと同時に移動することで、 直撃を防ぐことが可能になるかも知れません。
 しかし、対レーダー・ミサイルの移動速度は結構、早かったような気がします。
 直撃を防げるだけの距離を移動することが出来るのでしょうか。



 自動追尾が継続されるのであれば、(5)ミサイルの移動、へ進んで下さい。




(5)ミサイルの移動

 空対地ミサイルの移動は、大幅に簡略化しています。
 某空戦ゲームのように、ミサイル航空機と同じように動かす という方法も考えたのですが、あまりにも複雑になり過ぎました。
 一度に数十発のミサイルが飛び交うような戦場でそうした方法を取ることは大変ですから、ミサイルの移動は、 移動速度高度だけを考え、 ひたすら目標へ接近する、という単純な方法で再現することにします。



 発射に成功した空対地ミサイルは、その現在位置を明確にするため、 発射された位置(マス)へミサイルを表すマーカーを置いて下さい。
 ミサイルを発射した航空機は、そのまま移動を続けて構いません。

 ミサイルの移動速度は、 ミサイルを発射した航空機の移動速度に、表1と表3へ掲載したミサイル自身の移動速度を加えたものになります。
 その範囲は最低でも1,200km/h、大きな場合は3,500km/hを超えるでしょう。

 ミサイルの高度は、 ミサイルを発射した航空機の高度と等しくなります。

 この移動速度高度は後でも使いますから、 きちんと何処かに控えておいて下さい。



 次の戦闘ラウンド、空対地ミサイルは、 そのミサイルを発射した航空機と同じイニシアチブで移動します。
 航空機がすでに撃墜されているか、盤外へ離脱しているのであれば、一番最後に動かして下さい。

 移動を開始する前に、ミサイルの誘導に成功しているか、あるいは、目標がミサイルの回避に成功したかどうか、判定を行う必要があります。
 その判定の後は移動方向や旋回については全く気にせず、 移動ポイントが尽きるまでひたすら目標へ近付く方向へ移動させる、という方法で結構です。

 高度変更については、目標との高度差(大抵の場合、それはミサイルの高度レベルと等しいでしょう)を命中までの飛翔時間で割り、 変更する高度レベル数も均等に割り振って下さい。
 端数が出た場合は、より低い高度で大きな高度変更を行う、ミサイルは命中寸前に急降下を行う、ということにしました。
 例えば、ミサイルの高度が5レベルで、命中までに2戦闘ラウンドが必要ならば、 1戦闘ラウンド目の高度変更は−2レベル(高度レベル3までの降下)で、 2戦闘ラウンド目の高度変更は−3レベル(目標に命中)、 ということです。
 命中までに3戦闘ラウンドが必要ならば、 1戦闘ラウンド目の高度変更は−1レベル(高度レベル4までの降下)で、 2戦闘ラウンド目の高度変更は−2レベル(高度レベル2までの降下)、 3戦闘ラウンド目の高度変更も−2レベル(目標に命中)という具合になるでしょう。
 高度変更についても、高度レベル1の変更に付き1移動ポイントの消費が必要ですから、 水平移動に費やせる移動ポイントは、高度変更を行った後の残りとなりました。



 ミサイルの移動速度と飛翔距離の関係は以下の通りです。
 使用したミサイルの性能(移動速度と飛翔時間)と、 ミサイルを発射した航空機の移動速度と高度から、 ミサイルがどれだけ遠くまで届くのか、明らかにしてみました。

 まずは、kmで表した飛翔距離です。


         表20 ミサイルの移動速度と飛翔距離(km)

BW59_Fig20.gif - 18.2KB

 表の左端はミサイルの移動速度(km/h)
 この数値には、ミサイルを発射した航空機の移動速度の移動速度も追加されます。
 例えば、移動速度=500km/hで飛行している航空機が、 移動速度=1,500km/hレーザー誘導ミサイルを発射したのであれば、 最終的なミサイルの移動速度2,000km/hになりました。
 飛翔距離(km)を求める際の移動速度は、2,000km/hの欄を見て下さい。

 参考として表の一番上には、80mmロケット弾120mmロケット弾を載せました。
 これらの兵器はミサイルではありませんが、 地上目標を遠くから攻撃できる兵器の始まりとも言えるものです。
 大事なことですので、ミサイルと比較しておくことにしました。



 表の中央は、ミサイルの飛翔時間
 単位は戦闘ラウンド(=6秒)です。
 その下には、飛翔時間に対応する飛翔距離(km)を示しました。

 赤字で示してある数値は、 軽対空砲の射程内=1.5km以内、であることを意味します。
 軽対空砲に分類される兵器は重機関銃や、 口径20〜30mmのオート・キャノンですが、数が多いので回避や制圧は一苦労でしょう。
 飛翔距離赤字で示されている兵器、 要するにロケット弾を使って地上攻撃を行うということは、 敵の軽対空砲の射程内に入る=撃たれる、ということも意味している訳です。

 黄字で示してある数値は、 中/重対空砲の射程内=5km以内、であることを意味します。
 中/重対空砲に分類される兵器は、口径40〜60mmのオート・キャノン、 口径80mm以上の高初速砲であり、それらは数こそ少ないものの、極めて強力な対空火器数でした。
 飛翔距離黄字で示されている兵器を使って地上攻撃を行う場合、 それら中/重対空砲に撃たれるリスクを無視できません。

 白地で示した数値は、すべての対空砲の射程外であることを意味します。
 飛翔距離が白地で示されている兵器を使って地上攻撃を行うならば、 敵の対空砲を心配する必要はないでしょう。



 表の右端は、その移動速度に該当するミサイルのタイプと、 ミサイルの最大射程(km)を載せています。
 ここで対応させている移動速度は、ミサイル自身の移動速度だけであることに注意して下さい。
 ミサイルを発射した航空機が速度0でないならば、ある程度の速度が上乗せされるのです。



 今度は、150mマスで飛翔距離を表してみました。
 実際のプレイには、こちらの方が使いやすいと思います。


         表21 ミサイルの移動速度と飛翔距離(km)

BW59_Fig21.gif - 18.1KB

 表20と同じように、左端はミサイルの移動速度(km/h)

 表の中央は、ミサイルの飛翔時間(戦闘ラウンド)
 その下には、飛翔時間に対応する飛翔距離を、 150mマスのスケールで示しました。



 上2つのロケット弾についてはすでに述べた通り、 ロケット弾を使って地上目標を攻撃する場合、 敵の軽対空砲の射程内に入らなければならない、ということが判明しています。
 ロケット弾は、意外とリスクが高い兵器だったということなのですが、 そもそもロケット弾に限らず、 航空爆弾を用いた爆撃であっても、敵の反撃というリスクを被る点に違いはありません。



 しかし、空対地ミサイルを使用できるのであれば話は変わってきます。
 それぞれに対応する飛翔距離を御覧下さい。

 例えば、マイクロ波自動追尾ミサイル
 このミサイルの移動速度は1,500km/h(15マス)ですが、 ミサイルを発射する航空機が500km/h(5マス)の速度で移動していれば、 最終的なミサイルの移動速度は2,000km/h(20マス)となるでしょう。
 視認ルールの場合と異なり、 移動は上下方向の移動(上昇と降下)にも移動ポイントの消費が必要であることに注意して下さい。

 ミサイルの移動速度は2,000km/h(20マス)で、ミサイルの最大射程は6km(40マス)
 ミサイルの最大飛翔時間は2戦闘ラウンドですから、ぎりぎり最大射程での発射が可能となりました。

 航空機が、高度=1,500m(10レベル)を飛行している場合、 垂直方向の移動に10マス分の移動ポイントを取られますから、残りは30ポイント。
 水平方向の射程距離は4.5km(30マス)しかありません。
 残念ですが、このマイクロ波自動追尾ミサイルを発射する航空機はミサイル発射の前に、 敵対空砲火(中/重対空砲)の洗礼を受けることとなるでしょう。
 しかし、軽対空砲の存在は無視できました。これだけでも随分とリスクを軽減できるのです。

 ミサイルの飛翔時間は2戦闘ラウンドです。1戦闘ラウンドでは目標に到達できません。
 ミサイルは毎戦闘ラウンド、5高度レベルの降下を行うことになりました。
 ミサイルの移動速度は2,000km/h(20マス)ですから、その内5マス分を降下に使用。 残り15マス分の移動ポイントを、目標へ近付くために使用する訳です。
 各戦闘ラウンドでミサイルをそのように移動させて下さい。

 ミサイルを発射した戦闘ラウンドは動かせませんから、ミサイルを発射した次の戦闘ラウンドに目標までの距離の半分を移動。
 2戦闘ラウンド後になってミサイルが目標と同じマスに進入する、ということになりました。
 ミサイルが目標と同じマスに進入した時点で、次章の命中判定を行います。



 異なる例として、今度は重量対レーダー・ミサイルを取り上げてみました。
 このミサイルの移動速度は3,500km/h(35マス)ですが、 ミサイルを発射する航空機が500km/h(5マス)の速度で移動していれば、 最終的なミサイルの移動速度は4,000km/h(40マス)となります。
 マイクロ波自動追尾ミサイルの2倍ですね。実に怖い話ですが。

 航空機が、同じように高度=1,500m(10レベル)を飛行しているならば、 垂直方向の移動に10マス分の移動ポイントを取られて残りは30ポイント。
 水平方向の射程距離も同じように4.5km(30マス)となります。
 この距離だと敵の中/重対空砲に撃たれるリスクは無視できませんが、 重量対レーダー・ミサイルはこの距離を2戦闘ラウンドで移動することができました。
 ミサイルを発射した次の戦闘ラウンドには、高度1,500m(10レベル)分の降下と、 水平距離4.5km(30マス)分の移動を終え、目標への命中判定を行えるのです。
 移動速度の早いミサイルは、何とも恐ろしいなと思いました。

 射程の長い重量対レーダー・ミサイルならば、もっと遠くからでも発射することができるでしょう。
 最終的なミサイルの移動速度が4,000km/h(40マス)であるならば、 2戦闘ラウンドの飛翔時間で12km(80マス)、 3戦闘ラウンドの飛翔時間で18km(120マス)を移動可能です。
 垂直方向の移動分を差し引いたとしても、この距離ならば中/重対空砲も届きません。

 長射程の空対地ミサイルはこの通り、一方的な対地攻撃を可能としてくれるのです。



 次は、ミサイルの命中判定について考察しましょう。





空対地ミサイルの命中判定


 今度は、ミサイルの命中判定、を考察します。




(1)個別目標への命中判定

 すべてのパイロットは、ミサイル着弾のターンに、以下に示したミサイル攻撃のサイコロを振って下さい。

>目標にミサイルを命中させるために:
> 〈並〉、〈砲術〉。
>
>レフリー:
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> ヘッドアップ・ディスプレイを使用していれば+1。
>
> 指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイル画像認識自動追尾ミサイルは、
> 気象条件によって命中判定に不利なDMを被ります。
> 曇り空の時はDM−2、雨天であればDM−4。
>
> レーザー誘導ミサイルならばDM+4。
>
> TL8以降の対レーダー・ミサイルならばDM+4。
> 但し、目標が無線封鎖をしている場合はDMなし。




 この命中判定は、目標に与えるダメージの判定も兼ねています。
 サイコロを振る前にきちんと、ミサイルの貫通力と目標の装甲値を比較して、 あらかじめ「貫通状態」を確認しておいて下さい。
 ミサイルが与えるダメージの大きさも重要です。

 もし、ミサイルを発射した航空機がすでに戦場を離脱しているか、あるいは撃墜されていても、 〈砲術〉技能レベルやコンピュータ・レベルのDMは、ミサイルを発射した航空機の乗組員やコンピュータのものを使って下さい。

 目視でミサイルを誘導する指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイルは、 気象条件によって、命中判定に不利なDMを被ってしまいます。
 曇天ならばDM−2、雨天ならばDM−4の修正を行って下さい。
 この2つのミサイルは夜間に使用できませんが、暗視装置や照明弾等の補助があればDM−4で使用できます。

 画像認識自動追尾ミサイルは十分な明るさが無ければ目標を画像認識できません。
 同じように、曇天ならばDM−2、雨天ならばDM−4の修正を行って下さい。
 このミサイルを夜間に使用することは不可能です。

 レーザー誘導ミサイルは、レーザー目標指示器の反射光を追尾するため、高い命中精度を期待できます。
 命中判定にDM+4を行って下さい。

 初期型(TL7)の対レーダー・ミサイルは、 命中精度が低い(電波発信源の捕捉精度が甘い)ので、命中判定の際に+DMはありません。
 発展型(TL8以降)の対レーダー・ミサイルならば命中精度が高いので、 有利なDM+4が加算されます。

 目標が無線封鎖を行った場合、初期型(TL7)の対レーダー・ミサイルは自動追尾を続けることができません。
 ですから命中判定を行うことは出来ないのですが、発展型(TL8以降)の対レーダー・ミサイルならば 電波発信源の位置を記憶しているため、その場所への誘導を継続できます。
 その場合、命中精度が悪化するため−4の命中DMを加算して下さい。 上記のDMと合わせて±0となりました。
 電波封鎖を行っているため大凡の位置を記憶しているといっても、決して精度は高くないのです。

 DMの上限は±8であることに注意して下さい。



 空対地ミサイルの命中難易度は、以下の通りとなります。


            表22 個別目標への命中難易度

BW59_Fig22.gif - 4.12KB

 表の左端は武器名ですが、 今回は空対地ミサイル1種類しか有り得ません。
 また、援護物の有無による難易度修正も有りませんでした。
 その右側が対応する命中難易度なのですが、〈並:7+〉だけです。

 表の右側は、砲術技能レベル+戦術ポイント等の+DMによって変化する、ミサイルの命中率。
 命中に必要な目標値と命中の可能性(%)を並記しました。



 命中率は上記の通りですが、レーザー誘導ミサイルと、 電波を発信している目標を狙っている発展型(TL8以降)の対レーダー・ミサイルは、DM+4が加算されます。
 反対に、指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイル画像認識自動追尾ミサイルの3つは、気象条件によって不利なDMを被ります。 曇天ならば−2、雨天ならば−4の修正を行って下さい。



 必要な技能(〈砲術〉技能)を持っていない砲手は、折角のミサイルをほとんど命中させることが出来ません。
 上の表には載せていませんが、その命中率は11+(8.3%)しかないのです。
 命中するミサイルは、目標と同じマスまで届いたミサイル12発中の1発のみ。
 物凄く勿体無いことだと思います。

 必要な技能レベルを持っていても、幾つかの要素によって、命中DMが±0になることも有り得ます。
 指令誘導ミサイル画像認識自動追尾ミサイルを 曇天や雨天で使用した場合に限られますが。
 その場合の命中率は7+(58.3%)
 目標と同じマスまで届いたミサイルは、その5発中3発ほどが、実際に命中したことになるでしょう。
 まだ勿体無い気がしますが、目標まで確実に届くとすれば十分に有効でしょうか。

 命中DMが+2の場合、命中率は5+(83.3%)

 命中DMが+4以上あれば、その命中率は3+(97.2%)です。
 これならば、ほぼ確実に命中すると言えるでしょう。
 レーザー誘導ミサイルと、 電波を発信している目標を狙っている発展型(TL8以降)の対レーダー・ミサイルは、DM+4が加算されますので、 素人が発射しない限り、高い技能レベルの持ち主でなくても、確実な命中を期待できる訳です。
 有難い話ですね。




(2)空対地ミサイルのダメージ期待値(難易度〈並:7+〉)

 恒例のダメージ期待値を計算しました。
 地上目標と同じマスに空対地ミサイル1発が届くことで、その目標にどれだけのダメージを与えられるのか、 命中判定1回毎(サイコロを1回振る毎)の平均値を求めています。

 まずは、命中DMが±0の状態で期待値を計算しました。


  表23 空対地ミサイルのダメージ期待値(命中難易度〈並:7+〉、DM±0)

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 「空軍5:機銃掃射」や「空軍6:爆撃」とほぼ同じ形で、 空対地ミサイルダメージ期待値を評価しました。

 表の左端は武器名
 上の3つの欄は榴弾(HE)を搭載した空対地ミサイルが5種類。
 下の5つの欄が徹甲榴弾(HEAP)を搭載した空対地ミサイルの7種類です。

 武器名の右側には、それぞれの貫通力ダメージを示しました。

 表の右側は、ダメージ期待値
 「完全貫通」と「部分貫通」、「無貫通」、 3つの貫通状態におけるダメージ期待値を示しています。
 同時に、その貫通状態になるための条件、目標の装甲値の範囲も並記しました。



 まずは表の上半分、榴弾(HE)を搭載した、5種類の空対地ミサイルから。

 指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイルは表1〜4で説明した通り、 口径30cmの砲弾(榴弾)、もしくは、500kgの通常爆弾に相当する弾頭を搭載しています (データが同じなので、これら2つのダメージ期待値は同じ欄に纏めています)。
 ですから、それらの砲弾や爆弾を同じように装甲値=17以下の地上目標を攻撃する際は、 「完全貫通」の欄を用いることができ、ダメージ期待値は37.8となりました。
 命中率は7+ですから半分程度ですが、命中すればサイコロの目が「7」ぎりぎりでも20ポイント、サイコロの目が「8」ならば40ポイント。 「9」以上ならば80〜160ポイントのダメージを与えられます(「部分貫通」の場合はダメージ半減)。
 これだけのダメージを与えられた個人(兵士)が即死することは間違いないでしょう。
 また、車輌もその耐久値を考えると高い確率で無力化、場合によっては修理できないほど完全に破壊されてしまう筈です。
 構造物(建物や鉄橋など)に対するダメージはまだ考察していないので何とも言えませんが。

 レーザー誘導ミサイル重量対レーダー・ミサイルは、 口径24cmの砲弾(榴弾)250kgの通常爆弾に相当する弾頭を搭載していました。
 装甲値=15以下の地上目標を攻撃する際のダメージ期待値は32.1
 命中すればサイコロの目が「7」でも17ポイント、サイコロの目が「8」ならば34ポイント、 「9」以上ならば68〜136ポイントのダメージを与えられるでしょう。
 個人(兵士)や車輌に与えられるダメージとしては十分な大きさです。

 軽量対レーダー・ミサイルに搭載される弾頭はやや小型で、 口径20cmの砲弾(榴弾)に相当していました。
 該当する通常爆弾は存在しませんが、50kgの通常爆弾より少しだけ強力です。
 装甲値=13以下の目標に限りますが、そのダメージ期待値は22.7
 最低でも14ポイントのダメージを与えられますので、個人(兵士)ならば即死確定ですが、 サイコロ運が良くないと車輌や施設に十分なダメージを与えられません。
 一撃でのダメージが足りないのであれば、威力の低さを手数の多さでフォローする、という使い方になるでしょう。
 軽量対レーダー・ミサイルの重量は200kgですから、 重量対レーダー・ミサイルの4割ほど。 逆に考えれば軽量対レーダー・ミサイル2発の代わりに、 軽量対レーダー・ミサイル5発を輸送できることとなりました。



 今度は表の下半分、徹甲榴弾(HEAP)を搭載した、7種類の空対地ミサイルです。

 指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイルは、 口径30cmの砲弾(徹甲榴弾)に相当する弾頭も搭載可能です。
 その貫通力は55
 宇宙船の船殻(装甲値=40)も、「部分貫通」ですが、撃ち抜けます。
 防空壕のコンクリート壁も「部分貫通」になりますが、 このコンクリート壁の装甲値が28、 ぎりぎりで「完全貫通」とならない数値であることに何となく作為的なものを感じました。
 装甲値=27以下の目標に対してならば「完全貫通」の状態を得られますので、 そのダメージ期待値は28.3
 装甲値=28〜55の目標に対する貫通状態は「部分貫通」となり、 そのダメージ期待値は14.2。
 どうしてもダメージ期待値は小さくなってしまいましたが、重装甲の目標にもダメージを与えられるという安心感があります。
 当然ながら、目標のタイプ(装甲値)に合わせて使い分けることとなるでしょう。

 レーザー誘導ミサイルの弾頭も口径24cmの砲弾(徹甲榴弾)が使用可能でした。
 貫通力は51ですから若干見劣りしますが、宇宙船の船殻も防空壕のコンクリート壁も撃ち抜けます。
 装甲値=25以下の目標ならば、ダメージ期待値は22.7装甲値=26〜51の目標ならば、ダメージ期待値は11.3でした。
 上に並んだ指令誘導ミサイルに比べると見劣りしてしまいますが、十分な破壊力だと思います。

 対レーダー・ミサイル徹甲榴弾を搭載することができません。
 その本来の用途を考えれば、当然のような気がしますが。

 赤外線自動追尾ミサイル画像認識自動追尾ミサイル中性微子自動追尾ミサイルの3つは、徹甲榴弾を搭載したものしか存在しません。
 搭載された弾頭のデータは口径20cmの砲弾(徹甲榴弾)に相当しています。
 貫通力は44で、 装甲値=22以下の目標ならば、ダメージ期待値は18.9装甲値=23〜44の目標ならば、ダメージ期待値は9.4でした。

 マイクロ波自動追尾ミサイル徹甲榴弾を搭載したものだけです。
 該当する砲弾(徹甲榴弾)のデータはありませんが、 自重50kgという軽量のミサイルであるにも関わらず、その貫通力は40
 ぎりぎりですが、宇宙船の船殻(装甲値=40)を貫通可能でした。
 ダメージ期待値は、装甲値=20以下で17.0装甲値=21〜40で8.5。
 バトルドレスを着た歩兵相手ならばともかく、戦闘車輌を相手にする場合は1輌に対して数発を撃ち込む必要があるでしょう。



 今度は命中DMが+4になった場合のダメージ期待値です。


  表24 空対地ミサイルのダメージ期待値(命中難易度〈並:7+〉、DM+4)

BW59_Fig24.gif - 17.9KB

 表23と同じ形式です。



 上の表から分かる内容は表23で述べたものとほとんど変わりません。
 但し、ダメージ期待値は3.5〜4.4倍に急増。
 これが空対地ミサイル本来のダメージ期待値だと言えるでしょう。
 車輌の撃破に数発が必要だった 軽量対レーダー・ミサイルマイクロ波自動追尾ミサイルも、 ほぼ一撃で目標を撃破できるようになっています。



 今度は命中DMが+8の場合。
 通常はベテランの砲手と高レベルのコンピュータが不可欠ですが、 レーザー誘導爆弾発展型の対レーダー・ミサイルならば、 簡単に+8のDMを得ることができるでしょう。


  表25 空対地ミサイルのダメージ期待値(命中難易度〈並:7+〉、DM+8)

BW59_Fig25.gif - 17.9KB

 表23と同じ形式です。



 今回も個別の考察は省略。
 全体としてダメージ期待値の大きさは、DM±0の場合と比べて6.6〜7.6倍。DM+4の場合と比べても1.9〜2.0倍に増えていました。





空対地ミサイルの巻き添え命中


 最後は、巻き添え命中の評価を行います。



 此処までの命中判定には、屋外戦闘マップの中でも大きなスケール1マス=150mを用いてきましたが、 此処からは1マス=15mのスケールを用いなければなりません。
 巻き添え命中には致傷範囲という要素が大きく影響してくるのですが、 その致傷範囲内での貫通力減衰は、 15mマスのスケールを前提としているからです。




(1)空対地ミサイルの貫通力と致傷範囲

 前回の考察「空軍6:爆撃」と同じような形で、 空対地ミサイル貫通力を求めてみました。


           表26 航空爆弾の貫通力と致傷範囲

BW59_Fig26.gif - 7.41KB

 表の左端は武器名
 榴弾を搭載した空対地ミサイル、5種類だけを掲載しました。

 その右側は貫通力
 左側から、狙った目標と同一のマス、1つ離れたマス、2つ離れたマス、という形で、 1マス離れる毎に半減する貫通力を示しています。
 貫通力は、そのマスが致傷範囲にある限り半減していきますが、 致傷範囲を超えるか、ゼロまで小さくなれば、そのマスにダメージを与えることはありません。

 表の右端はダメージ致傷範囲



 指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイルは、 口径30cmの砲弾(榴弾)500kgの通常爆弾と同じ貫通力、同じ致傷範囲を備えています。
 ですから当然、貫通力の減衰も同じようになりました。

 レーザー誘導ミサイル重量対レーダー・ミサイルは、 口径24cmの砲弾(榴弾)250kgの通常爆弾と同等です。

 軽量対レーダー・ミサイルのデータは、口径20cmの砲弾(榴弾)と同じでした。



 この貫通力を、特定の装甲値と比べてみると、 その結果は以下のようになります。




(2)装甲値=4の目標に対する、空対地ミサイルの貫通力

 装甲値=4の目標に対して、 「完全貫通」、もしくは「部分貫通」 となる貫通力の部分だけ、数字を残しました。
 貫通力が小さく「無貫通」にしかならない部分は「」と示し、 致傷範囲外は「−」で埋めてあります。


  表27 空対地ミサイルの貫通力と致傷範囲(装甲値=4を貫通できる範囲)

BW59_Fig27.gif - 7.88KB

 表26と同じ形式です。



 目標が装甲値=4を備えている場合、 貫通力が3以下のマスにおける貫通状態は「無貫通」となりました。
 表23〜表25で示した通り、「無貫通」の状態で与えられるダメージは極めて小さな値でしかありません。
 「完全貫通」や「部分貫通」の場合に与えられる ダメージ期待値と比較するのであれば、 「無貫通」の状態で与えられるダメージは無視できるほど小さいのです。
 上の表で「」と示したマスは、 「−」で示した致傷範囲外と同じように、 ダメージを与えられないものだと考えて良いでしょう。
 航空爆弾空対地ミサイルは、その傾向が強いようですが。

 そう考えると装甲値=4の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 指令誘導ミサイル自動指令誘導ミサイルの場合で4マス以内、 レーザー誘導ミサイル重量対レーダー・ミサイル軽量対レーダー・ミサイルの場合で3マス以内、です。

 榴弾を搭載した空対地ミサイルが目標に命中した場合、 その周囲3〜4マスに存在する装甲値=4以下の車輌や人員は、酷いダメージを受けることとなるでしょう。




(3)装甲値=10の目標に対する、空対地ミサイルの貫通力

 今度は装甲値=10の目標に対して 「完全貫通」もしくは「部分貫通」 になる貫通力の部分だけ、数字を残しました。


  表28 空対地ミサイルの貫通力と致傷範囲(装甲値=10を貫通できる範囲)

BW59_Fig28.gif - 8.02KB

 表26と同じ形式です。



 目標が装甲値=10を備えている場合、 貫通力が9以下のマスでの貫通状態は「無貫通」となりました。

 装甲値=10の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 すべての空対地ミサイルで1マス以内まで狭まります。
 周囲の目標に対する巻き添え命中は、ほとんど期待できないでしょう。




(4)装甲値=18の目標に対する、空対地ミサイルの貫通力

 最後は装甲値=18の目標に対して 「完全貫通」もしくは「部分貫通」 になる貫通力の部分だけ、数字を残しました。


  表29 空対地ミサイルの貫通力と致傷範囲(装甲値=18を貫通できる範囲)

BW59_Fig29.gif - 8.03KB

 表26と同じ形式です。



 目標が装甲値=18を備えている場合、 貫通力が17以下のマスにおける貫通状態「無貫通」です。



 装甲値=18の目標に有効なダメージを与えられる範囲は、 すべての空対地ミサイルで狙った目標と同一マスのみ、となりました。





結論


 今回は、超遠方(5〜50km)から一方的な攻撃を可能とする精密兵器空対地ミサイルに関する考察を行いました。



 まずは空対地ミサイルの性能を評価しました。
 空対地ミサイルに搭載される榴弾(HE)は、 最大のサイズでも口径30cmの砲弾(榴弾)に相当するものまでしか存在していませんでした。
 これは航空爆弾500kg通常爆弾に相当するものでもありますが、 1,000kg通常爆弾に相当する弾頭を積んだ空対地ミサイルが存在しないということは、 それが必要ないか、積んだミサイルを運用することが困難だ、という事情によるのでしょう。
 大きな貫通力が必要であれば、徹甲榴弾(HEAP)を使用すれば良いのです。

 徹甲榴弾を搭載した空対地ミサイルも、 口径30cmの砲弾(徹甲榴弾)までしかありません。
 その貫通力は55でしたから、1,000kg通常爆弾よりも強力です。
 徹甲榴弾を搭載した空対地ミサイルが存在するのであれば、 確かに1,000kg通常爆弾を搭載したミサイルは不要でしょう。
 テックレベルが高くなると、より小型軽量で貫通力40以上のミサイルが登場しますから、 ますます大きな弾頭(榴弾)の必要性が薄れてきました。



 ミサイルの発射手順誘導方式に関しては、 「COACC」や「Robots」を参考にして、 幾つかのハウス・ルールを作成しました。
 その誘導を妨害するための手段に関しても、輸送機器設計ルールから使用できる機器を抜き出し、検討しています。
 できる限り単純な手順やルールを作り、プレイアビリティを損ねないように考慮しました。

 移動ルールを検証するのと同時に、 ミサイルの飛翔時間最大射程についても考察しています。
 その結果、ミサイルの実用的な射程距離が遠方(5km以上)であると判明しました。  この距離帯は対空砲の射程外となりますので、 空対地ミサイルを搭載した航空機は、一方的な対地攻撃が可能となるのです。



 ミサイルの命中判定は単純なルールとなっていました。
 空対地ミサイルダメージ期待値は、 通常爆弾のものとほぼ同等です。
 地上目標が援護物に隠れていても命中難易度が変わりませんので、 通常爆弾より優れていると表現するべきかも知れませんが。
 移動目標に対する命中率の問題は、移動目標向けのルールが未だ良く分からないので、棚上げしています。






2014.03.30 初投稿。