The Best Weapon
62nd stage (Air Force 8)
Anti Air Spotting

最強兵器 決定戦
第62回(空軍8)
対空監視
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MEGA TRAVELLER
 


 

びたいのであれば、
    航空機見つかるよりも
        先相手見つけよう



 考察の57〜59回「空軍5〜7:機銃掃射、爆撃、空対地ミサイル」にて、航空機が地上目標を攻撃した場合の、 命中率とダメージ期待値を求めました。

 初期(TL5〜6)の機銃掃射はほとんど当たらず、ダメージ期待値も0に近かったのですが、 テックレベルが7になるとダメージ期待値が急激に増加。
 テックレベル8以上では、かなり効果的な対地攻撃兵器と化します。 
 テックレベル14以上では、その高性能な火器管制装置のおかげで、遠方(500m〜5km)の距離帯であっても、 高精度な機銃掃射が可能となりました。
 高エネルギー火器(プラズマ砲、フュージョン砲)の登場との相乗効果もあって、非常に恐ろしい攻撃方法へと進化を遂げています。

 爆撃もテックレベル5から可能でしたが、 初期(TL5)の爆弾は小型軽量、低威力のものしか存在しません。
 強力な爆弾が使えるようになったのはテックレベル6以降となっています。
 誘導爆弾の登場はテックレベル7から。クラスター爆弾が登場するのはテックレベル7と8でした。
 これらの兵器によって、爆撃は高精度な大量殺戮手段へ進化しているのです。

 空対地ミサイルの登場もテックレベル6からですが、 この段階ではまだ誘導装置等が不十分な性能しか持ちません。
 テックレベル7、テックレベル8と技術が進むにつれ誘導装置も高性能なものとなりました。
 高エネルギー火器が登場することによって空対地ミサイルは旧式なものとなりますが、 それでも高エネルギー火器を使用できない状況では、使い勝手の良い兵器としての地位を保ち続けています。



 こうした空(航空機)からの暴力(機銃掃射爆撃空対地ミサイル)に対して、地上目標が無抵抗を貫く義理はありません。
 ありとあらゆる手段を使って、抵抗を試みるべきです。

 「COACC」にはきちんと 対空砲地対空ミサイルといった対抗手段が用意されていました。
 「空軍」シリーズの考察では上記2つについても考察を行う予定ですが、 対空砲地対空ミサイルを使用するためには、 まず何よりも、目標である敵航空機を発見しておかなければなりません。
 今回は、航空目標の探知(対空監視:Anti Air Spotting)について考えます。




 目次
    ※航空目標の視認
       (1)最大遭遇距離(視認可能な距離の最大値)
       (2)航空目標の探知(視認)
       (3)可視光・赤外線増幅器
    ※レーダーの使い方
       (1)レーダーの性能
       (2)レーダーによる航空目標の「探知」と「固定」
       (3)レーダーの逆探知
    ※レーダーに対する電子妨害
       (1)レーダー妨害機の性能
       (2)レーダー妨害機の効果
       (3)直視レーダーの性能
       (4)直視レーダーの逆探知
    ※受動探知の使い方
       (1)質量探知機の性能
       (2)受動質量探知による航空目標の「探知」と「固定」
       (3)受動EMSの性能
       (4)中性微子探知機の性能
       (5)受動エネルギー探知による航空目標の「探知」と「固定」
    ※探知方法の比較
       (1)一般的な対空監視能力
       (2)高度な対空監視能力
    ※結論





航空目標の視認


 航空目標の探知(対空監視)=航空目標を視認するルールについては、 「COACC」の空対空戦闘ルールを参考にして、ハウス・ルールを作ってみました。
 他のルールと比較検討した結果、 このルールは目標とした敵航空機を肉眼で探知(視認)することを再現したものである、 と結論できたためです。
 これを応用した地対空の探知ルールも必然的に、 地上に存在するユニットが敵の航空機を肉眼で探知することを再現したものとなるでしょう。

 英文を再確認したのですがMTの個人戦闘ルールは、 潜伏状態の目標(視線は通るが視認していない目標)を見つけることを、探知(Spotting)と呼んでいました。
 選択ルールを使用しているのであれば、 キャラクターは、目標との間に視線が通る状態であっても自動的に発見できる訳ではない、 ということを思い出して下さい。

 前述したように「COACC」の空対空戦闘ルールにおいて探知という言葉は、 目標を肉眼で視認するという意味で使われていました。
 これはつまり「COACC」の空対空戦闘ルールは 目標が空の中に潜伏していることを前提としている、という意味でもあります。
 誤解を招きそうだったので、補足しておきました。




(1)最大遭遇距離(視認可能な距離の最大値)

 考察の56回「空軍4:航空偵察」において、 高い視点を持つ航空機が、どれだけ遠くまで視認することができるのか、 CT版MT版の双方に共通している遭遇距離のルールを使って考えてみました。
 その結果は56回でも結論した通りですが、その内容を纏めると以下のようになっています。

 56回の表4〜表6の結果を纏め、その視点を航空機側から地上ユニット側に変更。
 視点の高さは地上面で一定ですが、目標となる航空機の飛行高度を変数としています。


         表1 目標の高さによって決まる最大遭遇距離

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 表の左端は、今回も遭遇場所の地形です。
 地形区分=1〜9は、地形DMが同じ地形を纏めて、勝手に分類しました。
 同じことを何度も繰り返して書くのが面倒になってきたもので。

 その右側の欄は、遭遇距離表から求めた最大遭遇距離
 つまり、視線が通る最大の距離帯です。
 航空機の高さによって、その最大遭遇距離は大きく変化していました。



 例えば地形区分=1に分類される、市街、建物内、洞窟、といった地形において、 目標とする航空機が高度=1.5メートルといった超低空を飛行しているのであれば、 地上ユニットと敵航空機との最大遭遇距離は中距離(5〜50m)です。
 遠距離以上(50m〜)で遭遇することも、視認することもできません。
 高度=1.5メートルを飛行しているのであれば、 それが航空機であっても反重力車輌であっても、それは地上すれすれを飛行していることに他ならないのです。
 遭遇の最大距離についても、地上ユニット同士の数値を使って構わないでしょう。
 そもそも、そんな超低空を航空機がまともに飛行できるのかという疑問については棚上げしておきます。



 同じ地形において、目標航空機が高度=15メートルを飛行している場合、 最大遭遇距離は超遠距離(250〜500m)まで拡大しました。
 遠方以上(500m〜)では、遭遇することも視認することも無くなります。
 目標航空機の行動パターンは、低い建物の屋根すれすれを飛び越える、背の高い建物は避けて迂回する、といった感じでしょうか。



 同じ地形において、目標航空機が高度=150メートルを飛行している場合、 最大遭遇距離は遠方(500m〜5km)となりました。

 目標航空機の高度がこれだけ高くなると、地形による影響はほとんどなくなります。
 地形区分=1、2以外の最大遭遇距離は超遠方以上(5km〜)ですから、 地平線(水平線)に邪魔されない限り、 どんな遠くまででも視線を引ける、視認可能である、と言うことができるでしょう。



 そう言えば、地平線(水平線)のことも考慮しなければなりません。

 56回の表7の目標の高さを少し細かく分け、 その世界が全く凹凸のない真球だと想定した場合、地平線がどれだけ遠くにあるものかを示しました。
 地平線までの距離をkm単位で示しました。
 視点の高さは地上面で一定ですが、目標となる航空機の飛行高度を変数としています。


          表2 地平線までの距離(km表記の計算値)

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 表の縦軸が目標の高さ(m)、横軸が世界の規模です。

 表に示した数値(地平線までの距離)の色を、距離帯毎に分けました。
 地平線までの距離が250〜500mの範囲にあれば超遠距離、 500m〜5kmの範囲ならば遠方、5〜50kmの範囲ならば超遠方、 50〜500kmの範囲ならば地域間といった具合です。



 世界の規模がテラと同じで、 目標の高さ1.5mだった場合、 その目標が地平線に隠れるまで、4.4kmの距離があることになりました。
 4.4kmと言えば、相当する距離帯は遠方(500m〜5km)
 上記の表1を参照してみると、これだけ遠くを視認できる地形は地形区分=8、9しかありません。
 道路、平原、砂漠などの地形は障害物がほとんど存在せず、その地形が続く限り、地平線まで見通せるようです。
 これだけ近い距離だと視点の高さも大きく影響してくるのですが、便宜上、その影響は無視しておきました。

 目標の高さ=15mになると、 それが地平線に隠れていられる距離は14kmまでです。
 相当する距離帯は超遠方(5〜50km)
 やはり、地形区分=8、9の地形だけでしか 地平線を視認することはかなわないようです。

 目標の高さ=150mになると、 地平線に隠れていられる距離は44kmまで。
 相当する距離帯は超遠方(5〜50km)のまま変わりませんでした。
 目標の高さが高くなったのに地平線までの距離帯が変わらないため、 地形区分=4〜9の地形ならば、地平線まで視線が届くことになりました。

 地形区分=1、2は例外ですが、高度150mを飛行する航空機は、 地形に関係なく地上ユニットの多くから視認される可能性がある、ということです。
 その最大遭遇距離(視認可能な最大距離)は、世界の規模によって決まるでしょう。




(2)航空目標の探知(視認)

 「COACC」の空対空戦闘で用いられている探知(Spotting)ルールを、地対空の立場に変更し、 更に若干の修正を加えたものを以下に示します。

>敵の航空機を探知するために:
> 〈並〉、〈戦術〉、〈探知機〉、耐久力(スキルなし可)
>
>レフリー:
> 専門の偵察員が居れば、DM+1。
> 双眼鏡(望遠鏡)を使用していれば、DM+1。
>
> レーダーで目標を「探知」していればDM+2。
> レーダーで目標を「固定」していればDM+4。
> 他所のレーダーで「探知/固定」している場合でも+DMを受けることは
> 可能ですが、探知を試みる者と「探知/固定」しているレーダーとの間に、
> (無線/有線どちらでも)機能しているデータ・リンクが不可欠です。
>
> 快晴の場合、探知距離は10kmが最大となります。
> 距離500m〜5kmならば難易度〈難〉、5〜10kmの範囲で難易度〈至難〉。
> 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は、難易度がひとつ上昇。
>
> 曇天の場合は、快晴の難易度修正に加えてDM−2。
> 曇天なので、視界内に太陽は存在しません。
>
> 雨天や夜間は探知距離が500m以内に制限され、
> 距離5〜50mが難易度〈難〉、50〜500mの範囲が難易度〈至難〉。
> 曇天と同じく、視界内に太陽は存在しません。




 基本的に、この行為判定の対象は大型目標、自動車と同じ大きさか、より大きいものを想定しています。
 ですから、キャラクター(人間やロボット)サイズの航空目標を視認する場合は難易度を1つ、 小型目標、バスケットボールと同じ大きさか、より小さいものを視認する場合は難易度を2つ、上げて下さい。
 恐らく難易度の問題から、キャラクターサイズの目標で遠方(5km)以内、小型目標で超遠距離(500m)までしか、 航空目標を探知することはできなくなるでしょう。
 このルールは一般的な航空機サイズの目標に対しての視認を大前提にしていますので、 特大サイズの目標、排水素トンで100トン以上の宇宙船や飛行船は想定外です。
 もしも特大目標を目標として視認の行為判定を行う場合は、難易度を1つ易しくして下さい。 視認可能な距離も伸ばすべきかも知れませんが、とりあえず保留(棚上げ)。

 専門の偵察員とは、輸送機器の操縦やパワープラントの管理、通信、指揮等の業務に煩わされることなく、 航空目標の探知に専念できる人員のことを指します。
 偵察員が双眼鏡(望遠鏡やイメージ増幅器)を使って探知に専念できるのであれば、更に+1のDMを加えられます。

 レーダーによる目標の「探知/固定」に関しては、次章を参照して下さい。
 まだ目標を視認していなくても、大凡の位置とベクトルをレーダーで把握していれば視認し易い、ということを再現したDMです。
 上記にも記述した通り、自身(対空監視哨、対空砲、対空陣地、輸送機器)がレーダーを装備していなくても、 レーダーを装備しており、そのレーダーによって目標を「探知/固定」している友軍ユニットからデータを受け取れば、 自身がレーダーを装備している場合と同じように+DMの恩恵を受けることが可能です。

 昼間で快晴の場合、探知距離は10km(150mスケールで60マス)に制限されます。
 行為判定の難易度は距離によって様々で、500m以内(超遠距離以内)ならば〈並:7+〉、 500m〜5kmの範囲(遠方)ならば〈難:11+〉、 5〜10km(超遠方)ならば〈至難:15+〉といった具合。
 当然ながら、近い距離にある目標は簡単に見つけられるように、遠い目標は見つけ難いようにしてあります。

 目標が太陽と同じ方向に存在する場合(具体的にはレフリーが判断)は、難易度がひとつ上がるようにしました。
 太陽を背にして近づいてくる航空機は、見つけ難いためです。
 今回は関係ありませんが、「COACC」の中には、 背後(真後ろから左右30度以内)から接近してくる敵機を見つける際はDM−3という、厳しいルールが存在していました。
 空対空戦闘のルールを考察する際には、これも上手く活用したいと思っています。

 曇天の場合は、快晴の場合の難易度修正に加えて、DM−2が適用されます。

 雨天の場合、不利なDMはありませんが、探知距離が100分の1まで小さくなってしまいます。
 行為判定の難易度は、5m以内(近距離)で〈並:7+〉、 5m〜50mの範囲(中距離)で〈難:11+〉、 50〜500m(遠距離、超遠距離)で〈至難:15+〉になりました。
 雨が降っているだけで探知距離が100分の1というのは極端な話だと自分でも思っています。
 ただ、レーダーや航法機器が無ければまっすぐ飛ぶことも難しい、というレベルの悪天候を再現しようと考えていたら、こうなりました。
 レフリーが認めるのであれば、探知距離が10分の1となる程度に緩和して下さっても構いません。
 その場合の難易度は、50m以内(中距離以内)で〈並:7+〉、 50m〜500mの範囲(遠距離、超遠距離)で〈難:11+〉、 500m〜5km(遠方)で〈至難:15+〉です。



 以下に、快晴と曇天、2つの気象条件における探知の成功率を纏めました。


          表3 航空目標の探知成功率(快晴と曇天)

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 表の左端は行為判定の難易度で、 その右側が対応する天候探知距離

 表の右側は〈戦術〉技能+〈探知機〉技能+耐久力ボーナスの合計値を+DMとした、探知の成功率。
 探知の成功率に耐久力ボーナスが+DMとして適用されるというルールは初めて知りました。
 実に意外な発想ですが、集中力とか持続力という面が評価されているのでしょうか。



 技能なし可、というルールですから、 技能なしであってもDM±0での判定が可能でした。
 耐久力ボーナス+2であれば、 +2の欄を参照できる訳です。
 DM±0の場合、超遠距離(〜500m)での目標探知が精々です。 成功率は7+(58.3%)9+(27.8%)という低レベルですから、 超遠距離まで接近されても航空機を発見できず、一方的に攻撃されてしまうかも知れません。
 遠方(500m〜5km)での探知は、快晴に限り、11+(8.3%)で可能です。 まず、成功することはないでしょう。
 遠方(5km〜10km)での探知成功は全く望めませんでした。

 DMが+2に増えるだけでも成功率は大きく改善します。
 超遠距離(〜500m)での成功率は5+(83.3%)から7+(58.3%)。 自動的に成功するというレベルではありませんが、それほど失敗する訳でもありません。 よほどサイコロ運が悪くない限り、一方的に攻撃されるという事態は避けられるでしょう。
 遠方(500m〜5km)での成功率は9+(27.8%)から11+(8.3%)。 成功はあまり期待できません。
 遠方(5km〜10km)での探知成功は、DM±0の場合と同じように、全く望めませんでした。

 DMが+4まで増えた場合、 超遠距離(〜500m)での成功率は3+(97.2%)から5+(83.3%)。 これならば自動的に成功すると言っても良いレベルでしょう。
 遠方(500m〜5km)での成功率は7+(58.3%)から9+(27.8%)。 成功しない訳ではありませんが、確実な成功も期待できません。
 遠方(5km〜10km)での成功率は、快晴に限って11+(8.3%)。 運が良ければ成功するかも知れません。

 DMが+8になると、 超遠距離(〜500m)での成功率は−1+(97.2%)から1+(97.2%)。 サイコロを振らずに自動成功としても構わないだろうと思います。
 遠方(500m〜5km)での成功率は3+(97.2%)から5+(83.3%)。 この距離帯でもほぼ自動的に成功するようになりました。
 遠方(5km〜10km)での成功率は、7+(58.3%)から9+(27.8%)。 あまり期待はできませんが、サイコロ運が良ければ先に発見できるようです。



 そして今度は雨天と夜間、そして暗視装置を使った場合の探知成功率です。


        表4 航空目標の探知成功率(雨天と夜間と暗視装置)

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 表3と同じ形式。



 雨天と夜間の探知成功率も、表3で示した晴天の場合とそれほど変わることもありません。
 異なる点は、探知距離が100分の1に縮まっている、ということでしょうか。
探知距離が10分の1になった場合の探知成功率は、 暗視装置、というタイトルで載せてあります。

 探知距離が100分の1になった場合、 暗視装置やレーダーの助けなしで夜間戦闘を行うことは無茶なことであると、納得できるような設定にしました。
 暗視装置の使用で探知距離が10分の1の減少に収まったとしても、かなり大変です。




(3)可視光・赤外線増幅器

 考察の範囲が夜間戦闘にまで及んでしまいましたから、ぼちぼち、夜間戦闘と各種暗視装置に関しても考えてみることにしましょう。

 「レフリーズ・マニュアル、p.70」、探知機・電子機器の設計に関するページの中にはしっかりと、 「9.可視光・赤外線増幅器」という表が存在していたりします。
 消費パワー、容積、重量、価格等についてきちんとしたデータを載せているのですが、その使い方については、 可視光・赤外線増幅器を用いれば、暗闇などで目標を視認しやすくなる。 という説明文しかありません。
 色々と文句を付けたいところですが、今までは情報が無いため、手を付けかねていたのです。

 しかし先日、これらの探知機類に関する情報を、zaza様から提供して頂きました。
 TNE関連のルールブックからの情報ですが、この説明文のおかげで、 今まで名称から機能を推測するしかなかった探知機について、具体的なイメージを持つことが可能になった訳です。

 という訳で、「9.可視光・赤外線増幅器」に掲載されていた各種探知機について、 その機能と性能、使い方を以下に纏めてみました。
 今更ですが、これはハウス・ルールですので、これを採用する際は御注意を。



 まずは、能動的な働きをする探知機から。
 能動的な探知機は、使用可能な距離が広い(遠くまで見える)代わりに、 探知機を使っていることが他者にばれやすい、という欠点があります。


           表5 能動型の可視光・赤外線増幅器

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 表の左端は探知機名(可視光・赤外線増幅器の名称)です。

 その右に書かれている数値は出力であり、その探知機を使用するために必要な電力です。 単位はキロワット(kw)

 更に右の欄は容積で、この単位はリットル(Little)

 次の欄は重量で、単位はキログラム(kg)

 最後の欄は価格です。単位はクレジット(Cr)



 最初のヘッドライトは地上車等、輸送機器が夜間に使用するものをイメージしていると思われます。
 某極東島国の自動車規格では100m先の路上にある障害物を発見できる明るさという曖昧な表現が為されていましたが、 まぁ、そんなものでしょう。具体的な数値を出しても簡単には検証できませんし。
 ちなみに、消費電力は照明1個(電球1個)当たり0.12kw
 表5に示したヘッドライトの出力は1kwですから、 このヘッドライトは某極東島国のヘッドライト用電球8個分の明るさを持っていることになりました。
 某極東島国の地上車は1つのヘッドライトに電球を2個とか4個とか装備している訳ですから、 実際は2倍や4倍という明るさになるかも知れません。

 探知ルールでヘッドライトを使用する場合は、水平距離500m以内、高度500m以内という条件で任意のマスを指定し、 そのマス(できれば15mマス)内の目標探知の難易度が1つ下がる(易しくなる)、という扱いにします。
 周囲の地上ユニットがそのマス内に存在する航空目標の探知を試みる場合、夜間よりも1つ低い難易度で成功率を求めて下さい。
 照らし出される目標は、そのマス内に存在するのであれば、高度15mでも450mでも構いません。プレイの都合上、 ヘッドライトはそのマスの地表すれすれから、高度500mまでを照らしているものだと考える訳です。

 小雨や雨、霧、煙幕に対してヘッドライトは効果を発揮できません。
 この気象条件でヘッドライトを使用しても、探知の成功率は同じままです。
 また、ヘッドライト自体は、他の地上ユニットや航空機からの探知(視認)が容易となるでしょう。
 考察の56回「空軍4:航空偵察」で述べた視認のルールについて、 照明弾で照らし出されている場合と同じような(難易度が1つ易しくなるという)扱いがなされます。

 スケールとして150mマスを使用している場合、 ヘッドライト1個では150mマス全体を照らすことが出来ません。 最低でも10個のヘッドライトが束ねられている、ということにして下さい。



 次のサーチライトは、私が作ったオリジナル探知機です。
 どうにもヘッドライトでは性能が足りないと思ってデザインしました。
 使い方は上記のヘッドライトと同様ですが、水平距離は5,000m以内、高度も5,000m以内という条件で、 任意のマス(150mマス)を指定する、という使い方をして下さい。
 出力が大きくなった分、有効距離がより長く、有効範囲も大きくなるのです。
 小雨や雨、霧、煙幕に対してサーチライトが効果を発揮できないことや 他の地上ユニットや航空機からの探知(視認)が容易となることも同様。



 赤外線探知機は、可視光ではなく、赤外線を利用した暗視装置です。
 ここに載せているものは能動赤外線探知機ですから、 既出のヘッドライトと同じように扱って下さい。
 探知ルールで能動赤外線探知機を使用する場合は、水平距離500m以内、高度500m以内という条件で任意のマスを指定し、 そのマス(できれば15mマス)内の目標探知の難易度が1つ下がる(易しくなる)、ということです。
 雨や煙幕に対しては効果を発揮できません。
 しかし、小雨や霧であれば、その影響は受けずに目標を探知できます。
 また、能動赤外線探知機を使用しているユニットは、 赤外線探知機を使用している他の地上ユニットや航空機からの探知(視認)が容易となります。 具体的には「空軍4:航空偵察」で述べた視認のルールについて、 照明弾で照らし出されている場合と同じ(難易度が1つ易しくなる)扱いをして下さい。

 高級能動赤外線探知機も、 小型軽量であることを除けば能動赤外線探知機と同じ扱いをします。



 次は、受動的な探知機を纏めました。
 受動的な探知機の特徴は能動的な探知機と正反対で、使用可能な距離が狭い(近くでしか使えない)代わりに 探知機を使っていることが他者にばれない(探知され難い)、という利点があります。


           表6 受動型の可視光・赤外線増幅器

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 表の型式は表5と同じです。



 受動赤外線探知機も、赤外線を利用した暗視装置です。
 能動赤外線探知機と異なる点は、自ら赤外線を発することはない、ということ。
 最大探知距離は500m(超遠距離)までで、探知の難易度をひとつ易しくしてくれます。
 また、小雨や霧であれば、その影響を受けません。
 表5に載せた能動赤外線探知機高級能動赤外線探知機も、 赤外線ヘッドライトを消せば、受動赤外線探知機と同じ使い方が可能です。



 可視光増幅器は、可視光を増幅して、僅かな光量でも物を見えるようにする暗視装置です。
 本当の暗闇(光源のない建物や洞窟内、夜空が厚い雲に覆われた野外)では役に立ちません。
 上記の受動赤外線探知機と同じように、最大探知距離は500m(超遠距離)まで。
 超遠距離以下の距離帯ならば、探知の難易度をひとつ易しくできます。
 小雨や雨、霧、煙幕に対して可視光増幅器は効果を発揮できません。



 イメージ増幅器は、 双眼鏡(望遠鏡)可視光増幅器、2つの機能を兼ね備えた暗視装置です。
 日中の快晴や曇天で専門の偵察員がイメージ増幅器を使っているのであれば、 双眼鏡(望遠鏡)と同じようにDM+1を加えて下さい。
 暗視能力を発揮できる距離は500m(超遠距離)までで、夜間の探知難易度をひとつ易しくできます。 夜間の500m〜10km(遠方〜超遠方)に存在する目標に対しての探知難易度は変わりません(探知不能のままです)。
 小雨や雨、霧、煙幕に対してイメージ増幅器は効果を発揮できません。



 高級イメージ増幅器は、 小型軽量であることを除けば、イメージ増幅器と同じように扱います。
 同じように、小雨や雨、霧、煙幕に対して高級イメージ増幅器は効果を発揮できません。



 画像合成器(シンセ・ビジョン)は、様々な光学的情報から画像を作り出す装置、のことです。
 高級イメージ増幅器受動赤外線探知機を付け加えたような形を想像して下さい。
 受動EMSとの相違点は、光以外の情報(電磁波、放射線)を取り扱わないことでしょうか。
 雨と煙幕に対して画像合成器は効果を発揮できませんが、小雨や霧であれば有効です。



 最後の受動EMSは、テックレベル10から入手可能な、(光を含む)様々な電磁波を扱う受動探知機です。
 本来ならばレーダーの一種として扱うべきなのでしょうが、参考のため、ここにも掲載しました。
 有効距離50km(超遠方)です。
 小雨や雨、霧などの悪天候は、その機能を妨げません。
 煙幕の場合は、妨害できない(効果を妨げない)ローテク版の煙幕と、 受動EMSの効果を阻害するハイテク版の煙幕の2つが存在するものとしておきましょう。
 とりあえず私は、テックレベル5の煙幕発生器と、 テックレベル8の対レーザー・ガスは、受動EMSを妨害できない。
 テックレベル10の乱反射ガスは、受動EMSを妨害できる。
 という形で区別をすることにしました。
 この問題は実際に使用した時トラブルの原因と成り易いので、レフリーとプレイヤーの皆さんで話し合って決めて下さい。



 表5と表6に纏めた能動/受動型の可視光・赤外線増幅器について、 これは明らかに私のハウス・ルールなのですが、 その大半の探知機の最大有効距離を500m(超遠距離)までに制限させて頂きました。
 それ以上の距離に存在する目標を攻撃したいのであれば、 レーダーEMSを使うべきであろう、 というのが私のルール解釈です。



 気象条件(日中/雨天/夜間)の影響と、暗視装置の有無による探知難易度の変化を、以下に纏めました。


         表7 暗闇と暗視装置による探知成功率の変化

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 表の左端は気象条件(日中/雨天/夜間)暗視装置の有無です。

 表の右側は、気象条件距離帯に対応した、行為判定の難易度。



 日中の快晴であれば、500m以内(超遠距離まで)の目標を探知する際の難易度は〈並:7+〉でした。
 500m〜5kmの範囲(遠方)であれば難易度は〈難:11+〉
 5〜10km(超遠方)ならば〈至難:15+〉になります。

 夜間に暗視装置を使った場合の難易度は50m以内(中距離まで)で〈並:7+〉、 50m〜500mの範囲(遠距離と超遠距離)で〈難:11+〉、 500m〜5km(遠方)は〈至難:15+〉でした。

 夜間に暗視装置を使えない場合の難易度は、50m以内(中距離まで)で〈難:11+〉、 50m〜500m(遠距離と超遠距離)で〈至難:15+〉にしかなりません。 500m以上(遠方以上)は探知不能です。



 この探知ルール(ハウス・ルール)で、 航空目標の探知(対空監視)の難しさを再現してみました。
 悪天候や夜間の探知は極端に難しくなりますが、 実際にそうした条件での飛行や戦闘が困難であることを考えれば、妥当な結果だと思われます。





レーダーの使い方


 目視よりも遠くに存在する目標を探知することができ、 夜間や悪天候であっても使用可能なレーダー(Radar)は、 防空側(地上目標側)にとって、実に有難い味方となってくれます。
 「レフリーズ・マニュアル」では、宇宙戦闘以外でレーダーを使うことが想定されていません。
 しかし、この章においてレーダーの運用方法についてハウス・ルールをでっち上げ、 その成功率等についての考察を行うことにしました。

 このルールは、前章の航空目標の探知(対空監視)と異なって、 レフリーズ・マニュアルに掲載の宇宙船戦闘ルールを参考にしています。
 「探知」の意味合いが違ってきますので、御注意下さい。

 宇宙船戦闘ルールにおける「目標の探知」は「Locating the Target」であり、 目標の大まかな居場所を掴む(存在を知る)というニュアンスでしかありません。
 前章の探知(Spotting)に相当する行為は「目標の固定(Locking Sensors on the Target」という単語が当てられており、 目標の詳細な情報を得たり、目標に対して射撃を行うためには、「目標の固定」が不可欠だとされています。
 混乱しやすいので困ったことだと思いますが、HJ社の訳語がそうなっていますので諦めました。




(1)レーダーの性能

 レーダーの運用について考察を進める前に、レーダーの性能を確認しておきます。
 まず最初は、有効距離が5km(遠方)までのレーダーから。


         表8 レーダーの性能(有効距離=5km:遠方)

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 表の左端は探知機名
 実際のところ、表に載せている探知機の大半はレーダーですから、 左端にはテックレベルだけが並んでいることになりました。
 表の一番下、ひとつだけがテックレベル10の能動EMSです。

 その右に書かれている数値は出力であり、その探知機を使用するために必要な電力の大きさです。 単位はキロワット(kw)

 更に右の欄は容積で、単位はリットル(Little)

 次の欄は重量で、単位はキログラム(kg)

 最後の欄は価格です。単位はクレジット(Cr)
 数値が2つ並んでいますが、 上側は雲や雨の影響を受けない(悪天候でも使用可能な)全天候レーダー(All-weather Radar)の価格、 下側は影響を受ける(悪天候では使用不可能な)通常型レーダー(Radar)の価格です。
 どの程度の悪天候になれば通常型レーダーが使えなくなるか、という点については、レフリーの裁量にお任せします。
 通常ならば、設計者は躊躇うことなく全天候レーダーを選ぶと思われますが、 予算の制約を考えるのであれば、安価な通常型レーダーも捨てがたいことでしょう。
 防空網を構築する際、予算のため全天候レーダーを2台しか設置できない状況でも、 通常型レーダーならば3台を設置できるという違いは、とても魅力的です。



 御覧の通り、有効距離=5km(遠方)のレーダーであっても、 テックレベル=6のレーダーは極めて大きく、重く、高価でした。
 これだけ高価なレーダーを拠点1つ、車輌1台ごとに配備することは無茶ですし、 この程度の有効距離しかないレーダーではそれを活用することもできません。
 史実通り夜間戦闘機に搭載して、暗闇での奇襲攻撃を狙うぐらいしか使い道がないように思います。

 テックレベル=7以降であれば、レーダーを対空砲の火器管制に用いることが、経済的にも可能となりました。
 テックレベル=7の時点では数門から十数門の対空砲陣地に1台のレーダーを設置することが精々でしょうが、 テックレベル=8になれば対空砲一門ごとにレーダーを持たせることも容易です。

 蛇足ですが、反重力戦車トレピダが装備している 能動EMS有効距離5km(遠方)でした。
 テックレベル=14で製造されていても、軍用であっても、 能動探知機は有効距離=5km(遠方)のものしか装備していないのです。
 これが公式設定ですから、輸送機器を設計する際にはゲーム・バランスを崩さないように御注意下さい。



 次は、有効距離が50km(超遠方)までのレーダー。


        表9 レーダーの性能(有効距離=50km:超遠方)

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 表8と同じ形式ですが、データは有効距離=50km(超遠方)のもの。
 レーダーの出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて5〜8倍。

 テックレベル=6のレーダーは更に大きく、重く、高価となっていますが、 有効距離=50kmの性能は防空レーダーとして最低限のものですから、 いくら高価であっても用意しない訳にはいかないのでしょう。
 いざ戦闘が始まったら優先的に狙われて、何よりも先に破壊されてしまうような気がしますが。

 テックレベル=7のレーダーも大きくて高価ですが、 テックレベル=6有効距離=5km(遠方)ほどではありません。
 また、最大射程が5km超(超遠方以上)の対空兵器(対空砲や地対空ミサイル)を運用する際には 不可欠な装備ですから、広い範囲で普及していることでしょう。

 テックレベル=8以降のレーダーは更に軽量小型化が進みますので、 車輌1台、航空機1機ごとに、このタイプのレーダーを搭載していてもおかしくありません。

 表2へ示した通り、規模=8の世界で高度150mを飛行する航空機から見ると、 地平線(水平線)44kmの彼方に存在します。
 高度150mを飛行しているのであればぎりぎり見つかりませんが、それ以上の高度を飛行している航空機は、 レーダーの有効距離=50km(超遠方)で視線を結べることが分かりました。
 行為判定の結果(サイコロの目)にもよりますが、航空機はレーダーの有効距離=50km(超遠方)に入った時点で、 即座に探知される可能性があるということです。
 探知を避けるためには、航空機が高度150m以下を飛行するか、電子妨害等の対抗手段を講じなければなりません。
 レーダーという探知機は、目視に比べて極めて効果的な対空監視手段だと言えるでしょう。



 次は、有効距離が500km(地域間)までのレーダー。


       表10 レーダーの性能(有効距離=500km:地域間)

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 表8と同じ形式ですが、データは有効距離=500km(地域間)のもの。
 レーダーの出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて21〜33倍。
 有効距離=50km(超遠方)と比べた場合は4倍強でした。

 言いたいことは色々とありますが、地上に設置するレーダーとしては、 この有効距離=500km(地域間)が実用上の限界でしょう。
 数値が大き過ぎるので表2には載せていませんが、規模=8の世界において 地上に設置されたレーダーが有効距離=500kmで航空機を発見するためには、 目標の航空機が高度19,500m以上を飛行していなければなりません。
 それより低い高度を飛ぶ航空機は、その手前に存在する地平線(水平線)によって、 レーダーからの視線が遮られてしまうためです。

 より近い距離ならば視線を引くことが容易になりそうですが、 具体的な距離を使って規模=8の世界で計算してみたところ、
 距離=250kmで航空機を発見する場合、目標航空機の高度は4,900m以上が必要。
 距離=150kmで発見するのであれば、目標航空機の高度は1,750m以上。
 距離=100kmならば、目標航空機の高度は780m以上。
 距離=50kmならば、目標航空機の高度は195m以上。
 という数値が出てきました。

 最大有効距離である500kmぎりぎりで目標を探知することは状況的に困難ですが、 距離=250km150kmならば、まだ現実的な数値だと言えそうです。



 最後は、有効距離が5,000km(大陸間)までのレーダー。


       表11 レーダーの性能(有効距離=5,000km:大陸間)

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 表8と同じ形式ですが、データは有効距離=5,000km(大陸間)のもの。
 レーダーの出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて67〜100倍。
 有効距離=50km(超遠方)と比べた場合は12.5〜13.3倍、 有効距離=500km(地域間)と比べた場合は3倍強です。

 有効距離=500km(地域間)のレーダーでも考察しましたが、 ここまで有効距離の長いレーダーは、地上に設置しても対空監視手段としては勿体無くて使えません。
 優れた性能を使いこなせないのです。
 有効距離=5,000km(大陸間)のレーダーは、より遠距離で目標航空機を発見するためではなく、 後述するレーダー妨害機の影響下でも目標航空機を発見するために利用されるでしょう。




(2)レーダーによる航空目標の「探知」と「固定」

 ここでは、レーダーの運用方法に関するハウス・ルールを考察します。

 プレイ上におけるレーダーの運用については、 「レフリーズ・マニュアル、pp.95-96に掲載されている宇宙戦闘ルール、 目標の探知(Locating the Target:)目標の固定(Locking Sensors on the Target)を参考にしました。

>「探知」と「固定」:
> 攻撃を行うには、まず目標を探知し、固定(ロック)しなければなりません。
> レーダーによる探知/固定行為の難易度は、下の表12、表14へ示した通りです。
>
> 目標に狙いを定めるためには、2種類の行為判定に成功しなければなりません。
> まず探知に成功し、それから目標を固定しなければならないのです。




 レーダーによる目標探知の成功は、 レーダー・スクリーン上に輝点が現れた、ということで再現されるでしょう。
 探知用のレーダーは探知効率を優先しているため、発信されるレーダー波の幅が広くなっています。ですから、その精度はそれほど高くありません。 例えば、150km先の1マス(150mマス)に、レーダー波を反射する何かがあります、ということしか分からないのです。
 ですから、その「何か」が重爆撃機の編隊なのか、単独飛行の偵察機なのか、巡航ミサイルなのか、その時点では全く判断できません。
 幸い、レーダー波の発信と受信の時間差から「何か」までの距離は求められますし、ドップラー効果によって、 その「何か」がレーダーに向かって近づいてくるのか、遠ざかっているのか、その速度はどれだけか、という情報は得られますが、それだけです。
 詳しい情報は、目標の固定に成功しなければ分かりません。

 目標の固定による詳細な情報は、細く絞ったレーダー波を目標周辺に連続して送り込むことで得られます。
 先ほどの例ですと、150km先の1マス(150mマス)に、幅1.5mのレーダー波を100回送り込む、という感じでしょうか。 縦方向(高度)も100分割するのであれば、レーダー波の発信は1万回になりますが。
 細かいレーダー波を送り込み、その反射を調べることで、目標の大きさや数が分かるようになります。 探知用レーダーに映った「何か」が重爆撃機の編隊なのか、単独飛行の偵察機なのか、巡航ミサイルなのか、 ということを識別できるようになるのです。
 それを数回繰り返すことで、今度は目標の移動方向と速度を知ることもできるでしょう。
 目標の正確な位置と移動速度を知ることで、目標の未来位置を予測することができるようになります。
 その予測データを火器管制装置に入力すれば、後は引き金を引くだけ。
 これが目標固定のメカニズムです。

 メガトラの輸送機器設計ルールを読むと、目標の探知は通常のレーダー目標の固定レーザー・レーダーでなければ行えない、という解釈も可能ですが、 宇宙船戦闘ならばともかく、惑星上の戦闘であれば気にしなくても良いでしょう。
 通常のレーダーであっても、目標の固定は可能な筈です。



 航空目標の探知に関しては、以下の行為判定を行って下さい。
 電子妨害が行われていたり、その行為判定の成否がプレイに大きく影響しない限り、 レフリーの判断で行為判定を省略して「自動的に成功」として扱っても構いません。

>レーダーで航空目標の位置を探知するには:
> [難易度]。
>
>レフリー:
> 行為判定の難易度は、表12を参照して下さい。
> 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は、難易度がひとつ上昇します。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> コンピュータ・レベルの代わりに、レーダー操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は行為判定の難易度がひとつ難しくなりますが、 これは太陽が強力な電波の発信源であるためです。

 また、目標が低空を飛行している場合は、−2から−4のDMが適用されます。
 これは地上で反射したレーダー波の中に、目標からの反射レーダー波が紛れてしまうためです。
 目標が150メートル以下を飛行している場合は、表1を参照して、最大遭遇距離を確認して下さい。
 地形の起伏や障害物の存在によって、目標が特定の距離帯に近付くまで、レーダーで探知することが出来ません。

 航空目標の探知(視認)と同じように、 この行為判定の対象は大型目標、自動車と同じ大きさか、より大きいものを想定しています。
 ですから、キャラクター(人間やロボット)サイズの航空目標を探知する場合は難易度を1つ、 小型目標、バスケットボールと同じ大きさか、より小さいものを探知する場合は難易度を2つ、上げて下さい。
 難易度は難しくなりますが、電子妨害を受けていない限り、小型目標であっても探知は容易でしょう。
 特大サイズの目標、排水素トンで100トン以上の宇宙船や飛行船を目標として視認の行為判定を行う場合は、 難易度を1つ易しくしても構いません(レフリーの裁量で判断)。



 レーダーによる航空目標の探知は、以下の通りの難易度にしました。
 ある程度、レフリーズ・マニュアル、p.91の難易度表を参考にしています。
 有効距離=5km(遠方)のレーダーが目視による視認と同程度の成功率を発揮できることを、 難易度を決めるための前提条件としました。


          表12 レーダーによる目標探知の難易度

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 表の左端は、レーダーの有効距離です。
 当然ながら、レーダーの有効距離が大きい程、遠くの目標を探知したり、固定したりできますし、 遠くの目標であっても行為判定が容易になるように設定しました。
 一般的に、レーダーの有効距離と同じ距離帯で探知を試みるのであれば、 その行為判定の難易度は〈難:11+〉
 有効距離よりも近い距離帯で探知を試みるのであれば、 その行為判定の難易度は〈並:7+〉になります。

 使うことがないと考えて上の表には載せませんでしたが、有効距離=大陸間のレーダーが、 大陸間距離(500〜5,000km)の目標を探知しようとする場合、 その難易度は〈難:11+〉でした。



 上記の難易度とDM(−2から+8までの範囲)を組み合わせた結果、 航空目標探知の成功率は以下のようになります。


          表13 レーダーによる目標探知の成功率

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 表の縦軸は行為判定の難易度
 横軸は〈探知機〉技能レベル+目標の高度による修正による、DM合計です。
 もちろん、〈探知機〉技能レベルの代わりに、 コンピュータ・レベルを適用しても構いません。



 難易度が〈並:7+〉の場合、 自動的に成功すると言えるようになるためには、DMの合計が+4以上必要です。
 +4以上のDMが使えるのであれば、行為判定を省略しても構いません。

 難易度が〈難:11+〉の場合、目標探知は成功し難くなります。
 しかしDMの合計が+8あれば、ほぼ自動的に目標探知が成功するでしょう。
 目標と同じ方向に太陽が存在する場合も、目標が低空を飛行している場合も、 優秀なレーダー操作員や高レベルのコンピュータを使えるならば、問題を解決することは容易なのです。

 何らかの理由で難易度が〈至難:15+〉まで上がってしまうと、行為判定は非常に難しくなりました。
 成功のためにはDMが+3以上必要ですし、+8のDMが使えたとしても成功率は7+で半分程度です。

 表には載せませんでしたが、難易度が〈不可能:19+〉となった場合、成功は期待できません。
 +8のDMが使えたとしても、成功率は11+しかないのです。



 今度は航空目標の固定ですが、探知の場合と同様に以下の行為判定を行って下さい。
 行為判定の難易度も探知と同じです。

>レーダーで航空目標を固定するには:
> [難易度]。
>
>レフリー:
> 行為判定の難易度は、表14を参照して下さい。
> 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は、難易度がひとつ上昇します。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> コンピュータ・レベルの代わりに、レーダー操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
> レーダー操作員の〈戦術〉技能レベルを+DMとして適用できます。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 目標と同じ方向に太陽が存在する場合と目標が低空を飛行している場合の修正は、探知で説明した内容と同じです。
 キャラクター(人間やロボット)サイズの航空目標を探知する場合は1つ、 小型目標を探知する場合は2つ、難易度を上げることも同様。
 特大目標に対する難易度を1つ易しくするかどうかは、レフリーの裁量で判断して下さい。



 レーダーによって航空目標を固定する際の難易度は、以下の通り。


          表14 レーダーによる目標固定の難易度

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 表の左端は、レーダーの有効距離です。
 レーダーの有効距離と同じ距離帯で目標固定を試みるのであれば、 難易度は〈難:11+〉
 有効距離よりも近い距離帯で探知を試みるのであれば、 その行為判定の難易度は〈並:7+〉となりました。

 実用的な距離ではないので上の表には載せませんでしたが、有効距離=大陸間のレーダーが、 大陸間距離(500〜5,000km)の目標固定を試みるのであれば、 難易度は〈難:11+〉です。



 上記の難易度とDM(−2から+8までの範囲)それぞれについて、 航空目標を固定する際の成功率は以下のようになりました。


          表15 レーダーによる目標固定の成功率

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 表の縦軸は行為判定の難易度
 横軸は〈戦術〉技能レベル+〈探知機〉技能レベル+目標の高度による修正の合計DM。
 〈探知機〉技能レベルの代わりに、 コンピュータ・レベルを適用しても構いません。



 難易度が〈並:7+〉の場合、 自動的に成功すると言えるようになるためには、DMの合計が+4以上必要です。
 DMが±0ならば、成功率は7+(58.3%)
 +DMが無い場合、あるいは、+DMがあっても目標が低空を飛行していることによって打ち消されてしまうのであれば、 目標の固定は断続的にしか成功しないようです。

 難易度が〈難:11+〉の場合、 自動的に成功するというレベルまで成功率を上げるためには、DMが+8必要でした。
 DMが+4しかないのであれば成功率は7+(58.3%)±0ならば成功率は11+(8.3%)
 ちょっと厳しいかも知れません。

 難易度が〈至難:15+〉まで上がってしまった場合は、「探知」と同じように、成功がとても難しくなります。
 成功するためには少なくとも+3以上のDMが必要で、利用できるDMが最大の+8だったとしても7+(=58.3%)の成功率しか得られないのですから。

 航空目標の探知と固定を確実に行うためには、少なくとも、 行為判定の難易度を〈難:11+〉以下で抑えておかなければなりません。



 かなり面倒なルールになってしまいましたが、行為判定が面倒ならば、 視線を結べる状態でレーダーの有効距離に存在する目標は、自動的に「探知」と「固定」が成功する、 という簡易ルールを用いても良いでしょう。
 計算も判定も要らないので、プレイアビリティはずっと良くなります。
 その代り、「探知」や「固定」に成功するか失敗するか分からない、といった緊張感は味わえません。
 複雑なルールと簡易なルールには、どちらもメリットとデメリットが存在するのです。




(3)レーダーの逆探知

 地上に設置されたレーダーによって、航空機に対する「目標の探知」や「目標の固定」が試みられた場合、 その航空目標はもちろんのこと、レーダーの有効距離内に存在する航空機は敵味方を問わず、 レーダー方位計受動EMSによって、 そのレーダーを逆探知できると考えました。
 行為判定は必要ありません。「探知」だけは自動的に成功します。
 もちろん、その航空機がレーダー方位計等を装備していなければ、何も気付かない訳ですが。

 レーダー方位計は、レーダー波の発信源を「探知」できるだけです。
 発信源に対して「目標の固定」を試みることは出来ませんので、射撃やミサイル発射も出来ません。
 唯一の例外は考察の59回「空軍7:空対地ミサイル」で取り扱った 対レーダー・ミサイルだけです。
 対レーダー・ミサイルは目標の発信するレーダー波や通信波を自動追尾するため、 精密な初期誘導を必要としておりません。
 対レーダー・ミサイルは、 「空軍7:空対地ミサイル」に記述した通りの方法で目標を捕捉し、発射することができます。

 受動EMSは、レーダー波の発信源に対して、「目標の固定」を試みることができます。 表14の難易度表に従って、行為判定を行って下さい。



 以下に、レーダー方位計受動EMSの性能を纏めました。


   表16 レーダー方位計と受動EMSの性能(有効距離=超遠方:50km)

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 表の左端はレーダー方位計のテックレベル。

 受動EMSは電波の発信源を逆探知できますから、 レーダー方位計と同じように使えます。実際はそれ以上の性能なのですが。
 有効距離超遠方:50kmのものを抜粋しました。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)が意味するところは表8と同じです。



 レーダー方位計は、極めて大きく、重く、高価であることが判明しました。
 特にテックレベル6のものはそうです。
 この大きさと価格では、重要な拠点か大型輸送機器でもなければ搭載することは望めません。

 テックレベル7になってようやく、車輌や航空機への搭載が可能になりますが、 極めて高価であるため、搭載は特別な車輌や電子戦機に限られると思われます。

 テックレベル8〜9になると小型軽量化が進み、様々な車輌や航空機への搭載が可能となりました。
 しかし安価になったと言っても未だ厳しい価格面の制約から、搭載できる車輌や航空機は限られてしまうでしょう。

 テックレベル10になると、より安価で使い勝手の良い受動EMSが登場しました。
 多くの輸送機器は、特にテックレベル11以上になると、この受動EMSを搭載するようになります。
 テックレベル10以上(場合によっては11以上)の輸送機器の多くは レーダーによる「探知」や「固定」に対して、ほぼ自動的に気付くことができるでしょう。



 地上設置型のレーダーによって対空監視が行われている場合、 敵対する航空機は迂闊に近づけないことが判明しました。
 航空機は、レーダーの手前50km(超遠方)や100km(地域間)の距離でその存在を「探知」され、 「目標の固定」によって詳細なデータ、機種や機数、進行方向や飛行速度などを知られてしまうのです。
 そうなれば、レーダーを備えている防衛側に対して、奇襲攻撃は行えません。
 侵攻側は、すべての手札を晒した状態で、不利な戦闘を始めることとなるでしょう。

 そんな状況を打破するために作られた電子機器がレーダー妨害機
 文字通り、敵のレーダー妨害するための電子機器です。
 レーダー妨害機の使い方については、次の章で考察していきましょう。





レーダーに対する電子妨害


 レフリーズ・マニュアル、p.69の記述によれば、 レーダー妨害機は、最大有効距離が等しいか、それ以下のレーダーを使用不能にすることができるそうです。

 妨害できる妨害できない
 基本ルールには、相反する上記2つの状態しか有り得ません。
 しかもその状態が、レーダーレーダー妨害機の性能によって 自動的に決まってしまうという極端なルールですが、プレイアビリティの点からは仕方がないのでしょうか。

 この問題についてはハウス・ルールを作って対応するつもりですが、 とりあえずは輸送機器設計ルールの記述通り、 レーダー妨害機は、最大有効距離が等しいか、それ以下のレーダーを使用不能にすることができる という解釈で進めておきます。




(1)レーダー妨害機の性能

 レーダーの運用について考察を進める前に、レーダー妨害機の性能を確認しておきましょう。
 まず最初は、有効距離=5km(遠方)までのレーダー妨害機から。


       表17 レーダー妨害機の性能(有効距離=5km:遠方)

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 表の左端はレーダー妨害機テックレベル
 表の一番下だけはテックレベル10のEMS妨害機です。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)に関しては、表8と同じ形式。



 レーダー妨害機は、同じテックレベルで製造された、 同じ有効距離で使用できるレーダー以上に、大きくて重くて高価でした。
 出力だけは0.83〜2.0倍でほぼ同等でしたが、 容積重量は1.7〜3.0倍、 価格は20〜45倍というところ。
 EMS妨害機だけは価格が2倍で収まっていますので、比較的、安価だと言えますが。

 はっきり言って、戦術的に必要だと言う必然性が無ければ、搭載したいアイテムではありません。
 搭載しても、妨害したい相手の装備しているレーダーが、 有効距離=5km(遠方)以下のものでない限り、役には立たない訳ですから。
 しかも敵がレーダー方位計受動EMSを装備している場合、 有効距離=5km(遠方)のレーダー妨害機は、誘導電波の発信源となってしまう危険性まであるのです。



 次は、有効距離=50km(超遠方)までのレーダー妨害機。


      表18 レーダー妨害機の性能(有効距離=50km:超遠方)

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 表17と同じ形式ですが、データは有効距離=50km(超遠方)のもの。
 参考データとしてですが、「COACC」に掲載されていた 電子妨害ポッドも載せておきました。



 レーダー妨害機の出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて5〜6倍。
 かなり高価となりましたが、侵攻側の航空機すべてにこのレーダー妨害機を搭載する必要はありません。
 敵のレーダーを確実に妨害できるように(有効距離内に収められるように)、 数機から数十機の航空に対して1機の割合で搭載していれば十分でしょう。

 電子妨害ポッドは「COACC」の説明文に数行だけ記されていたものです。
 重量有効距離が書かれていただけで、それ以外のデータは一切ありません。
 「COACC」における電子戦機(簡易版)の性能が、 この程度の電子妨害能力であるという目安にして下さい。

 状況証拠的なものでしかありませんが、「COACC」において、 有効距離=50km(超遠方)のレーダー妨害機電子妨害ポッドが普及しているということは、 「COACC」に登場する航空機の多くが 有効距離=50km(超遠方)以内のレーダーしか搭載していない、ということでもあります。
 敵航空機の多くが有効距離=500km(地域間)のレーダーを搭載していたら、 電子妨害ポッドはほとんど役に立つ場面が無く、存在価値がありません。
 普及している以上、電子妨害ポッドは多くの場面で有効な兵器であり、 必然的に、敵航空機の多くが有効距離=50km(超遠方)以内のレーダーしか搭載していないと考えられる訳です。
 航空機設計の際には御注意下さい。
 あまり強力なレーダーを搭載することは、トラベラーの世界観(暗黙のバランス)を壊しかねません。



 次は、有効距離=500km(地域間)までのレーダー妨害機。


     表19 レーダー妨害機の性能(有効距離=500km:地域間)

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 表17と同じ形式ですが、データは有効距離=500km(地域間)のもの。
 これも参考データですが、「COACC」に掲載されていた 電子戦専用機に搭載される電波/レーダー妨害機も載せておきます。



 レーダー妨害機の出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて22〜26倍。
 更に高価なものとなりました。
 特にテックレベル=6のレーダー妨害機はとても高価で195MCr。
 重量と消費電力を考えれば、航空機への搭載は難しいでしょう。
 テックレベル=7以降のレーダー妨害機ならば、小さく軽くなるので航空機の搭載も可能でしょう。
 同じ有効距離のレーダーと比べて2〜3倍の高価格故、使い方は慎重にならざるを得ませんが、 多くのレーダーを使用不能にできるというメリットには、それだけのリスクを冒す価値があります。

 電子戦専用機の性能も「COACC」の説明文に書かれていたものですが、 御覧の通り、有効距離だけしか具体的なデータがありませんでした。

 これも状況証拠ですが、「COACC」において、 地上設置型の防空レーダーの有効距離は、 多くの場合500km(地域間)となっているでしょう。
 電子戦専用機の妨害可能な有効距離500km(地域間)である以上、そのように考えられる訳です。



 最後は、有効距離が5,000km(大陸間)までのレーダー妨害機。


     表20 レーダー妨害機の性能(有効距離=5,000km:大陸間)

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 表17と同じ形式ですが、データは有効距離=5,000km(大陸間)のもの。



 レーダー妨害機の出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて67〜80倍。
 ここまで強力なレーダー妨害機は、あまり普及していないようです。
 これらのレーダー妨害機は、宇宙戦闘で使用されるべきものなのかも知れません。




(2)レーダー妨害機の効果

 今度は、レーダー妨害機の性能を不確実にする、ハウス・ルールの紹介です。

 レフリーズ・マニュアルの記述によれば、 レーダー妨害機は、最大有効距離が等しいか、それ以下のレーダーを使用不能にすることができる、 とのことですが、電子戦の駆け引きを楽しみたいレフリー/プレイヤーとしては面白くありません。
 そこで、行為判定を組み込むことにしました。
 (2)航空目標の「探知」と「固定」で紹介した 私のハウス・ルールに、電子妨害による難易度修正を組み込んでみた訳です。



 この難易度修正を組み込んだ、レーダーによる航空目標の「探知」と「固定」のルールは、 以下の通りとなりました。

>電子妨害下において、レーダーで航空目標の位置を探知/固定するには:
> [難易度]、コンピュータ(対立)。
>
>レフリー:
> 電子妨害を行うためには、妨害されるレーダーが、
> レーダー妨害機の有効距離内に存在しなければなりません。
>
> レーダー妨害機の有効距離が、レーダーの最大有効距離を越える
> 距離帯1つ毎に1段階、難易度が上昇します。
> 反対に、レーダーの最大有効距離が、
> レーダー妨害機の有効距離を越えている場合は妨害不可能です。
>
> 行為判定の難易度は、表12を参照して下さい。
> 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は、難易度がひとつ上昇します。
>
> コンピュータ・レベルを対立DMとして適用します。
> レーダーに付属しているコンピュータと、
> 電子妨害側の航空機に搭載されているコンピュータで、
> レベル数の差を求めて下さい。
> コンピュータ・レベルの代わりに、レーダー操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 まず、レーダーに対して電子妨害を行うためには、妨害されるレーダーが、 レーダー妨害機の有効距離内に存在しなければなりません。
 そして、レーダー妨害機の最大有効距離が、 レーダーの最大有効距離と等しいか、大きくなければならない、というルールにしました。
 この制限は公式ルールのものと矛盾していないので、大丈夫だと思われます。

 レーダーによる航空目標の「探知」と「固定」について、電子妨害が効果を発揮している場合は、行為判定の難易度がひとつ上昇します。
 レーダー妨害機の有効距離が、レーダーの最大有効距離を越える場合は、超える距離帯1つ毎に1段階、難易度が上昇。
 反対に、レーダーの最大有効距離がレーダー妨害機の有効距離を越えている場合は、妨害できません。
 「探知」と「固定」のルール自体が私のハウス・ルールですので、これも問題にはならないでしょう。

 目標とする航空機だけではなく、周辺の敵航空機も含む相手側が、レーダー妨害機を用いることによって、 これまでは単純に+DMとして用いていたコンピュータ・レベルが対立DMとして扱われるようになります。
 宇宙船戦闘の場合はEMS妨害機無しでもコンピュータ・レベルが対立DMとして扱われていますが、 これは宇宙船の探知機が受動EMSの装備を大前提としているからでしょう。
 「COACC」に登場する航空機やメガトラベラーの輸送機器が、 すべてレーダー方位計受動EMSを装備してるとは限りません。
 レーダー波を探知できる受動EMS等を装備していない限り、 その航空機や輸送機器はレーダー波に対する適切な対応を取ることは出来ない訳で、 高レベルのコンピュータを搭載していても、電子戦においては役に立たないと考えました。

 目標の大きさによる難易度修正はすでに述べた通り。
 キャラクター・サイズの航空目標は難易度を1つ、 小型目標は難易度を2つ、上げて下さい。
 特大目標の場合はレフリーの裁量で、難易度を1つ易しくしても構いません。



 具体的に、レーダー妨害機による電子妨害が行われている場合、 航空目標の「探知」と「固定」の難易度がどう変化していくのか、考察を行ってみます。

 電子妨害が行われていない場合、レーダーによる航空目標の「探知」と「固定」は、以下の通りの難易度でした。


         表12 レーダーによる目標探知/固定の難易度

BW62_Fig12.gif - 8.32KB

 表の左端は、レーダーの有効距離です。
 一般的に、レーダーの有効距離と同じ距離帯で探知や固定を試みるのであれば、 その行為判定の難易度は〈難:11+〉
 有効距離よりも近い距離帯で探知や固定を試みるのであれば、 その行為判定の難易度は〈並:7+〉でした。



 しかし、レーダー妨害機が使われるようになると、 その有効距離5km(遠方)である場合、 以下のような難易度に変わります。


         表21 レーダーによる目標探知/固定の難易度
              レーダー妨害機(遠方:〜5km)

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 有効距離=5km(遠方)のレーダーだけ、行為判定の難易度が1つずつ悪化しました。
 具体的には、超遠距離以内(〜500m)での難易度が〈難:11+〉で、 遠方(500m〜5km)での難易度が〈至難:15+〉です。

 レーダー妨害機有効距離5km(遠方)であるため、 妨害のできるレーダー有効距離=5km(遠方)のものだけしかないためです。
 有効距離50km(超遠方)以上のレーダーに対して、 有効距離=5km(遠方)のレーダー妨害機は効果を発揮できません。



 レーダー妨害機有効距離50km(超遠方)になれば、 行為判定の難易度は更に変わります。


         表22 レーダーによる目標探知/固定の難易度
             レーダー妨害機(超遠方:〜50km)

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 有効距離=5km(遠方)のレーダーは、行為判定の難易度が2つ悪化しています。
 超遠距離以内(〜500m)の難易度が〈至難:15+〉
 遠方(500m〜5km)での難易度が〈不可能:19+〉となりました。
 この状態ではどんなに+DMがあっても「探知」や「固定」に成功することは期待できません。

 有効距離=50km(超遠方)のレーダーは、行為判定の難易度が1つだけの悪化。
 遠方以内(〜5km)の難易度が〈難:11+〉、 超遠方(5km〜50km)の難易度が〈至難:15+〉です。

 有効距離500km(地域間)以上のレーダーに対して、 有効距離=50km(超遠方)のレーダー妨害機は効果を発揮できませんでした。

 「COACC」に掲載されていた電子妨害ポッドは、上記へ示した通りの性能を発揮しますので、 有効距離=50km(超遠方)以内の航空機/火器管制レーダーにはある程度有効で、 有効距離=500km(地域間)の防空レーダーには効果を発揮できない、ということになるでしょう。



 次は、有効距離=500km(地域間)レーダー妨害機を用いた場合の難易度。


         表23 レーダーによる目標探知/固定の難易度
             レーダー妨害機(地域間:〜500km)

BW62_Fig23.gif - 10.3KB

 有効距離=5km(遠方)のレーダーは、行為判定の難易度が3つ悪化しました。
 超遠距離以内(〜500m)の難易度が〈不可能:19+〉となり、 遠方(500m〜5km)では行為判定自体が行えません(絶対に失敗します)。

 有効距離=50km(超遠方)のレーダーは、行為判定の難易度が2つ悪化。
 遠方以内(〜5km)の難易度が〈至難:15+〉
 超遠方(5km〜50km)での難易度が〈不可能:19+〉です。

 有効距離=500km(地域間)のレーダーは、行為判定の難易度が1つだけ悪化。
 超遠方以内(〜50km)ならば難易度が〈難:11+〉、 地域間(50km〜500km)の難易度が〈至難:15+〉になりました。

 有効距離500km(地域間)以上のレーダーに対して、 有効距離=50km(超遠方)のレーダー妨害機は効果を発揮できません。

 しかし「COACC」において、 電子戦専用機が妨害可能な有効距離500km(地域間)ですから、 地上設置型の防空レーダーの有効距離も多くの場合、 500km(地域間)となっている筈です。
 この有効距離レーダー妨害機も活躍できるでしょう。



 最後は、有効距離=5,000km(大陸間)レーダー妨害機を用いた場合。


         表24 レーダーによる目標探知/固定の難易度
            レーダー妨害機(大陸間:〜5,000km)

BW62_Fig24.gif - 9.95KB

 有効距離=5km(遠方)のレーダーは、行為判定の難易度が4つ悪化しました。
 どの距離帯であっても、
 有効距離=50km(超遠方)のレーダーは、行為判定の難易度が3つ悪化。
 遠方以内(〜5km)の難易度が〈不可能:19+〉になり、 超遠方(5km〜50km)ではどうやっても「探知」や「固定」ができなくなります。

 有効距離=500km(地域間)のレーダーは、行為判定の難易度が2つ悪化。
 超遠方以内(〜50km)の難易度が〈至難:15+〉、 地域間(50km〜500km)での難易度が〈不可能:19+〉となりましたから、成功を期待できません。

 有効距離=5,000km(大陸間)のレーダーは、行為判定の難易度が1つだけ悪化。
 地域間以内(〜500km)の難易度は〈難:11+〉
 大陸間(500km〜5,000km)での難易度は〈至難:15+〉です。



 表21から表24へ示した通り、レーダー妨害機が強力であるほど、 有効距離が大きいレーダーを妨害できるようになり、 その妨害の効果も大きくなる(難易度を悪化させる)ことが分かりました。
 コンピュータ・レベルによる+DMは、電子妨害を行われると、妨害側との対抗DMに変わってしまうので、 テックレベルが大きく異ならない限り、あまり大きな差にはならないでしょう。

 反対に、レーダー妨害機の影響を受けないため、あるいは、影響を最小限に抑えるためには、 より有効距離が大きいレーダーを用いることが最も簡単で確実になる訳です。
 現実問題として、それを用意できるかどうかは分かりませんが。

 レーダー妨害機の影響を受けてしまい、 味方や自身のレーダーが役に立たなくなった場合は仕方がありません。
 敵を発見するためには最後の索敵手段、目視(視認)に頼ることとなるでしょう。
 プレイに彩りを添える激しい射撃戦を再現するためには、この方が都合が良いとも思えます。




(3)直視レーダー(Ladars)の性能

 電子妨害(レーダー妨害機)に対抗するためには、 より強い(=有効距離が大きい)レーダーを使うことが一番である訳なのですが、 トラベラーの世界観(公式設定)から推測すると、過剰に有効距離が大きいレーダーを用いることは不自然です。

 次の手として、レーダー妨害機の発信する電波を逆探知して、その場所を突き止めるという方法もあるのですが、 これには受動EMSという探知機が不可欠でした。
 そして受動EMSは、テックレベル10以上にならなければ利用できません。
 テックレベル6〜11で利用可能なレーダー方位計は、 作動しているレーダーやレーダー妨害機の位置を「探知(locate)」できるだけであり、「固定(lock)」には使えないのです。
 HJ版の日本語訳だと解釈が曖昧になってしまいますが、原文を確認したところ、そうなっていました。

 最後の対抗手段は、直視レーダー。
 電波(レーダー波)ではなく、ビーム・レーザーの反射を用いたレーダーのことです。
 再び、レフリーズ・マニュアル、p.69を参照すると、

 直視レーダーは、収束させたビーム・レーザーを用いて目標を追跡するための装備である。
 目標となっているユニット以外のユニットが直視レーダーを探知することはきわめて困難であり、 直視レーダーを妨害することはほぼ不可能である。

 という説明がなされていました。
 個人的には対レーザー・ガス乱反射ガスを使えば妨害可能だと思っているのですが、 高速移動を行う航空機では利用し難いかも知れません。はっきりした記述は存在しませんので、レフリーの判断にお任せします。



 いつものパターンですが、まずは直視レーダー妨害機の性能を確認しておきましょう。
 最初は有効距離=5km(遠方)の直視レーダーから。


       表25 直視レーダーの性能(有効距離=5km:遠方)

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 表の左端は直視レーダーテックレベル

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)に関しては、表8と同じ形。



 直視レーダーは、テックレベル=8以降にならなければ利用できません。
 そして、同じテックレベル=8で製造された、同じ有効距離で使用できるレーダーと比べたところ、 予想以上に大きくて重くて高価でした。
 通常型レーダーに対して、出力容積重量は8.3倍。
 価格は83倍という高コストです。
 これだけ高価であれば、有効距離=5,000km(大陸間)の通常型レーダーを買っても、お釣りが出るでしょう。
 レーダー妨害機に対抗することが目的であれば、それが最善のように思えます。
 消費電力や容積、重量の問題で実現できるとは限りませんが。

 テックレベル=9になると数値は少し良くなりますが、 出力容積重量は3倍。
 価格は30倍という相変わらずの高価格でした。
 有効距離=500km(地域間)の通常型レーダーと同じくらいのコストが掛かると言うことです。

 テックレベル=10の直視レーダーには対応するレーダーがありませんので、 能動EMSと性能を比べてみました。
 その場合、出力は20分の1、容積重量は2分の1、 価格は4分の1という、実にお買い得な数字となりました。
 これはテックレベル=10の能動EMS出力が極端に大きく、高価であるためです。
 能動EMSの代わりに装備するのであれば、妥当かも知れません。
 それでもテックレベル=9の通常型レーダーと比べたら、価格は10倍。
 まだまだ直視レーダーは高価なのです。



 次は有効距離=50km(超遠方)の直視レーダー。


       表26 直視レーダーの性能(有効距離=50km:遠方)

BW62_Fig26.gif - 6.38KB

 表の形式は表25と同じです。



 直視レーダーの出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて5〜10倍。

 テックレベル=8の直視レーダー通常型レーダーを比べると、 出力容積重量は10倍、 価格は100倍になっていました。
 レーダー妨害機への対抗手段としては、どうにも不経済な気がします。
 他に適当な対抗手段が存在しない以上、仕方のないことなのでしょうが。

 テックレベル=9の場合、出力容積重量は1.88倍、 価格は18.8倍でした。
 まだまだ高価です。

 テックレベル=10の直視レーダーを、 有効距離=50km(超遠方)の能動EMSと比べると、 出力は10分の1、容積重量は同じ数値、 価格は2分の1になっていました。
 高価な能動EMSを搭載するよりも、少しだけ予算を節約できるようです。

 テックレベル=11の直視レーダーは、有効距離=50km(超遠方)からの初登場。
 色々なデータが半分に減っていますが、比べるべきテックレベル=11の能動EMSも数値が半減しているので、 有効距離=50km(超遠方)の能動EMSと比べた場合の比率は変わりません。



 三番目は有効距離=500km(地域間)の直視レーダー。


       表27 直視レーダーの性能(有効距離=500km:地域間)

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 表の形式は表25と同じです。



 直視レーダーの出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて16〜26倍でした。

 テックレベル=8の直視レーダーは、同じ有効距離の通常型レーダーと比べて 出力容積重量が10倍、 価格は100倍です。
 相変わらず、テックレベル=8の直視レーダーは不経済だと感じました。

 テックレベル=9の場合、出力容積重量は1.97倍、 価格は19.7倍でした。
 同じように、まだまだ高価です。

 テックレベル=10の直視レーダーを、 有効距離=500km(地域間)の能動EMSと比べると、 出力容積重量は20分の1、 価格は40分の1になっていました。
 能動EMSに比べれば遥かに小型軽量で安価だと言えますが、 他の用途を考えると能動EMSを搭載した方が良いのではないかと思います。

 テックレベル=11の直視レーダーは、様々なデータが激減しました。
 出力容積重量価格までもが半分に減っています。



 最後は有効距離=5,000km(大陸間)の直視レーダー。


       表28 直視レーダーの性能(有効距離=5,000km:大陸間)

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 表の形式は表25と同じです。



 直視レーダーの出力や容積、重量、価格は、有効距離=5km(遠方)と比べて20〜80倍。

 テックレベル=8の直視レーダーは、同じ有効距離の通常型レーダーと比べて 出力容積重量が10倍、 価格は100倍です。
 数値の比率は10倍と100倍なので、有効距離=500km(地域間)と同じように不経済であることは明らかでしょう。
 電子妨害下でも絶対に使えること、という条件でもない限り、私ならば選びません。
 メガトラの輸送機器設計ルールにおいて直視レーダーは、冷遇されているようです。

 テックレベル=9の場合も、出力容積重量は2.0倍、 価格は20倍でした。

 テックレベル=10の直視レーダーを、 有効距離=500km(地域間)の能動EMSと比べると、 出力容積重量は40分の1、 価格は70分の1になっていました。
 能動EMSに比べれば遥かに小型軽量で安価なのですが、 能動EMSの様々な性能と比べてしまうと、直視レーダーには魅力を感じません。

 テックレベル=11の直視レーダーのデータは、テックレベル=10の半分になっています。



 直視レーダーは、航空目標の固定だけにしか使えません。
 使用しているビーム・レーザーの幅が狭いため、逆探知や妨害を受けない代わりに、広範囲の探知には使えない、ということなのでしょう。

 直視レーダーによる航空目標の固定には、 通常型レーダーを用いた場合と同じように、以下の行為判定を行って下さい。
 当然ながら、通常型レーダーによって「探知」済みの目標でなければ、 航空目標の固定を試みることは出来ません。

>直視レーダーで航空目標を固定するには:
> [難易度]。
>
>レフリー:
> 行為判定の難易度は、表14を参照して下さい。
> 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は、難易度がひとつ上昇します。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> コンピュータ・レベルの代わりに、レーダー操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
> レーダー操作員の〈戦術〉技能レベルを+DMとして適用できます。
>
> 「固定」される側が直視レーダーに気付いて回避行動を取った場合にのみ、
> コンピュータ・レベルを対立DMとして適用します。
> レーダーに付属しているコンピュータと、
> 回避行動を取る航空機に搭載されているコンピュータで、
> レベル数の差を求めて下さい。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 目標と同じ方向に太陽が存在する場合と目標が低空を飛行している場合の修正は、探知で説明した内容と同じです。
 キャラクター(人間やロボット)サイズの航空目標を探知する場合は1つ、 小型目標を探知する場合は2つ、難易度を上げることも同様。

 直視レーダーは、レーダー妨害機の影響を受けません。
 ですから、DMに用いるコンピュータ・レベルは、レベル数をそのまま+DMと適用するだけです。
 目標がレーザー方位計受動EMSを装備していて、 何らかの回避行動を取るのであれば、コンピュータ・レベル数の差を対立DMとして用いて下さい。



 表14を再掲載しておきます。


          表14 レーダーによる目標固定の難易度

BW62_Fig14.gif - 8.43KB

 表の左端は、レーダーの有効距離です。
 レーダーの有効距離と同じ距離帯で目標固定を試みるのであれば、 難易度は〈難:11+〉
 有効距離よりも近い距離帯で探知を試みるのであれば、 その行為判定の難易度は〈並:7+〉となりました。

 実用的な距離ではないので上の表には載せませんでしたが、有効距離=大陸間のレーダーが、 大陸間距離(500〜5,000km)の目標固定を試みるのであれば、 難易度は〈難:11+〉です。




(4)直視レーダーの逆探知

 レーダーの逆探知と同じように、 地上に設置された直視レーダーによって、航空機に対する「目標の固定」が試みられた場合、 その航空目標はレーザー方位計受動EMSによって、 その直視レーダーを逆探知できます。
 行為判定は必要ありません。「探知」だけは自動的に成功します。

 その一方で、直視レーダーに狙われた航空機が レーザー方位計等を装備していなければ、何も気付きません。
 レーダーと大きく異なる点は、「固定」の対象となった航空機以外、逆探知を行えないという点でしょう。

 レーザー方位計は、直視レーダーの発信源を「探知」できるだけです。
 発信源に対して「目標の固定」を試みることは出来ませんので、射撃やミサイル発射も出来ません。

 受動EMSならば、直視レーダーの発信源に対して、「目標の固定」を試みることができます。
 表14の難易度表に従って、行為判定を行って下さい。



 以下に、レーザー方位計受動EMSの性能を纏めました。


   表29 レーザー方位計と受動EMSの性能(有効距離=超遠方:50km)
       考察59回「空軍7:空対地ミサイル」の表15を再掲載。

BW62_Fig29.gif - 8.60KB

 表の左端は、レーザー探知機名
 どういう理屈か分かりませんが、MTの輸送機器設計ルールにおけるレーザー探知機は、 第1世代(1st Generation)第2世代(2nd Generation)第3世代(3rd Generation)、といった呼び方で区別されていました。
 説明文が見つからないので、呼び方以外に何が違うのか良く分かりません。
 有効距離についてはデータがありませんので、とりあえず、 どんな距離であれレーザーが照射されていることについては探知できる、ということで良いのでしょう。

 受動EMSは説明文の通り、その機能の中にレーザー探知機を含んでいますから、 同じように使えると考え、上記の表に掲載しました。
 その有効距離は、超遠方:50kmですが。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)が意味するところは表8と同じ。



 レーザー探知機という代物は、物凄く大きくて重くい代物です。
 レーザー探知機は大きく、重く、高価であり、個人で持ち歩くことは論外ですし、 車輌や航空機に搭載することも、その重さと価格が250kg爆弾1個に相当することを考えれば、難しいでしょう。
 テックレベル9以下の世界において、レーザー探知機を搭載している輸送機器や、 レーザー探知機を設置している施設は珍しいのではないでしょうか。



 テックレベル10以上の世界になると、今度は受動EMSが登場します。
 これは急激な小型軽量化が実現されており、 容積は2〜4リットル、重量は1〜2kgしかありませんでした。
 従来のレーザー探知機と比べるならば、桁が2つも違います。
 価格はあまり変わりませんでしたが、それでも20,000〜40,000Cr
 より多くの付加機能が付いて値段が変わらないのであれば、使い勝手の良い受動EMSが選ばれるでしょう。
 唯一の欠点は出力が大きくなったことでしょうか。
 従来のレーザー探知機1〜2kwしか消費しなかったのに対し、 受動EMSは10倍の電力10〜20kwを必要としていました。

 テックレベル10以上(場合によっては11以上)の世界であれば、受動EMSを搭載した輸送機器は珍しくないでしょう。
 「帝国百科」に掲載されている エアラフトGキャリアーも、 しっかり有効距離=超遠方:50km受動EMSを搭載していました。



 以上、レーザー探知機受動EMSの性能から考えてみた結果、
 テックレベル9以下の世界では、レーザーの照射に気付かない。
 テックレベル10以上の世界では、レーザーの照射に気付く。

 と言うことが言えるようです。



 地上設置型のレーダーを無力化する手段として、 レーダー妨害機を用いる場合について、考察しました。

 レフリーズ・マニュアルの記述によれば、 レーダー妨害機は、最大有効距離が等しいか、それ以下のレーダーを使用不能にすることができる、 とのことですが、電子戦の駆け引きを楽しみたいレフリー/プレイヤーとしては面白くありません。
 そこで、行為判定を組み込むことにしました。
 (2)航空目標の「探知」と「固定」で紹介した 私のハウス・ルールに、電子妨害による難易度修正を組み込んでみた訳です。

 電子妨害が効果を発揮している間は、レーダーによる航空目標の「探知」と「固定」が極めて難しくなることを確認できました。
 その場合は互いに相手の位置が分からなくなるため、目視(視認)が主な索敵手段となるでしょう。

 レーダー妨害機の影響下でも使用可能な「目標固定」手段のひとつとして、 直視レーダーについても考察を行いました。
 直視レーダーレーダー妨害機の影響を受けないため、 確実な「目標固定」を行えるようです。
 しかし、直視レーダーが大きく重く高価であるため、使用には様々な制限が課されるでしょう。





受動探知の使い方


 メガトラベラーの宇宙船戦闘ルールには、 レーダー能動EMSを用いた能動物体探知/追跡の他、 質量探知機を用いた受動質量探知/追跡中性微子探知機受動EMSを用いた受動エネルギー探知/追跡、 といった探知/追跡方法が存在していました。

 宇宙船戦闘ルールには、しっかりと3種類の探知/追跡方法が提示されているのにも関わらず、 個人戦闘ルールで触れられていることは潜伏と探知のルールのみ。
 相手を発見するために必要な要素は、相手との間に視線を引けるかどうか、ということだけで、 そこにはレーダー電子妨害手段が割り込む余地はありません。
 そもそも、個人戦闘でレーダー等を使うルールも用意されていませんでした。

 人間同士が戦う、純粋な個人戦闘ならばそれでも構いませんが、 電子装置を備えた要塞、戦闘車輌、軍用航空機が戦闘に参加する場合は、そういう訳にもいかないでしょう。
 レーダーなど古典的な電子機器をはじめとして、 トラベラーっぽい雰囲気を持つ質量探知機中性微子探知機など使う場面は必ず発生しますし、 その際には使うためのルールが存在しなければ困ります。

 と言う訳で、宇宙船戦闘ルールの受動質量探知/追跡受動エネルギー探知/追跡の2つを、 受動質量探知/固定受動エネルギー探知/固定という名前で 地上戦向けに作り替えてみました。
 これは、対空監視用に作成したハウス・ルールです。
 地対地や空対地の探知/追跡(固定)には使えませんので、ご注意下さい。




(1)質量探知機の性能

 レフリーズ・マニュアル、p.70、10.質量探知機の項には、 様々な性能の質量探知機が掲載されています。

 これらの質量探知機は、 低貫通型高貫通型の2つに分けられていますが、 この呼称はあくまで、そのテックレベルにおける性能の高低から区別されているだけで、絶対的な性能を示す分け方ではありませんでした。
 具体的にどう違うかと言えば、低貫通型高貫通型に分けられている2つの表を、 1つに纏めて比べてみれば、一目瞭然でしょう。

 以下の表に、質量探知機の性能を纏めてみました。


              表30 質量探知機の性能

BW62_Fig30.gif - 13.1KB

 表の左端は質量探知機テックレベル貫通力
 テックレベルは言うまでもなく、その質量探知機を利用可能(製造可能)なテックレベルです。
 貫通力は、 目標内部の密度を探知できる(密度の分布図を作成できる)深さに相当する距離です。
 但し貫通力表面である場合は、 設定された距離内にある、最も質量の大きい物体の方位を示すことしかできません。

 その右に書かれている数値は出力で、その探知機を使用するために必要な電力です。 単位はキロワット(kw)

 更に右の欄は容積で、単位はリットル(Little)

 次の欄は重量で、単位はキログラム(kg)

 最後の欄は価格。単位はクレジット(Cr)



 同じテックレベルで比べると、高貫通型の質量探知機が、 どれだけ大出力(大電力)を必要としており、大きくて重く、高価であるかが理解できるでしょう。
 高貫通型の質量探知機は、同じテックレベルの低貫通型と比べて、 出力は5〜9倍、容積は7.5〜23.3倍、 重量は6.25〜15倍、価格は5.7〜7.8倍になっていました。
 テックレベル11の質量探知機だけは差が極端で2,500倍とか10,000倍という比率にもなっているのですが、これは例外としておきます。

 大きな貫通力を得るためには、技術的な無理をそれだけ重ねなければいけないということなのでしょう。
 機械設計者の1人として、勝手ながら共感してしまいました。

 さて、次はテックレベルは異なりますが、同じ貫通力の質量探知機を見比べて下さい。
 テックレベルが1つ上がるだけで、貫通力以外のデータが劇的に小さくなっていることが分かると思います。
 テックレベルが1つ上の低貫通型質量探知機は、 テックレベルが1つ下の高貫通型質量探知機と同じ貫通力を備えており、それでいながら、 小さな出力容積重量しか必要としていません。
 おまけに、価格は安価です。
 具体的には、出力容積重量が5分の1〜30分の1、 価格は5分の1〜7分の1という具合。

 低いテックレベルで無理を重ねても、その性能は高いテックレベルの廉価版には敵わないということであり、 機械設計者の1人として技術競争の悲哀を感じました。

 ちなみに、能動EMS受動EMSは、そのテックレベルと有効距離にもよりますが、 20,000〜40,000crの低コストで装備が可能でした。
 質量探知機は、これら安価な探知機と比べて、極めて高価な探知機なのです。



 「Starship Operation Manual、p.19」の記述によれば、 質量探知機の技術は、重力波を検出することではなく、 不要な重力波を遮断すること"gravity shielded"に重点が置かれている模様です。
 不要な重力波を遮断するためのシステムが、質量探知機の大部分を占めていると解釈しても良いでしょう (具体的な構造については不明ですが)。
 質量探知機が検出する様々な重力波の中から、目標の発する重力波だけを抜き出すことで初めて、 目標を探知し、目標を追跡(固定)することが可能となるのです。

 テックレベル10〜11において、重力波を遮断する技術は、まだまだ初歩的な段階でした。
 質量探知機の貫通力は表面1m程度。
 宇宙船戦闘ルールで定義されている受動質量探知の難易度が〈至難:15+〉となっていることも当然だと言えるでしょう。

 テックレベル12〜13になると、その技術はある程度、実用的なレベルまで高まります。
 質量探知機の貫通力は1m100m
 それなりの大きさを持った物体の内部まで、三次元の密度分布図を作成することができるようになった訳です。
 受動質量探知の難易度は〈難:11+〉
 宇宙空間の近距離(5万km以内)で高レベルのコンピュータを備えているのであれば、目標を探知することが可能となりました。
 遠距離(5万〜50万km)の目標や、低レベルのコンピュータしか備えていない場合は望み薄です。

 テックレベル14以上になってようやく、質量探知機は遠距離(5万〜50万km)の目標を探知できるようになりました。
 質量探知機の貫通力は100m1km
 受動質量探知の難易度は〈並:7+〉です。



 これらの情報を踏まえて、地上における受動質量探知/固定の難易度を決定しました。




(2)受動質量探知による航空目標の「探知」と「固定」

 質量探知機による航空目標の探知と固定も、 レーダーと同じように行為判定を行います。

 以下の行為判定を行って下さい。

>質量探知機で航空目標を探知するには:
> [難易度]。
>
>レフリー:
> 行為判定の難易度は、表31を参照して下さい。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> コンピュータ・レベルの代わりに、質量探知機操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
> 質量探知機操作員の〈戦術〉技能レベルを+DMとして適用できます。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 目標と同じ方向に太陽が存在する場合と目標が低空を飛行している場合の修正は、探知で説明した内容と同じです。
 キャラクター(人間やロボット)サイズの航空目標を探知する場合は1つ、 小型目標を探知する場合は2つ、難易度を上げて下さい。

 質量探知機を妨害する手段は存在しません。
 ですから、DMに用いるコンピュータ・レベルは、レベル数をそのまま+DMとして適用するだけです。

 「Starship Operation Manual」の記述によれば、 人工重力場は、自然な重力場よりずっと速い「減衰」率を持っているので、 約50,000kmを越えた質量探知機の表示は、(別の宇宙船など)人工重力場フィールドを持つ物体によって影響されません、とのこと。
 逆に考えれば、50,000kmより近い距離ならば、人工重力場によって質量探知機を妨害したり、欺瞞したりすることができるのかも知れません。
 このあたりは考えると訳が分からなくなりそうなので、 此処では質量探知機の妨害や欺瞞は行えないということにしておきます。

 質量探知機による航空目標の探知と固定は、 重力波を検出しているため、目標との間に視線が通っていなくても可能になる筈ですが、 目標との間に存在する物体の質量、それらの放つ重力波が、「探知」と「固定」にどれだけの影響を与えるか明らかにできていません。
 ですから、受動質量探知による航空目標の探知と固定は、 視線が通る目標に対してのみ可能である、ということにしました。
 また、地表すれすれを飛行している(NOE飛行中)の航空機は地上ユニットであると見なしますので、ここではルールの対象外とさせて頂きます。
 ご了承下さい。



 宇宙船戦闘ルールにおける受動質量探知の難易度を参考にして、 質量探知機による航空目標の「探知」と「固定」の難易度を、以下のように決定しました。


     表31 質量探知機による目標探知の難易度(ハウス・ルール)

BW62_Fig31.gif - 15.0KB

 表の左端は質量探知機テックレベル貫通力

 表の右側は、距離帯毎に異なる航空目標を「探知」するための難易度。



 テックレベル10〜11の質量探知機は、地上で使用される場合、中距離(〜50m)までの目標を探知することしかできません。
 おまけに難易度はかなり難しく、テックレベル10のもので〈至難:15+〉、 テックレベル11のものでも〈難:11+〉でした。
 近距離(〜5m)の目標探知を試みるのであれば、 難易度はそれぞれ〈難:11+〉〈並:7+〉まで下がりますが、 航空機相手の戦闘では意味がないでしょう。
 つまり、このテックレベルで利用可能な質量探知機には実用性がない、ということが分かりました。

 テックレベル12〜13の質量探知機は、遠方(〜5km)までの目標を探知することができます。
 難易度は超遠距離以内(〜500m)ならば〈並:7+〉で、 遠方(500m〜5km)は〈難:11+〉
 目視による視認の行為判定と同じような難易度ですが、 悪天候や暗闇による影響を受けないことを考えるならば、目視よりも有難い探知手段だと言えるでしょう。

 テックレベル14〜15の質量探知機は優秀で、超遠方(〜50km)に存在する目標も探知できるようになりました。
 遠方以内(〜5km)ならば難易度は〈並:7+〉で、 超遠方(5km〜50km)の目標に対しては難易度が〈難:11+〉です。



 質量探知機による航空目標の固定を試みる場合は、以下の行為判定を行って下さい。

>質量探知機で航空目標を固定するには:
> [難易度]。
>
>レフリー:
> 行為判定の難易度は、表32を参照して下さい。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> コンピュータ・レベルの代わりに、質量探知機操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
> 質量探知機操作員の〈戦術〉技能レベルを+DMとして適用できます。
>
> 目標の移動速度(移動DM)が、マイナスDMとして適用されます。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 目標と同じ方向に太陽が存在する場合と目標が低空を飛行している場合の修正は、探知で説明した内容と同じです。
 キャラクター(人間やロボット)サイズの航空目標を探知する場合は1つ、 小型目標を探知する場合は2つ、難易度を上げることも同様。

 質量探知機を妨害する手段は存在しませんが、受動質量探知による「目標の固定」には時間が掛かるため、 目標の移動速度(移動DM)が不利に働くマイナスDMとして適用されます。
 超遠距離(250m〜500m)の場合は移動速度100km/h毎に−1、遠方(500m〜5km)は200km/h毎に−1、 超遠方以上(5km〜)の距離ならば移動DMは適用されないということですから、実質的にどれだけの影響があるかは分かりませんが。



 質量探知機による目標固定の難易度は以下の通りです。


     表32 質量探知機による目標固定の難易度(ハウス・ルール)

BW62_Fig32.gif - 14.8KB

 表の左端は質量探知機テックレベル貫通力

 表の右側は、距離帯毎に異なる航空目標を「固定」するための難易度。
 受動質量探知による追跡(目標固定)の難易度は貫通力によって決まりますから、 この難易度表も「探知」の場合とは一部が異なっています。



 貫通力が表面の質量探知機は、中距離(〜50m)までしか目標を「固定」できません。
 難易度は〈至難:15+〉ですから、成功はほとんど望めないでしょう。
 近距離(〜5m)の目標に対して「固定」を試みるのであれば難易度は〈難:11+〉となりますが、 「探知」の場合と同じように実用的ではありません。

 貫通力が1mであっても、質量探知機は中距離(〜50m)までの目標しか「固定」できませんが、 その難易度は〈難:11+〉まで下がりました。
 「固定」できる距離が中距離(〜50m)までしかないのでは、あまり意味を持ちませんが。

 貫通力が50m〜100mの質量探知機は、遠方(〜5km)までの目標を「固定」することができます。
 難易度は超遠距離以内(〜500m)ならば〈並:7+〉で、 遠方(500m〜5km)は〈難:11+〉
 ある程度、実用的なレベルに達したと思われます。
 目視による視認と同程度には使えるでしょう。

 貫通力が250m〜1kmの質量探知機は、超遠方(〜50km)に存在する目標を「固定」できます。
 遠方以内(〜5km)の目標に対する難易度は〈並:7+〉で、 超遠方(5km〜50km)の目標に対しては〈難:11+〉



 質量探知機による航空目標(質量)の「探知」と「固定」については、 受動的であるが故に逆探知が不可能であること、電子妨害の影響を受けないこと、などがメリットとして挙げられるでしょう。
 その反面、テックレベル11以下では利用できないこと、テックレベル12〜13でも遠方(〜5km)までしか「探知」と「固定」が行えないこと、 テックレベル14以上ならば超遠方(〜50km)までの利用が可能ですが探知機自体が極めて高価であること、 目標の質量しか測定できないので敵味方の識別が困難であること、などが考えられました。
 出来ることならば装備したい探知機ですが、すべての輸送機器や戦闘車輌へ装備するには高価すぎる、と言えるようです。

 ある程度の貫通力を備えた質量探知機は、 目標と定めた物体の内部を、三次元の密度分布図という形で透視することができます。
 貫通力に相当する深さまでならば、視線が通らなくても、間にどんな物質が存在しても、関係ありません。
 ですから、敵兵が森の中で待ち伏せていようが、建物の中に潜んでいようが、塹壕の中をこっそりと移動していようが、 質量探知機からは丸見えになってしまう訳です。
 こうした状況が成立してしまうのであれば、質量探知機を装備した敵兵に対して、 待ち伏せや奇襲といった戦術が一切通用しなくなってしまうでしょう。
 そうした戦場を想像するのは荷が重過ぎますので、幾つかの制限を課して 質量探知機が使い難いルールを作ってみました。
 特に、目標の「固定」を試みる際は、目標の移動DMが不利に働くというルールを作ったところ、 移動目標の「固定」が困難、場合によっては不可能になっています。
 性能の低さに苛立つ方は多いだろうと思われますが、 質量探知機の性能が高過ぎると、戦争の形そのものが変わってしまいます。
 そうした事態を防ぐための対応ですので、御容赦下さい。




(3)受動EMSの性能

 輸送機器設計ルールにも書かれている通り、テックレベルが10以上になれば受動EMSの利用が可能になります。

 例によって「Starship Operation Manual」を参照すると、 受動EMS(passive electromagnetic sensors array)は あらゆる電磁波(電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、ガンマ線)を取り扱う受動探知機です。
 実際のところは、あらゆる電磁スペクトラムを取り扱う、コンピュータに連結された一連の探知機群、 なのだそうですが、操作する側からすれば、1つのセンサ(=受動EMS)として見なせるのでしょう。

 受動EMS受動的な探知機なので、 自ら電磁波(レーダー波やレーザー光)を発信することはありません。
 目標が発信する電磁波を受信して、目標の位置や移動速度を割り出す、という仕組みですが、 当然ながらその精度は、目標が発信する電磁波の強さに依存しています。
 目標が積極的に電磁波を発信している(無線通信、レーダー/能動EMS探知を行っている)場合はともかくとして、 目標が強い電磁波を発信していない場合は、その目標を探知することがとても難しくなってしまいました。



 今回も考察の前に、受動EMSの性能を確認しておきましょう。
 まずは有効距離=50km(超遠方)の受動EMSから。


        表33 受動EMSの性能(有効距離=50km:超遠方)

BW62_Fig33.gif - 4.07KB

 表の左端は探知機名テックレベル
 テックレベル=11〜14の受動EMSは、すべてのデータが一致していましたので同じ欄に統一しました。

 出力(kw)容積(Little)重量(kg)価格(Cr)などのデータは、表30と同じです。



 出力は少し大きめですが、テックレベル=10以上の輸送機器ならば、この程度の電力は簡単に供給できるでしょう。
 容積重量は小さく、輸送機器への搭載を制限するものではありません。

 受動EMSの特徴は、何より安価なことでしょう。
 価格が40,000〜20,000Crもする装置ですが、表6で示した高度な暗視装置、 イメージ増幅器(30,000Cr)画像合成器(30,000Cr)と比べれば、ほぼ同等。
 有効距離=5km〜50km(遠方〜超遠方)のレーダー(最低1,000〜8,000cr)と比べてしまうと高価ですが、 敵の逆探知を受けないメリットは戦闘において大きく影響する筈です。



 次は、有効距離=5,000km(大陸間)の受動EMSです。


       表34 受動EMSの性能(有効距離=5,000km:大陸間)

BW62_Fig34.gif - 6.42KB

 形式は、表33と同じ。

 出力容積重量が一気に大きくなりました。
 数値は5倍〜9倍。
 価格も同じように急上昇しています。



 今回、有効距離1AU(惑星間)以上の受動EMSは 取り扱わないこととしました。
 宇宙船に搭載するような高性能な受動EMSを地上で使っても、その性能は発揮できないと思われるからです。
 天体観測用の大規模望遠鏡で数km先の地上目標を見ようとしても、視野が狭かったり、追尾ができなかったりするなど、 色々な問題が発生することでしょう。
 何より、公式設定である反重力戦車トレピダでさえも 有効距離=50km(超遠方)受動EMSしか搭載していない、 という世界観を損ねたくないのです。

 もし有効距離=1AU(惑星間)以上の受動EMSを登場させる場合は、 例えば宇宙船の受動EMS対空監視に利用するような場合ですが、 その性能を有効距離=5,000km(大陸間)まで落として対応して下さい。




(4)中性微子探知機の性能

 今度は中性微子探知機(Neutrino Sensor)
 宇宙船戦闘ルールにおいては、前述した受動EMSとセットになって、 受動エネルギー探知/追跡を行うための探知機として扱われていました。



 「Starship Operation Manual」の記述によれば、 中性微子は全くと言って良いほど、他の物質の影響を受けないということ。
 その進路上に何が有ろうとも影響受けず、通り抜けてしまいます。
 他の物体によって「反射される」ことも滅多にありません。
 極一部の物体、超高密度の素材だけが、1〜2パーセントの割合で中性微子を反射するそうですが。

 中性微子は、核分裂、核融合、および反物質炉(対消滅)などから発生します。
 ですから、中性微子探知機は中性微子の放出量から 反応の種類(核分裂、核融合、対消滅)を区別し、その出力量を見積もることが可能だとのこと。
 核融合動力の輸送機器を発見し、その脅威度(エネルギー量)を判断するには、最適な探知機だと言えるでしょう。

 面白いことに、最新(テックレベル14以上)の技術で製造された宇宙船の船殻(Hull)は、 僅かながら中性微子を反射します。
 宇宙船の核融合炉から放射された中性微子は宇宙船の船殻で反射されるため、 中性微子探知機は宇宙船の輪郭を知ることができるとのこと。
 便利な技術だと思いますが、宇宙船の船殻がテックレベル13以下で製造された場合はどうなるのか、情報がありません。
 メガトラベラーの宇宙船戦闘ルールは、双方の宇宙船がテックレベル14以上で製造されていることが大前提なのでしょうか。
 謎は深まるばかりです。



 中性微子探知機の性能表です。


            表35 中性微子探知機の性能

BW62_Fig35.gif - 7.67KB

 形式は、表33と同じ。
 但し、左端のテックレベル探知可能最低出力は、それぞれ、 その中性微子探知機を利用可能(製造可能)なテックレベルと、 その中性微子探知機が探知できる中性微子の発生源(核分裂、核融合、および反物質炉)の最小サイズ(出力)を意味しています。



 テックレベル=10の中性微子探知機は、設定された距離内にある、最も出力の大きい核分裂(核融合)反応の方位を示すだけの性能しかありませんが、 ミサイルの誘導用としてこれで十分なのでしょう。
 価格から見て、中性微子自動追尾ミサイルの誘導装置に搭載されている探知機は、これしか有り得ません。
 「レフリーズ・マニュアル、p.91」の受動エネルギー探知能力表によれば、 テックレベル=10の中性微子探知機はプラスの修正値を得られませんでした。
 ですから、単体では探知機としての能力がほとんどない、ということが言えるでしょう。
 本当に、こんな低性能の探知機でミサイルの誘導に使えるのか、不思議で仕方ありませんが。

 テックレベル=11の中性微子探知機は、探知可能最低出力1Gw=1,000Mwです。
 宇宙船の核融合炉出力は、100トンのS型偵察艦が864Mw、 200トンのA型自由貿易船が990Mw、という大きさですので、この中性微子探知機で探知するためには足りません。
 S型偵察艦A型自由貿易船、その他の小艇、輸送機器は、 テックレベル=11の中性微子探知機では発見できない(「探知」や「固定」)が出来ない、ということになるのではないでしょうか。
 細かいことをルールで縛るつもりはありませんが、これはこれで面白くなりそうです。
 受動エネルギー探知能力表での修正値は「+1」ですから、 単独での探知能力は有効距離=5km(超遠方)の受動EMSに相当する、と思われます。
 そんな性能の探知機は何処にも存在しませんが、ルール的にはそうなっていました。

 テックレベル=12になると、 中性微子探知機の探知可能最低出力1Mwまで小さくなります。
 宇宙船や小艇はもちろんのこと、核融合炉を搭載した輸送機器も捉えることができるでしょう。
 受動エネルギー探知能力表での修正値は「+2」で、 単独での探知能力は有効距離=50km(超遠方)の受動EMSに相当。

 テックレベル=13の中性微子探知機は、探知可能最低出力100kwです。
 受動エネルギー探知能力表での修正値は「+4」で、 探知能力は有効距離=5,000km(大陸間)の受動EMSに相当。

 テックレベル=14の中性微子探知機は、探知可能最低出力100kwです。
 受動エネルギー探知能力表での修正値は「+6」ですから、 探知能力は有効距離=500,000km(遠軌道距離)の受動EMSに相当していました。



 中性微子探知機は、質量探知機と同じように、受動EMSと比べて高価であることが判明しました。
 宇宙船用の受動EMS有効距離=1AU(惑星間)有効距離=2pc(遠恒星間)と比べれば安価ですが、 有効距離=50km(超遠方)有効距離=5,000km(大陸間)のものと比べるのであれば、 明らかに高価。

 多数を配備しなければならない輸送機器や戦車すべてに中性微子探知機を搭載することは、 間違いなく、製造価格の上昇を招きます。
 地上で使われる輸送機器は戦車が質量探知機中性微子探知機を搭載していない理由は、 経済性なのかも知れません。
 私ならば製造価格の上昇を招いても構わず搭載しますが、トラベラー世界ではそうもいかないのでしょう。




(5)受動エネルギー探知による航空目標の「探知」と「固定」

 受動エネルギー探知/追跡を応用した、航空目標の「探知」と「固定」について、 ハウス・ルールを作り、考察してみました。



 まずは、受動エネルギー探知による航空目標の探知から。

 航空目標の探知に関しては、以下の行為判定を行って下さい。

>受動エネルギー探知で航空目標の位置を探知するには:
> [難易度]。
>
>レフリー:
> 行為判定の難易度は、表36を参照して下さい。
> 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は、難易度がひとつ上昇します。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> コンピュータ・レベルの代わりに、レーダー操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は行為判定の難易度がひとつ難しくなりますが、 これは太陽が強力な電波と中性微子の発信源であるためです。

 また、目標が低空を飛行している場合は、−2から−4のDMが適用されます。
 これは地上の輻射熱や電磁波の中に、目標が発信する電磁波が紛れてしまうため。

 この行為判定の難易度は、パワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満の航空目標を想定しています。
 ですからパワープラント出力が10kw以上、1Mw未満の航空目標を探知する場合は難易度を1つ、 パワープラント出力が10kw未満の航空目標を探知する場合は難易度を2つ、上げて下さい。
 反対に、パワープラント出力が1Gw以上の航空目標を探知する場合は難易度を1つ、下げて下さい。
 航空目標の動力源は、核動力以外でも構いません。この難易度修正は、目標の発する熱量(赤外線の強さ)を再現したルールです。

 また、(3)レーダーの逆探知(4)直視レーダーの逆探知でも触れましたが、 目標がレーダー直視レーダーレーダー妨害機無線妨害機を使用しており、探知側がその有効距離内に居る場合は、 (直視レーダーの場合は探知側が直視レーダーの目標となっていることも必要ですが)、 自動的に目標を「探知」することができます。
 行為判定が必要ありません。

 色々と悩みましたが、受動エネルギー探知による航空目標の探知も、 視線が通る目標に対してのみ可能である、ということにしました。
 受動エネルギー探知に併用している中性微子探知機の特性を考えると納得しかねるかも知れませんが、 受動エネルギー探知は中性微子探知機だけに依存している訳ではありません。
 どちらかと言えば、宇宙船戦闘ルールにおけるDMの大きさから推測すると、 受動EMSが主であり、中性微子探知機が従になっているようです。
 遮蔽物の陰に隠れている目標も中性微子探知機ならば「探知」と「固定」が可能な筈ですが、 此処では状況を航空目標の探知に限定しているので、考慮しません。
 あくまで、受動EMSを主役とした探知だと考えます。



 受動エネルギー探知による航空目標の探知は、以下の通りの難易度です。


        表36 受動エネルギー探知による目標探知の難易度

BW62_Fig36.gif - 6.41KB

 表の左端は、受動EMSの有効距離です。
 受動EMSの有効距離と同じ距離帯で探知を試みるのであれば、 その行為判定の難易度は〈至難:15+〉
 有効距離よりも、 1つ近い距離帯で探知する場合は〈難:11+〉
 有効距離よりも、 2つ近い距離帯で探知する場合は〈並:7+〉となっています。

 有効距離=1AU(惑星間)以上の受動EMSを登場させる場合は、 その性能を有効距離=5,000km(大陸間)まで落として対応して下さい。



 反重力戦車トレピダにも搭載されている、 有効距離=50km(超遠方)の受動EMSを例に、考えてみました。

 パワープラント出力が1Gw以上の目標(宇宙船)を探知する場合、 超遠距離(〜500m)で難易度が〈易:3+〉のDM+3ですから、確実に探知できます。
 行為判定を省略しても良いくらいでしょう。
 距離帯が遠方(500m〜5km)ならば難易度は〈並:7+〉、 超遠方(5km〜50km)でも〈難:11+〉なので、探知が確実とは言えませんが、探知できる可能性は高くなっていました。

 航空目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満ならば難易度は〈並:7+〉ですが、 DM+3があるので、こちらもほぼ自動的に探知が成功すると思われます。
 遠方(500m〜5km)ならば難易度は〈難:11+〉
 ちょっと難しくなりましたが、何回か行為判定を行っていれば(数戦闘ラウンドを経れば)、探知には成功する筈です。
 超遠方(5km〜50km)の場合は難易度が〈至難:15+〉ですから、DM+3ではほとんど成功しません。
 実質的に、探知が不可能です。

 航空目標のパワープラント出力が10kw以上、1Mw未満になると、 超遠距離(〜500m)でも難易度が〈難:11+〉まで上がってしまいました。
 小型車輌や戦闘ロボットなどは、超遠距離でも探知が難しくなるということです。
 遠方(500m〜5km)の難易度は〈至難:15+〉で、探知は出来ないも同然です。
 超遠方(5km〜50km)の難易度は〈不可能:19+〉ですから、間違っても成功しないでしょう。

 航空目標のパワープラント出力が10kw未満である場合、 探知の難易度は超遠距離(〜500m)でも〈至難:15+〉です。
 これだけ小さなパワープラント出力の飛行目標はまず存在しないと思われますが、 小型の偵察ロボットや飛行生物ならば、この条件に該当するかも知れません。
 そういった航空目標は、超遠距離(〜500m)まで近付いても受動エネルギー探知では発見が困難だ、と言うことになります。
 遠方(500m〜5km)での難易度は〈不可能:19+〉で、超遠方(5km〜50km)で探知はできません。



 探知する航空目標のパワープラントが核動力(核分裂炉、核融合炉、反物質炉)であり、 探知側が中性微子探知機を搭載している場合は、特別に以下のDMが加算されます。


          表37 中性微子探知機による目標探知のDM

BW62_Fig37.gif - 7.12KB

 表の左端は、中性微子探知機のテックレベル探知可能最低出力
 テックレベルはそのまま、その中性微子探知機を利用可能(製造可能)なテックレベル。
 探知可能最低出力は、 その中性微子探知機が探知できる中性微子の発生源(核分裂、核融合、および反物質炉)の最小サイズ(出力)のことです。

 中性微子探知機の探知可能最低出力と、 目標のパワープラント出力が交差する欄のDMを加えて下さい。

 「−」の欄は、目標のパワープラント出力が、 中性微子探知機の探知可能最低出力を下回っており、中性微子探知機が役に立たないことを意味しています。
 「±0」の欄は、中性微子探知機が使えるものの、+DMを得られるほどではない、ことを示しています。

 中性微子探知機は、受動エネルギー「探知」に関して、あまり役立っていると言えません。



 次は、受動エネルギー探知による航空目標の固定ですが、 航空目標の探知と同じような行為判定を行って下さい。

>受動エネルギー探知で航空目標の位置を固定するには:
> [難易度]。
>
>レフリー:
> 行為判定の難易度は、表38〜表41を参照して下さい。
> 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は、難易度がひとつ上昇します。
>
> コンピュータ・レベルを+DMに適用。
> コンピュータ・レベルの代わりに、レーダー操作員の〈探知機〉技能レベルを
> +DMとして適用しても構いません(両方を同時に適用することはできません)。
>
> 目標の移動速度(移動DM)が、マイナスDMとして適用されます。
>
> 航空目標が高度500メートル以下を飛行しているのであればDM−2。
> 150メートル以下を飛行しているのであれば、DM−4を適用します。


 目標と同じ方向に太陽が存在する場合は行為判定の難易度がひとつ難しくなること、 目標が低空を飛行している場合に−2から−4のDMが適用されることは共通。

 受動エネルギー探知による「目標の固定」も時間が掛かるため、 目標の移動速度(移動DM)が不利に働くマイナスDMとして適用されます。
 超遠距離(250m〜500m)の場合は移動速度100km/h毎に−1、遠方(500m〜5km)は200km/h毎に−1、 超遠方以上(5km〜)の距離ならば移動DMは適用されません。



 この行為判定の難易度は、パワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満の航空目標を想定しています。
 ですからパワープラント出力が10kw以上、1Mw未満の航空目標を探知する場合は難易度を1つ、 パワープラント出力が10kw未満の航空目標を探知する場合は難易度を2つ、上げて下さい。
 反対に、パワープラント出力が1Gw以上の航空目標を探知する場合は難易度を1つ、下げて下さい。
 航空目標の動力源は、核動力以外でも構いません。この難易度修正は、目標の発する熱量(赤外線の強さ)を再現したルールです。

 目標がレーダー直視レーダーレーダー妨害機無線妨害機を使用しており、探知側がその有効距離内に居る場合は、 目標のパワープラント出力による難易度修正は行いません。
 単純に1つだけ、難易度を下げて下さい。
 目標が発信する強力な電磁波を利用した「固定」なので、目標の発する熱量は関係しないのです。



 難易度表は、「探知」の難易度(表36)を参考に、1つ難易度を上げたものを使うことにしました。
 場合分けが分かり難くなってしまったので、表を4つに分けています。

 まず最初は、 目標が強い電磁波を発信している=レーダーや直視レーダー、レーダー妨害機、無線妨害機を使用しているか、 目標のパワープラント出力が1Gw以上である場合の難易度。


     表38 受動エネルギー探知による目標固定の難易度
         (目標が強い電磁波を発信している=レーダーや直視レーダー、
          レーダー妨害機、無線妨害機を使用している
か、
          目標のパワープラント出力が1Gw以上である場合)

BW62_Fig38.gif - 7.49KB

 表の左端は、受動EMSの有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた行為判定の難易度。



 目標が強い電磁波を発信している=レーダーや直視レーダー、レーダー妨害機、無線妨害機を使用しているか、 目標のパワープラント出力が1Gw以上である場合、行為判定の難易度はかなり易しいものとなります。

 再び、反重力戦車トレピダにも搭載されている、 有効距離=50km(超遠方)の受動EMSを例に挙げるならば、 超遠距離(〜500m)での目標「固定」の難易度は〈並:7+〉
 DM+3があるので、ほとんど自動的に探知が成功すると言えるでしょう。
 目標が高速で移動している(目標の移動DMが大きい)場合は分かりませんが。
 遠方(500m〜5km)での難易度は〈難:11+〉
 ちょっと難しくなりましたが、半分ぐらいの確率で成功します。 目標が移動している場合は、戦闘ラウンド毎に行為判定をやり直さなければならないので、常に射撃できるとは限りません。
 超遠方(5km〜50km)での難易度が〈至難:15+〉になりました。
 DM+3では36分の1(=2.8%)しか成功しませんので、実質的に「固定」が不可能です。



 次は、目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満である場合の難易度。


     表39 受動エネルギー探知による目標固定の難易度
        (目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満である場合)

BW62_Fig39.gif - 7.38KB

 表の左端は、受動EMSの有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた行為判定の難易度。



 目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満である場合、行為判定の難易度は難しくなりました。
 これに目標の移動DMが加算されるのであれば、成功は望めなくなるでしょう。

 反重力戦車トレピダに搭載されている有効距離=50km(超遠方)の受動EMSで、 こうした飛行目標(一般的な輸送機器や反重力戦車)を「固定」しようとする場合、 超遠距離(〜500m)での難易度は〈難:11+〉です。
 DM+3だけが適用されるのであれば、成功率は半分ほど(=41.7%)。
 しかし目標が高速で移動している(目標の移動DMが大きい)場合は、あまり成功を期待できません。
 受動エネルギー探知で飛行目標を「探知」することは容易ですが、目標を「固定」することは難しいと分かりました。
 遠方(500m〜5km)での難易度は〈至難:15+〉
 実質的に「固定」が不可能です。
 超遠方(5km〜50km)での難易度は〈不可能:19+〉まで難しくなりましたので、 移動DMが適用されていなくても、目標の「固定」は不可能です。



 次は、目標のパワープラント出力が10kw以上、1Mw未満である場合。


     表40 受動エネルギー探知による目標固定の難易度
        (目標のパワープラント出力が10kw以上、1Mw未満である場合)

BW62_Fig40.gif - 6.94KB

 表の左端は、受動EMSの有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた行為判定の難易度。



 目標のパワープラント出力が10kw以上、1Mw未満である場合、行為判定の難易度は更に難しくなりました。

 反重力戦車トレピダに搭載されている有効距離=50km(超遠方)の受動EMSで、 こうした飛行目標(小型車輌や戦闘ロボット)を「固定」しようと試みる場合、 超遠距離(〜500m)での難易度は〈至難:15+〉です。
 実質的には「固定」が不可能ですから、受動エネルギー探知では小型車輌や戦闘ロボットに対する射撃を行えない、ということになりました。
 遠方(500m〜5km)での難易度は〈不可能:19+〉で、やはり目標の「固定」は無理です。
 超遠方(5km〜50km)に至っては、行為判定を行うことも出来なくなりました。



 最後は、目標のパワープラント出力が10kw未満である場合。


     表41 受動エネルギー探知による目標固定の難易度
         (目標のパワープラント出力が10kw未満である場合)

BW62_Fig41.gif - 6.33KB

 表の左端は、受動EMSの有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた行為判定の難易度。



 目標のパワープラント出力が10kw未満である場合は、多くの距離帯で行為判定を試みることさえ出来なくなります。

 反重力戦車トレピダに搭載されている有効距離=50km(超遠方)の受動EMSで、 こうした飛行目標(超小型ロボット)を「固定」しようと試みる場合、 超遠距離(〜500m)での難易度は〈不可能:19+〉です。
 実質的には「固定」が不可能ですから、小型車輌や戦闘ロボットと同じように、 受動エネルギー探知で超小型ロボットに狙いを付け、射撃することは出来なくなりました。
 遠方(500m〜5km)や超遠方(5km〜50km)では、行為判定を行えません。
 こうした小型目標に対して、受動エネルギー探知が出来るのは低確率で「探知」を行えるだけであり、 「固定」は試みるだけ無意味な行為だということです。



 受動EMS中性微子探知機による 航空目標の「探知」と「固定」については、 質量探知機と同じように、受動的であるが故に逆探知が不可能であること、 電子妨害の影響を受けないことがメリットとして考えられました。

 しかしながら、探知した目標を「固定」する能力には劣っていました。
 これは明らかなデメリットですが、受動的であるが故、目標との距離を測定し難いという特性が影響しているようです。
 戦場においては受動EMS中性微子探知機だけに頼ることはせず、 何時でも目視や能動EMSの併用を考えておくべきでしょう。





探知方法の比較


 レーダー能動EMSを用いた能動物体探知/固定
 質量探知機を用いた受動質量探知/固定
中性微子探知機受動EMSを用いた受動エネルギー探知/固定

 様々な「探知」と「固定」についてハウス・ルールを作ってきましたが、今度はそれらの方法を比較してみましょう。




(1)一般的な対空監視能力

 どんな状況で、どんな探知方法が最も成功率が高いのか。
 「帝国百科」や「反乱軍ソース・ブック」に掲載されている エアラフト反重力戦車トレピダを例に挙げて考察してみようと思ったのですが、 質量探知機中性微子探知機を搭載した車輌が見当たりません。
 ですから、適当に様々な探知機を組み合わせ、比較することにしました。



 最初の探知方法は、目視による視認、です。
 最も安価で手軽な探知方法ですが、視線が通らない悪天候(雨天)や暗闇(夜間)では、探知可能な距離が極端に小さくなってしまいました。
 それでも他の探知方法と異なり、視認に成功したと同時に射撃が行えるようになるので、便利な探知方法であることは間違いありません。

 能動物体探知/固定には、 有効距離=5km(遠方)能動EMSを用います。
 同じ有効距離=5km(遠方)ならば、レーダーでも構いません。
 トレピダに搭載されている能動EMSは、 有効距離=5km(遠方)のものでした。
 トラベラー世界では、軍用の輸送機器に 有効距離=5km(遠方)能動EMSを搭載することが一般的なことなのでしょうか。

 受動質量探知/固定を行うための質量探知機は、 テックレベル=12の貫通力=1m(低貫通型)を選びました。
 低貫通型ですから、比較的、安価な探知機となっています。
 これらの質量探知機がどれだけ使えるものなのか、しっかりと確認しておきましょう。

 受動エネルギー探知/固定に用いる受動EMS有効距離=50km(超遠方)のものを用意しました。
 メガトラベラー世界において、受動EMSは、 有効距離=50km(超遠方)のものを用いることが一般的なようですから。
 状況は、目標が強い電磁波を発信している=レーダーや直視レーダー、レーダー妨害機、無線妨害機を使用している場合と、 目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満である場合の2つです。



 具体的な目標探知の難易度は、以下の通りでした。


         表42 様々な探知方法による目標探知の難易度

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 表の左端は、探知機のタイプと有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた「探知」の難易度。



 目視による視認は、超遠距離(〜500m)で難易度〈並:7+〉、 遠方(500m〜5km)で難易度〈難:11+〉
超遠方(5〜50km)で難易度〈至難:15+〉、となっています。
 目標の最大視認距離は10kmですが、コンピュータによる+DMが得られないので、実質的な最大視認距離は遠方(〜5km)となるでしょう。

 目視の弱点は前述した通り、 視線が通らない悪天候(雨天)や暗闇(夜間)では、探知可能な距離が極端に小さくなってしまうことです。
 暗視装置を活用しても、超遠距離(〜500m)の難易度が難易度〈難:11+〉に悪化。
 遠方(500m〜5km)に至っては難易度〈至難:15+〉になりました。
 実質的な最大視認距離は超遠距離(〜500m)であり、遠方(500m〜5km)の目標を視認することは、断続的であっても難しくなります。
 他の探知手段が使えないのであれば、視認できた瞬間に発砲する、という場当たり的な対応を強いられることになるのではないでしょうか。

 暗視装置が無い悪天候(雨天)や暗闇(夜間)では、探知可能な距離が更に縮まります。 超遠距離(〜500m)の難易度は〈至難:15+〉に変わりました。
 暗視装置無しの夜間戦闘は、中距離(5〜50m)が主体となるでしょう。
 対空監視という目的にはほとんど役に立ちませんが、 この部分はメガトラの個人戦闘ルールとも整合が取れています。



 悪天候や夜間での戦闘に威力を発揮する探知機がレーダー能動EMSです。
 能動物体探知の行為判定で用いる難易度は、超遠距離(〜500m)で〈並:7+〉、 遠方(500m〜5km)で〈難:11+〉、でした。
 有効距離5km(遠方)なので、 超遠方(5〜50km)の目標を探知することは出来ません。
 民間用の車輌はともかくとして、軍用であっても有効距離=5km(遠方)で十分だと考えられているようです。
 個人的には最低でも有効距離=50km(超遠方)レーダー能動EMSを積むべきだと思っているのですが、何か理由があるのでしょう。

 この難易度は、目視による視認(日中の晴天)と同じ難易度になっています。
 悪天候でも夜間でも変わらず、同じ難易度を得られることが大きなメリットだと言えるでしょう。
 また、キャラクターの個人的な技量、〈戦術〉技能、〈探知機〉技能、耐久力ボーナス等に依存していた+DMが、 コンピュータ・レベルで代用できるようになった点も見逃せません。
 輸送機器のコンピュータ・レベルは、トレピダの場合でレベル=3(DM=+3)でした。
 より優れた技量を持っているキャラクターは多いでしょうが、例えばトレピダの場合、 最低でも+3のDMが得られることは大きな安心材料だと思います。



 受動質量探知を行うための質量探知機は、 テックレベル=12の貫通力=1m(低貫通型)です。
 「探知」に用いる行為判定の難易度は、超遠距離(〜500m)で〈並:7+〉、 遠方(500m〜5km)で〈難:11+〉
 目視や能動物体探知と同じ難易度でした。
 「探知」に関してならば、テックレベルが低い質量探知機も十分に役立つようです。



 受動EMSによる受動エネルギー探知は、 目標が強い電磁波を発信している場合、自動的に行為判定のサイコロを振ることなく、目標の探知に成功します。
 幾つかの制限として、その目標が受動EMSの有効距離内に存在すること、 目標の使用している電磁波発信源(=レーダーや直視レーダー、レーダー妨害機、無線妨害機)の有効距離内であること、 などが課せられますが、ほぼ確実に「探知」が成功すると考えて良いでしょう。
 調べてみたところ、テックレベル10以上の輸送機器は民間用と軍用を問わず、受動EMSを搭載しているようでした。
 ですから、テックレベル10以上の輸送機器を目標として能動物体探知電波妨害を行った場合は、 その目標に、自身の存在を教えてしまうことになる訳です。
 これは、能動物体探知の実施を躊躇わせる、大きなデメリットとなるでしょう。

 目標が強い電磁波を発信していないのであれば、探知は一気に難しい行為となりました。
 有効距離=50km(超遠方)受動EMSによる行為判定の難易度は、 超遠距離(〜500m)で〈並:7+〉、 遠方(500m〜5km)で〈難:11+〉、超遠方(5〜50km)で〈至難:15+〉です。
 目視による視認(日中の晴天)と同じ難易度ですが、自動的に成功する訳ではありません。
 実質的な有効距離は、遠方(〜5km)になると思われます。



 目標の「探知」の次は、目標の「固定」の難易度を比較します。
 視認だけは例外ですが、探知機を用いている場合、この手順が不可欠なのですから。
 「固定」に成功しなければ、目標の詳細なデータを得ることはもちろん、射撃を行うこともできません。

 同じ条件(同じ性能の探知機)で、行為判定の難易度を比較してみましょう。


         表43 様々な探知方法による目標固定の難易度

BW62_Fig43.gif - 14.1KB

 表の左端は、探知機のタイプと有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた「固定」の難易度。



 目視による視認は、日中の晴天、暗視装置有りの悪天候(雨天)や暗闇(夜間)、 暗視装置無しの悪天候(雨天)や暗闇(夜間)で、それぞれの難易度は変わりません。
 もちろん目視の場合は、視認の行為判定に成功すれば詳細なデータが得られますし、射撃も可能なので一緒にするのは不味いかも知れませんが、 比較の方法を思いつかなかったので、「固定」の行為判定の欄にも同じ難易度を並べている訳ですが。
 その難易度は表42と同じで、日中の晴天の場合、超遠距離(〜500m)で難易度が〈並:7+〉、 遠方(500m〜5km)で難易度が〈難:11+〉、 超遠方(5〜50km)で難易度が〈至難:15+〉、でした。
 実質的な最大視認距離が遠方(〜5km)となっているであろう点も同じです。



 レーダー能動EMSによる目標の「固定」 =能動物体固定の難易度は、超遠距離(〜500m)で〈並:7+〉、 遠方(500m〜5km)で〈難:11+〉、でした。
 「探知」の場合と変わりません。
 超遠方(5〜50km)の目標を「固定」することは不可能ですが、表43の全体を見て頂ければ分かる通り、 目標の「固定」に関して、能動物体固定は最も優秀な(難易度の低い)手段となっていました。
 悪天候や夜間で目視が使えず、強い電磁波の逆探知も行えないのであれば、 他の探知手段は成功率が低い、あやふやな目標の「固定」しか試みることが出来ないのです。
 戦場において、レーダー能動EMSによる能動物体固定は、 目標の「固定」を確実に行うための「切り札」として重要な位置を占めているのではないでしょうか。
 それほど重要であるのならば、 最低でも有効距離=50km(超遠方)能動EMSが欲しいと思う気持ちは変わりませんが、 段々と、隠された事情が読めてきたような気がします。



 受動質量固定について、 テックレベルが低い質量探知機は、全く役に立たないことが判明しました。
 テックレベル=12の貫通力=1m(低貫通型)では目標の「固定」を行えません。



 受動EMSによる受動エネルギー固定は、 目標が強い電磁波を発信しているのであれば、 超遠距離(〜500m)で〈並:7+〉、遠方(500m〜5km)で〈難:11+〉、 超遠方(5〜50km)で〈至難:15+〉の難易度で行為判定を行います。
 「固定」の場合は残念ながら、自動的に成功、ではありませんが、その難易度は目視による視認(日中の晴天)と同程度。
 かなり高い成功率だと言えますから、敵に逆探知されることを恐れるのであれば、 積極的な能動物体探知/固定は控えるべきだ、ということが言えます。
 敵を見つけるメリットと敵に見つかるデメリットを天秤に掛けて、そのどちらかを選択することとなるでしょう。

 目標が強い電磁波を発信していない場合、 「固定」の行為判定は難易度がひとつ下がります(目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満の場合)。
 有効距離=50km(超遠方)受動EMSを用いた場合、 難易度は超遠距離(〜500m)で〈難:11+〉、遠方(500m〜5km)で〈至難:15+〉でした。
 超遠方(5〜50km)になると、難易度は〈不可能:19+〉です。
 確実に目標を「固定」できる距離帯は超遠距離(〜500m)以内ですので、目標を「固定」する手段としては、何か別のものを使わなければなりません。

 こうして、能動物体探知/固定の存在意義が明らかになってくる訳です。
 能動物体固定逆探知されるという大きなデメリットがありますが、 それ以上に、成功率の高い目標「固定」手段という大きなメリットを持っています。
 こうしたバランスを理解すれば、トラベラー世界においてもそうしたジレンマを抱えながら、 目標の「探知」と「固定」についての葛藤をプレイする(楽しむ)ことができるでしょう。




(2)高度な対空監視能力

 今度は、高度な対空監視について考えてみました。
 防空レーダー・サイトのような監視哨は、車輌よりも高度な探知機を装備していて然るべきでしょう。
 公式設定にはありませんが、そういった施設による対空監視を想定しています。



 基準となるのは前項と同じで、目視による視認、にしました。
 条件は、日中の晴天と、雨天と夜間の2つ。

 能動物体探知/固定については、 レーダー能動EMSを用いる訳ですが、 有効距離=50km(超遠方)500km(地域間)の2つを用意しました。
 「帝国百科」の記述によれば、 民間用のエアラフトスピーダー、 半軍用のGキャリアーは、 有効距離=50km(超遠方)能動EMSを搭載しています。
 実は、この記述を見つけて泣きたくなりました。
 帝国軍の最前線を担う反重力戦車トレピダは、 性能面で民間車輌にも劣る能動EMSしか搭載させて貰えないのかと。
 逆探知を恐れて、高出力の能動EMSを使わせない、という配慮なのかも知れませんが、少し可哀想です。

 「COACC」の方を調べたところ、幾つかの航空機が有効距離=50km(超遠方)、 あるいは有効距離=500km(地域間)レーダーを搭載していました。
 夜間戦闘もこなす制空戦闘機は有効距離=50km(超遠方)レーダー、 軌道戦闘機や戦略爆撃機は有効距離=500km(地域間)レーダーといった具合です。
 ローテクの航空機の方が性能の良い探知機を搭載しているように思えてしまいますが、 ローテクの航空機には能動物体探知/固定しか探知方法がありません。
 唯一の探知方法である能動物体探知/固定に、そのリソースを全て注ぎ込んでしまうことは、 仕方のないことなのでしょう。
 記述されていませんが、地上に設置されている防空レーダー・サイトは少なくとも、 有効距離=500km(地域間)レーダーで対空監視を行っていると考えています。

 質量探知機は今回、テックレベル=15の貫通力=250m(低貫通型)に格上げしました。
 テックレベルが高い質量探知機は使い勝手がどれだけ良くなるものか、ぜひ確かめて下さい。

 最後、受動エネルギー探知/固定に用いる受動EMSは、 有効距離5,000km(地域間)に変更しました。
 今回も状況は、 目標が強い電磁波を発信している=レーダーや直視レーダー、レーダー妨害機、無線妨害機を使用している場合と、 目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満である場合の2つです。



 具体的な目標探知の難易度は、以下の通りでした。


         表44 様々な探知方法による目標探知の難易度

BW62_Fig44.gif - 14.8KB

 表の左端は、探知機のタイプと有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた「探知」の難易度。



 目視による視認の難易度は、表42と同じです。
 超遠距離(〜500m)で〈並:7+〉、遠方(500m〜5km)で〈難:11+〉
超遠方(5〜50km)で〈至難:15+〉、でした。
 悪天候(雨天)や暗闇(夜間)で暗視装置が使えない場合、難易度は 超遠距離(〜500m)で〈至難:15+〉になります。



 レーダー能動EMS有効距離50km(超遠方)に変わると、能動物体探知の難易度も変わりました。  難易度は、超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)で〈並:7+〉、 超遠方(5〜50km)で〈難:11+〉、となっています。
 遠方(〜5km)以内に存在する目標はほぼ自動的に、超遠方(5〜50km)に存在する目標であっても高い確率で見つけ出すことができるでしょう。

 有効距離=500km(地域間)の場合は、 超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)、超遠方(5〜50km)の範囲内で〈並:7+〉、 地域間(50〜500km)で〈難:11+〉、となりました。
 難易度が〈並:7+〉になっている距離帯は、+DMを加味すれば、ほぼ自動的に「探知」が成功します。

 電子妨害等の対策を講じない限り、 有効距離=50km(超遠方)有効距離=500km(地域間)レーダー能動EMSに対して、 見つからずに接近することは極めて困難だということが確認できました。



 質量探知機としては、テックレベル=15の貫通力=250m(低貫通型)を用意しています。
 この場合、受動質量探知の難易度は、  難易度は、超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)で〈並:7+〉、 超遠方(5〜50km)で〈難:11+〉、でした。
 有効距離=50km(超遠方)能動物体探知と同じ難易度です。
 遠方まで近付けば、ほぼ自動的に目標の「探知」に成功できるでしょう。



 受動EMSによる受動エネルギー探知は、 有効距離5,000km(地域間)であるパターンを想定しています。
 目標が強い電磁波を発信しているのであれば、 その目標が有効距離=5,000km(地域間)に存在する場合に限り、 自動的に行為判定のサイコロを振ることなく、目標の探知に成功するでしょう。

 目標が強い電磁波を発信していないのであれば、行為判定のサイコロを振らなければなりません。
 行為判定の難易度は、超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)で〈並:7+〉、 超遠方(5〜50km)で〈難:11+〉、となっています。



 最後に、目標の「固定」の難易度を比較します。
 上記と同じ条件(同じ性能の探知機)で、行為判定の難易度を比較してみました。


         表45 様々な探知方法による目標固定の難易度

BW62_Fig45.gif - 15.0KB

 表の左端は、探知機のタイプと有効距離です。
 表の右側は、距離帯に応じた「固定」の難易度。



 目視による視認は、日中の晴天と、暗視装置無しの悪天候(雨天)や暗闇(夜間)です。 「探知」の場合と難易度は変わりません。



 レーダー能動EMSによる目標の「固定」 =能動物体固定の難易度は、有効距離=50km(超遠方)の場合が、 超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)で〈並:7+〉、 超遠方(5〜50km)で〈難:11+〉、でした。
 有効距離=500km(地域間)の場合は、 超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)、超遠方(5〜50km)の範囲内で〈並:7+〉、 地域間(50〜500km)で〈難:11+〉、です。
 「探知」の場合と変わりません。
 能動物体固定は極めて信頼性の高い、目標「固定」手段となるでしょう。



 テックレベルの高い質量探知機ならば、受動質量固定も容易く行えます。
 テックレベル=15の貫通力=250m(低貫通型)を用いた場合、 「固定」の難易度は、超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)の範囲で〈並:7+〉、 超遠方(5〜50km)で〈難:11+〉、でした。
 移動DMが不利に働く関係で、高速の移動目標を「固定」することには使えませんが、 目標が移動していない場合、あるいは、移動速度が遅い場合には、十分に成功率の高い「固定」が行えるでしょう。
 逆探知や妨害を受けない分、有利な「固定」手段でもあります。



 有効距離=5,000km(地域間)受動EMSを用いて、 受動エネルギー固定を試みる場合。
 もし目標が強い電磁波を発信しているのであれば、 「固定」の難易度は、超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)の範囲で〈並:7+〉、 超遠方(5〜50km)で〈難:11+〉、地域間(50〜500km)で〈至難:15+〉でした。
 目標が強い電磁波を発信している場合は、能動EMSを用いるまでもなく、 極めて高い確率で、遠方(500m〜5km)での目標「固定」を成功させることができるでしょう。

 目標が強い電磁波を発信していないのであれば、表43と同じように、 「固定」の行為判定は難易度がひとつ下がります(目標のパワープラント出力が1Mw以上、1Gw未満の場合)。
 用いている受動EMS有効距離=5,000km(地域間)のものですから、 「固定」の難易度は、超遠距離(〜500m)から遠方(500m〜5km)の範囲で〈難:11+〉、 超遠方(5〜50km)で〈至難:15+〉、 地域間(50〜500km)で〈不可能:19+〉になりました。




 余談ですが、トレピダといった公式設定の車輌が、 有効距離=5km(遠方)能動EMSと、 有効距離=50km(超遠方)受動EMSしか搭載していない理由について、考えてみました。

 身もふたもない言い方ですが、プレイヤー・キャラクターを活躍させるため、なのでしょう。

 プレデターターミネーターといった映画でも良く見られる通り、 ハイテクな殺人兵器と普通の人間との間でスリリングな勝負を行うためには、 対戦相手の探知手段を人間と同程度か、場合によっては人間以下に抑える必要が有りました。
 圧倒的な火力を備えている敵であっても、それを自分に向かって発揮させなければ、十分に勝機は見つかります。
 敵のすぐ近くで物陰に隠れれば見つからない。
 息を潜めていれば、すぐ近くを通り過ぎても居場所がばれない。
 そういった状況を作り出すことで、主人公たちは危機を脱したり、反撃に成功したりする訳です。

 あまりにも高性能な探知機を敵に与えてしまうと、 何をやってもプレイヤー・キャラクターを活躍させることができないということは、 「CT版:研究基地ガンマ」の対保安ロボット戦で思い知らされました。
 上記のような状況をメガトラベラーでも再現するため、トレピダなど公式設定の車輌は、 探知機性能を故意に低いレベルで抑えられているのではないでしょうか。
 私はそう考えます。





結論


 今回は、地上のユニット(キャラクターや部隊)が、空中を移動する目標(航空機や反重力型輸送機器、飛行型ロボット)を探知する方法 =航空目標の探知(対空監視:Anti Air Spotting)について考察してみました。



 まずは、目視による視認に関するハウス・ルールを、 「COACC」の空対空戦闘で用いられている探知(Spotting)ルールから作りました。
 また、各種暗視装置の定義を再確認し、曇天や雨天などの悪天候、夜間などの暗闇についても、対応したルールを作成しています。
 対空監視の難しさが再現できたのではないでしょうか。
 悪天候や夜間の探知は極端に難しくなりますが、 実際にそうした条件での飛行や戦闘が困難であることを考えれば、妥当な結果だと思われます。



 レーダー(Radar)を用いた「探知」と「固定」について、 宇宙船戦闘ルールを参考にハウス・ルールを作成しました。
 レーダー能動EMSによる目標の「探知」と「固定」をまとめて、 能動物体探知/固定と呼ぶことにしましたが、 目視による視認が天候や暗闇の影響を受けやすいことに対し、 能動物体探知/追跡は天候や暗闇の影響を全く受けないという大きなメリットがあります。
 その代り、電子妨害装置によって容易に妨害されますし、逆探知によって自身の存在が明らかになるというデメリットもありました。
 有効距離が大きなレーダーは、 遠くに存在する目標に対しても容易に「探知」と「固定」を成功できる訳ですが、 電子妨害と逆探知の可能性については、常に留意しておく必要があるでしょう。



 質量探知機を用いた受動質量探知/追跡
 中性微子探知機受動EMSを用いた受動エネルギー探知/追跡
 この2つについても、同じようなハウス・ルールを作成しています。
 質量探知機中性微子探知機は トラベラー独特の雰囲気を出せる良い探知機だと思うのですが、残念ながら、使用するためのルールがありません。
 ですから、自分なりの世界観、ルール解釈を基に作ってみました。

 ある程度の貫通力を備えた質量探知機は、 目標と定めた物体の内部を、三次元の密度分布図という形で透視することができます。
 貫通力に相当する深さまでならば、視線が通らなくても、間にどんな物質が存在しても、関係ありません。
 ですから、敵兵が森の中で待ち伏せていようが、建物の中に潜んでいようが、塹壕の中をこっそりと移動していようが、 質量探知機からは丸見えになってしまう訳です。
 こうした状況が成立してしまうのであれば、質量探知機を装備した敵兵に対して、 待ち伏せや奇襲といった戦術が一切通用しなくなってしまうでしょう。
 そうした戦場を想像するのは荷が重過ぎますので、幾つかの制限を課して、 質量探知機が使い難くなるようなルールを作ってみました。
 特に、目標の「固定」を試みる際は、目標の移動DMが不利に働くというルールを作ったところ、 移動目標の「固定」が困難、場合によっては不可能になっています。
 性能の低さに苛立つ方は多いだろうと思われますが、 質量探知機の性能が高過ぎると、戦争の形そのものが変わってしまいます。
 御容赦下さい。

 中性微子探知機も、同じような問題を抱えていました。
 輸送機器の核融合炉から発生する中性微子は、間にどんな障害物があっても、 中性微子探知機で捉えることができます。
 ハイテク輸送機器の多くに加え、プラズマ・ガンやフュージョン・ガンといった携帯火器も核融合炉を内蔵していますから、 車輌だけでなく歩兵の存在さえも、中性微子探知機は「探知/固定」が可能になる訳です。
 この状況も、待ち伏せや奇襲が成立しなくなってしまいますので、不都合だと考えました。
 ですから中性微子探知機はあくまで従的な立場であると考え、 単独での目標「探知/固定」の可能性を除外しています。
 受動エネルギー探知は、視線の通らない目標に対しては行えません。
 視線が通る目標を対象としています。

 これらの受動質量/エネルギーの「探知」と「固定」は、 「探知」が比較的容易に、遠い距離でも行えるようにする一方、「固定」が難しくなるように設定しました。
 こうした仕組みにすることで、敵味方共に、受動系の探知機でひそかに敵を「探知」しつつ、 射撃の際には能動系の探知機を使って敵を「固定」する、という近代戦のパターンを再現できたと思います。



 今回も色々と考えましたが、これらは対空監視用に作成したハウス・ルールです。
 地対地や空対地の探知/追跡には使えませんので、ご注意下さい。






2014.09.21 初投稿。