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The Best Weapon
7th stage ( Picket
1)

最強兵器 決定戦
第7回 (ピケット1)

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 斥候(Picket)の任務は戦闘にあらず、
 偵察を行ない、情報を持ち帰ることにあり。


 前回の考察「探知器」において、トラベラー宇宙における「水平線」の存在が明らかになりました。

 さて、「水平線」の存在は、また別の問題を引き起こしています。
 宇宙船が装備する兵器の射程は、視認距離が1ヘクス、近距離が2へクス、遠距離が3〜10ヘクスと定義されていました。
 つまり、兵器の最大射程は「水平線」と同じ10へクスなのです。

 敵を発見できる距離 と 兵器の最大射程距離 が ほぼ等しい こと。

 これが、今回、考察すべき問題です。


 敵を発見できる距離と、兵器の最大射程距離がほぼ
等しいということは、敵の発見と同時に戦闘が始まってしまうということです。

 あらかじめ警戒態勢に無い限り、即時の対応が出来ません。
 運が悪ければ、敵を見つけないうちに戦闘が始まっているかも知れません。つまり、実質的に、不意討ちを受けてしまったことになります。
 輸送母艦や補給艦、タンカーなどを含んだ船団で行動をしている場合は、敵にそれらの補助艦艇を攻撃する機会を与えてしまうことになるでしょう。
 せめて、バトルライダーや戦闘艇を発進させ、輸送母艦や補給艦を後方へ下げる時間が欲しいところです。


 このような事態の発生を防ぐ方策は、単純でした。
 兵器の最大射程よりも遠い距離で、敵を発見すれば良いのです。
 遠くで敵を発見すれば、陣形を整える時間も、タンカーを後方へ下げる時間も、確保できるでしょう。


 19世紀から20世紀前半のテラでは、ピケット艦というものが活用されました。
 偵察艦(偵察巡洋艦:ScoutCruiser)や通報艦とも呼ばれていますが、要は手頃な船を数隻、艦隊の前方や側方へ展開して、見張りをさせるという方法です。

 例えば、艦隊から見えない水平線の彼方(80km離れた位置)までピケット艦を展開させれば、そのピケット艦は、さらに20km遠い距離を見ることが出来ます。
 これは、艦隊の視野を100km(=ピケット艦の展開距離80km+ピケット艦の視野20km)まで広げる効果がありました。
 敵を見つけたピケット艦は戦うことを避け、一目散に逃げ出して、味方の艦隊へその情報を伝えるのです。

 ピケット艦に要求された性能は、まず何よりも速さでした。
 スピードが無ければ、敵艦隊(の中の快速船)に追いつかれて撃破されるか、最悪の場合には捕獲されてしまいます。
 味方の本隊は(他のピケット艦が、敵発見の報告を携えて戻らない限り)、敵艦隊のことを何も知りませんから、敵艦隊の不意討ちを受けてしまうでしょう。
 そんな事態を防ぐため、19世紀後半に使われたピケット艦は、艦隊で一番の快速船だったのです。

 20世紀に入ると、艦載式の無線通信機が実用化され、ピケット艦は必ずしも速さを必要としなくなりました。
 実際に日露戦争では、展開していたピケット艦の1隻、仮装巡洋艦「信濃丸」がバルチック艦隊を発見し、その第1報を無線で伝えています。

 第一次世界大戦のイギリス海軍は、軽巡洋艦を10km間隔で横一列に並べ、逃走するドイツ艦隊を捕捉しようと試みました(北海は霧が多く発生するので、視界が悪いのです)。

 第二次世界大戦の前後、急速に発展した無線通信やレーダーの実用化は、敵を発見できる距離の拡大に、大きく貢献しています。
 しかし、同時に発展した航空機の移動速度と攻撃力も大きくなったため、カミカゼに悩まされたアメリカ海軍は、レーダー搭載のピケット艦を広く展開しました。


 これを、現代(帝国暦1,100年代)に置き換えてみると、我が帝国艦隊の前方(及び側方)には、何らかのピケット艦が展開されている筈だと思うのです。
 もちろん主要世界の周囲(100倍直径)やガスジャイアントの周囲も、ピケット艦によって監視されていることでしょう。



考察の進め方


無人偵察機によるピケット(単機)

有人戦闘艇によるピケット(単機)

駆逐艦によるピケット(単艦)

巡洋艦によるピケット(単艦)


無人偵察機によるピケット(複数機)

有人戦闘艇によるピケット(複数機)


考察(単機)

考察(複数機)

戦術ポイントの活用

同時に追尾できる、目標の数

巡洋艦1隻と大型戦闘艇10機からなる、ピケット

結論




考察の進め方


ピケット艦として使う艦艇は、4種類
  1.無人の偵察機  (偵察衛星:アルゴス型)
  2.有人の戦闘艇(大型戦闘艇:ジェリュイ級)
  3.駆逐艦    (艦隊駆逐艦:ベイゼル級)
  4.巡洋艦   (軽巡洋艦:デンドリーン級)
を考えています。
 1番以外、全てMAG様の投稿を利用させて頂きました。いつも有難うございます。

 また、接触の状況は、
  a.上記の艦艇が、敵の無人偵察機に接触した場合
  b.上記の艦艇が、敵の戦闘艇に接触した場合
  c.上記の艦艇が、敵の駆逐艦に接触した場合
  d.上記の艦艇が、敵の巡洋艦に接触した場合
  e.上記の艦艇が、敵の艦隊に接触した場合
の5通りを想定しました。

 索敵方法としては、受動物体探知受動エネルギー探知のみを使用し、追跡(固定)でも受動物体追跡受動エネルギー追跡のみを使用することにしました。
 それぞれの考察の中にも記しましたが、探知の成功率は、受動エネルギー探知が最も高いのです。
 
受動エネルギー探知に必要な探知器が故障しているのでなければ、わざわざ成功率の低い受動物体探知や、逆探知のリスクを伴う能動物体探知を行なう必然性がありません。

 上記のピケットが、どれだけの距離で相手(無人偵察機〜敵艦隊)を探知できるか、また、どれだけの距離で目標の追跡に成功して相手を識別できるのか。
 それらの行為を確実に行なえる距離を、比較していきます。

 成功判定は、たくさんの+DMがあったとしても、2Dで2が出れば「失敗」です。
 ですから、実質的な成功率は2Dで3+(36分の35=97.2%)になりました。
 探知の成功率が97%以上ならば、確実に探知できる距離だとみなすことにします。

 追跡は不確定な行為であり、その結果が4段階に場合分けできるものですから、評価が難しくなります。

 射撃の可否だけに注目するならば、表1へ示したように、プレイヤー側の成功判定の結果のみが重要となります。つまり、
 プレイヤー側の成功判定が成功すれば、射撃可能
 プレイヤー側の成功判定が失敗すれば、射撃不可能、ということです。

 今回の考察は、ピケットのための考察ですから、目標の識別も重要な行為でしょう。
 偵察に出た筈のピケットに、敵艦隊の規模や艦種の識別ができなかったら、話になりません。
 誤った偵察情報に基づく艦隊の出撃が空振りに終わったり、逆に敵艦隊の侵攻を見逃して奇襲攻撃を受けたりしたら、大変です。

 しかしクラス判明は、排水素パワー判明していれば、高い精度で推測できますから、クラスの判明自体が重要とは思えません。
 今回の考察では省きます。
 排水素パワー判明する確率は(これを目標の識別成功する確率と呼びます)、上記の射撃が可能になる確率に、レフリー側の成功による部分的成功の確率を加えた値です。
 それらの確率を、表2にまとめてみました。

 成功率が3+の場合、射撃可能になる確率97.2%ですが、排水素パワー判明する識別成功する)確率は、99.9%です。
 また、成功率が5+の場合、射撃可能になる確率83.3%ですが、排水素パワー判明する識別成功する)確率は97.2%でした。
 当然のことながら、射撃可能になる確率よりも、識別に成功する確率の方が、高い確率となっています。
 以下の考察では、この2つの確率について、追跡の成功判定を評価しました。

    表1 追跡成功判定の結果 成功の区分(完全成功/部分的成功/失敗)と
         射撃の可否、得られるデータ(クラス/排水素/パワー)

プレイヤー側

レフリー側

成功の

射撃の

得られるデータ

成功判定

成功判定

区分

可否

クラス

排水素・パワー

成功

成功

完全成功

可能

判明

判明

失敗

部分的成功

誤認

失敗

成功

不可

不明

失敗

失敗

不明


    表2   追跡の成功判定において、射撃が可能になる確率と、
        目標の排水素パワー判明する識別に成功する)確率

 

 

成功率

3+

4+

5+

6+

7+

8+

9+

10+

11+

12+

完全成功

94.5%

84.0%

69.4%

52.2%

34.0%

17.4%

7.7%

2.8%

0.7%

0.1%

プレイヤー側

2.7%

7.6%

13.9%

20.1%

24.3%

24.3%

20.1%

13.9%

7.6%

2.7%

部分的成功

レフリー側

2.7%

7.6%

13.9%

20.1%

24.3%

24.3%

20.1%

13.9%

7.6%

2.7%

部分的成功

完全失敗

0.1%

0.7%

2.8%

7.7%

17.4%

34.0%

52.2%

69.4%

84.0%

94.5%

射撃可能

97.2%

91.7%

83.3%

72.2%

58.3%

41.7%

27.8%

16.7%

8.3%

2.8%

の確率

排水素と

99.9%

99.3%

97.2%

92.3%

82.6%

66.0%

47.8%

30.6%

16.0%

5.5%

パワーの

判明確率




無人偵察機によるピケット(単機)


 アルゴス型偵察衛星は、船体サイズが2トンです。
 普及版や上位版、使い捨てモデルなど様々なタイプがありますが、2G〜4Gの加速性能を持っていました。
 自機に搭載されているコンピュータはモデル1ですが、後方の管制艦とデータリンクで結ばれていますので、探知/追跡に関してはモデル9相当の性能を発揮します。


探知器の性能(探知回数の最大値=2)
 能動物体探知=    並   能動物体追跡=    並
 受動物体探知=    並   受動物体追跡=    並
 受動エネルギー探知= 易   受動エネルギー追跡= 並

被探知性能は、目標サイズ=小、視認レベル=弱より、
 能動物体探知受動物体探知による、被発見率は、
  距離3ヘクス以内で確実(3+)、距離13ヘクス以上で不可能(13+)。
 受動エネルギー探知による、被発見率は、
  距離7ヘクス以内で確実3+)、距離17ヘクス以上で不可能(13+)


 敵の無人偵察機と接触した場合、探知回数の最大値が2であり、同一目標に2回の探知判定を禁じるルールが見つからなかったことから、敵の無人偵察機に対して、2回の成功判定を試みることにしました。
 その場合、敵の偵察機を距離9ヘクス以内で確実に(5+の成功率で2回判定できるため、どちらか片方が成功すれば良いので、その確率は97%)探知できます。
 また、距離17ヘクス以上は(複数回の判定を行なっても、2Dで13+を出すことは不可能ですから)探知不能でした。

 追跡の成功率が5+になる距離は7ヘクスです。
 ですから、無人偵察機の追跡は7ヘクス以内ならば確実であり、射撃可能となります(残念ながら、アルゴスは非武装ですが)。
 目標の識別については、(同一目標に2回の追跡判定を行うとして)成功率が7+でも、97%の確率が得られます。
 ですから、目標の識別9ヘクス以内ならば確実でした。
 また、距離15へクス以上は追跡不能になります。


 敵の戦闘艇と接触した場合、駆逐艦と接触した場合でも、距離9ヘクス以内ならば確実に(5+を2回判定:97%)探知できます。
 距離17ヘクス以上は探知不能でした。
 戦闘艇駆逐艦の追跡は、7ヘクス以内ならば確実射撃可能9ヘクス以内ならば確実識別できます。
 ただし、15へクス以上は追跡不能です。


 敵の巡洋艦と接触した場合、距離11ヘクス以内で確実に(5+を2回判定:97%)探知できます。
 また、距離19ヘクス以上は探知不能でした。
 巡洋艦の追跡は、7ヘクス以内ならば確実射撃可能9ヘクス以内ならば確実識別できましたが、15へクス以上は追跡不能です。


 敵の艦隊と接触した場合、その中でもっとも視認レベルの強い艦艇を探知することになると考えられます。
 それは上記のような巡洋艦かバトルライダー、輸送母艦かも知れませんが、恐らく、視認レベルは巡洋艦と同じ「」でしょう。
 そうすると、距離11ヘクス以内で確実に(5+を2回判定:97%)探知でき、距離19ヘクス以上は探知不能でした。
 艦隊の追跡も、7ヘクス以内ならば確実射撃可能9ヘクス以内ならば確実識別できます。
 目標が艦隊の場合でも、15へクス以上は追跡不能になります。


 成功判定を2回行うだけで、探知が確実に行なえる距離(これを私は水平線と呼んでいます)が、11へクス(27万5千km)まで伸びてしまうことは意外な発見でした。

 また、追跡の成功判定は、目標の視認レベルに左右されないため、小さな無人偵察機でも、巨大な戦艦でも、成功率は同じです。
 追跡の成功確率は表の右端にまとめて記入し、数値の右側を確実に射撃可能な距離、左側を確実に識別可能な排水素パワー判明する距離としました。

    表3  無人偵察機(単機)による 確実に探知(追跡)できる距離

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

無人偵察機

11

11

9 / 7




有人戦闘艇によるピケット(単機)


 ジェリュイ級大型戦闘艇は、船体サイズ50トンの小艇です。
 ジャンプ能力はありませんが、6G加速、移動力6の高速性能を備えています。
 搭載されているコンピュータは、モデル9です。
 ビーム・レーザー(攻撃力2)1門、ミサイル・ラック(攻撃力2)1門、散乱砂砲(攻撃力3)1門の武装(混合砲塔1基に相当)を装備しています。

探知器の性能(探知回数の最大値=4)
 能動物体探知=    並   能動物体追跡=    並
 受動物体探知=    並   受動物体追跡=    並
 受動エネルギー探知= 易   受動エネルギー追跡= 並

被探知性能は、目標サイズ=小、視認レベル=弱より、
 能動物体探知受動物体探知による、被発見率は、
  距離3ヘクス以内で確実(3+)、距離13ヘクス以上で不可能(13+)。
 受動エネルギー探知による、被発見率は、
  距離7ヘクス以内で確実3+)、距離17ヘクス以上で不可能(13+)


 敵の無人偵察機戦闘艇駆逐艦など、視認レベルが「」の目標と接触した場合、(探知回数の最大値が4ですので)それらの目標を、距離11ヘクス以内で確実に(7+を4回判定:97%の成功率)探知できます。
 また、距離17ヘクス以上は探知不能でした。

 追跡の成功率が7+になる距離は、9ヘクスです。
 ですから、目標の追跡は9ヘクス以内ならば確実であり、射撃可能となりました。
 目標の識別については、(同一目標に4回の追跡判定を行うとして)成功率が8+でも、99%の確率が得られます。
 目標の識別は、10ヘクス以内ならば確実でした。
 目標との距離が15へクス以上の場合は、追跡不能になります。


 敵の巡洋艦艦隊など、視認レベルが「」の目標と接触した場合、距離13ヘクス以内で確実に(7+を4回判定:97%)探知できます。
 距離19ヘクス以上は探知不能でした。

 追跡の成功率は、目標の視認レベルに影響されませんから、追跡については、巡洋艦艦隊も、上記と同様です。
 目標の追跡は、9ヘクス以内ならば確実であり、射撃可能となりました。
 目標の識別は、10へクス以内ならば確実でした。
 目標との距離が15ヘクス以上の場合は、追跡不能です。


 探知に関しては、探知回数2回と4回の違いも、大きいものになっています。
 探知回数が2回から4回に増えるだけで、確実に探知できる距離が、2へクスも伸びました。
 つまり、大型戦闘艇から見える水平線は、13へクス(32万5千km)の距離にあるのです。
 無人偵察機であっても、その数を2倍に増やせば、同じ効果が得られるでしょう。

 追跡に関しては(完全成功を目指している都合上)探知回数の多少が影響しません。

    表4  大型戦闘艇(単機)による 確実に探知(追跡)できる距離

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

戦闘艇

11

11

11

13

13

10 / 9




駆逐艦によるピケット(単艦)


 ベイゼル級艦隊駆逐艦は、船体サイズが5千トン。
 ジャンプ4、5G加速(移動力=0)の性能を持ちます。
 コンピュータ・モデルも9。
 大型戦闘艇を2隻も搭載しているので、戦闘時には当然、それらの戦闘艇も発進することでしょう。
 兵器は、50トンのミサイル副砲(攻撃力9)2基の他、砲塔群で粒子加速砲1門、ミサイル12門、フュージョン・ガン1門、プラズマ・ガン1門、ビーム・レーザー12門、パルス・レーザー1門、散乱砂砲2門を装備しています。

探知器の性能は(探知回数の最大値=33)
 能動物体探知=    並   能動物体追跡=    並
 受動物体探知=    並   受動物体追跡=    並
 受動エネルギー探知= 易   受動エネルギー追跡= 並

被探知性能は、目標サイズ=中、視認レベル=弱より、
 能動物体探知受動物体探知による、被発見率は、
  距離5ヘクス以内で確実(3+)、距離15ヘクス以上で不可能(13+)。
 受動エネルギー探知による、被発見率は、
  距離7ヘクス以内で確実3+)、距離17ヘクス以上で不可能(13+)


 敵の無人偵察機戦闘艇駆逐艦など、視認レベルが「」の目標と接触した場合、(探知回数を31として)それらの目標を、距離14ヘクス以内で確実に(10+を31回判定:99%以上の成功率)探知できます。
 また、距離17ヘクス以上は探知不能でした。

 追跡の成功率が10+になる距離は、12へクスです。
 ですから、目標の追跡12へクス以内ならば確実であり、射撃可能となりました。
 目標の識別については、(同一目標に31回の追跡判定を行うとして)成功率が11+でも、99%以上の確率が得られます。
 目標の識別は、13へクス以内ならば確実でした。
 目標との距離が15へクス以上の場合は、追跡不能になります。


 
敵の巡洋艦艦隊など、視認レベルが「」の目標と接触した場合、距離16ヘクス以内で確実に(10+を31回判定:99%以上)探知できます。
 距離19ヘクス以上は探知不能でした。

 追跡の成功率は、目標の視認レベルに影響されませんから、追跡については、巡洋艦艦隊も、上記と同様です。
 目標の追跡は、12ヘクス以内ならば確実であり、射撃可能となりました。
 目標の識別は、13へクス以内ならば確実でした。
 目標との距離が15へクス以上の場合は、追跡不能になります。
 

 探知回数の最大値が33回ですので、(射撃が必要になる場合に備えて)最も強力な兵器である副砲2基を残し、31回の成功判定を行ってみました。
 探知限界のほとんど手前まで、探知できます。
 駆逐艦から見える水平線は、16へクス(40万km)の距離にあることが分かりました。
 11+で31回の判定を繰り返すと93%の成功率ですから、上記の距離を17ヘクス(42万5千km)と見なしても、良いかも知れません。

 同じ回数の成功判定を得るためには、戦闘艇ならば8機、無人偵察機ならば16機を用意することが必要になります。
 ちなみに、駆逐艦1隻と同じ予算で用意することの出来る大型戦闘艇の数は、27機でした。

    表5  艦隊駆逐艦(単艦)による 確実に探知(追跡)できる距離 

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

駆逐艦

14

14

14

16

16

13 / 12




巡洋艦によるピケット(単艦)


 デンドリーン級軽巡洋艦は、船体サイズが4万トンです。
 ジャンプ4、3G加速(移動力=3)の性能を持ちます。
 搭載されているコンピュータはモデル9であり、50トンの大型戦闘艇10機を搭載していました。
 これらの戦闘艇をピケットとして、さらに広い範囲へ展開することもあり得るでしょう。
 兵器は、中間子主砲Nクラスが1基、50トンのミサイル副砲10基、砲塔群の粒子加速砲70門、ミサイル40門、フュージョン・ガン10門、プラズマ・ガン10門、ビーム・レーザー10門、パルス・レーザー10門、散乱砂砲40門を装備しています。

探知器の性能(探知回数の最大値=202)
 能動物体探知=    並   能動物体追跡=    並
 受動物体探知=    並   受動物体追跡=    並
 受動エネルギー探知= 易   受動エネルギー追跡= 並

被探知性能は、目標サイズ=大、視認レベル=中より、
 能動物体探知受動物体探知による、被発見率は、
  距離6ヘクス以内で確実(3+)、距離16ヘクス以上で不可能(13+)。
 受動エネルギー探知による、被発見率は、
  距離9ヘクス以内で確実3+)、距離19ヘクス以上で不可能(13+)


 敵の無人偵察機戦闘艇駆逐艦など、視認レベルが「」の目標と接触した場合、(探知回数を191回として)それらの目標を、距離16ヘクス以内で確実に(12+を191回判定:99%以上の成功率)探知できます。
 また、距離17ヘクス以上は探知不能でした。

 追跡の成功率が12+になる距離は、14へクスです。
 ですから、目標の追跡14へクス以内ならば確実であり、射撃可能となりました。
 目標の識別については、(同一目標に191回の追跡判定を行うとして)成功率が12+でも、99%以上の確率が得られます。
 目標の識別は、14へクス以内ならば確実でした。
 目標との距離が15へクス以上の場合は、追跡不能になります。


 敵の巡洋艦艦隊など、視認レベルが「中」の目標と接触した場合、距離18ヘクス以内で確実に(12+を191回判定:99%以上)探知できます。
 距離19ヘクス以上は探知不能でした。

 追跡の成功率は、目標の視認レベルに影響されませんから、追跡については、巡洋艦艦隊も、上記と同様です。
 目標の追跡は、14へクス以内ならば確実であり、射撃可能となりました。
 目標の識別も、14へクス以内ならば確実でした。
 目標との距離が15へクス以上の場合は、追跡不能になります。


 探知回数の最大値が202回ですので、(射撃が必要になる場合に備えて)主砲と、副砲10基を残し、191回の成功判定を行ってみました。
 どんな目標であっても、探知限界の手前まで確実に探知できます。
 軽巡洋艦の水平線は、18へクス(45万km)の距離にあると分かりました。
 ちなみに、12+の成功判定を127回繰り返せば、97.2%(3+の判定を1回だけと同じ成功率)を得ることが出来ます。

 127回の成功判定を得るためには、駆逐艦ならば4隻、戦闘艇ならば32機、無人偵察機ならば64機を用意しなければなりません。
 コストを巡洋艦1隻と比べるなら、安いものだと思いますが。

 実際に計算してみたところ、巡洋艦1隻に必要な予算で確保できる、駆逐艦と大型戦闘艇の数は、

  巡洋艦1隻 = 駆逐艦6.8隻 = 大型戦闘艇 188機

であることが判明しました。
 巡洋艦1隻には、大型戦闘艇10機が搭載されていますから、数字はもう少し変わりますが、巡洋艦をピケットに投入することの無意味さがよく分かります。


     表6  巡洋艦(単艦)による 確実に探知(追跡)できる距離 

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

巡洋艦

16

16

16

18

18

14 / 14




無人偵察機によるピケット(複数機)


 単機での探知能力の低さを補うため、複数の無人偵察機に編隊を組ませ、ピケットとして用いることにしました。
 無人偵察機1機の探知回数は2回ですから、

 2機の編隊ならば、探知回数は4回で、戦闘艇1機と同等。
 4機の編隊ならば、探知回数は8回で、戦闘艇2機と同等。
 16機の編隊ならば、探知回数は16回で、駆逐艦1隻と同等。
 64機の編隊ならば、探知回数は128回で、最大限の探知が可能です。

 探知に成功する確率も、追跡射撃識別)に成功する確率も、機数が増えるに連れて、高くなっていました。


   表7 無人偵察機(単機〜64機)による 確実に探知(追跡)できる距離

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

無人偵察機(単機)

11

11

9 / 7

無人偵察機(2機)

11

11

11

13

13

10 / 9

無人偵察機(4機)

12

12

12

14

14

11 / 10

無人偵察機(16機)

14

14

14

16

16

13 / 12

無人偵察機(64機)

16

16

16

18

18

14 / 14




有人戦闘艇によるピケット(複数機)


 単機での探知能力の低さを補うため、複数の戦闘艇に編隊を組ませ、ピケットとして用いる場合も同様です。
 戦闘艇1機の探知回数は4回ですから、

 2機の編隊ならば、探知回数は8回。
 8機の編隊ならば、探知回数は16回で、駆逐艦1隻と同等。
 32機の編隊ならば、探知回数は128回で、最大限の探知が可能です。


   表8 大型戦闘艇(単機〜32機)による 確実に探知(追跡)できる距離

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

戦闘艇(単機)

11

11

11

13

13

10 / 9

戦闘艇(2機)

12

12

12

14

14

11 / 10

戦闘艇(8機)

14

14

14

16

16

13 / 12

戦闘艇(32機)

16

16

16

18

18

14 / 14




考察(単機/単艦)


 上記の計算の結果、探知能力は艦艇が大型である(正確には、砲塔群数が多いほど)探知追跡)の成功判定を数多く行なえるため、より遠距離での探知追跡)が可能になると判明しました。

 表9 各種ピケット艦(単機/単艦)の 確実に探知(追跡)できる距離の比較

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

無人偵察機

11

11

9 / 7

戦闘艇

11

11

11

13

13

10 / 9

駆逐艦

14

14

14

16

16

13 / 12

巡洋艦

16

16

16

18

18

14 / 14

艦隊

16

16

16

18

18

14 / 14


 以上のように、無人偵察機は大型戦闘艇、駆逐艦、巡洋艦、どれと遭遇しても、相手を先に発見することが出来ません。
 先に発見できないのでは意味がないと思うかも知れませんが、あくまで先に発見することが難しいだけで、さらに接近すれば確実に敵を発見することは出来るのです。
 無人偵察機を発見した敵艦艇は、発見されないために針路を変えるか、無人偵察機を攻撃して撃破するか(撃破されれば、少なくとも敵艦隊の存在は判明します)、選択を迫られることになるでしょう。
 無人偵察機のメリットは、安価なために数を用意できること、もし撃破されても人命が失われないこと、などにあると思われます。

 大型戦闘艇は、無人偵察機に対しては有利ですが、駆逐艦、巡洋艦と比較した場合、探知距離の短さから不利になります。
 しかし6G加速の機動性、移動力6の回避能力などから、高い生存性を期待できそうに思えます(詳しい考察は次回)。
 有人であり、武装を備えていることから、敵の無人偵察機を駆逐する作戦にも、活用できるでしょう。
 また、6G加速の性能を持っているため、高加速度で加速中のバトルライダー艦隊でピケットを勤められる艦艇は、大型戦闘艇しかありません。

 駆逐艦は、巡洋艦と本隊以外に対して、有利な立場にあります。
 生存性については次回で考察する予定ですが、このサイズの艦艇ならば、無人偵察機の母船として使用することが、正しい使い方かも知れません。
 鈍足で軽武装のアルゴス母艦は、ピケット艦として使う場合、余りにも脆弱過ぎますから。

 巡洋艦は、ピケット艦として使う場合にはとても優秀ですが、ピケット艦として使うには、もったいない存在です。
 本来、主力艦として集中運用すべき艦種なのですから、分散配置は危険です。
 わざわざ、各個撃破されるために分散させることもないでしょうが、ピケットとしては非常に有用ですので、巡洋艦についても考察を続けます。




考察(複数機)


 複数無人偵察機戦闘艇駆逐艦を用いることで、探知回数の少なさを補うことが可能です。
 下記に示されている機数(隻数)を用意することで、より上位の艦艇(駆逐艦や巡洋艦)と同レベルの探知距離を得ることができると分かりました。

 複数を用意することで、探知性能は同等。
 そして、被探知性能は以前の(視認レベルは「」の)ままですから、総合的には、複数の小型艦艇の側が、より遠距離で相手を探知できることになります。

 表10 各種ピケット艦(単機〜複数機)の 確実に探知(追跡)できる距離の比較

 

被探知(目標)側

追跡

探知側

無人

戦闘艇

駆逐艦

巡洋艦

艦隊

成功

偵察機

距離

無人偵察機(単機)

11

11

9 / 7

無人偵察機(2機)

11

11

11

13

13

10 / 9

戦闘艇(単機)

無人偵察機(4機)

12

12

12

14

14

11 / 10

戦闘艇(2機)

無人偵察機(16機)

14

14

14

16

16

13 / 12

戦闘艇(8機)

駆逐艦(単艦)

無人偵察機(64機)

16

16

16

18

18

14 / 14

戦闘艇(32機)

駆逐艦(4隻)

巡洋艦(単艦)

艦隊




戦術ポイントの活用


 期待値の計算が困難になるので、あまり考えたくなかった「戦術ポイント」ですが、「不意討ち」の成否にも影響しますから、考察しない訳にもいきません。

 橘様から提案された、戦術ポイントの簡易計算方式を使用してみました。
 乗組員の中の士官が、一人当たり平均2ポイントの戦術ポイントを持っている(艦長は経験豊富な筈なので4ポイント)と仮定した計算方式です。
 その結果は、

無人偵察機の戦術ポイント=0
大型戦闘艇の戦術ポイント=0(編隊飛行をしている場合は、1機当たり=0.33)
艦隊駆逐艦の戦術ポイント=18(=艦長4+士官2×7名)
軽巡洋艦の戦術ポイント=78(=艦長4+士官2×37名)

 以上のようになりました。

 冒頭で述べた「不意討ち」の判定ですが、その難易度は「難:11+」です。
 〈リーダー〉と〈探知器〉技能をプラスDMに使えますが、対立ですから、相手側の技能レベルがマイナスDMになってしまいます。
 その成功率は、せいぜい9+27.8%)というところでしょう。

 しかし、この「不意討ち」判定に「戦術ポイント」を6ポイント使用するとしたら、成功率は3+97.2%)になり、ほぼ確実に成功してしまいます。
 対抗するためには、相手側も「戦術ポイント」を使用しなければなりませんが、小型の艦艇(乗組員の数が少ない艦艇)では、使用できる「戦術ポイント」の数も限られています。
 無人偵察機や大型戦闘艇に至っては、使える戦術ポイントを全く持っていないのですから。

 「不意討ち」を行なおうとしている艦艇の「戦術ポイント」が、相手側の艦艇より多ければ、まず自動的に「不意討ち」は成功してしまいます。
 上記の例で言えば、駆逐艦は無人偵察機や大型戦闘艇に対して何時でも「不意討ち」が可能ですが、逆に、巡洋艦からの「不意討ち」を避けられません。
 このルールをそのまま使うのならば、乗組員数の多い弩級戦艦(某タイグレス型)が(何時でも不意討ちが可能なので)最強だということになってしまいます。

 これは明らかに不自然ですから、プレイヤーズ・マニュアル p67〜68に訳注として書かれているように、ひとつの行為に使用できる戦術ポイントの上限を、ひとりのキャラクターが持っている〈戦術〉技能レベルの最大値にするべきでしょう。


 また、探知の成功判定が行う場合に、相手を見つけるため「戦術ポイント」をプラスDMとして、あるいは相手が探知を行なう場合に、自分が見つからないようにマイナスDMとして、使うことも出来ます。
 その場合は、11+を出さなければ見つけられない距離であっても「戦術ポイント」を+8して、3+で探知に成功とすることが出来ます。
 逆に、相手が自分を3+で探知成功する距離であっても、「戦術ポイント」を−10使えば、相手は13+を出さなければなりませんから、自動的に探知失敗とすることが出来るでしょう。
 状況にもよりますが、単独飛行中の戦闘艇や無人偵察機は「戦術ポイント」を大量に持っている弩級戦艦(某タイグレス型)の視認距離(1ヘクスの距離)に近付くまで、なかなか発見されないということになりかねません。

 これも不自然ですから、上記と同じように、ひとつの行為に使用できる戦術ポイントの上限を定めるべきだと考えます。




同時に追尾できる、目標の数


 色々と考えているうちに、ピケットが同時にどれだけ多数の目標を追跡できるのか、気になってしまいました。
 例えば、アルゴス型偵察衛星は探知回数の最大値が2ですから、単機で任務に就いている場合、どんな工夫をしても、同時に2つの目標しか追跡できないという事実は重要です。

 目標が2隻以上の宇宙船で編成された船団であれば、アルゴスはその内2つしか探知出来ません。
 つまり、その船団が本当に2隻だけの船団なのか、それとも探知できない3隻目以降の宇宙船が存在するのか、単機のアルゴスだけでは判断できないのです。

 アルゴスのオペレータがこの事実になれていない場合、「100隻以上の大船団」を見つけておきながら、その船団を「2隻の小規模な船団」と誤解してしまう可能性が、あるということに気付きました。
 その危険性をわきまえているベテランのオペレータならば「2隻以上の船団を発見。目標数は不明」と報告することで、あらかじめ誤解の芽を摘むこともできますが。


 たとえ追跡に成功しなくても(目標の識別が出来なくても)、目標のが分かれば、そのを脅威の判断材料として使うことが出来ました。
 単独の目標ならば、民間商船か偵察任務の軍艦でしょうから、脅威度は低いと考えられます。
 数が10前後ならば、輸送船団か小規模な艦隊で、脅威度は中。
 数が100以上ならば大艦隊であり(無人偵察機戦闘艇を100機以上投入した、囮の可能性もありますが)、脅威度は大です。

 ところが、上記の例(単機で投入されたアルゴス)のように、目標の数が「1つ
か、2つ以上(たくさん)」としか分からない場合には、脅威殿判定すら出来ません。


 そこで、無人偵察機の探知回数を2回、大型戦闘艇の探知回数を4回、艦隊駆逐艦の探知回数を32回、巡洋艦の探知回数を200回と仮定し、その探知回数に成功率を掛けてみました。
 後の考察に使うことも考慮して、目標の視認レベルは「」を想定しています。
 表11の数値は、表の上部に書かれた距離と成功率において、ピケット(無人偵察機〜巡洋艦)が、同時に(1ターンの間に)、何個の目標探知追跡)できるか、その期待値を示しています。

 例えば、単機の大型戦闘艇は、距離10に存在する4つ目標に探知を試みることが出来ますが、距離10における期待値は「2.9」ですから、探知成功する目標は、そのうち3つ程でしょう。
 運が悪ければ、2つ
しか探知できない可能性もあります。

 追跡(射撃の可否判定)の場合、距離10における期待値は「1.7」でした。
 追跡に成功して、射撃が可能になる目標は、1つ2つ
しかありません(追跡判定を4回行ってしまえば、射撃可能な砲塔群は1つも残りませんが)。

     表11 探知(追跡)距離と、探知(追跡)できる目標数の期待値

「弱」

目標との距離

探知距離

7以下

10

11

12

13

14

15

16

追跡距離

5以下

10

11

12

13

14

成功率

3+

4+

5+

6+

7+

8+

9+

10+

11+

12+

偵察機

1.9

1.8

1.7

1.4

1.2

0.83

0.56

0.33

0.17

0.06

(単機)

偵察機(2)

3.9

3.7

3.3

2.9

2.3

1.7

1.1

0.67

0.33

0.11

戦闘艇(単)

偵察機(4)

7.8

7.3

6.7

5.8

4.7

3.3

2.2

1.3

0.67

0.22

戦闘艇(2)

偵察機(16)

31

29

27

23

19

13

8.9

5.3

2.7

0.89

戦闘艇(8)

駆逐艦(単)

偵察機(64)

124

117

107

92

75

53

36

21

11

3.6

戦闘艇(32)

駆逐艦(4)

巡洋艦(単)

194

183

167

144

117

83

56

33

17

5.6


 目標の視認レベルが「」であれば、探知距離は2へクス大きくなります。もしも「」であれば、3ヘクス大きくなります
 偵察機は「無人偵察機」、戦闘艇は「大型戦闘艇」を意味しており、括弧内の漢字と数字は、(単)=単機/単艦、(2)=2機/2隻という意味です。


 少し確率が変化しますが、目標の排水素パワー判明する識別成功する)目標数の期待値は、表12のようになりました。

    表12   追跡の成功判定において、射撃が可能になる確率と、
        目標の排水素パワー判明する識別に成功する)確率

「弱」

目標との距離

追跡距離

5以下

10

11

12

13

14

成功率

3+

4+

5+

6+

7+

8+

9+

10+

11+

12+

偵察機

2.0

2.0

1.9

1.8

1.7

1.3

1.0

0.61

0.32

0.11

(単機)

偵察機(2)

4.0

4.0

3.9

3.7

3.3

2.6

1.9

1.2

0.64

0.22

戦闘艇(単)

偵察機(4)

8.0

7.9

7.8

7.4

6.6

5.3

3.8

2.4

1.3

0.44

戦闘艇(2)

偵察機(16)

32

32

31

30

26

21

15

9.8

5.1

1.8

戦闘艇(8)

駆逐艦(単)

偵察機(64)

128

127

124

118

106

84

61

39

20

7.0

戦闘艇(32)

駆逐艦(4)

巡洋艦(単)

200

199

194

185

165

132

96

61

32

11




巡洋艦1隻と大型戦闘艇10機からなる、ピケット


 上記の考察に関連したことですが、トラベラー掲示板で行なわれた会話から、巡洋艦1隻(+搭載された大型戦闘艇10機)の探知能力は、具体的に、どのくらいなのだろうか、という疑問が生まれました。
 例えば、このピケットに、目標数40の正体不明船団(視認レベルはすべて「」とします)が接近しつつあるとしたら、どれだけの距離でそれらを探知し、識別できるのだろうかという疑問です。

 巡洋艦1隻のピケットは確かに不自然ですが、巡洋艦1隻を大型戦闘艇50機に置き換えても、同じことになります(大型戦闘艇の数は、合わせて60機)。
 探知能力の目安として、巡洋艦1隻は分かりやすいと思ったのですが、甘かった。

 計算を行なった結果、探知(追跡)できる目標数の期待値は、表13のようになりました。
 探知の場合と、追跡の場合の距離を揃えて、見やすくしてあります。

       表13 巡洋艦1隻(+搭載された大型戦闘艇10機)の、
           探知(追跡)距離と、その時の目標数の期待値

「弱」

目標との距離

 

7以下

10

11

12

13

14

15

16

探知成功の

233

220

200

173

140

100

67

40

20

6.7

期待値

識別成功の

233

221

198

158

115

73

38

13

Non

Non

期待値

射撃可能の

200

173

140

100

67

40

20

6.7

Non

Non

期待値


 距離16へクスにおいては、巡洋艦1隻と、大型戦闘艇10機の全探知能力を集中しても、およそ7つの目標だけしか探知に成功できません。
 巡洋艦の艦長は、探知器のオペレータ(あるいはコンピュータ)から、
 「距離40万kmに、所属不明の宇宙船を探知。目標数は7以上
 という報告を受けることになると思います。

 安心できる要素としては、16へクスで初めて探知できたということでしょうか。
 16へクスで初めて探知できた(17へクス以遠での探知が不可能)ということは、目標の視認レベルが「弱/無」を意味するからです。
 目標は、視認レベルが「」の巡洋艦や弩級戦艦では有り得ません。


 距離14ヘクスにおいて、探知に成功した目標数は、ようやく40に達します。
 追跡も、一部の目標に対して成功するようになりました(識別の成功が13と、射撃可能ということにします)。
 「距離35万kmに、目標40以上を探知。内13目標の識別に成功。
 5千トン級1隻50トン級3隻2トン級9隻です」
 という報告が、伝えられることでしょう。

 実は正体不明の船団は、艦隊駆逐艦4隻と、搭載された大型戦闘艇8機、無人偵察機28機という構成でした。

 しかし、これだけの探知結果を得るためにも、巡洋艦1隻と大型戦闘艇10機の全探知能力を注がなければならない(射撃をすべて諦めなければならない)という事実は、とても悲しいことです。




結論


 宇宙船は一般的に、大型であるほど(正確には、装備されている砲塔群数が多くなるほど)、探知の成功判定を多く行なえますので、遠くの目標を探知できる可能性が高くなります。
 大型船に限らずとも、多数の宇宙船が集まった船団ならば探知の成功判定が多くなるので、同じことでした。
 ですから、単独で航行している偵察機や小型の偵察艦が敵の大艦隊を発見し、それをこっそり追跡するような状況は、メガトラベラーの探知ルールを用いている限り、有り得ません。
 偵察機が艦隊を見つけるより早く、偵察機は敵艦隊に探知/追跡されてしまい、兵器の射程内に入った途端、撃墜されている可能性が高いのです。

 追跡の成功判定について、ルールの解釈間違いが発見されたため、大幅に書き直しました。
 プレイヤー側の追跡判定が成功すれば、射撃可能。
 プレイヤー側の追跡判定が成功するか、失敗してもレフリー側が成功すれば(部分的成功ならば)、目標の排水素とパワーが判明。
 以上のようなルールに直して、考察を書き直しました。


 「戦術ポイントの活用」で考察したように、戦術ポイント数の圧倒的な違いが、不意討ちを受けることにもつながるでしょう(使用できる戦術ポイントの上限を定めることで、確実な不意討ちは防げますが、やはり、戦術ポイントを多く持っている側が有利なことに変わりはありません)。


2008.07.26 初投稿
2008.08.07 再投稿