Imperial Standard Containers]
帝国標準コンテナ
  MEGA TRAVELLER
Science -Fiction Adventure
in the Far Future

CG softs:  DOGA-L3 & Metasequia
Specil thanks to Mr.MAG & Mr.Tachibana 

 

 

 

 

 












 
 
1.帝国標準コンテナの概要


 2009年の10月末から11月初旬にかけて、無謀掲示板では「コンテナ談義」が盛り上がりました。 興味がございましたら、過去ログの[31番](これを書いている時点では、まだ[最新])をご覧下さい。

 20世紀のテラで発明されて以来、コンテナは大規模物流に無くてはならないものとなりました。
 大きさや重さ、形状(形態)が様々に異なる貨物を、すべて同じ規格の箱に詰めて運ぶことによって荷役時間の短縮、 荷役設備の共通化が可能になり、その上、貨物の破損や盗難(抜き取り)も防止できるのです。
 この輸送手段が57世紀になっても廃れていないことは、当然だと言えるでしょう。

 今回の考察はトラベラー宇宙で流通しているコンテナの規格について紹介し、また、そのコスト計算などを行なってみます。

 以下の記述は主に、GURPS Traveller「 Far Trader 」の情報に基づいて作成しました。
 Far Traveller 内に情報が記載されていることを教えてくださったMAG様、 また、英文の翻訳に当たっては多大なる支援を頂いた橘様、両氏に感謝します。





2.貨物の種類


 Far Trader において、貨物(船荷/貿易品)の形状(形態)には、下記の5種類が定義されていました。




ウェットバルク(Wet Bulk)
ドライバルク(Dry Bulk)

 バルク貨物とは、「包装されないで大量に運ばれる貨物」のことを指します(出典はWikipedia)。
 サンプルとしては、鉄鉱石、石炭、ボーキサイト、セメント、木材チップ、化学物質(肥料、プラスチックペレット)、穀物、 食品(牧草、飼料、種子、砂糖、デンプン、塩)、石油(ガソリン)、天然ガス、食品(油脂、ジュース、調味料)などが挙げられていました。
 MAG様の訳を引用させて頂くと、
  ウェットバルクは、「液体やガスで、パイプを通じてポンプ圧送
  ドライバルクは、「穀物や砂状物で、パイプを通じてポンプ圧送
されるものだそうです。
 これらの貨物を輸送するためにはそれに合わせた専用設備が必要だ、と思われるかも知れません。確かにその通りでしょう。 これらの貨物を大量に運ぶ場合、専用の輸送船を用意した方が、ずっと経済的に貨物を運べます。
 しかし、貨物の需要は不安定ですから、常にそれらの専用船を用意できるとは限りません。 そんな時のため、自由貿易船を臨時の専用輸送船として用いるために、ウェットバルクやドライバルクを運ぶためのコンテナが流通しているのです。




ブレークバルク(Break Bulk)

 ブレークバルクとは、コンテナ規格から外れた「個々に包装されて運ばれる貨物」です。
 自由貿易船が扱う貨物の中では、最もありふれたものでしょう。
 基本的に1排水素トンより小さいものは、ブレークバルクとして扱われるようです。
 反対に非常に大きな品物、不規則な形状で取り扱いが難しい物も、ブレークバルクになります。 例えばエアラフトやプレハブ家屋、パワープラントなどが該当しました。
 これらの貨物をそのまま船倉にバラ積みしても良いのですが、荷役の作業性を考えるとパレットの上に固定したり、 コンテナの中に収めたりした方が良いでしょう。当然、そうなっているものだと思いますが。




RO/RO(Ride On / Ride Off)

 地上車輌や反重力車輌に搭載したままの貨物です。
 荷役設備の貧弱な(コンテナを扱えない)宇宙港でも、迅速な積み込みと荷下ろしが可能になるでしょう。
 迅速な荷役時間と引き換えに、貨物の積載効率が悪くなります。 占有される船倉容積の半分は輸送車輌のものであり、実質的な貨物は残りの半分でしかありません。
 例えば20トンのRO/RO貨物を引き受けた場合、 その半分の10トン分は輸送車輌や無駄な空間が占めており、本当の貨物は10トンに過ぎないということです。

 半分しかない輸送効率は厳しすぎる。そう思われるかも知れません。
 ですが、小型の輸送機器(車輌)を宇宙船で運ぼうとした場合、 輸送機器は自身の1.5倍の船倉容積を占有してしまいます(MT宇宙船設計ルールより)。
 逆に考えれば、船倉容積の66.7%に相当する輸送機器しか運ぶことは出来ません。
 船倉容積の50.0%が貨物、16.7%が輸送車輌自身、33.3%が無駄な空間だと考えれば、 RO/RO貨物の輸送効率も納得しやすいのではないでしょうか。

 トレーラー(牽引車輌と荷台部分を分割できる型式)の場合、牽引車輌を取り外し、荷台部分だけを船倉に積み込むという形もあるようです。
 牽引車輌は1台だけを持ち込むのか、宇宙港のものを使うことになるのか、その時々によるでしょう。 この船積み方法は、RO/RO貨物より輸送効率が良くなる代わりに、荷役速度が遅くなると思われます。
 レフリーの裁量で、数値を調整してください。




コンテナ(Container)

 コンテナは、規格化された荷役を行なうために、あらかじめユニット化された貨物です。
 1排水素トン以上の規格化されたユニットに入っている貨物は、すべてコンテナ輸送されます。
 これは、特殊艦載艇のモジュールやモジュール式宇宙船のように、 パレット上に積載された貨物や、標準型の金属コンテナに詰め込まれた貨物を含みます。
 コンテナは、宇宙船が港に着く前に荷造りできることから、手軽に、素早く扱えるのです。
 特化したコンテナは、バルク貨物や保冷した製品を扱うことができ、モジュール式のプレハブ建築物としても使えます。
 標準型として、4A〜4Dの4サイズが普及しています。
 それぞれの断面形状は、横幅3×高さ3メートル。長さのみが異なり、12、9、6、3メートルになっていました。 排水素トンで表すならば、8〜2トンになります。
 「商船と砲艦」の政府指定商船に記載されていた貨物コンテナは、4C型になるのでしょう。




 上記5種類の貨物は、3Dを振って決められます。

               表1  貨物種類表

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 最も確率が高い貨物の種類は、上記の通り、ブレークバルクになります。
 これだけで全貨物の3分の1を占めていました。

 次に多い種類がウェットバルクドライバルクで、4分の1ずつ。 合計すると全貨物の半分です。

 その次がコンテナ貨物ですが、貨物全体の9%しかありません。
 コンテナが少ないことはおかしいと感じるかも知れませんが、自由貿易船が貨物を運ぶ場合、 ブレークバルクの大半とウェットバルク/ドライバルクの全ては、 コンテナに収められている筈です。
 そうするならば、RO/RO貨物以外の全貨物(90%以上)が コンテナ貨物ということになるでしょう。

 RO/RO貨物が、貨物全体の7%です。多いと見るか、少ないと見るか、判断に悩む数字です。




3.ブレークバルクの荷姿


 「個々に包装されて運ばれる貨物」が ブレークバルクである訳なのですが、具体的には何が該当するのでしょう。
 少し調べてみましたが、ほとんど何の商品でも該当するようです。

 例えば、前章で触れたウェットバルクドライバルク、 つまり液体やガス、穀物などですが、2リットルサイズの大瓶に詰められた食用油や缶入りの飲料、 携帯用コンロ用のガスボンベならば、明らかにブレークバルクとなるでしょう。 もちろん、これらの製品は小さいですから1個ずつ取り扱われる訳ではなく、 10個や100個(またはダースやグロス)の単位で、1つの箱に収められている筈です。
 また、ドラム缶(200L)に入った石油製品や油脂類ならば、これもブレークバルクとして扱われます。
 穀物であっても、20kgの大袋に包装されているとか、60kgの俵に詰められている状態であれば、 それはドライバルクではなく、ブレークバルクなのです。
 スーパーやホームセンターに出かけてみれば、大抵の貨物のサイズも明らかになるのではないでしょうか。



 Far Trader には、表2に示すようなクレート・サイズ表が添付されていました。
 商品はこんな小箱に収められて運ばれますよ、というサンプルなのだと思います。
 上で述べたように貨物の大きさや形、重さは様々ですので、サンプルとして示された荷箱に収まるものはごく一部でしかありません。
 私が調べてみた範囲でも、穀物(米)、銃器(突撃ライフル)、対艦ミサイルなど、 どれひとつとして表2のサイズ(重量制限)に収まるものはありませんでした。

 例の如くヤード・ポンド法で作られていましたので、分かり易いメートル表示に換算してあります。

          表2  クレート(Crate:荷箱)サイズ表

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 同じく、ブレークバルクを一括して取り扱うためのパレットサイズ表が、表3です。

              表3 パレットサイズ表
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 Crate Size の各部寸法は、私が適当に設定しました。 Far Trader の公式設定は、何立方フィート(cf)の容積を占めるかという数字だけで、クレートの縦横高さが定義されておりません。
 0.9mと1.5mの直方体(容積0.729klと3.375kl)の2種類だけは、注記に一辺3フィート/5フィートの直方体だと定義されていましたが、 これらは例外なのです。

 容積は、立方フィートで示されている数字を、排水素トン(Hton)とキロリットル(kl)に換算しました。

 重量も、ポンド表示だった空重量(クレートやパレット単体の重量)と、 合計重量(クレートやパレットに積載貨物の重量を加えた最大重量)をkg単位に直し、 その2つの重量の差から、積載できる最大の貨物重量を求めました。

 お気付きでしょうか? 容積と貨物重量の関係に。
 そう、積載できる貨物の重量(kg)は、容積(kl)と比べてとても小さな数字でしかないのです。
 具体的には1kl当たりの重量で336kgが上限となっていました。 水の重さが1キロリットル=1,000kgですので、トラベラー世界のクレートは、気密さえ保っていれば「水に浮く」のです。
 アメリカからゲームやフィギュアの取り寄せを行なった方の体験談によれば、 小さなゲームやフィギュアひとつのために、明らかに過剰な包装がしてあったとのこと。
あまり考えたくありませんが、これがアメリカ人の(ひいては、トラベラー宇宙の)常識なのかも知れません。

 価格については、あまり考える必要はないでしょう。
 PCが自分で買い集めた(作成した)商品を、自分で荷箱に詰めるようなことをするのでない限り、 荷箱やパレットは仕入れた貿易品に最初から付属している筈です。
 あるいはハイジャックや密航を考えているキャラクターならば、荷箱の大きさや価格は重要になるでしょうか。


 以下に、ブレークバルクの荷造り例を示します。 おおむね、こんな情景ではないでしょうか。

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              図4 ブレークバルクの荷造り例

 某世界の地上宇宙港における、貿易品の在庫一掃セールの情景です。
 値段が安すぎると思われるかもしれませんが、お客様の利便を第一に考えた価格設定なのです。 なんといっても、スポンサーが、あの「バッカニア商会」ですので。

 手前の売り子は、ブレークバルクの大きさを分かり易くする目的で立たせました。
 穀物の袋、ガスボンベ、銃器ケース、ミサイルの大きさが一目瞭然になるでしょう。




4.帝国標準コンテナの仕様


 この章で紹介するコンテナは、「帝国内で広く普及している」共通仕様のコンテナとなります。
 たとえ流通量が少ないとしても、下記以外の形状やサイズ、異なる用途のコンテナが存在していることは間違いありませんし、 一部の星系や星域では、それら特殊コンテナが流通の主力となっている可能性はあるでしょう。

 例えば、放射性物質の輸出が盛んな鉱業世界では、放射線の遮蔽効果が高い材料で作られたコンテナや、 核中和装置付きのコンテナが存在するかも知れません。
 後述しますが、GURPSのコンテナは重量制限が厳しいので、重量制限を5倍程度、 あるいは数十倍まで増やした頑丈なコンテナも存在すると思います。
 メガトラでは、テックレベル5の世界であっても気密性のコンテナを製造できるようですが、 GURPSではテックレベル8以上という制限になっているようです。

 前述したように、4A規格が「長さ12メートルの8トン・コンテナ」、4C規格が「長さ6メートルの4トン・コンテナ」、 4D規格が「長さ3メートルの2トン・コンテナ」になります。
 4B規格の6トン・コンテナはFar Trader にもなぜか記述がありません。 データが用意されていないということは、あまり流通していないサイズなのでしょう。 どうしても4B規格を使いたい方は、4Aと4Cの数値を平均して用いれば良いと思います。



 また、MAG様に紹介して頂いた「メガトラベラージャーナル」記載の情報によると以下のことが明らかになりました。

 TL10+ではコントロールプレートが内蔵されていて、中身が何か、すぐ参照できるように積荷目録を入力できる。
 このプレートで、ユニットをロックしたりアンロックしたりできる。
 コンテナのセキュリティシールを起動したりモニターできる。
 もちろん、内部の状況をモニターできる。
 コンテナへのアクセスは、カードリーダーかキーコードの入力によって行なわれる。

 この情報は、メガトラベラーの公式設定ですので、安心してご利用ください。




(1)汎用/気密/環境制御コンテナ

          表5  汎用コンテナ(General Purpose)

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 様々な貨物を何でもいいから統一規格の箱に押し込める、それだけを目的に作られたようなコンテナです。
 気密性がありませんから、コンテナの中身は真空への耐性があるものに限られます。
 精製前の鉱石のように、真空耐性のある貨物でなければ、使えそうにありません。
 真空耐性の無い貨物を汎用コンテナに収めて運ぶのであれば、船倉を与圧しておく必要が生じます。

             表6  気密コンテナ(Sealed)
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 気密性を得るだけで、コンテナの価格は3倍に跳ね上がります。
 しかし気密性があるおかげで、衣類や毛皮、常温でも保存可能な食料品、銃器や防具などの工業製品を輸送できるようになりました。
 掲示板で橘様が心配していらっしゃいましたが、気密性の無いコンテナで貨物を運ぶ場合、下記のようなトラブルが予想されるのです。

無機質な機械部品であっても安心はできません。 内部に閉じ込められた水分やガスが減圧によってどのような影響を及ぼすか分かりませんし、 潤滑剤の油分が失われて可動部が固まってしまうかも知れません。
 バッテリーやコンデンサーが液漏れでも起こしたら、大事故になりかねません。 こんなことは専門家でもなければ見分けられません。


 という訳で、このタイプの気密コンテナが、トラベラー宇宙で最も多く流通しているコンテナではないかと思うのですが、いかがでしょう。


        表7 環境制御コンテナ(Controlled Environment)
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 温度/湿度管理の必要な食料品(生鮮食料品や冷凍食品、ワイン)、精密機器などを輸送するコンテナです。
 空気の再生装置(二酸化炭素除去と酸素供給の機能)は備えていませんので、生きた動物や旅客を運ぶことは出来ません。



 上記3種のコンテナは、外観で区別することが困難なようです。イラストでは一緒にしてしまいました。
 大きさは、4A(排水素8トン)、4C(4トン)、4D(2トン)の3タイプ。
 一見しただけで4Aコンテナは取り回しが大変そうだと分かりますが、 コンテナ自体の価格は、半分サイズの4Cコンテナを用いた場合と比べて、8割しか掛かりません。
 多くの荷主(ブローカー)は、4Aコンテナを多用することでしょう。

 しかし図8の通り、4Aコンテナはとても大きいのです。
 果たして、A型自由貿易船の船倉内に積み込めるのでしょうか?


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         図8 汎用/気密/環境制御コンテナの外観




(2)オープントップ/オープンフレーム・コンテナ

 汎用コンテナに良く似ていますが、形状の異なる「オープントップ」という型式も存在していました。
 コンテナの上面から貨物の取り扱いが出来るため、大型(重量)貨物やバルクを扱う際には便利なのだそうです。
 蓋がありませんから、無重力状態では中身が飛び出してしまうのではないかと心配になるかも知れません。
 しかしトラベラー世界の荷役作業は、軌道港であっても「重力のある状態」で行なうことが大前提のようです。
 ですから、荷崩れ(荷こぼれ?)の心配はありません。

         表9  オープントップ・コンテナ(Open Top)
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 さらに単純な構造で、枠だけしかないものは「オープンフレーム」と呼ばれます。

       表10  オープンフレーム・コンテナ(Open Frame)
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      図11 オープントップ/オープンフレーム・コンテナの外観

 オープントップ・コンテナの中には未精製の鉱石を、オープンフレーム・コンテナの中には中古のエアラフトを積んであります。
 空のコンテナ価格が定価の5%前後と格安なのは、もちろん盗品だから・・・・ではなく、 バッカニア商会の企業努力の成果です。




(3)プラットフォーム・コンテナ

 平面状のパネルに過ぎない、プラットフォーム・コンテナというものも存在します。
 この形状では「上下」に重ねることも出来ませんから、コンテナと呼ぶに値しないと思うのですが、 コンテナの最上部にのみ使用するとか、高さ3メートル以上の物を積載するような場合に有用なのでしょう。
 図13のイラストでは、ブレークバルクをまとめるために用いています。
 爆発物と危険物、可燃物をひとまとめにすることはとても危険なのですが、あくまでサンプルということで、ご了承ください。

 また、貨物を載せていないプラットフォームコンテナは、20枚をまとめて、1つのコンテナとして運ぶことも出来るそうです。 この記述から、プラットフォームの厚さは15センチだと推測できました。

        表12  プラットフォーム・コンテナ(Platform)
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          図13 プラットフォーム・コンテナの外観




(4)モジュラー・コンテナ

 汎用コンテナにそっくりですが、分解可能な型式が「モジュラー・コンテナ」です。
 上部のパネルを外せば「オープントップ」として使えますし、底面のパネルだけなら「プラットフォーム」になるという優れもの(?)。
 分割した状態で面を重ねられますので、使用しない場合、4つ分を1つのコンテナとして運ぶことが出来ます。
 しかし、気密性がありませんから真空耐性のある貨物しか運べませんし、高価である点が、普及の大きな障害となるでしょう。

         表14  モジュラー・コンテナ(modular)
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 どうして、このように割高で使い勝手の悪いコンテナが存在するのか、しばらくの間悩んでおりましたが、 コンテナ需要の偏りがある場合に限り、モジュラー・コンテナが経済的に有用であることを発見しました。
 表15は、空のコンテナを持ち帰らなければならない場合における、コストに関する計算です。
 コンテナは4C規格の汎用コンテナとモジュラー・コンテナの2つを用い、輸送経路はジャンプ1回の航路としました。

           表15 モジュラー・コンテナの経済性
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 例えば、輸入ばかりが多く、輸出の少ない世界を考えてみましょう。
 スピンワード・メインで言うなら、パイリーマやジャイルドンのような低人口世界がこれに当てはまります。
 これらの世界に向けた船荷(貿易品)は常に豊富ですが、帰り道、この世界から出る方向の船荷(貿易品)はほとんどありません。
 勝手な解釈ですが、輸入品は食糧や生活必需品などの嵩張る消耗品、輸出品は希元素など高価な鉱物資源である、と想定しました。
 輸出入の金額は釣り合っている筈ですが、その分量(容積と重量)が異なっているため、不釣合いになる訳です。
 このような貨物輸送を長い間続けていれば、低人口世界の宇宙港に、空のコンテナが堆積してしまうことは明らかでしょう。

 普通の世界ならば、これらのコンテナには輸出品が詰め込まれ、星系外へ輸出される筈なのですが、輸出品の少ない低人口世界ではそうもいきません。 荷主は空のコンテナを回収できず、経済的な損失を抱えてしまいます。
 船荷を送り出す度に新しいコンテナを買い直す場合、 貨物4トンの輸出でcr10,000の経費ですから1トン当たりに直すとcr2,500も掛かります。 これでは、とてもやっていけません(表15、赤で示した欄)。

 そこで、もったいないことですが自由貿易船に輸送費を払って、空のコンテナを持ち帰ってもらうことにしましょう。 貿易品も船荷も手に入りませんから、コンテナの中身は空のままです。
 4トンのコンテナを運ぶ際にはcr4,000(1トン当たりcr1,000)の運賃が掛かりますが、新しいコンテナを買うよりはずっと安上がりです。
 コンテナの耐用年数を10年としたならば、輸送1回当たりの減価償却はcr80。
 運賃と合計するとcr4,080で、1トン当たりcr1,020まで下がりました。 まだまだコストが高いでしょうか(表15、黄色で示した欄)。

 という訳でモジュラー・コンテナの出番です。
 コンテナ自体の価格は汎用コンテナの3倍ですから、減価償却は輸送1回当たりcr240になってしまいますが、 その代わり、空のコンテナは分解して輸送できます。
 4つのコンテナを1つ分のコンテナとして運ぶことが出来ますので、船荷として引き取る際の運賃は4分の1になりました。
 コンテナ4つ分でcr4,000の運賃(コンテナ1つはcr1,000)ということです。
 減価償却は3倍ですが、運賃は4分の1ですので、コストの合計はcr1,240。 1トン当たりcr310。ここまで下がれば十分でしょう(表15、青で示した欄)。

 ルールに明記されていませんのでハウス・ルール的な解釈になってしまいますが、思い付きをひとつ。
 モジュラー・コンテナに貨物を積む際、コンテナをオープン・トップ形式で用いるならば、コンテナの面が1つ減ります。
 ですから、空のコンテナを持ち帰る際には、5つのコンテナを1つ分のコンテナとして持ち帰れるのではないでしょうか。
 この場合、輸送経費をさらにcr200削減できますから、貨物1トン当たりのコストはcr260まで下がるでしょう。

 バッカニア商会から「中古の格安コンテナ」を買い集め、片道1回限りで使い捨てるという裏技もあります (4Cコンテナ1つをcr300で買えるとするならば、貨物1トン当たりcr75のコスト)が、何時でも同じようにコンテナが手に入るとは限りません。
 このように、コンテナの需要に偏りがあるならば、モジュラー・コンテナの有用性が発揮されるのです。




(5)タンク・コンテナ

 液体やガスを運ぶためのコンテナが「タンク・コンテナ」です。
 記述はありませんでしたが、タンク内での凍結や揮発を防ぐため、最低限の温度調節機能は備わっていると考えるべきでしょう。
 あるいは、温度調節の無いものが標準仕様で、温度調節が可能なタンク・コンテナは特殊な仕様なのかも知れませんが。

            表16 タンク・コンテナ(tank)
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 このタンク・コンテナの場合に限り、コンテナ全体の容積ではなく、タンクの容積を掲載しました。
 厄介なことに、FarTraderに記載されたタンク容積は「ガロン」というマイナーな単位を基準にしており、 しかも、アメリカとイギリスではその大きさが異なっているのです。
 今回の単位換算には、アメリカのガロン=3.785リットルを用いましたが、あまり、自信がありません。

 例によって重量問題に気付いたのですが、仮に4C規格のタンク・コンテナを用いる場合、 32.9キロリットルの容積で、17.5トンの液体やガスを運ぶことしかできませんでした。
 密度に直すと、1キロリットル当たりで0.532トンになります。

 簡単に調べてみたところ、液化天然ガス(LNG)の比重が0.425〜0.546、揮発油類が0.70〜0.76、植物油/動物油が0.90〜1.00でした。 液化天然ガスを除けば、すべての液体は0.532を超えています。
 仮に水と同じ密度の流体を運ぶ場合、1キロリットル当たり1.0トンですから、 重量制限を遵守するなら容積の53.2%、つまり17.5キロリットル(=1.30排水素トン)しか運べません。
 ものすごくもったいない気がするのですが、こんな輸送効率で良いのでしょうか。



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             図17 タンク・コンテナの外観




(6)居住型コンテナ

 電力の供給さえ絶たれなければ、長期間の居住が可能なコンテナです。
 気密、温度管理、水と酸素の再生が可能なようですが、さすがに、食糧の生産までは不可能だと思います。 具体的な記述が見つからないので断言できませんが。

 4D(2トン)コンテナは2人分、4C(4トン)コンテナは4人分、4A(8トン)コンテナは8人分の生命維持が可能なようです。
 もちろん、この数は人間を乗せた場合の定員であって、動物や植物を生きたまま運ぶような場合には、別の計算式が必要になります。

 商船の船倉に居住コンテナを積み上げて、本来の定員を超えた旅客を運ぶことは可能なようですが、正規の運賃を貰うことはできないでしょう。
 1週間分の維持費もいくらになるか分かりません。少なくとも、専用室と同じ1週間当たりcr1,000の維持費は支払うべきだと思います。

         表18  居住コンテナ(Habitat)
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5.荷役時間の短縮と経費


 コンテナを利用する最大のメリットは、すでに述べたように、荷積み/荷下ろし時間の短縮にありました。


       表19  貨物の種類による、荷積み/荷揚げ時間の変化

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 表19に示した数値は、 2D6人の沖仲仕(stevedores)がフォークリフトやトレーラー、起重機などの設備を用い、荷積み/荷揚げ作業を行なった場合の作業能率です。
 沖仲仕の人数や設備の大きさについては、その宇宙港レベルや世界のテックレベルによって様々でしょう。 機械化が進んでいる世界/宇宙港ならば、沖仲仕は機械の操作員として2人程度で十分でしょうし、 反対に機械化の遅れた世界/宇宙港ならば荷役作業は人海戦術となっていて、12人以上の沖仲仕が従事する可能性もあります。

 上記の数字は、船の大きさに関わらず、ほぼ一定だそうですが、 1万トン以上の大型商船の場合はとんでもない長さの所要時間になってしまうでしょう。
 単純に、沖仲仕の人数とフォークリフトの数を2〜3倍にして投入すれば、作業能率も2〜3倍に上がりそうなものですが。
 私の誤訳かと思ったのですが、古代テラの海運であっても、船の大きさに関わらず荷積み/荷揚げ能率は一定なのでしょうか。
 海運業界の常識に疎いもので良く分かりません。分かる方、ご指導願います。



 設備の整った宇宙港で荷積み/荷揚げ荷役作業を行なった場合は、表19の最大値を用いることが出来るでしょう。
 表の右端、AH型輸送船(ヘラクレス型)の場合、積荷がブレークバルクであれば、 不眠不休(24時間3交代制)の作業で5日以上の時間が必要ですが、 積荷がコンテナならば20時間(2交代制+残業4時間)の作業で済みます。
 コンテナ利用による作業時間短縮が、非常に有り難いものだと明らかになりました。
 何といっても、荷揚げを終えた後には、帰路のための荷積み作業が待っています。
 貨物の形態がコンテナか、せめてRO/ROでなければ、1週間の停泊時間ではとても足りません。



 荷役設備が不十分な場合、荷積み/荷揚げの作業能率は3分の1に下がります。 荷役作業用のクレーンやフォークリフトが足りない、沖仲仕の人数が半分しか居ない、 宇宙港の端に停泊しているので、倉庫までの輸送に時間が掛かるなど、色々と理由は考えられますが。
 RO/RO貨物の場合は、輸送車輌の運転手が足りないなどの状況が、不十分な設備に相当すると思います。
 私の独断で、10分の1に下がった場合の数値も記載しておきました。
 宇宙港の荷役設備が使えない(他の宇宙船が優先して使用している)、 沖仲仕が全く集まらないため、乗組員の手で荷役作業をしなければならない、などの状況だと思ってください。

 辺境の宇宙港を利用することが多い(と思われる)A型自由貿易船とR型政府指定商船の必要時間は、10分の1の作業能率を用いています。
 積荷がブレークバルクの場合、27時間(1日8時間労働で3日強)〜 67時間(24時間3交代制で3日弱)の作業時間を必要としますが、 積荷がコンテナならば、5〜11時間しか掛かりませんでした。

 荷役作業の観点から、コンテナがどれだけ有用なアイテムなのか、明らかになったと思います。



 軌道宇宙港での荷役作業は、小型宇宙船ならば宇宙船を丸ごとドックの中へ納めるか、 大型宇宙船ならば宇宙港と宇宙船の貨物ハッチを連結して、(地上に着陸した時と同じように) 人工重力と標準大気の環境下で行なうことが一般的だそうです。
 貨物を気密コンテナに入れなければならない理由は何なのだろうか、と嘆きたくなるところですが、それはともかく。
 軌道宇宙港にドックが無い場合、あるいは軌道宇宙港と宇宙船の双方に共通する貨物ハッチが無い場合は、 真空の宇宙空間を経由して、貨物の積み下ろしを行なわなければなりません。
 宇宙服やスラスターなどの装備が必要ですし、 かなり危険な作業になる(1時間毎に沖仲仕が事故の回避判定を行なう)ようですので、一般的ではないのでしょう。

 海賊船が獲物として捕らえた商船から貨物を奪う場合は、貨物ハッチを連結することが前提となるように思います。
 地上ではありませんし、宇宙空間に荷役設備が浮いている筈もありません。
 貨物ハッチを連結して、コンテナを片端から積み替えるという形になるのではないでしょうか。 その場合の荷役速度は、コンテナ貨物を前提として、1時間当たり60トンになります。 200トンの貨物だとしても3時間強で終わるでしょう。
 ブレークバルク貨物ならば、毎時10トンです。 200トンの貨物を移し替えるのに、20時間も掛かってしまうことになりました。

 船倉の大きな海賊船には、迅速な略奪のため、反重力リフトやコンベヤ等の装備が必須なのではないでしょうか。




6.コンテナの運用コスト


 さて、気になるコンテナの運用コストですが、コンテナの運用コストは基本的に荷主が負担します。 自由貿易船のオーナー/船長や乗組員であるPC達には、あまり関係がありません。
 ですが、貿易品を売買するなど、PCが荷主となる場合も有り得ますので、 簡単ではありますが、コンテナの運用コストについても考察してみたいと思います。



 まず、コンテナの価格は今まで述べてきた通りです。
 サプリメント「商船と砲艦」のR型政府指定商船のページで紹介されていた4トン・コンテナの印象が強いので、 4C規格(4トン)のコンテナについて計算しました。

 4C規格の気密コンテナの価格は、GURPSのデータでcr30,000ですが、 MAG様が紹介してくださったメガトラの気密コンテナ価格は、cr8,700〜9,600という範囲でした。
 ですので、メガトラの場合は気密コンテナ(cr8,700〜9,600)、GURPSの場合は汎用コンテナ(cr10,000)を利用すると想定して、 運用コストを計算してみます。



 まず、Far Trader には、コンテナのレンタル料金が明記されていました。
 レンタルコストは、1日当たりコンテナ価格の0.1%(上記の例では1日cr10)、デポジット(保証金)が5%(同じくcr500)。
 10日〜14日(2週間)のレンタルだとすれば、cr100〜140で済むようです。



 今度は、コンテナを現金一括払いで購入するとしてみましょう。
 耐用年数を10年として、1年当たりの原価償却はcr1,000。 年間のジャンプ回数を20回と想定するならば、1回当たりcr50
 4トン・コンテナの収益は、船荷の輸送だけで1回cr4,000です。貿易品目ならば、もっと儲かります。あまり気にしなくても良いでしょう。



 GURPSの気密コンテナ価格はcr30,000ですから、上記の例を3倍すれば、コストを求められます。
 レンタルでcr300〜420、現金購入でcr150、という金額になりました。

 こういう金額を見てしまうと、船倉内を与圧し、貿易品をより安価な汎用コンテナで運びたくなります。
 しかし目先の利益に捕らわれてはいけません。
 真空耐性の無い貨物を気密性の無いコンテナで運んだ場合、 何らかのトラブルで船倉の気密が失われた際、高い確率で貨物の商品価値が失われてしまいます。 恐らく、船荷保険に入ることも出来ないでしょう。
 起こりうる最悪の事態は、必ず起こるのです。
 果たして、汎用コンテナを用いることは賢い行動なのでしょうか?





7.貨物の重量制限


 3章、ブレークバルクのクレートやパレットで考察した通り、 コンテナの容積/重量比も非常に小さな数値になっていました。
 1キロリットル当たりの積載重量は、311〜335kgでしかありません。
 仮に、アルミニウム(比重2.7)のインゴットを4C規格の汎用コンテナに収めるとしたならば、 積荷のアルミニウムを6.56kl(=17.7重量トン)しか運ぶことが出来ません。 そして、残り容積の47.4kl(=87.9%l)は、価値のない真空を運ぶことになるでしょう。
 これを解決するためにはコンテナ輸送を諦め、 アルミニウムをブレークバルクとして運ばなければならないようです。
 一体、何のためのコンテナ輸送なのやら。

 20世紀テラの海運において、鉄鉱石や石炭のような鉱物資源は専用のバルク輸送船で運ばれていますから、 コンテナ輸送は軽い貨物が主体である、と考えるべきなのでしょうか。
 何処で読んだか忘れてしまいましたが、Tactics誌の記事の中には、鉱物資源がコンテナに詰められて運ばれるという記述がありましたから、 重量物に対応したコンテナがあることも間違いないのですが。
 それとも、あのコンテナの中身は隙間だらけだったのでしょうか。



 また、重量貨物という項目において、ブレークバルクの重量にも制限が課されていました。
 1立方フィート当たり100ポンド、つまり、1キロリットル当たり1,632kg以上の密度の貨物を船積みした場合、 隔壁やドライブ装置に過負荷が生じてしまうからだそうなのです。
 無理をすれば船積みは可能ですが、隔壁やドライブ装置の破損、 消耗(寿命の低下)などの諸問題が発生するという、厄介なペナルティが付きます。

 1キロリットル当たり1,632kgということは、1排水素トン当たり22トンです。
 コンテナの重量制限に比べれば5倍前後の大きな値ですが、まだ厳しい制限だと感じられました。
 再び、アルミニウムのインゴットを例に用いるならば、排水素1トンのスペースに8.15キロリットルしか積むことは出来ません。 容積効率は60.4%です。
 鉄塊ならば、2.78キロリットル(=20.6%)になりました。

 この制限を厳密に運用する場合、重量物の貿易にかなりの制限が課されてしまうように思えます。
 問題は、一般的な貿易品の密度がどのくらいかということでしょう。

 簡単な調査ですが、穀物、綿花、油脂などの農産物で、比重1.0を超える物は、まずありません。
 典型的な工業製品である自動車も、その重量を車体サイズで割ると比重は0.1前後と小さくなります。
 工作機械も重量は大きいのですが、やはり容積で割ると比重は1.0を超えません。
 鉄鉱石や石炭などの鉱物資源、重金属のインゴットなどでもない限り、上記の制限を超える物はないようです。



 海運の諸問題には詳しくありませんが、掲示板にて相談したところ、松永様から、

コンテナの密度が問題になるのは、宇宙船での輸送よりも、地上での荷役作業でしょう。 ・・・中略・・・、現行の制限から考えたとしても、それはSF世界を楽しむ障害にしかならないと思いますね。

 といったアドバイスを頂きました。詳しくは、過去ログの[948]2010/01/13の投稿をご覧下さい。

 確かに、GURPS Traveller のシステムでプレイするのでない限り、貨物の重量問題は無視するべきなのかも知れません。





8.荷役設備の紹介


 この章全体を、第2版で加筆しています。(2012.01.15)

 GT「Far Trader」の中には、フォークリフト、エクソスケルトン、反重力リフターの3種が、荷役用の設備として紹介されていました。




(1)フォークリフトとコンテナ・ラック

  まずはフォークリフトですが、これはTL8の古代テラで使われていたものと、全く変わりません。
 運べる最大荷重は5トンですが、車輪付きのラックに載せたコンテナを船倉に押し込んだり、 船倉から引き出したりする際には、60トンの重さまで大丈夫だとのこと。
 説明文によると、長さ12メートルの4Aコンテナ1つ(43.6トン相当)か、 長さ6メートルの4Cコンテナ2つ(同じく43.6トン相当)を扱えるそうです。
 またGTの重量単位はショート・トンという怪しげな単位ですが、端数処理が面倒なので、そのままメートル・トンに置き換えました。

 フォークリフト自体の重量は、11トン。
 最大荷重5トンを持ち上げ、運んでいる場合は16トンになります。
 容積は480cfということなので、およそ1排水素トンに相当します。
 宇宙船の船倉に搭載する際は、1.5〜2.0排水素トンの容積を占有してしまうことでしょう。

 移動システムは、4輪駆動/操舵の車輪式。
 荷重なしで整地を走るならば、最大で110km/h。 最大荷重5トンを積んでも90km/hで走れるそうですが、勘弁してください。
 重量物を積んで、宇宙港の構内や倉庫周辺を走ることは、とても危険な行為です。 実際に極東島国の法律では最大速度15〜35km/hに制限されていました。
 その速度で走ることも可能だというだけで、その速度まで加速することはないでしょう。

 動力はバッテリーで、フル充電すると6時間の連続走行が可能だそうです。 充電に必要な時間は分かりません。

 また、フォークリフトの操縦席部分は気密されており、6時間の生命維持が可能になっています。
 真空や異種大気環境でも宇宙服なしでの操縦が可能になる訳ですが、事故や緊急時の脱出を考えると、 操縦者は宇宙服を着用しておいた方が良いでしょう。
 価格は1台130,000crで、宇宙港でレンタルする場合は1時間11crだそうです(操縦者の人件費は別計算)。



 コンテナ・ラックは、4Aコンテナ1つ、あるいは、4Cコンテナ2つを載せることのできる、車輪付きの台車です。
 自重は2トンしかありませんが、上記のコンテナよりも大きな重量、48トンを積載することができます。

 コンテナ・ラックの容積は200cfでした。
 単純に考えると、長さ12メートル、幅3メートル、厚さ0.15メートルのプレート状かと思われますが、 これだけの重量物を支えるタイヤが直径15cm以下になることは有りえないので、厚さ0.60メートルぐらいにはなるでしょう。
 コンテナの下は、車輪が4分の1を占め、残り4分の3は何もない空間になっている筈です。
 動力も何もないので、自力では動けません。
 前述のフォークリフトで牽引される場合、最大速度は40km/hだそうです。

 ところが困ったことに、どのような手段でコンテナ・ラックの上にコンテナを載せ、 ラックの上から降ろすのか、記述が見つかりませんでした。
 フォークリフトの能力では、20〜40トンのコンテナを持ち上げることができませんので、恐らく、 船倉や倉庫の天井に装備されているクレーンを利用してコンテナを持ち上げるのだと思います。 しかし、そういった設備が備えられているのであれば、船内の荷役作業にフォークリフトは要りませんよね(苦笑)。

CON_FIG20.JPEG
             図20 フォークリフトの外観

 5トン以下の貨物を輸送可能ですが、コンテナの輸送にはあまり使えないようです。




(2)エクソスケルトン

 GURPS Traveller に登場するエクソスケルトンは、内部に人間を乗せた、人型のロボットです。
 バトルドレスと同じように、フィードバック制御を用いています。 GTでは〈エクソスケルトン〉技能が必要ですが、 メガトラの場合は〈バトルドレス〉か〈宇宙服〉技能で代替できるでしょう。
 フォークリフトと同じく、5トンの重量物を持ち上げ、運ぶことができます。

 自重は操縦者込みで1,250kg(操縦者の重量は100kgを想定)。
 荷重5トンを運んでいる場合、総重量は6,250kgになります。
 容積は40cf(=0.08排水素トン)しかありません。
 エクソスケルトンの大きさは、人間の2倍サイズで、身長は3.6メートルです。

 エクソスケルトンはフレーム構造ですので、搭乗者は何の保護も受けられません。
 しかし、宇宙服や保護服を着用した状態で、エクソスケルトンに乗り込むことが可能です。
 価格は1台134,000crで、宇宙港でレンタルする場合は1時間11crだそうです(操縦者の人件費は別計算)。

CON_FIG21.JPEG
             図20 エクソスケルトンの外観

 左のエクソスケルトンは着座姿勢で、これから操縦者が乗り込みます。
 右のエクソスケルトンは、操縦者が乗り込んで、直立させた状態です。
 操縦者2人の両腕に付属している緑色の骨格は、スケルトンのマスター・アームだという設定。

 このエクソスケルトンは、橘様にデザインして頂きました。
 操縦者周りは、ビアトリス向けに改造してありますが。




(3)反重力リフター

 48トンの重量までを運搬可能な、反重力輸送機器。
 コンテナ専用の連結装置を備えていますが、その反面、コンテナ以外の貨物を持ち上げることは困難でしょう。

 最大荷重は43.5トン。
 長さ12メートルの4Aコンテナ1つを持ち上げることが可能ですが、4Cコンテナ2つを持ち上げることができるかどうか分かりません。
 常識で考えると、どんな大きさのコンテナであっても輸送できるコンテナは1つだけだと思いますが。

 反重力リフター自体の重量も約11トン。
 最大荷重43.5トンを持ち上げ、運んでいる場合は54.5トンになります。
 輸送機器設計のルール上はこれで問題ないのですが、実は大いに問題あり。

 皆様は回転モーメントというものを御存知でしょうか?
 小さな反重力リフターが細長いコンテナの端を掴んで持ち上げようとする場合、コンテナ全体を回転させようとする大きな力、 回転モーメントが発生してしまい、それを打ち消すために80〜150トンの推力が必要となってしまうのです。
 わずか30トンの貨物を持ち上げるだけなのに、勿体無い話ですが。
 トラベラー世界の反重力モジュールが、回転モーメントを発生しないようなメカニズムだったらよかったのですが、 残念ながら、MT版Starship Operation Manual の記述から、それが否定されてしまっています。
 最大43.5トンの貨物を持ち上げる反重力リフターに必要な推力は、自重+貨物重量を支えるために必要な54.5トンに加え、 回転モーメントを打ち消すために150トン。両者を合わせれば200トン前後が必要になるでしょう。
 しかし Far Trader で紹介されていた反重力リフターの浮揚推力は54.5トン。自重ぎりぎりでしかありません。 ということは、GT版の反重力モジュールは回転モーメントを打ち消す能力を備えているのでしょう。
 そうでも考えないと、私には納得できません(苦笑)。



 反重力リフターの容積は425cf(=0.85排水素トン)という設定になっていましたが、これも無茶ですね。
 GT版Far Trader に掲載されていたイラストなどから、私は全長4.5m×全幅3.0m×全高3.0mというサイズでデザインしました。 設計上の容積は27KL(=2排水素トン)に相当して、宇宙船で輸送する際には1.5倍の3排水素トンが必要になる訳です。
 その形状は気密性のないフレーム構造だそうですが、イラストはどう見ても箱型/非流線形で気密性があります。 そのように解釈しておくべきでしょう。

 移動システムは前述したように反重力式ですが、推進用に5.45トンの推力が割り当てられています。
 荷重なしで飛行するのであれば最大で600km/h(形状制限で300km/h?)。 最大荷重であれば100km/hしか出せませんが、十分な速度でしょう。

 動力は蓄電池で1時間の連続稼働が可能です。
 しかしMT版の輸送機器設計ルールだと蓄電池が高価になりますから、安価な核融合炉が搭載されていると考えるべきでしょう。
 その場合、航続時間は最低でも数日の長さになり、宇宙港等で運用する限り航続時間の問題はなくなります。

 反重力リフターはテックレベルの高い世界や宇宙港で運用されることが多いため、無人で使われることが多いようです。
 もちろん有人で運用されることもあり、有人型リフターの操縦席は1人6時間分の生命維持装置を備えています。 真空や異種大気環境でも宇宙服なしの操縦が可能ですが、事故や緊急時の脱出を考えたら、操縦者は宇宙服を着用している方が安心でしょう。
 価格は1台710,000crで、宇宙港でレンタルする場合は1時間60crだそうです(操縦者の人件費は別計算)。

CON_FIG22.JPEG
             図22 反重力リフターとコンテナ

 4Cコンテナを輸送中の反重力リフター、2台です。




9.まとめ


 以上のように、GURPS Traveller 「Far Trader」の内容より、トラベラー世界のコンテナを紹介させて頂きました。
 自由貿易船が船荷を預かったり、貿易品を売買する際、その荷姿がどのようになっているか、 また、貨物の積み込み/積み下ろしがどのような情景になっているか、想像の助けになれば幸いです。


2010.01.17 初投稿
2012.01.15 イラスト改稿。
       「8.荷役設備の紹介」を追加。