In System Trading in the Traveller space
星系内通商について
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  MEGA TRAVELLER
Science -Fiction Adventure
in the Far Future


 

 

 

 

 

 







 
1.はじめに


 今回は、星系内通商について少し考えてみます。

 前回の考察「IST01:星系内旅行について:In System Travelling」の中で、 星系内移動に費やされる時間とコストを調べました。
 その移動時間とコストを基にして、今度は、星系内の通商量を求めてみましょう。

 参考にしたルールは、MAG様の考察「スピンワードマーチ宙域の商用船舶」と、 GURPS Traveller:Far Trader , Starport です。




 目次
    ※2.貿易量の算定
    ※3.星系内通商のサンプル
       (1)リジャイナ星系
       (2)ソル星系
    ※4.寄港する宇宙船の数と大きさ
       (1)宇宙港規模6
       (2)宇宙港規模5
       (3)宇宙港規模4
       (4)宇宙港規模3
       (5)宇宙港規模2
       (6)宇宙港規模1
    ※5.まとめ





2.貿易量の算定


 まずは、地方世界に寄港する、商船の大きさと数を計算してみましょう。
 そのためには、地方世界に発生する貨物需要と旅客需要を求めなければなりません。

 MAG様の考察「スピンワードマーチ宙域の商用船舶」を真似して、 地方世界向けのハウス・ルールを作成しました。




1.修正無し貿易指数

 まず、修正無し貿易指数を算定してください。
 修正無し貿易指数 UWTN は、以下の式により算定します。

  UWTN=人口レベル÷2+テックレベル評価値

 人口レベルが5ならば第1項は2.5となります。
 テックレベル評価値は、以下の表の値を用いて下さい。
 これらの値が、その地方世界で必要とされる、基本的な貿易量となります。


  表31 テックレベル評価値(スピンワードマーチ宙域の商用船舶より転載)

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 地方世界の人口は、ほとんどの場合3レベル以下、多くても6レベル以下が一般的です。
 また、主要世界の人口を上回ることも有り得ません。 ですから、主要世界の人口が8レベルならば、地方世界の人口は7レベル以下。 主要世界の人口が4レベルならば、地方世界の人口は3レベル以下となる訳です。
 確率的には9レベルの人口を持つ地方世界も有り得る訳ですが、極めて稀な確率でしか発生しませんので、ここでは無視しておきましょう。

 地方世界の修正無し貿易指数は、ほとんどの場合で0.0〜2.5の範囲に収まっており、 人口が多くテックレベルの高い地方世界であっても、4.5が最大となっている筈です。




2.貿易指数の算定

 上記の修正無し貿易指数に、宇宙港クラスによる修正値を加えます。
 この修正値は、スピンワードマーチ宙域の商用船舶の数値を利用しました。
 但し小宇宙港のクラスには対応していませんでしたから、Cクラス宇宙港にFクラスの小宇宙港を、Dクラス宇宙港にGクラスを、 Eクラス宇宙港にHクラスを、Xクラス宇宙港にYクラスを対応させています。

 また、宇宙港が存在しない地方世界(宇宙港クラスYの地方世界)における貿易指数を小さく抑えるため、 宇宙港クラスYの欄(修正無し貿易指数が1.5以下の範囲)に、幾つか修正値を追加しました。

 主要世界の宇宙港は、大きな宇宙港は中継基地としての能力を有しているため、 星系内需要の他にも貨物量が増える、という理由で修正値が加算されていましたが、私は、 中継基地としての利用が有り得ない地方世界についても同様の修正値を加算しました。
 質の高い宇宙港を有している世界は貿易品の輸出入を積極的に行っている、と解釈しているためです。 反対に、質の高い宇宙港を備えていない世界は貿易品の輸出入に消極的なのでしょう。

 実際に修正値を加算しないで試算したところ、ほとんど貿易を行っていない(宇宙港規模2の)Fクラス宇宙港や、 盛んな貿易を行っている(宇宙港規模4の)Yクラス宇宙港を持つ世界が発生してしまいました。
 そうした不自然な世界を発生させないためにも、この修正値は重要なのです。


          表32 宇宙港クラスによる、貿易指数修正

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 この修正値を加えたものが、その地方世界の宇宙港規模です。




3.宇宙港規模の設定

 帝国籍でない場合は−0.5ポイント、指数を減じます。
 また、1パーセク以内に他の星系がある連鎖、つまり「メイン」の場合には1.5ポイント、 2パーセク以内に他の星系がある場合には1.0ポイントを加算します。
 貿易指数と上記の修正値を加えて切り上げ、これを宇宙港規模とします。

 ただし、地方世界の宇宙港規模は、主要世界の宇宙港規模より大きな数値に成り得ません。 どんなに好条件が揃っていても、最大値は星系全体の宇宙港規模−1です。

 注)ここで、便宜上、従来からのABCDEXなど設備の質を表す宇宙港の分類を宇宙港レベル、 今、検討している宇宙港の大きさを宇宙港規模と定義します。




4.貿易量の算定

 宇宙港規模が定まると、以下の表により取り扱う貿易量が求まります。表の値は年平均の貿易量を示しています。

 「GURPS Traveller」を訳したところ、 MAG様の「スピンワードマーチ宙域の商用船舶」表-3、で示されている貿易量は、 該当する宇宙港規模の星系における、最低の貿易量を表しているようです。
 詳細は省きますが、実際の貿易量は示された数値の1.0倍〜9.9倍となりますので、ここでは倍数の平均として3.0倍を用いることにしました。
 結果はMAG様の考察と同じ貿易量になりますので、問題ありません。


        表33 宇宙港規模による貿易量(年間と2週間当たり)

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 年間の貿易量(貨物量/旅客数)と、それを26で割った2週間当たりの貿易量です。

 一般的なイメージ通りに宇宙船が行き来しており、宇宙港に停泊している宇宙船の姿が常に見られる、といった雰囲気の宇宙港は、 宇宙港規模が少なくとも4以上になっている筈です。
 宇宙港規模3の地方世界は、2週間当たり5〜7隻しか寄港しません。 しかも、その多くは船体サイズ40トン程度の小艇ばかりでしょう。
 宇宙港規模2の地方世界になると、4週間(=1ヶ月)当たり1隻の宇宙船しか寄港しませんでした。
 宇宙港規模1の地方世界は、年に1隻の宇宙船が寄港する程度ですので、ほとんど貿易を行っていない状況です。





3.星系内通商のサンプル


 前項で説明した、地方世界向けのハウス・ルールを、実際の星系データ(地方世界)に適用してみましょう。
 「Pirate08:100倍直径の彼方にて」でも簡単に求めましたが、今回は、 より正確な宇宙港規模になりました。

 CT版「偵察局」に掲載されているリジャイナ星系とソル星系(太陽系)のデータを再利用します。
 最初は、リジャイナ星系から。



(1)リジャイナ星系

 リジャイナ星系は三連星の恒星を有しています。
 主星ルソールと白色矮性スペックは近接軌道を互いに公転し、そこから約5000AU離れた軌道を、薄暗いダリダが巡っています。
 星系内には呼吸可能な大気を持つ世界が7つあり、うち4つが可住圏(にあるガス・ジャイアントの衛星軌道)にあります。
 リジャイナはそのなかでもっとも理想的な環境の世界であり、ために最初に植民されました。
 現在、リジャイナは星系のすべての世界を統治しています。

 ダリダを巡る世界は環境があまりよくなく、開発がさほど進んでいません。軍事基地と小規模な鉱山施設があるぐらいです。


 以上、公式設定の再掲載(抜粋)でした。

 今更ですが、 この星系データでリジャイナ等のテックレベルが9〜Aになっている理由は、 GDWのデザイナーが、CT版「偵察局」の星系データを修正せず、 そのままMT版「レフリーズ・マニュアル」で転載したためです。
 CT版においてリジャイナのテックレベルはであり、 MT版になってテックレベルがに引き上げられました。
 その分の修正を施さずに転載したため、矛盾が生じている訳です。
 まぁ、GDWとHJのやることですから、気にしない方が良いでしょう。


       表34 リジャイナ星系−地方世界の通商量(宇宙港規模)

IST_Fig34.gif - 12.6KB

 地方世界の人口と通商量の関係を見ていきましょう。
 今回は、人口レベル1以上の世界(惑星/衛星)を個別に計算しています。



 主星ルソールから見て最も内側を巡る惑星は、大気も水も無い岩の塊、オースンです。
 宇宙港も存在しませんが、70人程度の人口(レベル1)が住んでいるとのこと。
 新たなハウス・ルールで通商量(宇宙港規模)を求めたところ、に増えました。 増えたといっても年間の貿易量は貨物が30トンと旅客が2人です。無いも同然ですね。



 次の軌道を巡る惑星は、小型ガス・ジャイアントのバーガンド
 2つの衛星を持ち、そのひとつセントは人口レベル3ですから、7,000人の人口を抱えています。
 再計算した通商量(宇宙港規模)はでした。年間の貿易量は、貨物が30トンと旅客が2人です。 この地方世界もほとんど貿易を行っていません。



 3番目はオリブリウス
 内圏なので水の無い砂漠世界ですが、汚染されていない希薄大気を持っています。 宇宙港クラスがFなので、これから植民が始まるのでしょうか? 現在の人口は700人。
 宇宙港規模はに増えました。クラスFの良質な宇宙港が有利に働いているようです。 年間の貿易量は、貨物が30,000トンと旅客1,500人でした。 人口700人には不釣り合いな貿易量ですが、これから開発される世界であり、 大量の建設資材が送り込まれていると考えるならば、妥当かも知れません。

 衛星のアリーズも人口レベル1の真空世界です。
 通商量はで、年間貿易量は貨物30トンと旅客2人。
 この地方世界もほとんど貿易を行っていませんでした。



 4番目の軌道(可住圏)を巡る惑星が、大型ガス・ジャイアントのアシニボイア
 リジャイナを初めとして5つの衛星を持ちます。

 最も内側を巡る衛星リーデスは、人口700人の農業世界です。 通商量はで、年間貿易量は貨物30,000トンと旅客1,500人。
 主要世界のリジャイナへ、農産物を輸出することが主な産業なのでしょう。 人口1人当たりの輸出量は428トン(=30,000トン÷700人)ですから、入植地は大規模な農場となっており、人口の大半は農業関係者だと思われます。

 2番目の衛星プランタンは、人口7,000人の真空世界です。 通商量はで、年間貿易量は貨物30万トンと旅客15,000人。
 帝国の海軍基地が置かれていますから、人口の大部分は海軍基地の関係者(軍人や軍属と、その家族)でしょう。

 3番目の衛星ブリュメールは、人口700万人の農業世界で、植民地でもあります。 通商量はで、年間貿易量は貨物300万トンと旅客15万人。 下手な主要世界よりも、貿易量が多い地方世界でした。 直接、ブリュメールに寄港する恒星間商船も多いのではないでしょうか。

 4番目の衛星はハーコート。人口70万人の植民地で、軍事基地と研究所が存在します。 通商量はで、年間貿易量は貨物30万トンと旅客15,000人。

 最も外側を巡る衛星は主要世界のリジャイナで、その人口は7億人。 クラスAの宇宙港を備えで、宇宙港規模も7+になります。 年間貿易量は貨物9,000万トンと旅客450万人。圧倒的な貿易量でした。

 厳密に述べると、この宇宙港規模7+星系全体の貿易量です。 ですから、リジャイナ単独の通商量を正確に求めるためには、 星系全体の貿易量から各地方世界の貿易量を引く必要があります。
 でも、物凄く面倒ですよね?
 実際には大きな誤差も生じない筈ですので、この宇宙港規模7+をそのまま用いても構わないでしょう。
 このアシニボイア系が人口でも通商量でも、圧倒的多数を占めていることに変わりはありません。



 伴星ダリダは、主恒星のルソールから5,000AU離れた軌道番号16を、ゆっくりと巡っています。
 1G加速の宇宙船で5,000AUの距離を移動すると半年以上の時間を必要とします。 特別な事情がない限り、ダリダへの移動はジャンプ・ドライブが利用されるでしょう。
 この距離は光の速さでも1ヶ月弱の時間が必要ですから、データ通信であっても恒星間宇宙船が利用されることになります。 ルソール系とダリダ系の間を結ぶ通信回線に、恒星間宇宙船を介在しないものは有り得ません(その存在価値もないのです)。
 念のため確かめてみたところ、トラベラー世界に1,000AU以上の距離で交信可能な通信機は存在しませんでした。 1,000AU以上の距離は即ち軌道番号14以上
 「1D6+13」で決まる遠距離軌道を巡る伴星系には、恒星間宇宙船以外での通信が不可能だと判明しました。
 結構、不便です。

 伴星ダリダを巡る世界の中で人口レベルが1以上あるものは、 まず、軌道番号1キルンダ系
 惑星キルンダ自体は無人の荒涼世界ですが、有人の衛星が2つ存在します。

 内側の衛星アークラーは人口レベル1。70人が居住していました。
 宇宙港規模はで、年間貿易量は、貨物3,000トンと旅客150人。 人口当たり43トン(=3,000トン÷70人)の貨物量はちょっと不釣り合いですが、 主要産業が鉱石の輸出であると考えれば納得できる量でしょう。 ジャンプ・ドライブを搭載した鉱石運搬船(R型政府指定商船?)が2週間に1回の頻度で寄港して、 120トン前後の鉱石を運んでいくのです。
 旅客数150人も、居住人口の大半が鉱夫であると考えれば納得できます。 彼らの大半は出稼ぎ労働者であり、半年契約で(年2回の頻度で)交代しているのではないでしょうか。
 実は、このキルンダ系には水界がありません。 燃料補給が可能な場所は、アークラーのHクラス宇宙港にも存在しないのです。 キルンダ系に寄港する商船が何処で燃料補給を行っているのか、とても気になりますね。

 外側の衛星アーグルカーは、人口レベル4(7万人)の真空世界です。
 人口は多いのですが宇宙港規模はで、貿易量がほとんどありません。
 必要最低限の物資を輸入しているだけで、ほとんど鎖国状態のようです。



 キルンダの外側を巡る惑星は、小型ガス・ジャイアントのエラゼール
 ここにも、有人の衛星が2つ存在します。

 内側の衛星はディウル・イマー。 居住人口は700人(レベル2)で、宇宙港規模は
 年間貿易量は貨物30,000トンと旅客1,500人ですから、アークラーと同じように、 主要産業が鉱石の輸出であると推測できます。 寄港するR型政府指定商船は、2週間当たり5〜6隻になりますので、 アークラーよりも、ずっと重要度の高い地方世界になっているようです。

 外側の衛星ガガムシールは人口レベル3。 珍しいことに、呼吸可能な大気と水界が存在し、7,000人が暮らす地方世界です。
 宇宙港規模はで、年間貿易量は貨物30万トンと旅客15,000人。
 此処にも軍事基地が置かれていました。



 リジャイナ星系の地方世界について、新たなハウス・ルールで通商量(宇宙港規模)を計算してみました。
 前回の計算結果、「Pirate08:100倍直径の彼方にて」とは異なった結果が出ています。 通商量が大きく変わった原因のひとつは、 その地方世界に存在する宇宙港クラスを変数として組み込んだことにあるでしょう。
 もうひとつは、変数を地方世界の人口レベル÷2にしたこと。
 「Pirate08:100倍直径の彼方にて」で計算した際も、人口レベルが2つ低い毎に通商量が1レベル少なくなる、 という計算方法を用いれば、今回のような結果が出ていたかも知れません。
 今更ですが。

 リジャイナ星系における、星系内通商の主役は、やはり大型ガス・ジャイアントのアシニボイア系でした。
 星系全体の貿易量の中で、99.7%はアシニボイア系に集中しています。
 残りの0.3%は、伴星ダリダのガガムシールを筆頭とした地方世界に存在していました。 内惑星のオリブリウス系なども存在しますが、本当にわずかな貿易量でしかないのです。
 そして、アシニボイア系の中でも、 その大半(96%以上)が主要世界のリジャイナにありました。 次点のブリュメールにある貿易量は全体の3.3%。 3番目以降のプランタンハーコートの貿易量は全体の0.3%ずつ。
 露骨な富の不均衡を感じます。
 自然環境や人口分布が偏っているのですから、仕方ありませんが。



 しかし犯罪者の視点から見れば、富の不均衡も大歓迎でしょう。
 ベルトランナーの活動できる範囲が、若干広くなりました。
 内惑星のオリブリウス系(宇宙港規模)と、 伴星ダリダのキルンダ系(宇宙港規模)ならば、それなりの活動も可能な筈。
 生憎とアシニボイア系は宇宙船の交通量が多過ぎるため、海賊行為には適しません。 また、伴星ダリダのエラゼール系も、軍事基地の存在から不適切ですね。



 次は、ソル星系(太陽系)です。




(2)ソル星系

 太陽系の主要世界は地球です。
 そのほか、月、火星、アステロイド・ベルトに多数のソロマニ人が居住しています。
 水星、ガニメデ、レア、冥王星に小規模な都市があります。
 金星といくつかの衛星には、商業上の小設備や実験室が置かれています。

 ソロマニ戦争の末期、地球は帝国軍に制圧されました。以後、地球は帝国の支配下にあります。
 よって、地球の政治形態は6(占領政治)です。
 他のすべての世界は地球の統治下にあり、政治形態は6です。
 帝国の支配が弱まれば、それぞれの世界が独自の政府を持つものと予想されています。


 以上が、公式設定からの再掲載(抜粋)でした。


      表35 ソル星系(太陽系)−地方世界の通商量(宇宙港規模)

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 通商量(宇宙港規模)の地方世界が、1つのみ。
 通商量(宇宙港規模)の地方世界は、水星火星小惑星帯ガニメデ(木星系)冥王星の5つ。
 通商量(宇宙港規模)になると、エンケラス(土星系)レア(土星系)ティターニア(天王星系)の3つ。
 通商量(宇宙港規模)は、金星ウンブリエル(天王星系)の2つ。

 ソル星系において、ベルトランナーの活躍場所が一気に拡大しました。
 軍事基地(火星木星系)、偵察局基地(土星系)、 帝国海軍基地(冥王星)の存在を考えると、あまり実行したくありませんが。



 ソル星系における星系内通商も、その多くは可住圏(地球/月系)に集中していました。 具体的には星系全体の貿易量の内、99.8%が地球/月系に存在しています。
 水星火星小惑星帯ガニメデ(木星系)冥王星の5世界が、0.03%ずつ。
 ここにも歴然とした、富の不均衡が存在していますね。

 また、軌道番号7(木星)〜9(冥王星)の地方世界に寄港する商船は、 移動時間と輸送コストの問題から、基本的にジャンプ・ドライブ付きの恒星間宇宙船となっているでしょう。 時間とコストが余計に掛かる、通常ドライブを用いた惑星間輸送は有り得ません。
 これらの地方世界に寄港する商船はジャンプ・ポイントを経由するため、100倍直径の外側に出る必要がなくなりました。
 反対に、軌道番号7(木星)〜9(冥王星)で獲物を探すベルトランナーは、 ガス・ジャイアントや惑星の100倍直径の内側へ侵入する必要が生じています。



 サンプルは2つしか作れませんでしたが、貿易量の大半が主要世界に集中していることが確認できました。
 具体的には、リジャイナ星系のリジャイナで96%、ソル星系の地球で99.5%です。
 主要世界と同じ惑星系(あるいは同じガス・ジャイアントを巡る衛星)を含めると、 リジャイナ星系の大型ガス・ジャイアント、アシニボイア系だけで99.7%、 ソル星系の地球/月系で99.8%になりました。
 それ以外の地方世界が持つ貿易量は、残り全ての地方世界の数値を合計しても、0.3〜0.2%しかありません。

 地方世界だけで貿易量を比べてみたところ、通商量(宇宙港規模)6になる地方世界は、 可住圏にしか存在しませんでした。
 内圏外圏に存在する地方世界の通商量(宇宙港規模)は、 必ず5以下なのです。
 地方世界だけを考えても、貿易量の大半(9割以上)は可住圏に集中する、という傾向が見つかりました。
 この傾向を、可住圏に存在する主要世界(の貿易量)が後押しする訳ですね。

 こういった富の不均衡を見つける度に思ってしまうことですが、 地方世界が海賊通商破壊艦に蹂躙されても、 主要世界の周辺が確保されていれば、星系全体、帝国全体の経済にはほとんど影響が出ないのではないでしょうか?
 そんな気がします。





4.寄港する宇宙船の数と大きさ


 それぞれの地方世界について、その通商量(宇宙港規模)が決まりました。
 今度は具体的に、どのくらいの大きさ(船体サイズ)の宇宙船が、どれだけ寄港しているのか、考えてみます。




(1)宇宙港規模6

 星系内通商であっても、大きな通商量を抱えた地方世界は存在します。
 前項のサンプルでは、リジャイナ星系のハーコートとソル星系のが、 共に宇宙港規模となっていました。

 この世界において、商船は毎日8隻の頻度で到着/出発します。
 それらの商船の中で、1,000トン級以上の商船は毎日2隻、10,000トン級以上の商船は2日に1隻の頻度でした。


            表36 宇宙港規模6の船舶量

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 これらの地方世界は、主要世界との間を行き交う星系内通商に、独自の恒星間通商も行っています。 輸送コストを時間を節約するため、主要世界を経由しない可能性は高いでしょう。
 大型の商船が寄港しますから、多くの場合、軌道宇宙港が存在すると思われます。




(2)宇宙港規模5

 今度は、宇宙港規模5の地方世界です。
 宇宙港規模5の地方世界は、上記サンプルの中に8つ(リジャイナ星系に3つ、ソル星系に5つ)存在していますが、 それらの地方世界を3種類に分類して、寄港する宇宙船を考えてみました。

 以下の地方世界は、寄港する宇宙船が恒星間宇宙船か、惑星間宇宙船か、 あるいは、衛星間宇宙船か、ということで分類しています。

 恒星間宇宙船とは、ジャンプ・ドライブを搭載している、 ジャンプ航行が可能な宇宙船を意味しています。 一般的には、A型自由貿易船R型政府指定商船などが該当するでしょう。

 惑星間宇宙船は、専用室二等寝台を装備して、 24時間以上の連続航行が可能な非恒星間宇宙船のことを、そう呼ぶことにします。

 小艇用座席しか装備しておらず、 最大で24時間しか航行できない非恒星間宇宙船衛星間宇宙船である、定義しておきます。



a.星系内通商に、恒星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のガガムシールは、 主要世界のリジャイナから、通常ドライブで1週間以上離れた距離にあります。 また、自分より大きな宇宙港規模を持った地方世界も、通常ドライブで1週間以内の距離には存在しません。
 ガガムシールの主な通商相手は、どれも1週間以上の距離にあるのです。
 そのような場合は、星系内通商であってもジャンプ・ドライブを利用した方が、より安価に、より早く貨物や旅客を運べることが、 前回の考察「IST01:星系内移動について」で明らかになりました。
 ですからガガムシールは星系内通商に、恒星間宇宙船を用いていることになります。

 ソル星系の冥王星も、主要世界の地球から通常ドライブで1週間以上離れています。 巡っている軌道番号ですから、他の惑星への移動も1週間以上掛かります。
 ですから冥王星も、星系内通商に恒星間宇宙船を用いていることになりました。

 これらの世界において、商船は毎日6〜7隻の頻度で到着/出発します。
 1,000トン級以上の商船は、1日に1隻弱の頻度でしか寄港しません。


           表37 宇宙港規模5の船舶量(恒星間)

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 1,000トン級〜5,000トン級の商船が寄港していますので、軌道上にも宇宙港関連の設備が必要になると思われます。



b.星系内通商に、惑星間宇宙船を用いている地方世界

 ソル星系の水星火星小惑星帯ガニメデ(木星系)は、主要世界の地球から通常ドライブで1週間以内の距離にあります。
 簡単な判別方法として、主要世界と地方世界の双方が軌道番号6以下であれば、 1Gの通常ドライブで1週間以内の距離にある、としてください。

 こうした地方世界ならば星系内通商には、恒星間宇宙船よりも惑星間宇宙船を用いる筈です。

 これらの地方世界に寄港する惑星間宇宙船は、毎日5隻の頻度でした。


           表38 宇宙港規模5の船舶量(惑星間)

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 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。
 その地方世界に存在する宇宙船の数そのものではありません。

 星系内の移動時間が4日以下(1G加速の宇宙船で軌道番号4(火星)以内、 3G加速で軌道番号6(木星)以内)ならば、実際の宇宙船数(隻数)は表の半分。
 2日以内(1G加速で軌道番号1(水星)以内、3Gで軌道番号3(地球)以内、 5Gで軌道番号4(火星)以内)ならば、表の3分の1まで少なくなります。

 これらの地方世界において貨物輸送の主役は、 1,000トン級貨物船400トン級シャトルの2種類です。
 400トン級シャトルの一部は、船倉スペースに二等寝台を搭載し、 旅客輸送の半分を担っているかも知れません。

 旅客輸送の主役は、95トン級シャトル40トン級艦載艇になります。
 40トン級徐行艦載艇20トン級大型ボート(ランチ)のような小艇は、 その経済性の悪さ故、大規模な星系内通商に参加できません。すぐに淘汰されてしまうのです。



c.星系内通商に、衛星間宇宙船を用いている地方世界

 同じ惑星系を巡る衛星の間では移動時間が多くの場合4時間以下、例外的な場合でも8時間しか掛かりません。
 そうした条件であれば、星系内通商に用いる宇宙船も、それだけの航行しかできない衛星間宇宙船で十分です。

 リジャイナ星系のプランタンハーコートの2つが、このタイプに該当しました。

 これらの世界に寄港する衛星間宇宙船は、毎日25便以上の頻度で運行しています。
 宇宙船の探知機の有効範囲には、常に4隻前後の姿が確認できることでしょう。


           表39 宇宙港規模5の船舶量(衛星間)

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 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。
 その地方世界に存在する宇宙船の数そのものではありません。

 星系内移動時間が4時間程度ならば、実際の宇宙船数(隻数)は表の40分の1程度まで減るでしょう。
 移動時間が短いため、宇宙船の輸送効率はとても高いものになるのです。 移動時間が片道4時間、停泊時間が4時間だとするのであれば、2週間(=336時間)に20往復が可能ですから。
 上記の例ですと、実際に運航している宇宙船の数は、95トン級シャトルが4隻、 40トン級艦載艇が5隻、といった感じになる訳です。

 衛星間の星系内通商において、 1,000トン級貨物船400トン級シャトルのような大型/中型船舶を見ることはありません。
 移動時間があまりにも短いため、大型/中型船舶を用いると空荷で待機する時間が生じてしまい、かえって不経済となるためです。
 小型船舶に20往復させた方が、全体としては経済的になる訳です。

 95トン級シャトル座席数を540トン級艦載艇座席数を8としておきましたが、これはあくまで平均値です。
 実際のところ、旅客サービスの利便や経済性を考慮するのであれば、 95トン級シャトルは4隻中1隻だけが20の座席数を装備、 40トン級艦載艇も5隻中1隻だけが40の座席を装備していることになるでしょう。



(3)宇宙港規模4

 次は、宇宙港規模4の地方世界です。
 宇宙港規模4の地方世界は、上記サンプルの中に6つ(リジャイナ星系に3つ、ソル星系に3つ)存在していました。



a.星系内通商に、恒星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のディウル・イマー、ソル星系のエンケラス(土星系)レア(土星系)ティターニア(天王星系)は、 主要世界から、通常ドライブで1週間以上離れた距離にあります。 また、自分より大きな宇宙港規模を持った地方世界も、通常ドライブで1週間以内の距離には存在しません。
 ディウル・イマーだけは、 同じ惑星系の中に宇宙港規模5ガガムシールが存在する訳ですが、 このガガムシールの人口レベルは3。 通商相手としては不十分な人口ですので、ディウル・イマーの主な取引先は、 主要世界のリジャイナであると考えました。

 これらの世界において、商船は1日2隻弱の頻度で到着/出発します。
 1,000トン級以上の商船は寄港しません。
 また、この世界ではサイコロ(1D)を振って5+が出た場合のみ、到着/出発時に宇宙船との遭遇を1回だけ行います。


           表40 宇宙港規模4の船舶量(恒星間)

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 600トン級以下の小型商船しか寄港しませんので、必ずしも軌道宇宙港は必要ないようです。



b.星系内通商に、惑星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のオリブリウスは、 主要世界のリジャイナから通常ドライブで1週間以内の距離にあります。

 これらの地方世界に寄港する惑星間宇宙船は、1日1〜2隻の頻度です。
 その多くは100トン未満の小艇で、400トン級の大型シャトルは週に1隻の頻度でしか寄港しません。
 この地方世界ではサイコロ(1D)を振って5+が出た場合のみ、惑星間宇宙船との遭遇を1回だけ行います。


           表41 宇宙港規模4の船舶量(惑星間)

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 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。

 星系内の移動時間が4日以下(1G加速の宇宙船で軌道番号4(火星)以内、 3G加速で軌道番号6(木星)以内)ならば、実際の宇宙船数(隻数)は表の半分。
 2日以内(1G加速で軌道番号1(水星)以内、3Gで軌道番号3(地球)以内、 5Gで軌道番号4(火星)以内)ならば、表の3分の1まで少なくなります。

 これらの地方世界において貨物輸送の主役は、 400トン級シャトル95トン級シャトルです。 95トン級シャトルの一部は二等寝台を搭載し、旅客輸送の半分を担っているでしょう。
 旅客輸送の主役は40トン級艦載艇になります。



c.星系内通商に、衛星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のリーデスが、このタイプに該当しています。

 これらの世界に寄港する衛星間宇宙船は、毎日5〜6便の頻度で運行していました。
 サイコロ(1D)を振って4+が出た場合、宇宙船(衛星間宇宙船)との遭遇を行って下さい。


           表42 宇宙港規模4の船舶量(衛星間)

IST_Fig42.gif - 3.77KB

 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。
 星系内移動時間が4時間程度ならば、実際の宇宙船数(隻数)は表の40分の1まで減るでしょう。

 この規模の衛星間通商においては、95トン級シャトルの姿を見ることはなくなりました。 40トン級艦載艇40トン級徐行艦載艇が1隻ずつ運航しているだけで、 貨物需要と旅客需要の双方を十分に満足できるのです。



(4)宇宙港規模3

 今度は、宇宙港規模3の地方世界です。
 宇宙港規模3の地方世界は、上記サンプルの中に3つ(リジャイナ星系に1つ、ソル星系に2つ)存在していました。



a.星系内通商に、恒星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のアークラー、ソル星系のウンブリエル(土星系)は、 主要世界から通常ドライブで1週間以上離れた距離にあります。 また、自分より大きな宇宙港規模を持った地方世界も、通常ドライブで1週間以内の距離には存在しません。

 もっともアークラーは、惑星間(軌道番号」2)を移動した先に 宇宙港規模5ガガムシールが、 ウンブリエル(土星系)は、衛星間を移動した先(同じ惑星系)に 宇宙港規模4ティターニアが存在する訳ですが、 人口が小さすぎることから、星系内通商の相手としては認めないことにしました。

 これらの世界において、商船は週に1〜2隻の頻度でしか寄港しません。
 サイコロ(2D)を振って12+が出た場合のみ、宇宙船との遭遇を1回行います。


           表43 宇宙港規模3の船舶量(恒星間)

IST_Fig43.gif - 4.08KB

 商船の寄港はほとんどありません。
 寄港する商船の数は、2週間にわずか3隻です。



b.星系内通商に、惑星間宇宙船を用いている地方世界

 ソル星系の金星が、このタイプに該当します。

 これらの地方世界に寄港する惑星間宇宙船は、週に3隻の頻度です。
 それらは全て、100トン未満の小艇でしょう。
 サイコロ(2D)を振って12+が出た場合のみ、惑星間宇宙船との遭遇を1回行って下さい。


           表44 宇宙港規模3の船舶量(惑星間)

IST_Fig44.gif - 4.30KB

 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。

 星系内の移動時間が4日以下(1G加速の宇宙船で軌道番号4(火星)以内、 3G加速で軌道番号6(木星)以内)ならば、実際の宇宙船数(隻数)は表の半分。
 2日以内(1G加速で軌道番号1(水星)以内、3Gで軌道番号3(地球)以内、 5Gで軌道番号4(火星)以内)ならば、表の3分の1まで少なくなります。

 宇宙船の輸送効率は一気に悪くなりました。
 貨物需要が少なすぎるため、95トン級シャトルでも運航が不経済になっています。
 貨物輸送の主役は40トン級徐行艦載艇で、かろうじて黒字にできました。

 一方、旅客輸送はどんな宇宙船を用いても赤字が確定です。経済性を追及するのであれば定期便の運航はできません。
 旅客需要が生じた際は、他の路線から40トン級艦載艇を借りてきて、非定期便を運航させるしかないでしょう。
 どうしても定期便を就航させたいのであれば、専用室二等寝台は 空席だらけとなりますので、維持費捻出のため多額の助成金が必要となるでしょう。
 あるいは、旅客チケットの価格を2〜5倍に引き上げる必要があります。



c.星系内通商に、衛星間宇宙船を用いている地方世界

 このタイプに該当する地方世界は、サンプルの中にありません。

 これらの世界に寄港する衛星間宇宙船は、週5便の頻度です。
 サイコロ(2D)を振って10+が出た場合、宇宙船(衛星間宇宙船)との遭遇を行って下さい。


           表45 宇宙港規模3の船舶量(衛星間)

IST_Fig45.gif - 2.93KB

 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。
 星系内移動時間が4時間程度ならば、実際の宇宙船数(隻数)は表の40分の1まで減るでしょう。

 遂に、40トン級徐行艦載艇の運航まで不経済となりました。 この航路に就航している衛星間宇宙船20トン級大型ボート(ランチ)1隻のみ。 実はそれでも輸送力は過剰でして、2週間に20往復できるところ、10往復しか運航していません。
 当然ながら、赤字です。
 他の路線から宇宙船を借りてきて、不定期に運行させる方が安上がりでしょう。
 具体的には、95トン級シャトルで週1便、 40トン級艦載艇40トン級徐行艦載艇で週3便が妥当でした。



(5)宇宙港規模2

 宇宙港規模2の地方世界です。
 宇宙港規模2の地方世界は、上記サンプルの中に1つ(リジャイナ星系に1つ)だけ存在していました。



a.星系内通商に、恒星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のアーグルカーは、星系内通商に恒星間宇宙船を用いています。

 これらの世界において、商船は月に1隻の頻度でしか寄港しません。
 サイコロ(3D)を振って18+が出た場合のみ、宇宙船との遭遇を1回行います。


           表46 宇宙港規模2の船舶量(恒星間)

IST_Fig46.gif - 2.84KB

 商船の寄港は、更に少なくなりました。
 寄港する商船は月に1隻、100トン級の商船が寄港する程度です。



b.星系内通商に、惑星間宇宙船を用いている地方世界

 このタイプに該当する地方世界は、サンプルの中にありません。

 これらの地方世界に寄港する惑星間宇宙船は、月に1隻の頻度です。
 サイコロ(3D)を振って18+が出た場合のみ、惑星間宇宙船との遭遇を1回行って下さい。


           表47 宇宙港規模2の船舶量(惑星間)

IST_Fig47.gif - 2.97KB

 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。

 宇宙船の輸送効率が更に悪くなりました。
 月に1隻、40トン級徐行艦載艇が寄港するだけで、地方世界の貨物需要を満足できます。

 旅客輸送は存在しません。必要があれば他の路線から40トン級艦載艇を借りてきて 非定期便を運航させることになるでしょう。そんなことは年に2〜3回しか生じませんが。



c.星系内通商に、衛星間宇宙船を用いている地方世界

 このタイプに該当する地方世界は、サンプルの中にありません。

 これらの世界に寄港する衛星間宇宙船は、2週間当たり1便の頻度です。
 サイコロ(3D)を振って17+が出た場合だけ、衛星間宇宙船との遭遇を行って下さい。


           表48 宇宙港規模2の船舶量(衛星間)

IST_Fig48.gif - 2.82KB

 便数は、2週間当たりの運航数(発着便数)を示しています。

 20トン級大型ボート(ランチ)が、1ヶ月に2往復するだけで需要を満たせます。
 これを他の宇宙船に置き換えると、95トン級シャトルが2ヶ月に1便、 40トン級艦載艇40トン級徐行艦載艇で月1便でした。

 こうした地方世界において、ベルトランナーが獲物の商船に遭遇することは、かなり難しいと思われます。




(6)宇宙港規模1

 最後は、宇宙港規模1の地方世界です。
 宇宙港規模1の地方世界は、上記サンプルの中に6つ(リジャイナ星系に3つ、ソル星系に3つ)存在していました。



a.星系内通商に、恒星間宇宙船を用いている地方世界

 ソル星系のトリトン(海王星系)は、星系内通商に恒星間宇宙船を用いています。
 図表は省略しました。
 表46 宇宙港規模2の船舶量(恒星間)合計(1ヶ月)を、 そのまま脳内で合計(1年)に置き換えれば、ほぼ正解です。

 宇宙船が1年に1隻しか寄港しない世界というのは問題があるかとも思いますが、年間の貿易量から推測すれば、妥当な船舶量です。



b.星系内通商に、惑星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のオースンセント(バーガンド系)が、 このタイプの地方世界に該当します。
 今回も図表は省略。
 表47 宇宙港規模2の船舶量(惑星間)合計(1ヶ月)を、 そのまま合計(1年)に置き換えてください。

 40トン級徐行艦載艇が1年に1回寄港するだけで、貨物需要を満たせます。



c.星系内通商に、衛星間宇宙船を用いている地方世界

 リジャイナ星系のアリーズ(オリブリウス系)と、ソル星系のカリスト(木星系)ティータン(土星系)が、このタイプに該当します。
 図表は省略。
 表48 宇宙港規模2の船舶量(衛星間)合計(1ヶ月)を、 そのまま合計(1年)に置き換えてください。

 20トン級大型ボート(ランチ)が1年に2回寄港するだけで十分です。



 宇宙港規模1の船舶量をイメージしてみましたが、予想以上に寂しいことが判明しました。
 まぁ、こういうものなのでしょう。
 どちらにせよ、こうした世界もベルトランナーが獲物を探すには不適切です。





5.まとめ


 今回は、地方世界に寄港する、商船の大きさと数を計算してみました。
 そのため、MAG様の考察「スピンワードマーチ宙域の商用船舶」を真似して、 地方世界向けのハウス・ルールを作成しています。



 地方世界向けのハウス・ルールを、実際の星系データ(地方世界)に適用してみました。
 CT版「偵察局」に掲載されていたリジャイナ星系とソル星系(太陽系)のデータを再利用します。

 その結果、貿易量の大半が主要世界に集中していることを確認できました。
 サンプルが2つしか作れませんでしたが、主要世界への集中度は、96〜99.5%。 可住圏への集中度は99.7〜99.8%です。
 内圏外圏に存在する地方世界は、 残り全ての貿易量を合計しても、0.3〜0.2%しかありません。

 地方世界が海賊通商破壊艦に蹂躙されても、 主要世界の周辺が確保されていれば、星系全体、帝国全体の経済にはほとんど影響が出ない、という可能性が見つかりました。



 最後に、それぞれの地方世界に寄港する宇宙船の船舶量(数と大きさ)を考えてみました。
 これらの地方世界に寄港する宇宙船が恒星間宇宙船か、惑星間宇宙船か、 あるいは、衛星間宇宙船か、ということで3種類に分類しています。

 宇宙港規模4以上の地方世界は、恒星間/惑星間/衛星間宇宙船を問わず、 それなりの数の宇宙船が寄港しており、定期便も存在していることが分かりました。
 しかし宇宙港規模3になると、宇宙船の寄港数は激減。経済的な運航が困難になります。
 宇宙港規模1〜2の地方世界は、年1便〜月1便の頻度でしか、宇宙船の寄港が有り得ません。



 こうした計算をあらかじめ行っておくことで、 プレイヤー・キャラクターが訪れた星系や地方世界の情景を、よりリアルに描写できるようになったと思います。
 ぜひ、ご利用下さい。









 2012.06.17 初投稿