The Mineral Resource
in the Traveller space 06
The Nuclear Fuel (Radioactives)
トラベラー宇宙の鉱物資源
その6
核燃料(放射性物質)
TITLELINE30.JPG - 1,269BYTES
  MEGA TRAVELLER
Science -Fiction Adventure
in the Far Future


 

 

 

 

 

 







 
1.はじめに


 トラベラー世界の「鉱業」に関する考察、その6です。
 今回は核分裂炉(Nuclear Fission)で使用される燃料= 「放射性物質(Radioactives)」について考えました。



 メガトラベラーの輸送機器設計ルールにおいて核分裂炉は、
 高価で(出力1Mw当たり50,000cr)、
 重くて(出力1Mw当たり4.0トン)、
 大きくて(嵩張って)(出力1Mw当たり0.5kl)、
 更に燃費が悪い(出力1Mwh当たり0.001klですが、燃料代に直すと75cr)、
 と極めて劣悪な評価を(主に私から)受けています。

 しかし英文エラッタの存在によって、その評価は一変しました。



 1つめの変更点は燃料消費率の単位。

 他のパワープラントは1時間当たりに消費する燃料の容積、 つまり、kl/hour燃料消費率の単位としていた訳ですが、
 核分裂炉に関してだけは、 1ヶ月当たりで消費する燃料の容積=kl/Month、という単位に変わりました。

 これまで、1時間で使い切ると定義されていた燃料が、720時間(=24時間×30日)も使えるようになった訳です。
 720時間分を見込んで搭載していた燃料(放射性物質)が、 その容積が720分の1、重量も720分の1、価格も720分の1に激減したと、逆に考えることもできるでしょう。
 このエラッタによって核分裂炉は、長時間の運用が大前提ではありますが、 高価で重いけれど、極めて燃費の良いパワープラントへと変わったのです。



 2つめの変更点は放射性物質重量

 レフリーズ・マニュアルp.87p.89に掲載されていた、 容積1キロリットル当たり25.00トンという重量が半減して、12.50トンとなりました。
 重量が半減というと大したことは無さそうですが、これも意外と大きな影響を生じています。



 この考察は、
 メガトラベラーで定義されている「放射性物質」とは何なのか。
 ということから始めて、
 恒例のハウス・ルールで、採掘と製錬、使用済み燃料の再処理、濃縮と希釈、恒星間輸送を考えました。
 蛇足っぽいところもありますが、放射性物質を用いた核弾頭の製造、 放射性廃棄物の処理まで続きます。




 目次
    ※2.トラベラー世界の核燃料
    ※3.核燃料の消費量
       (1)パワープラントの比較
       (2)化石燃料と核燃料の消費量比較
       (3)ウランの半減期と星の寿命
       (4)核燃料(放射性物質)の消費量
    ※4.核燃料の探索と採掘
       (1)ウランの採掘
       (2)ウラン採掘の副産物
       (3)ウランの濃縮と希釈
       (4)ウランの加工と使用済み燃料の再処理
       (5)放射性物質の販売コスト
    ※5.核燃料の恒星間輸送
       (1)ウランの生産地
       (2)ウランの消費地
       (3)ウランの恒星間輸送
       (4)核燃料(放射性物質)の消費量
    ※6.核弾頭と放射性廃棄物
       (1)トラベラー世界の核兵器
       (2)核弾頭(ウラン弾頭)の製造
       (3)核弾頭(プルトニウム弾頭)の製造
       (4)放射性廃棄物の処分
       (5)帝国戦争規約
    ※7.放射線による負傷と治療
       (1)放射性の貿易品目
       (2)放射線による負傷
       (3)放射線による負傷の治療
       (4)ダメージの適用
       (5)負傷のサンプル
    ※8.まとめ





2.トラベラー世界の核燃料


 メガトラベラーの輸送機器設計ルールにおいて、 用意されている燃料(Fuel)は4種類しかありません。

 考察のため、以下の表に4種類の燃料を纏めてみました。


             表1 メガトラベラーの燃料

MRT06_Fig01.gif - 7.09KB

 表の左端は、燃料のタイプ
 上から順に炭化水素放射性物質水素反物質が並んでいます。

 その右側は容積1キロリットル当たりの重量と価格で、 単位はトン(ton)クレジット(cr)
 この数字はレフリーズ・マニュアルに掲載されていたものを、 エラッタ部分だけは修正しましたが、そのまま転載しています。

 更に右側は容積1排水素トン当たりの重量と価格です。
 容積1キロリットル当たりの数値を単純に13.5倍しました。
 単位は同じくトン(ton)クレジット(cr)です。



 炭化水素については 前回の考察「MRT05.html、化石燃料(炭化水素)」でたっぷりと論じましたから、今回は省略。



 放射性物質エラッタによって、その重量が半減しています。
 キロリットル当たりの重量は25.00トンから12.50トンへ。
 排水素トン当たりの重量は337.5トンから168.75トンまで減りました。

 価格はそのままであり、キロリットル当たりの価格は75,000crです。
 これを13.5倍した結果、1排水素トン当たりの価格は1,012,500cr
 この数字を見た瞬間、私はCT版基本ルールの投機貿易表を思い出しました。
 あの中には、1トン当たり1,000,000crの高価な投機貿易品として、 放射性物質が存在しているのです。
 投機貿易表に掲載されている放射性物質は、 何時でも利用可能な加工済みの核燃料として流通しているのではないでしょうか。
 そんな気がします。



 水素はトラベラー世界において、核融合炉の燃料として利用されています。
 この数値は、精製済みの高純度燃料(排水素トン当たり500cr)を想定しているのでしょう。
 1排水素トン当たりの重量が0.95トン、価格が473crですが、 不足分の0.05トン27crは、許容できる誤差だと考えました。



 反物質については一度も設計した経験が無く、考察もしたことが無いので棚上げ。
 幾つかの設計や考察を進めたら、何かコメントできるようになるかも知れません。



 今回は放射性物質を更に掘り下げてみます。

 エラッタによって重量が半減したとはいえ、 放射性物質のキロリットル当たりの重量は、12.50トンもありました。
 比重が水の12.5倍。この物質が何なのかはっきりしないと、今後の考察も満足に進められません。
 とても気になったので、核分裂炉核燃料に関連する材料を幾つか調べてみます。

 


            表2 核燃料に関連する物質の密度

MRT06_Fig02.gif - 14.2KB

 表の左端は物質名
 その右側が容積1キロリットル当たりの重量(トン)
 表の右端が補足説明です。

 物質名は、重さの順番で並べてあります。
 一番上が、最も重い=重量の大きい物質で、一番下が、最も軽い=重量の小さい物質となりました。
 これらに関する考察はその順番が前後しますが、分かり易い順番で説明していきますので、御了承下さい。



 まず一番上は、英文エラッタによって訂正される前放射性物質です。
 1キロリットル当たりの重量は25.00トンでした。
 軽く調べてみたのですが、この重量に匹敵する物質は超重ウラン元素しか見つかりません。
 そんな事情ですから、数値が訂正されたことも当然であろうと思われます。

 4番目は英文エラッタによって訂正された後放射性物質
 1キロリットル当たりの重量は12.50トンと半減しています。
 訂正された後であっても、この12.50トンを超える重さの物質が無い、 ということが大きな問題になるのではないでしょうか。



 2番目と3番目は、核燃料と聞いて即座に思い浮かべるであろう2つの物質、 純粋なプルトニウム(Pu)純粋なウラン(U)です。
 この2つの物質の1キロリットル当たりの重量は19.82トン19.10トン
 エラッタ訂正前25.00トンには届きませんが、
エラッタ訂正後12.50トンよりも重くなりました。
 これならば、 放射性物質の中身がプルトニウムウランである、 ということが言えるかも知れません。
 計算してみたところ、核燃料に34.6〜36.9%の隙間を空けておけば 残りのスペースをすべてプルトニウムウランで埋めたとしても、 12.50トンに調整できるということが分かりました。

 しかし補足説明にも書いた通り、 純粋なプルトニウム純粋なウランは極めて不安定であることが判明。
 空気中に放置すれば、酸素と結びついて発熱(発火)しますし、 水と触れれば酸素を奪い取って水素ガスを放出したりするそうです。
 最悪な場合は火災の原因ともなるようで、こんな危険物は核燃料として扱えません。
 実際の所、古代テラ(20世紀)において上記の2つの物質は、酸化物の形で利用されていました。



 5番目と7番目は上記2つの酸化物、 二酸化プルトニウム(PuO2二酸化ウラン(UO2です。
 1キロリットル当たりの重量は11.50トン10.97トン
 放射性物質12.50トンには足りませんが、 この2つが核燃料の主成分=放射性物質であることは間違いないでしょう。
 すでに酸化物となっているため安定しており、空気に触れても水に触れても、問題は起こらないのです。



 二酸化プルトニウム二酸化ウランの重量は、 上記の通りであり、12.50トンには届きません。
 しかし、放射性物質の重量は12.50トンであるというルールですから、 何か重い物質が加わることで、 それらを平均した重量が12.50トンになるのだと考えました。

 では、その重い物質とは何なのでしょうか?



 真っ先に思いついたのは鉛(Pb)でした。
 ハード・タイムスの中にも、核弾頭を鉛の容器の中に保管する、といった記述がありましたから、 トラベラー世界においても放射線の遮断材料として用いられていることは確実です。
 しかし、その重量は1キロリットル当たりで11.34トン
 順番は6番目で、二酸化プルトニウムよりもほんの少し軽い重量でした。
 を追加しても、その平均重量が12.50トンに届くことはないでしょう。



 核分裂炉(原子炉)の構造を調べていて、次に思いついたのは、 燃料棒の被覆管
 燃料棒は、その内部に核燃料(燃料ペレット)を収めた燃料容器のことであり、 その容器自体が被覆管と呼ばれる訳です。
 この被覆管の重量によって、燃料棒全体の重量が大きくなるのであれば、 12.50トンを達成できるかも知れません。

 詳しく調べたところ、被覆管の材料は ステンレス鋼ジルカロイ(ジルコニア合金)でした。
 増殖炉で使われるのがステンレス鋼で、 加圧水型(PWR)と沸騰水型(BWR)で使われるのがジルカロイであるとのこと。
 しかしながら、ステンレス鋼の重量は8番目で8.00トン
 ジルカロイの重量は9番目で6.52トンしかありません。
 被覆管の重さによって12.50トンを達成することは、 どうやら諦めなければならないと分かりました。



 メガトラベラーの輸送機器設計ルールにおいて、 核分裂炉のために用意されている燃料放射性物質です。



 放射性物質の重量は1キロリットル当たり12.50トンでしたが、 その条件を満たす、密度が大きい=重い物質が見つかりません。
 一応、純粋なプルトニウム純粋なウランの2つは条件を満たしていますが、 非常に危険な物質なので、核燃料としては不適切なのです。
 安定した酸化物としてならば問題は生じませんが 二酸化プルトニウム二酸化ウランの場合、今度は密度(重量)が足りません。

 色々と調べましたが、放射性物質として設定されている重量、 1キロリットル当たり12.50トンを満足する物質は見つかりませんでした。
 もちろん、メガトラベラーの世界で使用されている核燃料が、 二酸化プルトニウム二酸化ウランではなく、 他の放射性元素から製造されている、という可能性も否定できない訳ですが、
 単純に、メガトラベラーの世界に存在する 二酸化プルトニウム二酸化ウランの重量が、 1キロリットル当たり12.50トンである、と考えた方が無難でしょう。
 こうした解釈ならば、矛盾の発生は極力抑えられます。

 この問題は、そういうものだ、と諦めるしかないようですが、以下の考察では 最も無難な放射性物質として二酸化ウランを想定しておきました。



 また、放射性物質の価格は1キロリットル当たり75,000cr
 排水素トン当たりの価格を求めるために13.5倍すると1,012,500crになります。
 1排水素トン当たりの価格は、ほぼ1Mcrであると考えても良いと思われました。



 今度は、核燃料(=放射性物質)の消費量について考えます。





3.核燃料の消費量


 核分裂炉燃費が良い
 古代テラの文献には、化石燃料を燃やす火力発電より、原子力発電の方が経済的である、という主旨の記述がたくさん見つかります。

 この考察の冒頭でも、私は同じようなことを書きましたが、 メガトラベラーの輸送機器設計ルールを使って、それを証明することにしました。




(1)パワープラントの比較

 核分裂炉はルール上、テックレベル6から製造可能です。
 実用化され、普及するのはテックレベル7以降になると思われますが、 テックレベル7〜9の世界ならば、核分裂炉が主要なパワープラントとなる可能性もあるでしょう。

 ほぼ同等のテックレベルで利用されている他のタイプのパワープラントと、その性能を比較してみることにしました。


        表3 パワープラントの比較(外燃機関と内燃機関)

MRT06_Fig03.gif - 7.61KB

 表の左端は、利用可能になるテックレベル(TL)パワープラントのタイプ



 その右側は、価格出力比(cr/Mw)
 出力1Mwを得るために、何crのパワー・プラントを設置しなければならないか、を示したものです。
 今回の数値はサイズによる修正(×1.5倍)も適用済み。

 TL4の初期型−レシプロ蒸気機関は、1Mwを出力するために16,667crが必要です。
 TL5の蒸気タービンは、1Mw当たり11,111crまで減少しました。
 TL6の改良型内燃機関は、1Mw当たり3,333crしか掛かりません。
 TL8のMHDタービンは、少しコストが増えて、1Mw当たり8,333crでした。

 MHDタービンは例外でしょうけれど、TLの上昇と共にエネルギーの生産コストが低下しているということは明らかです。



 その右側は、重量出力比(tons/Mw)
 出力1Mwを得るために必要な、パワープラントの重量を示しています。

 TL4の初期型−レシプロ蒸気機関は、1Mw当たり16.7トンが必要ですから、十分に重いパワープラントだと言えるでしょう。
 TL5の蒸気タービンは、1Mw当たり4.44トンとまで軽くなりました。
 TL6の改良型内燃機関は、1Mw当たり1.67トンです。
 TL8のMHDタービンは、1Mw当たり0.83トンと更に軽くなりました。
 ここでも、TLの上昇と共に進むパワープラントの軽量化が顕著です。



 表の右端は、燃料出力比(kl/Mwh)
 1Mwの出力を1時間得るために、どれだけの燃料を消費するか、ということを示しています。

 TL4の初期型−レシプロ蒸気機関は、1Mwhのエネルギーを得るために0.500klの燃料を消費しなければなりません。
 TL5の蒸気タービンは、1Mwh当たりの燃料消費量が0.078klでした。
 TL6の改良型内燃機関は、1Mwh当たり0.042kl。
 TL8のMHDタービンは、1Mwh当たり0.029kl、でした。
 TLが上昇すると燃費が良くなるという傾向は、しっかり再現されている訳です。



 これらの外燃機関や内燃機関と比較される、核分裂炉の性能は以下の通りでした。


           表4 パワープラントの比較(核分裂炉)

MRT06_Fig04.gif - 3.43KB

 表の左端は、利用可能になるテックレベル(TL)パワープラントのタイプ



 その右側は、価格出力比(cr/Mw)で、サイズによる修正(×2.0倍)を適用済み。

 TL6の核分裂炉は、1Mwを出力するために50,000crが必要です。
 TL4の初期型−レシプロ蒸気機関と比べたら3倍、TL6の改良型内燃機関と比べたら15倍もコストが掛かる訳で、 予想していた以上に核分裂炉が高価であると判明しました。
 この高コストを挽回できるメリットがあるかどうかについては、後で説明します。



 その右側は、重量出力比(tons/Mw)
 出力1Mwを得るために必要な、パワープラントの重量を示しています。

 TL6の核分裂炉は、1Mw当たり4.00トンが必要でした。
 TL4の初期型−レシプロ蒸気機関よりは軽く、TL5の蒸気タービンとほぼ同じ重さ、 TL6の改良型内燃機関と比べると2.4倍の重さとなります。
 重量がネックとなる輸送機器に核分裂炉を搭載するためには、代わりのメリットが必要となるでしょう。



 表の右端は燃料出力比ですが、単位は燃料出力比(kl/MwMonth)へ変わりました。
 1Mwの出力を1ヶ月得るために、どれだけの燃料を消費するか、という数値になったのです。1時間当たりの消費量ではありません。

 TL6の核分裂炉は、1Mwを1ヶ月間出力するために、0.001klの燃料しか必要としませんでした。
 この部分についても、しっかりと検証をしていきます。



 表3へ示した燃料出力比を、1ヶ月当たりの数値へと修正し、表4と合わせました。
 そして、1Mwを1ヶ月間出力するために必要な燃料の容積と重量、価格について、考察してみます。


     表5 パワープラントの比較(1Mw×1Monthに必要な燃料)

MRT06_Fig05.gif - 9.83KB

 表の左端は、利用可能になるテックレベル(TL)パワープラントのタイプ

 表の右側は、それぞれのパワープラントが1Mwを1ヶ月間出力するために必要な燃料です。
 核分裂炉に合わせて統一し、 容積(kl)重量(ton)価格(cr)を 順番に並べました。



 TL4の初期型−レシプロ蒸気機関は、固形の燃料(炭化水素)しか使えないというルールですので、 上記の数値は石炭に換算してあります。
 必要な燃料は、720キロリットルと1,440トン、54,000クレジット、でした。
 表4の価格出力比(cr/Mw)で触れた、高コストを挽回できるメリットについてですが、 TL6の核分裂炉は1ヶ月の燃料コストだけで購入費用の差額を賄うことができるでしょう。

 TL5の蒸気タービンに必要な燃料は、56キロリットルと56トン、14,000クレジット、でした。
 パワープラントの購入費用の差額38,889クレジットは、3ヶ月弱の燃料コストで取り戻せます。

 TL6の改良型内燃機関に必要な燃料は、30キロリットルと30トン、7,500クレジット、でした。
 パワープラントの購入費用の差額46,333クレジットを取り戻すためには、6ヶ月強が必要となるでしょう。

 TL8のMHDタービンに必要な燃料は、21キロリットルと21トン、5,250クレジット、でした。
 パワープラントの購入費用の差額41,667クレジットは、8ヶ月分の燃料コストで取り戻せます。

 最後ですが、TL6の核分裂炉に必要な燃料は、0.001キロリットルと0.0125トン、75クレジットでした。
 燃料が占める容積も重量も極めて小さく、そして安価です。



 某極東島国のエネルギー庁が発行している資料によると、 実在する(リアルの)出力100万kwの原子力発電所が1年間に必要とする核燃料は30トンであるとのこと。
 出力100万Kw=1,000Mwなので、上記の1,000倍。
 稼働期間は1年間=12ヶ月なので、更に12倍です。
 メガトラベラーの核分裂炉は、1,000Mw×12Monthで150トン(=0.0125トン×1,000倍×12ヶ月)の核燃料を消費するというルールですから、 現実(リアル)と比べて5倍の燃料を消費する事実が明らかとなりました。
 この発見は後述する放射性物質の生産/消費量に大きな影響を与えることに間違いありません。



 と言う訳で核分裂炉は確かに高価なのですが、 上記で計算した通り、1ヶ月〜8ヶ月分の燃料コストで取り戻すことが可能になりました。
 エラッタによって、燃料消費量が修正されたおかげです。

 表の一番下にエラッタ修正前の核分裂炉のデータも載せておきました。
 1Mwを1ヶ月間出力するために必要な燃料は、容積が0.720キロリットルと比較的小さく済んでおりますが、 重量は18トンで改良型内燃機関やMHDタービンとほとんど変わりません。
 価格に関しては54,000crであり、TL4の初期型−レシプロ蒸気機関と同じコストが掛かります。
 表4で確認した通り、核分裂炉はパワープラント自体が極めて高価ですから、 燃料コストまで高ければ、コスト的なメリットは何も無いことになります。
 エラッタ修正前の核分裂炉の評価が悪かった理由が、こうした数値からも再確認できたのではないでしょうか。



 今度は容積と重量を比較するため、上記の数値を核分裂炉の燃料の数値で割りました。
 核分裂炉で消費される放射性物質の容積、重量、価格を1として、示します。


     表6 パワープラントの比較(放射性物質を基準とした燃料の比率)

MRT06_Fig06.gif - 8.45KB

 表の左端は、利用可能になるテックレベル(TL)パワープラントのタイプ

 表の右側、それぞれのパワープラントが1Mwを1ヶ月間出力するために必要な燃料は前述した通り、 核分裂炉で消費される放射性物質の容積、重量、価格を1として示しました。



 TL4の初期型−レシプロ蒸気機関が消費する燃料(石炭)は、 容積で720,000倍、重量で115,200倍、価格で720倍になりました。

 TL5の蒸気タービンが消費する燃料は、容積で56,000倍、重量で4,480倍、価格で187倍、です。

 TL6の改良型内燃機関が消費する燃料は、容積で30,000倍、重量で2,400倍、価格で100倍、でした。

 TL8のMHDタービンが消費する燃料は、容積で21,000倍、重量で1,680倍、価格で70倍、です。



 上記の通り、メガトラベラーにおける核分裂炉が、英文エラッタのおかげで 軽量安価なパワープラントに変わったことが確認できました。




(2)化石燃料と核燃料の消費量比較

 此処までの考察結果を活用して、 化石燃料(炭化水素)核燃料(放射性物質)の消費量を、比較してみましょう。



 まずは、各種炭化水素の年代別生産/消費量を確認します。
 前回の考察「MRT05.html、化石燃料(炭化水素)」の表3〜表5を纏めてみました。


          表7 世界の資源消費量(炭化水素の重量)

MRT06_Fig07.gif - 9.78KB

 表の左端は、西暦(テックレベル)

 その右側は、当時の古代テラの炭化水素の年代別消費量です。
 単位は重量トンで、人口10億人当たりの生産/消費量を示しました。
 左から順に石炭石油天然ガス、 それら炭化水素の合計重量となっています。

 表の右端は、炭化水素の全消費量を代替するために必要な放射性物質の重量。
 単位は同じくトンであり、人口10億人当たりの必要量を表しています。
 計算方法は単純に、炭化水素の重量を表6の数字で割って求めました。

 例えば1900年頃(TL4)であれば、すべての炭化水素を初期型−レシプロ蒸気機関で消費すると想定し、 炭化水素の合計重量を115,200で割った訳です。
 石油石炭へ換算したする場合は重量が4倍になりますし、 反対に、石炭石油へ換算する際は重量が4分の1に減りますので、 若干の誤差も生じましたが、
 このテックレベルで消費されている炭化水素を放射性物質で代替しようとするのであれば、5,715トンが必要であると分かりました。

 1930年頃(TL5)の場合、9億8,500万トンの炭化水素を代替するためには、70,236トンの放射性物質が必要です。

 1950年頃(TL6)の場合は、10億400万トンの炭化水素を代替するために、178,716トンの放射性物質が必要。

 1970年頃(TL7)になると、16億トンの炭化水素を代替するために、429,278トンの放射性物質が必要。

 1990年頃(TL8)では、17億8千万トンの炭化水素を代替するために、674,136トンの放射性物質が必要、となるのです。



 上記の数字を、重量トンから排水素トンへ換算すると、以下のようになりました。


          表8 世界の資源消費量(炭化水素の容積)

MRT06_Fig08.gif - 9.58KB

 表の左端は、西暦(テックレベル)

 その右側は、当時の古代テラの炭化水素の年代別消費量で、 単位は排水素トンに変更しました。
 石炭石油天然ガス、 それら炭化水素の合計重量の順番も同じです。

 表の右端は、炭化水素の全消費量を代替するために必要な放射性物質の容積で、 単位は同じように排水素トンへ変更済みです。



 消費される炭化水素の容積を排水素トンへ置き換えたところ、1900年頃(TL4)から2005年頃(TL9?)の範囲では、 人口10億人当たりで、2,340万排水素トン〜8,260万排水素トンの消費となりました。
 恒星間輸送が、ほとんど不可能なレベルであることを確認した訳ですが、 これを放射性物質にすると、34排水素トン〜3,995排水素トンとなります。

 10億人(TL8)が1年間で消費するエネルギー源を、わずか4,000排水素トンで賄える!

 核分裂炉放射性物質が、 私にはとても魅力的な存在に思えてきたのですが、皆様はどう思われるでしょうか?




(3)ウランの半減期と星の寿命

 ウランの同位体としてウラン235ウラン238の2つが存在することは御存知でしょうか。
 核燃料として使えるウランは、希少なウラン235の方であり、 天然ウランの大部分を占めるウラン238は特別な場合を除けば産業廃棄物扱いです。

 テラで採掘される天然ウランは、 ウラン235が0.7%で、残りの99.3%がウラン238でした。
 これを濃縮してウラン235の濃度を3.0〜4.0%まで高め(濃縮ウランを作成して)、 核分裂炉(原子炉)で燃やすことになる訳です。



 ところでWikipediaによると、ウラン235の半減期は7億380万年で、 ウラン238の半減期は44億6800万年であるとのこと。
 この違いが、時代によるウラン濃度の変化を生じさせ、20億年の昔に天然原子炉を成立させるのだそうです。

 この半減期は、例えばウラン235の場合 7億年が経つとウランの存在量が半分になる(他の元素に姿を変える) という意味だった筈です。
 しかし反対に考えれば、 7億年前はウランの存在量が2倍だった、ということも言えるのではないでしょうか?



 何となく気になったので、Excelの計算式に上記の半減期を放り込んでみました。
 計算結果は、以下の通りです。


          表9 ウランの半減期による存在量の変化

MRT06_Fig09.gif - 10.3KB

 表の左端は時間
 テラの現在(太陽が誕生してから45億年)を基準として、±40億年の範囲を計算しています。

 その右側は、ウランの存在量
 現代を基準として、どれだけ多いか、少ないか、を示しました。
 −40億年でも2.22倍、+40億年で0.53倍ですから、ウランの存在量自体は、それほど極端に増減する訳ではないと、思えるでしょう。

 その右側は、ウラン235の存在比率と半減期
 採掘された天然ウランの中に、ウラン235が何パーセント含まれているか、を示しています。
 −40億年では、存在比率が16.70%もありました。
 −20億年の時点では存在比率が3.67%ですから、これならば天然原子炉も発生するでしょう。
 現在の存在比率は0.72%であり、核燃料を作るための濃縮には苦労しています。
 +20億年になると、存在比率は0.14%まで低下しました。濃縮は、試みるだけ無駄となりました(技術的に困難)。
 +40億年では、ウラン235が0.03%しか存在しません。

 その右側は、ウラン238の存在比率と半減期です。
 採掘された天然ウランの中にウラン238が何パーセント含まれているか、を示している訳ですが、 ウラン238の半減期は45億年と長いので、それほど劇的に存在量が増減することはありません。
 相方であるウラン235の増減が激しいので、それに合わせて比率が上下するだけだ、ということが分かりました。

 表の右端は、ウラン235の存在量
 生成されてから時間の経っていない世界(惑星)は、ウラン235が極めて豊富である、ということが言えるでしょう。



 此処で気になるのは、恒星系の年齢(生成されてからの時間)であります。

 以前、掲示板にも投稿しましたが、理科年表の記述によれば、 恒星の寿命は、その質量の二乗から三乗に反比例する、とのこと。

 質量1.0である太陽(ソル)の寿命が100億年であると仮定するならば、 質量0.1の恒星(M5Y)は、その寿命が100倍〜1,000倍(1兆〜10兆年)、 質量10の恒星(G5U)は、その寿命が100分の1〜1,000分の1(1億〜1,000万年)、であるということです。
 二乗か三乗かの問題については、多分、億年単位の観測を経なければ検証できないと思うので棚上げ。



 スピンワード・マーチ宙域の帝国領に存在する272星系について、その主恒星のスペクトル型と質量比を調べ、 その質量比から、主恒星の寿命を推測してみました。


         表10 恒星のスペクトル型と質量比と寿命変化

MRT06_Fig10.gif - 19.2KB

 表の左端は主恒星のスペクトル型と質量比

 トラベラー式のスペクトル型なので、例えばM0型は、 M0型からM4型までの範囲を含んでいます。
 M5型は同様に、 M5型からM9型までの範囲。
 その右側のローマ数字は恒星の状態を表したもので、 Uならば明るい巨星、Xならば主系列星、Zは白色矮星を意味しています。

 その右側は、主恒星の寿命
 2つある数字の左側は寿命が3乗に反比例していると考えた場合の計算結果であり、 右側は2乗に反比例していると考えた場合の計算結果、です。



 272星系中の57星系(21.0%)を占めるM5X型の主恒星は、質量比が0.33でした。
 その寿命は、913億年(2乗)〜2,758億年(3乗)といった、極端な長寿命です。
 ウランを採掘可能な期間(ウラン235が0.3%以上存在する期間)が+10億年=55億年だとすれば、 その期間に当たる確率は6.0%(2乗)〜2.0%(3乗)しかありません。

 272星系中の59星系(21.7%)を占めるM0X型の主恒星は、質量比が0.49。
 上記のM5X型程ではありませんが、418億年(2乗)〜855億年(3乗)の長さでした。
 ウランを採掘可能な期間(55億年)に当たる確率は13.2%(2乗)〜6.4%(3乗)となります。
 ちなみに、モーラ星域首都(宙域首都?)のモーラはM4X型、 ファイブ・シスターズ星域首都のアイデラティはM2X型、 トリンズ・ベール星域首都のトリンはM0X型でありました。

 アラミス星域首都のアラミスはM9Y型なので、質量比が0.10(9,250億年〜8兆8,900億年)。
 ライラナー星域首都のライラナーはM2Y型なので、質量比が0.15(4,220億年〜2兆7,400億年)。
 ウランを採掘可能な55億年という期間は、これらのM型恒星系において、ほんの刹那でしかないようです。

 M型恒星系でウラン(=ウラン235)を採掘することは、かなり難しいでしょう。



 272星系中の15星系(5.5%)が存在するK5X型の主恒星は、質量比が0.57。
 その寿命は308億年(2乗)〜540億年(3乗)であり、ウランを採掘可能な期間は17.9%(2乗)〜10.2%(3乗)。
 グリッスン星域首都のグリッスンがK9X型でした。

 これらの恒星系においても、ウランを利用できる可能性は6分の1から10分の1しかありません。
 K5X型の多くにおいても、 星系内でウラン235を採掘することは困難となっている筈です。

 上記のM5X型M0X型K5X型を合わせて131星系。
 M5Y型M0Y型の10星系を加えると141星系(51.8%)。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領の半数以上は「ウラン235の採掘と利用が困難である」という結論が出て来ました。
 これが困った結論になるかどうかは、これからの考察次第ですが。



 272星系中の13星系(4.8%)を占めるG5X型の主恒星は、質量比が0.94。
 恒星の寿命は、113億年(2乗)〜130億年(3乗)。
 ウランを利用可能な期間(55億年)は、48.7%(2乗)〜42.3%(3乗)でした。
 半分弱の可能性でウラン235の採掘が可能になる訳です。それが採算的に見合うかどうかはともかく。
 ジュエル星域首都のジュエルはG7X型、 ヴィリス星域の主要星系ヴィリス(首都に非ず)はG5X型でした。

 272星系中の11星系(4.0%)が存在するK0X型(質量比0.83)と、 17星系(6.3%)が存在するG0X型(質量比1.02)については、考察を省略しますが、 寿命とウラン235を採掘可能な期間に関しては、ソル星系(テラ)とほぼ同等でした。

 GZ型K0X型G5X型G0X型MZ型G0W型を合わせると48星系(17.6%)となります。

 帝国領内の6分の1を占めている上記の48星系において、ウラン235を採掘可能な可能性はほぼ半分でした。
 経済的に良好な確率は、更にその半分くらいでしょう。



 272星系中の21星系(7.7%)が存在するF5X型の主恒星は、質量比が1.3。
 恒星の寿命は、46億年(3乗)〜59億年(2乗)。
 ウランを採掘可能な期間(55億年)は、100%(3乗)〜93.2%(2乗)となりました。
 寿命の中間値は23億年(−22億年)〜30億年(−15億年)なので、天然原子炉も問題なく存在できるでしょう。
 主恒星の質量が1.3倍になるだけで、こんなに寿命が短くなるとは思いませんでした。
 F型恒星系は、ウラン235(=放射性物質)の採掘が盛んになるようです。
 ちなみに、リジャイナ星域首都のリジャイナはF7X型でした。

 272星系中の22星系(8.1%)が存在するF0X型の主恒星は、質量比が1.7。
 恒星の寿命は、20億年(3乗)〜35億年(2乗)。
 ウラン235の採掘には何の問題もありません。
 寿命の末期であっても35億年ですから、現代と比べるならば−10億年です。
 濃度の高い天然ウランを安価に採掘することができるでしょう。

 ランス星域首都のランスは主恒星がF5W型なので質量比が2.0。
 恒星の寿命は、13億年(3乗)〜25億年(2乗)でした。

 上記の3つに、A5X型の4星系、F0Wの1星系を加えると52星系(19.1%)となりました。
 これらの星系からG、K、M型恒星系へ放射性物質が輸出されている、と想定することは十分に可能だと思います。
 放射性物質は高価なので、経済的にも問題ないでしょう。
 ウラン濃縮の手間がないということだけでも魅力的です。



 更に質量の大きな恒星は、272星系中の31星系(11.4%)です。
 このグループの中で最も数が多いのはM0V型の10星系(3.7%)で、質量比は6.3。
 恒星の寿命は、4千万年(3乗)〜2億5千万年(2乗)。
 寿命が1億年を切るとまでは思いませんでしたが、有り得る話なのでしょう。

 ヴィリス星域のフレンジー(M2V型)や、 ランス星域のキーノー(M3V型)が該当していました。
 トラベラーのルール的には、独自の生態系を持っていてもおかしくないので、悩ましいです。
 恒星が誕生してから、1億年ちょっと、下手すると数千万年しか経っていないのに、 酸素呼吸生物が繁茂しているってのは不味くないかなと思ったりしました。

 これらの星系(世界)でも、ウラン(放射性物質)の採掘は容易な筈です。
 これほどの短い時間で、きちんと鉱床が生成されていれば、の話ですが。



 上記の考察結果から、以下のようなハウス・ルールを作ってみました。
 主恒星の寿命が、その星系に存在する世界(惑星、衛星、アステロイド)の寿命すべてを決定するという想定です。
 用いる寿命は、恒星質量の3乗に反比例すると考えました。

 2D6、あるいは、3D6で決定する都合上、あまり正確ではありませんが、 M型の恒星系で利用可能なウラン(=放射性燃料)を見つけることの困難さを是非、 感じとって下さい。


         表11 主恒星の寿命とウランの採掘可否−1

MRT06_Fig11.gif - 14.0KB

 表の左端は主恒星の寿命(年)
 非常に大雑把ですが、2兆年以上500億年以上100億年以上50億年以上、の4段階で分けてみました。
 50億年未満の主恒星については、次の表へ纏めてあります。

 その右側は、振ったサイコロの目です。
 サイコロの数は2D6
 但し、2兆年以上の寿命を持つ星系だけは3D6を振ります。

 その右側が、対応するウランの採掘可否ウラン235の濃度

 その右側に、該当する主恒星のスペクトル型星系数比率(%)を並べました。



 主恒星の寿命が2兆年以上の星系においては、 3D6で18を出さない限り(216分の1=0.46%)、ウランの採掘が不可能です。
 ウランを採掘可能な期間が僅か55億年で、分母となる寿命が最低でも2兆年なのですから、当たる確率は364分の1以下。
 3D6で18という確率も、かなり甘めの数字になりました。
 採掘できるウランの中に含まれるウラン235の濃度0.7%で固定。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、 M0Y型M5Y型の準矮星でした。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内に存在する星系数は10だけで、 存在率は3.7%しかありませんが、こういった星系も存在する訳です。



 主恒星の寿命が500億年以上の星系においては、 2D6で11+を出した場合にのみ(12分の1=8.3%)、ウランの採掘が可能です。
 ウラン235の濃度は、サイコロの目が12だった場合が3.7%で、 11が出た場合は0.7%であるとしました。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、 M0X型M5X型K5X型の主系列星です。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内に存在する星系数は131もあり、 これらの星系だけで半数近くの48.2%を占めていました。



 主恒星の寿命が100億年以上の星系においては、 2D6で9+を出せば(36分の10=27.8%)、ウランの採掘が可能であると設定しました。
 ウラン235の濃度は、サイコロの目が11〜12だった場合が8.0%で、 10が出た場合は3.7%、9が出た場合が0.7%です。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、 K0X型G5X型の主系列星。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内には24星系しか存在しませんが、 その存在率は8.8%でした。



 主恒星の寿命が50億年以上の星系においては、 2D6で6+を出せば(36分の26=72.2%)、ウランの採掘が可能です。
 ウラン235の濃度は、サイコロの目が10〜12だった場合が8.0%で、 8〜9が出た場合は3.7%、6〜7が出た場合が0.7%としました。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、 G0X型の主系列星とG5W型の準巨星。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内には18星系が存在し、 その存在率は6.6%です。



 今度は、50億年未満の主恒星について纏めました。


         表12 主恒星の寿命とウランの採掘可否−2

MRT06_Fig12.gif - 15.1KB

 表の左端は主恒星の寿命(年)
 今回は、20億年以上10億年以上1億年以上1億年未満、の4段階で分けています。

 その右側は、振ったサイコロの目

 その右側が、対応するウランの採掘可否ウラン235の濃度

 表の右端に、該当する主恒星のスペクトル型星系数比率(%)を並べています。



 主恒星の寿命が20億年以上の星系では、自動的にウランの採掘が可能です。
 採掘されるウラン235の濃度は、サイコロの目に大きく左右されますが、 10〜12だった場合は16.7%で、8〜9だった場合は8.0%、 6〜7だった場合は3.7%、2〜5だった場合は1.6%としました。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、F5X型とF0X型の主系列星。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内には43星系が存在していました。
 その存在率は15.8%もありますので、珍しいとは言えません。



 主恒星の寿命が10億年以上の星系でも、自動的にウランの採掘が可能です。
 採掘されるウラン235の濃度は、 サイコロの目が8〜12だった場合は16.7%、2〜7だった場合は8.0%となりました。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、F5X型の準巨星とA5X型の主系列星。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内には8星系、2.9%が存在しています。



 主恒星の寿命が1億年以上の星系も、自動的にウランの採掘が可能。
 採掘されるウラン235の濃度は、 サイコロの目が6〜12だった場合は16.7%、2〜5だった場合に8.0%となります。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、 F0X型の準巨星とG5V型の巨星、A0X型の主系列星。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内には7星系、2.6%が存在していました。



 最後となりますが、主恒星の寿命が1億年未満の星系も自動的にウランの採掘が可能であり、 採掘されるウラン235の濃度は自動的に16.7%となります。
 この欄に該当する主恒星のスペクトル型は、 K5V型M5V型M0V型、F5U型、 A5V型A0V型、の巨星と、
 G5U型K5U型M5U型M0U型の明るい巨星、でした。
 スピンワード・マーチ宙域の帝国領内には、合わせて25星系が存在しており、 その存在率は9.2%です。

 星域図で確認してみましたが、主恒星の寿命が1億年未満の星系は、 帝国領内の星域それぞれに1つ以上が存在していました。
 これらの25星系に依存するだけでも、 ウラン235の濃度が高く、安価に製造できる放射性物質を、 帝国領内のローテク世界(TL7〜9)へ供給できることでしょう。




(4)核燃料(放射性物質)の消費量

 以下に、核燃料(ウラン)の年代別生産/消費量を示しました。
 現実(リアル)のデータをメガトラベラーの世界観に適合させるため、消費量を5倍に増やし、更に0.881で割ってあります。
 最後の0.881は、二酸化ウランの中に含まれるウランの含有率。
 統計上のウラン生産量は、純粋なウランに換算した重量で計算されているようなので、 分かり易いように、その重量を核燃料の重量へ置き換えた訳です。


      表13 核燃料(ウラン)の年代別生産/消費量(補正済み)

MRT06_Fig13.gif - 8.12KB

 表の左端は、西暦(テックレベル)

 その右側は、当時の古代テラのウランの生産/消費量です。
 その単位は千トン
 諸般の事情によりリアルの生産量を5倍して、更に0.881で割りました。

 更に右側の数値は、同じ年代の世界人口(億人)です。

 その右側は、生産/消費量を世界人口で割って求めた、人口1千人当たりの生産/消費量
 更に右側には、人口100万人当たりの生産/消費量人口10億人当たりの生産/消費量を並べました。



 表5についての考察で明らかになった通り、メガトラベラーの核分裂炉は5倍の燃料を消費します
 そのため、現実の採掘量をそのまま利用していたら、必要量の5分の1しか満たせないことになるでしょう。
 そういった事態を防ぐため、採掘量を史実(リアル)の5倍に増やしました。



 核分裂炉が商業的に実用化されたのは、1970年頃(TL7)に至ってからのことです。
 それ以前のテックレベルでは、研究か軍事利用を目的とした、小規模な利用しか為されておりません。
 実際、統計上の消費量は1970年代から跳ね上がっており、それ以前の消費はほとんどありませんでした。
 利用目的が軍事に偏っていて統計に載せられなかった、という可能性も高いでしょうけれど。

 1970年頃(TL7)における消費量は、人口10億人当たり17,439トンでした。
 「MRT05.html、化石燃料(炭化水素)」の考察において、 このテックレベルにおいての消費量が3,073トンだと書きましたが、 その時点では5倍の燃料を消費することが判明していなかったので、御容赦下さい。

 1990年頃(TL8)における消費量は40,416トン
 前回の考察では7,121トンと書きましたが、補正した結果はこうなりました。
 表7で計算した、炭化水素のすべてを放射性物質で代替した場合の67万トンに対して、6.0%という数字になっています。
 この当時、世界で生産された一次エネルギーの5〜6%が原子力発電によって得られていたそうですから、統計的には合っているのでしょう。

 2005年(TL9?)における消費量は44,448トンであり、それほど増えませんでした。
 表7で計算した66万トンに対しては6.7%という数字を示しましたので、着実に、核分裂炉の数と核燃料の消費量は増えているのですが。



 次の章では核燃料として消費される、 放射性物質の価格や採掘について考えます。





4.核燃料の探索と採掘


 今回も、核燃料の採掘を生業とする鉱山会社を想定してみました。
 法手続きや従業員の募集は面倒なので、すでに会社が存在して、事業を行っているという想定です。

 メガトラベラーの輸送機器設計ルールにおいて、 核分裂炉のために用意されている燃料は、 放射性物質です。
 そして、その放射性物質二酸化ウランの形を取っていると考えましたので、 此処では放射性物質二酸化ウランとなりました。




(1)ウランの採掘

 ウラン(U)の消費量は、人口10億人当たりで17,439〜44,448トンです。

 用途は、核分裂炉の燃料以外にありません。
 ガラスの着色に使われていると言う話もありますが、年間0.3トン程度なので、誤差の内でしょう。



 ウランは主に「閃ウラン鉱」や「ピッチブレンド」と呼ばれる、 ウランを豊富に含んだ鉱石の中から取り出されます。
 ここでは「閃ウラン鉱」や「ピッチブレンド」を一括して、 「ウラン鉱石」と呼ぶことにしました。
 この「ウラン鉱石」の採掘について、考えてみます。



 ウランを採掘するための手順は、の場合とほぼ同様です。

 「ウラン鉱石」を採掘するためには、新たな鉱床(ウラン鉱床)を見つけ出さなければなりません。
 ウラン鉱床を見つけるためには、以下の行為判定を行って下さい。

 有望なウラン鉱床を見つけ出すためには:
   難易度〈至難〉、〈試掘〉、教育度、1ヶ月。

 レフリー:
   〈試掘〉の技能レベルと教育度は、リーダーの値を用いて下さい。
   また、規模の小さな鉱床の探索(低予算の鉱床探索)には、DMが付きます。
   探索費用が5MCrの場合はDM+1、
   0.5MCrの場合はDM+2を追加してください。
   これは、規模の小さな鉱床の「見つけ易さ」を表現しています。

   投資した金額の大きさによって、発見される鉱床の大きさが変わります。
   以下の表を参照してください。



         表14 ウラン鉱床の探索(試掘費用と成功率)

MRT06_Fig14.gif - 5.93KB

 ウラン鉱床の探索に投資した金額の大きさは、探索に使用した人員、機材の質と量に反映されます。
 金額が大きければ、経験豊富な研究グループの雇用や大規模な機材(質量探知機を搭載したエアラフトや解析用コンピュータ)の投入が行われますし、 金額が小さければ、少人数の試掘チームと貧弱な機材しか使用できないのです。

 探索の成功は、経済的に採掘できる鉱床を豊富に見つけたことを意味しています。
 どんなに良質な鉱床を発見したとしても、その鉱床が安価に採掘できるのでなければ、見つけた意味がありません。
 この表で示した埋蔵量は、経済的に採掘できる鉱石の量を示しているのです。

 探索に失敗した場合は、鉱床が見つかったものの、経済的に採掘できる状況ではなかったことを意味します。
 「15〜16」の欄に示したウラン鉱床よりも、もう一桁小さい規模の鉱床が見つかったことにしても構いません(レフリーの裁量)。



 埋蔵量の単位は重量トン
 メガトラベラーの輸送機器設計ルールへ合わせる都合上1排水素トンではなく、 キロリットル(kl)重量トンを使用しました。

 「ウラン鉱石」を未製錬の状態で恒星間輸送する場合は、 1排水素トン=80重量トンという数値を用いて下さい。
 あまり恒星間輸送を行う機会は無いと思われますが、その場合は、 採掘と製錬の間に、恒星間輸送(あるいは惑星間輸送)が挟まる形となるでしょう。



 探索に成功した場合は、そのウラン鉱床を開発し、採掘することができます。
 採掘のペースに合わせて、以下の採掘設備を購入して下さい。

 「ウラン鉱石」の品位としては、便宜上0.2%を用います。
 調べたところ、品位が0.01%〜1.00%という非常に広い範囲に渡っており、信用できそうなデータが0.1〜0.3%だったため、その中間値を取りました。
 あまり高密度の鉱床(高品位の鉱石)というものは存在しないようです。

 「ウラン鉱石」の品位として0.2%の数値を用いることにした訳ですが、 「他の鉱石」と同じように、こうした低品位の鉱石が売買されることは有り得ません。
 売買するためには製錬によって、ウランだけを抽出しなければいけないのです。

 製錬の後、品位が100%になった「ウラン鉱石」を 「ウラン精鉱」と呼ぶことにします(これも正式な呼び方ではありません)。
 品位0.2%の「ウラン鉱石」500トンから、 品位100%の「ウラン精鉱」1トンが得られる訳です。

 以下の表に示した購入価格と維持費は、採掘設備に製錬のための設備を加えた金額です。


         表15 ウラン鉱床の採掘(設備投資と維持費)

MRT06_Fig15.gif - 5.93KB

 採掘設備は、その処理能力(採掘能力)の大きさによって区別されています。

 週5日×8時間(年間250日)の稼働を想定しました。
 従業員を2交代制(週5日×16時間、年間250日)にすれば、 処理能力も2倍に上げられます。
 その代り、維持費(人件費や修理費)は2倍に増えますし、 設備の疲労も2倍の早さで進みますから、耐用年数は半分に減ってしまいますが。
 年中無休24時間態勢を取るのであれば処理能力を4倍まで上げられます。
 その場合、維持費は4倍で、耐用年数は2割(5分の1)に減少。
 処理能力4倍で採掘を8年続けた場合、鉱床の2割を残して耐用年数が尽きてしまいます。
 設備の更新費用として、購入費用の25%を費やす(耐用年数が10年増えますが、処理能力4倍で実質2年)か、 1ランク下の設備を2つ購入する(購入費用は20%、ただし採掘に時間が掛かる)ことになるでしょう。



 採掘された「ウラン鉱石」は採掘と同時に選鉱され、 「ウラン精鉱」として取引されます。
 その価格は1重量トン当たり2,000〜15,000cr。
 その「ウラン精鉱」の中へ含まれる ウラン235の濃度によって、価格が大きく変わることにしました。

 その価格は以下の通りです。


         表16 ウラン鉱床の採掘(設備投資と維持費)

MRT06_Fig16.gif - 5.04KB

 表の左端は主恒星の寿命(年)
 その右側が、対応するウラン235の濃度です。

 更に右側はウラン精鉱の価格(cr)であり、 1重量トン当たりの価格と1排水素トン当たりの価格を並べました。

 御覧の通り、ウラン235の濃度=16.7%であるウラン精鉱は、 その価格が重量トン当たりで15,000cr、排水素トン当たりで300,000crです。
 ウラン235の濃度=8.0%の場合は、 重量トン当たり6,000cr、排水素トン当たり120,000crとなり、
 3.7%以下になると、 重量トン当たり2,000crで、排水素トン当たり40,000crでした。

 1.6%以下でも価格が下がらないのは、採掘コストのためです。
 採掘コストを下回る価格でウラン採掘を行った場合、その鉱山会社は近い内に破産するでしょう。
 この2,000crという価格であっても、運が悪いと(探索に何度も失敗すると)採算が合わなくなるかも知れません。御注意下さい。



 実は「ウラン精鉱」、一般ではイエローケーキと呼ばれる物体だったりします。
 正確に述べると、それは重ウラン酸アンモニウムであったり、 八酸化三ウラン(U3O8であったりする訳なのですが、 それらを纏めてイエローケーキの総称で呼んでいるとのこと。
 端的に行ってしまえば、それらすべてがウランを安全に運ぶための化合物、である訳です。

 「ウラン精鉱(イエローケーキ)」は、輸送や製錬の都合から、粉末として取り扱われていました。
 その比重は空気を含んでいるため1.7〜1.9前後。
 恒星間輸送を行う場合は、1排水素トン当たりで20重量トンしか運べません。

 ですから、1排水素トン当たりの価格は40,000〜300,000cr、となるでしょう。




(2)ウラン採掘の副産物

 「MRT03.html、レアアースメタル(希土類金属)」でも触れましたが、 ウラン採掘の副産物としてスカンジウム(Sc)を得ることができます。
 「MRT03.html」を作成した時点では、ウラン採掘のことを想定していなかったため、 専用鉱石である「スカンジウム鉱石」をでっち上げました。
 しかし、その世界でウラン採掘を行っているのであれば、こちらのルールを優先して下さい。



 スカンジウム(Sc)の消費量は、人口10億人当たりで9トン。
 主な用途はアルミ合金への添加であり、その次が水銀灯(照明器具)。

 ウラン製錬の副産物として得られますが、具体的な比率は、 ウランの採掘量=6,000トンに対して、 スカンジウム1トンです。
 製錬の際の不純物(敢えて言うならば捨石)の中から取り出されますので、 「ウラン精鉱(イエローケーキ)」の中からは取り出せません。
 あくまで採掘と製錬の過程で得られる元素なのです。



 以下は、ウランスカンジウムの価格と消費量の比較。


              表17 ウランの副産物

MRT06_Fig17.gif - 3.60KB

 表の左端は原子番号金属名
 その右側は1トン当たりの価格(cr/tons)人口10億人当たりの年間消費量(tons)
 表の右端は、価格と消費量の積です。

 ウランの消費量44,448トンに対し、 スカンジウムの消費量は僅か9トンでした。
 スカンジウム1トンに対して、 ウランの採掘量=5,000トン前後が適切なようにも思えますが、 不足している雰囲気を出したいので、6,000トンのままとしておきます。



 その流通形態と流通量、価格については、以下の通り。


         表18 スカンジウムの流通形態と流通量、価格

MRT06_Fig18.gif - 2.93KB

 左端は金属名。
 その右側が流通形態ですが、この表においては地金しか有り得ません。
 流通量は10億人当たりの流通量で、その価格は1トン当たりの取引価格(cr)。

 「スカンジウム地金」の価格は、1トン当たり2,000,000crでした。
 極めて高価な金属なのですが、その流通量が極端に少ないため、経済的には重要視されていません。




(3)ウランの濃縮と希釈

 古代テラにおいて、核分裂炉で利用される核燃料は、 ウラン235の濃度がが3〜4%になるまで濃縮された濃縮ウランが主流です。
 当然ながら、メガトラベラーの輸送機器設計ルールにおいても、 利用される核燃料(=放射性物質)は、 ウラン235の濃度が3〜4%の濃縮ウランとなっていることでしょう。



 表9において、主恒星の年齢によるウラン235の濃度の違いを考察しました。
 そのデータから、メガトラベラーの放射性物質は、 ウラン235の濃度が3.7%であると設定します。

 そのため、主恒星の年齢が35億年以上(テラを基準とした場合は−10億年以降)の世界で採掘されたウランは、 ウラン235の濃度が1.6%以下ですから、 ウラン235の濃度を高めるための濃縮が不可欠となりました。

 その一方で、主恒星の年齢が25億年(テラを基準とした場合は−20億年)の世界で採掘されたウランは、 ウラン235の濃度が3.7%ですから、濃縮を必要としません。
 「ウラン精鉱(イエローケーキ)」は そのまますぐに核燃料(=放射性物質)へ加工することが可能です。

 主恒星の年齢が15億年以下(テラを基準とした場合は−30億年以前)の世界で採掘されたウランは、 ウラン235の濃度が8.0%以上ですから反対に、 ウラン235の濃度を下げる希釈が必要となりました。

 という訳で、ウランの濃縮と希釈について、ハウス・ルールを提案します。



 まずは、ウランの濃縮から。


               表19 ウランの濃縮

MRT06_Fig19.gif - 5.57KB

 表の左端は、主恒星の年齢です。

 その右側は、ウラン235の濃度(%)
 25億年3.7%から、 55億年0.3%まで、様々です。

 更に右側は、濃縮前の必要ウラン量濃縮後のウラン量
 濃縮したウラン1トンを得るために必要な「ウラン精鉱(イエローケーキ)」の量がどれだけか、 ということを示しました。
 25億年のウランは濃度が3.7%なので1.0トンのままですが、 35億年のウランは2.5トン、45億年のウランは7.0トン、 55億年のウランは35トン、が必要となります。

 濃縮前の必要ウラン量から濃縮後のウラン量を引くと、 その残り(差)が廃棄物の発生量となりました。
 35億年のウランは1.5トン、45億年のウランは6.0トン、 55億年のウランは34トンの廃棄物が発生している訳です。
 この廃棄物は、所謂劣化ウランのことであり、 その中に残されているウラン235の濃度は0.2%以下
 この僅かなウラン235を抽出することは不可能ですから 核燃料として利用することもできず、廃棄物として扱うことしかできません。
 他に使い道が無いため劣化ウラン弾として利用されている可能性は高いと思われます。

 表の右端は濃縮コスト(Cr)
 濃縮したウラン1トンを得るために必要なコストです。
 このコストに、濃縮前の必要ウラン量に相当する分量の 「ウラン精鉱」の購入価格を加えて下さい。

 ウラン235の濃度が3.7%以下の「ウラン精鉱」は、 その価格が1重量トン当たり2,000crですから、
  濃縮済みのウラン価格は、35億年のウランで65,000cr、45億年のウランで214,000cr、 55億年のウランで1,270,000cr、ということになるでしょう。



 今度は、ウランの希釈について。


               表20 ウランの希釈

MRT06_Fig20.gif - 4.67KB

 表の左端は、主恒星の年齢です。

 その右側は、ウラン235の濃度(%)
 5億年16.7%から、 25億年3.7%までが、その範囲です。

 更に右側は、濃縮前の必要ウラン量追加する使用済み燃料の量
 濃縮前の必要ウラン量は一律1.0トンですが、 希釈するために混ぜ合わせる使用済み燃料の量は、 ウラン235の濃度によって変わってきました。
 その量は、5億年のウランで6.5トン、15億年のウランで2.0トンです。

 その右側は、希釈後のウラン量
 濃縮前の必要ウラン量追加する使用済み燃料の量の合計(和)ですが、 ウラン235の濃度が3.7%となった濃縮ウラン(希釈ウラン)が何トン得られるか、 という数値でもあります。

 表の右端は希釈コスト(cr)です。
 どの濃度であっても、加算されるコストはありません。

 ウラン235の濃度が16.7%の「ウラン精鉱」は、 その価格が1重量トン当たり15,000cr
 再処理が終わった使用済み燃料の価格は0crという設定ですから、
 5億年のウラン1トン(15,000cr)+使用済み燃料6.5トン(0cr)=7.5トン(15,000cr)。
 希釈されたウラン1トン当たりの価格は2,000crとなります。

 ウラン235の濃度が8.0%の「ウラン精鉱」は、 その価格が1重量トン当たり6,000crですから、
 15億年のウラン1トン(6,000cr)+使用済み燃料2.0トン(0cr)=3.0トン(6,000cr)。
 希釈されたウラン1トン当たりの価格は同じく2,000crとなりました。

 ウラン235の濃度が3.7%の「ウラン精鉱」は、 1重量トン当たり2,000crであり、希釈が不要ですから、
 25億年のウランは、そのまま2,000crが価格として使われます。




(4)ウランの加工と使用済み燃料の再処理

 濃縮、あるいは、希釈された「ウラン精鉱」は、 化学処理によって二酸化ウランに変えられ、燃料ペレットの形へ焼き固められます。
 意外なことかも知れませんが、この加工費用が高いと判明。
 そのため私のハウス・ルールでは 1重量トン当たり1,500cr〜2,400crの加工費用が掛かることにしました。

 ウランの加工を行う場合は、 その規模(加工されるウランの消費量)に合わせて、以下の設備を購入して下さい。

 処理能力は、年間2,500トン〜250,000トンを設定してあります。
 人口10億の高人口世界におけるウランの消費量が17,439トン〜44,448トンですから、 処理能力25,000トンの加工設備1つか2つで、その消費量を賄える計算となりました。
 処理能力2,500トンの加工設備は割高なので、2,500トンの設備8個よりも、25,000トンの設備1個の方が経済的なのです。
 人口が130億人を超えるテックレベル7の高人口世界か、人口60億を超えるテックレベル8の高人口世界であれば、 より大規模で加工コストの安い、処理能力250,000トンの設備が導入されているでしょう。



 以下の表へ、核燃料の加工設備の購入価格と維持費を示しました。


               表21 核燃料の加工

MRT06_Fig21.gif - 5.23KB

 加工設備は、その処理能力(加工能力)の大きさによって区別されています。

 今回も週5日×8時間(年間250日)の稼働を想定しました。
 従業員を2交代制(週5日×16時間、年間250日)にすれば、 処理能力も2倍に上げられます。
 その代り、維持費(人件費や修理費)は2倍に増えますし、 設備の疲労も2倍の早さで進みますから、耐用年数は半分に減ってしまいますが。
 年中無休24時間態勢を取るのであれば処理能力を4倍まで上げられます。
 その場合、維持費は4倍で、耐用年数は2割(5分の1)に減少。
 処理能力4倍の加工を8年続けた時点で耐用年数が尽きてしまいます。
 最終的には、1重量トン当たりの加工コストが50cr増える(40MCrの設備だけは100cr増える)ことになるでしょう。



 使用済みの核燃料は、およそ96%のウラン、 3%の放射性廃棄物、1%のプルトニウムから成っていました。
 これらを分離して、ウランは再利用、放射性廃棄物は中間貯蔵を経ての最終処分、 プルトニウムは特別な用途へと振り分けることが再処理です。


 今度は、使用済み核燃料の再処理設備の購入価格と維持費。


               表22 核燃料の再処理

MRT06_Fig22.gif - 5.33KB

 再処理設備も、その処理能力(再処理能力)の大きさによって区別されています。
 稼働率等については、上記の表21と同じ。
 処理能力を4倍に上げた場合は、1重量トン当たりの再処理コストが50cr増えるでしょう。

 再処理された使用済みの核燃料は、その重量が95%まで減少します。
 放射性廃棄物プルトニウムを合わせても、 減少量は4%にしかならない筈ですが、5%になってしまうのは、 劣化ウランと同じように分離しきれないウランがあるから、だそうです。
 100トンの使用済み核燃料を再処理したのであれば、その重量は95トンに減少して、プルトニウムを含んだ放射性廃棄物が5トン発生。
 1,000トンを再処理したのであれば950トンに減って、同じように放射性廃棄物が50トンも発生していることでしょう。

 場合によっては、再処理された使用済み核燃料が過剰となり、使われないまま蓄積されてしまうかも知れません。
 あるいは再処理されないまま、使用済み核燃料が蓄積されている可能性もあります。




(5)放射性物質の販売コスト

 販売に関しては簡略化して、今回は一律400crの販売コストを加算するだけとしました。

 核燃料(=放射性物質)のコスト内訳は以下の通りとなっています。


           表23 放射性物質の供給コスト内訳比較

MRT06_Fig23.gif - 9.43KB

 表の左端は、コストの内訳
 上から順に、採掘コスト濃縮コスト加工コスト再処理コスト販売コスト、 を並べています。

 この5つのコストを合わせたものがコスト合計であり、 その下へ示した小売価格の原価に相当しています。

 その下の利益は、 小売価格からコスト合計を引いた金額です。
 最後の利益率は、 利益小売価格で割った値であり、パーセントで示しました。



 表の右側には、ウランを採掘した星系の年齢ウラン235の濃度を並べています。
 4つ並んだ欄の左端は、星系の年齢が5億年〜25億年で、ウラン235の濃度が16.7%〜3.7%である場合。
 その右側は、星系の年齢が35億年で、ウラン235の濃度が1.6%
 その右側は、星系の年齢が45億年で、ウラン235の濃度が0.7%
 右端は、星系の年齢が55億年で、ウラン235の濃度が0.3%の場合です。



 星系の年齢が5億年〜25億年で、ウラン235の濃度が16.7%〜3.7%である場合、 放射性物質1トンを得るために費やされる採掘コストは2,000crでした。
 濃度が8.0%以上の「ウラン精鉱」は価格が6,000cr〜15,000crですが、 無料の使用済み燃料を加えて希釈するため、製造される放射性物質1トン当たりの価格へ直すと2,000crとなるためです。

 濃縮は行わないので、濃縮コストは掛かりません(0cr)。
 加工コストは1,800cr、再処理コストは1,200cr、販売コストは400crでした。

 コスト合計は5,400crとなります。
 ですから、利益は600crであり、利益率は10.0%でした。



 星系の年齢が35億年で、ウラン235の濃度が1.6%である場合、 放射性物質1トンを得るために必要な「ウラン精鉱」の量は2.5トンであり、 費やされる採掘コストは5,000crまで増えます。

 濃縮コストは60,000cr。
 見ての通り、この60,000crだけで許容できるコストを超過してしまいました。
 加工コスト、再処理コスト、販売コストは同じ額で、1,800cr、1,200cr、400crです。

 コスト合計は68,400crとなりました。
 小売価格の6,000crを超えていますので、売るだけ赤字です。



 星系の年齢が45億年で、ウラン235の濃度が0.7%である場合、 放射性物質1トンを得るために必要な「ウラン精鉱」の量は7トンです。
 費やされる採掘コストは、7倍の14,000crまで増えました。

 濃縮コストは200,000cr。
 更に値上がりしています。
 加工コスト、再処理コスト、販売コストの3つは変わりません。

 コスト合計は217,400crです。
 同じように赤字が確定しました。



 星系の年齢が55億年で、ウラン235の濃度が0.3%しかない場合、
 これはウランを濃縮できる限界でもある訳ですが、 放射性物質1トンを得るために必要な「ウラン精鉱」の量は35トンです。
 費やされる採掘コストは、35倍の70,000cr。

 濃縮コストは1,200,000cr、まで高騰しましたが、 加工コスト、再処理コスト、販売コストの3つは変わりません。

 コスト合計は1,273,400crとなりました。
 同じように赤字が確定しています。



 上記の通り、濃縮コストを大きめに設定したため、濃縮行程が不可欠なウラン=年齢が35億年〜55億年の星系で掘り出された、 ウラン235の濃度が0.3%〜1.6%しかない天然ウランから放射性物質を作り出す場合は、採算が取れません。

 濃縮コストをここまで大きくした理由は、メガトラベラーの輸送機器設計ルールで決められている 放射性物質の価格が、1重量トン当たり6,000crと極めて安価であることにあります。

 とある資料を調べた結果、極東島国で取り扱われている核燃料(=放射性物質)の価格は、 1重量トン当たり9億円(=9,000,000cr)でした。
 メガトラベラーの設定価格6,000crと比べて、1,500倍も違います。
 別の年代の資料によれば1重量トン当たり4億6千万円(=4,600,000cr)だそうですが、それでも767倍。
 石炭や石油はリアルとの価格差が2倍〜4倍で済んでいましたから、 放射性物質の大きな価格差には違和感がありました。
 この違和感を解消するため、トラベラー世界で売買されている核燃料(=放射性物質)は 濃縮過程が不要であり、そのため価格が安く抑えられている、 という設定をハウス・ルールとして作った訳です。

 そうしたところ、テラ(星系の年齢は45億年)で採掘され、濃縮された核燃料(=放射性物質)は、 その価格が1重量トン当たり217,400crとなりました。
 リアルとの価格差が21〜41倍まで小さくなりましたので、妥当なところではないかと考えます。



 この表を、金額(cr)ではなくパーセント表示(%)へ直すと、 以下のように変わりました。


           表24 放射性物質の供給コスト内訳比較

MRT06_Fig24.gif - 7.51KB

 表の左端は、同じくコストの内訳
 並んでいる順序も同じです。
 表の中身は、金額(cr)からパーセント表示(%)へ変更しました。
 その結果は御覧の通りです。



 星系の年齢が5億年〜25億年で、ウラン235の濃度が16.7%〜3.7%である場合、 コストの多くを占めているのが採掘コスト(33.3%)と加工コスト(30.0%)でした。
 3番目に大きなコストが再処理コスト(20.0%)ですから、 利益を増やすためには、これら3つのコストをどうやって削減するかが課題となるでしょう。



 星系の年齢が35億年〜55億年で、ウラン235の濃度が1.6%〜0.3%である場合、 濃縮コストが極めて大きくなっている(1,000〜20,000%)ため、小売価格が6,000crのままでは採算が取れません。
 私のハウス・ルールにおいて、年齢が35億年以上の星系(世界)においては、 ウランの濃縮コストが大きな負担となっているため、ウランの採掘が行えない、ということになっているのです。

 では、ウランの採掘が有り得ない世界で、核分裂炉を稼働させるためにはどうすれば良いのでしょうか?

 もちろん、その答えは星系外からウランを輸入するということしか有り得ません。
 次の章では、核燃料(=放射性物質)の恒星間輸送を考察してみます。





5.核燃料の恒星間輸送


 核燃料(=放射性物質)の主要な原料であるウランの採掘場所(採掘可能な星系)が偏っており、 核分裂炉を必要とする世界でウランが採掘可能であるとは限らないため、 そこではウランの恒星間輸送が必要とされています。

 核燃料(=放射性物質)の製造も、その加工設備にはスケール・メリットが働きますので、 大量のウランと使用済み燃料を集めて加工するのであれば、恒星間輸送のコストを支払ったとしても安上がりになるかも知れません。
 人口10億人未満の非高人口世界は、 近くの高人口世界に核燃料(=放射性物質)の供給を依存している可能性があります。

 使用済みの核燃料も、高濃度のウランを希釈するために必要ですから、 消費世界から生産世界へと、恒星間の輸送経路を逆戻りしているかも知れません。

 この章では、核燃料(=放射性物質)が恒星間輸送される背景と、 その経済性(コスト)について考察することにしました。




(1)ウランの生産地

 (3)ウランの半減期と星の寿命で論じたように、 ウラン235の濃度が高いウランを採掘できる世界は、僅かな数しか見つかりません。

 僅かとはいっても、帝国領272星系中に25星系(9.2%)が存在している訳で、1つの星域に1つ以上の星系が見つかります。
 供給先が見つからなくて困る、ということはないでしょう。



 以下の表に、主恒星の年齢が1億年未満であり、 採掘されるウラン中のウラン235の濃度が確実に16.7%となっている星系を纏めました。


               表25 ウランの生産地

MRT06_Fig25.gif - 12.0KB

 表の左端は星域名
 その右側が星系名
 最後が、その星系の中心である主恒星のスペクトル型です。

 1つの星域に1つ以上の星系が見つかる、ということを確認できました。
 ライラナー星域、ルーニオン星域、モーラ星域には1つだけしかありません。
 安定供給が少し心配ではありますが、年齢が1億年〜20億年の星系を探せば供給先を幾つか追加できますので、問題はないでしょう。
 それが駄目ならば、隣接したグリッスン星域やトリンズ・ベール星域から輸送することも考えられます。

 ヴィリス星域のアスガルドとタヴォンニ、この2つの星系は放射性物質の供給源として極めて有望なのですが、 何故か進入禁止のローテク貧困世界だったり、無人の荒涼世界だったりする点がとても不思議です。
 敵対的な国家との国境線に位置しているためでしょうか?
 何かのシナリオ・ネタとして使えるかも知れません。



(2)ウランの消費地

 今度は、 ウラン=核燃料(=放射性物質)を大量に消費していると推測される星系を調べました。

 1つめの条件は、世界のテックレベルが7〜9であること。
 まず何より、テックレベルが7以上でなければ核分裂炉を利用できません。
 そして、テックレベルが9以下でなければ核融合炉が登場して、 核燃料(=放射性物質)の需要が無くなってしまうからです。

 2つめの条件は、人口レベルが9以上(人口が10億人以上)の高人口世界であること。
 消費量が多いことはもちろんですが、スケール・メリットを活かすためには、大きな人口が不可欠です。



 以下の表に、テックレベル7〜9の高人口世界を纏めました。


               表26 ウランの消費地

MRT06_Fig26.gif - 6.10KB

 表の左端は星域名
 その右側が星系名
 最後が、その星系に存在する主要世界の人口レベルテックレベル(TL)です。



 ジュエル星域のルージーは、人口100億テックレベル8の高人口世界です。
 スペクトルはM5X型なので、ウランの採掘は期待できません。
 しかしリジャイナ星域のメノーブから2パーセクしか離れていませんので、ウランの供給はメノーブから受けることが容易です。

 リジャイナ星域のメノーブは、人口30億テックレベル7の高人口世界です。
 スペクトルがM5U型ですから、高濃度のウランが採掘可能。
 核燃料(=放射性物質)に関しては、自給自足ができる世界でした。

 リジャイナ星域のループも、人口30億テックレベル7の高人口世界です。
 スペクトルはF9X型なので、運が良ければ(2D6で8+が出れば8.0%、10+が出れば16.7%の)高濃度ウランを採掘可能でした。
 運が悪かった(2D6で7−が出た)場合は、2パーセク離れたヘフリーからウランを輸入しなければなりません。

 リジャイナ星域のリーズは、人口300億テックレベル8の高人口世界です。
 スペクトルはG7X型なので、極めて運が良い(2D6で11+が出た)場合にのみ、濃度8.0%のウラン採掘ができます。
 運が悪かった(2D6で10−が出た)場合は、5パーセク離れたヘフリーか、3パーセク離れたケングから、ウランを輸入しなければなりません。

 アラミス星域のジュニディは、人口300億テックレベル9の高人口世界です。
 スペクトルはF7X型なので、運が良ければ(2D6で8+が出れば8.0%、10+が出れば16.7%の)高濃度ウランを採掘可能でした。
 運が悪くても、隣接したタワーズ星系(スペクトルがA8V型)には高濃度のウラン鉱床が存在する筈なので、 その供給に問題は無いでしょう。

 ライラナー星域のナトコは人口20億テックレベル9、 モーラ星域のヒローニは人口70億テックレベル8の高人口世界です。
 ナトコのスペクトルはF4X型、ヒローニのスペクトルはF3X型なので、 どちらの星系も半分弱の確率で核燃料(=放射性物質)を自給できるでしょう。
 どちらか片方でしか採掘できない場合、この2星系は隣接していますから、採掘した高濃度のウランを融通することが可能です。
 両方の世界で採掘できなかった場合は、2パーセク離れたランス星域のコーグリから輸入することも容易。

 グリッスン星域のエイキは、人口20億テックレベル9の高人口世界です。
 スペクトルはG6X型なので、極めて運が良い(2D6で11+が出た)場合にしか、高濃度のウラン採掘ができません。
 運が悪かった場合には、2パーセク離れたワイスかカレドニアからウランを輸入することになるでしょう。

 グリッスン星域のクラウトは、人口30億テックレベル7の高人口世界です。
 スペクトルはM7U型ですから、自動的に高濃度のウラン採掘が可能でした。
 クラウトも核燃料(=放射性物質)の自給自足ができる世界です。

 トリンズ・ベール星域のダッズは、人口40億テックレベル7の高人口世界でした。
 スペクトルはM7X型であり、高濃度のウラン採掘は不可能です。
 2パーセク離れたジスビーとソーンナスターからの輸入が考えられるでしょう。



 上記のように、ウランの生産地と消費地は、1パーセクから5パーセクの距離しか離れていません。
 メノーブやクラウトのように、生産地と消費地が一致している星系も存在します。
 採掘された高濃度ウラン(ウラン精鉱)は、 恒星間の輸送が全く必要ない(生産地と消費地が一致している場合)か、 ジャンプ1回当たり2パーセクを移動すると想定して、ジャンプ1〜3回分の輸送コストが掛かると判明しました。

 こうした場合の輸送コストが、核燃料(=放射性物質)の供給コストに どれだけの影響を与えるか、を考えてみます。




(3)ウランの恒星間輸送

 幸いなことに、核燃料(=放射性物質)も、 核燃料の原料となる「ウラン精鉱」も、 その密度が大きいため、1排水素トンの容積でも多くの量(重量)を輸送することが可能でした。
 1排水素トン当たりの重量や価格については、これから検証していきますが、まずはウラン精鉱から。


             表27 ウラン精鉱の輸送コスト

MRT06_Fig27.gif - 6.87KB

 表の左端は、ウラン精鉱に含まれているウラン235の濃度
 上から順に、16.7%8.0%3.7%が並んでいます。

 その右側は重量トン当たりの価格(cr)
 ウラン235の濃度が高いほど高価であり、15,000cr6,000cr2,000crとなっています。

 更に右側は排水素トン当たりの数値で、 重量(tons)価格(cr)輸送費(cr)、 を並べました。
 排水素トン当たりの重量は(1)ウランの採掘で説明した通り、20トンです。
 これはウラン235の濃度に影響されません。
 排水素トン当たりの価格は、重量トン当たりの価格を13.5倍した金額となります。
 それぞれの価格は300,000cr120,000cr40,000cr
 輸送コストも一律で1,000cr。
 逆算すると、1重量トン当たりでの輸送コストは50crしか掛かっておりません。

 最後は、前章で計算した供給コストへの影響(%)です。
 ウラン精鉱の輸送コストは重量トン当たり50crなので、放射性物質の小売価格6,000crに対して、 0.83%の負担にしかなりません。
 ジャンプ3回(5〜6パーセク)の恒星間輸送を行っても、そのコストは150cr(小売価格に対して2.50%)です。
 このコストはウラン235の濃度が3.7%の場合であり、 濃度が高い場合は供給コストへの影響がさらに小さくなりました。
 濃度が8.0%ならば、ジャンプ1回当たりの負担は0.28%で、 ジャンプ3回ならば0.83%
 濃度が16.7%ならば、ジャンプ1回当たりの負担は0.11%で、 ジャンプ3回ならば0.33%です。



 「ウラン精鉱」の恒星間輸送は、その輸送距離(ジャンプ回数)が常識的な範囲であればの話ですが、 そのウラン精鉱から製造される放射性物質の価格に ほとんど影響を与えないことが確認できました。
 私のハウス・ルールを用いたトラベラー世界では、 「ウラン精鉱」の恒星間輸送が積極的に行われている筈です。

 公式設定であってもレフリーズ・マニュアル、p.5110a.天然資源の表に、 16〜21、放射性鉱石(Radioactive Ore)という貿易品目が存在しますので、 「ウラン精鉱」の恒星間輸送が行われていることは確実でしょう。



 次は、加工済みの核燃料(=放射性物質)の輸送コストについて。


        表28 放射性物質(加工済み核燃料)の輸送コスト

MRT06_Fig28.gif - 4.78KB

 表の形式は、表27とほぼ同じです。

 表の左端は放射性物質に含まれているウラン235の濃度で、3.7%という設定です。
 重量トン当たりの価格(cr)は公式設定通りで6,000cr

 その右側、排水素トン当たり重量(tons)価格(cr)輸送費(cr)は、 168.75トン、1,012,500cr、1,000cr、でした。

 重量トン当たりの輸送コストは5.9cr(=1,000cr÷168.75ton)しか掛かりませんので、 供給コストへの影響(%)0.10%のみ。



 ジャンプ3回(5〜6パーセク)の恒星間輸送は、 核燃料(=放射性物質)の価格にも、ほとんど影響を与えません。
 メガトラベラーの公式設定として、特定の世界で製造(加工)された放射性物質が、 ジャンプ10回(20パーセク前後)の距離を輸送され、辺境世界で利用されていることは十分に有り得ます。

 レフリーズ・マニュアル、p.5110b.加工品の表には、 34、放射性物質(Radioactives)という貿易品目が存在しますので、 これが核燃料(=放射性物質)に該当するのだと推測できました。
 恒星間輸送は、積極的に行われているようです。



 ついでに、使用済み核燃料の輸送コストも考えてみました。
 ウラン235の濃度が高い(8.0%以上の)「ウラン精鉱」を希釈するため、 使用済みの核燃料であっても、それなりに大きな需要が発生する訳ですが、 これも一応放射性物質としての扱いを受けます。
 希釈に用いることが大前提なので、売買するための価格は設定できません。
 再処理コストは先払いされていますので、必要なコストは恒星間の輸送コストだけだと考えても良いでしょう。


        表29 放射性物質(使用済み核燃料)の輸送コスト

MRT06_Fig29.gif - 4.56KB

 表の形式は、表27とほぼ同じです。

 表の左端は放射性物質に含まれているウラン235の濃度は、 1.7%まで低下しました。
 使用済み燃料なので、重量トン当たりの価格(cr)の欄は空白(−)にしてあります。

 その右側、排水素トン当たり重量(tons)価格(cr)輸送費(cr)は、 価格の項以外、未使用の放射性物質と同じ数値となりました。
 それぞれ、168.75トン、(−)、1,000cr、です。

 同じように、重量トン当たりの輸送コストは5.9cr(=1,000cr÷168.75ton)しか掛かりません。
 供給コストへの影響(%)0.10%です。



 希釈に用いるため、ジャンプ10回(20パーセク前後)の恒星間輸送を行い、 使用済みの核燃料を持ち帰ったとしても、 核燃料(=放射性物質)の価格にほとんど影響が出ないことが分かりました。




 比較的安価な「ウラン精鉱」も含めてのことですが、 放射性物質は排水素トン当たりの価格が極めて大きいので、恒星間の輸送コストがあまり問題になりません。
 恒星間輸送がほとんど行えない炭化水素(石炭、石油、天然ガス)とは、 輸送コストの影響が大きく異なるのです。
 炭化水素の恒星間輸送は、その膨大な輸送量と輸送コストの影響から困難ですが、 核燃料(=放射性物質)の恒星間輸送は容易、かつ、安価であると判明しました。

 例えば、リジャイナ星域のヘフリーで採掘された「ウラン精鉱」が、 5パーセク離れたリーズへと運ばれることは、十分に有り得ます(輸送コストの面では何の問題にもなりません)。
 そして、リーズで加工された核燃料(=放射性物質)が、 ウォーキーズやインズといった周辺の非高人口世界へ輸出されることも、十分に有り得るでしょう。
 最後に、ウォーキーズやインズなどの周辺世界から、 使用済みの核燃料がリーズへ集められるということも考えられます。
 こうして、トラベラー世界を放射性物質という名の投機貿易品が行きかうことになるのではないでしょうか。




(4)核燃料(放射性物質)の消費量

 トラベラー世界では、「ウラン精鉱」の希釈、という状況が有り得るという事情を踏まえて、 核燃料(=放射性物質)の生産/消費量を再検討してみました。

 まずは、生産(採掘)される「ウラン精鉱」の量からです。


             表30 ウラン精鉱の消費量

MRT06_Fig30.gif - 5.92KB

 表の左端は、西暦(テックレベル)
 その右側には、当時の古代テラのウランの生産/消費量を、 人口10億人当たりの生産/消費量で示しました。

 表の右側は、ウラン235の濃度によって大きく変化する、 必要なウラン精鉱のトン数です。
 濃度が3.7%であるならば、希釈を行わないため、 必要なウラン精鉱のトン数ウランの生産/消費量と同じ数値。
 濃度が8.0%であるならば、3倍の希釈を行うため、 必要なウラン精鉱のトン数ウランの生産/消費量の3分の1。
 濃度が16.7%であるならば、7.5倍の希釈を行うため、 必要なウラン精鉱のトン数ウランの生産/消費量の15分の2、となりました。

 この数値は要するに、核燃料(=放射性物質)を生産/消費している世界で、 どれだけの「ウラン精鉱」が生産(採掘)されているかを示したものとなります。
 当然ながら、ウラン235の濃度が高いほど、その生産(採掘)量は小さくなりました。



 反対に、ウラン235の濃度が高いほど、 消費量が多くなるのが使用済みの核燃料
 希釈の倍率が高いほど、その必要量(消費量)が多くなりますので、当然なのですが、実際には以下の通りとなります。


            表31 使用済み核燃料の消費量

MRT06_Fig31.gif - 5.97KB

 表の形式は表30とほぼ同じです。

 表の右側は、ウラン235の濃度によって大きく変化する、 必要な使用済み核燃料のトン数に変わりました。
 濃度が3.7%であるならば、希釈を行わないため、 使用済みの核燃料は必要とされません。一律でゼロ。
 濃度が8.0%であるならば、3倍の希釈を行うため、 必要な使用済み核燃料のトン数ウランの生産/消費量の7割強(70.2%)。
 濃度が16.7%であるならば、7.5倍の希釈を行うため、 必要な使用済み核燃料のトン数ウランの生産/消費量の9割強(91.2%)、です。
 括弧内のパーセントの数値が若干大きくなっている理由は、再処理に伴う目減り(その重量が95%に減少する件)を考慮したため。



 最後は、放射性廃棄物余剰な使用済み核燃料の発生量、です。


       表32 放射性廃棄物と余剰な使用済み核燃料の発生量

MRT06_Fig32.gif - 6.08KB

 表の左端は、西暦(テックレベル)

 その右側には、当時の古代テラにおける放射性廃棄物の発生量を、 人口10億人当たりのトン数で示しました。

 表の右側は、ウラン235の濃度によって大きく変化する、 余剰な使用済み核燃料のトン数です。



 表31でも述べた通り、希釈を行わない場合(ウラン235の濃度が3.7%である場合)、 使用済みの核燃料は必要とされません。
 ですから、使用済みの核燃料はそのまま、廃棄処分されることになります。
 この方式はワンスルーと呼ばれ、古代テラでは某米国などが用いた方式でした。
 「ウラン精鉱」が安価で潤沢に供給され、 使用済みの核燃料の廃棄処分が容易に行えるのであれば、こういった方法も有り得るのでしょう。
 放射性廃棄物が大量発生するワンスルー方式は、個人的に嫌いなので、 私のハウス・ルールでは経済的な方式にはしませんでした。
 しかし特定の条件下では経済的であり、正しい選択となる筈です。

 ウラン235の濃度が8.0%である場合、 必要な使用済み核燃料のトン数ウランの生産/消費量の7割強(70.2%)なので、 その残り(24.8%)が余剰な使用済み核燃料となりました。

 ウラン235の濃度が16.7%ならば、 必要な使用済み核燃料のトン数ウランの生産/消費量の9割強(91.2%)なので、 その残り(3.8%)が余剰な使用済み核燃料となるだけです。
 高濃度の「ウラン精鉱」を用いることは、 余剰となる使用済み核燃料を減らすためにも、極めて効果的であると分かりました。





6.核弾頭と放射性廃棄物


 トラベラー世界には、大量の核燃料(=放射性物質)が存在していました。
 それらが存在しているのは主にテックレベルが7〜9の範囲にある高人口世界ですが、恒星間規模の流通網が存在する以上、 他の世界にも核燃料(=放射性物質)が流れることは明らかです。
 ですから、それらの放射性物質を利用して核兵器を作ろう、 と考える者が現れても、不思議ではありません。

 また、使用済みの核燃料から取り出される放射性廃棄物は、危険な代物です。
 ある意味、核弾頭よりもずっと性質の悪い核兵器ですから、 テロに使われるようなことがあっては困ります。
 ゲームの中で放射性物質を扱うからには、こういった側面も知っておくべきでしょう。

 この章では、核兵器の製造と、放射性廃棄物の管理について考察することにしました。




(1)トラベラー世界の核兵器

 トラベラー世界における核兵器関連の情報を探してみました。

 まずCT版では、シナリオ「キンニール」において、 反重力APCに搭載された戦術ミサイルの弾頭として0.1〜1キロトンの核弾頭が用意されている、 との記述がありました。
 帝国軍の海兵隊は、こういった代物を撃ちまくることを前提にして、作戦を行っているのだと考えられますが、 それら核弾頭については詳しい記述がありませんから、 その重量や価格、原材料、内部構造についての考察を行うことができません。
 実に残念なことです。



 その一方で、宇宙船戦闘で用いる核ミサイルに関してならば、限定的ながらも情報が見つかりました。
 CT版の上級ルールである「宇宙海軍」とMT版の宇宙船戦闘ルールには、 宇宙船戦闘で利用可能な核ミサイルが登場します。
 そして、CT版のサプリメント「ミサイル」と、 MT版の「Starship Operator's Manual」には、 宇宙船戦闘で利用可能な核ミサイルの中身について、情報がありました。
 地上戦用の核弾頭については情報が少なすぎるため、 此処では宇宙船戦闘用の核ミサイルに搭載される核弾頭について 考察を進めることにします。



 以下の表に、宇宙船戦闘で利用される核弾頭を纏めてみました。


            表33 トラベラー世界の核弾頭

MRT06_Fig33.gif - 6.47KB

 表の左端は、兵器の種類

 まず、CT版かMT版かの区別があって、その次に核分裂弾頭放射線強化弾頭核融合弾頭の3つが並んでいます。

 MT版の場合、「Starship Operator's Manual」には、CT版と同じように核分裂弾頭放射線強化弾頭核融合弾頭の3つが存在していたのですが、 宇宙船戦闘ルールにはそれらを区別するルールが存在せず、単一の核ミサイルとして扱われていました。
 折角の設定が活かされておらず、とても残念だと思います。



 その右側は、重量(tons)

 CT版の核ミサイルは、ミサイルの誘導装置と推進システム、弾頭を個別に選択しますから、 此処へ示した重量は、弾頭部分のみの重量です。
 核分裂弾頭の重量は、0.03トン(=30kg)で、 放射線強化弾頭核融合弾頭は0.02トン(=20kg)でした。
 特別ルールとして、テックレベルが10未満の世界であっても核融合弾頭を作成することが可能です。
 しかし、それには起爆用の核分裂弾頭が不可欠であり、その重量は0.02トン(=20kg)。 核融合弾頭の重量は合計0.04トン(=40kg)となりますので、あまり実用性はありません。
 後述しますが、10キロトンを超える大出力の核弾頭が必要な時にのみ利用される、特別ルールなのだと思われます。
 ミサイル1発の重量制限は0.05トン以下ですから、残りの重量0.01〜0.03トンが、誘導装置と推進システムの重量となるでしょう。

 MT版の核ミサイルは、ミサイル全体を含めた重量、 場合によっては運搬容器まで含めた重量で、0.07トン(=70kg)でした。
 通常弾頭のミサイルが重量0.05トン(=50kg)ですから、 差分の0.02トン(=20kg)は放射線の遮蔽材か核中和装置の重さであろうと推測しております。



 その右側は、価格(cr)

 CT版の価格は、核弾頭の出力(破壊力)0.1キロトン当たりの価格です。
 核分裂弾頭放射線強化弾頭核融合弾頭、 どれも一律で、0.1キロトン当たり100,000cr(=0.1MCr)。
 出力は、最小値である0.1キロトンから10キロトン(上記の100倍)の範囲で、好きなように設定できますが、 核融合弾頭だけは出力の上限が設けられておりません。
 ルール上は1メガトン(上記の1万倍)の出力であっても、重量0.05トン(=50kg)で製造可能なようです。
 ツッコミたいところは色々とありますが、CT版の宇宙船戦闘ルールから推測するに0.1キロトンの出力が最も費用対効果が高いだろうと判断しました。
 1キロトン以上の出力は、オーバーキル(過剰出力)であると思われます。
 ですから、1キロトンの低出力ならば1,000,000cr(=1MCr)、10キロトンの高出力ならば10,000,000cr(=10MCr)となりました。

 MT版の価格は150,000crであり、通常弾頭のミサイル価格が20,000crであることから考えて、 差分の130,000crが核弾頭の価格に相当するのではないでしょうか。
 その出力(破壊力)に関する情報は見つかりませんでしたが、 CT版の価格から推測すると、最小出力の0.1キロトン程度になると思われました。



 表の右端は、核ミサイルを利用できるテックレベルです。

 CT版の核分裂弾頭はテックレベル8から。
 放射線強化弾頭はテックレベル9から。
 核融合弾頭はテックレベル10からですが、特別ルールによってテックレベル8からでも利用可能でした。

 MT版の核ミサイルはテックレベル7から利用できるようです。
 何となく不自然な印象を受けるのですが、プレイアビリティ的には妥当なのかも知れません。



 さて、ここからが本題です。

 上記で説明してきた核ミサイル(核弾頭)を製造するためには、 どれだけの放射性物質が必要なのでしょうか?
 別の言い方をするのであれば、1トンの放射性物質から、 何発の核ミサイル(核弾頭)を製造できるのか、ということでもありますが。



 上記で説明してきた核分裂弾頭(Fission Warhead)は、放射性物質 (=ウランプルトニウム)による核分裂反応を利用した核弾頭のことです。
 ウランならば最低でも10〜25kg、プルトニウムでも5〜8kgが必要となるそうですが、 そのあたりは色々な事情があるようでしたので、詳細は分かりません。

 上記の重量の放射性物質によって得られる出力(破壊力)は、20キロトン前後。
 これだけ出力が大きいと使い勝手が悪いので、様々な工夫によって出力を抑えている、ということだそうです。
 ですから、出力の上限を10キロトンで抑えた上で、必要な放射性物質の量を一律5kg〜10kgと設定することにしました。



 放射線強化弾頭(Enhanced Radiation Warhead)は、中性子爆弾(Neutron Bomb)とも呼ばれますが、 中性子線(放射線)をより多く放出するように調整された核弾頭です。
 CT版とMT版に共通する記述によれば、その中心には核分裂弾頭が使用されているとのこと。
 必要な放射性物質の量も、核分裂弾頭と同じ扱いで良いと思われます。



 核融合弾頭(Fusion Warhead)は、水素の核融合反応を利用した核弾頭のことです。
 古代テラでは重水素や三重水素を利用していた訳ですが、トラベラー世界では容易に水素の核融合を起こせるようですから、問題はないでしょう。
 核分裂弾頭では実現できない大きさの大出力を得られるというメリットがあり、 実際にCT版のルールでも核融合弾頭は出力(破壊力)の上限がありません。
 ですから、現実にも即していると考えられます。

 テックレベル8〜9で製造された核融合弾頭は、 起爆のために核分裂弾頭を必要としています。
 ですから、低出力の核分裂弾頭を搭載しなければなりません。
 テックレベル10以上で製造された核融合弾頭は、 起爆にレーザー・システムを用いるので、核分裂弾頭は不要です。



 という訳でトラベラー世界における、 核分裂弾頭放射線強化弾頭の2つは、 製造するために放射性物質を必要としていました。
 必要量は勝手ながら、ウランの場合で10kg、プルトニウムの場合で5kgを設定しています。
 テックレベル8〜9で製造される核融合弾頭も、同量の放射性物質が必要だとしました。

 ですから、ウランを用いて核弾頭を製造する場合、 1トン(=1,000kg)の放射性物質から100発の核弾頭を製造可能、
 プルトニウムを用いて核弾頭を製造する場合は、 1トン(=1,000kg)の放射性物質から200発の核弾頭を製造可能、
 となるように思えるかも知れませんが、実際はもう少し異なります。
 ウランの濃縮やプルトニウムの抽出といった問題から、実際の製造数を考えていきます。




(2)核弾頭(ウラン弾頭)の製造

 核弾頭に使用する放射性物質は、 核分裂炉で使用するものと異なっており、 その中に含まれるウラン235の濃度を90%以上まで高める必要があります。
 ですから、流通している核燃料(=放射性物質)を、 そのまま核弾頭の製造へ転用することはできません。



 まずは、ウランの濃縮から考えてみました。

 安価な核燃料(=放射性物質)が流通しているトラベラー世界では すでに廃れている技術であるかも知れませんが、核弾頭の製造には不可欠な技術でもあります。
 元々、ウラン235の濃度が高い「ウラン精鉱」を濃縮することで、 濃度90%以上のウランを安価に調達することが可能になるでしょう。

 濃縮設備の購入費用や維持費については簡略化して、濃縮コストだけを設定しました。
 「ウラン精鉱」を濃縮して、濃度90%以上のウランを得るためには、 以下へ示した通りの分量の「ウラン精鉱」と、濃縮コストが必要です。


           表34 ウランの濃縮(兵器用)−1

MRT06_Fig34.gif - 4.21KB

 表の左端は、主恒星の年齢です。
 その右側は、ウラン235の濃度(%)

 更に右側は、濃縮前の必要ウラン精鉱の量濃縮後のウラン量
 濃度を90%まで濃縮したウラン1トンを得るために必要な「ウラン精鉱」の量がどれだけか、 ということを示しました。
 5億年のウランは6.5トン、15億年のウランは20.0トンが必要です。

 核燃料の製造量は、 ウラン濃縮を行うことでウラン235の濃度が3.7%まで下がった、残り部分の重量。
 この濃縮は、核燃料を製造する通常の希釈過程に紛れて……もとい、並行して行うことが大前提ですから、 ウラン235を取り出した残り部分を劣化ウランとする訳にはいきません。
 ですから、ウラン235を3.7%残して、核燃料としなければならないのです。
 厳密に検査を行うのであれば、納入した「ウラン精鉱」と使用済み核燃料の量と、 出荷された核燃料の量が釣り合わなくなりますので、そこから露見する可能性も高いでしょう。

 表の右端は濃縮コスト(Cr)
 濃度16.7%の「ウラン精鉱」を用いるのであれば、高濃度のウラン1トン当たり、600,000crのコストが掛かります。
 「ウラン精鉱」の購入費用を合わせると、高濃度ウランの価格は1トン当たり700,000crとなるでしょうか。
 濃度8.0%の「ウラン精鉱」を濃縮する場合のコストは2,5000,000crで、 高濃度ウランの価格は1トン当たり2,700,000crとなりました。



 次もウランの濃縮ですが、今回はウラン235を残しません。
 「ウラン精鉱」からウラン235を可能な限り搾り取った場合の濃縮過程です。


           表35 ウランの濃縮(兵器用)−2

MRT06_Fig35.gif - 7.46KB

 表の左端は、主恒星の年齢です。
 その右側は、ウラン235の濃度(%)

 更に右側は、濃縮前の必要ウラン精鉱の量濃縮後のウラン量
 ウラン235を可能な限り搾り取るので若干、必要量が減りました。
 5億年のウランは5.5トン、15億年のウランは11.5トン、 25億年のウランは25トン、35億年のウランは65トン、 45億年のウランは180トン、55億年のウランは900トンが必要です。
 濃縮後のウラン量は一律で1.0トン。

 廃棄物の発生量は、 5億年の4.5トンから、55億年の899トンまで、様々でした。
 この廃棄物は、 含まれるウラン235の濃度は0.2%以下まで下がった、 劣化ウランのことです。
 使える用途はほとんどありません。

 表の右端は濃縮コスト(Cr)
 濃縮したウラン1トンを得るために必要なコストです。
 コストは跳ね上がって、得られる高濃縮ウランの価格の大半を、濃縮コストが占めるようになりました。
 5億年のウランであれば、その価格は1トン当たり3MCr強。
 55億年のウランであれば、1トン当たり6,000MCrを超えます。



 上記2つの表へ示した通り、核弾頭に使用する放射性物質(ウラン)の価格は、 1トン当たり700,000cr〜6,000MCrという金額になりました。
 現実的な金額は、ウラン235の濃度が16.7%の「ウラン精鉱」を、 通常の希釈過程に紛れて濃縮する方法の、700,000crへ落ち着くと思われます。
 核弾頭1発に必要なウランの量は10kgですから、 製造費用の中に含まれる放射性物質(ウラン)の購入費用は7,000cr。
 こんなに安くて良いのかと不安になる金額ですが、 トラベラー世界は核弾頭そのものが安価ですので、妥当な金額なのでしょう。



 高濃度の放射性物質(ウラン)が確保できたら、 今度はそれを、核弾頭(ウラン弾頭)へ加工します。
 以下の表へ示した、核弾頭の製造設備を購入して下さい。


          表36 核弾頭(ウラン弾頭)製造設備の購入費用

MRT06_Fig36.gif - 5.29KB

 製造設備も、その製造能力によって区別されています。
 今回も週5日×8時間(年間250日)の稼働を想定しました。
 例によって、製造能力を2倍4倍に増やしても構いませんが、 維持費は製造能力に比例して増えますし、製造能力を4倍まで上げた場合は 耐用年数も大きく減少します。



 最も安価な製造設備(購入費用=400MCr)は、その製造能力が年間10発しかありません。
 規模が小さ過ぎるので製造効率は極めて悪く、1発当たりの製造コストは6,000,000cr(=6MCr)です。
 消費する放射性物質(ウラン)は、年間100kg(=0.1トン)
 必要な労働者の人数は、維持費50MCrを1MCrで割った50人となりました。

 中規模の製造設備(6,000MCr)は、製造能力が年間1,000発です。
 1発当たりの製造コストは800,000crまで下がりましたが、トラベラー世界の標準からすると未だ高価でした。
 消費する放射性物質(ウラン)の量は、年間で10トン
 労働者の人数は、650人です。

 大規模な製造設備(80,000MCr)の製造能力は、年間10万発。
 膨大な数に思えるかも知れませんが、ガラルク型装甲巡洋艦は50トンのミサイル副砲を40基装備しているので、 そのすべてが核ミサイルを発射しているのであれば、1ターン当たり2,000発を消費します。
 10万発のミサイルを用意しても、ガラルク型巡洋艦10隻が、5ターンの射撃を行えば使い果たしてしまう訳で、過剰な製造には成り得ないでしょう。
 1発当たりの製造コストは100,000crですから、ようやくトラベラー世界の標準価格まで下がりました。
 消費する放射性物質(ウラン)の量は、年間1,000トン
 労働者の人数は、8,000人です。
 ちょっとした街が作れる規模となりました。



 核弾頭(ウラン弾頭)の製造コストを合計します。


           表37 核弾頭(ウラン弾頭)の製造コスト

MRT06_Fig37.gif - 8.73KB

 表の左端は、主恒星の年齢です。
 その右側は、ウラン235の濃度(%)

 その右側は、核弾頭に使用される、高濃度の放射性物質(ウラン)の価格です。
 トン当たりの価格は、表34と表35で求めた、濃縮コスト込みの価格。
 1発当たりのコストは、核弾頭1発に必要な量、10kg分の価格でした。
 5億年と15億年の欄が2つありますが、上の欄は表34で求めた安価なウランで、下の欄が表35で求めた高価なウランを示しています。

 その右側は、核弾頭1発当たりに掛かる製造コスト
 大規模な製造設備で量産される場合の100,000crを想定しました。

 表の右端は製造コストの合計



 年齢が5億年の星系で採掘された「ウラン精鉱」を軽く濃縮した場合、 濃縮ウランの価格はトン当たり700,000crとなりました。
 核弾頭1発に必要な濃縮ウランは10kgなので、その価格は7,000cr
 100,000crを加えた製造コストの合計は107,000crであり、問題なく採算が合うことでしょう。

 年齢が5億年の星系で採掘された「ウラン精鉱」をしっかりと濃縮した場合、 濃縮ウランの価格はトン当たり3,10,000crであり、
 年齢が15億年の星系で採掘された「ウラン精鉱」を軽く濃縮した場合、 濃縮ウランの価格はトン当たり2,700,000crでした。
 核弾頭1発に必要な濃縮ウランの価格は27,000〜31,000cr
 製造コストの合計は127,000〜131,000crですから、採算はぎりぎりです。

 より条件の悪い濃縮ウランは、トン当たりの価格が10MCr以上。
 核弾頭1発当たりのコストは100,000cr以上となり、 製造コストの合計は200,000crを超えました。
 メガトラベラーの標準価格を上回ってしまいましたから、特別な事情がない限り、 この条件で核弾頭を製造する者も、買う者も居ないでしょう。
 特に年齢が35億年〜55億年の星系における2.6〜60.1MCrという価格は、 後述するプルトニウム弾頭よりも割高となりました。




(3)核弾頭(プルトニウム弾頭)の製造

 最後は、プルトニウムの抽出です。
 独立した行程を作るとルールが複雑化してしまいますので、使用済み核燃料の再処理の中で、 再処理と同時にプルトニウムの抽出を行うことにしました。


           表38 プルトニウムの抽出(兵器用)

MRT06_Fig38.gif - 3.27KB

 表の左端は、使用済み核燃料の必要量

 その右側、廃棄物の発生量は5%で5.0トンの筈ですが、 その放射性廃棄物の中から1%(=1.0トン)のプルトニウムを取り出すため、 残りは4.0トンとなりました。

 抽出されたプルトニウムの量は、前述の通り1.0トンです。

 再処理が終わった後に得られる、再利用が可能な使用済み核燃料の量は、95%で95トン。

 表の右端は抽出コスト(Cr)
 表22へ示した再処理コストのことでもあり、その金額は1,000〜1,400crとなっていました。
 使用済み核燃料が容易に得られるのであれば、 プルトニウムは極めて安価なコストで確保できるようです。

 使用済みの核燃料から取り出されたプルトニウムにも、 幾つかの種類(同位体)が存在しており、それらの存在が核弾頭の製造には不都合であるとか、
 通常の核分裂炉から得られるプルトニウムの中には、 不都合な同位体が30%以上含まれているので、そのままでは核弾頭を作れないとか、
 幾つかの問題も存在しているのですが、ルールの複雑化を避けるため無視しておきましょう。



 その世界で使用済みの核燃料が容易に入手できない場合は、面倒ではありますが、 天然ウランを採掘して、それを3.7%まで濃縮し、核分裂炉で3ヶ月から半年の運転を行って、 プルトニウムを作り出さなければなりません。
 その際は、ウランの採掘コスト等を合わせて、1トン当たり6MCr〜1,300MCrのコストが掛かります。
 詳しくは後述。



 放射性物質(プルトニウム)を確保した後には、ウラン弾頭と同じ製造工程が待っています。
 以下の表へ示した、核弾頭の製造設備を購入して下さい。


        表39 核弾頭(プルトニウム弾頭)製造設備の購入費用

MRT06_Fig39.gif - 5.49KB

 表36とほぼ同じですが、毒性と放射線量の多いプルトニウムに合わせて、購入費用と維持費が5倍に増えています。



 小規模な製造設備(購入費用=2,000MCr)は、製造能力が年間10発。
 1発当たりの製造コストは30MCr
 必要な労働者の人数は、維持費250MCrを1MCrで割った250人です。

 中規模の製造設備(30,000MCr)は、製造能力が年間1,000発。
 1発当たりの製造コストは4MCr
 労働者の人数は、3,250人です。

 大規模な製造設備(400,000MCr)の製造能力は、年間10万発。
 1発当たりの製造コストは500,000crであり、トラベラー世界の標準価格よりも高価です。
 労働者の人数は、40,000人です。



 核弾頭(プルトニウム弾頭)の製造コストを合計します。


         表40 核弾頭(プルトニウム弾頭)の製造コスト

MRT06_Fig40.gif - 7.55KB

 表の左端は、主恒星の年齢です。
 その右側は、ウラン235の濃度(%)
 プルトニウムを自力で製造する場合、その製造コストに 主恒星の年齢ウラン235の濃度(%)が大きく影響するので示しておきました。

 その右側は、核弾頭に使用される、放射性物質(プルトニウム)の価格です。
 使用済みの核燃料が容易に入手できるのであれば、その価格はほぼ無料ですが、 自力で製造する場合には、それなりのコストが掛かります。
 年齢が5億年から25億年の星系では、1トン当たり6MCr
 年齢が35億年の星系では、1トン当たり70MCr
 年齢が45億年の星系では、1トン当たり220MCr
 年齢が55億年の星系では、1トン当たり1,300MCrとなりました。

 その右側が、核弾頭1発に必要なプルトニウム5kgの価格です。
 プルトニウムを自力で製造する場合の価格は、
 年齢が5億年から25億年の星系で、1発当たり30,000cr
 年齢が35億年の星系で、1発当たり350,000cr
 年齢が45億年の星系で、1発当たり1,100,000cr
 年齢が55億年の星系で、1発当たり6,500,000crでした。

 その右側は、核弾頭1発当たりに掛かる製造コスト
 大規模な製造設備で量産される場合の500,000crを想定しています。

 表の右端は製造コストの合計



 年齢が5億年〜25億年の星系で採掘された「ウラン精鉱」を希釈して、 あるいは、そのままの濃度で核燃料として使用して、プルトニウムを製造した場合、  プルトニウムの価格は1トン当たり6MCrです。
 核弾頭1発分の価格は30,000cr
 製造コストの合計は530,000crとなりましたので、メガトラベラーの標準価格では売れません(赤字確定です)。
 プルトニウム使用済みの核燃料から無料で入手できるとしても、 製造コストが大きいため500,000crより安く作ることはできません。

 年齢が35億年の星系で採掘された「ウラン精鉱」を濃縮して、プルトニウムを製造した場合、 その価格は1トン当たり70MCrでした。
 核弾頭1発分の価格は350,000crとなります。
 製造コストの合計は0.85MCrですから、 メガトラベラーの標準価格で売ると赤字確定なのですが、 表37で計算した同条件のウラン弾頭2.6MCrと比べれば、安価でした。

 年齢が45億年の星系で採掘された「ウラン精鉱」からプルトニウムを製造した場合、 価格は1トン当たり220MCrとなります。
 核弾頭1発当たりの価格は1,100,000cr
 製造コスト500,000crと合わせて、その合計は1.6MCrとなりました。
 この条件も、ウラン弾頭10.1MCrと比べるならば、安価です。

 年齢が55億年の星系で採掘された「ウラン精鉱」からプルトニウムを製造した場合、 その価格はトン当たりで1,300MCrでした。
 核弾頭1発当たりの価格は6,500,000cr
 製造コストの合計は7.0MCrです。
 同条件のウラン弾頭60.1MCrと比べると、安価でした。



 メガトラベラーの輸送機器設計ルールで示されている核分裂炉は、 現実(リアル)と比べて5倍の燃料を消費する、ということに御注意下さい。
 5倍の燃料を消費するということは、5倍の使用済み燃料が発生し、 使用済み燃料から抽出されるプルトニウムの量も5倍に増えることを意味します。
 同じ出力(例えば100万Kw)の原子炉で製造できるプルトニウム弾頭の数が 現実と比べて5倍に増えるため、何らかの矛盾が発生するかも知れません。



 2種類の核弾頭ウラン弾頭プルトニウム弾頭の製造コストを比較してみました。

 トラベラー世界で放射性物質を用いた核分裂弾頭を製造する場合、 年齢の若い(5億年以内の)星系で採掘された「ウラン精鉱」を軽く濃縮して、 ウラン弾頭を製造する方法が最も安上がり、となるようです。
 ローテク(テックレベルが7〜9)の高人口世界では、大量の「ウラン精鉱」が採掘されているか、 あるいは、星系外から輸入されている筈なので、供給に問題はないでしょう。
 こういった状況において、高価で危険なプルトニウムの需要は存在しません。

 しかしながら、 高濃度の「ウラン精鉱」を採掘できないか、星系外からウランを輸入できない場合、
 自力でプルトニウムを製造し、プルトニウム弾頭を製造することは、 年齢が35億年〜55億年の世界において、ウラン弾頭を製造するよりも安上がりとなるでしょう。
 恒星間宇宙へ乗り出す前の古代テラもそうでしたが、こうした世界で使用される核分裂弾頭は、 その多くがプルトニウム弾頭であると思われます。




(4)放射性廃棄物の処分

 (4)ウランの加工と使用済み燃料の再処理の表22 核燃料の再処理、で触れた通り、 使用済みの核燃料を再処理すると、 重量比にして5%の放射性廃棄物が発生します。
 この中には1%のプルトニウムも含まれている訳ですが、 一般的なトラベラー世界においてプルトニウムの需要は存在しませんから、 放射性廃棄物として一緒に処分されることは確実でしょう。

 その量は、人口10億人当たりの計算で872トン(TL7)〜2,222トン(TL9)。
 きちんとした処分を行うのは大変かも知れませんが、管理をきちんとしておかないと、迷惑を受けるのはその世界の住人です。
 気を付けましょう。



 採掘される「ウラン精鉱」の中に含まれるウラン235の濃度が低かった場合は、 再利用される使用済み核燃料の量が少なくなります。
 ですから、使用済みの核燃料がそのまま廃棄処分されることも多いでしょう。
 そうした場合は、使用済みの核燃料の100%すべてが放射性廃棄物をして扱われます。

 処分が必要な放射性廃棄物の量は、 人口10億人当たりの計算で17,439トン(TL7)〜44,448トン(TL9)。
 御覧の通り、処分すべき量が20倍に増えてしまいました。
 放射性廃棄物を減らすという意味でも、使用済み核燃料の再利用は重要なのです。



 放射性廃棄物の処分先としては、地上管理直接処分/地層処分海洋底下処分海溝処分氷床処分宇宙処分、などが考えられていました。

 地上管理は、地上に廃棄物を保管する処分方法ですが、 災害の影響を受け易く、戦争などによって被害を受ける可能性も高いので、千年や万年単位の処分には向いていません。

 直接処分/地層処分は、地下深くに廃棄物を埋めてしまう方法です。
 地下数百メートルの岩盤の中であれば、廃棄物を安全に処分できるということで、古代テラでは最も有望視されていました。
 埋める場所は同じなのですが、 直接処分使用済みの核燃料を再処理せずに埋める処分方法で、 地層処分使用済みの核燃料を再処理して取り出した、 放射性廃棄物のみを埋める処分方法だそうです。

 海洋底下処分は、廃棄物を海底の下数メートルに埋め込むという方法ですが、 海底下の状況(千年や万年単位の変化)が分からないことから、リスクが高過ぎると判断されている模様。

 海溝処分は、プレートの沈降に合わせて廃棄物を地球の内部へ送り込んでしまおう、という処分方法です。
 様々なSFで理想的な廃棄物の処分方法として描写されていますが、政治的な問題や、失敗した場合に廃棄物を回収する方法が無いことなどから、 古代テラでは採用されなかったとのこと。

 氷床処分は、陸地へ覆いかぶさった氷冠部分に廃棄物を埋めるという計画でした。
 廃棄物は熱を持っていますから氷床の中へ埋め込むことは容易ですが、 やはり政治的な問題や回収する方法が無いことから、古代テラでは採用されていません。

 宇宙処分は、廃棄物を宇宙空間へ放り出して処分するという方法ですが、 失敗した場合、大量の廃棄物を大気中へ撒き散らす事態になるので、そのリスクを恐れて採用されませんでした。
 トラベラー世界であれば星系外からシャトルを輸入することもできるので、ノーリスクでの実現が可能だと思われます。
 確実な処分のためには、主恒星の中へ放り込むか、ガス・ジャイアントの奥深くへ沈めなければならないでしょうが、問題にはならないでしょう。



 どのような処分方法を選ぶとしても、放射性廃棄物の処分費用は、同じ金額です。
 また、使用済みの核燃料を再処理せずに棄てるとしても、同じ金額であるとしました。
 この処分費用は、 (4)ウランの加工と使用済み燃料の再処理の表22 核燃料の再処理、で触れた通り、 使用済み燃料1トン当たり1,000cr〜1,400crの中に含まれているものとします。



 放射性廃棄物をきちんと処分しなかった場合、周辺に放射線被害が生じます。
 シナリオのネタとしても使えるでしょう。
 それらについては、後述の※7.放射線による負傷と治療を参考にして下さい。




(5)帝国戦争規約

 今更の話ですが、トラベラー世界の帝国は、帝国領内において、他者が核兵器を所有し、使用することを禁じています。

 メガトラベラー、「帝国百科」、p.49より抜粋しました。

>帝国戦争規定
>
> 武力闘争が潜在的に持つ、あまりにも悲惨な一面を緩和するために、
> 「帝国戦争規定」が編み出されました。
> 戦争規定は長い歴史の中で蓄積されてきた慣習であり、
> 個々の状況ごとに判断される性格のものです。
> 戦争規定というものが成文化されたことは、帝国の歴史を通じて一度もありません。
> これは、帝国が戦争を是認していると考えられたり、
> 逆に必要な場合に戦争に介入することを妨げられたりすることを防ぐためです。
>
> ……中略……
>
> こうした規則とは別に、ひとつの明確な禁止事項が帝国全土で認知されています。
> 核兵器の所持・使用の禁止です。
> 核兵器が発見された場合は、規模や種類にかかわりなく帝国が介入を行ないます。
>
> ……以下略。


 上記の文章に製造の禁止は含まれていませんが、 所持の禁止に含まれていると思います。
 ですから、帝国領内で上記のハウス・ルールで示された核弾頭ウラン弾頭プルトニウム弾頭の製造を企てた場合、
 それが帝国政府の要請でない限り、非合法な行為(犯罪行為)となることは間違いありません。



 具体的に、帝国内のどんな組織が取り締まりを行っているのか、明確に記された公式設定は見つかりませんが、
 私は勝手に、古代テラで活動していた国際原子力機関(IAEA)対共産圏輸出統制委員会(COCOM)の2つが合わさったような組織をイメージしております。

 核燃料の生産(採掘から加工、再処理まで)、
 核燃料の流通(恒星間輸送)、
 核弾頭の製造技術(技術者と設備)。
 
 こうしたものを監視していると考えました。



 問題は、それがどの程度の厳しさで取り締まられているか、ということなのですが……、
 玉虫色の回答で申し訳ないのですが、この問題もシナリオの都合とレフリーの裁量に任せます。

 古代テラにおいて、国際原子力機関(IAEA)の査察が、 旧敵国(日独)にだけ厳しく、旧連合国(米英仏)に甘いことは有名ですし、
 対共産圏輸出統制委員会(COCOM)の監視が、色々な利権から骨抜きになっていたという話も聞いております。
 同じようなことが帝国でも行われていないとは限りません
 帝国への忠誠心が篤い星系は査察が甘く、反乱を起こした前科持ちの星系には厳しいとかいった状況は十分に有り得ます。

 実際に既存のシナリオやサプリメントを読んだところ、核ミサイルを発射する密輸船の船長が居たり、 核弾頭の密輸を企てるテロリストが居たりしましたので、帝国の取り締まりが完璧ではないことが推測できました。
 プレイヤー・キャラクターが活躍するためには、ある程度、悪役の活動できる余地が不可欠なのでしょう。





7.放射線による負傷と治療


 レフリーズ・マニュアル、p.48の投機貿易ルールの中には 放射性(Radioactive)を備えた貿易品目がしっかりと存在しています。
 しかしながら、その放射性によってどんな被害を被るのか、 ということに関しては具体的なルールが存在しておりません。
 これはデザイナーの大きな手落ちだと思いましたので、 放射線による負傷と治療に関して、ハウス・ルールを作成しました。




(1)放射性の貿易品目

 すでに述べた通り、レフリーズ・マニュアル、p.51へ掲載された表の中には、 放射性(Radioactive)を備えた貿易品目が存在していました。
 具体的には、以下の通りです。


              表41 放射性の貿易品目

MRT06_Fig41.gif - 7.86KB

 表の左端は、貿易品目の大きな分類
 その右側が、サイコロの出目である1D6/1D6

 その右側が、サイコロの出目に対応した貿易品目の内容
 最後が、放射性を持つ確率です。



 10a.天然資源の16〜21の欄にある放射性鉱石、放射性6+については、 放射性があって当然だろうと思います。
 私の考察の中では、ウラン鉱石ウラン精鉱(イエローケーキ)が該当していました。
 それにしても、放射性を持つ可能性が「2+」や「3+」では無く、「6+」である理由は何でしょうか。
 濃縮や加工の度合い、半減期の関係で、放射線量が少ない=危険性が少ない、ということかも知れないと思っていますが、正解は分かりません。

 22〜23の欄、鉄以外の金属鉱石、放射性11+については、 稀に放射性の元素(代表的なものがトリウム)が含まれる可能性を示唆している、と考えて納得しています。

 45の欄、植物(香草)、放射性12+、については、 トラベラー世界だからそういう代物も有り得るよな、で納得。



 10b.加工品の16アルミニウム、放射性6+、21銅、放射性6+、 22錫、放射性11+、23亜鉛、放射性11+、については、
 この4つが放射性を持っている理由は何だろうかと頭を抱えてしまいました。

 以前から疑問に思っていましたが、未だに答えが見つかりません。
 エラッタでも訂正されていませんでした。
 アルミと銅は、危険物扱いされるほどの放射性元素を含んでいたのでしょうか?
 いくら悩んでも私には答えが出せませんでしたので、レフリーの皆様へお任せします。
 説得力のある理由を思いついたら、私にも教えて下さい。

 34放射性物質、放射性5+は、 私の考察で取り上げた核燃料使用済みの核燃料が該当します。
 放射性の確率が5+であり、放射性鉱石の6+よりも少しだけ高くなっておりますので、 恐らく製錬や濃縮によって若干、放射性が強くなったのではないかと推測できました。
 場合によっては、使用済みの核燃料を処理することによって発生した、 放射性廃棄物も含まれていることでしょう。

 35希土類、放射性12+については、 「MRT03.html、レアアースメタル(希土類金属)」で触れた通り、 放射性の元素(トリウム)を含んだ鉱石が存在しますので、その関係でしょう。
 36アイソトープ、放射性3+についても、問題なし。



 気になるものが、最後、10c.工業製品の46、武器、放射性11+でした。
 45の武器は、爆発性が11+なのですが、放射性は無し。
 46の武器は、爆発性が無しで、放射性が11+なのです。
 放射性物質を使った兵器=ウランやプルトニウムを用いた核弾頭、 という可能性を真っ先に考えたのですが、 流石に核弾頭が貿易品目として流通している状況は考えたくありません。
 一晩悩んだ末、とある方に相談したところ、劣化ウラン弾ではないか?という返事を頂き、安心しました。

 但し、貿易品目として流通していなくても、 軍用艦艇や星間傭兵、海賊船が核弾頭を搭載している可能性は高いようです。

 それがハイテクの核弾頭ならば何の問題もありませんが、 ウランやプルトニウムを用いたローテクの核弾頭である場合、 その保管状態が悪ければ被曝する可能性もありますので、御注意下さい。
 そうした事情は「ハード・タイムズ、p.45」に記述されている通りです。
 被曝する、ということが書いてあっても、具体的にどうするかのルールは存在しない訳ですが。




(2)放射線による負傷

 ルールに明記されている通り、放射性を備えた貿易品目が、 きちんとコンテナ内に密封されているのであれば、何の問題も起こりません。
 しかし、そのコンテナが開封された場合、あるいはコンテナが破壊された場合など、 即座に的確な処理を行わなければ、周辺に放射線被害が生じます。

 放射線被害に関しては、CT版のシナリオ「灼熱面!横断!」の中にそれっぽいルールが存在したため、 それを参考にしてハウス・ルールを作成しました。
 露出した放射性物質他の近くに居るキャラクターは、 放射線の強さ(被曝強度)に合わせて、以下のようにダメージを適用して下さい。


              表42 放射線による負傷

MRT06_Fig42.gif - 8.41KB

 表の左端は、被曝強度被曝時間
 露出した放射性物質の近くに居るキャラクターは 此処へ示した被曝時間毎に一定のダメージを被ります。
 被曝時間の長さは、強度Zの瞬間を初めとして、 強度Yの1時間、強度Xの4時間、強度Wの1日(24時間)、 強度Vの1週間(7日)、強度Uの2ヶ月(60日)、 強度Tの1年間の7段階へ分けました。



 その右側は、キャラクターが受けるダメージです。
 単位時間当たりに受けるダメージの大きさは、強度Zが耐久値に4ポイント、強度Yが耐久値に2ポイント、 強度X〜Tは一律で耐久値に1ポイントとしました。
 特徴ポイント(UPP)へ適用する場合は、その1ポイントを1D6ポイントのダメージへ変換して下さい。
 この変換方法は、通常の負傷ルールと同じです。



 被曝時間に関しては、厳密な時間管理を行って下さい。
 例えば被曝強度Y、被曝時間1時間の場合、 被曝時間が59分以内ならばダメージ無しで、 被曝時間が1時間(60分)に達した時点で初めて2ポイントのダメージが確定します。
 被曝時間が僅か1分違うだけで、ダメージ無しと2ポイントのダメージ、大きな差異が生じてしまうことを不自然に感じるかも知れません。
 しかし、プレイアビリティを優先したので、ルール的にはこれで良いのです。
 納得できないのであれば、レフリーの裁量で調節して下さい。

 被曝時間のカウントが59分で終了したのであれば、私ならばダメージ無しで済ませますが、 その59分という数字をしっかりと何処かにメモしておきます。
 次の機会に1分の追加被曝を受けたら、被曝時間の合計が1時間(60分)になりますので、 その時点で2ポイントのダメージを確定すれば、プレイヤーはとても喜んでくれるのではないでしょうか。

 被曝時間の単位が1週間(7日)1年間の場合も、 同じように被曝時間を計算して下さい。
 被曝時間の単位が異なる場合は、被曝時間の合算ができません。
 個別に被曝時間とダメージの計算を行って下さい。



 困ったことに、放射線によるダメージは即座に現れません。
 ある程度の時間が経ってから、体調不良などの形で現れます。
 その遅れの程度を示したものが遅延時間であり、 強度Zの1日(24時間)から、強度Tの10年の範囲で設定しました。
 ですから、放射線被害を受けている時点では、即座にダメージを適用しないで下さい。
 死亡することが確実なダメージを受けていても、 実際にダメージが適用されるまで、キャラクターは行動を続けることが可能なのです。

 上記で示された遅延時間が経過してから、実際にダメージを適用する訳ですが、 放射線による被害を受けている自覚が無かった場合、 キャラクターは突然の負傷、あるいは死亡宣告を受けることになります。
 非常に怖い話なので、プレイヤーの皆さんは御注意下さい。
 もっとリアルにしようかとも思ったのですが、私の知識が無いこと、プレイアビリティとの兼ね合いから、上記のようなルールとなりました。

 この遅延時間はキャラクターの主観時間に合わせて変更することができます。
 ファスト・ドラッグを使用した場合、 使用者の主観時間に合わせて遅延時間を引き延ばすことができますので、 適切な医療設備へ移送するまでの時間を稼ぐことができるでしょう。
 二等寝台を用いた冷凍睡眠ならば、使用者の主観時間と同じく遅延時間も停まります。
 反対に、医療用のスロー・ドラッグを使用した場合は、 使用者の主観時間に合わせて遅延時間も加速されますので、外傷等の治療を行う場合は御注意下さい。。



 それぞれの被曝強度について、補足説明をしておきます。



 まず、被曝強度Zは、 核弾頭の爆発や粒子加速砲の命中による放射線被害放射線損傷による乗組員の負傷、を想定しています。
 宇宙船戦闘の被害判定(放射線損傷)で乗組員が被害を受けた場合、 その乗組員が被曝強度Zによる被曝を1回受けた、と解釈する訳です。  このルールは、地上戦闘で核弾頭が使われた場合にも適用して構いませんし、 恒星の異常爆発を宇宙空間で受けた場合などにも適用できるかも知れません。

 乗組員は一律で、耐久値に4ポイント(MT版)、あるいは特徴ポイントに4D6ポイント(CT版)のダメージを受けることにしました。
 このダメージはCT版サプリメント「ミサイル」のルールを参考にしています。
 乗組員の多く(特徴ポイントの合計が32以下のキャラクター)は即座に意識を失って 軽傷重傷となりますし、 その一部(特徴ポイントの合計が11以下のキャラクター)は死亡してしまうでしょう。
 生き残ったとしても彼らには治療(応急処置)が必要ですので、その乗組員は任務を続けられません。
 多くの軍用艦艇において、負傷した乗組員は応急処置の後、 二等寝台へ放り込まれるか、ファスト・ドラッグを投与されて、本格的な治療を行うまでの時間を稼ぐ、ということになる筈です。

 普通の損傷(外部損傷や内部損傷)ならば、火傷といった外傷だけで済むのですが、 放射線損傷はそれだけで収まりません。
 通常のダメージに加えて、遅延時間である1日が過ぎた後で、 更に4ポイント、あるいは4D6ポイントのダメージを受けるのです。
 この追加ダメージを防ぐためには、遅延時間が過ぎるよりも先に放射線治療を行って下さい(詳しくは後述)。



 被曝強度Yは、CT版シナリオ「灼熱面!横断!」の中に登場した被曝強度です。
 極めて強力な放射性物質放射性廃棄物を格納したコンテナが破損した場合、 核弾頭が爆発した直後に救護活動を行った場合などに適用できるでしょう。
 被曝している1時間毎に2ポイントのダメージを受けますので、 平均的なキャラクターならば2〜3時間、頑強なキャラクターでも8時間で確実に死亡してしまいます。
 しかも、そのダメージが実際に適用されるのは1週間後。
 シナリオをクリアして報酬を受け取った後、あるいは救護活動を終えた後、突然死亡している可能性も高いと思われますが、 予備知識の無いプレイヤーにとってこんな酷い話はありません。
 「灼熱面!横断!」の中では、プレイヤー・キャラクターが何も知らずに被曝するという設定が用意されていましたが、 こうした状態が有り得るのであれば、事前に線量計ぐらいは支給しておくべきだと考えます。



 被曝強度X被曝強度Vは、上記よりも少し弱い被曝状態として設定しました。
 上記、被曝強度Yの1時間当たり2ポイントというダメージは、 プレイヤーに緊迫感を与えることが目的ならば十分なのでしょうが、シナリオで頻繁に使うためには強過ぎます。
 そうした理由で、被曝強度Xは被曝時間4時間当たり1ポイントのダメージで遅延時間は1ヶ月(30日間)、 被曝強度Wは被曝時間1日(24時間)当たり1ポイントのダメージで遅延時間は4ヶ月(120日間)、 被曝強度Vは被曝時間1週間(7日間)当たり1ポイントのダメージで遅延時間は1年間、 に数値に設定しました。
 危険地帯(熱い場所)での作業時間を数時間に抑えなければならないとか、 放射性鉱石の露頭を数日以内に採掘しなければならないとか、 時間面での制約(押し)としては十分なのではないでしょうか。



 被曝強度Uは、被曝時間2ヶ月(60日間)当たり1ポイントのダメージで遅延時間が4年間、 被曝強度Tは、被曝時間1年間当たり1ポイントのダメージで遅延時間が10年間、です。
 微量の放射性物質が残留している戦場跡、というものをイメージして設定した数値でした。
 しかしながらトラベラーの場合、地表に強烈な紫外線が降り注いでいる世界であっても、 大気中に放射性物質が浮遊している世界であっても構わず植民している、恐るべき事実が判明。 (GT版「Behind the Claw」の中から見つけました)。
 こうした世界の状態を再現するため、そして、こうした世界でも人類が問題なく暮らせるようにするため、その被曝強度をルール化した訳です。
 その世界に短期間しか滞在しない流れ者(トラベラー)であるプレイヤー・キャラクターにはほとんど影響しない強度ですが、 その世界に住み着いて長期間が経過しているNPCには重要な問題を生じるだろうと考えました。



 放射線を遮断する方法については、色々な方法(輸送機器の装甲や個人用防具)が考えられると思いますが、
 ほぼ完全に放射線を遮断する(被曝強度Y以下の放射線ならば完全に遮断して、一切被曝しない)もの、
 部分的に放射線を遮断する(被曝強度を1〜2レベル引き下げる)もの、
 私は上記の2つを想定しています。

 宇宙船の船殻(装甲値=40)や隔壁(装甲値=30)は前者の代表的なものであり、核弾頭の命中など、 極端に強力なもの(被曝強度Z)を除けば、ほぼすべての放射線を防ぐことが可能であると考えました。
 放射性物質を運搬するための専用コンテナなどもこのタイプ。
 放射線を防ぐことに特化しているため、例えば射撃や爆発に対しては装甲値15の防御力しかなくても、 放射線に対しては装甲値30の隔壁と同レベルの遮断効果を持つ、といった素材は有り得るでしょう。
 前述の専用コンテナなどは、こうした素材で作られている筈だと考えます。

 宇宙服のような個人用防具は、被曝強度T〜Vを1レベル引き下げることができますが、 被曝強度W以上に対しては防護効果がありません。
 被曝強度Tが1レベル下がると、放射線の被曝は生じないものだと見なして下さい。

 「灼熱面!横断!」において、ATVの装甲は放射線を完全に遮断し、 宇宙服は何の防護効果も持たないという設定でした。
 しかしこれは被曝強度Yしか想定されていなかったためではないかと考えられます。
 CT版のシナリオなので、宇宙船とATVの装甲を比較することは出来ませんでした。




(3)放射線による負傷の治療

 放射線治療薬という魔法のアイテムを作りました。
 トラベラー世界において放射線による負傷は、 風邪を引いたようなものだという世界観に準拠しています。
 放射線に詳しい方からのツッコミは御遠慮下さい(苦笑)。



 放射線治療薬の種類、入手できるテックレベル、治療効果、価格については以下の通り。


             表43 放射線治療薬のタイプ

MRT06_Fig43.gif - 9.43KB

 表の左端は、テックレベル(TL)放射線治療薬のタイプ
 放射線治療薬が製造可能なテックレベルは8からで、10、12、14とテックレベルが上がる毎に、 より高性能な治療薬を、より安価に製造できることにしました。

 その右側が放射線治療薬の服用期間治療効果
 初期型の治療薬は1週間の服用で1ポイントのダメージ、 標準型の治療薬は1日の服用で1ポイントのダメージ、 発展型の治療薬は4時間の服用で1ポイントのダメージを治療できる、ということです。

 表の右端は、放射線治療薬の価格(Cr)
 左側に示した服用期間治療効果を得るための分量の価格です。
 放射線治療薬の形は錠剤でも注射でも、どのようなものでも構いません(レフリーの裁量)。



 放射線による負傷の有難いところは、被曝してから(ダメージが確定してから)実際にダメージを適用するまでの間に 遅延時間が存在することです。
 その間に治療薬を使ってダメージを治してしまえば、実際に受けるダメージは無くなります。

 そんな馬鹿な……。

 とぼやきたくなる気持ちも分かりますが、そうでもしない限り 放射線に関するトラベラーの世界観には合致しません。
 スロー・ドラッグファスト・ドラッグと同じ、 魔法のアイテムだということで御了承下さい。



 具体的な使用方法については、以下へ纏めました。


            表44 放射線治療薬の治療限界

MRT06_Fig44.gif - 6.03KB

 表の左端は、放射線治療薬のタイプ

 表の右側は、指定された(遅延時間の)期限内に、 異なるタイプの放射線治療薬が、最大で何ポイントの治療効果が得られるか、ということを示したものです。

 被曝強度Z〜Vにおいて、比較的短時間の被曝しかしていない (放射線によって生じるダメージが少ない)、という想定をしました。



 被曝強度Zの被曝(宇宙船戦闘における放射線損傷)を受けたキャラクターは、 1日(24時間)後に4ポイントのダメージを受けます。
 被爆直後から治療を始めたとしても、ダメージの適用までに残された時間は1日(24時間)しかありません。

 初期型の治療薬を用いた場合、服用期間が1週間なので、 遅延時間=1日以内の治療は行えませんでした(治療不可)。
 標準型の治療薬を用いた場合、服用期間が1日なので、 遅延時間=1日以内に治療できるダメージは1ポイントのみ。
 残り3ポイントのダメージは、そのまま適用されてしまいます。
 発展型の治療薬ならば服用期間が4時間なので、 遅延時間=1日以内に治療できるダメージは最大で6ポイントとなりました。
 被曝1回分のダメージ4ポイントを治療するのであれば、16時間(=4時間×4ポイント)だけでも十分です。
 余った8時間は、負傷者の後送時間として利用すれば良いでしょう。

 という訳で、被曝強度Zにおける被曝を治療するためには、発展型の放射線治療薬が不可欠です。
 ダメージ4ポイントを治療するためには4回の服用が必要で、それだけの購入費用はTL12で4,000cr、TL14で400crとなりました。
 TL14以上の世界ならばともかく、TL12の世界における治療は高く付きそうです。
 TL11以下の世界では遅延時間内での治療ができません。
 3〜4ポイントのダメージを受けることが確実ですから、高い確率でキャラクターは死亡するでしょう。



 被曝強度Yの被曝を受けたキャラクターは、 被曝した1時間当たり2ポイントのダメージを受けます。
 遅延時間1週間

 初期型の治療薬を用いた場合、服用期間が1週間なので、 遅延時間=1週間以内に治療できるダメージは1ポイントのみです。
 被曝強度Yの場合、1時間の被曝で受けるダメージが2ポイントなので、その内1ポイントだけしか治療できません。
 2時間以上の被曝をしていた場合は、そのダメージがそのまま加算されますから、 遅延時間内での治療がほとんど無意味になってしまいました。
 標準型の治療薬を用いた場合、遅延時間=1週間以内に治療できるダメージは最大で7ポイント。
 被曝している時間が3時間までならば6ポイントのダメージすべてを治療できますが、 被曝している時間が4時間以上ならば治療しきれないダメージが残ってしまいます。
 発展型の治療薬を用いた場合、遅延時間以内に治療できるダメージは最大で42ポイント。
 被曝時間が21時間までならば、確定しているダメージのすべてを治療できるでしょう。

 被曝強度Yにおける被曝を治療するためには、標準型か発展型の放射線治療薬が不可欠ですが、 逆に考えると治療が間に合えば死なずに済むと言えるようです。



 被曝強度Xの被曝を受けたキャラクターは、 被曝した4時間当たり1ポイントのダメージを受けます。
 遅延時間1ヶ月(30日間)

 初期型の治療薬を用いた場合、遅延時間=1ヶ月以内に治療できるダメージは4ポイントまで増えました。
 被曝している時間が16時間(=4時間×4ポイント)までならば、受けたダメージをすべて治療できます。
 標準型の治療薬を用いた場合、遅延時間=1ヶ月以内に治療できるダメージは最大で30ポイント。
 被曝している時間が120時間(=4時間×30ポイント)までならば、すべてのダメージを治療できるでしょう。
 発展型の治療薬を用いた場合、遅延時間以内に治療できるダメージは最大で180ポイント。
 実は、発展型の服用期間と、被曝強度Xの被曝時間の単位は、 同じ4時間です。
 ですから、被曝によってダメージを受けるのと同じペースで治療ができる、という面白い状況になってしまいました。

 被曝強度Xにおける被曝を治療するためには、初期型か標準型の放射線治療薬で充分です。
 状況によっては、被曝時間が長く、確定したダメージが大きかった場合には、発展型の放射線治療薬を使うことになるかも知れません。



 被曝強度Wの被曝を受けたキャラクターは、 被曝した1日当たり1ポイントのダメージを受けます。
 遅延時間4ヶ月(120日間)

 初期型の治療薬を用いた場合、遅延時間=4ヶ月以内に治療できるダメージは17ポイント。
 被曝している時間が17日間(=1日×17ポイント)までならば、受けたダメージすべてを治療できます。
 標準型の治療薬を用いた場合、遅延時間以内に治療できるダメージは最大で120ポイント。
 標準型の服用期間と、被曝強度Wの被曝時間は、同じ1日
 ここでも、被曝によってダメージを受けるのと同じペースで治療ができる、訳です。
 発展型の治療薬ならば、その効果はより顕著となるでしょう。

 被曝強度Wにおける被曝を治療するためには、初期型の放射線治療薬で十分です。
 治療の開始が遅れて、遅延時間の残りが少ないため発展型の治療薬を使うとか、 経済的な理由によっては、標準型の放射線治療薬を使うといった状況も有り得ますが。



 被曝強度Vの被曝を受けたキャラクターは、 被曝した1週間当たり1ポイントのダメージを受けます。
 遅延時間1年間

 初期型の治療薬を用いた場合、遅延時間以内に治療できるダメージは最大で52ポイント。
 1年間に受けるダメージの最大値も52ポイントなので、初期型の治療薬であっても、 被曝によってダメージを受けるのと同じペースで治療ができる、ということになりました。
 もちろん様々な要因から、標準型の治療薬を用いるという状況も有り得るでしょう。



 今度は、被曝が長期間に及ぶ、あるいは、24時間×365日の連続した被曝環境にあるキャラクターの治療について。


            表45 長期間に及ぶ被曝の治療

MRT06_Fig45.gif - 6.83KB

 表の左端は、被曝強度
 その右側が、その被曝強度で1ポイントのダメージを受けるために必要な被曝時間
 更に右側へ、その被曝強度で被曝した場合に受ける、1年間のダメージの合計を示しました。

 表の右側は、指定された(遅延時間の)期限内に、 異なるタイプの放射線治療薬が、最大で何ポイントの治療効果が得られるか、ということを示したものです。



 表44では、被曝強度Z〜Vにおいて、比較的短時間の被曝しかしていない (放射線によって生じるダメージが少ない)、という想定をしていました。
 しかし表45では、被曝強度がV〜Tと弱くても、被曝時間が長い状況を想定しています。
 被曝強度がV以下である場合、 被曝時間が長くなければダメージが発生しない、ということが主要因である訳ですが。



 被曝強度Vの被曝を受けているキャラクターは、 被曝している1週間当たり1ポイントのダメージを受けます。
 遅延時間1年間
 その1年間を連続して被曝していた場合、1年間に確定するダメージの合計は52ポイントでした。

 すでに表44で考察した通り、初期型の治療薬を用いた場合、1年間に最大で52ポイントを治療できます。
 1年間の連続服用を行っていれば、被曝と同じペースで治療を行えますから、 遅延時間が過ぎた後でも、実際にダメージが適用されることはありません。
 被曝するような環境下でも、宇宙服や防護服なしで活動できる(作業できる)ということは実に有難いことだと思いますが、 しかし、その薬品代が260,000cr(TL8)〜2,600cr(TL12)掛かりました。
 経済的には、宇宙服の使用とどちらが「お得」なのでしょうか。

 標準型の治療薬を用いた場合は、1年間で最大365ポイントの治療が可能ですので、毎日の服用は必要ありません。
 週に1回程度の服用で十分です(服用期間は1日)。
 その薬品代は104,000cr(TL10)〜1,040cr(TL14)
 テックレベルが十分に高ければ(14以上ならば)最も安上りでした。

 発展型の治療薬を用いた場合も、毎日の服用は必要ありません。
 同じく週1回程度の服用で、服用期間は4時間。
 その薬品代は52,000cr(TL12)〜5,200cr(TL14)



 被曝強度Uの被曝を受けているキャラクターは、 被曝している2ヶ月(60日間)当たり1ポイントのダメージを受けます。
 遅延時間4年間
 1年間連続して被曝していた場合、1年間に確定するダメージの合計は6ポイントでした。

 なので、放射線治療薬を連続して服用する必要はありません。
 被曝時間である2ヶ月に1回の頻度で足ります。
 用いた治療薬が初期型であるならば、薬品代は30,000cr(TL8)〜300cr(TL12)
 標準型であるならば、薬品代は12,000cr(TL10)〜120cr(TL14)
 発展型であるならば、薬品代は6,000cr(TL12)〜600cr(TL14)



 被曝強度Tの被曝を受けているキャラクターは、 被曝している1年間当たり1ポイントのダメージを受けます。
 遅延時間10年間
 1年間連続して被曝していても、確定するダメージは1ポイントしかありません。

 放射線治療薬を連続して服用する必要は無く、被曝時間である1年間に1回で十分です。
 治療薬が初期型であるならば、薬品代は5,000cr(TL8)〜50cr(TL12)
 標準型であるならば、薬品代は2,000cr(TL10)〜20cr(TL14)
 発展型であるならば、薬品代は1,000cr(TL12)〜100cr(TL14)



 こうした形で(頻度で)放射線治療薬を用いることによって、放射線や放射性物質が存在する世界であっても、 長期間に渡る居住(入植)が可能となります。
 被曝強度Vの世界における、年間260,000cr(TL8)の薬品代は無茶だと思いますが、
 被曝強度Uの世界における120cr(TL14)や、 被曝強度Tの世界における20cr(TL14)ならば、 年1回のワクチン接種のようなものではないでしょうか?
 ハイテク世界の住人、あるいはハイテク世界から安価な放射線治療薬の供給を確実に受けられる世界の住人ならば、 放射線なんか怖くない、のです。




(4)ダメージの適用

 被曝によってダメージが確定した後、被曝の可能性を危ぶんだキャラクターが病院や医務室で診察を受ければ、その事実は簡単に判明します。
 受けたダメージの大きさ、遅延時間等も同時に分かる筈なので、それに合わせた適切な治療を始めることになるでしょう。

 問題は被曝に気付かなかった場合なのですが、それについてはレフリーの裁量。
 普通、眩暈や吐き気、身体の怠さがあれば気付いて当然、だと思うのですが、過酷な労働環境で働いていると 体調不良が慢性的なものとなってしまい、自覚症状があっても気付かない(気付けない)可能性が高いのです。

 参考にしているシナリオ「灼熱面!横断!」でも、 実際にダメージが適用されるまでの間、キャラクターは何の問題もなく行動することが可能だ、というルールでした。
 その行動に何のペナルティも無いので、余計に自覚し難いのでしょうけれど。
 放射線によるダメージは、プレイヤー自身が気を付けるしかないようです。



 被曝に気付かなかった場合、あるいは、放射線治療薬による治療が間に合わなかった場合、キャラクターには、 遅延時間が過ぎた後でダメージが適用されます。
 被曝時間が長かった場合、ダメージの適用が複数回に及ぶこともあるかと思われますが、それらのダメージ適用は、 被曝によるダメージが確定してから、きっかり遅延時間の適用を行うようにして下さい。

 仮に被曝強度Zの被曝を1回だけ受けたとしておきましょう。
 その日時は、001日の12時でした。
 ダメージの確定は、001日の12時に4ポイントなので、何の治療も施さなかったのであれば、
 遅延時間である1日(24時間)が過ぎた後、 002日の12時に4ポイントのダメージを適用することとなります。
 外傷としてすでに4ポイントのダメージを(宇宙船戦闘において放射線損傷を)受けている可能性が高いので、 この追加の4ポイントは、負傷状態のキャラクターへトドメを刺すかも知れません。

 被曝強度Yの被曝を3時間受けた(001日の12時〜15時の間)のだとすれば、 ダメージの確定は、001日の13時に2ポイント、14時に2ポイント、15時に2ポイント、となりました。
 何の治療も施さなかった場合は、遅延時間である1週間が過ぎた後、 008日の13時に2ポイント、14時に2ポイント、15時に2ポイント、のダメージを適用して下さい。
 被曝に気付いていなかった場合は、突然、短時間に6ポイントのダメージを受けて重傷、あるいは、死亡という流れになるのではないかと思います。



 具体的なダメージの適用については、「プレイヤーズ・マニュアル、」のルールに従って下さい。

 キャラクターが持つ耐久値の、左側の数値(無力化値)がゼロにならないのであれば、 キャラクターの状態はかすり傷
 キャラクターが持つ耐久値の、左側の数値(無力化値)がゼロとなり、右側の数値(破壊値)がゼロにならないのであれば、 キャラクターの状態は軽傷重傷
 キャラクターが持つ耐久値の、右側の数値(破壊値)がゼロとなったのであれば、 キャラクターの状態は死亡です。



 診断(Diagnosis)、あるいは 初期診断と負傷への手当(To perform initial diagnosis / treatment for an injury)も、不可欠です。
 放射線によるダメージは、メガトラベラーのルールで想定されているダメージ(戦闘で生じた外傷)とは方向性が大きく異なるのですが、 ルールの複雑化を避けるため、同じ対応をすることにしました。

 キャラクターの状態がかすり傷であっても、応急処置無しで放置されれば、 2D時間後に追加ダメージを受けます。
 軽傷の状態となったキャラクターは3D分間意識を失い、 応急処置無しで放置された場合は1D×10分後に追加ダメージを受けます。
 それでも治療を受けないのであれば、1時間毎に1回の追加ダメージです。
 重傷の状態となったキャラクターは1D時間意識を失い、 応急処置無しで放置された場合は2D分後に追加ダメージを受けます。
 その後、1時間毎に1回の追加ダメージを受ける点は軽傷と同じ。



 本格的な治療についても同じルールを用います。
 かすり傷ならば、応急手当だけでも十分です。もちろん、その応急手当に成功しなければなりませんが。
 軽傷は、本格的な治療が必要です。
 重傷は、手術を伴った、本格的な治療が必要です。
 治療費、安静期間、入院日数については、ルールそのままを用いて下さい。



 但し、放射線によるダメージは、放射線治療薬を用いることでしか回復できません。
 ですから、放射線によるダメージをすべて放射線治療薬で治してから、通常の回復手順を開始して下さい。
 分かり難い表現かも知れませんが、放射線治療薬によって体内に残るダメージの原因を治療(排除)した後に、身体の回復を行うということです。
 ダメージの原因を治療(排除)しない限り、どんな治療方法であっても、身体の回復には繋がりません。

 かすり傷の場合、安静にしている必要はないので、 放射線治療薬による治療を続けながらであっても、通常の行動が行えます。
 ダメージによって特徴ポイントが低下しているという、ある意味ペナルティを受けた状態となっている訳ですが。

 軽傷の場合、放射線治療薬を用いている期間はすべて安静です。
 4ポイントのダメージを受けていて、標準型の治療薬を用いるのであれば4日。
 6ポイントのダメージを受けていて、初期型の治療薬を用いるのであれば6週間。
 これだけの日数(時間)が追加されてしまう訳ですが、 軽傷は元から2D日の安静期間が必要となります。
 放射線治療薬を使わない(使えない)場合は、安静にしている日数(入院期間)がそのまま伸びるだけです。
 安静にしている期間の入院費用は1日500crを支払って下さい。

 重傷の場合も、放射線治療薬を用いている期間はすべて安静です。
 この部分は軽傷と同じ。
 重傷は元から1D×10日の安静が必要ですので、 それほど極端に入院期間が延びる、ということも無いでしょう。




(5)負傷のサンプル

 2人のキャラクターをサンプルとして、放射線によるダメージの適用を行ってみました。

 アブナー・アトキンズ(8BA736)は、30歳の優男。
 相棒のベニー・バクスター(CB8653)は、26歳の筋肉達磨。
 2人は止むを得ない事情(金欠)によって、ダイナム(ランス星域0201/D100535-A)に滞在していましたが、共に冒険へ巻き込まれます。
 その冒険は様々な問題を引き起こして終了しましたが、その間に2人は 被曝強度Yの被曝を3時間受けてしまいました。
 その後の彼らがどうなったかを見て行きましょう。

 被曝した時間は、帝国歴1106年の101日です。
 時間は、12時から15時までの3時間である、としました。
 確定したダメージは3時間分なので毎時2ポイント×3時間=6ポイント。
 被曝強度Y遅延時間=1週間なので、 それらのダメージの適用は1週間(7日)後の108日。
 正確な時間はそれぞれ13時、14時、15時。



 冒険を終えた2人は、同じ宇宙船に乗って、リジャイナ(リジャイナ星域0310/A788899-C)へ向かいます。
 アトキンズは、冒険の報酬として獲得した一等チケット(8,000cr相当)を利用。
 バクスターも同じように一等チケットを得ていましたが、転売して、現金7,200crに換金しました。
 代わりに二等チケット(1,000cr)を購入して、宇宙船へ乗船。
 差額の現金6,200crを、追加の報酬とするのだそうです。
 二等寝台における死亡率が極めて低くなったメガトラベラーのルールならば、そうした選択も有り得るでしょう。



 さて、2人はリジャイナ行きの同じ宇宙船に乗り込みました。
 アトキンズは、特等チケットを持った客が来ないかどうか、ぎりぎりまで待ってからの乗船。
 バクスターは半日前から貨物と一緒に船倉へ乗り込み、二等寝台で冷凍されています。
 宇宙船の出航は104日の12時でした。
 ダイナム星系内での移動に1日、ジャンプ空間で7日、リジャイナ星系内での移動に1日を費やす予定なので、 何も無ければ到着は113日の12時です。



 アトキンズは船内で普通に生活をしていますから、遅延時間に影響は出ません。
 ダメージの適用は当初の計算通り、108日の13時〜15時です。
 彼は出航から4日後、昼食の後に突然、倒れることとなりました。

 108日の13時、昼食後の珈琲を楽しみつつ、午後の予定を他の旅客と話していた時点で突然、 2ポイントのダメージが適用されます。
 アトキンズのUPPは8BA736なので、耐久値は4/6でした。
 2ポイントのダメージを受けても、左側の耐久値(無力化値)が2つ減るだけです。
 まだ意識を失うほどではありません(かすり傷扱い)。
 この時点でのUPPは、敏捷力にダメージ2ポイント分(サイコロの目は5と3)を適用して、83A736となっています。

 しかし何か身体に問題があるのだろうと思ったアトキンズは、船医の診察を受けることにしました。
 この旅客船の船内には、テックレベル12以上の医療器具が用意されていたので、 負傷の診断(応急手当)は一瞬で終了します(ロールプレイ的には1分程度の見込み)。
 アトキンズは、自分が被曝していたことを教えられました。

 適用されているダメージはまだ一部のみであり、まだこれからダメージが増えること。
 放射線によるダメージは放射線治療薬を用いる以外に治せず、 医務室の在庫には標準型の放射線治療薬しか無いこと。
 すでに確定しているダメージを適用前に治すことは不可能なので、死ぬ事はないだろうが、 軽傷重傷になることは確実である、と。

 アトキンズは嘆きつつも、急いで安静の準備を整えました。
 死ぬ事は無いと保障されていますが、標準型の放射線治療薬しか使えないのであれば、 旅行中はずっとベッドの上に居なければならないことが確実なのです。
 旅行中の船内で、次の仕事探しを済ませる予定だったアトキンズには不本意なことでしょうけれど。

 やがて14時を迎え、アトキンズにはダメージ2ポイントが追加されました。
 耐久値は、左側の無力化値が0(ゼロ)となりましたので、意識を失います(耐久値0/6)。
 UPPへのダメージ(サイコロの目は2と3)は、敏捷力に3、耐久値に2を適用しました。
 現時点でのUPPは808736、です。

 15時に最後のダメージ2ポイントを受けます。
 耐久値は右側の方まで減って、0/4になりました。
 UPPへのダメージ(サイコロの目は4と6)は、筋力に4、耐久値に6を適用して、最終的なUPPは402736、です、

 という訳で、アトキンズの症状は軽傷で済みましたが、 放射線治療薬を服用している6日間と、 軽傷の治療前半に必要な2日間(サイコロの目が2でした)、 合わせて8日間はベッドの上で安静です。
 リジャイナに到着するのが113日。
 軽傷の治療後半に必要な日数は4日(サイコロの目が4)でしたから、 リジャイナに到着してからの7日間を、アトキンズ氏は病院で過ごしたようです。

 治療費は、標準型の放射線治療薬がテックレベル12(リジャイナ)で製造されたものだったため、 1,200cr(=200cr×6回分)が掛かります。
 入院費が、前半の8日間(×500cr=4,000cr)と後半の4日間(×100cr=400cr)で、4,400cr。
 薬代と入院費を合わせて、5,600crが掛かりました。

 結構な大金だと思います。
 退院したアトキンズは急いで仕事を探さなければなりません。



 バクスターは前述の通り出航の半日前、104日の00時から宇宙船へ乗り込んで、冷凍されています。
 冷凍睡眠の間、主観時間は止まっていますから、放射線によるダメージの進行も止まります。
 宇宙船が移動する9日間に加え、その前後、冷凍と解凍で半日(12時間)を費やしますから、 遅延時間=1週間に10日間を加算。
 バクスターにダメージが適用される日時は、118日の13時です。

 バクスターが冷凍されている間、相棒のアトキンズはダメージの適用を受け、 軽傷の状態で安静となりました。
 アトキンズの依頼によって、バクスターは病院へ運び込まれてから解凍し、すぐさま治療を開始を始めます。

 入院が114日の00時、ダメージの適用が118日の13時ですから、残された時間は4日と13時間。
 確定しているダメージは6ポイントなので、残された時間と治療費(薬品代)のバランスを考えて、 標準型の放射線治療薬×4回と、発展型の放射線治療薬×2回を用いることにします。
 服用時間の合計は、標準型×4回で4日、発展型×2回で8時間。

 診療時間等を計算に入れれば本当にぎりぎりなのでしょうが、バクスターは被曝のダメージが実際に適用されるよりも早く、 それらのダメージを治療することに成功しました。
 バクスターは、アトキンズの恨めしそうな視線を背に受けながらも、無傷で退院します。

 治療費の薬代は、標準型の放射線治療薬が800cr(=200cr×4回分)、 発展型の放射線治療薬が2,000cr(=1,000cr×2回分)、合わせて2,800cr。
 入院費が、5日間で2,000cr(=500cr×4)。
 薬代と入院費を合わせて、4,800crが掛かりました。



 2人の経過を時系列で並べ直すと、以下のような表となります。
 まずは、アトキンズの方から。


          表46 負傷のサンプル−A(アトキンズ)

MRT06_Fig46.gif - 14.2KB

 表の左端は、日時です。
 アトキンズが被曝した101日の12時から、治療の終わった120日の15時まで。

 表の中央は出来事
 アトキンズの体験した出来事、受けたダメージ、治療の経過、などを記述しました。

 表の右端は、キャラクターの特徴ポイント(UPP)
 ダメージを受けて、かすり傷軽傷の状態となり、 その後の回復の度合いが、UPPの増減で表現されています。



 次は、バクスター。


          表47 負傷のサンプル−B(バクスター)

MRT06_Fig47.gif - 10.4KB

 形式は表46と同じ。

 バクスターは、被曝のダメージが実際に適用されるよりも早く、それらのダメージを治療することに成功しております。
 ですから、UPPの増減はありません。



 説明がくどくなりましたが、放射線によるダメージの適用は、このような形でお願いします。





8.まとめ


 今回は核分裂炉で利用される 核燃料(=放射性物質)について考察を行いました。



 まずは、メガトラベラーの輸送機器設計ルールに登場する 放射性物質が何であるのか、ということを考察しました。
 色々と調べましたが、放射性物質の重量、 1キロリットル当たり12.50トンを満足する物質は見つかりません。
 仕方がないので最も無難な放射性物質として二酸化ウランを想定しておきます。



 その次は、核燃料の消費量について、考察しました。
 エラッタによって訂正された核分裂炉は、化石燃料を利用する蒸気機関や内燃機関と比べても、 極めて燃費の良いパワープラントであることが判明しています。
 経済性も極めて良好であり、核分裂炉自体は高価なのですが、 その購入費用を1ヶ月〜8ヶ月分の燃料コストで取り戻すことが可能でした。
 エラッタによって、燃料消費量が訂正されたおかげです。

 また、メガトラベラーの輸送機器設計ルールで建造された核分裂炉は、 現実(リアル)と比べて5倍の燃料を消費する事実が明らかとなりました。
 そうした発見を踏まえて、世界で消費されている化石燃料(=炭化水素)を、 核燃料(=放射性物質)へ置き換えてみると、人口10億人当たりの数字ですが、
 1900年頃(TL4)であれば5,715トン、1930年頃(TL5)であれば70,236トン、1950年頃(TL6)であれば178,716トン、 1970年頃(TL7)であれば429,278トン、1990年頃(TL8)であれば674,136トンが必要です。
 恒星間輸送のため上記の重量を排水素トンへ直してみると、34排水素トン〜3,995排水素トンでした。
 10億人(TL8)の1年間で消費するエネルギー源がわずか4,000排水素トンで賄えるということで、 核分裂炉放射性物質はとても魅力的な存在になってきたようです。

 20億年前に存在した天然原子炉の件から思い付き、 時間の経過と共に変化するウラン235の存在率を計算してみました。
 現代のテラを基準として、20億年前(年齢が25億年)の星系ではウラン235の濃度が3.7%もあるので、 濃縮過程を省いても核燃料として利用できること。
 30億年前から40億年前に相当する(年齢が5億年から15億年の)若い星系では、ウラン235の濃度が8.0%〜16.7%もあるので、 適切な濃度まで下げるため、使用済みの核燃料を用いて希釈しなければならないこと。
 トラベラー世界において核燃料の原料となる天然ウランの供給源は、こういった若い星系になること。
 上記の3つが明らかになっています。
 船荷や投機貿易品として、恒星間宇宙を放射性物質が行き交う理由付けとしては十分でしょう。



 核燃料(=放射性物質)の原料である ウランの採掘をルール化しました。
 どんな環境であっても採掘コストは一定なのですが、星系の年齢によってウラン235の濃度が変わってくるため、 採掘によって得られる「ウラン精鉱」の価格も変わります。
 トラベラー世界におけるウランの採掘は、年齢が5億年から15億年ほどの若い星系が中心となることを、 このハウス・ルールでも確認できました。

 若い星系で採掘されるウランは前述の通り、ウラン235の濃度が8.0%〜16.7%もあるので、 適切な濃度まで下げるため、使用済みの核燃料を用いて希釈しなければなりません。
 使用済み核燃料をリサイクルするため、 使用済みの核燃料も恒星間を輸送される可能性が見つかりました。
 残念ながら、ウラン235の濃度が1.6%以下の「ウラン精鉱」は、 濃縮すること自体が不経済なので、需要も無いようです。



 核燃料(=放射性物質)の恒星間輸送について、 その生産地(採掘星系)と消費地(テックレベルが7〜9の範囲にある高人口世界)の位置を確かめながら、考察してみました。
 生産地と消費地は1パーセクから5パーセクの距離しか離れておらず、その輸送コスト(運賃)は販売価格にほとんど影響を与えません。
 高人口世界以外の消費地であっても、 高人口世界から核燃料(=放射性物質)を輸送することで、 十分に必要量を賄えると思われます。



 核弾頭について考察しました。
 トラベラー世界の核弾頭は極めて安価に、そして大量に製造できることが判明してしまいましたが、 年齢が45億年の星系ではウランの濃縮に手間が掛かる、といった理由で製造コストを大きく引き上げています。
 古代テラの現実(リアル)と、できるだけ矛盾の少ない設定にできたのではないでしょうか。
 放射性廃棄物帝国戦争規約についても考察を試みましたが、 上手い設定が作れなかったため、レフリーの裁量となっています。



 最後は、放射線による負傷と、その治療について。
 ハウス・ルールを作りました。
 CT版のシナリオ「灼熱面!横断!」を参考にしていますので、公式設定からの逸脱は少ないと思われます。






 2017.06.11 初投稿