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スピンワード・マーチ宙域における大手ロボット・メーカー、「セリムパ・トレーディング社」が、ついに「チーフ・ロボット」の宇宙船用モデルを発売しました。
「チーフ・ロボット」は、ホテルやレストラン、オフィス、工場など、多数のロボットが働いている企業向けに開発された、万能型の主部ロボットです。
1台の主部が、複数の従部ロボットを操るというマルチ・ロボットのアイデアは古くから存在しており、また、実用化されてきました。 しかし、1台の主部ロボットが、複数の異なるタイプの従部ロボットを操るマルチ・ロボットは、つい最近「チーフ・ロボット」が登場するまで、帝国には存在していませんでした(唯ひとつの前例が、ククリーの労働ロボット群、101ロボットのNo36です)。 そのため、異なる用途、異なる従部ロボットごとに、異なる主部ロボットを用意しておく必要があったのです。 この事実は、マルチ・ロボットの調達コストを大きく引き上げてしまい、企業による、ロボットの導入を妨げていました。
セリムパ社の「チーフ・ロボット」は、高い知力と教育度を備えており、複数の従部ロボットのために、同時に異なる技能プログラムを持つことが可能でした。 そして、その技能レベルは少なくとも補助ロボットのレベルに、一部の技能に関しては、専門ロボットに匹敵するものを備えています。
1048年、セリムパ社は、帝国/星域海軍から、無人艇用のパイロット・ロボットを大量に受注しました。 そのパイロット・ロボット「マレク・タウース」の原型となったロボットが、「チーフ・ロボット」です。 セリムパ社は、「マレク・タウース」の開発と運用で培ったノウハウを活用し、ついに、宇宙船用モデルの発売にまで、漕ぎ着けたのでした。 |
セリムパ・トレーディング社 「チーフ・ロボット」シリーズ
「チーフ・ロボット」本体は、大柄な人間型のロボットです。 単体でも自由に移動することが可能で、いくつかの作業を同時にこなせるほど有能ですが、専門用途に特化した、複数の従部ロボットを操ることで、その作業範囲をさらに広げることが、可能になりました。
今回、発売された宇宙船向けの「チーフ・ロボット」は、販売時に添付される応用プログラムによって、いくつかのモデルに分けられています。 その中で、代表的な(最も売上げの多い)人気モデルを、2つ紹介しましょう。
「チーフ・ロボット」 パイロット・モデル |
URP |
550X2-A2-MR22C-NB8C C184,000 123.5kg 150.0L (TL=15) |
ボディ |
30/75(メッシュ) 生物型(人間型) |
動力 |
燃料(水素)=40.5L 活動時間=10日間 |
歩行 |
パワー/重量比=8 接地圧=6.2 走行速度=50km/h 不整地=30km/h |
付属装置 |
頭部=10%(10L) 中量腕×2 |
胴体 |
動力インターフェース 頭脳インターフェース 主部ユニット 通信機50km |
頭部 |
基本センサー・パック 音声合成装置 |
頭脳 |
低自律型 上級命令 知力8 教育度12
応用プログラム <感情表現><スチュワード−3><尋問−1> 以上、CPU内部 <パイロット−4><航法−2><エンジニアリング−4> <通信−3><追加言語−2><心理学−1> 以上、記憶装置内部
<通信−3><航法−2>の技能を、以下の技能と交換可能です。 <エレクトロニクス−3><メカニクス−3><反重力工学−3><保安−3> <管理−2><清掃−2><貨物操作−2><近接戦闘−2> |
パイロット・モデルは、セリムパ社が「マレク・タウース」で培ったノウハウを、ふんだんに投入した最高傑作です。
宇宙船の運行については十分な知識と技能レベルを備えており、宇宙港からの離陸、通常航行、ジャンプイン/アウト、着陸までを、全自動で行なうことも可能です。 社内実験では、ジャンプ航行を含めて、10回以上の全自動運転を行なっていますが、一度も、致命的な事故を起こしていません。 備えられている技能プログラムは、常に安定した動作を示しています。 特に、<パイロット>技能と<エンジニアリング>技能に関しては、多くのモニター・ユーザーから高い評価を与えられました。
「チーフ・ロボット」は、24時間、休みなしのブリッジ当直にも文句を言いません。 疲労や体調不良による、操作ミスとも無縁です。 また、主部ユニットと通信機を装備していますので、当直の間に、ブリッジで座っている必要もありません。 当直に就きながら、ドライブ機器や船体各部の点検を行なうことさえ、可能です。 <エンジニアリング><反重力工学><エレクトロニクス><メカニクス>、すべての技能を3レベルで備えていますから、パワープラント、ジャンプドライブ、通常ドライブ、コンピュータなどの電子機器、その他の機械設備まで。 あらゆる分野の設備を点検して、不具合が見つかれば、その場で大半を修理できます。
<保安−3>と<管理−2>の技能を用いれば、旅客が乗船する際の受付や、所持品(禁制品)の検査も行なえます。
接客技能は、<スチュワード−3>レベル。 専門ロボットには劣りますが、十分、高い水準にあります。
<心理学>技能も備えていますので、お客様の抱えている問題に対して、親身に取り組むことが出来ます。
<尋問>技能は、お客様が言葉に言い表せない、あるいは、お客様自身にも分かっていないであろう問題にも対処可能とするため、用意されました。
もしも、酒に酔って暴れる、お客様がいらしても、心配は無用です。 <近接戦闘−2>の技能で、お客様が怪我をしないように、取り押さえることが出来ますので。
「チーフ・ロボット」 スチュワード・モデル |
URP |
550X2-A2-MR22C-NB8C C183,000 123.5kg 150.0L (TL=15) |
ボディ |
30/75(メッシュ) 生物型(人間型) |
動力 |
燃料(水素)=40.5L 活動時間=10日間 |
歩行 |
パワー/重量比=8 接地圧=6.2 走行速度=50km/h 不整地=30km/h |
付属装置 |
頭部=10%(10L) 中量腕×2 |
胴体 |
動力インターフェース 頭脳インターフェース 主部ユニット 通信機50km |
頭部 |
基本センサー・パック 音声合成装置 |
頭脳 |
低自律型 上級命令 知力8 教育度12
応用プログラム <感情表現><スチュワード−4><尋問−1> 以上、CPU内部 <従者−3><追加言語−2><消火活動/救出−2> <心理学−1><歴史(ラテン文化)> <演芸−3><教官−2><ギャンブル−1> 以上、記憶装置内部
<演芸−3><教官−2>の技能を、以下の技能と交換可能です。 <エレクトロニクス−3><メカニクス−3><反重力工学−3><保安−3> <管理−2><清掃−2><貨物操作−2><近接戦闘−2>
特殊な顧客向けとして、<ギャンブル−1>技能を、 <あやしいワザ−1>に換えたモデルも発売されています。 |
スチュワード・モデルは、操船関連の技能を、接客関連の技能に置き換えたモデルです。 こちらのモデルも長い年月をかけ、「チーフ・ロボット」の運用で蓄積された接客ノウハウが、大量に盛り込まれました。
<スチュワード>技能は、最高水準の4レベル。 マキドカルンの専門シェフ・ロボットにも負けません。
<演芸−3>の技能を巧みに用いることで、普通の食事、平凡な給仕時間が、たちまち華麗なショー・タイムに早変わり。 伝統的なテラの文化、ラテン文化に関する造詣も深く、そのラテンな言動が、特に女性客に大人気です。
<心理学>技能と、<尋問>技能が組み合わさることで、お客様の反応を素早く見抜けます。
<教官>技能は、お客様に様々な事柄を分かりやすく説明できますし、お子様への対応もばっちり。
退屈したお客様と、<ギャンブル>で遊ぶことも出来ます。
<追加言語−2>は、商船の出発地と目的地、双方の方言に合わせて調節することが一般的です。 帝国公用語が一般的になっているとはいえ、まだまだ、公用語を使いこなせないお客様も多くいらっしゃいます。 そんな時には、<追加言語>技能と、<教官>技能が役に立つでしょう。
ヴァルグルやアスランのお客様を乗せる場合があるかも知れません。 その時は、<追加言語>のひとつを、お客様の種族に合わせる他、<歴史>技能を入れ替えることで、異種族間に生じやすい、文化的なトラブルを防止できます。
下記に紹介する擬生物型ロボット、「ビアトリスSuper」と「ダンテSuper」を運用する場合、主部ロボットは、<あやしいワザ>技能を備えた、特殊モデルでなければなりません。 |
従部ロボットの紹介
セリムパ・トレーディング社が、様々なロボット・メーカーと提携して、販売している、「チーフ・ロボット」向けの従部ロボットを紹介します。 |
センタ・マウント社 擬生物型ロボット 「アンジェラ」 「ビアトリス」 「ダンテ」 シリーズ
接客用の、擬生物型ロボットです。 「アンジェラ」と「ビアトリス」に関しては、前回までに紹介済みですので、数値だけを再掲載します。
「ダンテ」は、センタ・マウント社で初めての、男性型ロボットです。 設計者のタロ・ヤマダ氏は、女性型ロボットばかりを設計し、販売していました。 その理由は、「男の裸なんて、デザインしたくない」と言い切るところにあります。
ところが先日、センタ・マウント社の筆頭個人株主であるヤマダ夫人(タロ・ヤマダ氏の妻でもあります)が、開発部門の査察に訪れました。 そして、「アンジェラ」から「ビアトリス」、さらには試作中の新型モデルまでを一通り調べた後、 「男性向けのロボットばかりじゃなくて、女性向けのロボットも作りなさい。 顧客の半分は、女性なのよ」 と、指示したのです。 筆頭株主であり、妻でもあるタロ夫人の命令に、タロ・ヤマダ氏は決して逆らえません。 そのため急遽、今まで計画すらされなかった男性型ロボット「ダンテ」の開発と、販売開始が決まったのでした。
男性型ロボットは、無理に小型化/軽量化する必要がなかったため、従来のバッテリー駆動ではなく、燃料電池を動力としています。 力仕事をすることも考えられたため、2本の超軽量腕は、より力の強い、軽量腕に変更されました。 以上の要因から、胴体サイズは大型化したものの、より安価に仕上がっています(コストは、女性型ビアトリスの約3分の2です)。 わざわざ書くことでもありませんが、「ダンテSuper」に備えられた「あやしい装備」は、当然、ひとつだけになりました。
余談ながら、ヤマダ夫人はソロマニ・リム宙域でもやり手のトレーダーです。 彼女の経営する会社は決して大企業という訳ではありませんが、どれもクセのある、ユニークな企業が揃っています。
HR001−Angela15 アンジェラ |
URP |
26X32-N2-00000-3D00 Cr54,960 35.9kg 44.0L (TL=15) |
ボディ |
9/22(ジャック) 擬生物型 |
動力 |
蓄電池=1.0kwh 活動時間=4分(節約モードで10分) |
歩行 |
パワー/重量比=13 接地圧=4.6 走行速度=60km/h 不整地=42km/h |
付属装置 |
頭部=40%(8L) 超軽量腕×2 |
胴体 |
高感度触覚 動力インターフェース 従部ユニット 通信機5km |
頭部 |
視覚×2 聴覚×2 嗅覚 音声合成装置 |
オプション パーツ |
お掃除用燃料電池 ディパック型の背負い式燃料電池。 0型の燃料電池と、燃料タンク5リットル、清掃用具パックから構成されます。
燃料=5.0L 活動時間=4日間 重量=30.6kg cr3,680 |
HR002−Beatrice15 ビアトリスSuper |
URP |
26X32-N2-00000-3D00 Cr161,250 45.0kg 44.0L (TL=15) |
ボディ |
9/22(ジャック) 擬生物型 |
動力 |
蓄電池=3.0kwh 活動時間=10分(節約モードで50分) |
歩行 |
パワー/重量比=10.8 接地圧=5.8 走行速度=55km/h 不整地=33km/h |
付属装置 |
頭部=40%(8L) 超軽量腕×2 |
胴体 |
高感度触覚 動力インターフェース 従部ユニット 通信機5km あやしい装備×2 |
頭部 |
視覚×2 聴覚×2 高感度嗅覚 味覚 音声合成装置 |
オプション パーツ |
外装式増設バッテリー ベルトポーチ型の外装バッテリー、TL=15版です。 ウェイトレス・タイプのユニフォームに、違和感の無い取り付けが可能。 着脱にかかる時間は、わずか10秒です。
蓄電池容量=21kwh 活動時間=90〜210分 重量=3.0kg cr24,000 |
URP |
360X2-L2-00000-EB00 Cr107,000 78.5kg 80.0L (TL=15) |
ボディ |
16/40(ジャック) 擬生物型 |
動力 |
燃料(水素)=7.0L 活動時間=3日 |
歩行 |
パワー/重量比=12.7 接地圧=7.9 走行速度=60km/h 不整地=30km/h |
付属装置 |
頭部=20%(10L) 軽量腕×2 |
胴体 |
高感度触覚 従部ユニット 通信機5km あやしい装備×1 |
頭部 |
視覚×2 聴覚×2 高感度嗅覚 味覚 音声合成装置 |
インテクト社 貨物操作ロボット 「D1−F(Slave)」
大手ロボットメーカー、インテクト社の貨物操作ロボットです。 インテクトD1−Bのテックレベル15モデルで、本来ならば、主部ロボット1台と、従部ロボット3台のチームで使われるべきロボットでした。 しかし、すでに主部ロボットを所有している場合は、従部ロボットのみを追加購入することも出来るのです。
設計はシンプルで、特別な付属機器もありません。 しかし、主部ロボットのプログラム次第では、従来と異なった使い方も可能です。
貨物操作ロボット インテクトD1−F(Slave) |
URP |
711XB-N2-00000-R300 Cr7,250 238kg 280L (TL=15) |
ボディ |
56/140(メッシュ) |
動力 |
燃料(水素)=81.0L 活動時間=33日間 |
装軌 |
パワー/重量比=12.5 接地圧=12.8 走行速度=100km/h 不整地=30km/h |
付属装置 |
頭部=40%(80L) 重量腕×2 |
胴体 |
従部ユニット 通信機5km |
頭部 |
基本センサー・パック 音声合成装置 |
L5P社 医療ロボット 「ロボドック凾nO」
グリッスンの小規模ロボット・メーカー、「ラグランジュ5・プロジェクト」社の製品です。
会社のロゴマークが、「LSP」に似ていると言われることも多いのですが、同社の広報によると、単なる偶然だそうです。 販売している医療ロボットが、LSP者のロボドック400(101ロボットのNo94)に似ていることも、優秀な医療ロボットを作ろうとした結果、偶然、同じようなデザインになってしまっただけだとのことです。 ちなみに、販売されている同社の医療ロボットの商品名は「ロボドック・デルタ・ダブルオー」と読むのだそうです。
ヴァルグルのロボドック(101ロボットのNo95)と異なり、〈医学〉技能を備えた主部ロボットさえあれば、きちんと動きます。 必要なセンサや触手、医療器具パックも用意されているので、ハード面(カタログ・スペックの上)では、LSP製のロボドック400にも、何ら劣るところはありません。
専門の医療ロボットは大変高価なものですが、乗組員や旅客が、怪我や病気をした時にしか使えません。 必要な時には無ければ困りますが、逆に考えると、普段は必要がないので、何の役にも立たないのです。 L5P社の無脳従部型ロボドックは、その点で極めて画期的な設計であり、ロボットの購入費用を少しでも節約したい、商船のオーナーには、好評のようです。
医療ロボット L5P製 ロボドック儖O |
URP |
612XA-06-00000-LF00 Cr33,600 203kg 150L (TL=15) |
ボディ |
30/75(メッシュ) |
動力 |
燃料(水素)=80.2L 活動時間=21日間 |
車輪 |
パワー/重量比=4.7 接地圧=67.7 走行速度=150km/h 不整地=7km/h |
付属装置 |
軽量触手×6 |
胴体 |
聴覚×1 高感度嗅覚 音声合成装置 高感度触覚 動力インターフェース 頭脳インターフェース 従部ユニット 通信機5km 医療器具パック×4 |
触手 |
視覚(望遠/光量増幅)×3 スポットライト×3 | |