番外 Vol.05 |
新しい理論が生まれると、それを積極的に現場に取り入れたくなる。 うまくいく場合もあるが、なかなかうまくいかない場合もある。 ここに紹介するのは、それがうまくいかなかった例、「エラー・エフェクト」と、それを医療現場に取り入れようとする試み、「ツインズ・システム・ロボット」である。 |
試作 擬似人間型看護ロボット |
エラー・エフェクト(失敗効果)について |
昔から言われてきたことであるが、ミスを経験したことの無い組織というのは脆弱である。 この点を証明しようというのがエラー・エフェクト理論であり、帝国暦1050年代にCore CapitalのH・Gimukusyaduを中心とした統計学者達のグループによって実証された。 はるか古代から経験的に知られてきたこの理論がこれまで立証されなかったのはそれまでは有意な統計的データーを得られなかったためである。 ある程度の“エラー”を内包することで、組織全体としての作業効率、信頼性が上昇する理由については様々な理由が考えられる。 常に“エラー”と対峙することで、ミスに対するチェック機能が強化され、全体としての信頼性の向上が期待されること。 “エラー”の存在が、組織の構成員達に適度な緊張をもたらすこと。 “エラー”の内容によっては、逆に過度の緊張を解くこともできること。 ある程度“エラー”の存在を容認することにより、“エラーの隠蔽”を減らし、より大きな危険性を取り除くことができること。 等が挙げられる。 このような「エラー・エフェクト」を、組織運用に積極的に取り入れようとする一つの試みがこれから紹介する看護用ロボットである。 この看護用ロボットの開発に着手したのは、RUロボット製作所の元技術者達の一団であった。 もともと、倒産前のRUロボット製作所内で、ある程度プロジェクトが進行していたものと思われる。 「エラー・エフェクト」を積極的に医療の現場に取り込もうとするのはかなりの困難を伴うことである。 なぜならば、医療現場というのはミスが即事故へとつながる危険性をはらんでおり、故意に”エラー”を起こすことそのものが危険であるからである。 従って、医療現場への「エラー・エフェクト」導入には、過度と思われるほどの慎重さが要求される。 この点を解決しようというのが「ツインズ・システム」である。 |
ツインズ・システムの概要 |
「ツインズ・システム」は、二台のロボットによって構成される。 二台のロボットは相互リンクによってデーターの共有が図られ、常に片方の行動をもう片方が監視できる様になっている。 このため、一方のロボットがミスを犯しても、もう片方のロボットがそれをカバーでき、全体としてミスそのものを帳消しにできる。 また、ミスからカバーまでに一定の時間を要するため、その間に人間達にもそのミスをカバーする機会が生まれる。 こうすることによって人間組織の中の、ミスに対するチェック機能を強化することができる。 最初に考案された「ツインズ・システム」搭載型ロボットは非常に高価な物になると予測された。 看護用ロボットには擬似生物型が最適であるが、これは非常に高価であり、これに「ツインズ・システム」の高度な情報処理能力を要する頭脳ユニットを搭載するとなると、ほとんど天文学的な価格となってしまうのである。 そこで考案されたのが、頭脳部分を主部ユニットとし、二台の従部をコントロールする方法であった。 しかしながら、この試みもうまくいかなかった。ひとつの頭脳ユニットで二台のほぼ同じ機能を持った従部を、まったく違った性格でコントロールすることは、頭脳ユニットに過大な負荷がかかり、一種の二重人格的な機能障害を引き起こす危険性が高いことがわかったのである。 そこで、この点を解決するために、「シャム・ユニット」と呼ばれる新しい種類の主部が考案されることとなった。 |
主部(シャム・ユニット) |
URP | 410xx-00-PQ32A-42C9(L) Cr1,349,870 40.3s 62.7L 燃料=24 活動時間=10.0 TL=15 16/40(メッシュ) |
副頭脳 | URP xxxxx-xx-PM328-xxC3(B) |
胴体 | 主部ユニットx2 通信機(5km)x2 動力インターフェイスx1 頭脳インターフェイスx2 プログラムインターフェイスx2 |
技能 | (CPU) 〈演芸(ツッコミ)−4〉〈医学−2〉〈心理学−2〉〈医療機器操作〉 〈感情表現〉 (メモリー)〈教官−2〉〈管理−2〉〈スチュワード−2〉〈従者−1〉〈清掃−1〉 |
技能 (副頭脳) |
(CPU) 〈演芸(ボケ)−4〉〈医学−2〉〈心理学−2〉〈医療機器操作〉〈感情表現〉 (メモリー)〈スチュワード−2〉〈従者−1〉〈清掃−1〉 |
「シャム・ユニット」は、二台の従部を、まったく異なった性格付けでコントロールするために、開発されたものである。 このユニットの特徴は一台のロボットに、二基の頭脳ユニットを搭載していることである。 二基の頭脳ユニットはお互いにリンクしており、またそれぞれが別々の従部をコントロールする。 こうして主部ユニットはやや高価なものになったが、擬似生物型のロボットに頭脳を搭載した初期のシステムと比較すると、システム全体としての価格を非常に低く抑えることに成功した。 |
従部(ハイブ製) |
URP | 360x2-12-LL3x1-DD(3)(2) Cr779,592 53s 53.8L 燃料=24 活動時間=10 TL=15(頭脳は16) 12/31(ジャック) |
歩行 | パワー/重量比=18.9 接地圧=1.9 走行速度=75km/h 不整地=60km/h |
付属装置 | 頭部=25%x1 軽量腕x2 従部ユニットx1 |
胴体 | 触覚センサー 嗅覚センサーx1 音声合成装置x1 通信機5kmx1 |
頭部 | 目x2 耳x2 |
技能 | 〈感情表現〉(戦闘禁止プログラム) |
前述したとおり、看護用ロボットは擬似生物型が最適である。 |
結末
|
医療/看護用−擬生物型ロボット 「フローラ」シリーズ |
もう一つの結末 |
センタ・マウント製 シャム・ユニット |
URP |
805XA-00-MR32A-H49B Cr530,300 148.2kg 350.0L (TL=15) MQ328- 98 (副頭脳) |
ボディ |
70/175(なし) フレーム型 |
動力 |
燃料電池5 燃料(水素)=118.8L 活動時間=16日2時間 |
車輪 |
パワー/重量比、接地圧、整地最高速度、不整地速度 無負荷時 = 13.5 、 4.2 、150km/h 、 38km/h +50kg荷重 = 10.6 、 5.7 、145km/h 、 29km/h +100kg荷重 = 8.8 、 7.1 、140km/h 、 14km/h |
付属装置 |
なし |
胴体 |
基本センサー・パック 動力インターフェース×8 プログラム・インターフェース 主部ユニット×2 通信機5km×8 |
主頭脳 |
高自律型 上級命令 知力9 教育度11 応用プログラム <感情表現><演芸(ツッコミ)−3><医学−4><心理学−2> <教官−2><管理−2><スチュワード−2><従者−1> <あやしい技能−3><清掃−1> |
副頭脳 |
高自律型 上級命令 知力9 教育度8 応用プログラム <感情表現><演芸(ボケ)−3><医学−4><心理学−2> <スチュワード−2><従者−1><あやしい技能−3><清掃−1> |
「シャム・ユニット」の特徴 |
医療/看護用−擬生物型ロボット 「フローラ」シリーズ URP ボディ 動力 脚 付属装置 胴体 頭部 主部A 主部B オプション |
「フローラ」の特徴 |
「フローラ」の安全対策 |
「フローラ」の応用例 |
2008.11.03 初投稿。 |