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あなたの(所有するロボットの)
  テックレベルはいくつですか?    番外 Vol.07


 ソロマニ・リム宙域の調査会社「インペリアル・サーベイ」が、競争の激化しているロボット業界に関して、市場調査を行ないました。




帝国内ロボットの主要市場

 ロボットに限らず、帝国内における工業製品の主要市場とは、10億人以上の人口を抱える高人口世界のことを意味しています。
 帝国領内に存在する星系の中で、高人口世界を抱える星系の数は1割にも達しませんが、それでも帝国内人口の9割以上がそれらの高人口世界に居住しているためです。
 高人口世界の市場動向を調べるだけでも、帝国内経済の大半を掌握することも可能だと思われました。

 そのような理由から「インペリアル・サーベイ社」は、ソロマニ・リム宙域内に存在する高人口世界の数、人口規模、テックレベルを調査しています。
 テックレベル12以上の高人口世界に限定していますが、その結果が、以下の表1になりました。


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      表1 ソロマニ・リム宙域における高人口世界数と人口分布

 Valis氏のページにリンクしている、Traveller Map による調査結果です。
 ひとつふたつ、見落としや見間違いがあるかも知れませんが、大体の傾向は間違っていないでしょう。

 テックレベル15の高人口世界だけを見ても、人口レベルA(=人口100億以上)の世界が12個、人口レベル9(=人口10億以上100億未満)の世界が21個も存在しました。
 歴史の古い帝国内部は人口密度が極めて高いことを知り、若干ショックを受けています。

 Traveller Map のデータでは、残念ながら人口倍率が分かりません。
 とりあえず、すべての世界について「人口倍率=1」と解釈して、居住人口を求めてみました。
 有り得ないことだと思いますが、すべての世界で「人口倍率=9」となった場合は、上記の統計が9倍に膨れ上がる筈です。

 それはともかく、ソロマニ・リム宙域において、ロボットのユーザーと成り得る人口(テックレベル12以上の世界に居住する人口)の過半数が、テックレベル15の高人口世界に居住しているという事実が明らかになりました。
 テックレベル14の世界に居住している人口は、人口の33%。
 テックレベル12〜13の世界に居住している人口は、15%しかありません。

 利用されているロボットのテックレベルが、その世界のテックレベルに等しいならば、ソロマニ・リム宙域で使用されているロボットの半分以上は、テックレベル15のロボットだと予想されます。

 ソロマニ・リム宙域内であってもバナスダン星域のように、テックレベル14の高人口世界(人口レベルA)が3つも集まっていれば話は違ってくると思いますが、宙域の全体を見れば、テックレベル15が半数を占めていることは明らかでしょう。



 参考にするため帝国の反対側、スピンワード・マーチ宙域における高人口世界の数、人口規模、テックレベルに関しても調査を行ない、表2にまとめました。


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    表2 スピンワード・マーチ宙域における高人口世界数と人口分布

 スピンワード・マーチ宙域について人口倍率が判明しているため、総人口の計算に、「人口倍率=1〜9」を適用しています。
 人口レベルAの高人口世界3つが揃って「人口倍率=1〜2」である点に、何となく意図的なものを感じましたが、それはともかく。

 計算の結果、スピンワード・マーチ宙域におけるロボットのユーザー人口は900億人でした(人口倍率=1とみなした場合は370億)。
 ソロマニ・リム宙域と比べて、非常に小さな数字となっています。
 全体的にテックレベルも低く、テックレベル15の世界に居住する人口は人口比率で40%、人数にして360億人しかおりません。
 テックレベル14の世界の人口がわずか3%。
 テックレベル12〜13の世界の人口がそれぞれ28〜29%ですので、ソロマニ・リム宙域の人口分布とは大きく異なった傾向を持っています。




帝国内に普及しているロボットのテックレベル

 今度は「101ロボット」を開き、帝国内で普及しているロボットのテックレベルを調べてみました。

 主部/従部ロボットのように2つ以上のロボットが掲載されている場合、それらは、1つのロボットとみなして数えています。


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    表3 帝国内に普及しているロボットのテックレベル(101ロボット)

 意外なことですが、帝国内で最も多くが普及している(掲載されている種類の多い)ロボットは、テックレベル12だということになりました。
 次点が、テックレベル15のロボット。
 テックレベル13〜14のロボットは2割程度しかありません。

 知力4以下のダムボットであっても、高いテックレベルで作った方が、より高性能のロボットをより安価に作れる筈です。
 ですから、掲載されているロボットの過半数をテックレベル15のロボットが占めていると考え「101ロボット」を調べてみたのですが、そうではないようです。

 これはつまり、テックレベル15の世界であっても、テックレベル12〜14のロボットが生産/利用されていると考えるべきでしょうか。



 などと考えていたところ、Book8「ロボット」の中に「ロボットのテックレベル表」という、そのものずばりの表を見つけました。

 「プレイヤーがテックレベル12以上の世界に居る時は1日1回サイコロを振って、8+で遭遇が起こります。」
 「ロボットについて特に詳しい特徴が必要になったら、本書のロボット作成システムが利用できます。…中略…TL:ロボットのテックレベル表で2Dを振る」

 とのことです。

 この「ロボットのテックレベル表」を用いて求めた、高人口世界で遭遇するロボットのテックレベルを、表4にまとめました。
 「インペリアル・サーベイ」社が、ソロマニ・リム宙域内に存在する85個の高人口世界で、現地調査を行なった結果ということになると思います。


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     表4  帝国内に普及しているロボットのテックレベル(遭遇ルール)

 この数字は高人口世界に限らず、宇宙港クラスがAまたはBの世界に適用されます。
 テックレベル12以上の高人口世界で宇宙港クラスC以下の世界は、ソロマニ・リム宙域には存在しません。

 現地調査の結果、帝国内で普及しているロボットで、最も遭遇率の高いロボットは、テックレベル12のものであると確認されました。
 概ね4割近い遭遇率です。
 例えテックレベル15の世界であっても、遭遇したロボット10台の内4台は、テックレベル12で作られたロボットでした。
 反対に、テックレベル12の世界であっても、テックレベル15で作られたロボットに遭遇することは、決して珍しいことでもありません(16.7%なので6台中1台)。

 つまり私の想定、利用されているロボットのテックレベルが、その世界のテックレベルに等しいということは、成立しなかったのです。



 この背景については、色々と悩んでおりますが、決め手となるようなルールにはまだ巡り合えておりません。
 敢えて挙げるならば、CT「傭兵部隊」にある「装備の価格に関する注意」の項目が怪しいのではないかと考えています。
 「傭兵部隊」の中には、以下のような記述が見つかりました。

 「一般に、テクノロジー・レベルが高い世界では、より低いテクノロジー・レベルで生産可能な装備は安価に生産することが出来ます。
 その装備が最初に開発されるテクノロジー・レベルと比べて、世界のテクノロジー・レベルが1つ高いごとに、5〜15%の割引を行なっても構いません。
 価格を変更しない場合には、TLの上昇と共に装備の質や付属品が向上しているものとみなします。」

 上記のルールがロボットにも適用できるのであれば(銃火器や車輌とみなせれば)、テックレベル15の世界で作られたテックレベル12のロボットは、15〜45%割引(=定価の55〜85%)で購入できる訳です。
 このルールならば、テックレベルの高い世界でもテックレベル12のロボットが多用されている理由を、上手に説明できるかも知れません。




ロボットの年令

 テックレベル15の世界においてもテックレベル12のロボットが多用されていることが、Book8「ロボット」掲載のロボット作成システムにより、明らかになりました。

 すると次に気になることは、そのロボットの年齢(製造後の経過年月)でしょう。

 一応ロボットの耐用年数として、例えばテックレベル15のロボットならば、ローンの最長期間が40年、耐用年数85年と決まっていました。
 ですがロボット作成システムを使うと、製造後120年という年齢のロボットが、極稀ですが、作成されてしまうのです。
 120年と言えば、明らかに耐用年数を超えています。
 それでも、ルール的には全く構わないようでした。

 六面体のサイコロ3個を振ってロボットの年齢を決めるルールは、実は統計の上で、実に大きな問題を抱えています。
 と言いますのも、ロボットの年齢はサイコロ3個の和から3を引き(0〜15の数字になります)、その数に4〜8の定数を掛けて決めることになっていました。
 ご存知の通り、サイコロ3個の和で最も出現頻度の高い数字は10と11です。

 ですから、テックレベル15で作られたロボットの年齢をランダムに決めると、最も多いものは56〜64歳と64〜72歳の中古ロボットになり、それぞれ13%。
 しかし、製造後8年未満の新品ロボットは0.5%しか存在しないというおかしな状況が発生してしまうのです。

 毎年子供が100人しか生まれない(0〜10歳の子供が100人ずつしか居ない)のに、50歳の中年が2,500人(50代全体ならば2万5千人)も居る、人口ピラミッドの歪んだ社会のようなものでしょう。
 中古のロボットを大量に輸入している(青年、中年の移民を大量に受け入れている)という解釈も可能ですが、それはそれで歪なものになってしまいます。


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      表5  帝国内に普及しているロボットの年齢(遭遇ルール)

 サイコロ3個(3D6)によって決められるロボットの年齢ごとに、存在比率を計算してみました。
 表の左側、水色部分はローンの支払い期間中のロボット。
 中央にある、黄色部分はローンの支払いを終えて、まだ耐用期間内のもの。
 右側、赤い部分は耐用期間を超えた年齢のロボットです。
 さっと眺めただけでも、年齢の存在比率がおかしいと分かるでしょう。

 ローンの支払い期間中のロボットが26%しかないのに、ローンを払い終えて耐用期間内のロボットが58%。
 途中、ローン期間中に廃棄されるロボットが皆無だとしても、ロボット数が2倍以上に増えています。
 耐用期限を過ぎたロボットが16%も使われ続けていることも、妙な話でしょう。


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   表6 帝国内に普及しているロボットの年齢(遭遇ルール/並べ替え後)

 サイコロ3個(3D6)によって決められるロボットの年齢を、3D6−3ではなく、期待値の大きい順に並べ替えてみました。
 最も数が多い筈の新品ロボットに、3D6の10を割り当てています。

 並べ替えの結果、表の左側の水色部分、ローンの支払い期間中のロボットが68%に増えました。
 ローン払い済みで耐用期間内のロボットが26%。
 ローンを支払い終えた時点で、半数以上のロボットが廃棄されると考えれば、十分に納得できる数字でしょう。
 ローンの支払い期間内であっても数%の減少が見られますが、これは、ローンの期間が20年程度のロボットだったか、あるいは、事故や故障による廃棄と考えられます。
 中古で売却される可能性も高いのですが、その場合、オーナーが変わるだけですから上記の統計には表れません。

 耐用期限を過ぎたロボットの存在比率は6.5%に下がりました。
 およそ15台に1台の比率で老朽ロボットに遭遇してしまう訳ですが、帝国内では、それほど珍しくもないことなのでしょう。



2009.08.16 初投稿